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【令和7年度分野別特許出願技術動向調査結果】
「核融合発電」等において日本が強みを有していることが示唆されました

令和8年4月
特許庁総務部企画調査課

特許庁は、市場創出・拡大が見込まれる4つの最先端技術テーマ(核融合発電、低炭素燃料エンジン、乳酸菌入り食品、サイバー攻撃検知技術~不正侵入・マルウェア等の検知に向けた情報セキュリティ技術~)について、特許情報等に基づいて日本の強み・課題等を分析し、報告書を取りまとめました。

調査の結果、以下の結果がそれぞれ示唆されました。

  • 「核融合発電」では、「マグネット」等の技術区分における国際展開発明件数が最多であり、当該技術分野において日本が強みを有していること。
  • 「低炭素燃料エンジン」、「乳酸菌入り食品」及び「サイバー攻撃検知技術~不正侵入・マルウェア等の検知に向けた情報セキュリティ技術~」では、特許出願において複数の日本国籍出願人が存在感を示していること。
  • 「低炭素燃料エンジン」では、国際展開発明件数が2021年以降、急激な増加傾向にあること。
  • 「乳酸菌入り食品」では欧州が存在感を示している一方、「サイバー攻撃検知技術~不正侵入・マルウェア等の検知に向けた情報セキュリティ技術~」では米国が存在感を示していること。

特許出願技術動向調査について

特許庁では、新市場の創出が期待される分野を中心に、今後の進展が予想される技術テーマを選定し、特許出願技術動向調査を実施しています。

特許情報は、企業や大学等における研究開発の成果に係る最新の技術情報及び権利情報です。ある技術分野における発明件数(※1)を国籍・地域別又は出願人別に分析することで、各国・各地域又は出願人が注力している技術を推し量ることができます。また、出願人自身にとって価値の高い重要な発明は複数の国・地域へ出願されると考えられるため、国際展開発明件数(※2)に注目することで、発明の価値や国際的な影響力を考慮した分析が行えます。

以下では、各テーマにおける国籍・地域別の国際展開発明件数に関する特許出願動向や、技術区分別の国籍・地域別の発明件数・国際展開発明件数に関する特許出願動向などから、日本の強み・課題を分析した結果の概略を紹介します。

※1:「発明件数」は、いずれかの国・地域に出願された発明の数を意味します。ある発明を一つの国・地域のみへ出願した場合も、複数の国・地域へ出願した場合も1件と数えます。複数の国・地域へ出願した場合の出願のまとまりは、「Patent Family(パテントファミリー)」とも称されます。

※2:「国際展開発明件数」は、発明件数のうち、複数の国・地域へ出願された発明、欧州特許庁へ出願された発明又は特許協力条約に基づく国際出願(PCT出願)された発明の数を意味します。特許出願技術動向調査においては、「International Patent Family (国際パテントファミリー:IPF)」とも表現しています。

目次

核融合発電

核融合発電は、重水素とトリチウムを高温のプラズマ状態で融合させ、その反応によって生じるエネルギーを電力に変換して利用することを目指す技術です。近年、日本においても核融合戦略やフュージョンエネルギー・イノベーション戦略が策定されるなど、核融合発電の産業化・実用化に向けた社会的関心が高まっています。

本調査の実施に当たっては、核融合発電に関する技術を分類・体系化した技術俯瞰図を図1-1のとおり整理しました。この技術俯瞰図では、核融合の方式に基づき、各方式で必要となる機器要素を機器構成として整理しています。また、炉の構造として共通して必要となる炉壁材料や各種機能に加え、運転システムや燃料サイクルといった炉の運転に関わる技術も対象に含めています。さらに、核融合発電に用いられる技術は他産業への応用可能性も有するとの観点から、応用産業についても整理しています。

図1-1 技術俯瞰図

図1-1

2000年から2023年までの国際展開発明件数の比率は、米国籍が31.0%で首位となっており、次いで欧州籍が26.9%、日本国籍が21.7%、中国籍が7.3%、韓国籍が4.6%と続いていることが分かりました(図1-2)。

また、同期間の出願人別の国際展開発明件数ランキングでは、3位の量子科学技術研究開発機構、7位の日本製鉄をはじめ、上位20者中7者が日本国籍出願人であることが明らかになりました(図1-3)。

図1-2 出願人国籍・地域別国際展開発明件数推移及び比率(出願年(優先権主張年):2000-2023年)

図1-2

図1-2

注:2022年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で全データを反映していない可能性があるため、破線にて示しています。以下、他の調査テーマについても、同様ないし類似の表示をしています。

図1-3 出願人別の国際展開発明件数ランキング(出願年(優先権主張年):2000-2023年)

図1-3

図1-4に技術区分別および出願人国籍・地域別の国際展開発明件数を示します。技術区分別にみると、機器構成の技術区分において、日本は広く出願を行っており、他国・地域と比較すると「マグネット」及び「炉全体」に関する出願が特に多く、核融合炉の要素技術、特に核融合発電の研究開発の初期に必要となるプラズマの発生に関して強みを持つことが明らかになりました(図1-4)。

図1-4 出願人国籍・地域別国際展開発明件数(出願年(優先権主張年):2000-2023年)

図1-4

低炭素燃料エンジン

本調査の実施にあたり、低炭素燃料エンジン関連技術の技術俯瞰図を図2-1のとおり整理しました。
技術俯瞰図では、低炭素燃料エンジンのイメージ図を中心に、「形式」、「燃料」、「用途」、「課題」及び「解決策」の5つの切り口から調査対象技術の全体像を示しています。

図2-1 技術俯瞰図

図2-1

国際展開発明件数は2021年以降、急激な増加傾向にあります。出願人国籍・地域別では、欧州籍が 1,846 件で最も多く、全体の34.0%を占めます。次いで、米国籍が 1,639件(30.2%)、日本国籍が 1,108 件(20.4%)、韓国籍が 352 件(6.5%)、中国籍が 225件(4.1%)と続いています(図2-2)。

また、同期間の国際展開発明件数出願人ランキングでは、6位の三菱重工業グループ、7位のトヨタ自動車(TOYOTA)グループをはじめ、上位20者中6者が日本国籍出願人であることが明らかになりました(図2-3)。

図2-2 国際展開発明件数年次推移及び比率(出願年(優先権主張年):2012-2023年)

図2-2

図2-2

図2-3 国際展開発明件数出願人ランキング(出願年(優先権主張年):2012-2023年)

図2-3

図2-4に技術区分別および出願人国籍・地域別の国際展開発明件数を示します。出願人の国籍・地域別に見ると、日本は「アンモニア」を燃料として使用する技術において、国際展開発明件数が相対的に多いことが明らかになりました(図2-4)。

図2-4 出願人国籍・地域別国際展開発明件数(出願年(優先権主張年):2012-2023年)

図2-4

乳酸菌入り食品

本調査の対象である「乳酸菌入り食品」に関する技術俯瞰図を図3-1に示します。本調査では、乳酸菌を中心に、ビフィズス菌等の関連菌種も含めて対象としています。

調査対象技術は、「乳酸菌の種類」、「乳酸菌の利用目的」、「対象食品」、「対象者」、「要素技術」、「課題」の6つの領域に区分されます。このうち、「要素技術」には、「種・亜種・株の同定」「育種」「菌の培養」「食品加工」「検査」が含まれます。また、「課題」は、「主として乳酸菌に関わる課題」と「主として食品に関わる課題」の2つに整理されています。

図3-1 技術俯瞰図

図3-1

国際展開発明件数の推移を見ると、年ごとに多少の増減はあるものの、全体としてはおおむね増加傾向を示しています(図3-2)。出願人の国籍・地域別に見ると、全期間では欧州籍が986件(30.5%)と最も多く、次いで韓国籍が572件(17.7%)、日本国籍が460件(14.2%)、中国籍が441件(13.6%)、米国籍が429件(13.2%)となりました。また、近年は韓国籍および中国籍の比率が増加傾向にあります(図3-2)。

また、同期間の国際展開発明件数出願人ランキングでは、3位の明治、6位の森永乳業をはじめ、上位20者中6者が日本国籍出願人であることが明らかになりました(図3-3)。

図3-2 国際展開発明件数年次推移及び比率(出願年(優先権主張年):2013-2023年)

図3-2

図3-2

図3-3 国際展開発明件数出願人ランキング(出願年(優先権主張年):2013-2023年)

図3-3

図3-4に技術区分別および出願人国籍・地域別の国際展開発明件数を示します。日本は「腸内環境の改善」、「免疫機能の維持や向上」、「食味向上」、「発酵乳飲料」、「サプリメント」等において、国際展開発明件数が多いことが明らかになりました(図3-4)。

図3-4 出願人国籍・地域別国際展開発明件数(出願年(優先権主張年):2013-2023年)

図3-4

サイバー攻撃検知技術~不正侵入・マルウェア等の検知に向けた情報セキュリティ技術~

本調査は、サイバー攻撃検知技術(不正侵入やマルウェア等の検知を目的とした情報セキュリティ技術)を対象としています。

図4-1に、本調査が対象とする技術領域を分類・体系化した技術俯瞰図を示します。当該技術俯瞰図では、「侵入/異常検知・ウイルス/マルウェア検知」を中心に、「脅威インテリジェンス」、「AIに対する攻撃対策」、および「適用される産業領域(適用領域)」との関係性を整理しています。また、AI技術の活用が進んでいるものについては、点線で示しています。

図4-1 技術俯瞰図

図4-1

2017年から2023年までの国際展開発明件数の合計は6,010件であり、出願人の国籍・地域別に見ると、全期間では米国籍が2,217件(36.9%)と最も多く、次いで欧州籍が1,189件(19.8%)、日本国籍が833件(13.9%)、中国籍が571件(9.5%)、韓国籍が472件(7.9%)となりました(図4-2)。

また、同期間の国際展開発明件数出願人ランキングでは、4位の日本電気株式会社、5位のNTT株式会社をはじめ、上位20者中5者が日本国籍出願人であることが明らかになりました(図4-3)。

図4-2 国際展開発明件数年次推移及び比率(出願年(優先権主張年):2017-2023年)

図4-2

図4-3 国際展開発明件数出願人ランキング(出願年(優先権主張年):2017-2023年)

図4-3

図4-4, 図4-5に、技術区分別および出願人国籍・地域別の国際展開発明件数を示します。日本は「その他特定業種・セクター」の「車両」及び「製造」において、国際展開発明件数が多いことが明らかになりました(図4-4, 図4-5)。

図4-4 技術区分別-出願人国籍・地域別国際展開発明件数(出願年(優先権主張年):2017-2023年)

図4-4

図4-5 技術区分別(産業分野別)-出願人国籍・地域別国際展開発明件数(出願年(優先権主張年):2017-2023年)

図4-5

[更新日 2026年4月23日]

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