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2011年7月、停滞していた先進国間の特許制度調和の議論の今後について検討すべく、ミュンヘン郊外の都市テゲルンゼーに、日、米と欧州主要国(英、独、仏、デンマーク)の特許庁と欧州特許庁(EPO:主催)が集まり、第1回のテゲルンゼー会合が開催されました。この第1回の会合では、特許制度調和の議論において重要な項目(「先願主義」、「グレース・ピリオド」、「先使用権」、「先行技術の範囲」、「新規性」、「進歩性」、「18箇月公開」、「秘密先願」)を特定した上で、これらの重要項目について各参加庁の特許制度及び運用に関する専門家からなるグループ(単に、「専門家グループ」という。)によって各国/地域間の制度比較作業を行うことが合意されていました。
その後、この専門家グループによる制度比較作業が終了し、この作業結果を長官レベルで承認するために、今回の第2回テゲルンゼー会合がEPOの主催により開催されることになりました。
2012年4月20日(金曜日)
スピッツィングジー(ドイツ、ミュンヘン近郊)
まず、これまでに専門家グループが実施した各国間の制度比較作業の成果について、今回の会合において参加各庁の長官により承認されました。
あわせて、テゲルンゼー専門家グループによる今後の作業として、1.制度比較作業結果に基づき、今後さらに各重要項目について、どの程度調和しているかについての評価作業を行うこと、この作業と同時に、2.4つの重要項目(「グレース・ピリオド」、「秘密先願」、「18箇月公開」、「先使用権」)に対して更に詳細な分析作業を行うことに合意しました。
そして、テゲルンゼー専門家グループの作業の進展について報告を受けるために、今年の秋に次回会合を開催することも合意されました。
昨年の米国特許改正法(米国発明法;アメリカ・インベンツ・アクト)の成立により、特許制度調和の議論を進めていく機運が高まっております。そのような中、今回の会合において、主要先進国間で特許制度調和に向けた具体的な作業に合意がなされたことは、現在の高まっている機運をさらに高めていくという意味において、非常に意義のある成果と言えるでしょう。
また、その作業の一つとして、「グレース・ピリオド」などの各国/地域の間で大きな制度及び運用の違いが大きい項目について集中して作業を行うことに合意したことは、各参加庁の特許制度調和に対する前向きな姿勢が具現化したものと言えるのではないでしょうか。
日本で特許となった発明について海外でも円滑に特許を取得できるようにし、日本の産業界が安心して国際的な事業展開や研究開発を行うことができる環境を実現するため、日本国特許庁は、今後とも、テゲルンゼー会合を含めた様々な国際的な議論の場に積極的に参加し、特許制度調和の議論を推進してまいります。
第2回テゲルンゼー会合で採択した声明<英文(PDF:72KB)><仮訳>
[更新日 2013年7月1日]