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特許庁は、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する、環境技術の活用を促進するためのプラットフォームであるWIPO GREENに、パートナーとして参加しています。WIPOと協力して、世界の環境技術の普及に貢献していきます。
WIPOは、国連の専門機関として、知的財産の活用を通じ、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)への貢献を目指しています。
WIPO and the Sustainable Development Goals(外部サイトへリンク)
WIPO GREENは、2013年に、環境技術の開発と普及を後押しすることを目的として立ち上げられました。オンラインデータベースや地域の活動を通じ、WIPO GREENは環境技術の希望者と提供者をつなぎます。130,000件以上の技術、ニーズ、専門家が登録されたデータベースは、世界中で2,500人以上のユーザーに利用されています。
これまで、政府機関、業界団体、企業、大学、研究機関など150を超える組織がWIPO GREENパートナーの国際ネットワークに参加しています。
パートナーは、WIPOとともにWIPO GREENを主導する、WIPO GREEN諮問会議の一員です。WIPO GREENを支援し、助言を与える等の活動を行います。
WIPO GREENのパートナーは、WIPO GREENウェブサイトの下記ページからご覧いただけます。
WIPO GREENのパートナー(外部サイトへリンク)
WIPOは、産業界におけるリーダーの立場からグリーンイノベーションの理解を促進するため、2024年にWIPO GREENアンバサダー制度を創設しました。WIPO GREENアンバサダーには、WIPO GREENの提唱者として活動し、WIPO GREENの取組を推進していくことが期待されています。 WIPO GREEN日本アンバサダーの活動については、下記ページ等からご覧いただけます。
日本から、52のパートナーがWIPO GREENに参加しています。その一部をご紹介します(特許庁の他は、WIPO GREENのパートナーリスト順)。
※ 特許庁以外の記事は、各パートナーから提供された情報に基づいて作成しています。特許庁はその内容を保証できませんので、記事を活用される場合には、事実関係についてご確認をお願いいたします。
特許庁は、2020年2月19日にWIPO GREENパートナーとなりました。WIPOによるSDGsへの貢献が活発に行われることを期待しています。また、WIPO本部やWIPO日本事務所(WJO)とも協力し、WIPO GREENの活動を積極的に支援し、環境技術の普及に取り組んでいきます。
パートナー加盟の署名式
キヤノンは、企業理念「共生」のもと環境ビジョン「Action for Green」を掲げ、プリンタ・複合機の消耗品に関するリサイクルを始めとする環境への取り組みを推進してきました。これからも、豊かな生活と地球環境が両立する社会の実現に、 技術革新で貢献していきます。
その一環として2019年12月、WIPO GREENにパートナー企業として参画し、同時に、キヤノンが開発したバイオプラスチックやリサイクルプラスチックに関する技術28件をWIPO GREENのデータベースに登録しました。登録する技術は今後拡大していく予定です。
このデータベースを通じて、環境保全関連技術を必要とする企業や個人がキヤノンの技術を活用し、地球環境対策の一助に繋がることを期待しています。
キヤノン環境ビジョン
キヤノンの資源循環フロー
WIPO GREENのデータベースに登録されているダイセルのメッキ樹脂成形体の製造方法は、メッキに適した樹脂に、強く、美しいメッキを行う方法です。
有害なクロム酸(6価クロム化合物)を使用せず、温和な条件で、重金属を含まない酸による処理を行います。クロム酸を使用しないので、人への健康被害がありません。また、クロム酸による土壌汚染、水質汚濁など環境への影響がなく、クロム酸の回収や洗浄に使用していた水を大幅に節約することができます。
メッキ樹脂形成体
メッキ樹脂部品の物性(従来品より、耐熱性が大幅に向上)
R32冷媒は、従来使われてきたR22やR410A冷媒に比べ、温暖化係数が低く、使用量も減らせるため、総温暖化影響を約75%削減できます。リサイクルも簡単で、持続可能な社会の実現に大きな貢献が期待できます。
ダイキン工業は、住宅用・業務用エアコンの冷媒としてR32がベストと判断します。2012年に世界で初めてR32を使った家庭用エアコン「うるさら7」を発売しました。またすべてのエアコンメーカーがR32を使ったエアコンの製造販売ができるよう、93件のR32機器応用特許の開放、新興国政府や国際機関と協業した技術トレーニングなどを行ってきました。2019年7月には、約180件のR32機器応用特許を無償で利用可能とする誓約(詳細は以下のリンク)を行い、そして、これらの特許をWIPO GREENのデータベースにも登録し、より広くR32を活用できるようにすることで温暖化抑制を後押ししています。
ダイキン工業は、WIPO GREENのパートナー企業として、同社がもつ環境技術の普及を目指します。
ダイキン工業ホームページ R32特許権不行使の誓約(外部サイトへリンク)(2020年4月17日時点の情報)
【新興国での政府、国際機関と協業したプロジェクト事例:タイ国】
タイ政府とのR32エアコン技術支援プロジェクト発足セレモニー
技術トレーニングの様子
チタンアパタイトは、アパタイト結晶中にチタンイオンを導入したもので、紫外線照射により菌やウィルスを分解する光触媒材料機能を持ち、従来の光触媒材料(酸化チタン)より対象物の吸着力に優れます(図1)。
WIPO GREENのデータベースに登録されている本技術は、チタンアパタイトを練り込むことにより、各種製品に抗菌性・抗ウィルス性を付与し衛生環境を改善するものです。たとえば、電子機器の筐体や、多くの人が触れるATMのタッチパネルに貼付するフィルム等に適用可能です。また、マスクに香りを付与するクリップに、チタンアパタイトを適用した製品(図2)など種々のライセンス製品が販売されています。
富士通は、衛生環境を改善する本技術を開放してより多くの方に使われることにより、SDGs実現に貢献していきます。
図1:光触媒チタンアパタイト
図2:抗菌・消臭作用のある光触媒材料、チタンアパタイトを使った「マスク用フレグランスクリップ」の開発(株式会社松本製作所)
GMSは、従来のローンやリースの与信審査を通過できなかった人々でも、自動車を購入し、利用できるようするFinTechサービスを提供しています。同社は、このサービスにより、所得向上・雇用創出等を通じた貧困問題の解決に取り組んでいます。また、その一環として、古い車両から新型の低公害型車両への代替を促進し、大気環境の改善にも貢献しています。
GMSは2021年4月にWIPO GREENのパートナーとなりました。同社は独自開発した、車両の安全な遠隔起動制御・再起動を可能にする特許技術をWIPO GREENのデータベースに登録しました。今後も、WIPO GREENを通じたオープンイノベーションを加速させることで、持続可能な社会の実現に一層貢献していきます。
フィリピンのGMS社員とトライシクルドライバー
WIPO日本事務所 澤井所長との対談
GSアライアンスは、石油系材料を使用せず100%天然バイオマス系材料を使用した生分解性樹脂を開発し、WIPO GREENデータベースに登録しました。セルロースナノファイバーなどの先端材料、廃木材、竹、廃植物、古米、古紙、デンプンなどのあらゆるバイオマス系廃棄物を複合した製品、非可食性バイオマス系であるセルロースを主な原料とした製品、バイオマス系コーティング材などに応用できます。
さらに、GSアライアンスは、天然バイオマス系成分だけを用いた汎用の成形機で量産できる生分解性樹脂も開発しました。押出成型、射出成形、ブロー成型、フィルム成形、紡糸など主な成形法のいずれを用いても量産できます。
100%天然バイオマス系材料を使用した生分解性樹脂
日立製作所は、SDGsの達成、Society 5.0の実現に向けて「IP for society」のコンセプトを提言し、知財活動を進めています。このコンセプトは、未来社会をデザインし、公共性の高い特定分野において、知財のオープン化を宣言し、社会課題解決に向けて活用しようというものです。
その一環として、同社は2019年12月にWIPO GREENにパートナーとして参画しました。また、WIPOガリ事務局長が同年2月に同社を来訪した際には、同社の東原社長と新時代の知財のあり方についてトップ同士が対談しました。日立製作所は、これからも社会課題解決に向けた知財活動にチャレンジしていきます。
IP for societyのコンセプト
ガリ事務局長と東原社長の対談
JIPAは、2009年に環境技術移転のコンセプトをWIPOに提案しました。また、2013年のWIPO GREENとしての公式発足後は、パートナーとしてWIPO GREENの普及に携わっています。
近年は、WIPO GREENのパートナーやユーザーとなっている会員を対象とし、情報交換やWIPO GREENの新たな可能性の検討を目的とする定期的なプロジェクト会合や、登録ニーズを基に、社会課題やSDGsの技術と知財のコラボレーションによる解決を考えるワークショップを開催してきました。
2020年度はWIPO GREEN対応のワーキンググループを発足し、環境技術のパテントプールの考察や、WIPO GREENに登録した技術をどのように普及・ライセンスするかなど、新たなビジネスの可能性を探るため、更なる会員間の共創を強化する予定です。ぜひ皆さまもご参加ください。
季刊じぱ Vol.12 2020 WINTER
WIPO GREEN参加へのお誘い~知財をSDGsのために役立てる~(PDF形式)(外部サイトへリンク)
日本弁理士会はWIPOが運営するWIPO GREENという技術移転プラットフォームに賛同し、2016年2月にWIPO GREENパートナーとなりました。
2017年には、会員向けに、WIPO GREENについての概要説明や、環境技術の国際的技術移転を弁理士として支援するにあたってのWIPO GREENを活用したスキームの説明及びWIPO GREENデータベースへの具体的な登録の仕方など、についての研修会を開催しました。また、 同年には、会員向けに、WIPO GREENについてのリーフレットを作成し配布しました。
WIPO GREENパートナー署名式
会員向けに配布したリーフレット
発明推進協会は、WIPO GREENアドバイザリーボード会議において、仕組みの向上に向けて積極的に提言を行い、日本の環境技術開発、あるいは海外技術移転に関する専門諸機関とのネットワークを構築し、WIPO GREENの活用を推進しています。
日本の主に中小企業、大学等へのWIPO GREEN紹介を行い、技術登録の推進をめざしています。また、WIPO GREEN現地ニーズ調査プロジェクトの成果を日本の関連諸機関、企業、大学等に紹介して、日本の環境技術とのマッチングを行い、その後の情報交換を支援しています。
国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22、2016年、マラケシュ)のWIPO GREENサイドイベントへの参加
マッチメイキングイベントへの参加
ケニア気候イノベーションセンター(KCIC、2016年、ナイロビ)
マッチメイキングイベントへの参加
アジア開発銀行本部(ADB、2018年、マニラ)
コニカミノルタは、自社内で蓄積してきた環境経営のノウハウをオープンにし、1,000社以上の企業へ提供してきました。そのような中、知的財産領域におけるSDGsへの貢献を目指し、2019年12月5日、WIPO GREENにパートナーとして参画しました。
集光型太陽熱発電用のフィルムミラー特許群と、低照度でも発電能力が得られる色素増感太陽電池特許群をWIPO GREENに登録しています。
今後も、知的財産部門が中心となり、新しい時代の知的財産の活用の在り方を模索しながら、同社が開発した環境関連技術でSDGsの達成に貢献します。
集光型太陽熱発電用フィルムミラー
色素増感太陽電池の特徴と構造
明電グループは、これまで培ってきた社会インフラを支えるエネルギーや水処理分野における事業、製品・技術及びサービスを通じて「持続可能な社会づくりへの貢献」を果たすとともに、事業活動における環境負荷を低減していきます。
21世紀を生きる企業に課せられた命題を「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現と捉え、その根底に「人財・コミュニケーション」を据えてサステナビリティ経営に取り組んでいます。
この取り組みの一環として、絶縁に乾燥空気を使用することで、CO2の25,200倍(※)の温室効果を持つSF6ガスを全く使用しない環境にやさしいエコタンク形真空遮断器(落雷等から電力系統を保護する機器)をWIPO GREENのデータベースに登録しました。
環境技術の普及による持続可能な社会の実現を支援していくため、今後もWIPO GREENデータベースへの環境技術登録を拡充していきます。
※気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第1作業部会報告書のデータに基づく
明電グループの「環境ビジョンのイメージ」
アラスカ州電力協同組合向けに納入した
145kVエコタンク形真空遮断器。
絶縁媒体として用いている乾燥空気は周囲温度が
-50℃でも液化しないため、寒冷地における液化防止のヒーターが不要。
ライフサイクルにおける温室効果ガス排出量削減効果試算例(当社比)
温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の分離回収技術の開発が、地球環境問題の解決に向けて必要とされているため、明治大学高分子科学研究所は「CO2分離膜」の研究開発を行い、WIPO GREENデータベースに登録しています。これはプラスチックの薄膜に排気ガスを通すだけでCO2とそれ以外のガスを分離し、回収したCO2を資源としてリサイクルしようというものです。
化石由来原料の代替として様々な植物由来プラスチックの合成を試みており、米を原料とした分離膜も合成しています。これらの分離膜はクリーンエネルギーである水素ガスや都市ガスとして利用されているメタンガスの分離精製等にも利用できます。
膜分離によるCO2の回収と有効活用
米を原料としたCO2分離膜
本学は、「『いのち』にむきあう」を教育研究の根幹に据え、「いのち」を「まもる」、「はぐくむ」、「つなぐ」の三つの視点に立ち、「生きがいを育む社会」の実現を目指して、社会課題の解決に取り組んでいます。
SDGsの理念は、これら本学の営みすべてに通底するものです。このことから、本学は、SDGsを、2025大阪・関西万博等の社会の様々な取組やステークホルダーと協働するためのグローバルなプラットフォームと捉え、SDGsの達成に貢献していきます。
WIPO GREENは、こうした本学の方針に沿う取組であり、本学で生み出された優れた環境技術が、WIPO GREENという取組を通じて社会課題を解決するイノベーションに繋がることを期待しています。
大阪大学は、SDGs達成に貢献するWIPO GREENの活動をパートナーとして支援していきます。
図1 研究推進構想『「いのち」にむきあう研究のためにー社会的課題に取り組む大阪大学』より
図2 WIPO GREEN登録技術の例:
有機媒体(油)中から有害なハロゲン化芳香族化合物(PCB)を除去するための、リサイクル可能な吸着除去剤
WIPO GREENのデータベースに登録されている水中プラズマ技術は、水浄化による水の再利用促進や水質汚染の防止、その他、悪臭物質の分解による空気質の改善など、環境保全に貢献できます。
水中の一対の放電電極に高電圧パルスを印加して水中に気泡を発生させることにより、水を処理するために利用することができます。
気泡にはOHラジカルなどの活性酸素種が含まれており、これらの活性酸素種との化学反応によって有機物を酸化分解します。酢酸などの分解しにくい物質も分解可能です。
システム構成
活用事例
リコーグループは1998年、「環境保全と利益創出の同時実現」を目指す環境経営の推進を宣言し、それ以降、環境負荷削減と地球の再生能力の向上に継続して取り組んでいます。2017年には日本企業初となるRE100※にも参加し、事業を通じた社会課題解決に注力しています。
リコーは、この取り組みの一貫として、2021年3月、WIPO GREENにパートナーとして参画しました。
また、同社で開発した環境技術を広く社会で普及させ地球環境の負荷を削減するために、ニーズが多く普及が求められている廃水処理分野の技術83件をWIPO GREENデータベースに登録しました。
同社は今後も地球環境の保全に役立つ環境技術のデータベースへの登録を拡充していきます。
※ 事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟するイニシアチブ
排出する環境負荷が地球環境の再生能力の範囲内に抑えられた状態
高温高圧水中燃焼による廃水処理技術
水や溶剤を使用しない洗浄技術
資生堂は、オープンな枠組みによって、環境技術の活用と普及を促す「WIPO GREEN」の趣旨に賛同し、2020年3月、世界で初めて化粧品業界からパートナー企業として参画しました。
パートナー参画後、「WIPO GREEN」データベースに掲載している「乳化化粧品の低エネルギー製造技術」を東洋大学にライセンスしました。同大の学生チームは、当社の「低エネルギー製造技術」を活用し、環境負荷の少ないサステナブルなハンドセラムの開発を実現しました。
資生堂ニュースリリース (外部サイトへリンク)、 東洋大学ニュースリリース (外部サイトへリンク)(いずれも2022年3月発行)
試作開発したハンドセラム「BOISEN」(写真提供 東洋大学)
正林国際特許商標事務所は2020年3月に特許事務所として世界で初めてWIPO GREENのパートナーになりました。現在、多くの日本企業が優れた環境技術をWIPO GREENデータベースに提供しています。これらの技術提供者(Provider)と技術希望者(Seeker)との提携を促進するために、同事務所はこのWIPO GREENの仕組みの中でマッチングやライセンス契約に関する相談などを行います。
同事務所は中小企業への知的財産に関するアドバイス、企業間の特許契約、開発中の技術の協業先探しなどの長年の実績があり、一般的な出願手続を扱う特許事務所にはない専門性を活かしWIPO GREENの活動に貢献します。
WIPO GREENパートナーの分野
(出典:WIPO GREEN戦略計画 2019-2023)
WIPO GREEN関係者の協力
東海国立大学機構(岐阜大学・名古屋大学)は、国際的な競争力向上と地域創生への貢献を目指す国立大学法人として、WIPO GREENのデータベースに積極的に環境技術のシーズを提供し、大学で行われる研究が、社会や産業の持続的発展に寄与するように促します。
東海国立大学機構は、環境技術の活用と普及を促すWIPO GREENの趣旨に賛同し、国立大学法人で初めてパートナーとして参画しました。
WIPO GREEN パートナーに参画表明(2020年11月)
「SPL7」分子による寄生植物「ストライガ」の駆除
東洋アルミエコープロダクツは、日用雑貨品・美容雑貨品並びに食品容器・成型品及び包装資材の製造・販売を行っています。そして、環境に配慮した製品作りをより一層推進し、国連加盟国が掲げるSDGsに積極的に取り組んでいます。
その一環として、WIPO GREENの活動にパートナーとして賛同し、同社の環境対応技術の一部((1)紙容器に関する技術 *図1 及び (2)太陽光を利用した浄水製造装置 *図2)をWIPO GREENのデータベースに登録しました。
図1 紙容器(プレス成形品)
図2 浄水装置(太陽光で雨水を浄水)
太陽熱集熱管は、太陽光を反射鏡で集光し、熱媒を加熱し、熱交換器を介して蒸気を生成して発電する集光型太陽熱発電システム(図1参照)の集光ユニット(図2)の基幹部材をなします。WIPO GREENのデータベースに登録されている豊田自動織機の集熱管(図3)技術は、太陽光を効率よく吸収する選択吸収膜を提供し、400℃以上の熱エネルギーの取得を実現するものです。
図1:集光型太陽熱発電システム(出典:NEDO再生可能エネルギー技術白書)
図2:集光ユニット
図3:集熱管
東工大OI機構は、組織対組織の産学連携活動をオープンイノベーションを通じて支援する機関です。連携活動は、グリーンイノベーションの分野でも積極的に展開していきます。同機構は、グリーンイノベーションに関するシンポジウム”TTOP2021”を2021年11月25日、26日にオンラインで開催しました。同シンポジウムでは、WIPO GREENの活動について、WIPO日本事務所の澤井所長に登壇頂く等、WIPO GREENの普及・啓発活動を支援しました。今後も東工大OI機構は、WIPO GREENの活動の普及のために積極的に支援活動を続けていきます。
Tokyo Tech OPen innovation & venture/research festival(TTOP)2021(外部サイトへリンク)
トヨタがWIPO GREENのデータベースに登録している特許(約23,740件(2019年3月末時点))は、同社の20年以上にわたるハイブリッド車(HV)の開発を通じて、高性能化・コンパクト化・低コスト化を進めてきた先進の技術に関するものであり、HV・プラグインハイブリッド車(PHV)・電気自動車(EV)・燃料電池自動車(FCV)等の様々なタイプの電動車開発に応用できるコア技術です。
トヨタは、世界での電動車の開発・普及・市場投入の促進により、CO2排出量削減による地球温暖化抑制に貢献したいと考えています。
車両電動化技術に関する特許約23,740件の実施権を無償提供
気候変動への対応やスマートコミュニティの推進に向けて、次世代モビリティシステムへの関心が高まっています。 WIPO GREENのデータベースに登録されているULV (Ultra Light-weight Vehicle)は、「自転車以上自動車未満」のコンセプトに基づき、開発されたパーソナルモビリティです。ULVは、電気自動車 (EV)としての活用を基本としていますが、複数の原動機で駆動可能であり、空気エンジン駆動に関する研究も進んでいます。
早稲田大学環境総合研究センターでは、さまざまなニーズに対応できるマルチべネッフィット型の自動運転車両としてのULVの開発も進めています。
超軽量小型モビリティ
「地域創生」、「次世代形成」、「多文化共生」の3つを使命とする山形大学では、2020年より、“empower!”(力づける、力を与える)をコンセプトとしてSDGsに関する取り組みを加速させています。SDGs専用ポータルサイト「EmpowerStation」を通じて、SDGsのそれぞれの目標に対応した同大学の諸活動を紹介しています。
同大学は、環境技術の活用を促進するWIPO GREENの趣旨に賛同し、2021年4月にパートナーとして参画しました。また、同大学は、脱炭素社会の実現に貢献するため、有機分子・CdSナノコンポジットを用いた水分解による水素製造技術をWIPO GREENデータベースに登録しました。
山形大学ホームページ YU-SDGs EmpowerStation(外部サイトへリンク)
図1:(左より)山形新聞社・寒河江社長、吉村山形県知事、玉手学長
図2:CdS単体に比べ、ナノコンポジットは、光を当てた時に水中から22倍の水素を生成させる
[更新日 2025年4月22日]
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特許庁総務部国際政策課国際機構班 電話:03-3581-1101 内線2561 |