第9回弁理士制度小委員会 議事要旨
1. 日時・場所
日時:平成29年3月24日(金曜日)13時30分から15時30分
場所:特許庁庁舎9階 庁議室
2. 出席者
相澤委員長、蘆立委員、飯田委員、伊丹委員、市毛委員、金本委員、河野委員、櫻井委員、髙倉委員、南委員、宮島委員、森岡委員
3. 審議内容
- (1)前回までの御意見等に関するフォローアップ(報告・討議)
- (2)弁理士制度に関する最近の課題について(討議)
4. 委員からの意見
前回までの御意見等に関するフォローアップ
- 弁理士試験について、特に、若い志願者が減っている。また、初回受験者で見れば減り方が少ない原因について、今後、機会があれば分析してほしい。
- 昨年度当小委員会において指摘された事項である「預り金の分別管理」「悪質事案の事前公表」「受任時の書面作成」について、日本弁理士会が対応したことに感謝する。
- CWR(チャイニーズ・ウォール・ルール)については、CWのシステム導入費用・負担があるとしても、法律事務所が利益相反に対応できているのは、コンフリクトチェックを徹底しているため、また、弁護士職務基本規程において共同事務所における規律を定めているためである。今年度、日本弁理士会がヒアリング調査をする際には、CWRの徹底以前に、コンフリクトチェックをきちんとやっているか、大規模事務所だけでなく、中小の事務所も含めて、調査していただきたい。また、日本弁理士会における規定の改訂も検討していただきたい。
- 弁理士においては、出願系のコンフリクトが多く、そもそもそのような事件を受任すると他方の会社が嫌がるので受任しない、という不文律があるが、調査は行う。
- 日本弁理士会の知財キャラバンは、中小企業を含めて知財戦略の立案が十分ではない機関にとって非常に有用な仕組みになる。他方、知財コンサルティングを受ける側の将来を左右する重要な役割を担うため、質の担保が非常に重要。
- 知財キャラバンは、知財系コンサルティングのスキルを既に持っている者(推薦支援員)と、その研修を終えた者(履修支援員)をペアで派遣しており、OJTでボトムアップを図っている。
- 弁理士の収入の大半が専権業務である明細書作成業務となっているのが現状。また、特許事務所においてパートナーになっていない弁理士の収入が平均的に少ないと思われることも、受験者減少の大きな要因の一つと思う。出願件数は減少しているが、知財に関与する参加者は増えており、知財の位置づけは非常に高いものになってきている。その中で、特許事務所から企業への人材の流動はあるが、企業から事務所への流れはあまり見受けられないので、企業から事務所で活躍できる環境の整備が期待される。
弁理士制度に関する最近の課題
- 専権業務以外の業務で差別化をし、競争していかなければならないことが今や共通認識となっている。
- コンサルティング業務は、専権業務外の業務であり、自由競争領域。そのような分野においては、自ら能力の研鑽が必要ではないか。
- 報酬体系についての見直し検討も必要なのではないか。
- 理系の人の中でも弁理士の認知度は低いとの認識。
- 出願代理業務に依存した収益構造となっている場合、出願件数が減少すれば、自然と収益も減少してしまう。
- 第四次産業革命が進み、知財の重要性が益々高まる中、どのようなニーズがあり、そのニーズにどのように応えていくかといった高い目線での検討が必要なのではないか。
- 例えば、弁護士においては、医療訴訟において活躍しているが、実際にはこのような訴訟では稼ぐことができない。ただ、このような使命感に燃え、日本のためになるような取組を行うことで、高い社会的評価や仕事への満足度も上がり、さらには、弁護士が認知され、その地位も高いものとなっている。このニーズに応えるためにも、企業に寄り添った知財戦略を提言できるような弁理士像を構築する必要があるのではないか。
- 地方を盛り上げるためにも地方金融機関との連携も重要ではないか。
- 相談業務については、コミュニケーション能力が最重要。
- 報酬体系として、タイムチャージ制が受け入れられれば、事務所の経営が安定し、ボランティアのような仕事を行う余力ができるのではないか。
- コンサルティングを行うためには、経営者の視点での思考力の養成が必須ではないか。また、コンサルティングをする上で、他の士業やコンサルタントと連携することや、MBAの取得も有益ではないか。
- グローバル出願比率が3割を超え、全体で10万件超の外国出願があるところ、外国出願業務に参画することが必要である。
- しかしながら、この部分は専権業務でないために、企業が内製や海外代理人と直接手続を行うケースも多く、参画できていないのが現状。
- 弁理士の仕事は、技術という「夢」を実現していくもの。競争の中で専門性をいかし、しかし夢を忘れないで進んでいくソリューションを考えていくことが必要。
- 中小企業の知財の底上げのためには、高校生などに対する知財の啓蒙活動が重要。
- コンサルティング業務において、実際、全ての弁理士が標準業務をできるわけではないとしても、オープン・クローズ戦略や、データの扱いは最低限、全ての弁理士が知っておく必要がある。
- また、コンサルティングを行うとすれば、必要となる知識や技能は膨大となるため、他の専門家と連携していくとよい。
- 地域・中小企業のコンサルティングを行う場合、地域毎の特色に留意すべき。
以上
[更新日 2017年4月12日]
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