ここから本文です。
中山委員長 |
それでは、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会の第4回弁理士制度小委員会を開催いたします。 |
---|
中山委員長 |
それでは、まず事務局より配布資料の説明をお願いいたします。 |
---|---|
小林弁理士室長 |
それでは、配布資料の確認をさせていただきます。 |
中山委員長 |
過不足等、ございませんでしょうか。 |
中山委員長 |
それでは、早速、議事に入ります。 |
---|---|
稲垣秘書課長 |
それでは、資料1に基づきまして、資料1の1ページ目から6ページ目でございますが、弁理士試験制度の在り方について御説明をさせていただきたいと思います。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
相澤委員 |
論文式試験の科目としての条約に関しては、現実に条約に関する知識が不足しているという点について十分な検証がなされていないという状況で、現在の試験を変更する理由はなく、条約を新たに論文式試験の科目として加える理由はないと思います。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
吉田委員 |
ただいまの事務局の論点整理を伺いまして、全体的に言えばほぼ妥当な整理がされていると思いました。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
野坂委員 |
私も事務局の案を見まして概ね妥当だと考えました。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
坪田委員 |
私もこのまとめで方向性はいいと思います。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
大渕委員 |
まず弁理士試験の範囲、条約関係ですが、以前意見を申し述べたように、条約が重要であることは間違いないのですが、それをどのような形で試験するかという方法論についてはいろいろな可能性があるわけでありまして、以前に申し上げましたような論文式試験の性質という観点からいたしますと、これを論文式試験科目として行うのが妥当かという点については、やはり慎重に考える必要かあるのではないかと考えております。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
戸田委員 |
私も基本的に事務局の案には賛成です。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
神原委員 |
御説明いただきました点について基本的には異存ございませんが、一点だけもう少し詳細なデータがもしいただければと思うところがあります。それは、受験生の条約の解釈・判断レベルの問題なんですが、現在、第2回の小委員会の資料のとおり、それらが低下しているという結果は出ていないということなのですが、第2回の資料では平成17年度の商標の問題を取り上げて、その採点結果から他の科目と遜色がないということで低下はないというふうに結論づけられています。しかし、平成17年度の商標の問題を見てみますと、設問が3つございまして、設問1、2はまず条約には関係ないということが言えると思います。設問3に、並行輸入の問題が出てきまして、並行輸入と商標権の侵害の問題が出てまいります。そこで恐らく各国商標権の独立性の問題ですとか、あるいは属地主義の原則ですとか、そういった観点で条約が絡んでくるのであろうと思います。条約とはパリ条約ですが、もしそうであれば、採点に当たってそういったパリ条約の判断、あるいは解釈がどういうふうに反映されたのか、あるいは設問3の採点結果が他の設問に対してどうだったのか、そのあたりの比較が必要ではないかなと思います。ですから、いきなり商標問題全体の採点結果からこういった結論ということは多少飛躍があり過ぎるのかなというふうに懸念しております。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
澤井委員 |
これは若干お願いめいた話なのですけれど、今回、試験、研修の話をまとめて論点整理いただいたのですけれども、多分一番大事な前提は、弁理士とはどういうふうにあるべきかという理念的なことを整理して認識しておくべき点だと思います。その文脈の中で試験、研修、あるいは試験の免除等についてきちんと論を起こしていただいた方がいろんな意味で社会に対しても説明できるのではないかと思います。それに若干絡むのですけれど、いろいろ論理の展開を見ていると、例えば公認会計士制度がこういう試験や試験免除の設計になっているから、弁理士制度の中でもそのやり方を導入してもよいのではないかといったようなトーンで書いてあるのです。しかし、弁理士そのものが本来持っている職性あるいは使命または制度意義といった基本的な部分が、公認会計士制度が拠って立つ基本的な部分と違うところがあるので、同じ士業だからというだけであまりごちゃ混ぜにした議論にしない方がよいと思います。単に他の士業でやっているというだけの理由ではなくて、本来もっと弁理士の基本の姿についての議論をきちんと整理して、最終まとめのときには書き起こしていただきたい、というのがお願いでございます。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
中山委員長 |
次は、「弁理士研修制度の在り方について(論点整理)」の資料に基づきまして事務局から説明をお願いいたします。 |
---|---|
稲垣秘書課長 |
それでは、引き続きまして、同じ資料1でございますが、7ページ目から御説明させていただきます。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
谷委員 |
日本弁理士会としましては、質の担保という点から研修の義務化ということにつきましては賛成します。これにつきまして義務化ということはやはり義務の履行との関係から、会の中でのきちんとした処分等をすべきだというように考えております。公表、戒告、業務停止等いろいろな段階があると思いますけれども、これについてはまた後に検討していただくとしましても、義務化と処分の問題、会の処分の問題とは必ず表裏一体で検討すべきだろうと思っております。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
前田委員 |
研修が必要という意味では全く同意見です。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
野坂委員 |
私も研修の義務化には賛成です。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
神原委員 |
谷委員からも発言がございましたけれども、私ども日本弁理士会といたしましても既登録弁理士の義務研修と新人弁理士の義務研修、これらをいわばセットで行うというシステムをつくっていくことには賛成しております。これはぜひともお願いしたいと思っております。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
相澤委員 |
先ほど来お話がありますように、登録前で義務研修をして、さらに修了考査をすることになりますと、短答式試験をやって、論文式試験をやって、口述試験をやった上で、さらに研修を受けて、修了考査をすることになります。これは、試験の段階がもう1段増えるということになりますので、参入制限的な効果も強く、問題も多いのではないかと思います。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
大渕委員 |
まず先ほど弁理士会からもセットで云々というお話が出ておりましたけれども、事務局から冒頭説明がありましたとおり、研修としてはいわゆる新人研修と継続研修との2つがあるわけですが、これは2つとも重要でありまして、この双方を対象として、つまり、継続研修の方につきましてもこの審議会で具体的な内容について十分議論する必要があるのではないかとまず考えております。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
戸田委員 |
私も義務化には賛成なのですけれど、登録前か後かというのは、個人的には登録前の方がいいと思っています。しかし、今の研修をそのまま義務化するといろいろ問題があると思っていまして、1つは、大渕委員も言われた期間の問題です。ずるずると2カ月も3カ月も続くと、ここに書いてあるように、多くは企業や特許事務所に勤めていますので、何でそんなずるずるやっているのだという話が職場から必ず出てきます。研修に出していく立場から言いますと、ある程度短期に集中的にやっていただいた方が出しやすいですし、その方が力もつくのではないかと思います。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
谷委員 |
試験が難しいかどうかという話ですけれども、今回は先ほどの話ですと、試験は今よりももっと易しくなるわけですから、易しくなったところで免除は増えるわけで、やりやすくなる。その中で、現状よりも易しい、やりやすくなった状態で登録前の研修があっても仕組みを工夫すれば参入障壁にはならないのではないかというのが1つ。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
相澤委員 |
今の点ですが、任意加入にすると、会で研修を義務づけても意義がなくなるので、任意加入の場合は、行うのなら国が行うべきであるということになると思います。私は、登録後に日本弁理士会がその責任と自覚において研修を行うことが良いと言っていることの背景は、強制加入を前提としての議論です。強制加入制度を維持しつつ、その中できちんとやっていただくということがいいのではないかと思います。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
坪田委員 |
ユーザーの立場からすると、優秀な弁理士さんが出てくる方がいい。厳しければ厳しい方がいいんですけれども、私自身、個人としては入り口を厳しくすることに意味があるのかどうか、ちょっと疑問を持ちます。実際問題、谷委員が言われたように、知財立国を目指すなら、より厳しい試験と研修をセットにした資格をつくるべきだという御意見もありますけれども、むしろ知財立国を目指すならば、知財マインドを持った人間を増やすという意味からも、より身近な弁理士試験という、そういうことを目指すような人たちができるだけ多く出てくるような観点も必要ではないかと思っています。そういう意味からしますと、やっぱり日本弁理士会において責任を持って、管理、監督できるような、登録後の研修制度みたいな、そういった体制整備を、環境整備を図っていただく方が現実的になじんでいるような気がいたします。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
澤井委員 |
私も基本的には義務研修は賛成です。ちょっと教えてほしいんですけれど、研修を義務化するというところは、先ほど相澤委員もおっしゃった強制加入と研修義務化というのはセットで法律の中につくり込むという話になるというふうな理解でよろしいのでしょうか。 |
稲垣秘書課長 |
どういう形かは別にして、法律に規定をするということを考えています。 |
中山委員長 |
よろしいでしょうか。 |
吉田委員 |
私は個人的には事前の研修が望ましいと思っておりますけれども、先ほど谷委員から日本弁理士会としては、事前の研修でもかまわないというお考えがあるようなお話を伺いました。ただ、多くの方が懸念されているのは、それが参入障壁、参入規制にならないかということのようですが、その点についてはもう少しよく検討してみる必要があるのではないかと。もう少し本当にそうなのかどうか、何となくそうなる可能性もありそうだというのは私もわかりますけれども、もう少しきっちりした検討を踏まえて、その上で事前、事後の研修の在り方を考える必要があるように思います。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
谷委員 |
今の吉田委員からの御発言に関してですが、日本弁理士会の基本的スタンスは登録前の義務研修ということでして、ただし、両方を考えた場合に、登録後の義務研修の場合には強制加入との関係が出てくるということを指摘したということです。 |
中山委員長 |
どうぞ。 |
吉田委員 |
私は個人的には事前の研修が望ましいのではないかと申し上げたつもりですけれども、ただ、皆さんの懸念が参入障壁とかといった点にあるのであれば、その点をもう少しきちんと掘り下げて検討するべきではないかということを申し上げました。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
相澤委員 |
研修をして、修了考査をするということは客観的に参入障壁になることだけは明らかだと思います。三段階の上にもう一段階を課されるのですから、これが参入障壁にならないということはないと思います。 |
中山委員長 |
他にございませんでしょうか。 |
中山委員長 |
次は、「弁理士法に規定する業務について(論点整理)」の資料に基づきまして事務局から説明をお願いいたします。 |
---|---|
稲垣秘書課長 |
それでは、資料2に基づきまして御説明させていただきます。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
三尾委員 |
まず業務に関しまして、前回既に書面で意見を出しておりますので、詳細に述べるところではありませんが、特定不正競争に係る弁理士業務について付け加えさせていただきたいと思います。特定不正競争というのは、そもそも当事者対立構造を前提として、民法の不法行為にかなり似ている色彩を有する紛争であるということを看過すべきでないと思います。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
谷委員 |
最初に外国出願関連業務についてですけれども、今の推進計画においても、弁理士として期待されるのは国際競争力のある弁理士であるということです。日本弁理士会としても国際的な研修は以前から力を入れておりまして、新人研修においても外国の出願実務等についての研修も既に行っておりますし、他に継続研修といいますか、既登録の者に対してもいろいろな面で、例えばアメリカの特許法とか、ヨーロッパ、中国、韓国等の法律についても研修を行いまして、非常に多数の弁理士が研修に参加しております。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
相澤委員 |
前回の改正で、弁理士がいわゆる産業財産権四法以外の業務もできるようになったということが1つ前提としてあると思います。前回の改正以前であれば、産業財産権四法以外の法令については業務をすることができなかったわけでありますから、その前提であれば三尾先生がおっしゃったことはそのとおりだろうと思いますが、前回の改正におきまして四法以外の業務も可ということになったわけで、事情が異なるのではないかと思います。 |
中山委員長 |
それでは、三尾委員。 |
三尾委員 |
先ほどの点で、まず問題が生じているのかという問い合わせなのですけれども、具体的にどうかということに関しましては、取り立てて大きな問題になっているというようなことまではちょっと把握しきれていない状態です。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
前田委員 |
外国出願関連業務についてですが、現在も業務として行っているので、あえて加える必要はないのではないかという意見もありますが、標榜業務にしたことによる大きなデメリットがないのであれば、標榜業務にすることによるメリットというものは確実にあると思いますので、私は標榜業務にしていただいた方がいいと思います。ユーザー側としてはこれから外国出願がどんどん増えていきます。標榜業務にすることによって、弁理士会さんの方で研修が増えたり、質の担保をしていただくということがどんどん増えていくことが予想されますので、大きなデメリットがないのであれば、ぜひとも標榜業務にしていただいて、質を高くしていただくということにしていただけたらと思います。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
戸田委員 |
同じく外国出願関連業務ですけれど、外国出願という表現が適切かどうかという議論があると思います。地域や共同体への出願もあるわけで、この場合、どう定義するかというのは難しいのでしょうけれども、工夫の余地があると思います。弁理士の方でやっておられる仕事というのは単なる補助者ではなくて、我が国で生まれた知的財産を国外できちんと権利化していくための非常に質の高い、付加価値の高い仕事です。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
神原委員 |
まず外国出願関連業務なんですが、この言葉につきましては、以前も申し上げましたように、非常にわかりにくいところもございますし、また適切でないと思われますので、何か別の言葉に置きかえたいという意向を持っております。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
坪田委員 |
外国出願関連業務ですが、これはだれでも行うことが可能な業務で、それを弁理士法に標榜業務として掲げる。標榜業務として掲げる程度ならば、その他の人たちが行うことに影響を与えないのであれば、メリットが大きさそうなので、できれば標榜業務として入れていただいた方がいいのではないかと思います。 |
中山委員長 |
谷委員、どうぞ。 |
谷委員 |
特定侵害事件に係る訴訟代理権についてですが、私も現状でこの話は時期尚早だろうと思っております。これから裁判所で、今裁量で単独出廷も認められる状況ですけれども、そういう弁理士が増えたり、社会がやはり弁理士が単独で代理すべきであるとか、弁護士さんもそういうことに対して十分理解があるというふうに、弁理士が十分な経験を持った上でそういう話が出るならばいいと思います。我々としてはもちろんこういう夢は持ちますけれども、現状では時期尚早だろうと考えております。 |
中山委員長 |
それでは、清水委員、どうぞ。 |
清水委員 |
今、谷委員がおっしゃられたことと同じですけれども、特定侵害訴訟の単独代理という問題については、現状では難しいという御意見のとおりだと思っております。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
澤井委員 |
私は外国出願を標榜業務にする件については、規定するようにした方がいいのではないかという感じがいたします。これは多分皆さんの御意見と一緒です。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
相澤委員 |
外国出願関連業務については、反対というわけではないんですが、外国出願関連業務を日本の弁理士法に規定するというというのは、法令上他に例がなく、それには理由があると思われるので、それは避けていただきたいと思います。先ほど、神原委員から御提案がありましたように、現行法の枠内で規定していただければ良いのではないかと思っています。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
中山委員長 |
それでは、この3つのテーマの論点整理につきましてはここで一通り終了させていただきまして、次に、前回御提案のございました「弁理士の懲戒制度等の在り方について」の資料に基づきまして事務局から説明をお願いいたします。 |
---|---|
稲垣秘書課長 |
それでは、資料3に基づきまして簡単に御説明いたします。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
谷委員 |
日本弁理士会の方から会員の処分等の手続のフローチャートを本日緊急でお配りしていただきましたけれども、これはお時間をいただいて説明した方がよろしいでしょうか。それともこのフローチャートだけでよろしいですか。 |
中山委員長 |
時間がないので、見ればわかるのではないかと思いますけれど、特に説明すべき点がございますか。 |
谷委員 |
一番上に「紛議調停の請求」「苦情の申立て」「処分の請求」とありまして、それに対応するために紛議調停の委員会、それから綱紀委員会、さらに審査委員会、こういうものがありましたけれども、本年度からコンプライアンス委員会というものを設置しまして、問題に対して迅速に的確に対応しようとしております。それから、もう1つは、不服審議委員会ですけれども、これを本年度設けまして、不服申し立てをできるようにしております。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
澤井委員 |
データでよくわからないところがあるのですけれど、例えば2ページの懲戒の実績のところで、他の士業に比べて懲戒の実績が著しく少なくて、実際にはもっとあるのではないかといったようなニュアンスを割と断定的に書いているような感じがします。しかし、仕事の性質上、懲戒すべきなのはもともとこの程度でしかるべきだとか、そういう見方はないんですか。ちょっとそこのデータの読み方がわからないのです。数字上は確かに違うというのはわかるんですけれど。 |
稲垣秘書課長 |
厳密に言えば、おっしゃるとおりだと思います。ただ、これは役所自身の反省も含めて、それぞれ各士業ごとにもちろん行っている業務が違うのですけれども、弁理士だけ懲戒に当たる事由が他のすべての士業と比べて圧倒的に少ないとも思えないんですね。したがって、やはり少ないのではないかなということでございます。 |
澤井委員 |
ここに書けない事情で、何かある程度実際にいろんな案件で日本弁理士会さんの中で議論している案件があるのだけれど、最終的にここに言っているのが少ないということか、何かそういう前提で書かれているんですか。 |
稲垣秘書課長 |
1つは、例えば参考資料の3-4を御覧いただくと、戒告11件というのがございますけれども、日本弁理士会の処分事由ですね。これは中を御覧いただくと、特に上の方は本当にこれは戒告でいいんだろうかなというふうに普通の人は思うと思うんですね。これが戒告で済んでいるということは、具体的には言えませんけれども、これは手前の事案は何も処分されないわけです。これは役所でも同じで、先ほどから申し上げているように、他の士業であれば一般的には処分に値するようなことも、今までいろんな事情の中で必ずしもやられてこなかったのではないかなという部分もございますので、きちんと基準を明確化して公表しましょうということでございます。 |
澤井委員 |
わかりました。 |
中山委員長 |
他に何か。 |
相澤委員 |
平成16年の戒告まで特許庁による処分は何年間なかったんでしたか。 |
稲垣秘書課長 |
50年ぐらいです。 |
相澤委員 |
これは他の士業に比べて明らかに少ないと思います。そういう問題がなかったかというと、新聞紙上に出た問題もありましたので、処分が行われてこなかったということになるのだと思います。これは適正化した方がいいということで、平成16年、18年に処分が行われたということだと思います。法を遵守していこうという趣旨ではないかと思います。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
野坂委員 |
他士業に比べて不正行為が少ないというのは大変喜ばしいことだと思いますけれども、先ほど秘書課長の話で若干気になったのはワークしていないかもしれないという御発言がございましたけれども、そういうような懸念は役所側も何か認識されているのですか。 |
稲垣秘書課長 |
非常に答えにくい御質問なのですが、やはり懲戒制度ですので、審議会における懲戒部会というのを何回か開かなければいけないわけです。したがって、あらかじめ先ほど申し上げたように、もう少しそういうのを円滑に開けるような体制整備する。あるいは役所側でもやはり基準をあらかじめ明確化しておかないと、不利益処分である以上、あらかじめ出している基準に違反したから不利益処分をしますよというのはわかりやすいのですが、基準も出さずにやるのは、なかなかやりにくいので、その体制の整備が必ずしもきちんとできていなかったのではないかという反省点はございます。 |
野坂委員 |
それに関連してですけれど、やはり不正行為に対する処分というのは明確であること、そしてまた一罰百戒ではないけれども、ユーザーにもわかりやすく示すもの、そして再発防止に役立てる。そういう側面もあると思います。今課長がおっしゃられたように、やはり基準は明確にして、オープンにしていく。これが非常に重要なことだと思います。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
三尾委員 |
そうですね。弁護士会の方は日弁連が出しています機関誌があるのですが、そこに必ず懲戒実績が載ります。懲戒された事案の概要とその理由についても載りまして、それが毎月送られてくるのですけれども、一番最初にそこを見るというのが大体弁護士の実情です。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
神原委員 |
懲戒の種類の新設なんですが、私も現在の懲戒の種類にさらに別途のものを増やすことに必ずしも反対ではございませんが、ただ、その原因となりますのが、業務の停止、あるいは業務の禁止というところに至るに当たっては、やはり法令違反でございます。これは相当重大な違反でございますので、それをきちんと処罰することがまず第1だろうと思います。 |
中山委員長 |
どうぞ、相澤委員。 |
相澤委員 |
実際には処分を決定する委員会におきましては、出願人に対する影響ということを全く考えないというわけにはいかないということです。私が提案申し上げた理由は、詳細な分科会の内容は非公開ですけれども、適正な処分をするために必要ではないかということです。業務停止と戒告しかないという二者択一になると、一定期間の業務停止にすべきなのだが、出願人がみんな困ると言っているのに、どうするのだということが実際は議論になってきます。そこで、けしからんことをしたんだから処分はするけれども、今いる出願人が困らないようにしてくださいということも考えてあげなければいけないのではないかと思います。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
澤井委員 |
三尾委員に御質問ですけれど、弁護士会の場合には懲戒を弁護士会の中でやるとき、ある種の基準なり、運用みたいなものはオープンになっているんですか。 |
三尾委員 |
オープンにはなっていないです。今まで積み上げた事例や基準というのはなかなか難しくて、明確な基準が立っているわけではなくて、個々の事案で判断しているという状態です。ただ、似たような事案で実績として積み上げたものがありますので、それを整理して、公表はしなければいけないなというような認識はありますので、今作業中というようなことなのではないかと思います。 |
澤井委員 |
それに絡むのですけれど、先ほど処分を受けた人は弁護士会の会報では見られるけれど、我々一般ユーザーは見られないというか、知り得る手だてはないんですかね。先ほど5ページのところにも会員の処分については日本弁理士会も既に機関誌には掲載しているとありますが、多分一般ユーザーが知る手立てはないのでしょう。ユーザーから見ると、そのような情報を知りたいと思うことがあります。例えば、私の経験でも、売り込みに来た弁理士さんと称する人がいて、実はその方が処分を受けていたというのが後でいろいろ調べてみたらわかったということがありました。そのような情報を知るルートが全然ない場合に、そういうものをここの |
三尾委員 |
現段階では官報に載るということもありませんし、ホームページ上で公開しているということもありません。一般ユーザーには公表されていませんが、問い合わせをすれば教えてもらえるのではないでしょうか。ただ自動的に公表するということにはなっていないかと思います。 |
中山委員長 |
どうぞ、清水委員。 |
清水委員 |
裁判所が一般のユーザーと言えるのかどうかわかりませんが、私どもも必要がありまして、日弁連の機関誌「自由と正義」の懲戒処分の欄を拝見しているのですが、処分が終了した過去の履歴になりますと、弁護士会に電話をして尋ねても個人情報との関係で教えてもらえないという扱いだと思います。ですから,自分たちのデータベースでもつくらないと,過去の懲戒歴はわからないわけです。 |
中山委員長 |
ありがとうございます。 |
谷委員 |
会員向けに「JPAAジャーナル」というものがありまして、その話だと思います。もう1つ、「パテント」という雑誌があります。これは一般の方も購読できるのですが、それではなくて、会員向けの機関紙の「JPAAジャーナル」というものだと思います。 |
中山委員長 |
他に御意見ございませんでしょうか。 |
中山委員長 |
それでは、最後に中嶋長官から一言お願いいたします。 |
中嶋長官 |
まだ議論の途中ですから、締めてということではありませんので、今回も前回同様大変充実した活発な御意見をいただきましたので、こういう御意見も踏まえながら次回以降だんだん全体の方向性を出していくように努めたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 |
中山委員長 |
ありがとうございました。 |
小林弁理士室長 |
次回の委員会でございますが、事前に委員の皆様にスケジュールを伺っておりまして、次回は10月20日の金曜日、午前10時から開催させていただきたいと思います。 |
中山委員長 |
今の説明でよろしゅうございましょうか。 |
中山委員長 |
以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会の第4回弁理士小委員会を閉会とさせていただきます。 |
---|
[更新日2006年10月11日]
お問い合わせ |
特許庁総務部秘書課弁理士室 |