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第5回弁理士制度小委員会 議事録

開会

中山委員長

時間でございますので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会の第5回弁理士制度小委員会を開催いたします。
御多忙中、御出席賜りましてありがとうございます。
審議に入ります前に、特許庁側出席者に異動がございましたので、事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

それでは、御紹介させていただきます。9月30日付で野澤前総務部長が退官いたしました。代わりまして、今回から村田新総務部長が出席させていただきます。
以上でございます。

中山委員長

では、早速審議に移りたいと思います。
前回に引き続きまして、今回も検討項目の論点整理を行っていきたいと思います。
そこで、本日は第3回委員会で御審議をちょうだいいたしました弁理士事務所の在り方といたしまして、1、特許業務法人制度、2、弁理士事務所の補助員について、それから日本弁理士会に係る問題といたしまして、3、弁理士情報の公開、4、日本弁理士会への強制加入制度について、それから弁理士法の運用に関しまして、5、知的財産部門の分社化、6、利益相反規定について、さらに前回の委員会で御審議いただきました7、弁理士の懲戒制度等の在り方につきましても論点整理をしてまいりたいと思います。また、8、弁理士研修制度の在り方につきましては、前回各委員から多くの御意見をちょうだいいたしましたので、これらを踏まえまして事務局で論点整理をしていただきましたので、これにつきましても審議をちょうだいしたいと思います。
本日は検討項目が多岐にわたっておりますので、議事の進行によろしく御協力をお願いいたします。

配布資料の確認

中山委員長

それでは、まず事務局より配布資料の説明をお願いいたします。

小林弁理士室長

配布資料の確認をさせていただきます。
「議事次第・配布資料一覧」をおめくりいただきまして、まず資料1、「特許業務法人制度について(論点整理)」、でございます。
資料2「弁理士事務所の補助員について(論点整理)」、でございます。こちらには別紙1としまして、2003年の弁理士1人当たりの特許出願件数一覧をつけてございます。それから、別紙2としましては、「特許庁審査・審判官と弁理士、事務所員との応対について(案)」、案をつけてございます。また、参考資料2-1といたしまして、「審査部及び審判部「弁理士・事務所員の実務に関する状況調査」票」をつけてございます。
続きまして、資料3、「弁理士情報の公開について(論点整理)」、でございます。別紙としまして、「義務的記載事項として公表すべき項目」一覧をつけてございます。
資料4、「日本弁理士会への強制加入制度について(論点整理)」でございます。参考資料といたしまして、「規制改革・民間開放の推進のための重点検討事項に関する中間答申」より抜粋をつけてございます。
資料5でございます。「知的財産部門の分社化について(論点整理)」、論点整理でございます。別紙といたしまして、「経済産業省告示(案)」をつけてございます。
資料6、「利益相反規定について(論点整理)」、でございます。
資料7、「弁理士の懲戒制度等の在り方について(論点整理)」、でございます。こちらにも参考資料7-1といたしまして、「規制改革・民間開放の推進のための重点検討事項に関する中間答申」の抜粋をつけてございます。
資料8、「弁理士研修制度の在り方について(論点の再整理)」、ペーパーでございます。こちらには参考資料8-1といたしまして、「海外の弁理士制度の状況及び他の士業における状況」をつけております。さらに、別紙1といたしまして、「弁理士に対する登録後義務研修のシラバス」について、同じく別紙2といたしまして、「登録前義務研修のシラバスについて」をつけてございます。
資料9、「弁理士試験免除に関する要望書」をつけてございます。
以上でございます。

中山委員長

過不足はございませんでしょうか。
よろしいですね。

特許業務法人制度について(論点整理)
弁理士事務所の補助員について(論点整理)

中山委員長

それでは、早速議事に入ります。
初めは、弁理士事務所の在り方に関しまして「特許業務法人制度について(論点整理)」及び「弁理士事務所の補助員について(論点整理)」の資料に基づきまして事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

それでは、お手元の資料1及び資料2に基づきまして手短に御説明させていただきます。
まず資料1の特許業務法人制度でございます。
1ページ目、現行制度の概要につきましては、御案内のとおり、平成12年の弁理士法改正におきまして、それまでの個人事務所の経営形態に加えて創設されました特別な法人制度でございます。これは社員が弁理士2人以上で、全社員が無限責任を負うという制度になってございます。6月末現在で、法人数は57にとどまっておりまして、その利用が必ずしも十分に進んでいないという現状でございます。
3、論点にまいりますが、大きく2つございまして、1つが、いわゆる指定社員無限責任制度の導入についてでございます。弁護士法人、監査法人と同様に、ある特定の業務について、それを遂行する社員のみが指定されて無限責任を負い、それ以外の社員は有限責任とする制度についてどう考えるか。
2ページ目にまいりまして、仮にそういう制度を導入するとした場合に、顧客保護の観点からのディスクロージャー、また損害賠償責任保険等についてどう考えるか。
それから、(2)といたしまして、一人法人制度、すなわち弁理士さん1人でも特許業務法人をつくれるという制度にするかどうかということでございます。
4、議論の整理といたしまして、(1)指定社員無限責任につきまして、今までいただきました委員の皆様の御意見といたしましては、お読みいただければおわかりのように、概ねその方向でいいのではないかという感じの御意見をいただいております。
他方、3ページ目の(2)にまいりますと、一人法人制度につきましては、一人法人を認めると、1人で総合的なサービスが提供できるのかが疑問といったような御意見もいただいておりますし、他方、法人化しないと、事務所と個人の資産が分離されないのではないかと、そういったような御意見もいただいております。
4ページ目の対応の方向でございます。
(1)指定社員無限責任制度につきましては、ここに書いてございますように、現行の制度のままでは、特に法人が大規模化していけばいくほど、他の弁理士の業務責任まで負わされるということになりますので、やはり抵抗感が強いということで、特許業務法人化が進まないことの一因となっているのではないかとも考えられます。
もともと平成12年の改正時では、こういったような制度につきましては、他の士業も無限責任制度を採用していたわけでございますが、その後のさまざまな議論の中で弁護士法人や監査法人において指定社員制度が導入されているといったような状況がございます。そして、現在、特許業務法人の平均所属弁理士数が6名程度であるような状況等を考えると、これは導入していく方向で検討していくことが妥当ではないかというふうに考えられるのではないかと思われます。
なお、先ほど申し上げましたように、6名程度ではまだ資産規模が乏しいということもございますので、すぐに制度化するかどうかは別としても、財務諸表や、あるいは賠償責任への加入状況等の情報開示を義務化するのか、あるいはなるべくディスクロージャーすべきであるということだけにとどめておくのか等についても今後議論が必要ではないかというふうに考えております。
引き続きまして、一人法人制度でございます。
これは、顧客への継続的な対応を図るべきであるというのがもともとの設立趣旨でございまして、この趣旨からは外れるのではないかということでございます。他方、弁護士につきましては一人法人が認められております唯一の士業でございますが、これはいわゆる弁護士事務所の多くが1人の経営弁護士が勤務弁護士を雇用する、いわゆる親弁といそ弁という関係のものでございまして、そういったような実態を踏まえて導入されたものですので、7割が一人事務所である弁理士とは状況が違うのではないかということでございます。
したがいまして、本件につきましては、現時点ではまだ時期尚早ではないかということで、引き続き弁理士事務所の実態や他士業における状況等に注視しつつ、今後の課題として検討していくべきではないかということであろうかと思われます。
引き続きまして、資料2の弁理士事務所の補助員の論点でございます。
現行制度におきましては、1にございますように、いわゆる弁理士法において専権業務の規定がございまして、特許出願等に係る手続の代理等については独占業務とされておりまして、弁理士法の第75条、第79条によりまして、弁理士又は特許業務法人以外の者が行った場合には罰則が科されるという規定になっております。
2の問題の所在でございますけれども、独占業務については弁理士自らが行うべきことは当然でありまして、補助員、すなわち弁理士事務所の非弁理士である補助員の方を使用して、付随業務を行わせる場合でありましても、弁理士の監督のもとで適切な範囲で行うべきであるということであろうかと思われます。しかしながら、一部の弁理士ではございますけれども、補助員に実質的な代理業務を行わせているような実態がかいま見えるということがございます。
また、名義貸しにつきましては、現在は弁理士倫理で禁止されておりますが、法律上の規定がないということで、これをどうするかということで、3にございますように、弁理士が補助員に実質的に業務を委ねた場合への対応をどう考えるか。弁理士法に名義貸しを禁止する規定を設けることについてはどう考えるかということでございます。
委員の皆様からの御意見としましては、やはり専権業務である以上、きちんと弁理士本人が対応すべきだという趣旨の御意見を皆様からいただいております。
2ページ目にまいりまして、対応の方向でございます。
まず、どういったような実態になっているのかということでございますが、後ろの方につけでございます別紙1を御覧いただきますと、2003年の弁理士1人当たりの特許出願件数の表がございます。これは2003年時点での出願上位の50事務所だけでございますので、その他の事務所はスコープに入っておりませんが、事務所の年間出願件数を所属弁理士数で単純に割った資料でございます。これを御覧いただきますと、弁理士さん1人当たり200件以上の出願をされている事務所が50件中の14事務所ございまして、300件以上を出願されている事務所も7事務所あるといったような状況でございます。特許の明細書等々を自分で直接書かないにしても、きちんとチェックをして業務を進めていくという観点から考えると、やはりこういったような事務所につきましては相当実質的な業務を補助員に行わせていると考えざるを得ない状況ではないかというふうに思われます。
それから、参考資料2-1を御覧ください。これは、特許庁の中で審査官、審判官全員にアンケートしたものを取りまとめたものでございます。詳しくは、後ほど御覧いただければと思いますが、例えば、手続書類について、まる1審査基準等の理解に乏しいため、明細書・意見書・補正書等に問題がある。あるいはまる2最近の法令・基準等を理解しておらず、古い法令・基準等に沿ったものを作成する。これがこの資料の2ページの手続の1-1、手続の1-2というところに回答がございます。それぞれまる1については「ほとんど無い」が5割、「時々ある」が4割、「頻繁にある」が8%。まる2最新の法令等を理解していないというものについては、「ほとんど無い」が75%ではございますが、「時々ある」が21%、「頻繁にある」が4%でございます。
応答についてのまる1まる2、弁理士の応対を求めても、自ら対応せずに、常に事務所員に対応させている。あるいはまる2代理人欄もしくは担当弁理士欄に氏名の記載のある弁理士が案件の内容を理解していない。そういったようなものも応答の1-1、1-2にございますように、「時々ある」「頻繁にある」というのが全体では4割から5割に上っております。
事務所員につきましても、事務所員のまる1まる2のところを見ていただきますと、弁理士の業務範囲の業務を事務所員のみで行っている、あるいは弁理士に相談せずに、事務員だけで対応しているといったようなものも「時々」「頻繁」というのもある程度のパーセンテージ見られるような状況でございます。
本体資料の2ページ目に戻っていただきまして、このような弁理士の行為につきましては、特許庁がそういったような補助員の行う行為について事実上認めてきてしまっているということも問題の1つではあると考えられますので、そういったような点も含め、ガイドラインを整備して対応していくべきではないかというふうに考えております。具体的には特許庁審査官、審判官からの内容等についての連絡の応対は、弁理士事務所においては弁理士のみができるようにする。また、面接においては、事務所の補助員はもちろん補助として一緒に来ていただくのは構わないのですが、内容説明等はできないようにするといったようなことを考えております。
具体的には、別紙2をつけてございますが、こういったような点をベースに今後具体的にどういうことにしていくかを議論していくべきではないかと考えております。
また、名義貸しにつきましては、やはりこれは専権業務との関係で非常に問題でございまして、他士業では、弁護士、社会保険労務士、建築士等について明確な禁止規定がございます。こういったようなことを考えれば、やはり弁理士におきましても、明確に禁止をするという方向で検討すべきではないかというふうに考えております。
以上でございます。

中山委員長

ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見ございましたらお願いいたします。
神原委員、どうぞ。

神原委員

弁理士事務所の補助員についてでございますけれども、ただいま御説明いただきました資料2の2ページにありますように、ガイドラインを整備するとともに、弁理士法上において名義貸し禁止規定を設けるという考え方は、大変好ましいことだと思っております。特に2ページの最後の3行ですけれども、「これまでのところ、弁理士の名義貸しが直接問題となるような事件は起こっていないものの、弁理士法においても名義貸しの禁止規定を設ける方向で検討すべきではないか」というところは、大変評価できると思っております。
以上です。

中山委員長

ありがとうございました。
他に何かございましたらお願いいたします。
どうぞ、相澤委員。

相澤委員

一人法人についての記述ですけれども、全体として、法人の設立要件等が緩和されている現状も踏まえて判断されるべきではないかなと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
野坂委員、どうぞ。

野坂委員

名義貸しの問題ですけれども、やはり私も明確に法律に書くことが時代の要請だろうと思います。したがって、ここに書かれております方向性はこれで妥当だと考えます。
それから、以前も議論しましたけれども、特許業務法人制度の問題で、57という法人数は、非常に少ないということですから、何とかこの数を増やして、高度化するいろんなニーズに対応する体制をつくられなければいけないと私は考えます。したがって、57という非常に少ない数字にとどまっている要因として、無限責任制度の問題があるということですから、この新しい体制に改善して、特許業務法人が増えるようなことが望ましいと思いますし、今後この数が増えていくのかどうか、これも当然モニタリングをしなければいけないと私は考えます。
以上です。

中山委員長

ありがとうございます。
他に御意見ございましたらお願いします。
どうぞ、三尾委員。

三尾委員

指定社員制度の導入について賛成です。さらに検討していただきたいのは、たとえば弁護士法が指定社員制度を導入した上で、弁護士法人が受任している事件についても、当該弁護士が自ら関与したものに限って利益相反の問題になるというような規定の書きぶりになっていることを参考にして、指定社員制度を導入した上で、個人の弁理士の責任の範囲を明確にするという方策をとるという点です。例えば名義人を法人名にするということではなく、個人の弁理士の名前にして、なおかつ、必要な範囲で利益相反等の責任も限定していく方向で、例えば利益相反規定の条項についてもあわせて見直した方がいいのではないかというふうに考えます。

中山委員長

ありがとうございます。
他に何かございますか。
どうぞ、戸田委員。

戸田委員

三尾委員の意見とほとんど同じです。指定社員責任制度は非常にいいことだと思うんですが、出願の願書等には、法人名とともに、社員名をきちんと明記するということを徹底していただきたいと思います。その方が顧客にも安心感を与えると思います。その際、指定社員が10人以上並ぶとかすると、本当に代理しているのは誰なのかよくわからないということも起きるので、運用できちんとコントロールした方がいいと思います。
もう1点、弁理士事務所の補助員についてなんですが、総論としては非常に良いことだと思います。別紙2にガイドラインの案がございまして、この中では考慮していただいているとは思いますが、出願人の知財スタッフの扱いに関しては、弁理士の事務所の補助員とは同列に論じられないところもございますので、運用に当たってはぜひ産業界の意見を聞いていただきたいと思います。
以上です。

中山委員長

ありがとうございました。
他に何かございましたらお願いします。
どうぞ、澤井委員。

澤井委員

4ページのところで、教えていただきたいところがあります。

中山委員長

どちらの資料ですか。

澤井委員

業務法人の方です。「職業賠償責任保険への加入状況等の情報開示を義務化する」云々と書いてあるのですけれど、これと指定社員が無限責任を負いますということとの関係で、職業賠償責任保険というのは、業務法人が入って、そこに所属する指定社員の弁理士さんは仕事においては無限責任を負うということなんでしょうか。この辺、私は、保険の実態がよくわからないので、とんちんかんな質問かもしれないのですが教えてください。
職業賠償責任保険は、業務法人単位で入って、何か問題が起こったときには、そこに所属していて仕事をした弁理士さんは、無限責任で賠償する必要が生じたときに、ある程度カバーリングはこの保険でやりますということなんですか。

稲垣秘書課長

業務法人が保険に入っていただいて、指定社員だけの無限責任ではカバーできない場合には、そこを保険で補っていただくということを考えております。

澤井委員

わかりました。

中山委員長

他に何かございましたらお願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、議題もたくさんございますので、次の議事に移りたいと思います。

弁理士情報の公開について(論点整理)
日本弁理士会への強制加入制度について(論点整理)

中山委員長

日本弁理士会に係る問題といたしまして、「弁理士情報公開の在り方について(論点整理)」及び「日本弁理士会の強制加入制度について(論点整理)」の資料に基づきまして事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

それでは、資料3、資料4に基づきまして手短に御説明をさせていただきます。
まず、弁理士情報の公開でございますが、資料3にございますように、現行の制度におきましては、日本弁理士会が会則において情報の提供に関する規定を設けなさいという規定が弁理士法の第57条にございまして、これを根拠といたしまして、日本弁理士会が、弁理士ナビと呼んでおりますが、こういったもので各弁理士さんの氏名や事務所の所在地を公表しております。ただ、専門分野等につきましては、任意の開示事項となっておりまして、実際には、後ろに書いてございますように、約16%程度しか開示がされていないという状況でございます。また、各弁理士事務所さんがもちろん独自にウェブサイトを開設しておられまして、情報提供はしているわけでございますが、ただ、これは全く広告宣伝的なものでございまして、一部には誇大広告とおぼしき内容のものもあるという指摘もございます。
論点といたしましては、日本弁理士会の方で、やはり弁理士の専権業務ということを考えますと、情報提供をもっと拡大すべきではないかといったような点がございます。また、情報提供をきちんとする以上、仮に提供しました情報に誤りがある場合、あるいは苦情処理等をどうするか、そういったようなものがございます。
また、弁理士情報はいわゆる個人情報保護法上の個人情報に該当するものでございますので、同法との関係についてはどう考えるのかといったような点がございます。
今まで皆様からいただいております御意見でございますが、やはり基本的には個人、あるいは中小企業等の依頼も増えている中で、専門分野はきちんと情報公開が必要なのではないか。日本弁理士会としても会員に情報提供を義務づけて、会として公開することはどうなのか。あわせて、情報公開が不適切な場合の措置を考えるべきではないか。
それから、前回の御議論では事務局からは年齢を出したらどうかということを提案したのですが、相当強い反発があったということがございます。
それから、内容につきましては、実績、専門分野を提供しようということについては、皆さん御異論がなかったかと思いますが、具体的にどういったようなデータがそれにふさわしいのかということについてはきちんと議論を詰めていくべきではないかと、そういったような御意見をいただいております。
3ページ目の5にまいりまして、こういった御意見を踏まえれば、弁理士情報は、ユーザーが弁理士を探す際に必要不可欠、かつ、弁理士は専権業務を付された士業である以上、法律上、弁理士以外を代理人にするわけにはいかないわけでございますので、やはり必要な情報を、強制加入団体であります日本弁理士会において集めて、広く検索しやすい形で国民に提供することが必要なのではないか。
現在の弁理士ナビでも、もちろんいろいろと努力をいただいているわけでございますが、必ずしも十分ではない部分があるのではないか、拡充が必要ではないかということで、例えば、(1)にございますように、次の別紙、4ページ目にございますが、現在弁理士ナビで義務的に公開されている項目に加えまして、追加的に大学等におけます学部・学科、修了の有無、論文、それからIPCごとの出願・査定件数、意匠、商標の出願査定件数、PCTの件数、弁理士試験受験時の選択科目、一定の研修の受講履歴、付記弁理士資格の有無等につきまして、日本弁理士会の方で取りまとめて、個々の弁理士には日本弁理士会に登録することを義務づけた上で公開をしてはどうかということでございます。
その際、個人情報保護法第23条との関係が問題となるわけでございまして、やはりこれにつきましては法令で何らかの形で明記しないと、個人情報保護法の対象外とはならないということでございますので、何らかの形で法令に明確に位置づけるということを考えるべきではないかというふうに考えております。
なお、情報の登録・公開を行わない弁理士、あるいは虚偽の情報の登録・開示を行った弁理士につきましては、勧告を行った上で、それでも応じない場合には、氏名の公表、あるいは特に悪質な場合には大臣の懲戒の対象とする、そういったようなことも考えていくべきではないかということでございます。
また、日本弁理士会が情報開示に関する苦情、相談に適切に対応できるような体制をとり、窓口も設置すべきではないかと考えられます。
個々の弁理士のウェブサイトでの誇大広告等につきましては、これはやはり日本弁理士会の会則、会令等においてきちんと禁止をしていただいて、違反した場合の処分基準の明確化等を図っていただくことが必要なのではないかというふうに考えております。
引き続きまして、資料4の強制加入制度でございます。
これは御案内のように、弁理士につきましては、幾つかの他の士業と同じようにいわゆる強制加入制度をとっております。もちろん強制加入制度をとらない医師などの専門職もあるわけでございますが、弁理士につきましては強制加入制度をとっておりまして、これについてずっと議論がなされております。
2ページ目の対応の方向にいっていただきまして、強制加入制度につきましては、前回の法改正のときから議論がございますが、確かに競争制限的な側面があるのも事実でございますが、前回の法改正におきまして、そういう部分についての見直しを図ったということがございます。具体的には、標準料金表の削除、あるいは平成13年の公正取引委員会による資格者団体に関するガイドライン等について遵守してきているということでございます。
したがいまして、強制加入制度の検討に当たりましては、後ほど御議論いただきます懲戒、あるいは先ほどの情報公開等の議論の結果も踏まえることも必要ではございますけれども、基本的には引き続き競争制限的な運用がされないように留意しつつ、メリットがデメリットを上回っている限りにおいて維持の方向で検討することが妥当ではないかと考えております。
次の3ページ目に、規制改革・民間開放推進会議の7月の中間答申がございますけれども、規制改革会議の場におきましては、この中間答申の真ん中ぐらいにございます「しかしながら」のところで、強制加入については、必要性は述べられているものの、やはり当該資格者団体に入会しなければ業務ができないというのは追加的な規制を試験合格者に課すものでありまして、これらの理由が強制加入を正当化するとは考えられないとあります。また、最後のパラグラフにまいりまして、やはり強制加入があることによって、他の資格者団体との間に業務領域などについて障壁をつくり、内部においては個々の自由な業務の展開を抑圧する役割を果たしているということで、引き続き検討を行っていく必要があるというような指摘もなされております。
以上でございます。

中山委員長

ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして御意見、御質問ございましたらお願いいたします。
どうぞ、坪田委員。

坪田委員

両方ともですが、ユーザーの立場からしますと、例えば情報公開、これだけのことをやっていただけるなら非常に意義のあることだと思います。ただ、情報の信頼性を高めるためにも義務違反とか、虚偽、誇大についてはしっかりとした処分ができるような措置をぜひお願いしたいと思います。
それから、強制加入制度についても、ユーザーの立場からすると、維持する方向で考えていただいた方がいいのではないかと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
神原委員、どうぞ。

神原委員

弁理士情報の公開についてでございますけれども、情報公開を義務化するということに関しましては、私ども日本弁理士会も大いに望むところでございます。
しかしながら、別紙に挙げられました公開すべき項目の中に問題がありと考えております。それは出願件数、あるいは査定件数というものが対象になっておりますけれども、これらは恐らく専門技術分野での実績にかかわる情報という位置づけだと思いますが、ユーザー側から見まして、件数だけを提示されて、それで専門分野の実績というふうに把握できるかどうか、大変疑問な点がございます。また、それがユーザーにとって弁理士を選別する重要な情報としてとらえられるかどうか、そこにも疑問を感じます。
さらに、もし専門分野の実績であれば、件数の他にもうちょっと別のやり方でそれを明らかにする手法もあろうかと思っております。前回もちょっと申し上げましたけれども、例えば、各弁理士が関与した公開公報の番号を開示して、その内容が見られるようにするということも考えられるかと思います。
それから、この件数というのは、他の項目と違いまして、絶えず変化するものでございます。したがって、この件数をどうとらえるのか、そのあたりは共通のしっかりしたルールづくりが必要かと思いますが、そのルールを的確に守ろうとしますと、多分各弁理士に相当の負担がかかるのではないかと思います。したがって、大きな負担をかけてまで義務化された情報として開示するだけの価値があるのかどうか、そこにも疑問を感じます。
それから、もう1つ、この開示項目の中に取り扱い件数として外国出願関連業務が入っております。他の特許出願等はもちろん弁理士の専業にかかわることでございますので、ある程度うなずけるのですけれども、外国出願関連業務というのは別です。もちろん、今現在、私どもも標榜化ということでお願いをしているところでございますが、たとえ標榜業務となったとしても、各弁理士が外国出願関連業務として認識しているもの全部が標榜化されるとも限りません。そういった意味で、もし仮にこれが義務化の項目として挙げられるのであれば、例えば、外国出願関連業務は標榜化業務の範囲に限るとか、そういったような区切りが必要ではないかと思います。
以上です。

中山委員長

谷委員、どうぞ。

谷委員

神原委員のお話、私も日本弁理士会としては同じようにぜひ情報公開については義務化していきたいと思っております。
さらに、今、神原委員が申し上げたところの補足をしますと、この件数のところはやはり年度ごとなのか、累計なのか、累計にしても年度ごとの集計が必要であるし、非常に煩雑な点があることと、それから、代理人が単数の場合と複数の場合があるわけでして、ある1つの案件、出願について何人かで代理しているような場合、その全員の氏名を書くのか、担当になった弁理士1人を書くのかとか、それからさらに事務所としての取り扱い件数を出すのか、それとも弁理士個人として出すのか、公表すべき項目についてはさらなる議論が必要であろうかと思っています。
以上です。

中山委員長

ありがとうございます。
他にございますか。
どうぞ、野坂委員。

野坂委員

私は幅広く情報を公開するということに賛成であります。
今、話題になりました件数のことですけれども、例えば今年度末で何件だったということもあるでしょうし、今おっしゃられたように累計でということや、煩雑だという御説明がありましたけれども、例えば年度ではこれだけの件数、そして累計ではこれだけと、両方明示するということが可能かどうか、ぜひ検討していただきたいと思います。ユーザーからすれば、おそらくいろんな形で判断したいということでありましょうから、件数はやはり1つの判断材料になるのは間違いないと思います。ぜひルールづくりを明確にした形で弁理士ナビ等に載せていただきたいと私は考えます。
以上です。

中山委員長

相澤委員、どうぞ。

相澤委員

今の件につきまして、日本弁理士会には、積極的に取り組んでいただきたいと思います。煩雑であるから公開に消極的であるというようなことでは、情報公開に対して消極的な組織ではないかと理解されかねませんので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
それから、強制加入につきましては、前回の改正のときから議論になっているところであります。弁理士数の量的拡大ということで、競争制限的効果というものを減らしていくという前提で強制加入制度が維持されたというのが前回の改正の経緯でございますので、これから議論になります義務化研修も含めまして、強制加入制度を維持するに当たっての前提というものが十分に考えられるべきではないかと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
他にございますか。
三尾委員、どうぞ。

三尾委員

先ほどの開示すべき項目の中で出願件数等が挙がっていたかと思うんですが、この点については、出願件数が弁理士に対する能力のどれほどの情報になるのかというところが非常に疑問を感じます。さらに、誇大広告になり得るのではないかということも考えなければいけない問題ではないかというふうに思われます。
それで、前回のテーマの弁理士事務所の補助員についてというところでも出願件数が非常におかしいというような指摘があったという点もございますものですから、その点も踏まえまして、どれほど弁理士の能力と出願件数がリンクしているのかという点を日本弁理士会の中でもう少し詰めていただければなというふうに考えます。
また、義務的な記載事項と任意的記載事項のすみ分けなんですけれども、これは義務的と任意的だと効果の上でも認識の上でもかなり違いが出てくると思いますので、その辺のすみ分けについてももう少しきちんとした形で、ユーザーのニーズを酌み取った上で議論していただき、その上で、情報の開示の方向性については賛成したいと思います。

中山委員長

確かに1人年間450件出すというのが、弁理士能力とどのくらい関係するかという議論は当然出てくるかと思います。
では、戸田委員、どうぞ。

戸田委員

件数の開示に関して個人的な意見を申し上げれば、事務所サイドからの件数の開示というのはかなり難しいような気がいたします。もし、特許庁サイドで、ある程度データがとれるのであれば、それを公表すべきだと思います。例えば特許業務法人という名前で出願しているものは、弁理士個人名では出てこないわけです。実際データをとろうと思うと、現実問題としてはかなり大変だろうという気がいたしますので、その辺の扱いは慎重によく御議論いただいた方がいいように思います。

中山委員長

他にございますか。
澤井委員、どうぞ。

澤井委員

私は、強制加入制度には基本的には賛成です。
それから、今の公表の話は、件数を出させて何をしたいのかなという感じがちょっといたします。多分、義務的と任意的に分けたときに、さっき三尾委員もおっしゃったように、義務的なものはある意味でのオフィシャルなところでの状況を見ればいいので、弁理士試験の選択科目の状況とか日本弁理士会がとり行う研修をどういうふうに弁理士さんが受けていて、この先生はこういう分野のバックグラウンドを持っているんだなというふうな部分にとどめておいた方がいいような感じがします。
それに絡んで、例えば出身大学等の名前まで出すのが本当にいいのかどうかと疑問に感じます。というのは、大学を出た時点の学歴でその人が決まるのではなくて、その後、一生懸命努力して、自分の技術分野を広げるために任意の研修を受けて仕事の分野を開拓して幅広くやるというのもあると思いますから、あくまでも弁理士となるときに関わるオフィシャルなところの情報を義務的なものとするにとどめて、あとは任意的で、件数の話は今戸田委員がおっしゃったように、いろんな形での検討を進めた方がいいのではないかなと思います。
以上です。

中山委員長

ありがとうございます。
他にございますか。

稲垣秘書課長

若干補足させていただきますと、情報公開のところは、別紙にもございますように、出身大学は、大学名は任意と書いてございますけれども、例えば、工学部の、何が専門かということについては書いてもいいのではないかと考えております。
それから、件数につきましても、400件やっているということ自体が重要なのではなくて、IPC、国際特許分類ごとのというのがその前に書いてあると思いますが、要するにどの専門分野でどのぐらいやっているかということです。IPCの8分類がいいかどうかというのもありますけれども、そういうことを申し上げたいと思って書いてございます。
それから、当然出願件数、査定件数について申告をしていただく場合には、6000人の全部のチェックができるかどうかということはございますけれども、私どもの方でしかるべきレベルでのチェックは当然かけるというつもりで書いてございます。

中山委員長

他にございますか。
どうぞ、神原委員。

神原委員

誤解をしていただくと困りますので、申し上げますが、日本弁理士会はこの情報開示の義務化につきましては積極的に取り組んでおりまして、いろいろ準備をしております。決して消極的に考えているわけではございません。
ただ、会員それぞれに負担を課すわけですから、その負担に見合うような成果が得られるものでないといけないということは考えております。
それから、もう1つ、資料の3ページのところに義務違反を起こした場合に処分をどうするかということで、日本弁理士会の処分基準の整備の中で明確化を図るというふうに書かれてございますけれども、現実問題を考えますと、日本弁理士会の処分ですと、この場合、一番ふさわしいのは業務停止というように考えますけれども、業務停止を行うことができません。業務停止ということに絡んで、例えば、弁理士法第61条に、日本弁理士会に処分権限を与えている項目があり、そこでは退会だけが入っておりますが、この第61条に業務の一部もしくは全部の停止というところまで入れていただければ、それに基づいて私どもは経済産業大臣の認可のもとで、違反者に対して業務の停止を行うことができることになります。
したがって、ぜひ第61条の改正ということも議論をしていただければと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
他に何かございませんでしょうか。
よろしゅうございましょうか。
それでは、時間の都合がございますので、次の議題に入りたいと思います。

知的財産部門の分社化について(論点整理)
利益相反規定(法第31条)について(論点整理)

中山委員長

次は、弁理士法の運用に関しまして、「知的財産部門の分社化について(論点整理)」及び「利益相反規定(法第31条)について(論点整理)」の資料に基づきまして事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

それでは、資料5、資料6に基づきまして簡単に御説明させていただきます。
まず資料5の知的財産部門の分社化でございます。
これは1に書いてございますように、近年、会社分割という手法が取り入れられておりまして、会社の中にあるいわゆる知的財産部門を分社化いたしまして、親企業、あるいはグループ企業の知的財産管理を一元的に行うケース、あるいはグループ企業内の特定の会社においてグループ企業の知財管理を一元的に行うケースというものが出現してきております。これにつきましては弁理士法第75条との関係でその取り扱いを明確にすることが望まれているという状況でございます。
論点といたしましては、弁理士法第75条の趣旨及び経済実態も踏まえて分社化した場合の分社が行える業務の範囲をどう考えるか。
それから、当然グループ企業、グループ会社という概念が入ってくるわけでございますが、そういったような場合のグループ会社の範囲について具体的にどう考えるかといったような点が論点でございます。
今までいただきました御意見といたしましては、やはりこれまで企業の1部門であったものが、グループの1つとして形式上、別法人になったからといって、形式的にどうこうというのはおかしいじゃないかという指摘がございます。
それから、2ページ目にまいりまして、疑義があるのであれば、明確化を施行規則等でしたらどうかと、そういったような御意見をいただいております。
2ページ目の5の対応の方向でございます。
確かに、第弁理士法75条の文言は形式的にとらえますと、疑義が生じることもあり得るわけでございますけれども、結局分社化されたものと従来のものとの違いは、企業内の1部署であるか、同じグループ企業の中ではあるけれども、別の法人であるかという形式上の差異でありまして、やはり今までできたことが分社化によってできないというのは合理性に欠けるのではないかということで、例えば信託業法におきましても、企業グループ内で完結するものについては、免許や登録を受ける必要がないという規定がございまして、グループ会社の特殊性に着目して、企業グループ内でのものにつきましては、通常とは異なる取り扱いを設けるという考え方もあると思います。
こういったようなことを踏まえますと、分社化した場合も継続してグループ会社の知財関連業務ができるという方向で検討を進めることが妥当ではないかということで、例えばということでございますが、解釈の明確化を図るために、以下の2通り、すなわち分社内の知財部門に弁理士が在籍する場合、それから在籍しない場合に分けまして、告示の形でガイドラインを定めて広く周知する等のことが考えられるのではないかと思っております。
2ページ目、3ページ目、4ページ目は字で御覧いただくとわかりにくいので、次の別紙、告示案というところを御覧いただきたいと思いますが、例えばということでございますが、1がグループ企業における分社の中にいわゆる知的財産管理会社の中に弁理士が在籍する場合でございます。これは当該弁理士が同一グループにおける手続については、その弁理士個人を代理人として出願書類に記載するというものでございます。
それから、2で、弁理士が在籍しない場合は、これは当該会社が自ら手続を行うものとし、当該知的財産管理会社は手続等の支援を行うにとどめる。この支援というのは、弁理士法上、補助員でもできる範囲の支援ということでございます。
それから、3で、知財管理会社はいわゆるグループの企業外の会社の手続等については1の代理をさせない。または2の支援を行うことはしないということでございます。
子会社、グループ会社の範囲でございますが、これは我が国におけます他の法令で、一般的にグループ会社のルールがございまして、ここに書いてございますように、わかりやすく言えば、間接的に持っているシェアを含めまして、50%、過半数以上を保有する他の会社を子会社とみなすということで、大体シェアで50%以上の範囲のところで切ってはどうかということでございます。
それから、引き続きまして、資料6の利益相反規定でございます。これは現行の弁理士法の第31条で利益相反のものについては受任してはならないという規定があるわけでございますが、問題を大きく(1)と(2)2つに分けてございます。
(1)は当事者対立構造をとる事件についての問題、2ページ目の(2)は弁理士業務に固有の問題、すなわち当事者対立構造をとらない業務、例えば同一の技術分野又は競争関係にある製品についての特許出願を別々の依頼人から同一の弁理士が受任する場合の問題で、この2つに分けて議論をしてございます。
これにつきましては1ページ目の2の(1)の中身を御説明しますと非常に複雑で時間を食いますので、飛ばさせていただきまして、前回の審議会で、2ページ目の4の(1)でございますが、当事者対立構造をとる事件の受任前から受任している事件につきましては、当事者対立構造となった後でも、そういうものは引き続き扱ってもいいじゃないかという考えをどう考えるかという点について御議論いただいたわけでございますけれども、各委員からの御指摘は、やはりそもそもそういうものを取り扱うのは問題だということでございました。したがって、現在の解釈と同じように、当事者対立構造となってしまった以降は、その事件を対立構造となる前から受任していたかどうかにかかわらず、やはり同意がない限りは扱ってはいけないということにすべきではないかという御意見を皆様からいただいております。
それから、当事者対立構造をとらない、つまり同一の分野についての出願を別々の企業から受けるような場合については、いろいろ問題はあるのかもしれないけれども、専門の弁理士が少ない分野では明確に禁止されてしまうと、かえって困るということがございます。あるいは当事者対立構造という基準が不明確なので、そんなに簡単にきちんとしたルールはつくれないのではないか。それから、最初は業態が違っても企業展開によってはだんだん似通ってくることもあり得るので、今までどおり日本弁理士会のガイドラインで対応するのでいいのではないかという指摘もございます。それから、A社もB社も同じ弁理士に頼んでいることを知って頼んでいれば仕方がないにしても、知らないというのは、ひどいのではないかというような御指摘をいただいております。
3ページの5、対応の方向でございますが、(1)当事者対立構造をとる事件につきましては、ここに書いてございますように、やはり従来どおり受任する事件を当事者対立構造をとる前から受任していたかどうかにかかわらず、取り扱うことは、同意がない限りできないという従来の解釈を維持することが妥当ではないかというふうに考えられます。
(2)の当事者対立構造をとらない業務につきましては、現在、先ほど御説明しましたように、弁理士倫理ガイドラインで例示として禁止されているわけでございますが、やはりそれをさらに法令上ということにいたしますと、何が同一技術分野、競争関係かということについての範囲がなかなか明確にできないということがございます。
それから、弁理士の数が少ない地方や、専門の弁理士が少ない分野についてなかなか難しい問題があるということで、3ページの一番下でございますが、やはりこれは弁理士倫理と密接な関係を有するものでございますので、日本弁理士会においてこういったような事案を類型化する等の整理も含め、現行の例示的な規定しかないガイドラインをユーザー側の意見も十分に踏まえて大幅に見直しをして、会としての見解を明確にする、また、紛争を避けるために、当事者の同意を得る、そして、当事者の同意がある場合にも守秘義務の厳守を徹底する等の対応を弁理士倫理、日本弁理士会のガイドラインの方で十分に図っていくことが妥当なのではないかというふうに考えられると思います。
以上でございます。

中山委員長

ただいまの説明につきまして御意見、御質問がありましたらお願いいたします。神原委員、どうぞ。

神原委員

分社化の問題について申し上げます。
基本的には今回の資料5の取りまとめに異存はございません。
しかしながら、1点注文がございまして、それは分社内に弁理士がいる場合、その弁理士に代理をさせるということですけれども、この場合、やはり先ほどの補助者の問題と同じように、1人の弁理士が年間に何百件もということも容易に想定されます。そういうことになりますと、名義貸しの問題も生じてまいります。したがって、何らかの形でそういった事態を防止できるような注意書きといいましょうか、そういうものを入れていただければと思います。
以上です。

中山委員長

戸田委員、どうぞ。

戸田委員

知財部門の分社化については事務局の案に賛成であります。
1点申し上げたいのは、会社分割等による分社化という書き方になっているのですけれども、分社という形態にはいろんな形態がありまして、きちんと言葉の定義なり、バリエーションをもう少しはっきりさせた方がいいのかなという気がいたします。
いずれにしましても同一の企業集団といいますか、企業グループの業務しか代理はできないというのはきちんと堅持すべきだと思っています。
利益相反については、事務局の案に賛成です。

中山委員長

ありがとうございます。
他に御意見ございますか。
相澤委員、どうぞ。

相澤委員

利益相反につきましては当事者対立構造をとらない業務につきましても日本弁理士会できちんと措置されるべきものと考えます。

中山委員長

他に何かございますか。
三尾委員、どうぞ。

三尾委員

先ほど最初のときにちょっと申し上げたのですけれども、もちろん事務局の整理には異存ございません。
さらに可能だとすれば、弁理士法の第31条の改正のときに、先ほど申し上げたので重なってしまうんですけれども、弁護士法の第25条を参考にしていただいた上で、実質的に利益相反にならない指定社員の存在というものも想定して、もし可能であれば、あわせて検討いただければいいかなと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
他に何かございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。

弁理士の懲戒制度等の在り方について(論点整理)

中山委員長

それでは、次の議事に移りたいと思います。
次は、「弁理士の懲戒制度等の在り方について(論点整理)」の資料に基づきまして事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

駆け足で恐縮でございますが、引き続きまして、資料7に基づきまして懲戒制度につきまして、これは前回の審議会で御議論いただきましたものを取りまとめたものでございますけれども、まず現行制度につきましては、前回御説明いたしましたように、今、いわゆる広い意味での弁理士に対する処分としましては行政庁、いわゆる経済産業大臣が弁理士に対して行う弁理士法上の懲戒処分、すなわち戒告、2年以内の業務の停止、業務の禁止の3種類が法定されております。業務の禁止の処分を受けますと、弁理士法上、弁理士資格を剥奪するという規定がございまして、弁理士としてはもうスティできないということになります。
一方、日本弁理士会が行う処分といたしましては、会員が法令又は会則等に違反し、秩序、信用を害した場合に行うということで、会長による戒告、2年以内の会員権利の停止、大臣に対する懲戒請求、退会。ただし、退会の場合には大臣の承認を得るということで、4種類が規定されております。
なお、退会の場合というのは、大多数が会費の未納入ということでございます。
問題の所在といたしまして、行政庁による懲戒と日本弁理士会による処分について、現在はそれぞれの措置基準が明確化されておらず、なかなか厳正かつ適正な運用ができていないのではないかということで、前回の資料でお示ししたように、現在弁理士への懲戒及び処分実績が他の士業と比べて1けた少ない実態になっております。
また、実際に懲戒を行う際の審議会、これは工業所有権審議会の懲戒部会で御議論いただいた上で大臣の懲戒を行うという法律上の規定になっているわけでございますが、その際にも議論になっておりますのは、やはり業務の停止の懲戒をしようとすると、現にその弁理士さんには何人もの出願人の方がついていらっしゃって、その方々が新しい代理人を選任しなければならないということがございまして、なかなか業務の停止ができないということがございます。そこで、例えば今まで受任中のものは仕方がないけれども、新たな業務はこういう期間はやってはいけないといったような種類の懲戒はどうか。損害保険会社への処分などではそういうのも運用上あるようでございますけれども、そういったようなものをやってはどうかといったような議論でございます。
1ページ目の一番下にまいりますが、前回の審議会での御意見といたしましては、ユーザーにわかりやすく、かつ、再発防止ということも考えると、基準を明確にしてオープンにすべきだというようなものがございます。また、日本弁理士会自身も会員の処分についてしっかり一般に公表すべきといったような御意見もございます。
それから、新規業務の受任禁止については、両方、そんなことで軽くするのはいかがかという御意見と、そうはいっても現実に処分を決める際にはそういうことは考慮せざるを得ないので、やはりやった方がいいのではないかという御意見と両方いただいております。
それから、まる3にございますように、先ほど御説明しました規制改革・民間開放推進会議の7月の中間答申におきましても、これは弁理士だけではなく各士業共通の問題として、業務独占資格につきましては、主務省庁が懲戒処分に当たっての基準を明確にするとともに、懲戒事由に該当する場合には、基準に照らして処分を厳正に行うべきであるといったような指摘をいただいておりまして、これが担当各省庁へのツケの形でこれから展開される予定になっております。
対応の方向でございますが、(1)でございますけれども、懲戒・処分制度の考え方の明確化ということで、やはり御指摘もいただきましたように、大臣、要するに行政庁が公益的見地から行う懲戒と、日本弁理士会が自治的見地から行う処分の考え方を明確に整理した上で、それぞれの措置の運用基準を整備、公表することが必要ではないかということでございます。
また、弁理士法は若干古い法律でございますので、懲戒事由について、現在は弁理士法及び同法に基づく政省令に違反した場合という規定になっておりますが、もちろんこれでもどこかにかけて読むことはできるわけですが、解釈を明確化するために、他の士業ではむしろ故意又は重過失により不適切な業務を行った場合というのも懲戒事由に書いてございますので、そういったような規定の整備を図るべきと考えております。
それから、懲戒制度の厳格な運用を迅速に行い得るように、例えば懲戒部会を定期的に開催し、もちろん何もなければやらなくてもいいわけでしょうし、あるいはこういったような最近の状況を説明すればいいと思うんですが、きちんとできる体制整備を行うということも必要と考えております。
それから、日本弁理士会の行う処分は、もちろん会の自治的見地から行う行為ではあるわけでございますが、少なくとも例えば内部における会長選挙の違反等ではなく、弁理士の行為が出願人に対して不利益な影響を及ぼすというものにつきましては、行政庁による懲戒と併科することもあり得ることを明確にするとともに、ユーザー保護の観点から一般へ公開すべきではないかというふうに考えております。
それから、懲戒の種類の新設につきましては、先ほど申し上げたような、新たな業務の受任の禁止というカテゴリーを設ける方向で検討を行ってはどうかというふうに考えております。
それから、(3)でございますが、現在の法体系では、行政庁の行う業務の停止命令に違反した場合についての措置が法律上特段の規定はございません。したがいまして、解釈としましては、再度懲戒を行って、業務の禁止命令として弁理士資格を取り消すということになると考えられるわけですが、そういう者に対して直接刑罰の対象とできないかということについても検討していくことが必要ではないかというふうに考えております。
次のページに7-1といたしまして、先ほど御説明いたしました規制改革・民間開放推進会議の中間答申がつけてございます。先ほど御説明しましたのは、真ん中ぐらいのところをピックアップして御説明いたしました。
以上でございます。

中山委員長

ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして何か質問、あるいは御意見ございましたらお願いいたします。
野坂委員、どうぞ。

野坂委員

事務局案に基本的に賛成します。
ただし、ちょっと質問がございまして、新たな業務の受任の禁止という場合に、その期間をどれぐらいにするかという議論があるかと思います。半年なのか、1年なのか、2年なのか、その期間についてはどのように考えていらっしゃるのかということと、その期間を誰がどういう形で判断するのか、その点に私は疑問というか、質問、要するに運用面で非常に重要なポイントではないかと考えております。
もう1点は、先ほど前段の利益相反のところに弁理士倫理ガイドラインの話が出ておりましたけれども、このガイドラインと今回の処分の問題とはどう絡んでくるのか。つまり、倫理ガイドラインに違反した場合にも処分の対象になるのかどうか、その辺のことについて、日本弁理士会はどういうふうに整理をされているのか、伺いたいと思います。

稲垣秘書課長

まず1点目の御質問でございますけれども、どういうことをしたら大体どれになって、情状が重い場合にはどっちになるとか、これをしたらこのくらいの期間とかといったような懲戒の基準を審議会の懲戒部会の方で作成いただいて、適用いただければというふうに考えております。
ただ、ちょっとまだ議論ができていないのは、業務の停止の場合に2年以内の業務の停止という規定になっておりまして、新規業務の受任の禁止の場合も同じく2年以内にするのかどうかという点についてはまだ議論ができておりません。

中山委員長

それでは、日本弁理士会の方からガイドラインの問題についてお願いします。
では、神原委員、お願いします。

神原委員

ガイドラインに反するような行為をおこなうことは、日本弁理士会の秩序を乱すということになろうかと思います。したがって、そういう観点から日本弁理士会のしかるべき処分ということを今考えております。現にそういう形で進んでおります。

中山委員長

よろしいですか。
他に御意見、御質問はございますか。
神原委員、どうぞ。

神原委員

懲戒の新しい項目の設定ということで、新たな業務の受任の禁止ということが挙げられておりますけれども、ここはちょっと問題かなと思っております。それはどういうことかといいますと、例えばある事件で弁理士が不祥事を起こして懲戒の対象になり、その結果、新たな業務の受任が禁止ということになったとしますと、不祥事を起こした当該事件そのものにつきましては、すべての業務を継続的に行えることになると思われますので、何となくそこは釈然としないものが残ります。
そうであれば、出願人、あるいはユーザーの利益保護ということからしますと、現在は業務の停止というのは全部の業務が停止になっておりますけれども、ここを全部もしくは一部というような形にすれば、そこで出願人保護の道が開けるかなと思っております。具体的には、弁理士法の第54条に特許業務法人の違法行為についての処分がありまして、そこでは特許業務法人に対して業務の全部又は一部の停止ということになっておりますので、個々の弁理士にもそれが当てはまるのではないかなというふうに考えております。
以上です。

中山委員長

三尾委員どうぞ。

三尾委員

引き続きまして、懲戒の種類の新設についてなんですけれども、これについては反対です。
理由は2つあるのですけれども、そもそも懲戒の趣旨というのは、参考資料7-1の真ん中の段落にありますように、資格者の厳格かつ適正な処分により、不適切な行為に対する抑止力ということになるわけですので、ユーザーの負担になるかどうかということを重視して、新たな懲戒の種類を新設するということは、引き続き業務ができ、クライアントを減らさなくても済むということになるわけですので、抑止力という観点からすると非常に中途半端であり、なおかつ不適切ではないかというふうに思います。ユーザーの利便ということよりも、きちんとした行為をするべきであるということを重視するべきではないかというふうに思います。それがひいてはクライアントの保護になるというふうに思われます。
あと1点ですが、理由としては、そもそもユーザーが困るという立法事実が懲戒自体の件数が少ないという現状の中であるのだろうかという点です。懲戒はそもそも今実施されていないのに、懲戒されたらユーザーが困るだろうと、業務の停止になると困るだろうというような判断で新たな種類の懲戒を新設するというのは時期尚早ではないかというふうに考える次第です。
ですので、本当にクライアントの保護に欠けるというようなことがあれば、そういう事実があれば、さらに検討する余地はあるとは思うんですが、現段階で新設するということに関しては反対いたします。

中山委員長

相澤委員、どうぞ。

相澤委員

この点は、現実に問題になったことです。
弁理士の懲戒制度はもちろん弁理士の規律を維持するためでありますが、出願人の出願等が適切になされるためにあるものです。手続きには期日等がありますので、期日が切迫している場合に業務停止をなされると、出願人等に影響がでます。業務を停止してしまうと、代理人がいなくなってしまうという問題が生じることになります。
抑止力にならないのではないかというと、新たな受任ができなくなるわけでありますから、かなりの抑止力にはなるのではないかと思います。
もちろんこれは期間を例えば半年後から業務停止にするということも考えられますが、そうすると、その期間中は、新規の受任も行うことができることになってしまいます。出願人等の保護のために、こういう柔軟な措置というものも必要ではないかと思います。

稲垣秘書課長

立法事実はございますので、それで御提案申し上げております。
以上です。

中山委員長

大渕委員、どうぞ。

大渕委員

今御説明があった点ですが、要するに先ほどユーザーの利益保護の点等を慮って、本来は処分しなければいけないのに、躊躇して踏み切れないので、もう少し踏み切れるような工夫ができないかという話ですので、むしろ今後厳正な懲戒処分をきちんと行っていこうという方向性からすると、色々な工夫があってよいものと思います。
先ほどの御提案のような全部又は一部の業務の停止という形で賄えるのかどうかなど、いろいろ前広に検討し得る可能性があるのではないかと思いますので、そのような検討を継続していただければと思います。

中山委員長

三尾委員の話ですと、すぱっと業務停止にするということになるわけですか。

三尾委員

そうです。
弁護士会の感覚からすると、かなりすぱすぱと処分されているという印象があります。結局行った業務行為との相関関係で処分内容も決まるべきという刑罰に近いという考えを持っておりますものですから、それ相当の行為をしたら業務停止もやむを得ないだろうという発想です。ユーザーの利便ということはそれほど意識せずに、弁護士会の場合は結構処分しているかなという印象があります。

中山委員長

大渕委員の発言と同じですが、例えば窃盗罪に懲役だけで、罰金がないので、ついつい起訴しなくなるというので、今度何か罰金を設けようという話があって、そうすると適正に処罰されるのではないかという話がございます。これも業務停止だとユーザーは困ってしまうので、あまり打たないけれども、これがあれば適正に処罰されるのではないかということです。業務停止自体がなくなるわけではないです。これをプラスすると、今までお目こぼししていたのが、こっちにいくのではないかというのが大渕委員のご意見ですが、それについてはどうでしょうか。

三尾委員

そもそもユーザーが困るというのは、そういう行為をした者を放置することが困るということにつながるのではないかという発想がございまして、そういうことをした人を引き続き使っていて、そもそもいいのでしょうかという考え方です。

中山委員長

ユーザーは代理人をかえることができるわけです。こんな先生では嫌だと思えば、違う先生のところに行く。でも、今継続中だからやってほしいという場合でもだめですという話ですね。

三尾委員

そのあたりは、例えば弁護士が人権の擁護と社会正義を実現するという使命を持っている(弁護士法1条)のに対して、経済及び産業の発展に資する(弁理士法1条)というのが弁理士さんの職責とされており、その点で少し違うのかもしれません。

中山委員長

澤井委員、どうぞ。

澤井委員

今の議論、多分弁護士さんと弁理士さんはちょっと違うのかなという感じがします。それから懲戒の対象の内容によって、何を業務停止にするのか、具体的に見えないので、具体的に検討した方がよいと思います。今のような議論で、出願人サイドからいくと、確かにある案件の代理をしていただいていて、拒絶査定が出ているケースを考えると、応答の法定期限があるのにもかかわらず、その間に業務を止められると多分ほとんどお手上げになります。そのバックアップをするために、さっきおっしゃったように、業務停止の発動を少し延ばすとか、あるいは特許庁さんがそういう場合があった場合は、例えば出願人から申し立てがあったら少し法定期限を猶予するとか、そういう全体のバランスの中でこの問題は決めておいていただいた方がいいと思います。

中山委員長

特許庁だけではなく、例えば出願しようと思ったらだめだと言われたら、出願の期日が遅れてしまうわけです。これは特許庁ではどうしようもないと思います。

相澤委員

繰り返しになりますけれども、戒告にするか業務停止にするかという判断に関する議論で、現実に問題になりました。業務停止だと業務ができなくなるので、いろいろな事情があったときに、処分の判断が非常に難しいことがあるということです。

中山委員長

ありがとうございました。
他に御意見、御質問ございますか。
この点に関しましてはこのくらいでよろしいでしょうか。

弁理士研修制度の在り方について(論点の再整理)

中山委員長

それでは、次の議事に入りたいと思います。
次は、「弁理士研修制度の在り方について(論点の再整理)」。前回の論点整理の議論を踏まえまして、事務局で資料を用意いたしましたので、御説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

それでは、私の方から資料8に基づきまして御説明したいと思います。
弁理士研修制度の在り方について論点の再整理でございます。
前回いろいろ御意見をいただいたわけでございますけれども、委員の方々からはおおむね研修の義務化には賛成であるという御意見をいただいたわけでございます。
それで、研修の義務化といいましても2種類ございまして、(1)は弁理士資格保有者に対する継続研修でございますが、これにつきましては、継続研修はいいと思うけれども、具体的な内容をもう少しきちんと詰めるべきではないかという御意見をいただいております。
それから、(2)の新人弁理士に対する研修でございますけれども、これについては試験合格後、弁理士登録前に登録要件として行うべきなのか、登録直後の義務研修なのかについては委員によって御意見が分かれてございます。
登録後に行うことが望ましいという方、何名かいらっしゃいしまて、これはやはり登録前に研修を行うと参入障壁になるのではないか。特に修了考査をすると、考査をする以上、当然落ちる人もいるでしょうから、弁理士試験に加えて2回目の試験を行うのと同じことになり、登録の参入が規制される。
また、登録前の研修とすると、試験と同様に国が行う必要があるわけですが、官から民への流れというところに逆行するのではないかといったようなことで、登録後に行うべきだという御指摘をいただいております。
他方、登録前に行うことが望ましいという御指摘も日本弁理士会からの委員の方を含めでございますが、いただいておりまして、これはやはり登録後の義務研修では受講しない者に対する措置ができないのではないか。特に氏名の公表というのがあるにしても、どれだけ効果があるのか。また、試験を合格して登録した直後に、業務停止、あるいは資格剥奪というのが本当にできるのか。仮にそうであると、むしろ資格を与えてすぐに剥奪ではかえって混乱するのではないか。といったような理由からそういう御指摘をいただいております。
それから、また何名かの委員からは登録前後というのはいいんだけれども、それより前に研修の具体的な内容及びそれが参入障壁でないと言えるのかどうかということをきちんと検討しないと、そもそも前か後かという議論をしても仕方がないのではないかという御指摘をいただいております。
議論の整理といたしまして、まず継続研修の方でございます。
これは法律における義務づけを行うといたしましても、やはり現在弁理士登録をしている者が対象でございますので、日本弁理士会を研修実施主体として何らかの形で法律上位置づけるということが妥当だろうと考えております。
参考例といたしまして、前回の審議会でお配りしてございますが、公認会計士につきましては、公認会計士法第28条の規定で、内閣府令で必要な内容を定めつつ、公認会計士協会が研修を行うということを規定しております。ちなみに内閣府令では1年間当たり40単位、40時間を最低クリアしなさいといったような規定がされております。
それから、建築士法の一部改正法が来週閣議決定される予定でございますけれども、私どもが伺っておりますのは、強制加入団体ではございませんが、建築士法でも、国土交通大臣の登録を受けた機関が講習を一定期間ごとに行って、1級建築士、2級建築士等々の区分ごとに内容は若干違いますけれども、それを受講することを法律上義務づけるという法案を国土交通省の方で臨時国会に提出するという予定になっております。
具体的内容といたしましては、例えば日本弁理士会から、詳細は別紙1でございますが、別紙1のような御提案をいただいているわけでございますけれども、内容といたしましては、倫理研修、業務適正化研修等を主な内容として、例えば一定期間、5年以内に一定時間、例えば70時間の研修の受講を義務づけ、スクーリングとE-ラーニングとの組み合わせ、また正当な理由なく受講しなかった場合には最終的には一定の厳しい措置をとるといったような内容のご提案をいただいておりまして、具体的には別紙1を御覧いただきますと、後ほど日本弁理士会の方から簡単な補足をいただければと思いますけれども、継続研修につきましては何らかの形で、先ほど御説明しましたように、法律上、日本弁理士会というのを位置づけることが妥当と考えております。また、内容としては、まず倫理研修、すなわち、利益相反、守秘義務、信用失墜行為、顧客への説明責任、事例検討等、こういったような内容でございます。それから、専権業務適正化のためのもの、要するに法改正とか、審査基準、これはほとんど毎年のように変わっておりますけれども、そういったようなものの内容説明、適正な対応、適正な出願及び審査対応、重要判例研究等です。それから、弁理士の標榜業務への適正な対応のための研修でございます。これは外国出願関連業務もあると思いますし、周辺法、判例研究、知財ビジネス関連等、こういったようなものを内容とする研修を行っていただきまして、企画、立案、実行は日本弁理士会ということで、4の研修方法でございますが、倫理研修と専権化業務適正化研修は、集合研修及びE-ラーニング研修、プラス効果確認テスト、回答提出等ということでございます。
2ページ目にまいりまして、5年間で70時間程度の受講時間ということで、具体的には倫理研修は、例えばでございますが、5年間で10時間とか、専権業務適正化のものについては5年間、40時間、標榜業務は5年間、20時間ということでございます。研修開催場所は全国で行います。
ペナルティーとして、勧告を行っても受講されなかった場合には、ここに書いてあるような処分を行う。ただ、専権業務、倫理研修と標榜業務ではやはり重要性が違いますので、処分につきましても内容が若干異なっております。こういったようなものをご提案いただいております。
これについては私どもの方も基本的には詳細は今後議論するにしても、一定の評価ができるものではないかというふうに考えておりまして、こういうものを基本に具体的内容を検討していくことは妥当ではないかというふうに考えております。
それから、2ページ目の下の方から新人研修ということでございます。御指摘に従って整理をすれば、3ページ目にまいりますが、まずまる1は先ほど御説明しましたように、研修の義務づけは必要であるということであります。
まる2として、そのためには幾つかの条件をクリアすることが必要と考えておりますが、やはり特許を中心としつつ、工業所有権法全体にわたりまして出願手続、明細書、特許請求の範囲の作成等を含めた書類作成、意見書・補正書の作成を含む審査対応、それから先行技術調査ができるための基本的な知識の体得、理解等、それから、弁理士としての心構えから利益相反等についての対応等について最低限必要な知識を身につけるためのカリキュラムであることが必要であるというふうに考えております。
なおかつ新人全員がきちんとこういう研修を受講するようなスキームであることが重要でございまして、他方、働いている社会人が大部分でございますので、働きつつこういう研修が受講できるようなスキームになることが必要となります。その上で、弁理士の量的かつ質的充実、両方とも充実が重要であるという観点からは、当然ながら参入障壁とはならないようなものであると評価できるものであることが必要であるというふうに考えております。
こういう整理を踏まえますと、まる1まる2のⅰ、ⅲの観点から、日本弁理士会から前回の審議会での議論を踏まえた提案として別紙2の具体案を提示していただいております。これにつきましては別紙2の方を御覧いただきたいのですが、一番上にシラバスの要約がついておりまして、その後ろに具体的なシラバスがついておりますが、研修の理念といたしまして、やはり業務を行うために求められる基本的素養の習得、試験のみではカバーできない実務領域の研修、それから、参入規制とならないために一般的に試験合格者程度であれば大きな負担なく修了できるレベルということで、弁理士試験の合格発表から3カ月ぐらい研修を行って、内容は国が企画・立案し、実際の実施の部分は日本弁理士会に委託をする。7回のスクーリングとE-ラーニングということで、4月から、新年度から弁理士業務ができるようになる。
修了確認は行うが、修了考査は行わない。ただ、当然ながらきちんと出席してもらうことが必要ですし、課題を出して、それに対してレポートを出してもらって、それが一定程度以上であるということであれば、修了。修了要件を満たさない場合には3月中に補講を開催して、何とかちゃんとやれば修了できるようにする。
それから、免除でございますけれども、義務づけを登録前にする以上、免除についてはきちんとルーリングが必要であるということで、特許庁の審査官経験者と弁護士については、倫理以外は免除。ただ、それ以外の者につきましては、課題に対するレポート、例えば研修を始める前に1日か2日、集まっていただいて、7回のスクーリング、7つのレポートというのを先につくっていただいて、例えば60点以上習得した場合については当該科目の受講を免除する。ただし、倫理については免除しない。そういったようなことでやってはどうかというご提案であります。
具体的に横長の紙が後ろについていると思いますけれども、これを御覧いただきますと、トータルで66時間、そのうちスクーリングが28時間、7日分相当、E-ラーニングが38時間相当、一番右の欄にレポート提出・講師評価と書いてございますが、それぞれ特・実、意匠、商標につきまして基本的な部分、明細書、それから審査対応等々について課目名が左に並んでおりますが、全部で、1の開講式というのはどうするかというのはあるのですけれども、30の項目についてやってはどうかという御提案であります。
これにつきましては、本体資料の3ページの方でございますが、私どもの方といたしましても新人に対する義務研修の内容として一定の評価ができるのではないかと考えておりまして、今後国の方でこの案を基本としつつ、制度設計を行っていくことが妥当ではないかと考えております。
他方、2のまる2の観点からは、中身はそれでいいとしても、登録前か後かということでございますが、やはり全員がきちんと受講するという観点からは登録前研修の方が登録後よりも適当であると考えられると思います。すなわち、登録前であれば全員受講しますが、登録後ですと、先ほど申したような論点があろうかと思います。
他方、参入障壁という観点からは当然登録後研修の方が登録前よりも妥当なわけでございますが、今御説明しましたような提案の内容、レポート考査はするが、修了考査は行わず、期間は3カ月、新年度から業務可能でも参入障壁と評価するべきなのかどうかというところかと思われます。
なお、登録要件としての義務研修にいたしますと、前回資料にもあるとおり、既に資格を有する者も今回要求するレベルと同じ能力が本来は資格維持のためには必要という論点がございまして、この論点をどうすべきかについての検討にも留意が必要ということでございます。
それから、先ほどの国の関与の最小限ということですが、企画・立案は国、あるいは独法が行って、実施を日本弁理士会等の機関に委託する旨を法令に明記するということによって、国の関与を必要最小限にできるのではないかというふうに考えております。
参考資料8-1は、海外の状況と国内の他の士業の状況でございますが、海外は国によって違いますけれども、欧米や中国においては試験の受験要件として一定の実務経験を求めていたり、ドイツ、韓国では登録前の義務研修があるといったような事例がございます。
他の士業では登録前の研修を受けなければならないというのは弁護士、公認会計士、社会保険労務士がそういう規定になっております。それ以外は実務経験等を要求しているものも幾つかございます。
以上でございます。

中山委員長

ありがとうございました。
では、事務局のただいまの説明につきまして何か質問、あるいは御意見がございましたらお願いいたします。
谷委員、どうぞ。

谷委員

御説明、ありがとうございました。
既登録弁理士の継続研修につきましては、弁理士法に義務化の根拠規定を置いていただき、それを受けて日本弁理士会が責任を持って研修を行います。日本弁理士会は、この研修によって弁理士業務の適正化に向けた役割を積極的に果たしてまいります。
それから、次に登録前の新人につきましての義務研修ですけれども、本日配布していただきました案のように、必要最小限の研修にとどめ、弁理士試験合格発表後3カ月という最短のコースで実施を行い、かつ、翌年の3月には補修も行いまして、ほとんど全部の合格者が新年度4月から弁理士業務を行えるように最善の努力をいたします。
また、受講者の負担を軽減するために、E-ラーニングとスクーリングの組み合わせによる研修としまして、働きながらも受講できる体制を整えます。
なおかつ、参入規制に該当しないように最大限の配慮をするために、修了考査を行わず、レポート提出とします。
このように私どもは参入規制に該当しないよう、細心の注意を払い、その上でユーザーの求める弁理士制度の構築に向けて努力をしていく所存であります。
さらに、本日の提案に対しまして改善のご提案がございましたならば、ご意見を承りますので、ご審議のほどよろしくお願いしたいと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
他にございますか。
吉田委員、どうぞ。

吉田委員

この論点の再整理については過不足なくできていて、特段の問題はないと思いますが、今後これらに沿って具体的な検討を進めるに当たって、1つは、試験制度の方の改正の議論の方向、その内容というものを常時視野に入れながらこの研修の問題を検討する必要があるのではないか。試験制度についてもいろいろと問題点、検討すべき点等が指摘されているわけですが、どれ1つをとってもなかなか一筋縄ではいかないような問題が多いわけで、仮にそういった問題がかなり望ましい方向で改善されたとしましても、その試験に受かったらそれだけで十分その次の日から一人前の弁理士として十分な活動ができるかというと、決してそうではないと思われますので、やはり試験においてカバーできないような点を補完できるような研修であるべきであろうと思います。ですから、その点に十分に留意された今後の検討が必要かと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
他にございますか。
大渕委員、どうぞ。

大渕委員

まず、弁理士に対する継続研修でありますけれども、先ほど事務局から建築士法改正案等、いろいろと御説明いただきましたが、継続研修については社会的ニーズも非常にあると思いますし、また、新人研修は法律上研修を義務づけるということとのバランスからいたしましても、主体はあくまで日本弁理士会であることを法律でもきちんと位置づけた上で、別紙1でいろいろ具体化が図られているような倫理研修、業務適正化のための研修等をしっかり行うということは大変社会的に意義のあることではないかと思っております。
次に、新人研修でありますけれども、もちろん研修を行うこと自体、今申し上げた意味で非常に意義がありますが、問題は従前から問題とされているように参入障壁的に働くのではないかという点であります。その観点から言いますと、外部の人からどう見えるかという点を強調していけば、登録後の方が望ましいということもあり得ますが、他方で、日本弁理士会の方で非常に工夫されたような内容の研修がきちんと実施できて、そのような意味で参入障壁的に働かないということが確保できるのであれば、登録前ということもあり得るわけでありまして、要は、新人研修の具体的内容いかんに関わる問題ではないかと思っております。
以上です。

中山委員長

ありがとうございます。
相澤委員、どうぞ。

相澤委員

知的財産推進計画、及び規制緩和で、弁理士数の増大というものが要求されている状況にあります。
今年度の論文式試験の合格者の数が減っているという客観的な状況もあります。
そういう状況の中で事前の義務化研修をするということは、弁理士制度をより参入制限的にする改正であると理解されると思います。参入制限的な改正をするということは大きな問題になると思いますので、事後研修であるべきであると思います。
現在問題となっている事例というのは、新規登録者の問題ではありません。懲戒、あるいは日本弁理士会内で問題とされているのは、知識の不足ということではなく、弁理士という専門職業の自覚に関わる問題であると思います。
研修の重要性は認めますが、新人のみに問題が大きいわけではないという事実があります。
したがいまして、登録後に、日本弁理士会がその自治に基づいて事後的にきちっと行うべきであり、そこに強制加入団体としての日本弁理士会の存在意義があると理解されるのではないかと思います。

中山委員長

野坂委員、どうぞ。

野坂委員

私は前回登録後に新人の研修を行う方がいいのではないかという発言をいたしましたけれども、それはやはり参入障壁になるのは好ましくないという判断から登録後がいいと発言いたしました。今回、日本弁理士会から当初考えられていたものに比べると大分改善された案が示されました。これならば従前懸念されていたほど参入障壁にならないかもしれないという認識に私は少し変わってきております。
したがいまして、先ほど会長から参入障壁については細心の注意を払うという御発言がありましたけれども、それを前提としてこれをベースに考えていくということは非常に有意義なことかなと考えます。
また、実際に新人研修をやってみると、恐らく2、3年やっていけば新人の方の反応も出てくるでしょうし、改善点も出てくると思います。したがって、今後の推移を見て改善すべきところは大いに改善していくということで、また具体的に詰めて検討していただきたいと思います。
また、先ほど相澤委員がおっしゃられましたけれども、この問題は新人のみの問題ではないということでありますけれども、私は新人のみというより、新人以上に既登録者の問題がやはり大きいということがこの一連の資料で浮き彫りになっているのではないかと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
では、坪田委員、お願いします。

坪田委員

私も前回できれば、この新人研修は登録後が望ましいというよう発言をしたと思います。具体的には課目のイメージがよくわからなかったのであれですが、具体的に出てみますと、もし私が弁理士としてやっていこうとすれば、登録前であろうが、なかろうが、こういったものはぜひ受けたいという気持ちになります。
ちょっと気にはなったんですが、3カ月にスクーリングを7回、地域も全国9カ所ぐらいでおやりになるというようなことを書かれているのですが、かなり負担になるのではないかなと思います。私どもも、商工会議所としてスクーリングを伴うような資格もやっているのですが、受講者は結構大変なんです。そこら辺の工夫は何か必要ではないかなという気がします。
以上です。

中山委員長

ありがとうございました。
それでは、清水委員、お願いします。

清水委員

参入障壁にならないようにということで、日本弁理士会の方でいろいろ工夫なさっていることは評価できることだと思っております。
ただ、今、出されている案を拝見しますと、数は少ないのですが、院生、学部生などについては、この時期にこういう日程で組まれた場合には、ほとんど参加できない人が出てくるのではないかという気がします。ちょうど卒業試験、あるいは卒論、修論の時期とぶつかってしまうと思いますので、合格者は社会人がほとんどだからいいんだと言えばそれまでなんでしょうけれども、在学者についてこの日程で7回スクーリングに来なさいというのは非常に困難ではないかという気がします。その辺、学部生、院生の合格者がいる以上、そういう人たちが受けやすい案を入れていただかないと難しいのではないでしょうか。
それから、私は従前、登録後研修の方がいいと思っていましたが、弁理士会の案を見てやや考え直す気持ちになっているのですが、基本的に弁理士として業を行っているから、その研修の費用負担ができるわけで、まだ弁理士として何も収入を得ていない段階で、先に負担をしなさいというのはどうかなという気がします。特に学生の方については、全く無職・無収入でしょうから、奨学金制度もないところでどうにかして捻出しなさいというのはやや負担が重いのではないかなという懸念があります。
以上です。

中山委員長

日本弁理士会としては今の学生問題ですが、なるべく若い人に受かってもらった方がいいわけですけれど、これはどうお考えでしょうか。

谷委員

まず1点、受験の環境から申し上げますと、試験が易しくなってきてはいても、受験生はかなり勉強をやってきているわけでして、その費用もかけてやってきているわけです。その延長としての3カ月の時期的な負担は、受験生から見ると本格的に弁理士をやる前にこれだけの内容のものを集中的に受講できるという面で非常にメリットがあるかと思っております。
それから、費用につきましても、それまで多分大方の方は塾であるとか、ゼミ、そういう受験機関等でいろいろ勉強してきているわけですので、それに対して費用の面でもそんなに負担にはならないかとは思いますけれども、今おっしゃったように学生の方、無職の方等についての負担は確かにあろうかと思います。それにつきましては日本弁理士会として、例えば貸与制度であるとか、何らかの授講料の手当てを融通できるような制度はもちろん考えていきたいと思います。

中山委員長

学生はほとんど受講できないのではないかという、こちらの方のお答えはどうでしょうか。

谷委員

時期的なことについては、7回のスクーリングは大体が土曜日か日曜日に3カ月やるわけですので、1月にせいぜい2回程度です。それが先ほどの卒論とか修士論文、博士論文等の整備との兼ね合いでどのぐらいの負担になるのかは、私としてはよくわかりませんけれども、それほどの負担にはならないのではないかなと思っております。
ただし、皆さんの御意見を聞きながら、極力そういうことが負担にならない形で、つまり参入規制とならない形で実施する方向に持っていきたいとは思っております。

中山委員長

他にございますか。
澤井委員、どうぞ。

澤井委員

ちょっと質問ですけれども、基本的にはこの方向でいいと思いますが、継続研修のところで、研修実施者は日本弁理士会と2ページの2.の1になっていて、4ページ目の新人研修のところで「実施を日本弁理士会等の機関に委託する」と書いてあって、「等」が入っているのは何か意図があるのですか。はっきり日本弁理士会がこれから自分たちの仲間になっていく者に対して研修を実施するという意味では「等」はなしの方がいいような感じがしました。

稲垣秘書課長

これは要するに具体的に法改正を念頭に書いてあるのですけれども、実質的に日本弁理士会に委託をするというのは特段問題ないのですが、登録前ですので、例えば形式上は外部の機関でちゃんとしたところと法律上は書いておいて、日本弁理士会にするべきとかいろんな議論があり得ると思いますので、念のために書いてあるということでございまして、実質的には日本弁理士会を想定しております。

澤井委員

それに絡むのですけれど、その上の行のところに「企画・立案は国が行い」と書いてあって、多分お考えいただいていると思うのですが、実際弁理士として活躍される方に対しては我々ユーザーサイドが代理人としてお願いするので、日本弁理士会というか、国が実際の研修を企画するときに、ユーザーサイドの意見も実際には入るような工夫はしていただければいいなと思います。
それから、研修は多分、さっき吉田委員がおっしゃったように、試験とのペアリングでいろいろと考える要素があると思いますけれど、多分この研修は基本的に実務の最低限の基本を教えるということなので、例外なく全員に基本的には受けさせるという方向でやっていただきたいと思います。
以上です。

中山委員長

他にございますか。
戸田委員、どうぞ。

戸田委員

新人研修に関しては随分案が改善されていまして、私もこの案で賛成です。
ただ、2つお願いがありまして、1つは課目の数は随分厳選されて、必要最小限のものになっているのですけれど、中身に関して、改善をお願いしたい。今までの新人の任意研修をそのままシフトするのではなくて、日本弁理士会のドリームチームを組んですばらしいものをつくってほしい。中身の充実をやってほしい。参入障壁と言われるのではなくて、むしろ弁理士試験を受けるインセンティブとなるような研修にしてほしいと思います。
もう1点は、7回スクーリングという点です。私も気になっていまして、全国数カ所でやるにしても、移動を伴ったり、宿泊を伴ったりするのは大変かなという気もします。7回分全部行かなくても、半分ぐらい、4回ぐらいで、同じ内容が受講できるようなことはできませんか。例えば1日、午前と午後、それを4日受講すれば完了できるような工夫や配慮をしていただけると、より魅力のあるものになるのではないかなと思います。
以上です。

中山委員長

三尾委員、どうぞ。

三尾委員

私も新人研修については賛成です。継続研修ももちろん賛成なんですけれども、やはり合格者の人数が増えると、理由はよくわからないのですが、質が低下してきているということが現実としてあるかなというふうに思いまして、弁護士の場合も同じ問題があります。研修所で今年かなりの数の不合格者が出たというようなこともございまして、周りを見回してみてもやはりやや質が落ちているのかもしれないという気がいたしまして、資格制度ですので、資格があるということはある一定レベルのものを備えているというふうに一般的に思われるということですので、やはり質の担保というのは何より大事であると思います。
参入障壁ということもあるかと思いますが、たくさん採って、あとはユーザーの負担で選択してくださいというのは余りにも無責任なところがございまして、弁護士の場合で申し上げますと、必ずしも優秀な弁護士がユーザーに必ずしもたくさんの事件をもらっているというか、リンクしているということにも必ずしもならないということもございますので、そのあたりはきちんと研修をして、質を担保していただいた方がいいのではないかなというふうに思います。

中山委員長

本日は、議事が盛りだくさんで、時間をオーバーするかもしれませんけれども、お許し願えればと思います。
他に何かございますか。相澤委員、どうぞ。

相澤委員

日本弁理士会の研修計画では、学生の研修に問題が生じると思います。修士論文の提出時期や学期末試験のころに研修をしなければいけないということは、学生の勉学に影響が生じると思います。参入障壁については、推進計画でも弁理士数を増やすということになっていますので、十分に配慮していただきたいと思います。
それから、事前研修にしますと、研修の免除は、法令で定められた義務の免除ということになりますので、これをきちんと法令で定め、その認定の手続も行政庁が行わなければならないと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
他にございますか。
この程度でよろしいでしょうか。
それでは、他に事務局からこれに関係する説明がございましたらお願いいたします。

稲垣秘書課長

お手元に資料9というのをお配りしてあると思います。これは前回御議論いただきました弁理士試験の免除、すなわち知財専門職大学院の修了者に対する短答式試験の免除についてどう考えるかということで、私どもの方で東京理科大、大阪工大と話をいたしまして、両大学連名で出されてまいりましたものでございます。
お読みいただければおわかりいただけると思いますけれども、ここに書いてございますように、やはり両大学院とも、下の1にございますように、専門職大学院のカリキュラムを整備し、弁理士試験の短答式試験科目に対応した科目を設置する。そういうものを必須科目とすることを前提として、係るカリキュラムを履修修了した者に対して、短答式試験の免除をしてほしい。
免除認定は、そういう制度がワークした時点から2年程度を経過した時点で、実際に修了した者から対象にする。
当然その論文試験の合格率は継続的にモニターをして、低い場合には認定は取り消されるものであることを念頭に置きたいということでございまして、こういったような要望を踏まえまして、免除の方法としても卒業したら未来永劫免除なのか、あるいは一定期間だけにとどめるのかとか、いろんなやり方があると思いますので、こういったような要望書を踏まえまして今後検討を進めていきたいと考えております。
以上です。

中山委員長

この点に関しまして御意見、御質問ございましたらお願いいたします。
相澤委員、どうぞ。

相澤委員

短答式試験の免除をするのであれば、短答式試験の合格者に対する翌年度以降の試験の免除ということとのバランスを考慮していただきたいと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
他に御意見ございますか。
これは何を免除するのか、これだけだとわからないですね。

稲垣秘書課長

これは弁理士の短答式試験科目です。

中山委員長

ですから、例えば物理をやっている人なら物理ならわかるのですけれども、これで知的財産一般を授業するわけですね。そうすると、科目の免除としては可能性としてはどういうところが免除可能性があるということなんでしょうか。

稲垣秘書課長

これは工業所有権法令ということを想定しております。

中山委員長

本体に近い方の免除ですね。

稲垣秘書課長

そうです。

中山委員長

他に何か御意見、あるいは御質問ございましたら。
よろしいでしょうか。

その他

中山委員長

それでは、本日予定いたしました盛りだくさんの議事につきましては一通り御議論をちょうだいいたしましたので、今後の委員会の進め方につきまして事務局から説明をお願いいたします。

稲垣秘書課長

今後の進め方でございますけれども、2回にわたりまして論点整理を行っていただきましたので、御意見を踏まえまして、対応の方向を整理いたしたいと思います。
その後にパブリックコメントの案及び報告書の案を作成いたしたいと思っております。
皆様方の御意見をいただき、御了解をいただいてから、11月と考えておりますけれども、パブリックコメントに出したいと思っております。
また、最終報告書案でございますけれども、一応パブリックコメント等の推移にもよるわけでございますが、できましたら12月と考えておりますけれども、次回の委員会で御審議いただきたいと思います。また、次回の委員会の開催日につきましては後日調整お願いしたいと思います。
なお、論点整理につきましての議論が大体で出てきていると思いますので、パブコメ案及び報告書案に何を盛り込むかという部分につきましては委員長に御一任をいただき、後ほど中身については皆様にお諮りをして御了解をいただきたいと考えておりますが、いかがでございましょうか。

中山委員長

ただいまの委員会の今後の進め方につきまして御意見ございましたら。
谷委員、どうぞ。

谷委員

一任につきましては基本的にはそれでよろしいかと思います。
ただ、以前に長官がおっしゃっていましたように議論の過程も大事であると思いますので、今までの議論で挙がってきた我々の意見も含めまして報告書の中で付言していただければと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
他に御意見ございませんでしょうか。
どうぞ、谷委員。

谷委員

それから、今の話とは関連しませんけれども、前回のテーマであった外国出願関連業務ですが、これにつきましては今後の我が国の知財に関する国際活動を推進する上で極めて重要であると認識しております。その意味で本審議会において外国出願関連業務を弁理士の標榜業務化することについて大方の委員の方の御賛同をいただいたことに対してまず御礼を申し上げます。あわせまして弁理士の国際性を担保する上で条約科目の試験については単に知識を問うだけではなく、論理的な思考についても保証するような制度にしていただきたいということは、これまでの日本弁理士会の要望であるということを、今回も重ねて申し上げておきたいと思います。
また、前回の平成12年度弁理士法改正時には知財戦略はまだ成立していませんでした。したがいまして、知財戦略の観点から弁理士に国際競争力を持たせるべく弁理士制度を見直すということは当然なすべきことであろうと思っております。
それから、本日の資料にも示されている弁理士制度の国際比較でございますけれども、国際競争力の強化の観点からは各国と比較しましても遜色のない世界に冠たる弁理士制度をぜひ目指していただきたいと思います。
ちょっと長くなりましたが、以上です。

中山委員長

他に御意見ございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、今後の進め方につきましてはただいまの事務局の提案どおりとしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に、中嶋長官から一言お願いいたします。

中嶋長官

もう時間を超過しておりますので手短に申しますけれど、今回も大変充実した御議論をいただきましてありがとうございました。
毎回大変活発な御議論をいただいて大体大きな方向性は出していただけたのではないかと思っております。知財立国のインフラとしての弁理士制度をどうやって質的、量的に充実していくか、それからプロフェッショナルとしての弁理士の方々の責任の明確化といいますか、あるいは特にユーザー、つまり産業界も大変厳しい競争を今されているわけですけれども、弁理士さんの中でもいろいろ切磋琢磨してユーザーのニーズにかなうようにという方向で御議論していただいていると思っております。
ですから、今後、本日までの御議論を踏まえて報告書の原案をつくりまして、また最終的に御確認をいただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

中山委員長

ありがとうございました。

閉会

中山委員長

以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第5回弁理士制度小委員会を閉会させていただきます。
どうも本日は長時間ありがとうございました。

[更新日2006年11月16日]

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