第4回弁理士制度小委員会 議事要旨
平成18年9月
特許庁
1.開催日時
9月19日(火曜日)午前10時00分~12時00分
2.審議内容
- (1)弁理士試験制度の在り方について(論点整理)
- (2)弁理士研修制度の在り方について(論点整理)
- (3)弁理士法に規定する業務について(論点整理)
- (4)弁理士の懲戒制度等の在り方について
3.委員からの意見
(1) 弁理士試験制度の在り方について(論点整理)
- 条約の知識が重要なのは間違いない。(条約の知識を見るために)短答式に加えて論文式まで行うことが妥当かどうかは慎重に検討すべきである。
免除については、波及効果を見つつ、検討すべきと考える。
- 平成12年の改正には若い弁理士を増やすという趣旨があり、条約についてのレベルを維持する研修を行うことを前提に、現行のままでいいのではないか。また、次回以降の試験免除について、公認会計士試験は2年だが、弁理士試験も同様に考えるかについては慎重に検討すべきである。
- 条約については、合格者に知識が不足しているという確証がなければ、復活は難しいのではないか。
会計専門職大学院は、文部科学省の設置認可の時に既に公認会計士試験の一部免除を想定したものであったが、知的財産専門職大学院は設置認可の際に弁理士試験の免除を想定していなかった。また、いったん、免除対象とする知的財産専門職大学院を指定すると、取り消すことは困難であり、取り消すことになった場合、卒業生や在学生の扱いをどうするのかという問題が生じる。さらに、試験科目の免除を認めると、試験免除を目的とした知的財産専門職大学院が設置されるおそれもある。一方、法科大学院について試験免除を検討するならば、他の専門職大学院についても認めないと整合性がとれないのではないか。
また、選択科目の免除については、現在、大学院で専門研究が数学では免除認定を受けることができないが、暗号特許等、知的財産権に関するものもある。免除科目を整理する際には理科系科目も含めるよう整理した方が良い。
- 知的財産専門職大学院の卒業者はまだ出ておらず、卒業生の能力はわからない。専門職大学院についての試験科目の免除は、必要に応じて詳細に検討されるべきであるが、弁理士試験の受験者は1万人を超えており、運用上の観点からも、慎重な議論が必要と考える。
- 受験生の条約解釈のレベルが低下している結果が出ていないという点については、事務局側が提示した商標の論文試験問題についてのデータのみでは結論づけられないと考える。
- 最終報告では、本来、弁理士がどうあるべきかという観点から試験制度の見直しの議論を起こしてほしい。
(2) 弁理士研修制度の在り方について(論点整理)
- 弁理士の質の担保は重要であり、研修の義務化については賛成である。研修の未受講者に対する処分は、義務化と表裏一体の関係にある。新人研修については、登録前であれば、国の管理の下で研修制度の設計、実施を行い、登録後であれば、日本弁理士会が強制加入制度を維持した上で、研修の履修義務、未受講者に対する処分を行っていきたい。
- 研修の義務化には賛成であり、新人研修は登録直後の研修として、受講履歴の公表により受講率を上げていくのが望ましいのではないか。弁理士試験合格者には、特許事務所や、企業勤務者が多く含まれているものの、必ずしも実務を経験しているわけではないことから、登録直後の新人研修では研修開始前に免除を受けたい科目の試験を行い、客観的に実務能力を判断すべきではないか。
- 新規の試験合格者と既登録者の双方を対象として議論すべき。参入障壁にならないようにするには、どうすべきか。研修期間、修了認定などの負担との関係について具体的な検討が必要。また、既登録者についても、研修の具体的内容を提示すべき。
- 研修の義務化は賛成。個人的には、登録前が望ましいと考えている。仕事をやりながらでは期間の問題があるので、短期集中が望ましい。内容は、実務に絞ったものにすべきである。
- 難しい試験に合格した後に、更に研修を登録時の要件とすることは、参入障壁にあたるのではないか。登録前であれば国が関与すべきであるが、官から民へという時代の流れの中にあって、研修の実施は民である日本弁理士会が行うべきであるとするのであれば、登録後の研修が望ましい。
- 既登録者と新人の研修はセットで考えている。登録直後に研修を行う場合、未受講者への対応については、氏名公表、業務の停止などで迅速に対応していきたい。
- 登録前研修は、試験にさらにハードルを増やすものであり、問題である。研修は、強制加入制度を維持しつつ日本弁理士会が行うべきであり、法律上の権限が不明確であるというならば、法律に明記すべきである。
- 試験制度が免除対象の拡大などで易しくなっていく傾向にあるならば、登録前の研修でも参入障壁にならないのではないか。登録前だと、研修制度の設計、運営が国によって行われることから、知財立国構想にも当てはまるし、韓国も登録前の研修制度である。他方、登録後だと強制加入制度を維持していくための理屈付けになる。
- 登録前研修を行う必要性があるのであれば、顕著な問題事例が明らかになっていないといけない。
- ユーザーの立場からすると、登録前の研修であまりに入口を厳しくするのは疑問である。むしろ知財マインドを持った人が身近に増えて、弁理士試験を受験するようになってくれることの方が望ましい。登録後で、弁理士会が管理・監督できる方が現実的ではないか。
- 登録前の義務研修でも良いと考える。要は、何が参入障壁や参入規制となるかの具体的な検討を行う必要がある。
(3) 弁理士法に規定する業務について(論点整理)
- 外国出願関連業務については、知的財産推進計画2006でも、国際競争力のある弁理士を求められていることから、標榜業務にするべきと考える。弁理士法に規定することで、日本弁理士会も指導監督がしやすくなる。また、日本弁理士会は、以前から外国の特許法等についての研修にも力を入れて行っている。また、「外国出願関連業務」という言葉が、法律用語としてふさわしくなければ、内容をふまえた用語に変えてもらってもよい。
- 特定不正競争は法律紛争であり、あくまで当事者対立構造をとるものである。10号・11号も法律論が絡み、一概に技術の知識があれば良いとは言えない。13号は、一見、商標となじみ深いように見えるが、食品衛生法等の他の法律にも絡むものである。14号は前回意見を提出した通り。15号も商標に関するものだが、検討すべき点は、代理人か否か、正当な判断か否かである。水際の輸入者側の代理や訴訟の単独代理も同様であり、弁理士には認められないと考える。弁理士は技術のエキスパートとして重要であり、その領域を深めていただきたい。
- 水際のところは、バランスをとるという意味で、輸入者側の代理権も入れてもいいのではないか。
- 弁理士はADRの単独代理ができるのが前提であるため、特定不正競争においても弁護士と共同代理だから良いのではという事務局案は当たらないと思う。
また、水際における輸入者側の代理は、現段階ではまだ手続がかなり流動的であり、制度として十分に事例が蓄積していない。したがって、輸入者側の代理を入れることは時期尚早であり、もう少し様子を見てからでもいいのではないかと考える。
- 外国出願関連業務については、標榜業務にする大きなデメリットがないのであれば、質を高めるという意味でメリットはあると思うので弁理士法に入れた方が良いと思う。
- 外国出願関連業務は単なる補助者的な業務ではなく、それにより付加価値が生じるものである。ユーザーからはいくつか問題があると聞いており、実態として90%以上の手続きを弁理士が行っていること、日本弁理士会がミニマムな監督を行うという意味でも標榜業務にした方が良いと思う。特定不正競争、水際のところは、時期尚早な気もするが、他の法律とのバランスを考えて広げてもいいのではないか。
- ADRは弁理士が単独代理で行うようにも見えるが、実際には、特定不正競争と同様、弁護士との共同で行うものと考えている。
- 単独代理は時期尚早。特定不正競争については、件数が少ないので弊害もない。扱っている弁理士も数十人しかいないので何とも言えないが、14号については入れてもいいのではないか。水際の輸入者側の代理は、弁理士業務に入れることに賛成である。外国出願関連業務は標榜業務にすることは十分可能と考える。
- 外国出願関連業務は、質を上げていく観点で標榜業務にした方が良い。
- 外国出願関連業務を標榜業務にすることは反対ではないが、他の法令で例がないことから、規定をどうするかについては工夫していただきたい。
(4) 弁理士の懲戒に規定する業務について(論点整理)
- ユーザーにわかりやすく、再発防止のためにも基準を明確にし、オープンにしてほしい。日本弁理士会は、会員の処分について公表していないということだが、しっかり公表するべきである。
- 懲戒の種類を新設することには反対ではない。また、弁理士の法令違反は重大であるため、違反に対してはきちんと懲戒すべきである。出願人にとって不利益に繋がるということもわかるが、それをもって新規業務の受任禁止という比較的軽い処分を行うというのはいかがなものか。出願人に生じた不利益の救済については、期間の延長など別の手段が考えられるのではないか。
[更新日 2006年9月25日]
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