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特許庁総務部総務課
工業所有権制度改正審議室
広実審議室長 |
それでは、定刻でございますので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第1回紛争処理小委員会を開催いたします。 |
大渕委員長 |
おはようございます。この紛争処理小委員会の司会役を仰せつかりました大渕でございます。 |
広実審議室長 |
ありがとうございました。 |
大渕委員長 |
承知いたしました。 【事務局より委員の紹介】 |
大渕委員長 |
ありがとうございました。 |
及川特許庁長官 |
特許庁長官の及川でございます。本日は、委員の皆様方におかれましてはご多用のところをご参集いただきまして、まことにありがとうございます。第1回の会合でございますので、一言ごあいさつをさせていただきたいと存じます。 |
大渕委員長 |
ありがとうございました。 |
大森特許技監 |
特許技監の大森でございます。お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。今回の議論の中心が審判制度であることもありまして、重ねてごあいさつを申し上げます。 |
大渕委員長 |
ありがとうございました。 【事務局より資料1、資料2についての説明の後に討議】 |
大渕委員長 |
ただいまのご説明に関しまして、ご意見やあるいはご質問がありましたらお願いいたします。どうぞ。 |
松尾委員 |
私、トレースしてないのでわからないのですが、アルゼ事件なのですが、今一般に無効審判を起こしますと、131条で請求の要旨を変更するものは認められないということで、証拠の追加もほとんど認められていませんね。それに対し、先ほどのアルゼ事件の無効審判ですと、職権で特許庁が証拠を出したようです。当事者が出すものは非常に今厳しくて認められないことと職権との関係がどうもよく理解できないのですが、ちょっと説明していただけませんでしょうか。 |
小林審判企画室長 |
アルゼ事件のこの個別のケースにつきましては、確かに職権の無効理由通知を発しております。実はこれ、簡単のために1本だけ絵ではかいてあるんですが、別の無効審判請求も出ておりまして、その中で、担当しております審判の合議体が、提出された証拠同士を組み合わせて無効の理由が構成できるのではないかということで、職権の無効理由通知を発しまして今当事者の応答を待っている状況です。 |
松尾委員 |
それでそのご説明はわかりますけれども、例えば非常に有効な証拠で、請求の趣旨と直結するようなものでも後で出そうとすると、今はだめですね。そうだったらば、それを特許庁が職権で取り上げれば、もう一つ無効審判を起こさなくてもいいと思うんですけれども、今は特許庁が、もう一つ無効審判を起こしてくださいということで、何か無効審判の数が増えていると思うんです。そういうのがどうもよくわからないところなのですが。 |
小林審判企画室長 |
まさに今の論点がこの検討事項の一つに入っているかと思います。一つの事件についての迅速性だけを重んじるのであれば、証拠の追加、理由の追加というのは一切認めないというのもあり得るんだけれども、片や今、松尾委員ご指摘になったように、一つの紛争を解決するために複数の事件がばらばらに出たり、何回でも事件が請求されるというのは、かえって紛争全体の一回的解決の観点からいうとデメリットになっているのではないかという指摘が、まさに近年非常に強くなってきておりますので、今のご指摘の点については、まさにこの委員会でご検討いただくことになろうかと思います。 |
松尾委員 |
わかりました。もう一つお伺いしたいんですが、判定なんですが、判定の数が増えてますね。判定の結果がどういうふうに利用されているのかというような調査はなされているのでしょうか。 |
小林審判企画室長 |
判定の結果が完全に当事者の間だけで使われている場合には、実は調査のしようがないのでそこまではわからないんですけれども、ごく最近、5月号の「知財管理」だったかと思いますが、日本知的財産協会の特許第二委員会のメンバーの方々が、判定の決定書―これは特許庁の審判部が出すんですが、これはきちんと分析ができます-それから、片や同じ特許権について提起された侵害訴訟の判決―これもまた別途分析ができますを比較して、かなり詳細に定量的あるいは定性的に調査した結果がもう既に公表されております。 |
松尾委員 |
わかりました。 |
作田委員 |
今の広実室長のご説明の中で、いろいろなフォーラムあるいは研究会で紛争処理に関していろいろなことが検討されているということのご説明があったんですけれども、この検討課題で審判のあり方というのを検討するに当たりまして、これは司法の方の話で一回的解決をどうするかによって無効審判の位置づけというものが大きく変わってこようかと思うんですけれども、この小委員会では、どっちのスタンスで、並行して一回的解決も含めて検討するのか、あるいはそれが司法の方で取り上げる取り上げないにかかわらず審判制度を変えようよというふうなスタンスで検討するのか、その辺はどういうふうに考えればよろしいのでしょうか。 |
広実審議室長 |
全体の枠組み論の中で審判制度のあるべき姿というのは決まるのではないかというご指摘だと思いますが、基本的に、完全に審判をやめて裁判所にすべて一本化するという立論をとらない限り、一方で事件が起こった場合、そこで1カ所で判断してもらいたいというニーズがあるとは思います。ただ、二元論としての制度の中で、一つ一つの制度、特に審判制度について最適かつ合理的な制度をつくるというニーズは当然あるので、まずそこを重点的に検討したいと考えております。その上で、侵害訴訟が起こった場合に、その侵害裁判所で一体どこまで判断権限が及ぶかという議論があり、その範囲を広げる、現状のままとする等いろいろ選択肢があると思うんですが、仮にその範囲が変わったとしても、こちらの審判制度の本体自体はそう大きく影響を受けないと。仮に何か影響があるのであれば、そこは修正で対応できるのじゃないかと、そういう考え方で、審判自体の在るべき姿をまずというふうに考えております。 |
作田委員 |
先ほどご紹介あったように、知財戦略会議の大綱ないしはアクションアイテムというものが出てくると。それから、産業競争力と知的財産を考える研究会からも最終報告書というのが出てくると。この小委員会のスケジュールをみますと、10月中旬に報告書の取りまとめと、こうあるんですけれども、この小委員会としては、例えば審判制度についてこういう方向で、いつの国会で制度を改正しようよというところまでいくのか。今までの研究会とか――実は私も知財研での研究会にも出させていただいたんですけれども、これも報告書で終わりなんでしょうか。それとも、どういうふうなことになるのでしょうか。 |
広実審議室長 |
審判制度につきましては、今回この小委員会でご報告いただいたものを受けて、来年の法改正につなげたいと考えています。 |
竹田委員 |
今の作田委員の発言に関連してですけれども、先ほどから出ているようにいろいろな委員会等で、特に侵害訴訟と審判制度の関係については議論や提言がなされている段階ですが、その中に出てくる将来のビジョンとしては、今の裁判所と特許庁との権限配分の上ででき上がっている特許訴訟制度そのものを根本から考え直そうという意見も含んで議論がなされていると思うんですね。今、広実審議室長は審判制度そのもの、それは名前はどういう形でどの程度残るかは別として、その制度そのものを根本的に廃止するかどうかはある程度ペンディングだとしても、裁判所自体で特許の無効を判断しようという考え方も示されていると思うんです。だから、そこのところの考え、それはもうないものという前提で、先ほどのご発言だとこの審理を進めるように理解できるんですけど、必ずしもそこはそうではないと思います。 |
広実審議室長 |
私ども、そういう方向で考えております。 |
丸島委員 |
今の件に関連してなんですが、先ほどのご説明の中で、戦略会議で大綱ができて、その中に今の侵害訴訟と裁判所の関係の問題が取り上げられた後、いろいろな省庁が関係するので別のところで検討されるというご説明があったように思うんですが、それは具体的にはどういうふうに想定されているのでしょうか。 |
広実審議室長 |
別のところではなく、要は場所、検討の方向がまだ決まってないということです。可能性としては、ここで検討せよといわれれば、ここで検討してもいいし、別のところといえば別のところにもなるんですが、それは戦略会議の議論で今後流れができてくるのじゃないかと思っております。 |
丸島委員 |
研究会の報告書をみますと、スケジュール的には今の侵害訴訟と無効の抗弁の関係は5年という、そういう長期スケジュールで書かれておるわけですね。この審判の方は2003年と書いてあったと思うんですね。スケジュールが随分食い違っているので、お考えになっているのは、これはこれとして独立でとにかく検討は進めて、結論を出してしまって、別の方向で何か決まったら、再度それを前提にこちらも見直そうと、こそういうお考えで進まれるのでしょうか。それとも、どこかで融合されるのでしょうか。 |
広実審議室長 |
来年法案をと考えておりますのは、あくまで審判制度と審決取消訴訟についてであります。侵害事件を扱う裁判所でどこまで判断できるかというのは、裁判所の体制論も含めてまさに戦略会議の議論で方向性が決まってくるとは思うんですが、仮にその議論がどういう方向になっても、審判制度についてなくすという結論をとらない限りは、必ず最適な合理的な制度の姿を追求することは必要だと思っております。ある意味で特許制度の根幹的な制度として、継続性を持ったものとして検討していただくことは可能なのじゃないかと思っています。 |
丸島委員 |
そういう結論になる可能性もあると思うんですが、あるお方は、無効審判制度はなくなるということもおっしゃってますし、どういう結論になるかわからないと思うんですけれども。 |
広実審議室長 |
こちらのスケジュールが極めて明確なのに対して、戦略会議の方は、この資料にもありますように、今まさに起草委員会等でご議論されているところです。当然ながら両制度が関連するのは間違いないので、そこはシンクロナイズさせてやった方が合理的な部分は、当然私どもとしても戦略会議の方にそういうふうにお願いしたいと思っております。 |
大渕委員長 |
それでは、先ほどのご説明及びご質問に対する回答等も含めた以上のお話を踏まえつつ、先ほどの縦長の紙にあります本小委員会における検討事項(案)というものについてご議論いただきたいと思います。本日は、この小委員会の第1回でございますので、その目的は、今後検討すべき法的論点の大枠を漏れなくご指摘いただくとともに、検討の方向性についてもご議論いただくことを考えておりますので、以上の2点を中心として活発なご討議をお願いしたいと思います。今申しました検討事項(案)というのは、配布資料1の13ページ以降のことでございます。 |
丸島委員 |
先ほどに関係するんですが、4番の「侵害訴訟と無効審判との関係について」というタイトルからすると、そのことを検討するようにも読めるんですが、中身を拝見しますと、連係プレーをどうするかということが主に書かれていて、今話題になっているところは対象にしていらっしゃらないわけですね。ですから、この検討すべきというのは、いつ――例えば戦略会議で決まったら検討しますよとか、何か検討の対象にはっきりと入れていただいた方がいいのじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。 |
広実審議室長 |
多分戦略会議でやっている一元化の姿について明確な姿がまだなくて、皆さんいろいろな意見をお持ちだと思うんですが、要は裁判所と審判部の融合だとかそういう議論になると、もう明らかにこの小委員会で議論するというのは困難なので、もっと大きな枠組みでやらないといけないだろうと考えます。 |
丸島委員 |
ありがとうございました。 |
大渕委員長 |
いろいろ、今回のというか、基本的には来年の法改正に向けての検討事項という、そういう時間的等の制約の中で、そういう枠組みの中で検討すべき論点ということで、この1.2.3.4.5.まで挙げておられるんですが、この点につきまして何かご意見あるいはご質問等はございませんか。 |
諸石委員 |
ここにあります検討事項は当面の問題すべて網羅していただいているので、これで検討の枠組みとしては結構かと思います。また、当然もっと広い範囲にわたったら、いろいろと意見はそれぞれあるわけでございますが、それを全部やり出すとちょっと収拾がつかないので、今回のこの目的からすれば、これで結構かと思っております。 |
丸島委員 |
先ほどから申し上げておりますので、今回の検討に入るかどうかは別にしましても、大きな意味での審判と訴訟との関係というのを、もうちょっと本質的なところから見直していただきたいという、そういう御ご意見はいろいろな場面で出させていただいていますので、そういう視点をベースにしながら、ぜひこの審判の問題も議論させていただきたいなと思っております。 |
秋元委員 |
ユーザーの立場ということらしいんですが、先ほどの一回的解決あるいは将来裁判制度と審判制度をどうするか、これらは研究会の報告書では3~5年ということですが、私自身はもっともっと時間がかかるのではないかと思います。そういう意味では、当面はこれらの検討課題を中心にして議論していただいて結構なんですが、ただ私どものところから若干いわせていただきますれば、議論の中でいわゆる迅速性を求めるあるいは強い権利を取るということはよろしいんですが、これらと同時に、的確な判断ということを非常に大事に考えていただきたいと。なぜならば私どもの業界というのは、いわゆるクロスライセンスとかそういうことがありませんので、一旦たん権利が確定してしまうと非常に難しい問題が起こる。そういう観点から、さらに専門委員とかそういうところもやはり審判と同じく合議制というものを取り入れていただきたい。それはこの会議の中で議論していただく問題ですが、的確性、安定性という観点から常に合議制というものを考えていただきたい。 |
中西委員 |
検討するテーマについては、私はこれでほとんど網羅されていると、こういうふうに思っています。ただ、全体的に力がない企業が、紛争処理に対して、こういうような法律制度はきちっとできても、じゃ果たしてどういう例えば入り口からこの制度にたどり着くかという、まだそういう入り口のところが企業側に残っているわけですね。そうしますと、弁理士、弁護士会がこの制度の選択のフレキシビリティー、これをもう少しユーザー側に知っていただく必要があるだろう。枠組みのあれとはちょっと違うんですけど、そこへたどり着くまでどうするか。だから、普通のあれですと、国定とかいろいろ専門のがありますね、こういう制度もひとつ中立なところで、選択肢というのももしかすると必要になるのじゃないだろうか。これからこういう紛争処理というのは増えてきますので。そうしますと、ますますそういう必要性が出てくるであろうというふうに私は考えています。 |
作田委員 |
意見は今もう大分出てきましたので、意見というよりも質問なんですけど、横長の資料の3枚目になりますか、3.のところに審判・訴訟手続の全体図というのがございますね。これ、ユーザーから聞くのも変な話なんですけれども、上の方からいきまして査定不服審判というのが2万件と。同じ縦系列が有効性についての争いというふうにみますと、2万件と。それから、異議申し立て4,000件、無効審判283件、侵害訴訟153件。異議申し立ての無効審判というのは、件数が1けた以上違っていますよね。これはむしろユーザーサイドから利用しやすいかしやすくないかという意見を申し述べなくちゃいけないのかもしれませんけれども、今後この併存とかどっち寄りにするんだということを考えるときに、この数字の差というのは、歴然とした事実としてものすごく僕は大きいと思うんですけれども、特許庁はどういうふうにお考えでしょうか。 |
小林審判企画室長 |
確かに異議申し立てと無効審判、ちょうど1けたぐらい数が違います。異議申し立ては、制度発足当初はこれよりもかなり多くて7,000件ほどあったんですけれども、その後、減少しています。いろいろな事情があるんだと思いますが、ユーザーからの声を聞きますと、使いにくいというふうな声も実はあります。それには幾つかの理由があるんだと思いますけれども、一ついわれていますのは、このペーパーの中でも指摘させていただいてますが、異議申立人の関与の度合いが薄いという、査定系だということとの関係だと思います。 |
作田委員 |
この異議申し立てというのは、96年の付与後異議に変わったときにずっと減っているんですか。付与後異議になって、異議は減っているんですね。 |
小林審判企画室長 |
はい、減っています。 |
作田委員 |
5.ですね、付与後異議になって付与前の異議よりも極端に減っています? |
小林審判企画室長 |
付与前と比べても、付与後の異議の数の方が少ない形になっています。 |
作田委員 |
付与後異議になったときに、無効審判というのは変わらないんですか。 |
小林審判企画室長 |
そのときにはほとんど変わってないですね。 |
斎藤委員 |
今の点に若干関連しますが、異議申し立てと無効審判の関係あるいは判定については、裁判との関係を一応切り離して、自足的にというか、方向づけができる面が大きいと思います。そうしますと、最適な人的、物的な資源の配分という観点から合理的な役割分担を考えるべきで、特に異議申し立てに関しては、付与前異議の場合は非常に明確なものがあったわけですが、付与後となりますと、ユーザーの方々が付与後でなお異議申し立ての方にいっているとすれば、その合理性といいますか、それを的確に把握した上で判断すべきことではないかと思います。判定についてはもっとそういう要素があって、民間ADRを育成した方が、より特許庁として、もっと中核的な専門技術判断の行政審判の方に集中できるというようなことが出てくるのであれば、そういった資料なり判断要素を出していただければと思います。 |
秋元委員 |
ちょっと1つ教えていただきたいんですが、裁判の迅速化とか一体的解決というところの一つの原因になっているのはキャッチボール現象だと思うんですけれども、実際にこのキャッチボール現象というのはどの程度起こっていて、どういう分野で起こっているかというのは、何か資料ございますでしょうか。あるいは非常にふえつつあるというか。 |
小林審判企画室長 |
分野ではございませんが、配付資料の横長の7ページをみていただきますと、訂正審判のことが書かれています。右下にグラフがございます。99年、2000年、2001年と急増していることがおわかりかと思います。実はこの急増部分のほとんどが、審決取消訴訟が係属している間に起こされた訂正審判の請求によるものでございます。ですから、大まかにいいますと今220件ぐらいですが、99年当時の100件との差の部分は審決取消訴訟が係属している間に起こされた訂正審判というふうにみていいと思います。審決取消訴訟の係属中に訂正審判が起こされますと、訂正が認められない場合は別ですが、認められますと、ほぼ100%キャッチボールが起こるというふうにみていいかと思います。分野別には、今手元に統計がございませんけれども、また別の機会に提供させていただきたいと思います。 |
丸島委員 |
先ほど作田さんの質問の中での、異議の件数と無効審判の関係ですね、無効審判が随分少ないじゃないかという印象。前にどっかの資料でおつくりいただいた中で、特に電機業界が無効審判件数は非常に少なかったと思うんですね。これは、私は業界の契約に依存しているんだと思うんですよ。異議まではお互いにやろうと。だけど、登録になったら、争ったらライセンス特許から外すよという契約がほとんどされているんですね。ですから、ライセンスを受けているものはあえて争う必要がないということで、争ってないんですよ。それが相当影響しているんだろうと思うんですね。ですから、もしその業界がライセンス関係がないとしたら、無効審判はもっと増えているだろうと私は予想します。 |
松尾委員 |
この異議申し立ての件数ですけれども、付与後異議と付与前の登録前の異議のときとでは、成立の件数が違っているんじゃないかと、勘ですけれども。そこら辺をみていただきたいと思います、資料をお願いしたいと思います。 |
広実審議室長 |
では、今度用意します。 |
佐藤委員 |
無効審判の中の無効理由を分けるかどうかという議論が前あったかと思うんですが、今回はそのテーマは余り検討するご意思はないということでしょうか。 |
広実審議室長 |
外しているわけじゃなくて、新しい制度の中で検討していく課題の一つだと思っています。 |
佐藤委員 |
制度設計の中で、関連があればそれも取り上げるという視点でおられるということですね。 |
広実審議室長 |
はい、そうです。 |
佐藤委員 |
わかりました。 |
及川特許庁長官 |
先ほど、審判と訴訟の関係ですとか付与後異議と無効の関係といろいろご質問いただいておりますけれども、ちょっとピントがずれたことを私申し上げるかもしれないんですが、査定系の審判が2万件もあるというのは、多分日本だけの非常にある意味では異常な現象だろうと思います。これをどう位置づけるかという点でも、日本におきます審判の位置づけ、審査との関係も踏まえまして、できればご議論をいただいた方がいいのではないかというふうに思います。 |
作田委員 |
今の長官のお話で、2万件の拒絶査定、不服審判という。我々ユーザーからみますと、付与前と付与後というのはものすごく大きな違いがございまして、付与前というのは、いわゆる特許請求範囲の記載の広さというものに非常に関係してくるわけですね。だから、純粋に対公知例との関係ではなくて、できるだけ広い権利が欲しいということになってまいります。それに関連しまして、この当委員会とは別に、現在の補正の制限が緩和されれば、もっとこの拒絶査定、不服審判というのも、僕は減ってくるのじゃないかと。これは確かな証拠はありませんけれども、ユーザーとしては、クレームの請求範囲の問題でございますので、その辺は密接に補正の制限に私は関係があるのじゃないかなというふうに思っております。 |
中西委員 |
全国いろいろと回ってきますと、プロパテントの時代ということでだんだん、中小企業といいますか企業の大小じゃないんですが、そういうところにもこの理解度が深まってきまして、いずれにしても、我々が例えばこのテーマについていろいろな情報を集めまして、この新規性、特許性はどうなんだという、そこで判断、スクリーニングするわけですね。それで、高まると同時に、やはりそういうことが21世紀の経営資源だよということもどんどん進展していくので、やはり早く出してしまわなきゃということで、そのスクリーニング、自分たちでできるあらかじめの調査をしないで出す件数が最近、私の耳に入っているのは増えているような気がする。そうなってきますと、こういうところにもかなり影響を与えているのじゃないかなというふうに、これも実際の数字をつかんだわけじゃないんですけど、話の中からありありとこういうことがある。 |
佐藤委員 |
この委員会は紛争処理小委員会という名称がついているものですから、もう当然査定系は入らないということで名称がついているのかと思ったら、長官から査定系のお話が出て、私もまさに査定系の審判の方もぜひ見直すべきだろうというふうに思っておりますので、この委員会がもし議論する場でなければ、また別な場を設けていただくなりしてぜひやっていただくべきだろうというふうに思います。 |
竹田委員 |
長官のいわれたことについて、私の考えが長官の問題提起に合うかどうかわかりませんけれども、審査の問題についていえば、これは審査制度そのものを見直すべきかという問題と、審査制度は現状のままの方がむしろいいんだけれども、それでは2万件ものこういう請求が出てくるのを何とかするのにはどうしたらいいかということの問題と2つあると思うんですが、前段の問題というのは、先ほどから出ている補正の問題等もあろうかと思いますが、私は基本的には、やはり特許権を初めとして知的財産権というのは排他的、独占的権利なんだから、それについての審査というのはきちっと厳格にやられるべきだと。 |
丸島委員 |
なぜ審決取消訴訟が多いんだというのは、特許庁でユーザーフレンドリーということを標語に挙げているんですが、私は、ユーザーフレンドリーじゃないからだと思っています。こういう表現を使うのは非常に失礼かもしれませんが、先ほどちょっとお話ありましたように、一件一件の仕事を効率化しようとして、そういう動きがすごく強くとられているんですね。ですから、拒絶査定にするところまでは効率がいいと。これは出願人が満足するはずがないので、そのはけ口はその後へいくのが当たり前なんですね。ですから、私はもうちょっとユーザーフレンドリーで、審査の段階で本当に対応できるようなことをやっていただくのが、トータル的には早くなるのではないか。これは審判も同じです。すべてがそうだと思うんです。 |
及川特許庁長官 |
いろいろご批判等あろうかと思いますが、私の問題意識の背後には、やはり世界の特許庁、大きなところが今流動的になっている中で、審判、裁判も動きつつあるという感じがございます。特に先ほど広実室長からも話がありましたけど、EU特許ができるとどういう形のものになっていくのかなというのがありますし、特にEPOは今まで審決で終わりという非常にシンプルな形でありますし、特に審決にいかなかった。ただし、その分、50カ月以上もかける審査でじっくりとユーザーフレンドリーにやってたということだと思います。一方、我々は確かに急げ急げというのが背後にありますし、それはある意味では審査から始まって裁判で決するまで、間のトータルの期間を短くしろというのが、恐らくプロパテント政策の大きな命題でありますから、私が申し上げたかったのは、審査から始まって最後裁判までいくようなときに、どの程度の数がどういう形でいっているのかという実態を踏まえたときに、この2万件とかいう数字を日本の極めてユニークな特徴として、もし丸島さんおっしゃるように、我々の特許庁の審査におけるパフォーマンスが余りよろしくないというのであれば、それは直すのは比較的簡単だと思いますけれども、制度面とかあるいは日本の皆様方の出願のあり方等にもある一種のユニークなものがあるのであれば、それを生かすか、あるいは是正するか、その辺を踏まえないと、制度だけいじっても的確な制度設計にならないのではないかという問題意識があるものですから、日本的なプロパテントに合った、かつ日本の司法制度等の中で合ったやり方というのはいかなるものなのかという比較がある程度必要ではないかというふうに思っているものですから、あえて申し上げました。 |
大渕委員長 |
それでは、時刻も過ぎましたので、本日の小委員会はこれくらいにしたいと思います。 |
広実審議室長 |
資料3に今後の検討スケジュールを書いております。9月の初めまでスケジュールを決めさせていただいております。また、5回目以降も、必要に応じ早期にスケジュールを確定させたいと思います。 |
大渕委員長 |
それでは、以上をもちまして小委員会の第1回を閉会させていただきたいと存じます。 |
-了-
[更新日 2002年6月19日]
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特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室 |