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第6回弁理士制度小委員会 議事録

開会

中山委員長

時間でございますので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第6回弁理士制度小委員会を開催いたします。本委員会の開催に際しまして、皆様方、お忙しい中を御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
審議に入ります前に、特許庁側出席者に異動がございましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。

小林弁理士室長

それでは、御紹介させていただきます。
11月1日付で、稲垣前秘書課長が通商政策局通商政策課長に異動いたしました。後任には横山秘書課長が着任しております。
また、既に庁内では立法化に向けてのプロセスに入っておりますので、間庭工業所有権制度改正審議室長が出席いたしております。
なお、従来の経緯もございますので、前秘書課長には特許庁総務部付として、本日は引き続き出席してもらうこととしております。
以上でございます。

中山委員長

ありがとうございました。
それでは、審議に移りたいと思います。前回まで、5回にわたり弁理士制度のあり方につきましての方向性を示すべく御審議いただき、皆様から意見をいただいたところでございます。
本日は、これまでの議論を踏まえまして作成された報告書案につきまして、事務局において12月2日までの1カ月間、パブリックコメントを実施いたしましたので、提出されました意見等についての考え方を整理するとともに、本小委員会の報告書として取りまとめるべく御審議をしていただきたいと思います。

中山委員長

まず、事務局より配付資料につきまして説明をお願いいたします。

小林弁理士室長

それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
議事次第、配付資料一覧がございます。その下に資料1「産業構造審議会知的財産政策部会弁理士制度小委員会報告書(案)」でございます。資料2「パブリックコメントに提出された主な意見に対する考え方」、この2点を本日は用意させていただいております。
以上でございます。

中山委員長

過不足ございませんでしょうか。よろしいですね。
早速、審議に入りたいと思います。
本日は、産業構造審議会知的財産政策部会弁理士制度小委員会報告書案につきまして、前半部分ではパブリックコメントで提出されました主な意見の紹介と、その主な意見に対する考え方の整理について、後半部分では本小委員会報告書案について御審議を頂戴したいと思います。

パブリックコメントに提出された主な意見に対する考え方について

中山委員長

初めに、パブリックコメントについて提出されました主な意見とそれに対する考え方につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

小林弁理士室長

それでは、私の方からパブリックコメントに提出された主な意見を御紹介させていただくとともに、その考え方について御説明させていただきます。
資料2を御覧いただきたいと思います。本小委員会報告書案の概要に対して寄せられた御意見の概要と御意見に対する考え方でございます。
パブリックコメントは平成18年11月3日から12月2日までの1ヶ月間にわたって行わせていただきました。この間に御意見の提出があった件数が66でございました。内訳としましては、こちらの方に記載しておりますとおり、個人が28、学校関係者3、会社関係2、弁理士21、学校関係グループとして1、弁理士グループとして6、団体4、不祥1という内訳になってございます。
これまでの主要検討項目についての御意見の提出数でございますけれども、最も御意見が多かったところは弁理士試験制度について40でございます。それから、知的財産部門の分社化についてが30寄せられております。3番目が弁理士研修制度についての御意見が15寄せられております。総括的には以上でございます。
それから、1枚めくっていただきまして、検討項目ごとに寄せられました御意見の主たるものと、それに対する考え方について御説明申し上げたいと思います。
最初は弁理士研修制度についてでございます。こちらは既登録弁理士に対する継続的専門研修と、新人弁理士に対する義務研修についての御意見が主たるものでございます。
まず、既登録弁理士に対する継続的専門研修に対する御意見からまいります。項番3番、継続的専門研修については報告書どおりで問題はないという賛成の御意見をいただいております。こちらは、ほかに2件の同様の御意見をいただいておるところでございます。
それから、めくっていただきまして、こちらの方は既登録弁理士に対する研修の義務化については必要ないという反対の御意見でございます。これは自己研鑽に任せるべきという趣旨の御意見でございます。
これについての考え方でございますが、既登録者への義務研修は現状において弁理士資格取得後の資質の維持・向上について義務的な措置は存在していないこと、また日本弁理士会が行う自主研修の充実による対応の限界、ユーザーニーズの多様化、さらに弁理士の実務能力にもばらつきが大きく、不適切な行為を行う弁理士による手続等により出願人、特許庁における審査等に悪影響を及ぼすことから、資格の信頼性を確保する観点から今回、新たに導入するものでございます。
次に、新人弁理士に対する義務研修についての御意見でございます。新人弁理士に対する研修は登録前とすべきか、登録後にすべきかという御議論をこの間いただいているところでございますが、項番6番、7番につきましては、登録前とすべきという御意見でございます。
項番6番、新人弁理士が十分な実務能力をつけることができるようにすべきことは望ましい、そのためには登録前研修の義務化については基本的に賛成するという御意見でございます。このような御意見が他に5件ございました。
それから、項番8番、9番は登録後とすべきという御意見でございます。項番8番でございますと、強力な参入障壁となるため、登録後研修のみとすべきである。既に社内には多数の知財部員の未登録有資格者がいる。登録前研修が義務化されると、社費で登録する社内弁理士が減ると思われる。これは弁理士登録者の激減を意味するという御意見でございます。
これにつきましては、考え方としまして、弁理士試験は弁理士となるのに必要な学識、応用能力を試すものでございまして、実務能力は考査しておりません。また新人弁理士に対する義務研修は、弁理士として必要な実務能力を担保する観点から修習を義務づけるものでありまして、今後、参入障壁とならないよう制度設計を検討してまいります。
続きまして、めくっていただきまして、3ページ目でございます。これは研修受講歴の公表についての御意見でございます。項番13番でございます。研修受講歴の公表については賛成とする御意見が、この意見のほかに2件ございました。
さらにめくっていただきまして、4ページ目の弁理士試験制度についての御意見でございます。こちらの方は項番2番で、短答式試験合格の際の翌年以降の一定免除、それから論文試験の科目別合格制度、論文の必須と論文の選択を個別合格とする制度について、非常に合理的であり、ぜひ実現していただきたいという御意見でございます。同様の御意見がほかに6件、提出されております。
それから、項番3番でございます。条約について、工業所有権法令に係る論文試験の中で問うという案は慎重に検討すべきという御意見でございます。これについての考え方でございますが、海外における権利取得ニーズの高まりや国際出願件数の伸びなどを背景として、弁理士の国際的な知見が重要になっているところでございます。論文式試験の中で工業所有権法に直接関連する条約の解釈力等を問うことを明確化するとともに、あわせて今回新設します義務研修の中におきましても、条約関連の講義も行うことにより対応したいと考えておるところでございます。
次に、項番の5番を御覧いただきたいと思います。これは知的財産専門職大学院修了者に対する試験の免除についての御意見でございます。こちらの方は、知的財産専門職大学院は設置されてから期間が短く、その実績について十分検証ができていない状態であるので、修了者の知識が十分に検証されない限り免除を行うべきではないという反対の御意見でございます。
これについての考え方でございます。知的財産専門職大学院におけるカリキュラム等について、試験免除に足るだけの十分な能力レベルが担保されている大学院のみを対象とすることが適切と考えられるというところでございます。反対とする御意見がほかに12件、寄せられております。
めくっていただきまして、これに相対する賛成とする御意見も、5ページ目の項番10番でございます。知的財産専門職大学院では法律、技術、経済など複合分野に強い弁理士を輩出できる可能性を秘めた教育機関であり、知的財産専門職大学院の修了者に対して弁理士試験の一部免除の導入を行うべきと、同様の御意見が他に9件、寄せられております。
さらにめくっていただきまして、6ページ目でございます。こちらは条約に関する御意見でございます。項番13番、工業所有権に関する条約数や内容は限定されているから、学習範囲も狭く、また条約に基づき各国内法が制定されているという論理を考えるならば、条約は必須科目として必要であるという御意見でございます。他に同様の御意見が4件、寄せられております。
これについての考え方でございます。論文式試験の工業所有権法において関連する条約の解釈力等をあわせて問うことを明確化することにより対応したいと考えております。
さらに、項番14番、こちらの方は短答式試験の合格者に対する一定期間の免除でございます。短答式試験には論文式試験の足切り的な要素が含まれており、短答式試験を課すことにより受験生の知識の向上も見られる。そのため短答式試験は免除すべきではなく、免除するとしても、複数回の合格を条件とすべき。こちらに対しては、同様の御意見が他に3件、寄せられております。
こちらに対する考え方でございます。短答式試験については、一度合格して相当の知識を有していると認められた者に対して、短答式試験を免除することは合理的であると考えておりますが、御指摘のとおり、知識の永続性の観点もございますので、免除の期間については所定の年数に限ることで検討しているところでございます。
さらに、項番17番では、弁理士業務に必要不可欠なスキルを身につけるべき適正な試験制度の実現が望ましいという御意見でございます。
こちらに対しての考え方でございます。弁理士試験は、弁理士になるのに必要な学識、応用能力を有するか否かを判定することを目的としております。その試験の範囲内においては、弁理士の専権業務は特許庁に対する手続業務を主としておりますので、必須科目としてはその中核となる産業財産権に関する学識と応用能力を問い、さらに選択科目としては技術または民法等の法律に関する学識、応用能力を考査しております。また、実務能力につきましては義務研修制度により担保することとします。
さらにめくっていただきまして、7ページ目に移らせていただきます。こちらの方では項番24番で、法科大学院修了者に対する論文提出を要件としての一部免除に対する賛成の御意見、26番では論文式試験の科目別合格制度に対する賛成の御意見も寄せられております。
さらに進ませていただきます。8ページ目、弁理士法に規定する業務についての御意見でございます。
一つ目でございますが、外国出願関連業務についての御意見でございます。項番の1番は外国出願関連業務を標榜業務とすることについての賛成の御意見でございます。ほかに同様の御意見が1件、寄せられております。項番の2番と3番は、どちらかと申しますと、外国出願関連業務について反対するという趣旨の御意見でございます。
こちらに対しましての考え方でございますが、日本の出願人が外国の有資格者を介して外国特許庁へ出願する際の当該出願に係る書類の翻訳文及びドラフトの作成業務や外国有資格者への媒介については、我が国弁理士法に特段の規定はなく、誰でも行うことが可能な業務であります。今般、審議会において当該業務を適正に行う義務と責任を弁理士に課すことを踏まえまして、標榜業務とすることが適当と考えております。
続きまして、二つ目でございますが、特定不正競争についての御意見でございます。9ページ目になりますが、こちらの方は、特定不正競争の拡大について賛成とする御意見が、項番1番のほかに2件、寄せられてございます。項番2番の方では、拡大に反対とする御意見が寄せられているところでございます。
項番2番では、弁理士は紛争解決に必要な法律の素養について能力担保されておらず、技術的分野を超えた厳密な法的判断を要求することは依頼者の利益を損なう可能性が否定できないことから、特定不正競争の範囲を拡大することは不適切であるという御意見でございます。
こちらに対しましての考え方でございますが、侵害訴訟代理におきましては、弁護士と共同で行うものでありまして、一定程度の訴訟業務等についての知見を有することは必要ではありますが、弁理士に期待されているのは、主として工業所有権に関しての知見と考えておりますので、妥当なものと考えております。
三つ目は、10ページ目の特定侵害事件に係る単独訴訟代理権についての御意見でございます。こちらの方では、項番1番で、報告書で整理させていただいております時期尚早ということの方向について賛成とする御意見でございます。項番2番では、そもそも特定侵害事件の単独訴訟代理権の問題については、弁護士業務と衝突する以上、今後も考慮する必要はないという御意見でございます。こちらに対する同様な御意見がほかに1件、提出されております。弁理士の単独訴訟代理権につきましては、今後の状況や利用者のニーズを踏まえて、今後の議論としていくこととしております。
四つ目は、11ページ目でございますが、水際措置における輸入者及び輸出者の代理権についての御意見でございます。項番の1番と3番は、輸入者側、輸出者側の代理権について弁理士の業務範囲に拡大することについて賛成の御意見でございます。項番の2番は、反対するという御意見でございます。
項番の2番でございますけれども、水際措置については、現在、当事者対立構造を有する準司法手続への改善について検討されているところである。手続改善の検討を踏まえ、現時点において現行の申立代理権付与の是非を検証すべきであり、その検討も不十分なまま輸入者側代理を認めるべきではないという御意見でございます。
こちらにつきましての考え方は、今後の水際手続について準司法手続への改善の検討が行われていることは承知しております。しかし、現行法上、輸入者側の代理も権利者側の代理と類似する手続が多いことから、輸入者側の代理も認めるべきであると考えております。なお、今後法改正が行われれば、その際に必要な検討を行うものというふうに考えております。
次に、弁理士の懲戒制度のあり方についての御意見でございます。こちらの方は、項番1番の方で、懲戒事由の解釈を明確化するために、他士業の例にならいまして、規定すべきとして議論されてきたところの故意または重大な過失による不適切な業務を行った場合を懲戒事由とすること、弁理士法に規定する処分が弁理士会の処分と重複して適用されることについても賛成であるという御意見でございます。
さらに、この御意見につきましては、日本弁理士会の懲戒は会の秩序を維持するための自治的見地からのみ行うとするのは誤りであり、また書面による厳重注意を処分内容に加える旨の会則改正を要請すべきであるという意見がつけ加えられております。弁理士会による処分については、日本弁理士会による処分が適正に行われるよう、今後も指導してまいりたいと考えております。
それから、項番4番でございます。こちらの方は、新たな業務の受任を禁止する懲戒を新設することは、引き続き業務ができ、クライアントを減らさなくて済み、抑止力という観点からすると非常に中途半端であり、不適切であるという御意見でございます。
こちらにつきましての考え方でございますが、新たな業務の受任の禁止は処分内容を軽減するために設けるものではなく、業務の停止までには至らないまでも、戒告では制裁措置として不十分であると判断される場合に実施するものでございます。これにより、懲戒の効率性、実効性を高めることができると考えております。
次のページの項番6番ですが、懲戒件数が少ないことは誇るべきことではないかという御意見もいただいております。これにつきましては、行政庁による懲戒処分につきましては、現在措置基準が明確にされていないため、厳格かつ適正な運用をすることが難しいことから懲戒件数が少ない要因の一つと考えております。
14ページ目の弁理士事務所の補助者についての御意見でございます。
項番1番目は、弁理士事務所の補助者について、報告書に取りまとめられた方向について特段の問題はない、しかしながら、名義貸しに該当するか否かの具体的なガイドラインが必要ではないかという御意見が寄せられております。同様の御意見が他に5件、寄せられているところでございます。
これにつきましては、今後、名義貸しに該当する行為の範囲を含めて具体的な対応策につきまして検討していくこととしております。なお、出願人本人の行為と、特許事務所が行う行為は異なると考えております。
15ページ目でございます。情報公開のあり方につきましての御意見でございます。項番の1番と2番は、情報公開のあり方は報告書にまとめられたラインで問題ないという御意見でございます。
項番の3番は、公開の義務化につきましては慎重であるべきという御意見でございます。さらに、公開する情報の内容についても十分検討し、ユーザーに誤解を与えることのよう注意すべきと。例えば出願件数については弁理士の能力を示す基準とはなり得ない、むしろ誇大広告になる危険性があるのではないかという御指摘でございます。
これについての考え方でございます。公開を義務化する具体的な項目につきましては、ユーザーがそれぞれニーズに合った弁理士を適切に選択できるようにとの観点から検討してまいります。ユーザーの弁理士に対するアクセスを容易にする手法につきましても今後、検討してまいりたいと考えているところでございます。
めくっていただきまして、16ページ目でございます。特許業務法人制度についてでございます。こちらの方は、これまで御議論いただき、報告書案の取りまとめの方向につきまして賛成するという意見のみでございました。
17ページでございます。日本弁理士会の強制加入制度についての御意見でございます。項番1番では、強制加入制度を現状維持するという方向につきまして、賛成とする御意見でございます。他に同様な意見が2件、寄せられております。
項番2番の方では、日本弁理士会の強制加入制度は同会会則を正しく公示していないこと、また基本的人権である結社の自由を認めないことから廃止すべきであるという御意見が寄せられておるところでございます。
これにつきましては、日本弁理士会会則の公示は同会会則の第7条に規定する会報への掲載に加え、同会のウェブサイトにおいても会則を掲載しておりまして、官報掲載の趣旨と同様に、会員のみならず一般国民に向けて広く公示しているものと考えられます。
日本弁理士会の強制加入制度は、弁理士の自主的な取り組みの促進や行政の効率化の観点から維持するメリットがデメリットを上回っている現状においては維持することが妥当と考えているところでございます。
18ページ目でございます。知的財産部門の分社化についての御意見でございます。
項番の1番は、これまで検討してきた中で示されたガイドラインにつきまして、基本的には問題ないという御意見でございます。こちらの御意見の中には、さらに附言されておりまして、グループ会社の範囲につきましては、子会社の定義を会社がその総株主また総出資者の議決権の過半数を保有する他の会社とするのではなく、会社法で定義される子会社としてその範囲を広げていただきたいという御意見でございます。他に同様の意見が1件、寄せられております。
子会社の定義につきましては、他の法令等を参考としながら今後、検討してまいりたいと考えております。
それから、項番の4番でございます。こちらの方は、特許業務法人でない知的財産管理会社が他人の求めに応じ、報酬を得る目的で、明らかに書類の作成等を含む出願業務の支援を行うものであるから、弁理士法75条に違反するという御意見でございます。他に同様の御意見が11件、寄せられているところでございます。
これにつきましての考え方でございますが、従来同一社内の知的財産部門が行えることを、形式上、単に別の法人が行っているにすぎないという実体を踏まえつつ整理したものでございます。そのため、従来同一社内の知的財産部門が行える範囲を逸脱しないために、知的財産管理会社が扱える業務の範囲として、グループ会社の範囲を定めることとしたものでございます。弁理士が在籍していない場合につきましては、特許出願代理業務は行えないものであるため、代理は行わず、あくまでもかかる出願業務の支援にとどめるということとしたものでございます。
めくっていただきまして、19ページ目でございます。項番の8番の方では、子会社の定義、孫、ひ孫に当たる会社も含まれることを明確にすべきという御意見でございます。他に同様の御意見が1件、寄せられているところでございます。これにつきまして、報告書(案)概要に記載したガイドラインの内容と第5回弁理士制度小委員会で示した告示(案)を基に、今後、関係団体と調整を図っていくものと考えております。
項番の12番は、知的財産管理会社に弁理士が在籍しない場合に、外部弁理士が当該会社を代理して手続を行う場合を含むということを追加すべきとの御意見でございます。
こちらの御意見に対しましての考え方でございますが、出願の際に外部の者に代理を依頼する場合は、弁理士を用いることは特に明記する必要がなく、当然のことと考えております。
21ページ目でございます。利益相反規定についての御意見でございます。こちらの方は報告書案の中で取りまとめられました考え方について、項番1番の方では賛成するという御意見が寄せられております。他に同様の御意見が1件ございました。
22ページ目でございます。最後にその他の意見ということでございます。項番の1番では、企業は常に品質や設計上の問題、顧客クレームなどのリスクを負って仕事をしているが、弁理士はリスクを負っていないのではないか、弁理士報酬制度が自由化されたが、競争原理が働き安価になったとは聞いていない。そこで、成功報酬と対をなす失敗返金制度を提案したいという御意見が寄せられております。これにつきましては、弁理士と依頼者の契約の中で弁理士の報酬についても合意されるものと認識しております。
項番の2番の方では、弁理士の質的向上が長らく叫ばれているが、過去5年間はそれと逆行する量的拡大を図ってきており、試験制度の見直しと合格者数の見直しを冷静に検討すべきであり、我が国の弁理士制度全体を抜本的に見直すべきことから、もう少し時間をかけて調査研究を行っていただきたいという御意見でございます。
これにつきましては、平成12年の弁理士法改正で知財専門サービスに対するニーズの増大に対しまして十分な量的拡大が可能となるよう弁理士試験制度の抜本的な改革が行われ、その結果、弁理士試験合格者数も拡大してきております。
一方、士業全体をめぐる議論としましては、専権業務を維持するのにふさわしい資質の向上が求められておるところでございまして、このため適切な措置を講じることが重要という流れにございます。したがいまして、弁理士の資質の向上と量的拡大は相矛盾するものではないと考えております。
また、今回の見直しに際しましては、平成17年と18年、2年間にわたりまして、財団法人知的財産研究所において弁理士制度の細部にわたる調査研究を実施するとともに、弁理士制度のユーザーである大企業、中小企業に対してのアンケート調査と、特許庁の庁内からも意見募集を行うなど、幅広い議論を進めるよう努めてきたところでございます。
最後に、項番3番でございます。技術と法律の素養を有し、国際性を備えた弁理士の実現を目指していただきたい。また国際競争に耐え得る弁理士制度を目指すために、競争原理主義ではなく、質を高めるための制度設計にする必要がある。具体的には登録前義務研修の導入、外国出願業務の標榜業務化、論文試験への条約科目の復活等が必要だと考えるという御意見でございます。
これにつきましての考え方でございますが、弁理士の質の向上につきましては、さまざまな観点から審議会で議論されてきておるところでございまして、義務研修の導入、外国出願関連業務の標榜業務化については、導入する方向で検討しているところでございます。さらに、条約科目につきましては、論文式試験の工業所有権法において関連する条件の解釈力等を問うことで対応したいと考えておるところでございます。
以上、駆け足で大変恐縮でございますが、今回、報告書案の概要につきまして、パブリックコメントを取りましたところ、寄せられた意見の概要と、それにつきましての考え方について御説明させていただきました。
私の方からは以上でございます。

中山委員長

ありがとうございました。
ただいまの室長の説明につきまして、御意見あるいは御質問ございましたら、ちょうだいしたいと思います。
相澤委員。

相澤委員

確認ですが、今の資料2は、この形でこの会議の資料として公表されるという理解でよろしいでございますか。

小林弁理士室長

はい、こういう形で公表する予定でございます。

中山委員長

ほかに何か御意見、御質問ございましたらどうぞ。
よろしいでしょうか。格別御意見もないようでございますので、次に移りたいと思います。

産業構造審議会知的財産政策部会弁理士制度小委員会報告書(案)について

中山委員長

本小委員会報告書案につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

間庭審議室長

御説明申し上げます。資料1でございます。これまでの御審議と、個別にも御意見を頂戴いたしまして、事務局で報告書案を取りまとめさせていただきました。
まず、1ページ目、開催経緯でございます。開催経緯、委員名簿については説明を割愛させていただきます。
4ページ目は目次でございます。章立ては、大きく三つございます。第1章として弁理士の資質の向上及び量的拡大と責任の明確化、第2章として知的財産権に関する専門職としての多様なユーザーニーズへの対応、第3章としてその他となってございます。
1ページめくっていただきまして、5ページ、はじめにでございます。今回の検討の前提として、知的財産制度の重要性が高まる中、知的財産制度を有効に活用し、事業者等が戦略的に権利を取得し、活用できるように的確にサポートする弁理士の役割の重要性が一層高まっている中、その質的、量的な充実が必要となっています。また、資格制度全体の社会的な信頼の醸成が求められており、資格者の質の確保・向上や専門職種としての懲戒の適正な実施といった資格制度全体の適正化の必要性が指摘されています。このような中、本小委員会におきまして、弁理士制度のあり方について幅広く議論し、今回、このような結果を報告書の格好で取りまとめたものでございます。
最後の段落ですけれども、「政府は、この報告を受け、必要な調整に速やかに着手をし、その結果を踏まえて立法化に向けた措置を含めた適切な措置を講ずることを期待するものである。」という格好になってございます。
次の6ページ目でございますが、改正弁理士法の施行状況でございます。これについては説明を割愛させていただきます。
10ページ目から、制度改正の具体的方向ということで、第1章、弁理士の資質の向上及び量的拡大と責任の明確化ということで、まず弁理士の研修制度について記載してございます。
これにつきましては、11ページ目でございますけれども、対応の方向として、弁理士に対する研修の義務化は必要ということでございまして、二つございます。既登録弁理士の専門能力の維持・向上を図る観点から定期的に行う継続的義務研修、2番目として新人弁理士の実務能力を担保する観点から行う義務研修と、この二つでございます。
まず、既登録弁理士に対する継続的専門研修でございます。この(1)でございますが、11ページ目の最後の段落になりますけれども、資質の維持・向上を図る観点から、弁理士法においてこれを義務づけることが適切ということでございます。
具体的には倫理研修、業務適正化研修、標榜業務研修等を主な内容とし、スクーリングとE-ラーニングを組み合わせつつ、一定期間、例えば5年以内に一定の時間、例えば70時間の研修を受講することを義務づけるということでございます。これについては弁理士登録をされている方が対象となりますことから、日本弁理士会が主体となって実施することが適切ということでございます。
(2)で、新人弁理士に対する義務研修でございます。さまざまな御意見がございましたが、このような格好で取りまとめたわけでございます。
まず研修は義務づけます。そこのところで、検討における基本的考え方ということでまとめております。弁理士倫理ですとか、弁理士としての心構え、あるいは条約ですとか、工業所有権四法にわたる出願手続、書類作成、審査対応、先行技術調査等ができるための基本的な知識を体得し理解することを主な内容とするカリキュラムとします。
新人全員が研修を確実に受講するようなスキームであること、また、これについても、例えば7回程度のスクーリングですとかE-ラーニング研修を行い、期間は3カ月程度までとします。研修の修了認定は、その出席と課題に対するレポートの提出及びそのチェックによって行って、独立した修了考査を行わないということでございます。
また、実務経験を有する新人もおられますので、それに配慮して、研修の一部を免除するような制度を設けることができないかと考えております。また、新たな参入障壁とはならないものという考え方でございます。
1ページめくっていただきまして、13ページ目でございます。これについて、登録前に行うか、登録後に行うかの議論についてまとめたものでございます。登録前研修については、普通に受講すれば修了できるような内容とします。修了考査は、先ほど申し上げましたように、行わず、出席とレポートで基準点を満たせば修了できるようなスキームにすべきという意見がございました。また、合格者がまじめに受講すれば修了できるようなものという意見がございました。
3番目のポツにございますように、基本的には国の管理下で行うべきであると、国が責任をもって制度を設計し、監督を行うべきであるという意見がございました。
登録後研修につきましては、最初のポツにございますように、登録後に研修を受けないで業務を行う人間ですとか、登録後も実務能力が不十分な者を最終的に資格者から排除できないといった可能性があるという御指摘がございました。
14ページ目の一番上の段落でございますが、制度設計に当たりまして、実務能力の最低限の担保を行い、なおかつ、すべての新人弁理士が受講し、かつ参入障壁とならない制度としていくことが必要だと、そのような基本的な考え方を踏まえながら、その具体的な研修の内容ですとか実施時期等々につきまして今後、政府において具体的な制度設計を早急に進めていくことが期待されるということでございます。
なお、(3)の研修の受講歴の公表につきましては、今後、この受講歴というものはユーザーが弁理士を選択する際の重要な情報であるという観点から、任意研修の受講歴についても弁理士会において公表すべきであるということでございます。
次に、弁理士試験制度でございます。試験制度につきましては、14ページ、15ページの問題の所在等は割愛させていただきまして、17ページ目に対応の方向を記載させていただいております。
まず、知的財産専門職大学院及び法科大学院の修了者の扱いでございます。これにつきましては、2段落目にございますように、知的財産専門職大学院につきましては、カリキュラム等によって十分な能力レベルが担保されていると認定できる大学院を対象とし、そのような大学院を修了した者に対して、弁理士試験の短答式試験におきます工業所有権法の部分を免除する制度を設けることが適切と考えられるわけでございます。
法科大学院につきましては、4パラ目になるわけでございますが、法科大学院修了者については今後、その能力レベルを注視しながら、論文提出を要件とすることなども考慮しつつ、弁理士試験の論文式試験について、その一部免除を引き続き検討が必要ということでございます。
次に、(2)の試験の一部について合格された方についての試験免除の拡大についての検討でございます。短答式試験においては知識を問い、論文式試験においては論理力を問うと、そのような試験目的が異なっていることも勘案すれば、18ページ目に書いてございますけれども、短答式試験の方は一度短答式試験に合格して相当の知識を有していることが認められた者につきましては、その所定の年数、公認会計士と同様だとすれば、2年ということでございますけれども、2年程度の短答式試験を免除するということが合理的と考えられるところでございます。
論文式試験につきましても、必須科目と選択科目とで個別に合否を判定しても問題は生じないであろうということでございまして、必須科目については論理力に加えて工業所有権に関する知識を問うていることから、免除というものは所定の年数、これも公認会計士と同様であれば2年程度ということでございます。
また、選択科目については現在でも有資格者に対しては永続的な免除が認められておりますので、既合格者に対する免除についても、これを永続的に認めるのが適当というところでございます。
次に、(3)弁理士試験の範囲でございます。これについては、平成12年の制度見直しの際に、単独での条約科目を論文式試験の対象外とする改正をしたところでございます。これについて御議論いただいたわけでございますが、客観的なデータとして、現在の試験制度における受験者の条約に関する知識あるいは条約の解釈、判断のレベルが旧試験と比較して低下しているとは言えないというところでございますので、今回、論文式試験に単独で条約を復活させることはしないということでございます。
ただ、条約についての知識ですとか、解釈力への配慮が重要であることは事実でございますので、以下の二つの措置ということで、工業所有権法令にかかる論文式試験の中で関連した条約の解釈等もあわせて問うことを明確化するということでございます。2番目として、弁理士会における法定義務研修の中でも条約関連の講義を行うということでございます。
次に、19ページ目に弁理士の懲戒制度等のあり方について記載させていただいております。次の20ページ目に対応の方向を書いております。
対応の方向として、まず懲戒処分制度の考え方の明確化ということでございます。行政庁が公益的な見地から行う懲戒と、弁理士会が自治的な見地から行う処分の考え方を明確に整理した上で、それぞれの措置の運用基準を整備し、公表していくことが必要であろうということでございます。
あわせて、弁理士法上の懲戒事由についても、現在、「弁理士法や同法に基づく命令に違反した場合」という規定となっておるわけでございますけれども、その解釈をより一層明確化するため、他の士業の例にもならいまして、法文上、「故意又は重過失により不適切な業務を行った場合」と、そのような場合についても明示すべきであるということでございます。
また、懲戒制度の厳格な運用を迅速に行い得るように、現在の工業所有権審議会の懲戒部会等を定期的に開催できるように所要の体制整備を行うことが必要ということでございます。
また、弁理士会の処分でございますけれども、そういった処分について、弁理士の行為が出願人等に対して不利益な行為を及ぼした場合の処分については、行政庁による懲戒と併科することもあり得るということを明確にする。また、ウェブサイト等を通じて一般へ公表すべきということでございます。
次に、(2)懲戒の種類の新設でございます。ここについても御意見をいただきました。いろいろ意見があったわけでございますが、懲戒に係る弁理士を代理人とする出願人の手続等に負担が生じないように、現行、「戒告」、「業務の停止」及び「業務の禁止」となってございますが、このほかに「新たな業務の受任の禁止」という懲戒の種類を設けることが適切であるということでございます。
次に、3番目でございますが、業務の停止命令に違反した場合の措置ということでございます。行政庁が行う業務の停止命令に違反した場合の措置につきまして、これは懲戒としての行政命令に違反している場合でありますので、そのような者については直接刑罰の対象とする旨の規定を設けることが適切ということでございます。
次、4.として、弁理士事務所の補助員についての検討でございます。これについて対応の方向でございますが、21ページ目の一番下になります。
弁理士が補助員に独占業務を実質的に行わせることについては、特許庁側としても迅速な審査、事務処理の妨げとなることがございます。実際に審査の現場ではそのような実態が散見されるわけでございます。
このような行為につきまして、22ページ目でございますけれども、弁理士の信用失墜行為として懲戒の対象になり得ます。懲戒の運用基準の整備の中で盛り込んでいくことが必要でありますけれども、特許庁側の対応としても、いま一歩厳格に対応していくべきではないかということでございます。
補助員への対応を見直し、ガイドラインを設置することが必要であるということで、例えば審査官、審判官からの内容等についての連絡の応対は弁理士事務所においては弁理士のみができることとするとか、実際の面接におきまして、弁理士事務所の補助員は説明をすることができないとする等の措置を講ずることが適切と考えられるところでございます。
また、弁理士の名義貸しにつきましては、独占業務を有する資格制度の存在意義を揺るがしかねない大きな問題であり、これについても厳格に対応していく必要があるということで、弁理士法において名義貸しの禁止規定を設けることが適切ということでございます。
次に、23ページ目、第2章として知的財産権に関する専門職としての多様なユーザーニーズへの対応についての取りまとめでございます。
まず、弁理士法に規定する業務についてでございます。1番目に外国出願関連業務ということで、対応の方向として、23ページ目、下の方に書いてございますけれども、弁理士の専門性を生かした外国出願に係る国内での準備支援業務としてこれをとらえ、当該業務を適正に行うべき義務を弁理士に課すためにも、当該業務の範囲を明確にした上で、弁理士法上の標榜業務と規定することが適切ということでございます。
このような規定をする以上、弁理士に対する研修等におきまして、諸外国の工業所有権法令等についての知識と、その業務を遂行する上で必要となる能力を担保するための措置をあわせて検討することが前提となるということでございます。
次に、24ページ目、2番目に特定不正競争の拡大のところでございます。対応の方向として、25ページ目に記載しております。
特定不正競争でございますが、まず第10号、11号の技術的制限手段に対する不正競争行為については、情報処理技術等に関する高度な専門知識が必要でございますので、同行為を弁理士法に規定することに妥当性があるとは考えにくいです。
次に、第13号の原産地等誤認惹起行為でございます。表示の妥当性に関して、現実の商品の性能等について技術論争が行われる場合が多く、技術評価ないし当該技術を表現する表示としての妥当性の判断については、技術に関する知見ですとか、商標に関する専門的知識を有する弁理士の知見が活用できると考えられます。ただし、直接の被害者が消費者であることや、不当景品類及び不当表示防止法など工業所有権法令以外の法律も深くかかわるため、弁理士の業務として特定不正競争の範囲に含めるべきではないという意見もございました。
次に、第14号の競争者営業誹謗行為でございます。工業所有権を侵害していないにもかかわらず、虚偽の事実を流布する行為について、その虚偽性の認定に当たり、その警告の基礎となる特許権等の効力の及ぶ範囲を検討するところで、弁理士の知見が活用できると考えられるところでございますが、他方、権利侵害を警告する旨の告知が同行為に該当するか否かの判断について、具体的事案においては法律判断が求められることから、これを特定不正競争の範囲に含めるべきではないという意見もございました。
第15号の代理等商標無断使用行為でございます。これについても、商標に関する条約ですとか、外国の商標制度について弁理士の知見が活用できると考えられる。他方、商標に関する争点以外にも、代理人であるか否か、正当な理由なく行っているかどうかという判断も含まれるため、これを特定不正競争の範囲に含めるべきではないという意見もございました。
26ページ目でございます。それ以外にも、現状において問題が顕在化していないですとか、法律的素養や法律判断が必要であることから、特定不正競争の範囲をむやみに拡大すべきではないとの意見もございました。
しかしながら、弁理士について、弁護士と共同代理することが前提でございます。その点で弁理士に期待されるのは、主として工業所有権についての知見であって、その点は問題ないのではないかと考えられるところでございます。
以上を踏まえまして、不正競争防止法の第2条第1項第13号、第14号、第15号については、弁理士が取り扱う特定不当競争の範囲に含める方向で検討することが適切であると考えます。第14号については、工業所有権等に関するものに限るわけでございますが、こういったところに規定されております不正競争行為について、弁理士の有する工業所有権に関する専門的知見を有効に活用することができると考えられるところから、弁理士が取り扱う特定不正競争の範囲を、こういった行為についても含める方向で検討することが適切であるということでございます。
次に、特定侵害事件に係る単独訴訟代理権でございます。26ページ目の一番下に対応の方向を書いてございます。弁理士の特定侵害訴訟における訴訟代理制度は、制度開始後、まだ3年しか経過していない。代理の実績も多いとは言えない。現段階で導入を図るのは時期尚早と考えられるところでございまして、今後も弁理士の訴訟代理の状況ですとか、利用者ニーズを注視しながら、引き続き議論を行っていくことが適切であるということでございます。
27ページ目でございます。水際措置における輸入者及び輸出者の代理権の問題でございます。これについて、3.の対応の方向でございます。要は、水際措置における輸入者、輸出者の代理については、その代理業務の内容と弁理士が有する専門性を勘案すれば、現在行っておる権利者の代理と同様、弁理士の知見を生かすことができる。また、アンケートでも、半数近くの者が輸入者の代理を弁理士に依頼したいという要望も示されているところでございます。
ただ、十分な事例が蓄積されていないといった意見ですとか、当事者対立構造を有するような法律手続に非常に類似する手続であるので、弁理士が行うことは望ましくないという意見もございます。
これについては、実際に水際措置にかかわります訴訟等の法律手続となった場合は、弁護士のみが行うことができますので、この点について現行の権利者側の代理と何ら扱いが異なるものではございません。したがいまして、輸入者及び輸出者の代理につきましても、権利者側の代理と同様、弁理士が行うことができるようにすることが適切と考えられます。
次に、Ⅱとしまして、弁理士の情報公開のあり方についてでございます。これについても対応の方向は28ページ目の3.でございます。弁理士情報につきましては、ユーザーが弁理士を適切に選択できるように、必要な情報を公開する責務がある。弁理士会については、ユーザーの視点に立って、適切な情報を収集し、検索しやすい形で会員の情報を広く国民に提供することが求められるわけでございます。
現在、弁理士会が行っております情報開示システムの拡充を図り、例えば次のような方法で依頼内容にふさわしい弁理士を選択できるような環境を整備することが適切ということで、①として、例えば弁理士としての業務の実績、専門分野、研修の受講履歴等々、ユーザーが弁理士を選択する際の情報として、必要な事項について弁理士が日本弁理士会に定期的に報告することを義務化するということが考えられるわけでございます。
29ページ目でございますけれども、②として、日本弁理士会は情報開示に関する苦情や相談に適切かつ迅速に対応できるように、その窓口を設置する。
3番目として、弁理士の誇大広告等に関しまして、弁理士会の会則や会令において設けられている禁止規定を厳格に運用する。そういった方向で、処分についても処分基準の整備の中で明確化を図るということでございます。
次に、Ⅲとしまして、特許業務法人制度についてでございます。これについての対応の方向ですが、30ページ目に記載しております。
まず、指定社員の無限責任制度の導入についてでございます。弁理士については今後、現在から事務所の法人化とか、法人の大規模化を図りまして、総合的サービスの提供を実現することが求められております。ただ、現行の無限責任制度のもとでは、ほかの弁理士の業務責任まで負わされることについて抵抗感が強いということで、特許業務法人化がなかなか進んでいないという現状がございまして、これが合併ですとか大規模化を阻害する大きな要因になっているのではないかという認識でございます。
このような指定社員についての無限責任制度を導入した場合、一般の有限責任制度と異なり、受任した事案について、その社員が引き続き無限責任を及ぼすものになるわけでございます。このこと事態は顧客との関係で大きな変化をもたらすものではないであろうということでございまして、ユーザーの利便性の向上の観点から、指定社員制度を導入することが適切であろうということでございます。
次に、31ページ目、一人法人制度の導入について御検討をいただいたわけでございます。最後の段落になりますけれども、一人法人制度というのは、特許業務法人の本来の趣旨ですとか、現状の弁理士事務所の実態、そういったものを踏まえれば、これは時期尚早であろうということでございます。今後、弁理士事務所の実態とか、他士業の状況も注視しながら、今後の課題として検討していくということでございます。
33ページ目のその他の検討事項でございます。まず、日本弁理士会の強制加入制度についてでございます。これについては、34ページに、対応の方向がございます。
平成12年の法改正においても競争制限的な制度について見直しを図りました。また、平成13年の資格者団体に関する独禁法上のガイドラインも遵守されている。強制加入制度については、引き続き競争制限的な運用とならないことを前提とし、強制加入制度により弁理士の業務の適正性が担保されている限り、これを維持することが適切ということでございます。
次に、知的財産部門の分社化の問題でございます。これについての対応の方向でございますが、35ページ目でございます。対応の方向については、基本的に知的財産管理部門を分社化した場合、これは継続してグループ会社の知的財産関連業務を行うことができるとすることが適切ということで、これについて弁理士法の解釈を明確化して、ガイドラインを定めて広く周知するという方向でございます。
その際、二つの場合分けを行っております。まず、知的財産管理会社に弁理士が在籍する場合でございます。この場合は、本社またはグループ会社の出願業務の代理については、弁理士個人を代理人として記載して、弁理士個人が受任するという対応は可能であると考えられるところでございます。
他方、知的財産管理会社に在籍する弁理士が本社またはグループ会社以外の不特定の企業の特許事務を代理して行うことを認めることとすると、実質的に知的財産管理会社が不特定の企業の出願を取り扱うことになる。こういった場合は、弁理士個人ではなく、知的財産管理会社がグループ外の他社の特許事務の代理を取り扱っているという印象は拭い切れない。そうなると、弁理士法75条の趣旨に反することになる恐れもございます。
こうしたことから、知的財産管理会社に弁理士が在籍する場合であっても、かかる会社の社員である弁理士がその業務を取り扱うことができるグループ会社の範囲を明確にしておくことが必要でございます。その際、個人の弁理士が受任する以上、一定の件数にとどめるということは当然必要となってくるところでございます。
36ページ目、(2)でございます。知的財産管理会社に弁理士が在籍しない場合でございます。その際に、本社またはグループ会社の出願業務の代理または出願書類の作成を行うとなりますと、弁理士法第75条の違反になるおそれがございます。その場合は、あくまで出願業務の支援にとどめることとすべきでございます。
もちろん不特定企業の出願業務の支援を行うとなると、これは第75条の趣旨から好ましくないため、知的財産管理会社が出願業務を支援することができるグループ会社の範囲を明確にしておくことが必要でございます。
その際、(3)グループ会社の範囲でございますが、会社集団の定義として、おおむね一の会社及び当該会社の子会社の集団に属する会社と、その信託業法ですとか、いろんな施行規則の方に規定されておりまして、これと同様とすることが適切である。また、子会社についても、その会社が総株主または総出資者の議決権の過半数を有する他の会社との定義が信託業法等々にございまして、これと同様の基準とすることが適切ではないかということでございます。
Ⅲ、最後に利益相反規定でございます。これについての対応の方向については、37ページ目の3.対応の方向でございます。
当事者対立構造をとる事件を受任する前から、受任している事件の取り扱いについて御検討いただきました。これについては37ページ目、最後の段落に書いてございますように、当事者対立構造をとる事件を受任する場合には、相手方から、従来から受任していた業務については、依頼者の同意がない限り継続することができないとする従来の解釈を維持することが適切と考えられるということでございます。
最後は38ページ目で、当事者対立構造をとらない業務についてでございます。この問題については、これも最後の段落でございますけれども、性質上、弁理士倫理と密接な関係を有するということから、弁理士会において利益相反事件を類型化する等の整理も含めて、現行の例示的な規定しかない弁理士倫理ガイドラインをユーザー側の意見も踏まえながら大幅に見直していただいて、会としての見解を明確にすること、あと紛争を避けるために当事者の同意を得ること、また当事者の同意がある場合にも、守秘義務の厳守を徹底すること等の対応を図っていくことが必要と考えられるというところでございます。
駆け足でございましたが、資料の説明は以上でございます。どうもありがとうございました。

中山委員長

ありがとうございました。
ただいまの審議室長の説明を踏まえまして議論に移りたいと思います。御意見ございましたら、御自由にお願いをいたします。
谷委員。

谷委員

今日の報告書案が取りまとまるに至ったことに対しまして、委員各位、事務局となられた特許庁、その他関係各位の御尽力に対しまして、心より感謝申し上げます。
日本弁理士会としまして、この報告書案で示された基本的な方向性に沿いまして、弁理士法の見直し、改正が実現されるように特許庁とも協力しながら全力を挙げて取り組んでまいります。この点に関しましては、日本弁理士会では12月6日に臨時総会を開催した際に決議が行われました。この総会決議に関連して少々申し述べさせていただきたいと思います。
特に、外国出願関連業務の弁理士法への明記につきましては、法律改正の対象となる方向が示されたことは、我々弁理士の国際性が高まっていることを端的に現したことと捉え、関係各位の御理解に感謝申し上げますと同時に、義務研修等を通じて会員の研鑽に努めてまいる所存です。
このことと関連しますが、条約の論文試験科目への復活は盛り込まれませんでしたが、この報告書案、18ページ中にも記載がありますように、論文の試験範囲には条約が含まれるのだということを受験生が明確に認識をし、しっかりと条約の勉強をして最低限の知識を身につけてから弁理士になるようにすべきことを、法令上明らかにすることも含めまして、明確化するように取り計らっていただきたいと存じます。
もう一点ですが、本小委員会の目的は弁理士法の見直しということですので、報告書案中では34ページ以降でございますが、知的財産部門の分社化の問題など、必ずしも今回の法改正事項ではないものについても提言がなされております。
そのような問題につきましては、今後、さらに詳細を詰めていく必要もあろうかと思いますので、法改正事項とは切り離し、関係者間で引き続き十分な議論、検討がなされるべきと思います。その場合に、日本弁理士会としても積極的に参加してまいりたいと存じます。関係各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。
皆様方の御協力に感謝いたしますと同時に、我々弁理士が身を引き締めて精進してまいりたいと存じますので、これからも一層の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
以上です。

中山委員長

ありがとうございました。
ほかに御意見ございますか。
三尾委員。

三尾委員

この委員会の中ですでにいろいろ意見を述べさせていただきましたので、新規の意見というものではないのですけれども、まず報告書の中の第2章についてです。
同報告書26ページに、訴訟事件については弁護士と共同代理であるということが主な理由として、問題ないのではないかという取りまとめになっておりますけれども、この点については、従前述べましたように、訴訟事件以外にもADR等で特定不正競争が問題になる場合もございます。その点について看過されてはいけないという点をあえて述べさせていただきたいと思います。
さらに、今回、パブリックコメントに関しまして意見を取りまとめていただきましたが、その中で特に弁理士業務の拡大の項目に関連して意見を述べたいと存じます。この項目を拝見しますと、パブリックコメントに対する御意見が余り寄せられなかったことが分かります。この点は、ユーザーの意見を拝見したく注目していた者としては驚きだったのですけれども、これは端的にユーザーがこの項目に対して関心が低いということを示すのではないだろうかと考える次第です。
つまり、逆に言えば、ユーザーニーズが果たしてあるのだろうかということが非常に疑問であると思います。ほかの項目ではかなりのパブリックコメントの意見が出されているということから考えましても、この点はニーズが低いのではないかと思わざるを得ないのではないでしょうか。
さらに、今後も現状以上にユーザーのニーズが拡大することがあるのかという点も考えましたけれども、先般の民事訴訟法の改正によって知財訴訟の裁判管轄が東京、大阪等に集中しまして、さらにロースクールでは理系出身も合格者がかなり出てきているという現状にありますことから、知財訴訟、知財の事件に関して、今後技術的分野に関する専門家が不足するという可能性はかなり低いのではないかと思います。この点は前回の弁理士法の改正の時とは大きく背景事情が異なっているところではないかと考えるわけです。
この状況は、今後もロースクールの合格者が継続的に増加するということを考えますと、変わらないであろうと考えます。
そのような現状を踏まえますと、現段階で弁理士業務の拡大を図ることについては、いささか拙速ではないかと思う次第であります。
今回の改正で、弁理士試験や研修制度、さらには懲戒制度や利益相反等、弁理士の質を高め、また維持発展させるために、制度として種々のインフラ整備をすることとなりなりますので、そのインフラ整備を踏まえた上で、さらにユーザーニーズを掌握して、業務範囲を拡大するかどうかを検討するということであったとしても、遅くはないのではないかと考える次第です。

中山委員長

ありがとうございました。
戸田委員。

戸田委員

基本的に取りまとめていただきました報告書案に賛成いたします。
特に企業における知財部門の分社化について、こういう形で議論が整理されてガイドラインが出るということは大変望ましいのではないかと思っております。
ここ数年、企業内弁理士は大幅に増加して、かつグループ会社の形態も急激に変化してきておりますので、グループ会社の範囲をきちんと外延を明確にして、経済実態にあわせて弾力的な運用がなされるというのは好ましいことではないかと思います。
先ほど谷会長からご発言がございましたけれども、産業界として、必要に応じてガイドラインに関して話し合いを持つということに関しましては、そのようにさせていただくということで異存はありませんので、よろしくお願いいたします。

中山委員長

ありがとうございます。
ほかに御意見ございましたらお願いいたします。
相澤委員。

相澤委員

繰り返しになりますけれども、研修のところです。事前研修が参入障壁になることをもう一度申し上げておきたいと思います。
現在、新規登録者について顕著な弊害が出ているということではないので、新規登録者についての研修は予防的措置であろうと理解をすることができます。
そのような状況のなかで、参入障壁となる登録前研修をする必要があるのか、疑問です。登録前の合格者に対して、この研修期間について、経済的補償をどうするかということが問題となります。事前研修をしている制度では、経済的補償が考えられています。事後研修であれば、登録した弁理士として、収入があるということも考えられます。
それから、事後研修であれば、雇用されている弁理士については、雇用している弁理士が研修に協力させる義務というものも課することができます。そういう面からも事後研修がよいのではないかということを繰り返しですが、申し上げたいと思います。
それから、参入障壁の点について付言しますと、本年度は弁理士試験の合格者数が減少していることもあり、こういう状況で、さらに事前研修というような障壁を課すことは、全体として参入障壁を高くする法政策をとろうとしていることを表明することにとなるのではないかという懸念を持っております。
もう一つ、きょうのパブリックコメントの中で、若干気になった点を一つだけ申し上げます。先ほど御指摘のあった知財管理会社に関する点で、きょうのパブリックコメントの18ページ、4のところで、11件ほど知財管理会社と第75条の問題が指摘されています。
この点について、議論があるのであれば、知財管理会社の行為が第75条に違反しないということを明確にしておいた方がいいのではないかと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
野坂委員。

野坂委員

我々の議論を踏まえて、大変よい報告がまとまったと私も考えます。
知財立国のインフラとしての弁理士が質的、量的に充実して、それぞれが責任を果たすことは将来の日本のカギを握っていると私は思います。したがいまして、この報告に沿って弁理士法が改正され、現在の弁理士の方々、また将来、弁理士になろうとされる若者たち、それぞれが仕事に誇りを持って十分に役割を果たしてほしいと考えます。
ただ、パブリックコメントを見ますと、一部いろいろな懸念だとか心配な点も触れられておりますし、我々の報告を踏まえて、将来、フォローアップも必要であろうと考えます。その点については特許庁、そして弁理士会が中心になり、引き続き不十分な点があれば見直していくことが必要であろうと考えます。
以上です。

中山委員長

ありがとうございます。
ほかに御意見ございませんでしょうか。
神原委員。

神原委員

平成12年の弁理士法の全面改正以来、弁理士を取り巻く環境もいろいろと変化してまいりましたけれども、そういう中で今回、弁理士の能力の面及び倫理、責任の面から、弁理士の質が改めて問われまして、質の向上のために義務研修と責任の明確化といったものについて審議がなされまして、弁理士法の改正につながる方向が見えてきましたのは大変意義が深いと思っております。
それから、弁理士の業務につきましても、いろいろな審議がなされましたけれども、特に外国出願関連業務に関してはその実態、それから我が国の産業競争力の強化のためという観点からの重要性、そして問題点、こういったものについても議論されまして、弁理士法の改正につながる一定の方向が定められましたことは、大変に時宜にかなったことと考えております。
その他いろいろありますけれども、とにかく、これから、この報告書の内容に沿いまして必要な弁理士法の改正がなされることを切望いたしますとともに、そのために微力ながら一生懸命に努力をしていきたいと思っております。
以上です。

中山委員長

ありがとうございます。
清水委員。

清水委員

お出しいただいた案で基本的には私も賛成しております。
裁判所に一番関係する訴訟代理の点は、今後、弁理士の先生方と弁護士の先生方が共同して、それぞれの能力を生かして侵害訴訟などに対応していただくことを強く希望する次第です。
もう一点、新人研修の問題に関しては、登録後研修ではなぜまずいのかというのは、この報告書を見ても、よくわからないところがあります。既登録者に関しては、受講歴などを公表したりすることで義務づけを積極的にバックアップしていくことが可能だろうとおっしゃっているわけで、それと同じように考えれば、新人に関しても登録後で十分やれるのではないかと思います。登録前でなければいけないというところの理由が、双方の意見を拝見しても、いまひとつよくわからないわけでございます。

中山委員長

ありがとうございます。
前田委員。

前田委員

本報告書に賛成させていただきます。
大学の知的財産本部、TLOは、人数も少なく、皆さん弱い力でやっています。ですから、弁理士の質に頼るところが大変大きいです。質の高い弁理士を輩出できるような研修制度をぜひ希望します。
また、弁理士の公開ですけれども、誇大広告にならないような、できるだけ客観的データを載せていただければと思います。地方の大学の知財本部などは情報量が少ない状況ですので、きちんとしたデータを見て、その情報から弁理士が選べるような形で公開していただけたらと思います。

中山委員長

ありがとうございます。
大渕委員。

大渕委員

資料1で示されました弁理士制度小委員会報告書案の基本的な方向性について賛成したいと思います。いろいろ議論があったところでありますけれども、何回にもわたる審議会での議論を通じまして、バランスの取れたところに落ちついたというように私は理解しております。
この審議会の最初にも申し上げましたとおり、弁理士制度というのは我が国の知的財産制度にとって非常に重要なものでありますので、この報告書の方向性に従いまして、さらに弁理士制度が良い制度になっていくことを期待したいと思います。
実際は、新しい制度をつくりましても、それをどうように運用していくかが非常に重要になってくるのではないかと思いますので、その点での関係の皆様方の御努力を期待したいと思います。
以上です。

中山委員長

ありがとうございます。
ほかに御意見ございませんでしょうか。
議論も出尽くしたかと思います。義務研修の登録前後の議論を相澤委員と清水委員から頂戴いたしました。業務拡大につきましては三尾委員から議論を頂戴いたしました。報告書としては一応両論書いてございますので、報告書の文章といたしましては、修正なくして、これでよろしいでしょうか。
〔「異議なし」の声あり〕

中山委員長

あとは事務局の方でよろしくお願いしたいと思います。
それでは、報告書といたしましては、これをもちまして報告書案の案を取って、報告書とすることにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
〔「異議なし」の声あり〕

中山委員長

ありがとうございます。

特許庁長官あいさつ

中山委員長

本小委員会といたしまして、報告書が取りまとめられたということでございますので、ここで特許庁を代表いたしまして、中嶋長官から一言ごあいさつを頂戴したいと思います。

中嶋特許庁長官

座ったまま失礼いたします。
委員の皆様には、本当に長い期間にわたりまして、たしか4月からだと思いますが、合計6回、その間にも委員会への出席のみならず、私どもが参上して御意見を伺うなど、大変お忙しい中、弁理士制度全般にわたって熱心に御討議をいただきまして、誠にありがとうございます。心から御礼を申し上げます。
御案内のように、小泉内閣のときに「知財立国」ということを初めて政府全体の最重要課題の一つにしたわけですけれども、安倍内閣になってからも、安倍総理は「イノベーションの促進」という言い方をされますけれども、知的財産のテーマが政府の最重要課題の一つであることは変わっておりません。現に、先日も政府の知的財産戦略本部が開催されたところでございます。
特許庁自身も、今まで以上に気持ちを引き締めて、この課題に取り組まなければいけないということで、甘利大臣になりましてから、10月に特許審査迅速化・効率化推進本部を開きました。
御案内のように、1月に一度開いて行動計画を決めてやってきたわけですけれども、それをフォローアップして点検すると同時に、さらにイノベーション促進のための特許審査改革加速プランを策定いたしまして、これをさらに進めていこうと。
つまり、特許審査迅速化に資するいろんな情報提供の充実とか、国内的な課題にとどまらずに、国際的にも制度のハーモナイゼーションでありますとか、特許庁間の協力でございますとか、模倣品対策とか、そういったグローバルな課題にも同時に取り組んでいくというのが骨格でございます。
そういう中で、特許権あるいは意匠権、商標権を含めまして、質の高い知的財産権を取得する、あるいはそれを有効に活用していくというために、知的財産に関する専門サービスを中核として担っていただく弁理士の果たすべき役割が今まで以上に重要になっているということは論をまたないところでございます。私どもの特許庁の施策を効果的にしていくためにも、弁理士の方々の御協力が欠かせないわけでございます。
そういう意味で、今回、弁理士制度全般につきまして幅広く御議論いただき、量的な拡大ということだけではなくて、資質の向上であるとか、知財のプロフェッショナルな人材としての責任の明確化といった方向に向けて、今回の報告書を取りまとめていただきました。大変活発な御意見を経た上で、大きな方向性を示していただけたということについて、心から御礼を申し上げたいと思います。
もちろん、これからも弁理士制度をめぐっていろんな課題があると思いますので、引き続き委員の先生方には御教示、御示唆をいただければと思います。
私どもといたしましては、本日、取りまとめていただきました報告書を踏まえまして、速やかに政府内の調整に入らせていただきまして、来年の春の通常国会に向けて法制化の実現のために最大限努力したいと思っております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。誠にありがとうございました。

中山委員長

ありがとうございました。
情報化時代を迎えまして、知的財産制度がますます重要になることは言うまでもないわけでございます。今、長官からお話しございました知的財産戦略本部におきましても、安倍総理から「イノベーションにとって知的財産制度は極めて重要である」という発言がございました。
知的財産戦略本部が発足して以来、当初から弁理士の重要性は強く認識されておりまして、今後とも重要性を増すことは恐らく間違いないだろうと思います。
その意味で、今回いろいろ御議論いただきまして、この報告書ができ上がったわけでございますけれども、これを機に弁理士の能力をますます向上し、国民あるいはユーザーの信頼をかち得る士業になっていただきたいと期待をいたしております。

閉会

中山委員長

以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第6回弁理士制度小委員会を閉会させていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。

[更新日2007年1月12日]

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