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第3回弁理士制度小委員会 議事要旨

平成18年7月
特許庁

1.開催日時

7月12日(水曜日)午前10時00分~12時00分

2.審議内容

  • (1)特許業務法人制度について
  • (2)弁理士事務所の補助員について
  • (3)弁理士情報公開のあり方について
  • (4)日本弁理士会の強制加入制度について
  • (5)知的財産部門の分社化について
  • (6)利益相反規定(法第31条)について
  • (7)日本弁理士会が提唱する新たな法定研修制度の骨子(日本弁理士会提案)
  • (8)弁理士法の定める弁理士の懲戒に関する規定について(相澤委員提案)

3.委員からの意見

(1) 特許業務法人制度について

  • 現状では個人資産と業務資産を切り分けにくい。法人化すれば、切り分けやすく、合併が促進できると思う。将来、複数の弁理士が共同で事務所を立ち上げていくときによいのではないか。また、現状の無限責任制度が法人化を妨げていると考える。
  • 法人化する上での最大の問題は、無限責任制度である。そもそも、1専門性が分かれるのに、他の弁理士が起こしているものに対して責任を負うのは困ること、2出資能力がない者は尻込みしてしまうということがある。
  • 57という法人数は、総合サービスを提供できる体制を整備するという観点からは少なすぎる。使い易い環境を整えて、増やした方がよい。1人法人を認めると、果たして1人で総合的サービスが可能であるのか疑問である、矛盾すると思う。
  • 弁理士と顧客の信頼は、基本は人と人の信頼に基づいている。したがって、指定社員に責任を負わせることについて、顧客に重大な影響を与えるということはないのではないか。
  • 弁護士法では指定社員の有限責任制度を認めているが、弁理士法は、弁護士法の改正の前に法改正しており、このときには他の士業にはそういった制度がなかったため、この制度にしなかったという経緯がある。
  • 1人法人と無限責任制度を変える話は違う土台の話である。企業サイドから見ると、総合サービスや継続性の観点からは、法人化は賛成できる。ただ、現状、法人化するところが少ないのは、そもそも法人とすると仕事をする上で使いづらいからなのではないのか。

(2) 弁理士事務所の補助員について

  • 他士業でも、こういった話はされており、名義貸しの禁止は明記した方がいいと思う。
  • 我が国では、何か起こってから対処することが多いが、万が一の場合に備えて、名義貸しの禁止について明確な規定を設けておいた方がいいのではないか。
  • アンケート調査結果にあるようなひどい補助員はそれほど多くはないのではないか。名義貸しの話も承知しているが、名義貸しの禁止に集約した議論をするのは疑問がある。弁理士法第29条の信頼失墜行為の禁止への違反ということでもよいのではないか。それで足りるか否かも含めて議論してほしい。

(3) 情報公開について

  • 弁理士の専門分野については初めての人でもわかるように情報公開をきちんと行ってほしい。
  • 専門分野・技術分野は、弁理士としても自分のアピールにもなり得るのではないか。
  • 情報公開については、年齢よりも経験年数の方が重要であると思う。
  • 専門分野の実績については、情報公開すべきであるが、出願査定件数となると問題がある。例えば、大手の事務所では連名で行うところも多い。こういった件数は、弁理士が代理人として名前のあがっている公開公報の情報等から導き出す方がよいと思う。
  • 資料の別紙に公開すべき項目としてあがっている年齢(女性がいるため)と弁理士試験の選択科目(改正前の試験では単に得点しやすい課目をとっている者が多いため)は、はぶくべきだと思う。

(4) 強制加入制度について

  • 強制加入制度は、懲戒と表裏一体のものである。強制加入制度をなくすと、懲戒が十分にできないおそれがある。強制加入制度を維持しつつ、懲戒をきちんと行っていくのがいいと思う。
  • 競争制限的であるという指摘があったが、これは制度改正して増員をしてきていることで競争的になり、H14年の競争的にするべきであるという指摘は推進していると思う。

(5) 知財分社化について

  • 分社化については、基本的には事務局案に賛成である。最近は、グループガバナンスが重要になっているが、分社化して別法人になったからといって、形式的に規定を当てはめるのはいかがなものか。

(6) 利益相反について

  • 法第31条第3号は、同意があればいいとしているので、問題ないのではないか。
  • 弁理士は少しでも無効審判の可能性があれば、受任しないのが現状である。
  • 弁理士法31条が、「・・・その業務を行ってはならない」とされていることから、これは単に受任だけを禁止しているのではないと考える。そもそも31条の趣旨を考えると、この資料に記載のある1依頼者の信頼保護、2弁理士の品位保護の他に、3として、依頼者と弁理士の信頼関係の保護があると考える。弁理士は、ADR、特定侵害訴訟もやっており、弁護士と同じような立場の仕事をしていることから、利益相反についても弁護士と同じような倫理でやってほしい。法改正まではしないにしても、ガイドラインを策定する等、弁理士も弁護士と同じように厳しく規制してほしい。
  • ここでの無効審判をそもそも受けてはいけないと思う。過去分についても同意なしに受任するのは問題である。今の運用にある通り、疑義がある場合には同意を受けるようにした方がよいと思う。

(7) 「日本弁理士会が提唱する新たな法定研修制度の骨子」(日本弁理士会提案)及び8「弁理士法の定める弁理士の懲戒に関する規定」(相澤委員提案)について

  • 登録前義務研修と既登録者に対する義務研修は、一まとめにして議論してほしい。義務研修に対する処罰は、勧告し続けても未受講の場合、業務停止処分にするなども考えられる。
  • 処分として、新規受任の禁止をとれるようにした方が弾力的でよいのではないか。登録前義務研修は競争制限的であるので、強制加入制度の問題と絡んで問題となるのではないか。登録後研修にするべきではないか。

[更新日 2006年7月25日]

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