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産業構造審議会 第1回知的財産政策部会 議事要旨

平成13年5月11日
経済産業省特許庁

5月11日午前、産業構造審議会第一回知的財産政策部会(部会長:中山信弘・東京大学教授)が開催された。

1.部会の趣旨

産業構造審議会知的財産政策部会は、従来の工業所有権審議会の政策審議機能を産業構造審議会に統合したものであり、特許・商標等の工業所有権制度の在り方、不正競争の防止等、知的財産政策に関する調査審議を行う機関である。

2.審議内容

(1)「知的財産政策の課題」

「知恵の時代」である21世紀における「知的創造サイクル」活性化に向けて、政府として取り組むべき知的財産政策の課題について、「先端技術分野における知的財産政策」「迅速かつ利用しやすい知的財産紛争解決制度の実現」「国際的な出願の増大等への対応」の観点から説明した。

これに対し、委員より、以下の指摘があった。

  • 研究成果の早期保護を図るため、仮出願制度の導入ないし国内優先制度の活用、グレース・ピリオド等についても検討すべき。
  • ビジネス関連発明に関連して、先行技術に関するデータベースを拡充すべき。
  • 国際競争力の強化等の観点から、審査基準の明確化、審査期間の短縮化に取り組むべき。
  • バイオ関連の国際特許出願のサポートのため、弁理士の人材育成強化、研究者への知的財産制度に関する啓蒙等を積極的に行うべき。
  • 知的財産関連紛争の迅速な処理のため、日本知的財産仲裁センターなど裁判外紛争解決手続(ADR)の整備・拡充に努めるべき。
  • ハーグ国際私法条約に関し、裁判管轄の問題に限らず、準拠法である知財法制が各国で異なることを視野に入れ、外国判決の承認執行を如何に取り扱うべきかも検討すべき。

(2)「当面の検討事項」について

1電子商取引の発展等IT社会形成に向けた対応

2創造的技術開発の促進

3知的財産紛争の解決の迅速化

4国際調和とグローバル・パテントを目指す制度整備

5迅速な権利付与に向けた審査・審判体制の整備

の観点から、今後、審議を行うこととされ、法制小委員会において、1についてまず検討を行うこととなった(別紙参照)。

(3)「法制小委員会の設置」について

ネットワーク上を流通するコンピュータ・プログラムなど新たな保護対象の登場、電子商取引などネットワーク上の経済活動の発展等に対応した特許法・商標法等の在り方につき検討を行うべく、知的財産政策部会の下に「法制小委員会」を設置することとした。

3.今後の審議スケジュール

「法制小委員会」については、本年5月以降開催し、IT化に対応した特許法・商標法の在り方について審議を行い、年内を目途に報告書を取りまとめる予定。

当面の検討事項

1.電子商取引の発展等IT社会形成に向けた対応

~ネットワーク社会での知的創造活動の促進(法制小委員会にて検討)

  • 発明の定義(自然法則を利用した技術的思想の創作)の論点整理
  • 特許法第2条の発明の実施規定の再検討
  • ネットワーク上における特許侵害行為の明確化(間接侵害の見直しを含む)
    コンピュータ・プログラムの特許対象の拡大化、ネットワーク上の取引の拡大に対応し、特許権の適用範囲を明確化 
  • 商標法の商品・役務概念の再検討
    コンピュータ・プログラム、電子出版物等電子商取引の拡大に対応した商標法上の商標・サービスマークの保護の在り方を検討。

2.創造的技術開発の促進

科学技術基本計画の重点分野における研究開発成果の適切な保護を含め、バイオテクノロジー分野等における知的創造サイクル活動に対する支援を検討。

3.知的財産紛争の解決の迅速化

6月の司法制度改革審議会最終報告も踏まえ、紛争処理の迅速化に向けた諸課題を検討。

  • 弁理士制度(侵害訴訟代理権付与等)
  • 特許裁判・審判制度等の機能強化
  • 裁判外紛争処理制度(ADR)(訴訟との連携等)

4.国際調和とグローバル・パテントを目指す制度整備

今後、予定される実体面の国際的ハーモナイゼーションを踏まえた制度の在り方等を検討。

  • 特許協力条約(PCT)に関する改革
  • 実体特許法条約策定の動き等への対応

5.迅速な権利付与に向けた審査・審判体制の整備

迅速かつ的確な審査・審判の実現

[更新日 2001年5月30日]

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