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中小企業等知財支援施策検討分析事業(中小企業等知財分析レポートを用いたマッチング実証研究事業)について

令和元年8月
特許庁総務部企画調査課

  • 特許庁では保有する特許技術をもとに他社との共同研究やライセンシングを目的としたアライアンスパートナーをショートリストにして、事業提携先を検討するためのマッチングレポートを作成。
  • 本レポートを活用することにより、関連する技術分野やマーケットにおけるプレーヤーが明らかになるだけでなく、自社技術との差異や特徴を分析し、マッチング確度の高い企業を抽出することが可能。

概要

特許情報を活用した中小ベンチャー企業、大学等向けマッチングツールの成果と展望

特許庁では、オープンイノベーションを促進するための具体的なツールとして、特許情報を活用したビジネスマッチングレポートを開発しました。
過去2年間にわたり、100社以上の中小ベンチャー企業、大学等に同レポートを提供し、大企業等の事業会社のマッチングを実際にアレンジするなどして、その効果を検証しました。

重要性を増すオープンイノベーション

IoTやAI等の技術の普及やグローバル化、社会の成熟化に伴い、プロダクトに対する期待値や要求事項はかつてない早さで変化しています。単なる製品の性能向上だけでなく、社会実装時のサービスの視点を含んだビジネスモデルの構築が必要となるなど、顧客が価値を感じるプロダクトへの期待が複雑化・多様化しています。
社会にインパクトをもたらす新たなプロダクトを素早く生み出すためには、異業種の技術やアイデア、サービスやノウハウを組合せ、新たな価値を共創していく「オープンイノベーション」が有効な手段のひとつです。
他社と積極的に連携することで、世界中に広がるリソースを活用しながら、開発スピードを高めていくことがイノベーションを起こす鍵となります。

「技術のビッグデータ」を分析し、理想のパートナー発掘に貢献

特許情報には、出願人の解決したい課題や苦難の末に開発した技術の内容などが詳細に記載されています。さらに、データの様式が揃っているため、分析のために整理し直す必要も殆ど無く、また、時系列で追えることから、分析に最適なデータ群といえます。
この豊富な情報源に自社のフォーカスしたい技術分野と技術課題で絞り込みをかけることで、特許情報に裏付けされた連携可能性の高いパートナー候補のショートリストを作成することができます。
さらに特許情報は連携を提案する際にも活躍します。特定された候補企業の特許情報からは、同社の技術課題や開発傾向も把握することができるため、これらを踏まえた連携の提案は相手のニーズを的確に捉えた「心を打つ提案」となります。

特許情報を活用して、日本型のオープンイノベーション・エコシステムを社会実装

マッチングレポートは、自社が有する技術を幅広いビジネスに活用するために必要な情報を提供します。その活用シーンは、中小企業やベンチャー企業と大企業連携にとどまらず、例えば、業界全体の特許群を概括的に分析することで、業界内の技術トレンドや競合のポジショニングなども知ることができるなど、自社の事業戦略に有用な示唆を与える分析に役立ちます。
特許庁はマッチングレポートという新たなツールを通じて、特許制度の本旨ともいえる「産業の発達」を推進し、日本型オープンイノベーション・エコシステムの形成に貢献して参ります。

報告書

<レポート構成(イメージ)>

特許情報を活用したビジネス・マッチングツールを開発

  • 本ツール(通称マッチングレポート)は、中小企業、ベンチャー、大学等の技術を分析して、その技術とシナジーのある特許技術を持つ事業会社をショートリストにしたレポート
  • 特許出願の件数は、国内30万件/年、世界で300万件/年で、累計で1億件とも言われるビッグデータ、これをビジネス/マッチングに活用する試み

(マッチングレポートのイメージ)
(図)特許情報から把握できる連携シナジーが期待される個社名のリスト。近年、この技術分野のR&Dに注力、かつ技術が補完関係にある企業がおススメ

<平成30年度事業の成果詳細>

特許情報を活用したマッチング実証研究事業のスキーム

  • 支援先にレポートで作成したショートリストから面談したい事業会社を選んでもらい、その事業会社との面談アレンジもサポート
  • さらにディスカッションに同行してファシリテーターをする等、企業連携を側面支援して、オープンイノベーションを加速化するのが狙い

実際の支援の流れ

(図)中小ベンチャー/大学の依頼、ヒアリング、レポート作成、面談アレンジ、Z社とのディスカッション

具体的成果

平成29年度のマッチング成功率21.8%、平成30年度は成功率35.7%(内2件は共同開発フェーズへ)
* 成功率は成功件数/面談件数で計算。秘密保持契約(NDA)締結等の最初の面談から次のステップへ進んだ案件。

特許情報を活用した企業アライアンス/オープンイノベーションが促進できることを実証

平成30年度事業の成果詳細

  • マッチングディスカッション成功率は73.6%
  • マッチングディスカッション14件のうち、5件の成功事例を創出

(図)レポート作成・説明15者 延べ29件、マッチング候補選定 19件、マッチングディスカッション 14件、共同開発開始・NDA締結・議論継続 5件

[更新日 2023年11月10日]

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