第1回知的財産分科会議事要旨
1.日時・場所
日時:平成25年9月11日(水曜日) 10時00分から12時00分
場所:特許庁庁舎16階共用会議室
2.出席者
野間口分科会長、青山委員、大渕委員、沖野委員、小林委員、末永委員、土肥委員、長岡委員、永野委員、中村委員、野坂委員、林委員、古谷委員、間塚委員、宮川委員、宮城委員、宮島委員、安田委員、山本委員
3.議題
- (1)「日本再興戦略」等を踏まえた特許行政の課題と取組みについて
- (2)特許制度小委員会及び商標制度小委員会報告書について
- (3)意匠制度小委員会及び弁理士制度小委員会における検討状況について
4.議事概要
- 新たな商標の音や色を保護対象とすることは、日本が知財で各国と協調しつつリードする方向で、しっかり進めてもらいたい。デザインは今後、知財でも注目される。画像デザインなども意匠法で保護できる環境の整備をすべき。
- 世界最高水準の迅速・的確な審査を目指すのであれば、日本の審査結果を他国が見習うような制度にする必要がある。日本の審査官数は米国、中国、欧州特許庁に比べて少ない一方で、一人あたりの審査処理件数は数倍であり、特許庁任期付審査官の増員もしくは維持は必要である。また、この必要性を発信していくことが大事である。
- IPDL(特許電子図書館)のようなサービスは必要である。
- 審査優先の制度から出願人重視の制度に変えていくべき。
- 裁判所が技術官庁である特許庁の判断を可能な限り尊重する仕組みが必要である。世界の中で日本の知財の重要性が相対的に弱まっているのではないかという懸念がある。
- 日本の421万社の99.7%を占める中小企業は知財に関する知識が不足する傾向があり、中小企業の技術の目利きの役割を果たしていくことが弁理士の社会的な使命である。
- 中小企業としては、国際出願の減免があるとよい。また、海外での模倣品対策に対する支援があると良い。
- 営業秘密は中小企業の資産であり、中小企業の1/4が営業秘密の流出を経験している。特許については、このような場があるが、営業秘密の保護制度についても一緒に議論してもらいたい。
- 特許は法律と技術とビジネスとが結びついており、3つの視点からの検討が大事である。
- 知的財産政策を考える上で、中長期的視点での検討が必要であり、知財立国から10年経った今が検討するタイミングとしてタイムリーである。また、グローバルな視点がないと生き抜いていけない。法律は各国別々の制度であるが、ビジネスや技術はグローバルで国境がない。この事実を前提に対応を考えていくことが大切である。
- 日本は、審査の質の高さなど、日本らしい良さを高めて、日本での特許取得の魅力を高めることも大事である。
- 特許庁の仕事は、事実の認定と事実に基づく判断を適切に行うもので、裁判所の仕事に似ている。一方で、裁判所と違う特許庁の仕事は、先行技術の調査である。この先行技術の調査は世界各国の特許庁で共通のものであるため、国際的に最も協調しやすい分野なのではないか。
- 中小企業が大企業に勝つためには特許を武器として持つしかない。
- 海外市場では特許を持っていると尊敬される。日本でも特許を持っていると尊敬されるようにしなければならない。
- 銀行はどんな特許であっても資産とは認めていない。資産価値を認めてもらえるように、金融業界に対する特許の重要性を啓発するべきである。
- 将来の世代への投資の考え方には賛成したい。具体的には、グローバル知財人財育成は応援しなければいけない。また、教育の問題は大切で、小さい頃から知財に関する教育を行う体制を整えるべきである。
- 内需を拡大する政策に関心がある。地域ブランド育成支援も後押ししたい。
- 知財については、今後は積極的に活用していくことが求められるのではないか。
- 活用する際には弁護士の役割も重要であり契約書や訴訟に対する戦略が大切である。
- 現状は、共同出願の場合、同意を得なければライセンスできないとなっている。大学の特許を活用するために、原則と例外を入れ替えて、当事者が特段定めた場合を除き、ライセンスすることができる、とするべきである。
- 大学では学生が発明する主体となり得、彼らの発明は自由発明という扱い。明らかに国の設備を使い、国の補助金が投入され、大学病院の治験で得られた患者データを活用した場合でも、発明は学生のものというのは違和感がある。また、ある国から留学生を日本に派遣してくる前に、学生による発明の帰属を確認してきた事例もあり、留学生を通じた技術流出が心配である。
- 産業間領域がますますデフューズしている状況下、戦略の明確化が必要。産業競争力会議が従来のものを解きほぐし、新たな構造の構築を目指す中、この分科会もそれをフォローする形で、知財での貢献を検討すべき。特に、オープンとクローズドの組み合わせのクローズド部分での戦略が一つの鍵ではないか。
- 特許文献を元に作成したシソーラスはとても有用である。特許文献から作成したシソーラスを発信し、学会の方に守るようにしてほしい。
- 職務発明について、現行法は会社と従業者との交渉力に差があることを前提に、規定されたもの。2004年の法改正以降、現行規定での裁判例も無い中で法改正するのは時期尚早であり、現行規定の趣旨を維持したまま、企業のグローバル活動を支援する方策を考えるべき。
- 産業競争力、空洞化防止、地域活性化、雇用など知財戦略は全てに関連する重要な観点であり、積極的に発信していくべきである。
- これからの審査は品質をより重視し、審査のタイミングはユーザーの選択肢とする制度にしたり、料金制度も工夫したりすると良いのではないか。
- 特許制度で、最も根本的なことは発明者が重要であるということ。発明者を企業が評価しやすくなるような特許庁の貢献に期待したい。
- 職務発明に関連するが、グローバルなイノベーションは発明者一人ではできない。発明者個人だけではなく、チームや組織に対するインセンティブ施策を企業が自由に設計できるような環境を作ってほしい。
- ビジネスとして中韓に負けた具体的理由を中長期的な観点で理論的に分析する必要があると思うが、チーフエコノミストを特許庁にも配置し、分析を行ってはどうか。
また、特許制度小委員会の報告書及び商標制度小委員会の報告書について知的財産分科会として御了承いただいた。
さらに、ハーグ協定への加盟に向けた検討について、詳細な手続等につき、小委員会の下の意匠制度審査基準WGにて進めること、及び、画像デザインの保護拡充について、小委員長の下、具体案の詰めを精力的に進めることについて御了承いただいた。
[更新日 2013年10月23日]
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