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第19回知的財産分科会 議事要旨

1.日時・場所

日時:令和6年3月12日(火曜日)14時00分から16時00分

場所:特許庁16階特別会議室(オンライン併催)

2.出席委員

益分科会長、出雲委員、加藤委員、齋藤様(鬼頭委員代理)、小松委員、鈴木委員、竹中委員、田村委員、長澤委員、中村委員、廣田委員、藤木委員、狩山様(藤原委員代理)、増島委員、松山委員、麿委員、山田委員

3.議題

  1. 出願・審査の現状
  2. イノベーション創出のための知財エコシステムの構築に向けて
  3. 各小委員会の報告
  4. 産業競争力強化法等の一部を改正する法律案のうちINPIT法関連箇所について

4.議事内容

  • 事務局より、資料を基に説明をした後、各論点について御議論いただいた。

主な意見は以下のとおり。

(1)出願・審査の現状 [議題1関係]

  • GX技術など、日本が推進するイノベーション分野における国別の出願データや分析をタイムリーに一般国民が把握できるような仕組みづくりを期待する。
  • 資料中には記載されていないが、日本の実用新案の出願件数が少ない。オープンイノベーションにおける中小企業や個人発明家の役割の拡大を考えると、日本の実用新案制度は、簡易で早期に権利化できる使い勝手のよい制度となるよう改善が必要ではないか。 実用新案制度の改善について検討をする場合には、実用新案制度が本当に改善に値するほど産業財産政策に寄与するかという観点からも検討されたい。
  • 一次審査期間や権利化までの期間が早くなったり遅くなったりするよりも、予見性のあるタイミングで審査結果が得られることを重視する。
  • 早期審査は権利化までの期間が短く、事業化において有利であるから、国全体として知的財産権の取得・活用を促進するためにいっそう早期審査に力を入れて欲しい。そのためには審査官の増員や文献調査能力の向上等、審査官の負担を減らしながら審査期間を短くする対策が必要である。
  • 特許庁では昨年10月にAI担当官を増員しているので、AIを使ったビジネス関連技術の審査の判断の質について、今後の改善効果を注視していきたい。

(2)イノベーション創出のための知財エコシステムの構築に向けて [議題2関係]

  • 知財領域では、企業価値に反映することが難しい知財等の無形資産の価値について対外的なコミュニケーションが不足している課題がある。対外的なコミュニケーションによる理解を促すためには、標準化や共通ツールの提供が必要。この観点からは、令和5年度に実施したIPランドスケープの具体的手法に関する調査研究は重要な取組といえる。また、当該調査研究で作成されたガイドブックに盛り込まれた仮想実施事例は、企業にとって実務上役立つものであるから、工夫して普及させて欲しい。
  • 無形資産の活用に関する施策やVCを通した企業支援は、地方企業には余り届いていないので、金融機関等の地方企業に近しいところにも知財のノウハウを広めてほしい。また、各種施策を地域のスタートアップに展開していくことは地方創生という観点でも重要であるから、注力して欲しい。
  • 地域経済活性化や中小企業支援については長年同様の支援行われているが、地方では未だ知財についての情報は不足しており、支援の効果や問題点についての分析をしたほうがよい。
  • 地方創生については、特許庁・INPIT・日本弁理士会・日本商工会議所の四者の連携である「知財経営支援ネットワーク」をうまく活用して欲しい。
  • AI関連技術等の新しい分野では、日本と諸外国との間で審査基準の違いが見られる中、ユーザーがグローバルなライセンス交渉や権利行使を円滑に行えるようにするため、審査基準や運用の調和が重要。
  • GXTIは海外投資家等へのアピールにも有効な取組のため、世界に展開し、情報開示に活用できるようにして欲しい。また、GXTIの活用促進に向け、産業界の意見も聴取して、きめ細やかな分類の設定や、より有効な活用事例の見せ方について検討して欲しい。
  • I-OPENや地方創生の取組等、専門家がチームを組んでプロジェクトを支援することは質の高いビジネスのロールモデルの創出につながり、イノベーションの源泉になることが期待されるため、今後も継続・拡大して欲しい。
  • 特許出願非公開制度は、米国の秘密特許制度とも調和する使いやすい制度となったが、損失補償の問題は残っているし、実際に動き始めてから明らかになる問題もあるだろう。国民に余計な不安を煽らぬよう、適時の情報発信に努めてほしい。また、運用開始後所定のタイミングで、保全審査が行われた件数などの実際の統計データも出してもらえると参考になる。
  • 令和6年度に調査予定である「ステークホルダーとの建設的な対話に資する知財経営の開示の在り方」について、現在、政策保有株式の縮減という大きな流れがある中で、投資家との対話が企業の課題となっている。企業としては、開示できる範囲を事前に仕分けしたうえで、知財が成長性戦略や差別化戦略に貢献していることを投資家に理解してもらう必要があるので、今後は投資家との対話の機会を増やす予定。
  • AI関連技術の審査事例は出願人にも審査官にも判断の基準として参考になるので、蓄積された事例の公表を進めて欲しい。また、今後、業界別なり分野別でシリーズ化して事例を追加してもらえると参考になる。
  • 国際卓越研究大学や地域中核特色ある研究大学強化促進事業の対象大学にモデル契約書や大学知財ガバナンスガイドラインの活用を徹底させ、地域知財経営支援ネットワークを構築することが重要。その中で創出された大学発スタートアップが上場し、それが中核となって各地域に知財活用エコシステムが構築されていく。

[更新日 2024年4月12日]

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