第18回知的財産分科会 議事要旨
1.日時・場所
日時:令和5年3月2日(木曜日)16時00分から18時00分
場所:特許庁16階特別会議室(オンライン併催)
2.出席委員
益分科会長、蘆立委員、出雲委員、鬼頭委員、小松委員、杉村委員、竹中委員、田村委員、長澤委員、中村委員、林委員、藤木委員、増島委員、松山委員、麿委員、柳川委員、山田委員
3.議題
- 出願・審査の現状
- 特許審査の現状と今後の在り方
- 知財エコシステムの協創に向けた取組
- 特許・意匠・商標制度小委員会の報告
- 財政点検小委員会の報告
- 不正競争防止小委員会の報告
4.議事内容
- 事務局より、資料を基に説明をした後、各論点について御議論いただいた。
主な意見は以下のとおり。
(1)出願・審査の現状、特許審査の現状と今後の在り方[議題1,2関係]
- PPHについては件数等の制限がある国があり、今後の改善を期待。
- 審査の速さや質といった日本の特許庁のすばらしいところが、任期付審査官が減少することで失われるとゆゆしき問題。今後、業務量が増えることが予想されることから、毎年100人減少すると心配であり、もう少し減少スピードを緩やかにできないか。
- 単願であるか又は共願であるかで、特許のビジネス上の競争力が大きく異なり、前者の方がポテンシャルのある特許となる。統計データとして単願と共願の内訳データについても提供してもらえるとありがたい。
- 任期付審査官が減少することはゆゆしき問題であり、現在の審査の速さと品質を維持するためには、現在と同程度の審査官の人数を確保することが必要。また、分類などAIになじむ作業についてはAIを活用するのが適当ではないか。
- 肌感覚として、最近は大企業から輩出される知財人材が少ない。任期付審査官は、知財人材の育成及び輩出の観点でも様々な役割を果たしていけるのではないか。
- 次の10年の目標としては、AIを活用した審査のベストプラクティスの確立や、プッシュ型支援の二つを提案したい。そのためには、AIを活用できる人材やコミュニケーション能力の高い人材を雇うなど、任期付審査官の必要性を明確化すると良い。
- 審査官の増員が必要であることは理解。その上で、今後は融合技術やGX関連技術のますますの発展が見込まれるため、それに対応できるような審査官のスペックの検討も必要。
- 審査の速さを維持するためには、現在の体制を維持していくことが必要。
- 国際的な審査協力を進めてもらい感謝。今後もASEAN各国を含め積極的に海外に審査協力をしてもらいたい。
- 大学においてはURAの任期を無期化して、優秀な人材の確保を進めている。任期付審査官についても同様の仕組みの導入も検討するといいのでは。
- 非公開特許制度については詳細な内容を分かりやすく示してもらいたい。
- 日本では、製品に直結する発明やアイデアの社会実装の重要な指標でもある商標や意匠の出願が少ないことに課題があり、掘り起こしの可能性があるのではないか。
(2)知財エコシステムの協創に向けた取組[議題3関係]
- 特許庁にはオープンイノベーションの促進に向けたモデル契約書等の取組を積極的に進めてもらい感謝。大企業、大学及びスタートアップなど、様々な立場の人々が参加する知財エコシステムを大きくしていく観点で、エコシステム型の知財の規範作りなどを特許庁には先導して行ってもらいたい。
- ナショナルプロジェクトについて、しっかり知財戦略を策定しているところを投資先としたり、進捗をフォローアップしたり、成果物の評価をフィードバックして次の投資判断に活かすなど、知財がどのような役割を果たせるか検討が必要。
- 大学の知財が死蔵しないように流動性を高めるとともに、大学やスタートアップが社会実装しやすいような知財を取得できるようなエコシステムを構築していくことが重要。
- GXTIはすばらしい取組だが、企業が事業ポートフォリオを展開する際に指針になるようなGXTI以外の技術要素についても今後増やしてもらいたい。また、GXTIのような指標が、環境関連の情報開示における世界標準の指標となりうるよう、積極的に活動してもらいたい。
- 地域ブロックレベルでの支援については地域の金融機関を巻き込んだ支援体制を構築できると良いのではないか。
- 死蔵特許については分類の問題があり、利用していなくても将来の新規事業に必要と考えて保有することもあり、3年使わなかったら死蔵と言われると困る分野もある。一方、数年で自身による実施の可能性がないことが分かる分野もあると理解しており、分野に応じた議論が必要。
- スタートアップ支援について、地方で起業する人は金融公庫や地銀に資金を借りる又は口座を作る機会が多いため、金融公庫や地銀から知財に関する支援が提供できるよう連携して知財への意識醸成を行うことも一案。
- スタートアップや中小企業に対して、特許庁やINPIT、弁理士会といった支援機関がばらばらに支援を行うのではなく、連携することが大切。
- イノベーションを起こすためには多様性と包摂性が重要だが、性別など特定の属性で区別するのではなく適所適材で人材を活用することが必要。
- 企業がポートフォリオを変えながら新ビジネスを立ち上げる際に知財をどう加速させられるかについて検討をお願いしたい。また、投資家の目線から見ると、知財の数ではなく、知財の競争力が企業評価の重要な指標となっているので、知財をIRの観点から検討することに期待。
- イノベーションにおいて多様性は非常に重要なので特許庁でも海外の知財庁に負けないように検討を進めてほしい。市場における知財評価について日本も世界に対してイニシアティブを持って進めることが必要。
- 中小企業に対する知財意識の向上については効果の有無に留まらず、どうすればさらに効果が出るのかを検討してもらいたい。地域ブロックでの支援機関については、内容ごとに支援機関をばらばらにするのではなく、スムーズな連携体制を構築することが必要で、地方の金融機関への知財の啓蒙についてもさらに進める必要がある。
- 知財エコシステムでは、知財の専門性を持った人材をより広い形で活用することや、そのような人材を世の中に増やしていくことが重要。
- 大学への支援については、大学における知財の活用がうまく回り始めているところ、今後も継続してもらいたい。
[更新日 2023年3月30日]
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