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第11回委員会 概要

職務発明制度に関する調査研究委員会

第11回委員会 議事概要

1. 日時

平成25年12月9日(月曜日)15時00分から17時00分

2. 場所

特許庁16階 特別会議室

3. 委員長

後藤晃 政策研究大学院大学教授

4. 議題

  • (1)海外情報拠点調査結果概要の報告
  • (2)全体討議

5. 議事概要

議題(1)

海外の職務発明制度とその運用に関する調査対象国8か国・地域(米国、イギリス、スイス、ドイツ、フランス、中国、台湾、韓国)のうち、報告未了であった3か国(米国、ドイツ、フランス)について、それぞれ海外情報拠点(海外法律事務所)から得た調査結果の概要報告を行った(残り5か国・地域については、本調査研究第9回委員会において報告済み)。なお、フランスやドイツにおける職務発明報償の性格や支払実務の状況等について、委員から依頼のあった内容等に基づき、追加調査を行う予定である。

議題(2)

  • 例えば、従業者の報償請求権を法的に保障した上で、使用者が制定した「発明報償規則」を経由して決定した報償については相当な報償付与(支給)義務を履行したものと推定する又はみなすとし、他方、「発明報償規則」を経由しない場合の報償については裁判所の決定によるという規定(現行特許法第35条第5項参照)とすることも、あくまで一案ではあるものの、考えられるのではないか。
  • 仮に「発明報償規則」について考える場合、現行特許法第35条第4項対応の手続的ガイドラインと現行第35条第5項対応の実体的ガイドライン(ただし、具体的な報償や処遇の算定基準ではなく、現行第35条第5項の報酬決定要素を考慮すべきこと等を規定するもの)を策定することが、あくまで一案ではあるものの、考えられるのではないか。
  • 仮に「発明報償規則」を経由して決定した報償について推定又はみなし効の規定を設ける場合、報償決定の相当性に関する裁判所の審査としては、(1)企業が報償決定のルールを制定しているか、(2)企業が制定した報償決定のルールが法所定の「発明報償規則」および手続的・実体的ガイドラインに適合しているか否か、(3)報償の決定が企業のルールに沿って行われたか否かを審査するものとすることが考えられるのではないか。
  • 推定効とみなし効については、仮に推定効にした場合には反証が許されることから、内容規制が残ることになるため、報償に関する紛争が無くならないのではないか。
  • 従業者に報償請求権を認める場合の法的根拠は、法人原始帰属型よりも、従業者から使用者への権利承継を前提とする従業者原始帰属型の方が説明し易いと思われる。従業者に報償請求権を法的に保障し、推定ないしみなし効の規定を設けるのであれば、法人原始帰属型に変えることまでは必要なく、例えば、現行特許法第35条第3項を「相当の報償」等の表現を用いた条文に変えることでも十分と考えられるのではないか。
  • 仮に従業者の対価請求権をなくすと、社会的にインパクトの大きい発明をした研究者を企業が正しく評価できない場合に研究者が対価を請求する権利が奪われることになり、優れた研究者が海外に流出することにつながりはしないのだろうか。企業が発明者から高額の対価を請求されるリスクについては、現行法の運用でうまく対処できないのだろうか。
  • 情報分野など特許権と著作権がクロスオーバーするケースもあるところ、職務著作については対価の支払義務がないため、このことからも、金銭だけでなく非金銭も含めた幅広のインセンティヴ施策が自由に設計できるような制度が必要ではないか。
  • 現在の研究は、一部の優秀な研究者がいれば大きな研究成果が得られるというものではなく、研究はチームで行っており、チームで分担しているときにたまたま誰かの発明が製品になっている場合が多い。そのため、製品の発明者だけではなくチームに対して報償を与えることができる制度が望ましいと思われる。
  • 発明者以外の人達が特許法第35条に基づく対価請求権を有しないのは、この規定の当然の帰結である。発明者以外で発明をサポートした人達をどう処遇するかは、企業経営上の問題であって、必要な人事考課その他処遇上の問題として解決していくべきではないか。
  • 例えば、職務発明制度を取り巻く環境の変化、職務発明制度の国際的調和、類似の法制度(職務著作制度など)との横並びといった観点から考えた場合、法人原始帰属型の立法政策を採らざるを得ないと言えるのかどうか、疑問を感じる。
  • 従業者の報償請求権について、手続規制に関するガイドラインを策定することはあり得ると思うが、民間レベルでの慣行等を考慮して作られていると思われるドイツのガイドラインとは事情が異なるため、実体規制に関するガイドラインは策定しない方が良いのではないか。

6. 今後のスケジュール

企業向けアンケート調査結果の概要を報告する予定。

※平成25年度産業財産権制度問題調査研究「企業等における特許法第35条の制度運用に係る課題及びその解決方法に関する調査研究」

[更新日 2014年1月8日]

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