第16回知的財産分科会 議事要旨
1. 日時・場所
日時:令和3年6月28日(月曜日)13時00分から15時00分
場所:特許庁9階庁議室(オンライン併催)
2. 出席委員
益分科会長、蘆立委員、出雲委員、鬼頭委員、小松委員、杉村委員、田川委員、田村委員、中村委員、藤木委員、別所委員、増島委員、御供委員、柳川委員、山田委員
3. 議題
4. 議事内容
事務局より、資料を基に説明をした後、各論点について御議論いただいた。
主な意見は以下の通り。
(1)最近の知財動向及び企業における事業戦略と知財戦略について
- 特許の相対的価値について、事業領域別に分析を行うと、単純な各国比較とはまた異なった傾向が表れるのではないか。
- 特許の相対的価値に関する分析が示すのは日本の特許制度上の課題か、あるいは日本の企業の経営の問題か。
- ITとの融合で業態が変わり、特許の数が必ずしも交渉の決定打とならなくなってきた。出願を厳選して余ったお金を知財に使うべきとは限らず、オープンソースやベンチャー投資等他の活動にも資源を振り分けることにより活動や知見を広げていくことも重要。
- 商標や意匠出願数は横ばいとのことだが、グッドデザイン賞への応募は近年増加しており、両者の関係を分析してみてはどうか。
- 産学官共同による特許出願の相対的価値が低いことは大学全体として考えるべき問題。
(2)経営層の知財への気づきについて
- スタートアップや中堅企業もIPランドスケープを活用していくべき。大企業と中小・スタートアップ企業との契約適正化の流れの中にIPランドスケープの積極的な活用も組み込んで推進してほしい。
- IPランドスケープに対する経営層の理解を高めることが重要。特許庁がe-ラーニング等を積極的に進めてはどうか。
- 日本経済の「失われた20年」は知財軽視が要因と思われる。コーポレートガバナンス・コードにおいて知的財産についても明記されたことで、経営層の知財への理解が深まり投資が高まることを期待。
- コーポレートガバナンス・コード改訂を受けて知財投資等に関する開示ガイドラインが策定されると承知しているが、知財価値指標の設定にあたっては数字が一人歩きしないよう慎重な議論が必要。
- 中小企業においては経営と知財戦略の距離が近くスピード感はあるが、知財の視点からの気付きはまだまだ足りない。地方企業に対して知財を経営に結び付ける人材育成への支援があると有り難い。知識の底上げに関する近年の取組成果の確認が重要。
(3)IoT時代の特許制度の在り方について
- AI・IoT技術の時代にふさわしい特許制度の在り方について早急に議論を進め、日本が世界でリーダーシップを取れるよう施策を講じてほしい。韓国では実用新案法が改正されたが、このような新しい形態の知的財産保護について早急に検討して頂きたい。
- 消尽については事実関係をしっかりと踏まえた議論が必要。
- 現在の消尽法理は、権利の効力の範囲を定める法理という位置付け。権利者の意思による効果を議論するのであれば消尽法理の根幹にも関わる。どのような場合に権利者に利益を還元させる必要があるのか色々な事例を精査すべき。
- 知財の価値を上げるには特許権者においてより自由に権利活用できる環境が肝要であり、国としての在り方の観点も重要。
- IoT時代では物に拘らず特に「価値」をキャプチャしてお金に変えていくことが肝要だが、このような観点から知財制度の在り方を検討することは日本の競争力の観点からも重要。
[更新日 2021年7月6日]
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