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第3回弁理士制度小委員会 議事録

開会

中山委員長

ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会の第3回弁理士制度小委員会を開催いたします。委員会の開催に際しまして、皆様方、お忙しい中を御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
審議に入ります前に、特許庁側出席者に異動がございましたので、事務局から紹介をお願いいたします。

稲垣秘書課長

それでは、御紹介させていただきます。
7月1日付で山口前特許審査第三部長が退官いたしました。後任に特許審査第三部長として高木が着任いたしましたので、これから高木が特許庁の審査審判事務の代表として出席させていただきます。よろしくお願いいたします。

高木特許審査第三部長

高木でございます。よろしくお願いいたします。

中山委員長

ありがとうございました。
それでは、審議にうつりたいと思います。
前回は弁理士試験研修制度及び弁理士法に規定する業務について御審議いただいたわけでございます。
本日は、大きく分けて三つのテーマについて審議をお願いいたします。一つ目は、弁理士事務所のあり方として、特許業務法人制度と弁理士事務所の補助員について、二つ目は、日本弁理士会に係る問題として、弁理士情報の公開と日本弁理士会の強制加入制度について、三つ目は、弁理士法の運用に関して、知的財産部門の分社化と利益相反規定についてでございます。
最後のところで、前回の弁理士試験・研修制度等について追加的に御意見をちょうだいしたいと思っておりますけれども、本日は日本弁理士会と相澤委員から意見の提出がありますので、その後で御意見をちょうだいしたいと思います。
まず、事務局より配付資料につきまして説明をお願いいたします。

小林弁理士室長

配付資料の確認をさせていただきます。本日は大きく8点の資料を用意させていただいております。
まず資料1でございますが、「特許業務法人制度について」。これには参考資料をつけさせていただいております。参考資料1-1「各士業の登録者数及び設立法人数」でございます。参考資料1-2「各士業の法人制度比較表」でございます。参考資料1-3「特許業務法人所属弁理士数」でございます。参考資料1-4「弁理士職業賠償責任保険について」でございます。参考資料1-5「弁理士人数別の主たる事務所の割合」でございます。参考資料1-6「知的財産研究所アンケート「今後の弁理士制度のあり方に関する調査研究報告書」抜粋」でございます。
続きまして、資料2でございます。「弁理士事務所の補助員について」、参考資料2-1として、参考条文をつけてございます。
それから、資料3でございます。「弁理士情報公開のあり方について」、参考資料として、3-1、参考条文と別紙をつけてございます。
資料4「日本弁理士会の強制加入制度について」、資料5「知的財産部門の分社化について」、資料6「利益相反規定について」、参考資料6-1として、参考条文をつけてございます。
次の2点が意見の提出に関する資料でございます。資料7「日本弁理士会が提唱する新たな法定研修制度の骨子」、日本弁理士会からの意見提出でございます。資料8「弁理士法の定める弁理士の懲戒に関する規定について」、相澤委員からの意見提出でございます。
以上、18点の資料を配付させていただいております。
以上でございます。

中山委員長

ありがとうございました。
不足はございませんでしょうか。よろしいですね。

特許業務法人制度について
弁理士事務所の補助員について

中山委員長

早速、議事に入りたいと思います。
初めは、弁理士事務所のあり方に関しまして、「特許業務法人制度について」及び「弁理士事務所の補助員について」の資料に基づきまして、事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

御説明をさせていただきます。なお、事前に資料を送付してございますので、時間の関係もありますので、ごく簡単に要点だけ御説明をしたいと思います。
まず資料1でございますが、「特許業務法人制度について」でございます。
1ページ目でございます。特許業務法人制度につきましては、平成12年の改正によりまして導入されたものでございます。それ以前は特段の規定はございませんで、法人形態によって弁理士業務を行うことはできないということで、弁理士は個人事務所の形態でのみ業務を行ってきたわけでございます。
ただ、弁理士が仮に死亡、移転等をすれば、顧客への継続的な対応ができない、またニーズの多様化、高度化の中で一定程度の大規模化を図り、総合的サービスの提供を実現することが必要ではないかという議論がございまして、弁理士法における特別に認められた法人として特許業務法人という特別な法人制度をつくったわけでございます。現在、57の法人が設立されております。
(2)にまいりますが、2にございますように、特許業務法人の社員は弁理士に限定をされておるということでございます。
それから、2ページ目、3でございます。特許業務法人の債権者に対する社員責任としては、社員の連帯による無限責任になっております。
4でございます。特許業務法人の最低社員数は2名ということでございまして、2名以上の弁理士が共同して定款を作成、登記することにより設立されます。また、社員が1名となった場合には、6カ月間、継続した場合には、それは解散事由となる。そういう制度になってございます。
3ページ目にまいります。責任制度のあり方でございます。問題の所在でございますが、現在、(1)の3行目でございますけれども、社員は原則として無限責任を負うけれども、特定事件について社員を指定した場合には、当該指定社員のみが無限責任を負うこととしてはどうかという、指定社員無限責任制度の導入を要望する意見がございます。
特許業務法人が大きくなればなるほど社員の間で業務の分担が出てくるわけでございますが、自己の知り得ないうちに他の社員が関与した業務についてまで無限責任を負わされてしまうということでは、大規模化がなかなか進まないのではないかということです。同じような議論が弁護士や公認会計士にもございまして、弁護士法人は平成14年4月、監査法人では平成16年4月から指定社員制度を導入しております。
他方、この両法人以外の法人については、他にも士業にかかる法人が幾つもございますけれども、現在は特許業務法人と同じように、単なる無限責任制度になってございます。
論点といたしまして、まず1でございます。弁護士法人の場合には、弁護士個人を信頼して業務を依頼しているという側面が非常に強いので、当該弁護士以外の弁護士は一定要件のもとに有限責任でもいいのではないかという議論がございまして、それを根拠としてこういう制度を認めたわけでございますが、弁理士の場合にも同じように考えていいのかどうか。
それから、4ページ目の2でございます。監査法人については、監査法人が非常に大規模化しておりまして、監査法人の1法人当たりの平均所属公認会計士数は55名という実態がございます。それに対しまして、特許業務法人の場合には平均所属弁理士数が6名でございまして、同列に議論していいかどうかという論点がございます。
5ページ目でございます。他方、弁理士サイドから見ると、どう見えているかということでございます。アンケート、資料1-6についてございますが、弁理士の方々に、業務法人制度の利用について、どういう障害があるとお考えですかということを聞いております。「無限責任制度であること」が65%でございまして、一番大きな理由として挙げられております。
他方、4でございますが、顧客から見た場合にどう見えるかということでございます。仮に特許業務法人制度について有限責任を導入する場合でも、補完するための職業賠償責任保険制度が十分に整備されていれば、そういうものを利用することによって、ある程度リスクは回避できるのではないかという議論もございます。なお、弁護士、監査法人とも保険については法令による加入義務づけはされておらず、任意加入となっているのが現状でございます。
参考資料1-4に、弁理士についての責任保険の現状の資料がついてございます。これを御覧いただくと、現状でも、真ん中にございますように、東京海上、その他が提供している保険サービスでございますが、既に全体の43%にあたる1375の事務所が加入しているという実態でございます。
それから、6ページ目にまいりまして、有限責任制度を導入する場合には、債権者に対する財務諸表等についての情報開示をどう考えるかという論点もあるのではないかと思います。
御議論いただきたい論点としては、四角の中にございますように、弁理士業務法人にも指定社員制度を認めることが適切かどうか。仮に認めるとした場合に、ディスクロージャーあるいは賠償保険との関係をどう考えるのかということが論点になると思います。
続きまして、7ページ目、一人法人でございます。(1)でございますが、現行の弁理士法では2人以上の弁理士がいないと設立ができないということでございますが、事務所の資産と個人の資産との分離を進めていく、あるいは将来的に複数社員法人への移行をするためにも、現時点においても一人法人を導入すべきではないかという要望がございます。他方、一人法人の場合には、当然ながら、法人の継続性の問題をどう考えるかという点があるわけでございます。
(2)の1にございますように、一人法人の設立が認められておりますのは弁護士法人だけでございます。他の士業の法人制度では一人法人は認められておりません。
なぜ弁護士で一人法人が認められるのかということを調べますと、ここに書いてございますように、我が国の弁護士の54%、半数以上は複数の弁護士がいる法律事務所に所属しており、それら事務所の多くは、仮に一人の弁護士がやっているところでも、いわゆる「親弁」と「イソ弁」と言われているそうでございますが、一人の経営弁護士に多くの雇われ弁護士というか、そういう方が付いてやっているという実態でございますので、一人法人を認めても、事務所に所属する弁護士が実質一人ではないという実態があるわけでございます。したがって、一人法人を認めても継続性の観点からの問題は少ないんじゃないかということで認められた経緯がございます。
他方、8ページに入っていただきますと、弁理士の場合には、弁護士と若干事情が違いまして、複数の弁理士のいる事務所に所属している方が、平成13年当時で27%、現在でも31%でございまして、名実ともに一人事務所が多いという現状がございます。
それから、8ページの3でございます。先ほどはアンケートを御紹介しましたが、同じアンケートの中で、有限責任のところについては65%でございましたが、一人法人を認めてほしいということを言ってらっしゃる弁理士は全体の35%という状況でございます。
9ページ目の四角の中でございますが、こういった状況を踏まえて、一人法人の必要性についてどう考えるか。特に弁理士業務法人、特許業務法人の導入の目的は当初、継続性をどうするかということが大きな理由であったわけでございますが、この趣旨と整合するのかどうかという点について御議論をいただければと思います。
引き続きまして、資料2でございます。弁理士事務所の補助員についてでございます。
御案内のように、現行制度では、特許出願等に係る手続代理などについて、弁理士または特許業務法人の独占業務、専権業務になっておりまして、資格を有さない者が行った場合には1年以下の懲役または100万円以下の罰金ということになってございます。弁理士法75条、79条の規定でございます。
どういった問題があるかということでございますが、本来、弁理士の独占業務については弁理士自身がみずから行う、あるいは補助員を使用する場合でも、当然弁理士の監督のもとに附随する業務を行わせるということでございます。しかしながら、一部の弁理士につきましては補助員、つまり非弁理士に実質的な代理業務を行わせて、結果として、迅速・円滑な審査等の妨げになっているのではないか、また、こういう行為が著しい場合には名義貸しに当たるのではないかといった問題がございます。
2ページ目にまいりまして、名義貸しについて、どうなっているかということでございます。法律上の規定はございません。会則を受けた会令によって禁止されているというのが現状でございます。建築士の姉歯さんの件でもあったわけですが、名義貸しということが仮にあった場合には、倫理上の問題としての取り締まりをすると同時に、著しい場合には、名義を貸した弁理士に対して補助員の非弁活動についての幇助犯ということで法的な制裁をしていく。姉歯建築士については当時、非資格者が行った行為についての幇助犯と構成をしてつかまえたわけですが、その反省に基づいて前回の通常国会で建築基準法の改正がされまして、直接名義貸しの禁止をするという改正がされております。
どういった問題があるかということでございます。例えば3の(1)に書いてございますように、具体的に、ここに書いてありますような問題が特許庁の中で、いろんなアンケートその他をしていくと出てきております。要するに、明細書の作成を実質的に全部補助員に委ねてしまっている。あるいは、弁理士に対応を求めても、常に補助員が対応してくる。明らかに弁理士の指示に基づかずに補助員だけでいろんな問い合わせ等をしてくるといったような問題がございます。
これは内部で集計中でございまして間に合わなかったんですが、私どもの審査部に対してアンケートをした結果でございます。代理人に氏名の記載のある弁理士が案件内容を理解していないとしか思えないことがあるというのが全体で5割程度、頻繁にそういうケースがあるというのが1~2割、ときどきそういうケースがあるというのが3割程度です。
あるいは弁理士の対応を求めても、自ら対応せずに、常に事務所員に対応させている。頻繁にそういう方がいらっしゃるというのが1割程度、ときどきそういう方がいらっしゃるというのが3割程度といったところです。
今後要点を集計して御報告いたしますが、そういった状況がございます。こういったことについて、何らかの対応が必要なのではないかということでございます。
(2)、3ページでございますが、名義貸しの禁止につきましては現在、弁護士法の27条という規定に、弁護士については名義貸しの禁止規定がございます。それから、4ページ目にまいりまして、建築士につきましても、前通常国会の改正によりまして、名義貸しの禁止規定が明文で盛り込まれております。
論点としては、御説明したように、弁理士が補助員に実質的に業務を委ねてしまっている場合があるといった声があるわけでございますが、これについて何らかの対応が必要なのではないか。また弁理士法に名義貸しを禁止する規定を明文で設けるべきかどうかという点について御議論いただければと思います。

中山委員長

ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして質問、御意見等ございましたら、お願いいたします。

神原委員

議論の前提として御説明いただきましたことについて、二、三意見を申し上げたいと思います。
最初、資料1の関係でございます。3ページから4ページ目にかけまして、弁理士と顧客との関係について御説明いただきました。特に4ページの2番目の段落で、「弁護士ほど特定の個人に対する人格的信頼に大きなウエートがあって依頼するものではないとも考えられる」という御説明がございました。
私ども弁理士といたしましては、素直に受け入れられないというところがございます。弁理士事務所の看板を信頼してという意味がどういう意味かということを考えますと、弁理士事務所を経営している弁理士の人格的信頼、あるいは当該事務所に勤務をしている個々の弁理士の人格的信頼ということにほかならないと思います。したがいまして、弁理士と顧客の関係も、基本的には、人間的あるいは人格的な信頼関係であろうと理解しております。
それから、先ほどお話がございましたように、現在、特許事務所の70%が一人弁理士事務所ということになっております。これは事務所の比率でございまして、弁理士の人数からいたしますと、もっと低いパーセンテージになります。一人事務所を経営している弁理士の数は、全体の弁理士の33%程度でございます。ただ、事務所で見ますと、事務所の約70%が一人事務所、これは間違いございません。
一人事務所も今現在、それなりに営業をいたしております。一人事務所の場合には事務所の信頼すなわち個人の弁理士の信頼というふうに考えられますので、そういったことからしますと、弁理士といえども、基本的には、人間的、人格的信頼関係であろうというふうに考えております。これが一点です。
それから、同じ資料1の5ページの方で、4に顧客から見た有限性の責任制度というところがございます。そこの2番目の段落の最後に、指定社員制度がもし仮に導入されれば、「顧客に重大な利害関係が発生するおそれがあると考えられる」とございますけれども、ここも多少違和感がございます。
たとえ指定社員制度が導入されたとしても、基本的には、社員が連帯無限責任を負うということは変わらないと思います。ただ、特定の事件に関して社員を指定した場合には、その特定事件に関しては指定社員が責任を負うということでございます。その責任の負い方は、現在の弁理士が、自分が受任した事件の全部について、無限責任を負うということと、責任の負い方においては変わらないのではないかと考えられます。したがって、特に指定社員無限責任の場合において、顧客に重大な利害関係が発生するということはないのではないかと考えております。これが二点目です。
三点目は、数字の話になってしまうんですが、先ほどちょっと申し上げましたように、現状の一人事務所の数字なんですけれども、例えば9ページの四角の枠の中に、弁理士の70%は一人事務所を開設しているとございますけれども、弁理士事務所の数に対して一人事務所の数を比較してみますと70%、これは間違いございません。
ただ、それが弁理士の人的な数ではございませんで、一人事務所を経営している弁理士の数を全体の弁理士の数に比較してみますと、現在のところ、約33%ということになります。これは8ページの上の数字も関連してまいりまして、現在、複数の弁理士のいる事務所に所属している弁理士の割合は全体の67%程度になります。
そういうことがございますので、事務所の数と弁理士の数の比較の割合を改めていただければと思います。
以上です。

中山委員長

ありがとうございます。
他に御意見はございませんか。

谷委員

資料1で、もう一点補足しますと、8ページの3です。この中で「特許業務法人を「利用する予定はない」とする意見が58.1%あり、約6割の弁理士事務所は法人化へ消極的」とありますけれども、現状では一人法人を認めていない関係で、そういう前提に立った上での回答であります。現在、一人事務所が先ほどの話のように非常に多いという状況では、こういう回答になっているわけです。その前提が現在では2人以上の社員でなければならないというところで、一人弁理士の事務所では利用することができないから、利用する予定はないという回答になっているのかと思います。
以上です。

中山委員長

ありがとうございます。
他に御意見、御質問ございましたらお願いします。

澤井委員

私、このテーマの問題点がよくわからないんですけど、業務法人の改正の必要性については、本質的なニーズというのはどこにあるのでしょうか。というのは、参考資料1-1を見ると、それぞれの士業の人の人数と事務所の数の対応の関係がよくわからないのですけれども、ザクッと見ると、弁護士も公認会計士も弁理士もトータルの人数の1%ぐらいの法人ができている感じなんですね。ということは、法人そのものがこういう士業にとってそもそも使いにくい格好になっているのではないのかなという印象を受けるのですが。
一方で、それぞれの士業の性格がかなり違うので、同じ法人でも横並びで見るのが本当にいいのかなという疑問もあります。そこら辺がよくわからないので、御意見なり、考え方があったら教えていただきたいと思います。

稲垣秘書課長

資料1-1で法人ごとの所属士業の人数をつけてないのでわかりにくいと思いますけれども、弁護士とか監査法人の場合には、一つの法人に所属している士業の方々が非常に多いので、所属している人数としては、資格を持っている方のうち相当の方が所属をしているという実態になっております。
私どもとしては、せっかく業務法人制度が制度としてある以上、それがなるべく弁理士にとっても使いやすく、またユーザーにとっても望ましい制度に変えていけるのであれば、それが良いと思っておりますが、現状では弁理士会から、責任の部分と一人でできないという部分で使いにくいので、ユーザーとの関係で問題がなければ、そういう制度改正をしてほしいという要望が出ております。
それについて、私どもの方で調べられる範囲のいろんな情報をまとめて御説明させていただいたということでございます。

中山委員長

どういうニーズかという御質問ですけど、弁理士会の方はいかがですか。

神原委員

今、御説明いただきましたように、確かに法人制度もございますが、現在のところ、57しかないんです。この一番大きな原因は使いにくいということが原因になっているということがアンケート、その他で出てきております。
使いにくさの二つの大きな要因をとらえますと、一つが複数の社員がいないと法人化できないという点、もう一つが全社員が無限責任を負わねばならないということがございます。この二つで法人化になかなか踏み切れないということがアンケート結果に出ております。また、いろんな相談においても、そういったことが出てまいります。
したがって、せっかくある法人制度ですから、また法人制度を足場にして大規模化ということが当然考えられますので、そういったことで何とか使いやすくしなくてはいけないのではないかという気持ちがございます。したがって、とりあえず、二つの大きな要因を解消して、何とか使いやすい方向に持っていければなということで、指定社員無限責任制度と、それに加えて、できれば一人法人というところを私どもとしては要望しております。

野坂委員

平成12年の弁理士法改正で、総合的サービスの提供を実現するという目的で、特許業務法人制度ができたと伺っています。
ということであれば、弁理士会の方が「57しかない」という表現を使われましたけれども、総合的サービスの提供を目的した中では、57というのは少な過ぎるんだろうと私も思います。より環境を整備して増やさなければいけない。
一方で、一人事務所を一人法人にした場合に、一人で総合的サービスは提供できるのかなと私は思わざるを得ないです。総合的サービスというのは、複数の方がいらっしゃって、いろんなニーズにあわせて業務を行うということの意味なんだと理解すれば、そこのところは若干矛盾するんじゃないかと感じるんですが、いかがでしょうか。

神原委員

一人法人の形態でございますけれども、本当に事務所に弁理士が一人しかいないという場合、もちろんこれはあります。それから、そうではなくて、事務所全体では何人か複数の弁理士がおるんですが、その中で法人の社員としての地位を得る者が一人しかいないということが考えられるかと思います。
いろいろな事情があると思いますけれども、法人になりますと、ある程度の割合での出資ということが考えられます。したがって、出資能力に極めて大きな差があるような場合には、複数の弁理士はおりますけれども、法人の社員は一人にしておこうという形がとれれば、法人化に大きなはずみになるんじゃないかということです。
即ち、一人だけの事務所ということもありますけれども、それよりは、複数弁理士がいるんですが、法人の社員が一人という形態がとれないかというふうに考えております。

谷委員

もう一点は、一人事務所が多いわけですけれども、一人事務所が他の事務所と合併して共同の事務所をつくるということがなかなか起きにくい一つの理由として、個人の財産と業務の財産とをなかなか切り分けにくいという問題があります。
もし一人法人ができますと、個人の財産と法人の財産を切り分けすることができますので、それによって事務所の流動化といいますか、合併が促進されるのではないかという期待も持っているわけです。いつまでも一人法人でいくというよりは、将来、複数の弁理士が共同で事務所をつくっていくような場合にやりやすくするということを考えております。
その場合に、共同で一つの事務所、法人をつくるときに、もう一つ問題となるのが有限責任、無限責任の問題です。2人の弁理士が合併したばっかりに、無限責任を両方で背負い込むという問題が起きるのも流動化を難しくする要因でもあるから、その面からも指定社員の無限責任ということであれば事務所の流動化がさらに促進できるのではないか。
これも、先ほどお話が出ました総合サービスの観点から、なるべく一人事務所が複数の弁理士、複数の社員による事務所を目指すためにも、第一の取っかかりとして、一人法人が認められると、一層流動化が進むのではないかと考えています。

中山委員長

他に何か御意見ございませんか。

澤井委員

今の57の業務法人があるというのは、別の見方をすれば、他には業務法人の形を取っていない大人数の事務所があるということだと思うのですけれども、それは無限責任のところが一番効いているんですかね。というのは、もし今の業務法人の規定を変えるとしても、一人法人の規定を新設するという話と無限責任のところを変えるというのは、質的にかなり違うような感じがするんです。
企業サイドからいくと、当初の総合サービスということと、仕事の継続性から見て、業務法人というのはいいですよねという話はあったかと思うんです。しかし、本来の目的で見たときに、現状の事務所では業務法人という形をとらないで仕事をしているというのは、どこか引っかかっているところがあって、この業務法人が使いにくいものじゃないかなと思うんです。ただ、そこら辺が、この文面だとよくわからないので、実際の忌憚ない御意見をお聞かせ願えればと思います。

中山委員長

その点はいかがですか。それでは、弁理士の方からお願いします。

神原委員

現状を見てみますと、極めて大きな規模の事務所が確かに法人化しておりません。この実情は何かということなんですが、一番大きな問題は、全社員無限責任ということにあろうかと思います。大きくなればなるほど、取り扱い業務も種々さまざまになってまいりますし、また専門性もある程度明確に分かれてくる、そういう傾向にあろうかと思います。
したがって、ある弁理士にとって、全く専門分野が違うといった業務も当然行われているということになります。そういった場合に、専門分野が全く違う弁理士が、他の弁理士が起こした不祥事があったとしまして、それについてどこまでも責任を負わねばならないというのは、ある意味で、大変不合理であるという考え方がございます。それで、一番大きな要因として、無限責任制度が障害になっているのではないかというふうに考えています。
もちろん、中規模になりますと、その問題もありますけれども、今度は出資能力、その出資に見合う責任といったことが絡んできます。創業者のような弁理士は相当資力があると仮定し、そこに勤務している弁理士はそれほどでもないとしますと、出資比率が大変違ってくるのが普通であろうと思われます。複数の社員が法人をつくろうとしますと、その場合、責任が全く同じようにかかってくることになりますと、そこでどうしても尻込みをする者が出てまいります。そういったことも原因になっているかと思います。
いずれにしろ、最大の原因は無限責任制度ということにあろうかと思います。

大渕委員

特許業務法人における一人法人の点に関してですが、資料1の7ページの(2)1にあるような一人の経営弁護士が勤務弁護士を雇用するといういわゆる「親弁型事務所」のようなパターンではなくて、一人の弁理士だけの事務所についても法人にしてほしいという要望のようですが、その必要性ないしメリットについては、資料1の7ページの(1)に書かれているところに尽きているように見受けられます。
要するに、法人化した方が事務所資産と個人資産との分離が図りやすいとか、ないしは一人法人自体というよりは、それを足がかりにして、将来、複数社員のいる複数社員法人へ移行するためや、あるいは、他の特許業務法人との合併による事務所規模の拡大を実現するためのワンステップのような感じかと思います。
お聞きしていると、一人法人それ自体が必要というよりは、今述べたような、資産の分離を進めるための手段、あるいは、将来、大きな法人にしていくためのワンステップのような印象を受けるのですが、メリットないしニーズとしては、このようなものであるとのお考えなのでしょうか。

中山委員長

そういう認識でよろしいですか。

谷委員

私はそういうふうに思っています。

戸田委員

顧客の立場でこれをどう考えるかなんですけれども、法人化が促進されるという意味では、一部有限責任の導入は、ある程度賛成できるのかなと思います。
一人法人に関しても、個人資産と法人資産をきちんと分けるという意味では好ましいと思います。この資料によれば、弁理士さんの死亡とか移転の場合に継続性を危惧するというコメントがあるんですけれども、むしろ法人化していない方が、その問題は大きいと思うんですね。個人資産と法人資産が分かれていないような状況で、突然、弁理士が亡くなったりすると、顧客は大変なことになってしまう。そういう意味では、一人法人についても基本的には賛成できるのではないかと思います。
ここにも書かれているんですが、顧客の保護という観点で、いろいろな形でのディスクロージャーは進めてほしいと思います。具体的には、損害賠償保険の加入とか、財務諸表の開示ですとか、そういったディスクロージャーは法人化の進展とともに進めていただいた方が、顧客としては有り難いと思います。

中山委員長

ありがとうございます。

相澤委員

前回の改正のときに、なぜ有限責任制度がとられなかったか、一人法人が認められなかったかということは、そのような例がなかったことによります。その後、弁護士法が改正されましたので、前回とは事情が異なっているということは明確にしておきたいと思います。

中山委員長

他に何かございますか。補助員についても何か御意見ございましたら、お願いします。

神原委員

資料2についての意見ということでお願いしたいと思います。
私どもにとって、大変耳の痛いお話がございました。私ども弁理士の管理が不十分である、あるいは管理を怠ったということで、補助者が何がしかの不始末をするということは認識しております。具体的な例も承知しておりますけれども、その数はそれほど多くはないのかなというのが正直なところです。後ほどデータをいただけるそうですので、そこで改めて認識したいと思います。
もう一つ、そういったことが極めて甚だしい場合には、名板貸し、名義貸しといった問題が起こってくるということも承知しております。しかしながら、それだからといって、補助者の問題に関して、名義貸しの禁止というところに集約した議論をするというところに多少違和感を感じております。いろんな方面から、この問題についての議論をお願いしたいと思います。
例えば弁理士法の中に、29条信用失墜行為の禁止という条文がございます。何がしかの補助者の問題が起こった場合には、その監督者たる弁理士が弁理士法29条に違反するということになろうかと思います。それであれば、弁理士法違反ということで、弁理士法32条の懲戒処分対象になるという構造にもなっております。そういったことについても、それで足りるか足りないかという問題も含めて議論をお願いしたいなと思っております。

中山委員長

他に御意見ございましたらお願いします。

相澤委員

特に独占を認められている者には、その責任を負うことが当然のこととなっていると思います。名板貸しを認めるということになりますと、この制度自体の存在意義が問われることになります。したがって、この点は、きちんした方がいいのではないかと思います。

野坂委員

日本の場合、よくありがちなんですが、姉歯のケースを見ればわかるように、何かが起きてから対応に追われるということが非常に多いですよね。弁理士については、今伺っていると、大きな問題はないということですけれども、今後も起きないことが一番望ましいと思いますが、万が一の場合に備えて、明確な規定は設けておいた方がいいのではないかと私は思います。弁理士会では要らないというような、既にある条文でいけるんだという御認識でしたけれども、私は名義貸しの部分はきちんと明記すべきだと考えます。

神原委員

私の説明が足りなかったかと思います。私どもも明確な名義貸しが起これば、当然ながら、それなりの処罰がなされなければいけないと思っております。それがあってもいいということでは全くございません。
ただ問題は、ここで挙げられております補助者の問題と名義貸しの関係をもう少し明確に結びつける、そういったところの議論が必要ではないかと考えています。

中山委員長

他に御意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、時間の問題もございますので、次の議事に入りたいと思います。

弁理士情報公開のあり方について
日本弁理士会の強制加入制度について

中山委員長

次は日本弁理士会に係る問題といたしまして、「弁理士情報公開のあり方について」及び「日本弁理士会の強制加入制度について」の資料に基づきまして、事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

資料3、資料4で御説明をさせていただきます。
まず資料3でございます。「弁理士情報公開のあり方について」でございます。1ページ目の(1)にございますように、先ほど来、議論がございますように、弁理士につきましては、一定の業務が専権業務として弁理士以外の者がこれを行うことができないということになっております。したがいまして、業務独占の反面として、ユーザーが適切な弁理士を選択できるような必要な情報を公開する責務があるのではないかということでございます。
他方、日本弁理士会は弁理士の強制加入団体です。次の議論に出てまいりますが、要するに、弁理士試験に受かった後に弁理士会に登録して、弁理士名簿に登録することによって初めて弁理士になれるということでございますので、弁理士情報は日本弁理士会がユーザーの視点に立ちまして検索しやすい形で提供することが一番合理的ではないかということでございます。
こうした議論がございまして、平成12年の弁理士法改正のときに、弁理士会の会則に定めるべき事項といたしまして、57条1項第12号に「日本弁理士会及び会員に関する情報の提供に関する規定」を会則に定めなさいというルールになっております。
現状はどうかというのが2ページ目から3ページ目に書いてございます。わかりやすい形でまとめたのが3ページ目の参考の表でございます。現在、日本の弁理士会が提供している「弁理士ナビ」をインターネットで公開しているわけでございますが、その中で各弁理士について◎が必須項目、が任意項目ということでございます。登録番号から、氏名、登録年、事務所名、所在地が必須項目、それから、技術分野、専門分野以下の項目は任意項目ということでございます。任意項目につきまして、3ページ目の資料に書いてございますが、専門分野、技術分野につきましては、情報の登録率は16%にとどまっているというのが現状でございます。
それから、3ページ目の2にございますように、弁理士事務所の多くはユーザーへの発信手段として、みずからのウェブサイトをつくって、自分の事務所についての宣伝をしております。当然ながら、これはCMの一種でございますので、広告的色彩が強いということで、割り切ってCMとして思えばそれで構わないんですが、場合によっては、一部には誇大広告とおぼしき内容のものも存在するんじゃないかといった声も聞かれます。
他方、3ページ目の2の問題の所在でございます。アンケート調査で、どういうふうにユーザーが弁理士を選択するんですかということですと、弁理士としての実績、あるいは専門、技術分野、4ページ目にアンケート結果をつけてございますけれども、そういったようなところを見た上で選択をしたいんだという答えが非常に多いわけでございます。
他方、現状では、先ほど申し上げたように、住所、氏名は公開するけれども、どういった分野が専門である、あるいはどういう実績があるということについては公開されていないのが現状でございます。
なお、5ページ目にまいりますが、知財推進計画の2006知的財産戦略本部においても、中小企業等に対する一層の弁理士、弁護士情報の提供の必要性が指摘されております。
論点でございますが、例えば5ページ目の真ん中にございますように、(a)(b)(c)と書いてございますが、例えば弁理士試験受験時の選択科目、地球工学を専攻したとか、物理工学を専攻したとか、そういったようなところ。あるいは出身大学の学部、学科、修了、論文の有無。それから、例えばIPC(国際特許分類)ごとの出願査定件数の実績。その他研修の受講履歴等、こういったことについては、日本弁理士会が弁理士から調査の上、情報を一般に提供するべきなのではないかという議論がございます。こういったことについてどう考えるか。
なお、5ページ目の下にございますように、個人情報保護法があるわけでございます。こういった情報は、確かに定義上、個人情報には該当するわけでございまして、個人情報保護法との関係をどう考えるか。弁理士会の設立趣旨からすれば当然だから、別にいいんだと考えるのか、あるいは、こういうことまでやるのであれば、個人情報保護の例外規定として何らかの規定を弁理士法にもう少し明確に規定すべきなのかといった議論があろうかと思います。
それから、6ページ目の(2)、(3)にございますように、ウェブサイトによる情報提供はどんどんしていただければいいわけですけれども、明らかな誇大広告となるようなものについてどう考えるのかということ。それから、情報開示後に、開示した情報について、さらにその苦情等々もあると思いますので、それに対する対応をどう考えるのかといったようなこともあわせて議論する必要があると思います。
6ページ目の一番下の四角にございますように、論点としては、情報公開をもっと進めるべきではないか。例えばとして、別紙を資料3の最後につけてございますけれども、こういった項目について、上の項目は客観的かつ義務的記載事項として公表すべきではないかといったような項目です。
現在、弁理士ナビに公開されているものと、されていないものと分けてございますが、それ以外にも、これは弁理士からの任意的な記載事項として、ある種、宣伝的な部分も入ってきますけれども、こういったこともあわせて弁理士ナビで公開してはどうかといったようなことについて、どう考えるか。
それから、個人情報保護法の解釈については、さらに精査を行っていって、もし何らかの規定が必要であれば規定をしていくということかと思いますが、それについてどう考えるかということでございます。
それから、資料4でございます。「弁理士会への強制加入制度について」でございます。強制加入制度については、前回の弁理士法の改正時から規制改革会議等からの指摘を受けて議論が継続しております。強制加入制度につきましては、幾つかの士業で強制加入をとっておりまして、1ページ目の(3)にございますように、現在、弁護士、公認会計士等々、8資格について、士業の団体に加入をしなければ士として認めないという強制加入制度がとられております。他方、強制加入制度がなく、国が直接的に登録等を行っておりますのが医師、薬剤師、不動産鑑定士等、幾つかございます。
強制加入制度は、所管省庁には監督権があるんだけども、職責の全うのためには自主的な団体により構成員が相互に監視をし、自主的にいろんな違反行為の防止に努めていただくということが必要ではないかということでできているわけですが、他国においては強制加入をとっている国、とっていない国、両方ございまして、米国やイギリスでは強制加入ではございません。他方、ドイツ、フランスでは強制加入でございます。
2ページにございますように、韓国においては99年に強制加入制度をやめたんですが、大韓弁理士会への加入率が3割程度に低下して、いろんな無料相談等の公益事業がなかなかできないということも生じまして、再度、2006年に大韓弁理士会への強制加入制度に戻してございます。
(5)にございますように、強制加入についてはずうっと議論がございまして、とりあえず前回の整理は、メリット、デメリット、両面があるんだけども、デメリットが出ないようにいろんなことを見直していきながら、当面は、不断の検証、見直しを行いつつ、現行制度は維持をしようじゃないかということになっております。
2ページの下にございますように、例えば3で書いてございますが、当時は「謝金及び手数料に関する事項」について会則に規定がございまして、弁理士会が標準報酬表を定めておったわけですが、これについて競争制限的であるということで会則の規定を削除し、標準報酬表も廃止をしたといったようなことをしております。公正取引委員会がこういう状況を踏まえて、資格者団体に関する独占禁止法上のガイドラインを平成13年に公表しております。
3ページ目の2.にございますように、現在、規制改革会議におきまして、平成18年においても議論が進んでおりまして、具体的には5月30日の論点整理の段階では、資格者団体に加入しなければ資格者としての業務を行い得ないという点では競争制限的に機能しており、必要以上に資格者間の垣根が高くなっているという指摘もあるといったような、とりあえずの中間整理になっております。
論点でございますが、競争制限的な側面ということで、いろんな報酬表の廃止等々の措置を講じてきておりまして、現時点においては、強制加入に伴って、どういった具体的な弊害があるのか。強制加入である以上、団体に加入しなければ業務を行えないのは当たり前であって、問題はこのような競争制限的な効果が具体的にどういう悪影響を及ぼし、他方、強制加入のメリットもあるわけでございますので、その比較をどう考えるかということかと思います。
何が強制加入のメリットかということでございますが、(2)にございますように、ここに1234と書いてございますが、強制加入であれば資質の向上のためのいろんな指導、研修、あるいは弁理士についての十分な情報提供、職業モラルの維持・向上、知的財産制度の拡充・強化への貢献、具体的には無料相談会とか、そういったいろんなことが強制加入じゃないよりはできるというのは確かにメリットであるかと思いますので、こういったような点について、12については別途議論しておりますので、3の職業モラルの維持・向上。これは懲戒の話とも関連してくるわけでございますが、現在、5ページ目に書いてございますような実績でございますけれども、こういった懲戒について、もう少し厳正に対処することが必要なのかどうか。
それから、4にございますように、既にいろんな貢献を弁理士会の事業として行っていただいているわけでございますけれども、こういうことについても一層の強化を図るべきなのかどうかといったようなところが論点になろうかと思います。
6ページ目に簡単にまとめてございます。強制加入制度を維持することは合理的なのかどうか。仮に廃止するとした場合には、具体的にどういう弊害が生じているからなのか。維持するとした場合には、日本弁理士会が行うべきこととして、今御説明した1から4までのことで十分なのか、またその内容については現状で十分なのか。さらに、これら以外に維持するのであれば、こういうこともすべきではないかという、どういうことがあるのかどうかといったようなことが論点になろうと思われます。
以上でございます。

中山委員長

ありがとうございました。
ただいまの説明に対する御質問あるいは御意見ございましたら、お願いいたします。

神原委員

弁理士情報公開に関しての意見ですけれども、この問題に関しましては、日本弁理士会も現状の日本弁理士会の行える情報開示の範囲あるいはユーザーからのいろんな御要望、そういったものに鑑みまして、ぜひとも何らかの形で会員に情報提供を義務づけて、その上で日本弁理士会が情報を公開するという制度をとりたいと思っております。
それによって、今までお伝えできなかったいろんな情報が伝えられるであろうと思います。したがって、ユーザーの皆さんに対して、そういう面のお役に立てるだろうと考えております。会員に対する義務化の形も、ぜひとも必要かなというふうに思っております。
ただ、具体的な項目についてですが、この資料ですと、例えば5ページの3の論点というところに、これは一つのモデルかと思いますけれども、いわば義務的に提供すべき情報の中に、真ん中あたり、ちょっと下のところに、「(c)国際特許分類(IPC)ごとの出願・査定件数」というのが入っております。
これは専門分野の実績という観点から入っているのではないかと考えれますが、専門分野の実績であれば大変重要な情報開示項目ですので、それはぜひともやりたいと思っておりますが、出願・査定件数と限られますと、いろいろ問題が起こってくるのかなと考えております。例えば比較的大手の事務所に勤務しておりまして、連名でいろいろと代理をしておるという場合に、自分の件数って一体何だろうということも起こってくると思います。また、件数が果たしてユーザーにとって判断材料になるのかどうかということもあります。
そういったような問題も疑問でありますので、特定の事項に限るのではなくて、例えば専門分野における実績であれば、当該弁理士が代理人として名前が挙がっている公開公報なり、そういったものの番号を列挙するとか、そういった方法もあろうかと思います。
ここは余り詳細に制限されない形での専門分野の実績ということで考えていただければと思っています。

中山委員長

ありがとうございました。

谷委員

昨年度、弁理士ナビを立ち上げたときに、多少関与していたので、その説明をいたします。
それ以前に弁理士リスト検索というシステムがございました。ただ、使い勝手が悪かったことと、自己申告に基づいてこれからやりたい、これから希望したい業務までも含んでいたものですから、ユーザーにとって混乱を招くということで、昨年は、それを改めるべくアンケートを取りました。
その中で基本的に考えたのは、実際に実績のある仕事を、専門分野であるとか、自分のやっている仕事として申告してもらうということで、これは自己申告ですけれども、裏づけデータつきで申告してもらっています。
多岐にわたったアンケートだったものですから、回答が少なかったのは、そのためでもあるかと思います。今後、またアンケートを取りますけれども、もうちょっとシンプルにして回答しやすい形にすれば、このパーセントは上がっていくかと思います。ただし、その場合でも実績をベースにした自己申告ということで考えています。
ですから、資料3の4ページの下から1、2行目、5の3(1)の論点の第3段落のところで、自己申告に基づく専門分野等の情報、また自己申告に基づくとありますけれども、これは実績をもとにした自己申告ということで御理解ください。
それから、もう一点ですが、5ページと資料3の別紙のところに出ていますけれども、全員が公表すべきものとして挙げているところです。その中で、特に別紙を見ていただきますと、「その他、公開を検討すべきもの」というところです。年齢は、特に女性の弁理士も増えておりますし、一方で、年齢と経験とは直接の相関もないかと思いますので、年齢は省くべきかと思います。
それと、弁理士試験受験時の選択科目ですけれども、平成12年改正法以前に受験した方は、選択科目は受験しやすい科目を取っている場合が非常に多くて、自分の専門とは違う分野が多いものですから、選択科目を書いても意味がないわけです。例えば土壌学であるとか、商品学を取る方が以前は多かったものですから、それを示しても情報の開示としては役に立たないと思いますので、これは何らかの工夫をしないとまずいのかと思います。
以上です。

中山委員長

ありがとうございました。他に何かございますか。

坪田委員

質問なんですが、5ページの弁理士会による情報提供の拡大については、書かれていることは非常に前向きでいいなとは思うんですが、現実問題として、この情報管理をやっていくのは日本弁理士会だとすると、果たしてこれだけのボリュームのことを日本弁理士会がこなしていけるのかどうか、そこら辺はどうなんでしょうか。

谷委員

こなしていくというのは、情報を集めて整理して、それをデータベースとして維持管理するということですか。
今までもそれはやってきております。もちろん、情報の漏洩がないように、それも万全の準備をしながらやっております。

前田委員

ここ数年、大学でもたくさんの特許が出てくるようになりましたが、地方の大学の場合、地元に自分の知っている弁理士の方がいないというケースも多くあります。東京医科歯科大学のように、東京にある場合は情報を豊富に入手することが可能ですが、地方の大学では、充分に情報を得ることができない場合もあり、お勧めの弁理士事務所についての相談を受けることがあります。
もちろん知っている事務所をお教えしますけれども、大学の先生というのはある意味、皆さんコンペティターでもありますし、御自分で選ばれてもいいのかなと思いますので、ぜひ情報公開は進めていただきたいと思います。専門分野については、初めての方がわかるような形で公開していただけたらと思います。
また、強制加入の方は、これから人数が増えていくときに、質の担保という観点からも研修を是非やっていただきたいと思います。ですから、現状の制度を崩してまで強制加入を無くさなくて良いと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
他にございますか。

大渕委員

弁理士情報公開という論点については、必要な情報の公開を拡充していくというのはもちろん大変結構なことだと思います。
いろいろな検討の前提としてお伺いしたいのですが、資料3の3ページで先ほど御説明のあった「弁理士ナビ」として現在やっておられるところについては、私などが傍目から見ますと、技術分野や専門分野といった項目は、ある意味では自分のアピールないし宣伝にもなってくるので、せっかくの機会だからアピールするためにかなりの率で登録をするのではないかとも思われるところであります。
しかしながら、実際の登録率が約16%にとどまっているというのは、手間がかかるとか、書きにくいということかもしれませんが、おわかりになる範囲で結構ですので、何ゆえ16%という低い率にとどまっているのかという理由についてお伺いできればと思います。

谷委員

我々ももっと期待していたのですけれども、低かった理由は、根拠を示して書くということで、それが煩わしかったのかもしれないのですが、もう一つは、これを書きますと、これにだけ制約されるといいますか、他の分野はできないというようにも思われてしまうということで書きにくいという意見もありました。
ただし、いろいろな方に聞いたわけではないので、何人かに聞いてみたところ、そういうことだったものですから、具体的になぜ少ないのかはわかりません。
また、これだけの問題ではなくて、全体を通して非常に膨大な量のアンケートだったものですから、初めに考えたよりは縮めたのですけれども、それでもかなりの量だったので、答えにくい方が多かったのかと思います。

中山委員長

三尾委員、次に野坂委員、お願いします。

三尾委員

強制加入の点につきまして、お聞きしたいと思います。資料4の5ページなんですけれども、一番上に日本弁理士会として懲戒処分を行うというふうに書かれているんですけれども、弁理士法の32条によりますと、懲戒権者は経済産業大臣であるとなっています。
これとは並行して弁理士会の方で処分を行うという御趣旨だと思うんですが、強制加入団体存続の是非を考える際には、懲戒との関係が表裏一体であると思われます。弁護士の場合は、弁護士会の中で処分、懲戒権を持っておりますが、強制加入制度を前提にしないと、未加入の弁護士に対しては、十分な懲戒等の処分ができなくなってしまうという弊害が出るかと思うんです。
弁理士の場合は、現状では経済産業大臣が懲戒権者であるということになっていますが、日本弁理士会から経済産業大臣に対する懲戒請求が非常に少ないという実績も鑑みて、今後は強制加入団体を維持しつつ、会としての弁理士に対する懲戒制度の機能を充実させる方向で検討いただければいいのではないかというふうに考えます。

中山委員長

ありがとうございます。
では、野坂委員。

野坂委員

質問ですけれども、弁理士事務所のウェブサイトの話がここに書いてございますが、どれぐらいウェブサイトがあるんでしょうか。私など、こういう時代だから、情報公開の中でホームページのアドレスが書いてあって、そこに飛んで情報がさらに詳しく見られるようなことになれば、顧客からすれば非常に便利なんじゃないかなと考えています。そのウェブサイトの現状と今後の見通しについて伺えればと思います。

神原委員

大変申し訳ないんですけれども、今のところデータを取ったことがありませんので、明確なことは申し上げられません。
私が何かの都合で弁理士のウェブサイトを見るということもございます。その場合、もちろん私の知っている範囲は極めて狭いということもありますけれども、名前を入力して、それで検索した場合に、ウェブサイトがなかったという例がないんですね。
ですから、これは推測にすぎませんけれども、7割、8割ぐらいはウェブサイトを持っているんじゃないかなと思います。それ以上のことは申し上げられません。

相澤委員

不適正な内容の情報の公開が行われたときに、どのように対処をすべきかについて、自らのホームページで公開する場合と、弁理士会のホームページに情報を載せる場合とでは違うのではないか、と思います。
弁理士会による情報公開について、弁理士会への公衆に応える必要がありますから、それに御留意いただいた方がいいと思います。

澤井委員

先ほどの情報公開のことですけれども、今、相澤委員がおっしゃっているとおり、弁理士会がやるのであれば、ある程度きちんとした内容をやるということで、先ほど谷委員がおっしゃったように、実績ベースで実際の技術分野なり専門分野を見るという形になるんだろうと思います。
5ページの(a)(b)(c)を見ると、出身大学とか弁理士試験の選択科目というのは弁理士会に入るときの情報ですから、弁理士になられて、自分でいろんな技術分野を勉強して開拓されるという方は結構いると思うんです。そういう意味では、前回もありましたけれども、研修みたいなものにあわせて、弁理士会がこういう技術研修をやって、それをきちんと受講しましたとか、信頼できるような形でオーソライズして、それを実績として見て情報公開するとか、そういうことをされた方がいいのかなという感じはします。
それから、先ほどの年齢のところは、谷委員がおっしゃったのと同じで、見るときに、年齢というよりも、経験年数で見ますから、そういう情報もあった方がいいのかなと、情報公開関係では、そう思います。
強制加入の方は、さっき三尾委員もおっしゃったように、基本的には強制加入にしつつ、質を担保して、違反行為に対するペナルティをどうするかというあたりもバランスよく設計されるのがいいだろうなと思います。
以上です。

中山委員長

ありがとうございます。

相澤委員

強制加入制度は競争制限的効果があるということは前回の改正のときに指摘がなされています。これに対しては制度を改正し、弁理士の増員を図って、より競争的にするということで対処することとなりました。現に、そういう政策を進めつつあるわけであります。この平成12年度の指摘に対しては、十分にこれを推進しているところであるということを申し上げたいと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
他にございますか。よろしいでしょうか。それでは、この問題は一応このくらいにいたしまして、次の議事に入りたいと思います。

知的財産部門の分社化について
利益相反規定(法第31条)について

中山委員長

次は弁理士法の運用に関して、「知的財産部門の分社化について」及び「利益相反規定について」の資料に基づきまして、事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

資料5、資料6について御説明をさせていただきます。
申し訳ないんですが、この資料5、資料6は若干テクニカルな部分が多くて、わかりにくい部分があろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。
まず資料5でございます。「知的財産部門の分社化」でございます。1ページ目に書いてございますように、最近、会社分割等によりまして、知的財産部門を分社化して、親会社及びグループ会社の知財管理を一元的に行うケース、あるいはグループ企業なり特定の会社において知財管理を一元的に行うケースが増加してきております。
アンケート調査によりましても、知財管理について何らかの形で一元化することを予定していると回答した企業は全体で45%おりまして、具体的には本社に知財管理部門を設置して集中させる、あるいは、そういった機能を持つ会社を設置し集中させる等々ございます。
問題の所在でございますが、先ほど御説明した弁理士法75条において弁理士の専権業務を定めているわけでございますが、他人の求めに応じ報酬を得て云々をすることは弁理士しかできないと書いてあります。
企業がグループ会社の知財管理を一元化した場合に、その子会社または親会社等につきましては、法律75条との関係では、形式上は他人ということになりますので、法律75条との関係で、こういった知財分社を行うことが何らかの問題が生じるのかどうかというのが論点でございます。
2ページ目は、今御説明したことを細かく御説明しただけなので飛ばしまして、3ページ目の(2)にまいります。
弁理士法75条の解釈でございますが、基本的には、現状でできていることが、知財分社という、分社化形態の変更によってできなくなるということが不合理ではないかということでございます。具体的には1にございますように、分社内の知財部門に弁理士が在籍する場合、2で在籍しない場合に分けて検討が必要かと思っております。
まず弁理士が在籍する場合でございます。本社またはグループ会社の出願業務の代理につきましては弁理士個人を代理人として記載をすればよいのではないかということでございます。ただ、問題は、そのグループ会社以外の不特定の企業の特許代理についても認めるとなると、実質上、知財分社が不特定企業の出願を取り扱っているといったようなことにもなるのではないかということでございます。
そこに云々細かく書いてございますが、そうなると、弁理士法75条の趣旨に反することになるおそれがあるのではないかということで、弁理士が在籍する場合には分社の社員である弁理士がグループ会社の代理業務を行うわけでございますが、グループ会社の範囲を定める必要があるのではないかということでございます。若干の留保がその後の括弧に書いてございます。
2としまして、4ページ目でございますが、弁理士が在籍しない場合でございます。当然ながら、本社またはグループ会社の代理あるいは書類の作成を行うという形態をとった場合には、弁理士法75条の違反となるわけでございます。したがいまして、本社またはグループ会社自体が出願業務を行い、分社した知財部門内のスタッフがこういう出願業務の支援を行うということではないかと考えております。
4ページ目の一番下に書いてございますように、その場合の支援とは何かというのは、特許庁に提供する出願書類のドラフト作成等、特許事務所においても弁理士が補助者に行わせている業務内容という範囲にとどまるべきではないかと考えております。
他方、知財分社が不特定の企業の出願業務の支援まで行うことになりますと、弁理士法75条の趣旨等を考えると好ましくはないのではないかということでございまして、グループ会社の範囲を定める必要があるんじゃないかと考えております。
グループ会社の範囲はどういうところが合理的かということでございます。概ね我が国の既存の法制におきましては会社集団という定義がございまして、一の会社及び当該会社の子会社の集団に属する会社という規定がございます。この場合、子会社というのは、5ページ目に書いてございますが、大体の規定では、子会社、孫会社を含めて、要するに出資比率が50%以上である範囲というのが一番多い規定でございます。
ただ、それ以外にも出資比率が40%以上でも特定の場合、あるいは役員を派遣している場合とか、いろんな営業に対する支配権がある場合とか、そういう場合も子会社に含めるといった規定も若干ございますけれども、最も厳しい、かつ一般的なのが議決権の過半数50%以上を保有する場合ということでございますので、それと同じように考えるのが妥当ではないかと考えております。
この論点を要約いたしますと、7ページ目にございますように、知財分社の場合に、弁理士法75条の解釈について、弁理士が在籍する場合、しない場合、どういう整理を行うか。それから、グループ会社の範囲をどう考えるか。その上で、75条の趣旨から例外的に除外しなければならないケースが何かあるのかどうかということが論点になろうかと思います。
これにつきましては現在、必ずしも明確なルールはございませんので、今後、こういった審議会での議論等も踏まえて、特許庁の方で関係方面とも相談の上、何らかのガイドラインみたいなものをいずれつくっていくことはいかがかと考えております。
それから、資料6でございます。利益相反規定でございます。弁理士法では業務を行い得ない事件として、第31条という規定がございまして、1号から7号までございます。そのうち1号、2号につきましては、弁理士が一つの事件について、一方の側に立って関与した場合には、もう一方の側に立って関与することはできないですということが規定されております。
他方、3号でございます。2ページ目にございますけれども、弁理士が代理している事件の相手方から他の事件の依頼を受けることを禁止しております。これは関与した事件そのものではなく、関与した事件の相手方との関係に着目をして、禁止される業務を判断するという仕組みになっております。
問題点でございますが、一つ目は弁理士法の31条3号についての問題点でございます。3ページ目にチャート、図が上の方に書いてございますが、この3号の規定を簡単に言うと、例えば無効審判請求がBからAにされた場合、ある弁理士がA企業の無効審判請求を受ける方の代理を受けた場合、その場合にはBの側から新たな特許出願等の受任をしてはいけないということでございます。
ここで問題になりますのが、2ページ目の下の方に書いてございますが、新たに受けるのはだめにしても、当該事件、つまり無効審判請求が起きる前から既にBからの特許出願について受任をしていた場合、どう考えるかということでございます。
その場合にも、今までの一般的な理解としては、仮に今まで弁理士さんが出願だけ行った場合でも、無効審判請求が出されて、Aさんから代理を受けた場合には、Bさんから今後のいろんな審査請求であるとか、その他の手続についての代理を受任することはできないというふうに解されております。
ただ、ここについてはいろんな議論がございまして、既に受けているものについての手続は、出願から始まる一連の手続というふうに理解をすれば、既に受任しているものについては継続して受けてもいいじゃないかといったような議論がございます。
3ページ目の下の方、31条について別の議論がございます。弁理士業務固有の問題点。今御説明したのは当事者対立構造をとる案件を受けてしまった場合の問題点ですが、当事者対立構造をとらない弁理士業務に固有の問題がございます。すなわち、3ページ目の一番下にございますように、同一の技術分野または競争関係にある製品についての特許出願等を別々の依頼者から同一の弁理士がそれぞれ受任することがいいのかどうかという問題でございます。
これにつきましては、片方の企業の相当センシティブな情報を得て、競争関係にある別の企業のことを取り扱うことはフェアとは言いにくいんじゃないかといった問題があろうかと思います。
4ページ目の論点にまいります。細かいところは飛ばしますと、31条の3号につきましては、受任している事件の相手方からの依頼が他の事件と書いておりまして、事件という言葉についてどう理解をするのかということがあろうかと思います。事件とは、一般的には一つの発明にかかる手続の全般を意味しているというふうに理解されるのではないかということでございます。
6ページ目に、先ほどのチャートで、無効審判を受けた側のAさん、無効審判を出した側のBさん、これはもちろん入れかわり得るわけでございますけれども、それぞれの立場から見て、どういうふうな意見が想定されるのか。それから、弁理士さんから見て、どういう意見が想定されるのかというのを書いてございます。
そういったようなことを踏まえて、既に受任した後に当事者対立構造に入ったものについて、既に受任している案件についてのいろんな手続は引き続きやってもいいんじゃないかと、そこまで禁止するのは酷なのではないかといった意見があるわけでございますが、それについて、どう考えるか。また、それが31条の3号の規定で読めるのか、読めないのかといったことが論点になります。
それから、当事者対立構造をとらない業務について、7ページ目でございますが、現行の弁理士法では31条に規定はございません。弁理士会の弁理士倫理ガイドラインの中に例示として禁止されているわけでございます。
法律等において、これをきちんと禁止すべきか、あるいは弁理士倫理ガイドラインの中でもっときちんと禁止すべきかどうかということが論点になるわけでございます。こういう行為は問題じゃないかということについては、皆さん、問題であろうということはおっしゃるわけですが、逆に禁止を実効的にするとした場合に、同一の技術分野または競争関係にある製品かどうかということの範囲をどうとらえるのか。
それから、割り切って、仮に技術分野のIPC分類で決めた場合でも、代理業務の受任時点では分類は確定していないわけでございますので、どう考え得るのか等々、実質的には禁止すべきであると考えられるわけでございますが、明文のルールにするにはなかなか多くの課題があるということで、前回から積み残しになっているわけですが、これをどうするのか。
8ページ目に要約をしてございますが、利益相反につきましては、先ほど申し上げた無効審判の受任前から継続して受任している事件について、どう考えるか。それから、当事者対立構造をとらない業務の利益相反について、法律において禁止すべきかどうか、あるいは今よりはもう少し厳しい禁止規定を、法律でなくても設けるべきなのかどうかといったような点が論点になります。

中山委員長

ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御意見はございますか。

前田委員

利益相反についてお話したいと思います。
最近、大学発ベンチャーや、小さな企業が立ち上がってきております。しかし、バイオの分野では、弁理士の方が大変少ない状況です。このような場合、確かにコンペティターに相当する企業を受け持っていらっしゃる弁理士の方にお願いしたくないと思いながらも、現状は不可能です。ですから、明確に禁止をされてしまうと、頼むところがなくなるのではないかと思います。
あと3ページ目の図についてですが、例えば無効審判請求をB社からA社に対して行った場合、A社の別な発明に対して、今後、行い続けてもらうか否かについては、このような無効審判請求が行われた場合、弁理士の方がA社に告知をする。必ず告知を行うルールにして、今までの関係から分野が違うのでそのままお願いしたい、変えたいというのはA社に選んでもらう。
法律でくくるのではなくて、それを黙っているのではなく、A社に告知するというルールにできないのかと、考えてみました。

中山委員長

ありがとうございます。

戸田委員

知財部門の分社化と利益相反の問題は論点が異なるので、まず知財部門の分社化だけコメントします。基本的には、事務局の案に賛成です。ここ10年ぐらいの企業グループの劇的な変化は御承知のとおりでありまして、親会社の人数規模が数分の1になっていたり、半減していたりする会社も多いわけです。更に、連結会計ですとか、内部統制もグループで統一して行うとか、会社法などの改正もございまして、企業グループとしてのガバナンスが非常に大事になってきている。
そういう状況を踏まえて、今まで企業の一部門、一機関であったものが、グループの一つとなって別法人になったからといって、形式的に75条を適用するのはいかがなものかという気がしております。
グループの範囲をきちんと明確にした上で、知財の分社会社に従業員たる弁理士がいる場合、いない場合で整理をして、業務の範囲を分けていくという方向に基本的に賛成です。
確認的ではありますが、仮に親会社に弁理士がいた場合に、グループの会社の出願代理ができるということも明らかにしていくべきだろうと思います。
以上です。

中山委員長

三尾委員。

三尾委員

まず資料6の記載につきまして意見を述べさせていただいた上で、最後に書かれています論点に関して意見を述べたいと思います。
資料6の1ページ目ですけれども、弁理士法31条の規定を見ますと、弁理士は次の各号の事件については、その業務を行ってはならないというふうに規定されています。3号として、「受任している事件の相手方からの依頼による他の事件」となっております。
これに対しまして、事務局が書いていただきました整理によりますと、2ページの3行目ですけれども、弁理士が代理している事件の相手方から他の事件の依頼を受けることを禁止していると書かれておりまして、単に新たに受任することを禁止しているというふうに読めます。
ただ、これは業務を行ってはならないという書きぶりになっているわけですから、例えば従前受任行為がなされており、その受任行為時点が前であったとしても、その受任行為自体が継続している場合には、その業務を行うことはできないというふうに読めるのではないかと思います。
したがいまして、上記の結果として、新たに中間処理等を受けることは当然できないということで、現行法では禁止されているという前提になっているかと思いますので、書きぶりとしては、受任だけを禁止しているのではないと考えております。
それを前提といたしまして、もう一点なんですが、資料6の1ページ目です。弁理士法31条の趣旨ですけれども、ここに依頼者の利益保護と弁理士の品位保持という2点が、2段落目、3段落目でしょうか、その最初に書かれているんですけれども、さらに6行目には依頼者信頼保護と弁理士の品位保護というふうに書かれております。
私が考えますには、依頼者の利益保護ということと、弁理士の品位の保持という点と、さらには依頼者と弁理士との信頼関係の保護と、この三つが利益相反規定の趣旨ではないかと思います。その点だけ私の意見として述べさせていただいた上で、資料6の最後に書かれております論点に関して意見を述べさせていただきたいと考えます。
まず、資料6の3ページの図を参照していただきながら意見を述べさせていただきたいと思います。
この前提の事件としては、AとBの双方に関して弁理士が出願の依頼を受けているという前提のもとで、弁理士が出願したAの特許に関して無効審判の事件の代理を受任したということが前提になっていると考えます。その場合に、他の事件になるかと思うんですけれども、Bの出願は受けることができるかというのが論点1です。
これを考えるに際しまして、利益相反という概念がそもそもどういう趣旨で成り立っているのかという点を考えるべきではないかと思うわけです。先ほど申し上げましたように、利益相反の規定は当事者の利益保護と弁理士の品位の保持、それと弁理士と当事者間の信頼関係の保護という、この三つにあるわけなんですけれども、この事例に関して、もう一度、趣旨に立ち戻って利益相反の禁止規定に違反するかどうかという点を考えるべきだと思います。もちろん現行法では禁止されておりますが、これを拡大してもいいのかという点についても当該趣旨に鑑みて検討すべきであると考えます。
さらに、弁理士というものは弁護士と同じようにADRや特定侵害訴訟も担当できるという現状にあるわけですから、基本的には弁護士と同じ倫理や行動基準に立っていただかないと、弁護士としては同じ立場で行動することが難しくなってしまうということが弁護士の立場としてからの依頼になります。
さらに、事務局の整理では、当事者対立構造をとるか、とらないかということをメルクマールとして区別しているかと思いますけれども、この当事者対立構造ということのメルクマール自身は非常に不明確な点もございまして、実質的に考える必要性がある分野であるというふうに考えます。ですので、この当事者対立構造という文言で機械的に区分することは、法文上は好ましくないと考えます。
最後に、最終的に利益相反の禁止行為に当たるとしても、当事者の同意があれば許されるわけですから、先ほど前田委員がおっしゃいましたように、利益相反の禁止に当たるというふうにした上で、個別に当事者に同意を求めて、同意が得られれば代理をすればいいのではないかと考えます。
さらに付言したいと考えますのは、この前提となっております事例に関して、無効審判の事件の代理を受任できるというふうに前提されている点でございます。
無効審判の事件を代理できるということは、3ページの図からいきますと、Bに関する出願の業務が、相手方がいない当事者対立構造には該当しないので可能であるという取りまとめかと思うんですけれども、無効審判というのは明確にAとBの対立構造を有する形態になっておりまして、Bが明確に相手方であると、BとAは対立構造にあるということは、少なくともこの時点では明らかになっているかと思うんですね。
そして相手方という31条3号の文言は概念として広くとらえることもできるわけでして、先ほどの利益相反規定の趣旨から考えても、好ましくないということは明確ではないかと思うわけです。
実質的に考えて、AとB間で無効審判事件が継続している段階で、AとB両方に関して出願の代理を受けているという前提のもとで、Bを相手方とする無効審判事件を受任するということ自体が、当事者の利益保護や弁理士と当事者間の信頼関係の保護ということを考えますと妥当なのかということですね。非常に問題があるのではないかというふうに思います。
この点について弁護士はどうしているかということなんですけれども、弁護士法には直接な規定はなく、弁理士法の規定と全く同じ形態になってはいます。ただ、弁護士の場合は昨年新たに弁護士職務基本規定ができ、従前の弁護士倫理に替わりましたが、その弁護士職務基本規定の中で、このような行為は禁止されていると考えております。
条文をお持ちすればよかったんですけれども、弁護士職務基本規定の28条によりますと、受任している他の事件の依頼者または継続的な法律事務の提供を約している者を相手方とする事件は受けてはいけない、業務してはいけないとなっております。
当該規定によりますと、Bに関して継続的な出願行為をやっているという弁理士は、Aの無効審判事件につき、相手方云々とは関係なく受けられないということになっております。
これは当事者対立構造云々の問題ではなく、利益相反規定の趣旨からして受けてはいけないということで、同条の注釈には、現に受任している事件に限らず、具体的な事件は現実化していないけれども、顧問契約等を締結して継続的に法律事務を提供するものを相手方とする場合にも妥当すると書かれております。
このように弁護士は、利益相反に関してはストイックな形で業務を進めておりまして、単に対立構造をとる、とらないということではなく、当事者の信頼関係の保護とか、職務の品位を維持するという視点から規定をしてきているわけでして、弁理士さんの方も侵害訴訟も共同で行うことができるようになったわけですし、ADRに関しましては同じ土俵にいるわけでございますので、利益相反に関しても弁護士と同様にしていただきたく、再度ご検討いただければと思います。具体的には、利益相反に関してさらに厳しい規制といいますか、法律改正まではいかないとしても、少なくともガイドライン等で厳しく規制をしていただければありがたいと思います。
以上、長くなりましたけれども、終わります。

中山委員長

ありがとうございました。

戸田委員

利益相反について、三尾委員から御説明があり、私もそのとおりだと思っておりまして、そもそもAの無効審判事件を受けてはいけないんだと思います。
Bの過去分の出願に対して派生する手続を同意なしで継続できるということに関しても、私は問題だと思います。Aの立場であれば、Bの過去分の出願に対しても辞任してくれと言いたい。もし同意なしでできるという明文の規定があれば、当該弁理士は辞任しない可能性があるんですね。非常にもめると思います。そういう意味では、そもそも無効審判は受任するべきではない。Aの無効審判を受任したときにはBの仕事を全く失うという覚悟があれば受任すべきだと思います。
もう一つの論点である出願同士が利益相反に当たるかどうかということなんですけれども、これは大変難しい問題で、クライアントA、Bは業態が違うのにもかかわらず、だんだん似通ってくるところもありますので、今の運用どおり、弁理士会で定めているガイドラインに従って、疑義がある場合にはきちんと依頼者の同意を得るという運用が望ましいのではないかなと思います。以上です。

中山委員長

他に御意見はございますか。

清水委員

今、戸田さんがおっしゃったのと同じことですけれども、3ページの図の説例ですと、Aで無効審判の代理を依頼されて受けるところまでは問題なくて、その後にBの出願を受けていくことはまずいという書きぶりですね。
ですけど、お二人がおっしゃられたように、無効審判の代理を依頼してくるという時点で、このBからの出願業務を継続して明細書を作成する途中でA社の無効審判事件の代理を受けて、B社に対する反論を行っていくというのは、普通に考えて、そこで利益相反になるのはかなり明らかではないかと思います。設例はもう一つ先の事件を受けた後、さらにB社の従前からの出願の依頼を受けることができるかということだと思いますけれども、そもそも無効審判事件を受けること自体が問題ではないか思っております。
対立構造をとらないというところに関しても、A社とB社を両方受けた場合は、今後そういう利害対立が起きる可能性が高いということを覚悟しつつ、他方、多くの会社からお引き受けになること自体は、内部的な守秘義務を明確にすれば、差し支えないと思いますから、その後の紛争が生じた場合、自分は関与できないということを考えられて、複数の出願事務を受けられるのかなと思っている次第です。

相澤委員

今の点については、私もこの解釈は問題であると思います。三尾委員、清水委員、戸田委員の御指摘のとおりで、そもそも無効審判を受けることが利益相反にあたるではないかと思います。
現行法では、3号につきましては、依頼者の同意があればいいとしているので、問題がないと思います。個別に同意をとって処理すればよいと思います。
それから、対立構造をとらない業務につきましても、よく考える必要があると思います。A社もB社も、同じ人に頼んでいることを知らない状態ということを考えたときに、依頼者の利益を保護する必要があるのではないか、ということを考えなければなりません。そこには、情報のコンタミの問題もありますので、何らかの措置を図る必要があるのではないかと思います。
それから、分社化の問題について、75条は弁理士の業務を規定する非常に重要な条文でありますので、もしこの点で疑義が生ずるのであれば、例えば、施行規則とか何かで明確にするということも考えてもいいのではないかと思います。子会社がいいという解釈であるとしても、一体どこまで子会社か。
会社法等も施行規則等で、子会社を定義していいます。子会社はどこまでかということは、それぞれの法律の目的によって決定されるべきなので、明確にすることを考えた方がいいのではないかと思います。

中山委員長

ありがとうございました。
他に御意見はございますか。

神原委員

利益相反に関して弁理士の立場から、ちょっと申し上げたいと思います。
3ページのイラストなんですけれども、ここでAとBとの両者の発明を一人の弁理士が受けているという形が書いてあります。ラインのアイなんですが、実際には、この発明自体が相当違う世界のものと、全く技術分野が違って、通常であればコンフリクトは生じないという前提があって初めて、こういうことが成り立つというのが現状かと思います。少しでも無効審判の可能性があるということになりますと、実際には弁理士がそれを懸念しまして、「受けられません」というのが現状です。
しかしながら、アイ両方受ける場合もありますが、その先に破線のエというような無効審判事件の代理の依頼が来た場合には、これは選択になりまして、エを受けるか、あるいはそれまでB社から受けていた仕事を断念するか、どちらかの選択になろうかというのが現状です。そうしませんと、もちろん31条の規定に抵触すると考えております。
したがって、エを受けるのはけしからというのは、もちろんイを継続した場合にはけしからんのですけれども、現状ではそういうことをしていないというのが現在の弁理士の理解です。

中山委員長

ありがとうございました。
時間の都合もございますので、もしなければ、次に移りたいと思います。よろしいでしょうか。

日本弁理士会が提唱する新たな法定研修制度の骨子
弁理士法の定める弁理士の懲戒に関する規定について

中山委員長

弁理士会と相澤委員から意見が出ておりますので、まず、ごく簡単に神原委員から弁理士会の意見をお願いいたします。

神原委員

では、ごく簡単に申し上げます。
今日、提供させていただきました資料は、弁理士会が前回あるいは前々回に提唱申し上げました義務研修ということの内容を、少し具体的に明らかにしたいということで出させていただきました。
内容的には二つありまして、一つは弁理士試験合格者に対する登録前実務義務研修、もう一つは既登録者、既に登録になっている弁理士に対する義務研修となっております。ただ、この二つはあくまでもワンセットとして考えておりまして、個別に議論をしていただくということではなくて、一まとめのものとして議論をしていただきたいと思っております。
前者の方ですけれども、イラストがありますので見ていただきたいんですが、7ページですね、資料3というふうに図があります。これが今、私どもが考えております登録前研修というものの流れです。
ここで研修のところの真ん中に御注目をいただきたいんですが、どんな方法でやるかというと、eラーニング方式とスクーリングを併用することを考えています。科目的には50単位・100時間程度としております。としますと、1単位が2時間ということになりますけれども、その程度のもので、期間にしますと5カ月程度ということを考えております。費用につきましては、基本的に受益者負担。それから、免除につきましては、大幅に入ってくると思います。既に得ている知識あるいは実務経験を勘案して免除し、前回も申し上げましたけれども、実際に受講する者は、その年の合格者の半分以下というふうになろうかと思っております。
それから、効果確認ですけれども、これは厳しいものは全く考えておりませんで、各自、講習の終わった後にレポートを提出いただく、あるいは受講の要点の確認だけはさせていただくということを考えております。
時間がありませんので、2番目に行きます。既登録者の弁理士に対する義務研修。目的はもちろん登録後に年々変化してくるいろんな状況に的確に対応していかなければいけないという状況を担保しようというものです。
12ページにイラストがありますので、見ていただきたいんですが、これが今考えております既登録者の研修の流れです。ここも義務研修という仕分けの中を見ていただければおわかりのように、内容的には倫理と法改正その他の新たに加わってきた事項。方法としましては、これもeラーニングを考えています。スクーリングは難しそうです。eラーニングで処理したいと考えております。
それから、頻度ですけれども、登録から5年目、さらには、それから5年がたった時点と、5年単位で行えば足りるのではないかと考えております。
一つここで問題なのは、研修を受けなかった者をどうするかということです。一応考えておりますのは、勧告して研修を受けさせるようにし、そういう努力にもかかわらず、受けないという者については、例えば業務停止といった処分が妥当ではないかと考えています。ただし、この業務停止は現在の弁理士法上の懲戒の一つとしての業務停止というよりは、別途新しく業務停止制度を設ける必要があるのではないかと考えております。
簡単ですけれども、以上です。

中山委員長

相澤委員、ごく簡単にお願いいたします。

相澤委員

今回の議論の対象の中で懲戒制度の問題が出ていなかったので、簡単にメモをつくりました。
現行制度では経済産業大臣の懲戒という規定が32条にございます。他に、弁理士会の懲戒もあり、退会については経済産業大臣の認可を受けるという制度になっています。このように、懲戒が二重になっている点について検討する必要があるのかどうかという問題提起です。
具体的な問題として、現在は懲戒の範囲が戒告、2年以内の業務停止、業務の禁止という3種類です。新規の受任の禁止がなどの弾力的な措置が取られないことから、懲戒事例のなかで問題となりました。業務停止にすると、従来の依頼者の代理人がいなくなってしまうという議論が、工業所有権審議会弁理士分科会で出たことがあります。新規の受任の禁止などより柔軟な処分が制度の適正な運用のために必要であると思います。

中山委員長

ありがとうございました。前回、御審議いただきました弁理士試験研修制度についてと、ただいまの神原委員及び相澤委員からの御発言につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お願いいたします。

相澤委員

登録前義務研修を5カ月の長期にわたってやる、しかも効果確認も行うということは競争制限であるので、強制加入制度を競争制限的にならないようにすると説明して、平成12年の改正のときも強制加入制度を維持してきましたところ、登録前義務研修が競争制約的であるととらえられるおそれがありますので、登録前研修ではなく、登録後研修にしていただきたいと思います。

中山委員長

他に御意見はございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、今日のところは、この程度で終了したいと思います。

特許庁長官あいさつ

中山委員長

最後に中嶋長官から一言お願いいたします。

中嶋特許庁長官

座ったまま失礼いたします。
大変長時間、貴重な御意見ありがとうございました。
審議会というのは、当然ながら、結論も大事でございますけれども、プロセスが、それと同等もしくはそれ以上に大事でございます。それぞれの論点について、それぞれの時点で、同じ意見もあれば、違った意見もあるのは当然でございます。そういう意味で、本日も大変活発な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
私どもの問題意識としては、弁理士の仕事が出願人を支援するという、あるいは出願人の知的財産の管理を支援するということを通じて、知財立国を担うことにもなる。それから、国が創設する権利にかかわる仕事だと、あるいは民間当事者間の紛争処理にもかかわるといったようなことで、どうやったら質と量の両面において充実していけるような仕組みをつくれるだろうか。多様化するユーザー側の需要に応じた供給が行われるように、需要と供給がうまくマッチングして健全な競争原理が働いていくようにというようなことを念頭に、制度の設計を改善していきたいということだと思います。他方で、別の分野の士業を巡っていろんな社会的な問題も起きていることも事実でございます。そういう意味で、先々のことも考えながら、21世紀を担う立派な日本の弁理士制度をつくっていきたいと思っておりますので、今後とも、今日同様活発な御意見を審議会の場でもいただきたいですし、もし必要があれば書面で提出していただいても結構でございますので、引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

中山委員長

ありがとうございました。

今後のスケジュールについて

中山委員長

今後の委員会開催スケジュールにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

次回の委員会でございますけれども、皆様に事前にお伺いをしております9月19日火曜日の午前10時から予定させていただいております。よろしくお願いいたします。なお、本日、相澤委員からいただきました御提案につきましては、事務局の方で次回までにいろんな論点を整理いたしまして、また御議論を皆様からいただければと思います。それから、本日までフリーディスカッションということで、次回からは、今までいただきましたいろんな御議論を踏まえて少し論点整理をいたしまして、徐々に方向性を出していければというふうに考えております。それから、中嶋長官から申し上げましたように、どうしても時間の制約がございまして十分に言い足りない、あるいは今までの議論を聞いて、こういうふうに考えを持ったということもあるかと思いますので、いろんな御意見ございましたら、事務局にいただければ、各委員にはメール等で配付させていただきたいと思います。ただ、これから事務局の方でもいろんな作業をいたしますので、いろんな御意見ございましたら、できれば7月中ぐらいにいただければ十分に反映できるかと思いますので、よろしくお願いいたします。もちろん、これから9月、10月の場で新しい御意見をいただくのは全くウェルカムでございますけれども、今までフリーディスカッションの中では、これを言うのを忘れたとか何かありましたら、ぜひよろしくお願いをいたします。以上でございます。

中山委員長

ただいまのスケジュールにつきまして、何か御意見や御質問ありましたらお願いします。こういう手順でよろしいですね。

閉会

中山委員長

以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第3回弁理士制度小委員会を閉会させていただきます。
長時間にわたり、ありがとうございました。

[更新日 2006年8月4日]

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