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第6回知的財産政策部会 議事録

  1. 日時:平成17年2月23日(水曜日)13時30分~14時50分
  2. 場所:特許庁 共用会議室
  3. 出席委員:
    中山部会長、井川委員、木下委員、齊藤委員、高橋委員、永岡委員、中西委員、松尾委員、宮川委員、宗国委員、森下委員、森嶋委員、諸石委員、安田委員、山根委員、山本委員
  4. オブザーバー:大渕意匠制度小委員会・委員長
  5. 議題:今年度の成果について

開会

中山部会長

それでは、時間でございますので、ただいまから産業構造審議会第6回知的財産政策部会を開催いたします。
本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

委員紹介

中山部会長

それでは、まず最初に、前回の部会以降新たに本部会の会員になられた方々につきまして、事務局から紹介をお願いいたします。

花木審議室長

それでは、御紹介させていただきます。
木下實三日本弁理士会会長でございます。
高橋利文最高裁判所事務総局行政局長兼民事局長でございます。
宗国旨英国際知的財産保護フォーラム座長でございます。
森嶋正治情報産業労働組合連合会中央執行委員長でございます。
以上、御紹介させていただきました各氏が新たに委員となっていらっしゃいます。

中山部会長

ありがとうございました。
本日は、本部会に設置されております小委員会等につきまして、これまでの検討状況を御報告いたしまして、今年度の成果をお諮りしたいと思います。

小川特許庁長官あいさつ

中山部会長

議事に先立ちまして、小川特許庁長官から一言ごあいさつをちょうだいしたいと思いますけれども、本日は所用で小川長官は御欠席でございますので、代理といたしまして、澁谷総務部長から一言あいさつをお願いいたします。

澁谷総務部長

委員の皆様方におかれましては、御多用中のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。今御紹介ありましたけれども、本来、小川が出るべきところ、身内に不幸がございまして出席できません。かわりまして私が一言ごあいさつを申し上げます。
御案内のとおり、平成14年2月に、小泉総理が「知的財産立国」を目指すことを宣言して、以来この3年間、一昨年には料金改定を主な内容とする特許法の改正、昨年には特許審査迅速化法が成立いたしまして、現在この具体化に向けて全力で取り組んでいるところでございます。
さて、本日の部会におきましては、不正競争防止法の見直しの方向性や地域ブランドの商標法における保護のあり方などにつきまして、御議論頂くことになっております。特に、後者の地域ブランドにつきましては、地域経済の活性化に向けた取り組みとして全国に広がりつつあるなど、知的財産政策や産業政策の観点から重要な課題となっております。こうした状況を踏まえまして、地域ブランドの保護の観点のための商標法の在り方について、速やかに検討を行い、商標法の改正について成案を得て、今通常国会に改正法案を提出いたしたいと考えております。
また、司法制度改革の流れの中で、昨年ADR法が成立いたしましたけれども、裁判外紛争解決手続の活性化という観点から、弁理士の役割も拡充すべきとの提言がなされております。このため、別途、経済産業政策局から御説明いたします不正競争防止法の改正とあわせて、弁理士法の改正法案を今通常国会に提出いたしたいと考えております。
さらに、意匠制度につきまして、昨年、当部会のもとに設置されました意匠制度小委員会における審議の成果について御報告させていただくとともに、昨年11月に、知的財産戦略本部の医療行為の特許保護の在り方に関する専門調査会においてとりまとめられました対応策に対応した審査基準の改定案につきましても御報告いたします。
知的財産権に関する世の中の関心は、かつてないほど高まりを見せております。産業財産権制度をより魅力的な制度として構築し、広く国民の方々から御支持いただけるものとするためにも、委員の皆様には活発に御議論いただき、貴重な御意見を賜りたいと存じます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

中山部会長

ありがとうございました。

舟木経済産業政策局審議官あいさつ

中山部会長

引き続きまして、舟木経済産業政策局審議官から一言ごあいさつをお願いいたします。

舟木産政局審議官

経済産業政策局審議官、舟木でございます。
本日は、知的財産部会にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。経済産業政策局からも、この後に御報告させていただきますが、不正競争防止小委員会におきまして、不正競争防止法の見直しの方向性につきまして御議論をちょうだいしまして、結論を出していただきまして、それに基づきまして政府決定をしまして、現在、国会に法案を提出しているところでございます。
本当に、不正競争防止法を初めとしたこの知的財産の問題、国際的にも非常に大きな広がりを見せておりますし、また、質的にも非常にこれまでにないようないろんな経済実態を踏まえたいろんな問題に対する対処をしなければいけないというような状況になってきておるかと思います。今後ますます知的財産の問題につきまして、私ども経済産業省としましても非常に重要な政策課題として力を入れていきたいと思ますので、ぜひ引き続きよろしくお願いしたいと思います。

中山部会長

ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思いますけれども、それに先立ちまして事務局より配付資料の説明をお願いいたします。

花木審議室長

資料の確認をさせていただきます。お手元に大きなクリップどめでとじた資料が配付してあることかと思います。クリップをはずしていただきまして、まず最初に、資料1といたしまして委員名簿をおつけしてございます。それに続きまして、資料2-1から資料2-5までが、不正競争防止小委員会及びその報告に基づく不正競争防止法の改正法に関する資料でございます。具体的には、資料2-1が不正競争防止小委員会報告書「不正競争防止法の見直しの方向性について」概要、続きまして、資料2-2といたしまして報告書本体、また、資料2-3といたしまして法立案についてという横長の色刷りの資料が入っているかと思います。資料2-4といたしまして、不正競争防止法の一部を改正する法立案という簡単な資料がつけてあるかと思います。また、その後に資料2-5といたしまして、実際の法立案、法律条文等がつけてあるかと思います。
それから、資料3といたしまして商標法関係の資料でございます。資料3-1といたしまして商標法における地域ブランドの保護の在り方について概要、また、3-2といたしまして報告書本体、3-3といたしまして模倣品の個人輸入及びインターネット取引に関する事例集、以上が商標の関係の資料でございます。
資料4といたしまして、意匠の関係でございます。4-1といたしまして意匠制度小委員会という紙ですが、概要についての二枚紙と後ろに中間的な論点の整理ということで、資料4-2をつけさせていただいております。
最後に、資料5といたしましても特許法の関係でございますが、医療関連行為の特許保護の在り方について、資料5-1といたしまして横長の色刷りの紙、また、5-2、5-3といたしまして審査基準の(案)をおつけしております。
以上、大部でございますが、不足等ございましたら事務局までおっしゃっていただくようお願いいたします。

中山部会長

よろしいでしょうか。

不正競争防止小委員会報告書について

中山部会長

それでは、最初の議題である「不正競争防止小委員会報告書」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

住田知的財産政策室長

それでは、御説明させていただきます。知的財産政策室長、住田でございます。
お手元の資料でございますけれども、資料2の束がございます。その中で、資料2-2と書きました部分に不正競争防止小委員会の報告書の本体がございます。少々長いものでございますが、皆様に非常に詳細に御検討いただきましたので、こちらをベースに御説明させていただきたいと思います。
まず冒頭、はじめにというところが4ページからございますけれども、昨今の我が国経済を取り巻く状況、その中で、とりわけ目に見える資産以外の部分について非常に重要性が高まってきている。まさにそれが経営の根幹にかかわるものになってきている。そういう中で、せっかくいろいろな努力を各企業がされてつくり出したものに対するただ乗りをされてしまう、あるいはそれを使って利益を得られてしまう、こういったことを防いだりするということが重要でございまして、そのための自衛策を各企業は講ずるとともに、政府におきましても、各種の関連法令の整備その他を行う必要がある。これが背景でございます。
今回の検討におきましては、営業秘密の関係と模倣品・海賊版対策ということで、大きくその2つぐらいの項目を検討させていただいたわけでございます。
まず、営業秘密につきましては、7ページ目以降のところから始まってございます。まず、「営業秘密」の定義について見直しの必要性があるか否かということにつきましては、8ページ目以降から検討いたしましたけれども、現在の3要件、判例などでも大分詳細にその肉づけができてきておりますので、その3要件を維持するということでございます。
それから、今回主に検討のテーマといたしました営業秘密に関しては、3つポイントがございました。1つは国外における不正使用・開示、これが12ページから書いてあるところでございます。国外における不正使用・開示につきましては、よく言われるケースというのは、企業の従業員の方が週末にアルバイトと称して、海外の企業で技術指導する際に営業秘密をもらしてしまった、こういうケースでございますけれども、これは刑事法の一般原則のような形で、属地主義というものがございますから、国外で実行行為が行われている場合には刑事処罰の対象にならないというのは、これは一般的な原則でございますので、現在の法律のもとでは、海外におけるそういった行為については処罰ができないということが問題視されているわけでございまして、したがいまして、この部分につきましては、国内できちっと管理されていたような営業秘密に関しましては、それが海外に持ち出されてしまって使用・開示されてしまった、こういうケースは処罰の対象にすべきであるということでございます。
続きまして、18ページ目のところからでございますが、これが退職者による営業秘密の不正使用・開示の問題でございます。これまでの裁判例等から見ましても、やはり営業秘密の漏洩に関しましては、退職者が関与しておられるケースというのが少なからずございます。したがいまして、この退職者に関する行為というのが何らかの形で対象にできないかという議論でございます。
御承知のとおり、退職者の行為を一定程度制限するということになりますと、転職活動に影響が及ぶということで、職業選択の自由との関係の問題はかねてから指摘されてきたところでございます。今回の検討の中では、産業界、労働界ともに、退職者であっても営業秘密の漏洩にかかわるようなことがあってはならない、それが企業にとって非常に重要なものなんだ、この点につきましては共通の認識が得られたわけでございます。
他方、やはり過度に退職者の行為、あるいは転職しようとする人の行為が萎縮するような形で、非常に幅広い形で刑事罰の対象と現時点でしてしまうということについては、やはり躊躇があるという意見がございました。したがいまして、今回の検討におきましては、特に悪質な事例というものに焦点を当てるような形で対象にしていくということでございます。
具体的な検討につきましては、20ページ目の検討の方向性というところから書いておるわけでございます。
まず、1つ目の類型としまして、21ページ目のところ、(a)というところがございますけれども、これが非常に悪質であるということを誰もが認めるようなケースでございまして、在職中に不正の開示に関する約束があった場合、すなわち、在職中にあらかじめ営業秘密の持ち出しを約束した。これは自分の方から持ちかけたか、向こうから持ちかけられたかは、両方含み得るわけですけれども、そういうケースについては、その人が退職後に使用・開示したら、それはそういう人の場合は退職者であっても処罰をすべきである、こういう議論でございます。
一方、もう一つ非常に大きな議論となりましたのは、アメリカ流といいますか、何らかの秘密保持義務があるような場合、それに違反した場合には刑事罰の対象としてもよいのではないか、そういう議論があったわけでございます。
この点につきましては、22ページ以降でかなり詳細に契約のタイミングなども含めて、どうやって秘密を特定するのかというようなことについても検討いたしました。
しかしながら、実はこれにつきましては現在の状況というのを見ますと、こういった秘密保持契約を結んでいる企業は6割程度の企業があるわけでございますが、どうも対象者、あるいは対象となる営業秘密についての特定性が非常に薄いケースがほとんどでございます。したがいまして、そういったケースに、そういった状況のもとで秘密保持契約違反を刑事罰の対象にするということになりますと、非常に包括的な契約が結ばれるということを助長してしまわないか。それは結果的に、企業にとってもきちっとした秘密の管理ができないということになってしまいますし、従業員の方にとってみても非常に萎縮効果があるということで、26ページ目の(3)というところに書いてあるわけでございますけれども、むしろ今後、秘密保持契約のあり方といったようなものを、ある種指針のような形で検討していき、その定着を踏まえて、さらに必要であれば刑事罰を科すという方向で検討する、こういうことに結論づけたわけでございます。
それから、営業秘密に関する3つ目のポイントは、法人処罰の問題でございます。29ページ目のところから法人処罰の問題についての検討を行いました。これまで営業秘密に関しては、両罰規定がなかったわけでございますけれども、皆様御承知のとおり、営業秘密を外から盗みに来るといったようなケースにおいては、これは個人がやっているというよりは、やはり企業ぐるみでやっておるわけでございまして、したがって、そういったケースについては法人の責任も問うべきであるということで、若干その法人自身が被害者になってしまうような場合でありますとか、あるいは、さまざまな取引関係を阻害しないようにといったようなことにも配慮しながら、行為類型に応じて法人処罰を適用すべき場合を明確化するということで結論をつけたわけでございます。
したがいまして、今後は、34ページ目のところにございますように法人の監督責任義務というのが問われることになります。といいますのは、この法人処罰というのは、両罰規定の場合には、基本的には法人に関しまして過失推定ということになりますので、法人がその責任を免れるためには、過失がなかったことを積極的に立証しなければいけないということになりますので、法人の選任監督義務にどのようなものがあり、どのような管理をしていけばいいのかということについては、よりある種のガイドライン的なものを明確にしていく必要があるということでございます。
以上が営業秘密でございまして、続きまして、模倣品・海賊版対策につきましては37ページ以降でございます。これはアジアにおけるさまざまな経済発展などを背景といたしまして、特に模倣品・海賊版の被害というのは近年増大しております。それだけではなく実は非常に手口も巧妙化をしておりまして、現在の法律で必ずしも対象にならない部分、あるいは少なくとも刑事罰の対象にならないような部分をねらったような新しい模倣類型が出現しております。
また、海外で模倣品・海賊版が生産されて大量に日本に持ち込まれるというケースもございまして、これにつきまして、一度国内流通に入ってしまいますと、それを一件一件、刑事罰にせよ、民事訴訟にせよ対処していくというのは非常に難しくなってしまうということの関係から、水際の措置も検討すべきではないかということでございます。
そういった観点から、38ページ目のところから、著名な商品等表示の冒用に関しての検討をしたわけでございます。現在、不正競争防止法2条第1項1号の周知表示の混同惹起行為については刑事罰が定めてあるわけでございますが、著名な商品等表示の冒用行為については、民事的救済しか定められていないということでございます。
この結果どういうケースが生じているかというと、ルイ・ヴィトンというのがよく例に出てくるケースでございますけれども、そういったブランドのマークを使用して、当該商標を取得していない、商標権を取得していない分野の商品にそれをくっつける。例えば車のハンドルカバーですとかそういったケースがあるわけですけれども、そういった形で人の著名な表示を使ってしまうということがあるわけでございます。
こういった行為についても実は民事的な手段はあるわけでございますが、やはりそういった品物を売っているのは露店等のケースが多いものですから、背後に反社会的な勢力があるようなケースもあり、それを民事訴訟でやっていくというのは非常に危険が伴うというケースもございます。したがいまして、こうしたものについて刑事罰の対象にすべきであるということ。
それに伴いまして、主観的要件として、より限定を付すべきであるということで、41ページ目の(c)のところのちょっと上にございますけれども、「著名な商品等表示に係る信用若しくは名声を害し」、あるいは「信用若しくは名声を利用して不正の利益を得る」、そういう主観的な要件を課すこととするということでございます。
それから、続きまして、45ページから商品形態模倣に関してでございますけれども、これも意匠権がとられる前の玩具などが代表的な例でございますけれども、やはり全く同じ形のものをつくって売っちゃうというケースでございます。技術的な進歩もございまして、こういった商品形態の模倣がより精巧になって、より容易になってきているということもございますので、これについても、やはり露店等で売られているケースが多いということもあるので、刑事罰の対象とすべきであるということでございます。
また、刑事罰の対象とすることとあわせまして、これまで不明確であると言われていた定義規定の一部明確化を図ることといたしました。
まず、「通常有する形態」という部分につきましては、一体これがどういうものを指すのかというのが必ずしも明確ではございませんので、「当該商品の機能を確保するために不可欠の形態」であると、そういったようなことを明確にするということでございます。
また、48ページ目の下のところからは、「模倣」という言葉の定義についてでございますけれども、これは「同一又は実質的同一」というのが判例上も確立してまいりましたので、その点について規定するということでございます。
なお、保護期間の開始時期、あるいは保護期間の終期の起算点、保護期間の長さにつきましては、これは国内販売から3年ということで規定を明確化することといたしました。
さらに52ページ目のところに、「商品の形態」についての定義もこれまでの判例で確立したものを設けるということにしたわけでございます。
その次に、ちょっとデータベースの話が56ページから入ってございますけれども、データベースのデッドコピーについても検討いたしましたが、現時点ではこういったものの保護を求める声について、まだいろいろとばらつきがあるということもあって、今回の検討の中では結論は出ず、今後のさらなる検討に委ねようということになったわけでございます。これが68ページまででございます。
また、先ほど申しました水際措置でございますけれども、不正競争防止法違反物品、模倣品・海賊版につきましては、水際の措置が非常に有効ではないかということでございます。こちらの方は関税定率法の改正に委ねることになるわけでございますが、2条1項1号から3号までの物品につきまして、水際措置をとっていただくということでございます。ただし、既に行われております特許等の水際措置においてもいろいろ指摘されておりますように、関係者のそれぞれの御意見が十分反映できるかという問題がございますので、この点については、税関で物をとめるというときに、この模倣品・海賊版につきましては必ずしも一見明白でないというところもございますので、経済産業大臣に対する照会の制度を関税定率法の方で設けていただき、その中で経済産業大臣が意見を言うに際して、関係当事者の御意見を何らかの形で聞くという方向を現在考えているところでございます。
最後、77ページ目以降でございますが、罰則の問題でございます。罰則につきましては、現在、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金ということになってございますが、著作権法等とあわせまして、これを5年以下の懲役又は500万円以下の罰金、それの併科ということにさせていただくということでございます。特に、5年という数字が出てまいりますと執行猶予はつかないという、実刑になるという可能性もかなり出てまいるわけでございますので、非常に抑止力としての効果は高いのではないかというふうに期待しているところでございます。
なお、この御答申をいただきました内容を基本といたしまして、実際に不正競争防止法等の一部を改正する法律案を、先ほど説明させていただきましたように、この通常国会に提出させていただきました。その具体的な法律案が資料2-5というところでございます。この法立案の中では、今申し上げました営業秘密の保護強化、それから模倣品・海賊版対策、そのうち水際につきましては関税定率法の方でやっていただきますが、刑事罰の部分、あるいは民事規定の整備につきましては、不正競争防止法の一部改正で行います。さらに罰則の見直し、それ以外に関連法規の整備ということで、この不正競争防止法の今回の改正に関連する法例の整備及び弁理士法の改正につきまして、あわせて一つの法律といたしまして、不正競争防止法等の一部を改正する法律ということで提出しているわけでございます。
弁理士法の部分につきましては、落合課長の方から御説明をいただきます。

落合秘書課長

特許庁秘書課長の落合でございます。
住田の方から御説明いたしました関連法の中で、弁理士法の改正というのがございます。これにつきましては改正するポイントは3点ございます。1つは不正競争防止法のポンチ絵、この資料2-3のところの一番下のところでございますが、1つは、今般の不正競争防止法の改正案において、刑事処罰の対象が追加されることに伴いまして、それを弁理士の欠格事由に追加するというのが1点目でございます。
それから、昨年11月の司法制度改革推進本部における隣接法律専門職種の活用に関する決定に基づきまして、2つの改正措置をしてございます。
1つは、現行法で認められております弁理士の仲裁代理業務というのが、調停、斡旋手続の代理を含む裁判外紛争解決手続についての代理業務であるということを明確化するという点と、それから、代理業務の対象となる紛争に著作権に関する紛争を加えるという2点でございます。
以上でございます。

中山部会長

ありがとうございました。
それでは、この報告書に関しまして御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
よろしゅうございましょうか。
それでは、最後にもし何かありましたらまたお願いしたいと思いますけれども、一応この「不正競争防止法の見直しの方向性について」というものを、本部会の報告書として決定することを委員の皆様にお諮りしたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

中山部会長

ありがとうございました。異議がないようでございますので、この報告書を本部会の報告書とすることを決議いたします。ありがとうございました。

商標制度小委員会報告書について

中山部会長

引き続きまして、事務局から、「商標制度小委員会報告書について」説明をお願いいたします。

花木審議室長

特許庁制度改正審議室長の花木と申します。よろしくお願いいたします。
資料3の束におつけしてある資料に基づいて説明をさせていただきたいと思います。
資料3-2というものがございまして、地域ブランドの商標法における保護の在り方についてというものでございます。こちらは先週金曜日、2月18日の商標制度小委員会で採択いただきました報告書でございますが、内容を時間の制約もありますので、特許庁の責任で簡単にまとめさせていただきました資料の3-1という三枚紙がございますので、こちらに基づいて簡単に説明させていただきたいと思います。
まず、地域ブランドの定義と検討の背景ということでございますが、近年、地域の事業者の方々が協力して、事業者の方々がその統一したブランドを使うという形で、その地域と何らかの関係のある、さまざまな商品を提供したり役務の提供を行うというような、そういう取り組みが非常にふえてきているというふうに言われております。
また、自治体の側でも、地域活性化の一つの切り札ということで支援のための体制を設ける等、自治体の側も盛んに取り組みをされているという状況がございます。
しかしながら、現在は、こういう地域ブランド化におきましては、通常、地名をその商品の名前に使うということがございまして、模倣品の観点からすると、必ずしも十分な保護の枠組みがあるとは言えないのではないかという指摘があるところでございます。
それで資料3-2の報告書本体の方、4ページを見ていただきますと、例えばということになるかと思うんですが、昨年の5月27日、知的財産戦略本部が毎年出しておられます「知的財産推進計画2004」の中でも、知的財産の保護制度強化という項目の中で、地域ブランドの保護制度を検討するということが課題として挙げられておりました。
また、同じく昨年5月になるんですが、経済財政諮問会議に経済産業大臣が提出いたしました「新産業創造戦略」の中におきましても、今後の重点政策の一つとして、やはりこうした地域ブランド制度の確立支援のための制度整備という課題が挙げられていたわけでございます。
先ほどの資料に戻りまして、どうしてそういう提言がなされているのかということでございますが、資料3-1のI.の丸のところなんですが、現在の商標法上は、こうした地域ブランドでは地名を使いますので、その地名が入るとなかなか商標登録が難しい。認められる場合として2つあるんですが、その名前が、事業者の方が実際に使用した結果、その商品の需要者全体、すなわち全国の需要者との関係においてセカンダリーミーニングを獲得した場合ということでございます。
これは、例えば夕張メロンの場合、昭和35年に夕張メロンは生産開始して、40年代には北海道内で模倣品が出たと言われているんですが、何度か実際に「夕張メロン」という商標の出願をされたんですが、全国的に有名でないということで、実際に登録されたのが平成5年のことでございます。したがいまして、20何年間、その間は文字商標の登録ができなかったということで、やはり地域ブランドを保護するということであれば、実際に付加価値が生じて模倣品が出回り始めた以上、そういう段階で保護してもいいのではないかという考え方が一つあるわけでございます。
また、(イ)といたしまして、文字商標は非常にハードルは高いんですが、一方でこの図形を入れると、この識別力のあるマークをつける形ですと、最初から誰でも登録できますし、そのマークの部分を変えれば他の方も使用できるというような形になってしまいますので、そういう帯に短したすきに長しというか、そういうような状況があるということかと思います。
それで商標制度小委員会におきましては、昨年10月の第9回以降4回にわたって御議論いただきました。その内容でございますが、まずII.の事例と登録ニーズというところでございます。登録のニーズと担い手、本報告書本編の方にはいろいろな事例を挙げさせていただいておるんですが、一言で申し上げますと、やはり模倣品の被害というものがあるということかと思います。
ここに書いた内容を申し上げますと、地域ブランド化の取り組みが進展し、その地名の入った地域ブランドと商品の結びつきが認識されるようになりますと、いわゆる信用にただ乗りして、粗悪な商品や他産地の商品についてそのブランドを用いるという事例が頻発しているのではないかということでございます。こういう形で使われてしまいますと、せっかく地域の方々が品質なり基準を決めて使っていても、全く関係ない第三者に使われてしまうということですと、ブランドイメージの構築が非常に困難でありますので、そういうことについて保護のニーズがあるだろうということを書かせていただいております。
また、その際の担い手として保護すべき者ということですが、これはもちろんいろいろなケースがございまして、一つの企業、あるいは一個人がやっておられるような事例もないわけではないかと思うんですが、実際には地域ブランドということになりますと、地域内の複数の事業者の方々が集団的にやっておられるということで、団体という形の枠組みを用意することが適当ではないかということでございます。ここに書いてございますように農産品が多いわけですが、農産品につきましては例えば農業協同組合、また、工業品につきましては工業協同組合といった事業者を構成員として設立された団体ではないかということを書かせていただいております。
また、次、2ページでございますが、海外の例ということでございます。こちらは先生方御承知のとおり、EU、イギリス、ドイツ、スペイン、アメリカ、中国、韓国ということで書かせていただいております。これらに限られるわけではありませんけれども、各国とも、こうした地域、地名入りの商標につきまして、通常の商標とは異なる枠組みを団体商標という形で、団体商標であれば普通の方よりとりやすい、あるいは普通はとれないんだけれども団体商標であればとれる、そういう枠組みを構築していることが通例であるということを書かせていただいております。
続きまして、2ページのIII.のところでございますが、地域ブランドの保護制度についてということで、ここからが中身になるわけでございます。基本的考え方といたしまして、以上のような実態、あるいは事業者、地域といったところのニーズを踏まえますと、地域ブランド化において何を保護すべきかといったときに、全国の需要者との間では、なかなか出所表示機能といいますか、セカンダリーミーニングがとれていないようなものであっても、現実にその地域において需要者との関係で、出所識別機能が発揮されているようなものについては保護してもいいのではないか。その際に、他者の権利を不当に制限しないといったことが非常に重要であろうということで、その点に留意した上で、こういうものを商標登録できるための商標制度上の枠組みを導入するということで、必要があれば商標法の改正を視野に入れて早期に具体化をすべきであるということを指摘いただいたわけでございます。
その際に、特に議論がありました点としまして、こちらがそのような地名の入ったもの、産地名表示、あるいは原材料表示として用いる、そういうニーズが現にある。現に出所識別機能は発揮しているものであっても、やはり産地表示、原材料表示、そういう形で表示することに支障がないようにすべきであるということは非常に御意見がございました。
これは現在の商標法もそのようになっているわけでございまして、そのための条文もあるわけでございますが、その点につきまして、やはり改めて考え方を、運用という形になるかと思うんですけれども、整理すべきであるというような御意見があったわけでございます。
もう一つは品質との関係でございまして、(2)の後段のところですが、商標法、これは需要者との関係で出所識別機能が出ているということに着目して、その点に保護の根拠を認めるということでございますので、その内容が本当にいいものであるかどうか、これはある意味商標法の保証するような性格のものではないだろう。これは従来の商標もそういうことでございますが、そういった点についてはやはり誤解が生じないようにすべきだろうという、この点につきまして委員会の中で御意見がございまして、反映した形でここに書かせていただいてるということでございます。
実際の内容につきまして、大きな改正の方向性につきまして、2ページの2.のところに要約させていただきました。まず、どういうものを登録するかということでございますが、商標といたしまして、地域名と商品名が入っているようなものということで、地域名につきましては、行政区画に限られず、昔の江戸時代の藩の名前ですとか、海域の名前、あるいは山岳や河川の名前、そういう幅広い地域名を対象にする。また商品名も、織物、焼き物、陶磁器、そういう形に限られず、「○○織」、「○○焼」、「○○塗」といったような名前も保護すべきであるということでございます。
それから、2番目に、先ほど申し上げましたように、現に使用して地域的には付加価値といいますか、セカンダリーミーニング、出所識別機能が生じているということで、こちらにつきましては、どのようなものが周知なのかという点についていろいろ御意見がございましたが、例えばということで隣接都道府県に及ぶ程度の範囲ということで結論をいただいているところでございます。
それから、3番目に地域名と商品の関連性につきましては、これは地域ブランドというのが、やはり地域に関係のある商品を取り上げるというものでございますので、何らかの関係性というものは必要であろう、全く無関係ということでは問題があるのではないかということを大きな枠組みとしていただいているわけでございます。
それから、3ページでございますが、登録の主体につきましては、先ほど申し上げましたような団体で、事業者を構成員とする団体であって、商標をとるということですから、法人格を有するものを中心に検討する。
その際、一私人一企業に認めないと言っていることとの関係で、その団体であっても非常に排他的なものであっては困るだろうということで、加入が不当に制限されないと、そういうことが法律上担保された団体に限るという考え方をいただいているところでございます。
こうした団体に限りまして、一地域周知ということで商標を登録できる、こういう枠組みを地域団体商標制度と名づけまして、現在検討しているわけでございますが、登録された商標権の効力につきましては、1のところで先使用権、こちらにつきましては現在の商標につきましてもあるわけですが、地域団体商標の場合は、ある程度周知性という段階で登録を認めますので、先使用権のある方というのは、そこはきちんと保護していく必要があるだろうということでございます。
また、2移転、3専用使用権とございますが、そういう要件を満たしていることに着目して登録する以上、移転や専用使用権の設定については制限を設けるべきであろうということでございます。
最後に(4)といたしまして、異議申立て、無効審判及び取消審判につきましても、登録理由に反したような場合には対象とするということで、制度の骨格につきまして答申をいただいたわけでございます。
以上、簡単に御説明させていただきましたが、具体的な内容は資料3-2に書いてあるとおりでございまして、こちらにつきまして4回にわたりまして御審議いただいた結果、とりまとめていただいたということでございます。特に最後のところで、原材料表示につきまして運用できちんと明確にするよう、これは特許庁の方で立法化する場合には、解説書とか審査基準等で明確化の努力は図るべきという御意見が最後ございましたということを紹介させていただきます。
以上が地域ブランドの関係でございますが、もう一つ、資料3-3といたしまして、商法の関係で同じ先週金曜日の審議会で、模倣品の個人輸入及びインターネット取引に関する事例集というのをとりまとめさせていただきました。こちらは近年、商標に関する個人輸入が非常にふえてきている。その背景には、インターネットの利用、あるいはインターネットオークションの利用等があるということで、そういう実態を踏まえていろいろな行為、2つの類型がございまして、資料の3ページの目次を見ていただきますと、個人輸入に関するもの、それから、自分が出品して販売する、インターネットによって販売する場合、この大きく2つに分けまして、どういう場合に商標権侵害になり得るのかといったようなことについて、改めて考え方を整理させていただいたわけでございます。
こちらの性格でございますが、この資料3-3の目次の左側、2ページのところを見ていただきますと、はじめにということでございまして、やはり国民、皆様方一般が、そういう個人輸入ですとかインターネットに非常に触れやすくなっている。そういう中で、気づかないうちに商標権侵害を犯してしまう危険性が高まっているということで、そういうことを明確にするためにということが、一つ。それから、関係規制当局ということで、インターネット関係ですと総務省、あるいは輸入の関係ですと税関、あるいは侵害の関係ですと警察ということになるかと思いますが、そういったところで取り締まり等の実効性の向上、この2つをねらいにしているわけでございます。
最後のなおがきで書いてございますが、特許庁の見解という特許庁の責任においてまとめさせていただいたということではありますが、途中、審議の段階で、商標制度小委員会においても御審議いただいておりますので、そういう意味で法律の専門家、あるいは裁判実務関係者等の御意見も十分反映させた形で入れさせていただいております。
また、個人輸入、インターネットに限らず、並行輸入につきましての考え方を整理して、参考として記載させていただいておるということでございます。
以上、若干長くなりましたけれども、商標に関する内容につきまして御報告させていただきました。

中山部会長

ありがとうございました。
それでは、この報告書に関しまして御意見、御質問がございましたら遠慮なくお願いをいたします。
どうぞ。

永岡委員

質問が2つなんですけど、1つは、地域ブランドの保護制度の基本的な考え方のところで(1)のところ、「他者の権利を不当に制限しないことに留意しつつ、商標登録できることとする」、これはどういうことなのかということが1つと、並行輸入のことについてもうちょっと説明してほしいんですけれども、今回、参考なんですが、これは何かあれですか、盛り込まれる可能性があるんでしょうか。その2つです。

花木審議室長

永岡委員からのお尋ねでございます2点、まず第1に他者の権利、こちらでございますが、こちらにつきましては、具体的にはこの報告書で申し上げますと14ページのところになるかと思います。済みません、11ページの方が適当かもしれません。11ページのところで、地域ブランドの保護制度についてということで、基本的考え方ということで書かせていただいております。この中の(4)、(5)がそれに当たるものでございまして、まず(4)は商標登録、地域の団体に対して商標登録を認めるということではありますが、その登録した段階で、既に使用実績のある第三者というのがあるわけでございます。こういう方については、従来から使用していらっしゃるわけですから、そこに現実に信用が蓄積されている。その方とは別の団体が商標を登録したとしても、そういった方については、現在の商標法においても、32条ということで先使用権というのがあるわけでございますが、それに準じたといいますか、それをさらに要件を緩めたような形の先使用権というのを認めて、基本的に自己のためである限り、引き続きそういう方はその商標を使って自由な活動を可能とするということを一つ担保すべきであるというのが第1点です。
それから、2番目は(5)のところでございますが、地名と商品の組み合わせというのは、産地表示とか原材料表示といった形で用いられる可能性があるということでございます。産地表示なり原材料表示として使っている場合には、それは商標権侵害とならない。これは現在の商標法上も、26条というところで規定があって、そのようにされているわけですが、そこにつきましては通常の商標の場合と同様であろうということで、そこはきちんと担保していくという考え方でございます。
最初のお尋ねについては、この2点が具体的な内容ということでございます。
それから、2番目に並行輸入につきましてですが、こちらは資料3-3の15ページに書いてございます。こちらについて何か今回、商標法の改正、どうするつもりがあるかということについては特にございません。並行輸入につきましては、こちらに書いてございますように、一昨年2月の最高裁判所の判例におきまして、こういうものは商標権侵害にならないという形で条件が明確になってございます。
具体的に読み上げますと、3つ要件がございまして、まず、その商標が外国における商標権者又はその商標権者から使用を受けた者によって適法に付された商標である。それから、その外国における商標権者と我が国の商標権者との関係が同一人、あるいは法律的もしくは経済的に同一人と同視し得るような関係があるということ、それから、3番目に品質管理という観点で、我が国の商標権者が直接的又は間接的にその商品の品質管理を行い得る立場にあるということで、実質的にその品質保証機能を害さないというようなものについては、いわゆる商標侵害にならないという考え方が既に明らかになっておりますので、そういう考え方をここで紹介といいますか、改めて整理させていただいたということでございます。

中山部会長

よろしいでしょうか。
他に御意見、御質問ございましたら。
よろしゅうございましょうか。
他に意見もないようでございますので、この「地域ブランドの商標法における保護のあり方について」を本部会の報告書として決定することを委員の皆様方にお諮りしたいと思います。御異議ございませんでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

中山部会長

ありがとうございます。異議がないようでございますので、この報告書を本部会の報告書とすることを決議いたします。

意匠制度小委員会の検討状況について

中山部会長

次の議題に進みたいと思います。「意匠制度小委員会の検討状況」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

花木審議室長

引き続きまして、資料4に基づきまして、意匠制度小委員会について御説明をさせていただきます。
意匠制度小委員会におきましては、資料4-1に書いてございますように、昨年の9月から12月、3.のところでございますが、第1回、平成16年9月15日、第4回の中間的な論点の整理まで、4回にわたって開催させていただきました。
この第4回でおまとめいただいた論点の整理というのが資料4-2につけてございますが、ごく簡単に私の方から資料4-1に基づきまして説明させていただきたいと思います。
まず、資料4-1でございますが、設立の趣旨ということで、「知的財産戦略大綱」又は「知的財産推進計画」の中で、そのデザインの企業活動における重要性というのが高まってきているということの御指摘があるわけでございます。そういうものに対して現在の意匠制度というものが、それにふさわしいものになっているかどうかということにつきまして検討するということで、意匠制度小委員会を設置いただいたということでございます。
検討の項目といたしまして、2.のところでございますが、5つ挙げさせていただいております。まず、意匠制度の全般的な見直しに向けて、現在の企業活動におけるデザインの在り方、あるいは現在、企業において意匠についてどういう点に問題点を考えておられるのか、そういうニーズの把握が第1でございます。
それから、2番目といたしまして、意匠の対象範囲、意匠法の保護とする意匠の対象範囲が適切かどうかということでございます。特に意匠の場合、意匠法で保護するのは物品性のある意匠ということで、有体物というのが一つの切り分けになっているわけでございますが、有体物でない製品、例えばパソコン画面上のアイコンですとか、タイプフェースといったようなそういうものにつきまして、これは例えばEUの意匠法の場合、物品に限らず製品であれば保護されるというような制度になっているかと思いますので、そういう関係性等も踏まえながらどういうものを対象にするのかというのが、保護対象の議論が2番目でございます。
それから3番目に、これは大きな議論でございますが、審査・審判の位置づけなど意匠制度の全体構造ということで、現在は意匠制度というのは、全件、審査官が事前に審査して登録しているわけでございますが、そういった形が本当に適切なのかどうか、審査すべきなのか、あるいは審査なしで登録するといった、いわゆる無審査制度をも含めて議論いただくということが3番目でございます。
それから4番目に、登録された意匠の効力につきまして、これは上記の報告書等でも、やはりデザインをより強く保護するために、実際に登録された意匠権の効力範囲をより明確にする、あるいはより広げるといったような論点が出されておりますので、そういった点についての議論というのがございます。
それから5番目ですが、以上のような大きな枠組み的な議論の他に、実際に意匠制度を使っている場合に、その利便性を向上する、あるいは第三者との公平性を確保するといった観点から、特に関連意匠制度につきまして、平成10年に意匠法を改正したわけですけれども、さらに企業のニーズを含めて見直すべきかどうか、あるいは秘密意匠制度、新規性の例外規定といったようなところにつきまして、企業の経済活動との間で何らか見直すべきところはないのかどうかということについて議論いただいたわけでございます。
具体的な内容につきましては、資料4の中で書かせていただいておりますので、今申し上げましたような点につきまして、とりあえず第4回はこういう課題があるということを出していただきまして、これから議論を深めていくという、お願いをするという状況になっているところでございます。
以上でございます。

中山部会長

本日は意匠制度小委員会の大渕委員長にも御出席をいただいておりますので、何かコメントがありましたらお願いいたします。

大渕委員長

ただいま御紹介いただきました大渕でございます。
意匠制度小委員会の検討の経緯やその内容につきましては、ただいま事務局の方から詳細に御説明がありましたので、特につけ加える点はありません。ただ、一言だけ申し上げますと、今ありましたように、資料4-1にある「2.具体的検討事項」の(1)ないし(5)というのが主要な検討事項でありますが、これをご覧いただければおわかりのとおり、非常に広範囲にわたっていて、それこそ意匠法の主要論点をすべてカバーするようなものとなっておりますし、かつ、いずれも意匠法の根幹にも触れるような重要論点であります。そのため、そのような検討を行うに当たりましては、まず何といっても論点をきちんと整理していく必要があるということで、第1回から第4回までをかけまして様々な面から十分に議論を行い、資料4-2にございますような中間的な論点の整理という形でその論点を整理して、今後の検討のための基礎固めを行ったという状況であります。これからこの中間的な論点の整理を踏まえまして、検討事項について鋭意審議を進めていくつもりでございますので、よろしくお願いいたします。
以上です。

中山部会長

ありがとうございました。
それでは、意匠制度小委員会の検討状況に関しまして御意見、御質問がございましたら、遠慮なくお願いいたします。
どうぞ、松尾委員。

松尾委員

資料の4-2の2ページ、問題の所在というところで、「現行法のもとで登録される意匠は」という箇所の1)、2)、3)の中の2)番目に「形態性があること」と書いてあります。先ほど室長の御説明のときには、これは「形態性」と言われないで、有体物と言われたんですね。
私の疑問は、不正競争防止法の方の改正で、商品の形態というのはあいまいだから意匠法の定義を参考にして、商品の形態とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して、視覚によって認識することができる商品の外部及び内部の・・・ここのところですが、形状内部にその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感を言うとこういうふうに改正することになったわけです。そうしまして、この改正のもとになっている意匠の方で、「形態性があること」と書いてある、この2番目の「形態性」というのは何だろうかなと疑問に思います。先ほど説明されたような有体物ということを考えていらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、この報告書は小委員会でおまとめになっていらっしゃるので何ですけれども、これから検討なさるときに、条文にもなく、不正競争防止法で問題になった「商品の形態」なんていう言葉ではなくて、別の言葉か、あるいは条文に沿った用語で説明されるか、そういうふうにしていただきたいものだと思います。
以上です。

中山部会長

審議室長。

花木審議室長

意匠につきましては、どういうものが意匠かというのは明確に定義されているわけでございまして、現行意匠法上の第2条の定義に基づいてということかと思います。物品性の他に形態性ということであえて書かせていただいているわけでございますが、要すれば有体物というつもりでございまして、その内容としては、現在の意匠法の定義という趣旨で書いたものでございますが、よりわかりやすく――若干わかりにくいという御指摘かと思いますので、そこは今の意匠法の定義について、その物品性という概念を若干超えて広げることについて御議論いただいているということで御理解いただければと思います。表現ぶり等につきましては、これからさらに気をつけてまいりたいと思っております。

中山部会長

他に御質問ございましたら。
よろしいでしょうか。

医療関連行為の特許保護の在り方について

中山部会長

よろしいようでしたら、次の議題に進みたいと思います。次は、「医療関連行為の特許保護の在り方について」でございます。事務局から説明をお願いいたします。

井上審査基準室長

調整課審査基準室の井上と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、医療関連行為の特許保護の在り方について、資料の5-1に基づきまして御説明を進めたいと思います。
まず、背景となるところを簡単に御紹介したいと思いますが、知的財産戦略本部のもと、平成15年に医療関連行為の特許保護の在り方に関する専門調査会が設置されまして、その専門調査会が昨年の11月に、「医療関連行為の特許保護の在り方について(とりまとめ)」という報告をされております。ここでは、そのとりまとめを受けまして、どのような対応をとっているかというところを御報告させていただきたいと思っております。
まず、資料5-1の左側がとりまとめの結語を抜き出しておりまして、まずそちらの方を見ていきたいと思います。
このとりまとめの中において、医師の行為に係る技術を含めないことを大前提としまして、2つの特許保護対象についてとりまとめが行われております。
その1つが、1つ目の箱にあります「医療機器の作動方法について」というところです。とりまとめでは、その箱の中に書いてありますように、本専門調査会としては医師の行為に係る技術を含めないことを前提に「医療機器の作動方法」全体を特許の対象とすべきであるとした、とされております。
この「医療機器の作動方法」とは何かにつきましては、とりまとめの中に詳しく定義されております。ちょっと小さい字になっております、※1のところですが、「医療機器の作動方法」は、機器が一定の目的のためにどのように動くかという仕組みを表すものであり、例えば、操作信号に従った切開手段の移動や開閉作動、放射線や電磁波、音波等の発信や検出といった技術を指すということで定義がなされております。また、細かい字の下の方には、医師の行為や機器の人体に対する作用は含まないという定義がなされております。
もう1つが、その下の箱にありますように、「医薬の製造・販売のために医薬の新しい効能・効果を発現させる方法について」として、とりまとめられております。この方法も具体的なところが、小さい文字の※2のように定義されております。その中段あたりになりますが、複数の医薬の組み合わせや投与間隔・投与量の変更によって、医薬自体がその特性に基づき人体メカニズムにどのように作用するかという「物に由来する技術」である、という定義がこのとりまとめの中でされております。
この専門調査会の報告としましては、まず当面ということで、そういった発現の方法の技術について、物の特許による保護の拡大の可能性を可能な限り追求し、それを審査基準等で明確化することにより、物の特許として保護すべきであるとされています。
また、なお書きとして、方法の特許として保護することについても可能性を追求する努力を続ける必要がある、としてとりまとめが行われております。
これら2つの保護対象以外にも、下の方に点線の枠で書いてありますが、審査の運用がわかりにくいというような御指摘もありまして、特許審査の運用基準を明確化するために、さらに検討を行い所要の方策を講ずることが望ましい、ということも報告の中に記載されております。
そこで、このような報告を受けまして、どのような対応をするかというところが、資料5-1の右側に書いてございます。
まず、一番上のところ、専門調査会の「とりまとめ」を受けた対応としましては、この「とりまとめ」を踏まえて、医療機器の作動方法、それから医薬に関する2つの審査基準を速やかに改訂・整備し、これらの改訂審査基準の運用開始後の実態を引き続き注視していくことを考えております。今日のところは、特に審査基準のポイント、内容につきまして御紹介したいと思います。
それぞれの2つの保護対象につきまして、2つの審査基準を作成しております。まず1つ目の医療機器の作動方法については、現行の審査基準の中にあります「産業上利用することができる発明」を改訂し、「医療機器の作動方法」が特許対象であることを明記しました。
具体的には、医療機器の作動方法は、医療機器自体に備わる機能を方法として表現したものであり、「産業上利用をすることができる発明」に該当することを審査基準において明示するとともに、とりまとめの定義に従いまして、操作者の行為であるとか、機器による人体に対する作用は作動方法には該当しないとしております。さらに事例も充実化する予定です。
簡単に審査基準の中身を見ていただきたいと思います。資料5-2が、産業上利用することができる発明の改訂審査基準(案)になっております。この審査基準には、「発明」であること、すなわち発明の成立性の基準も含まれているわけですが、今回は目次にあります2.1「産業上利用することができる発明」に該当しないものの類型のところを改訂する予定としております。
少しだけ中をご覧ください。1ページのところになりますが、「産業上利用することができる発明」に該当しないものとして、人間を手術、治療、診断する方法という項目が記載されています。その項目の中の3段落目に、医療機器の作動方法は、医療機器自体に備わる機能を方法として表現したものであり、「人間を手術、治療又は診断する方法」には該当しないと記載してございます。また、その同じ段落の下の方になりますが、操作者の行為であるとか、機器による人体に対する作用は含まないと記載してございます。このように、とりまとめにおける定義を受けた形で審査基準を改訂する予定としております。
さらに、今のお手元の審査基準の3ページ以降をご覧ください。先ほどの定義だけでは具体的な運用がわかりづらいわけですが、3ページ以降、最後の16ページまで、事例を14ほど記載しておりまして、これで具体的な運用を明確化することを予定しております。
次に、資料5-1の方に戻っていただきまして、医薬に関する審査基準としましては、特定技術分野の審査基準の一つとして、「医薬発明」の審査基準を新たに設けます。特定技術分野の審査基準としましては、現在、コンピュータソフトウエア関連発明と生物関連発明という2つがございまして、そこにさらに1つの章が加わるという形で審査基準を新設するということを考えております。それとあわせまして、複数の医薬の組み合わせとか、投与量、投与間隔等で特定しようとする医薬発明については、物の特許による保護の拡大を図るという考え方で審査基準を作成しております。
具体的なポイントとしましては、1にありますように、医薬発明の記載要件とか新規性・進歩性といった事項を中心に特許審査の運用の明確化を図ります。それから、2としまして、複数の医薬の組み合わせ、あるいは投与間隔、投与量といった治療の態様で特定しようとする医薬発明につきましては、まず「物の発明」であることから「産業上利用することができる発明」として扱うことを明示しています。これは、特許法の入り口は通過するということです。そして、新規性・進歩性等の特許性の判断手法を明確化するように審査基準を作成する予定です。
こちらも少しだけ具体的なところを見ていただきたいと思います。資料5-3が医薬発明の審査基準(案)となっております。特定技術分野の審査基準の第3章として医薬発明の審査基準を設けています。目次を見ていただきますとわかりますように、明細書及び特許請求の範囲の記載要件、あるいは特許要件として、産業上利用することができる発明、新規性・進歩性等々、全般的にわたりまして審査基準を新設しております。
この中のエッセンスのところだけをご紹介しますと、3ページ目の真ん中あたりに、産業上利用することができる発明という項目がございます。この中で、医薬発明は、「物の発明」であるので、「産業上利用することができる発明」に該当するということと、二以上の医薬の組み合わせ、あるいは投与間隔・投与量等の治療の態様で特定しようとする医薬発明につきましても「物の発明」であるので同様に扱うということを明記しております。
それ以降の項目では、新規性であるとか、進歩性であるとかといった判断手法について記載してございまして、先ほどの二以上の医薬の組み合わせとか投与量・投与間隔等により特定された医薬につきましても、判断手法がここで明確化されております。
また、11ページ以降には、医薬発明に関する事例を8つ挙げまして、さらに具体的な運用を明確化するということを行っております。
再び資料5-1に戻っていただきます。一番右下に今後のスケジュールが記載してございます。これらの2つの審査基準につきまして、今後速やかにパブリックコメントをかけさせていただいて、さらに必要な修正を加えた上で、4月の上旬に公表するという予定で考えております。
以上でございます。

中山部会長

ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問がありましたらお願いいたします。
森下委員どうぞ。

森下委員

済みません、御質問ではなくてコメントなんですけれども、専門調査会の委員をやっておりまして、大変とりまとめに苦労いたしました。その中で出た結論を特許庁として早急に、審査基準を改訂していただけるということで大変感謝しております。非常に動きが早いということで、大学あるいは産業界等においても期待されておりました内容でありますから、専門調査会そのものが時間がかかりましたので、特許庁の現場のところで、かなり速度を上げていただいたということは大変感謝しております。
今後の方向性として、専門調査会の中でもお話が出ておりましたように、非常にこの分野は技術の発展、それから成長が早いということで、かなり特許範囲というのが急速に変化する領域でありますので、これで終わりということではなくて、ぜひ大学、産業界等の意見も聞いていただいて、また必要性が出れば、早急に審査基準の改訂等お願いしたいというふうに思っております。
それから、先ほど説明の中にありましたように、審査に関しても非常に特別性といいますか、専門性が高い領域でありまして、かなり難しい領域の審査だと思いますので、ぜひ大学あるいは医療人等の御意見を聞いていただいて、皆さんが納得できるような審査というのを今後ともよろしくお願いしたいというふうに思います。
以上です。

中山部会長

ありがとうございました。
他に御意見、御質問ございましたら。
よろしゅうございますか。
それでは、パブリックコメントの結果も踏まえまして、審査基準の改訂を進めてくださるようにお願いしたいと思います。
本日用意いたしました議事は以上で終了いたしますけれども、皆様方の御協力を得て極めて順調に進んでまいりまして、時間も少々残っておりますので、本日の議題あるいは知的財産政策全般にわたりまして、何か御意見、御発言ございましたら遠慮なくお願いしたいと思います。何か御発言ございませんでしょうか。
よろしゅうございますか。
他にも御意見がないようでございますので、本日の議論は以上で終了したいと思います。
最後に一言申し上げたいと思いますけれども、ここのところ毎年、特許法の改正など続いてまいりまして、今回は特許法の改正がないと思ったら、実は商標法とか不正競争防止法がありまして、次年度以降も今お話がございましたとおり、意匠法等でまたいろいろとこの審議会の皆様には御苦労願わなければならないことが山積しております。知財本部の方もまだ活発に活動しておりますし、これからますます知的財産は重要になるのではないかと思います。
ある新聞記者が、今、霞が関で元気がいいのは特許庁だけだと。特許というのは、これは特許だけではなくて知的財産全般だと思いますけれども、霞が関ではこの界隈だけが元気がいいということでございます。恐らくそういう意味でこの審議会の重要性も、今後ますます増していくだろうと思いますので、委員の皆様方には今後ともよろしくお願いしたいと思います。
それでは、以上をもちまして産業構造審議会第6回知的財産政策部会を閉会いたします。本日はありがとうございました。

閉会

[更新日 2005年3月28日]

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