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第5回法制小委員会について

平成13年9月3日
経済産業省特許庁

本日、産業構造審議会知的財産政策部会第5回法制小委員会(委員長:中山信弘・東京大学教授)が開催された。

1.審議内容

(1)複数主体の関係する特許権侵害とその救済

ビジネス方法特許等を、ネットワーク上で複数の主体が分散的に実施するような場合において、特許権侵害をどのように考えるべきかにつき、事務局より論点を提示した。

共同侵害の成否については、民法の共同不法行為論の一環として共同性の内容等につき議論は残るものの、特許権でも共同侵害が成立し得ることは当然であり、立法によって確認する必要はないのではないかとの意見が示された。

また、間接侵害に該当しないような、教唆・幇助行為に対して差止請求権を設けるべきか否かについては、

まるいち特許権の効力として差止は認めうるが、その場合は条文で明記すべきであるとの意見と、

まるに特許権は全部を実施した場合に初めて侵害が成立するのが大原則であるから、教唆・幇助といった、クレームされていないものに対する差止については慎重に考えるべきではないか、

との意見とが示された。

なお、教唆・幇助に対する差止請求権を設けることが必要とされるような問題は、まだ発生しておらず、将来にも発生しないのではないかとの意見も出された。これに対しては、欧米ではビジネス方法特許が海外のサーバで実施された場合も間接侵害として押さえることができるため、これに合わせた規定を設けるべきとの意見が出された。

さらに、共同実施者の中に「業として」の要件を充たさない個人が含まれる場合をどう考えるべきかについては、

まるいち特許権侵害を認定することは困難であり、そうした行為者を含まないよう、クレームを工夫することで対応すべき、との意見と、

まるに無許諾で共同実施がなされた段階で共同不法行為が成立し、「業として」の要件を充たさない個人については違法性が阻却されるという解釈はあり得る、

との意見とが示された。その他、こうした問題は仮想的な事例に過ぎず、現実には問題とならないのではないかという意見や、こうした問題があるとしても、「業として」要件を削除すべきではない、との意見が出された。

(2)ネットワーク上の特許・商標権侵害についての仲介者責任の在り方

ネットワーク上で特許権・商標権が侵害された場合に、侵害者に汎用のネットワークサービスを提供している仲介者(プロバイダ)の責任をどう考えるべきかにつき、事務局より論点を提示した。

委員の多くは、総務省で検討している仲介者の責任についての一般的な法律に関する議論を踏まえつつ、特許・商標に特有の問題があるか否かにつき検討すべきという意見であったが、中には、発信者情報開示請求権、「通知と削除」手続を商標法、特許法に規定することにも理由がないわけではない、との意見も出された。その他、個別の権利に分けて議論すべきではなく、一般的にコンテンツのマネジメントの問題として議論すべきとの意見や、中立的な機関として裁判所を介在させるべきとの意見も出された。

2.今後の審議スケジュール

第6回法制小委員会は、9月27日(木曜日)午前10時00分~12時00分の予定。

[更新日 2001年9月13日]

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