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特許庁総務部総務課
工業所有権制度改正審議室
大渕小委員長 |
作田委員は遅れて来られるというご連絡があったようです。まだお集まりでない委員の方もおられますが、定刻となりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会の第2回紛争処理小委員会を開催いたします。 |
広実審議室長 |
前回、御欠席された委員の方々のご紹介をします。 |
大渕小委員長 |
それでは早速、議事の方に入らせていただきます。 |
広実審議室長 |
それでは、配付資料本文の「特許の有効性に関する審判制度等の在り方」と、その「参考資料集」に基づいてご説明いたします。 |
大渕小委員長 |
詳細、かつ、わかりやすい説明をどうもありがとうございました。 |
竹田委員 |
きょう、配付していただいた文書について5分ほど説明させていただいてよろしいでしょうか。 |
大渕小委員長 |
どうぞ。 |
竹田委員 |
私が本日、この委員会に文書を提出して皆さんに配付していただいた趣旨は、その1ページの「はじめに」というところに書いてあるとおりですが、ご承知の知的財産戦略会議等、はたまた総合科学技術会議の知財専門調査会、経済産業省の産業競争力と知的財産を考える研究会等で、紛争の1回的解決を目指す方策も含めて、紛争の合理的解決を図るための裁判手続のあり方も含めた幅広い検討を行う、という報告がなされ、また、産業界を初めとして各方面から、紛争の1回的解決を目指すための方策を検討する必要性ということがいろいろ言われているわけですが、私から見てみますと残念なことに具体的な制度設計というものが示されていない。 |
大渕小委員長 |
総論的な5.「……基本的考え方」の部分につきまして、ほかに、ご質問、ご意見等ございませんか。 |
山下委員 |
今、事務局からなされたご説明は、1本化するかどうかというのはともかく、基本的には、無効審判制度というのは特許庁に残すということが前提でのお考えなのでしょうか。 |
広実審議室長 |
6ページ目の一番上にも書いていますように、私ども事務局としては、竹田先生がおっしゃるように、将来的には特許庁と裁判所の権限配分の見直しというのはあるかもしれないわけですが、仮にそれがあったとしても、特許庁自らが見直す制度――それを当事者系で見直すか異議系に見直すかはともかく、それはそれで必要なのではないかと考えております。 |
山下委員 |
ありがとうございました。 |
大渕小委員長 |
ほかに何かご質問、ご意見等ございませんか。 |
丸島委員 |
早めに退席させていただきますので、考えていることだけ申し上げたいと思います。 |
広実審議室長 |
前例があるかという意味では、ないと思うのですが、制度的に不可能かというのは、更に検討する必要があります。 |
丸島委員 |
可能であれば、今の付与後異議の間ぐらいは「何人も」ということで、その後は利害関係人ということで1本の制度がふさわしいなと私は思っているのですが、もし、不可能であるならば、ずっと「何人も」という形の方が望ましいかなと。 |
中山部会長 |
「何人も」という要件を例えば5年とか2年だけ課して、あとは利害関係人のみ請求できるとすることの問題ですけれども、なぜ「何人も」とするかという趣旨にもよるかと思います。特許権というのは万人に対して拘束をしているから、潜在的には「何人も」利害関係があるというように考えれば、途中で切るのはなかなか難しい。 |
牧野委員 |
質問させてください。この審判制度の見直しで訂正の関係に幾つか言及されておりますけれども、迅速化あるいは適正化ということからすると、訂正がいつまでできるかということが非常に大切だろうと思います。「参考資料3」の全部が訂正請求なり訂正審判にかかっているという関係がございますが、このあたりはこの席で議論をすることになるのでしょうか。 |
広実審議室長 |
はい、第3回以降でそのようにしています。 |
松尾委員 |
私も、これをこのまま1つ1つやっていきますと、今までの制度と余り大きく変わらないと思います。竹田委員の案を見てみましても、特許を無効とするためには取り消し審判と侵害訴訟で主張するのと両方ありますので、大きな流れはある意味で今と変わってないとも言えるわけで、したがって、1つ1つ詰めていかないと――全体像からやりだしますと意見がまとまらないと思うのです。そこで一応この事務局案に沿って進めていった方がいいのではないかと思います。 |
広実審議室長 |
済みません、今のは、2本立ての制度の中で改善するという意味、つまり――異議をもっと狭くしたらどうかという意味でしょうか。 |
松尾委員 |
そうです。といいますのは、先ほど、同一人が異議と無効の両方やるというお話がありましたが、現実に6ヵ月の中で証拠を集めきれなかったり、特に人との関係でいろいろ資料を提出してもらうのに悪意ではなくても間に合わない。だから、訴訟の提起のこと、されるときのことを考えれば、両方やらざるを得ないのです。例えば仮処分が起こされるおそれがあるというようなときに、ゆっくり準備していては間に合わないので、異議の申し立てはする。そこで、後ろに異議の理由が非常に限定されているのであれば、当事者の方は安心できる上、じっくりと準備して無効審判の提起ができるわけです。 |
小林審判企画室長 |
今の実態はよくご承知の方も多いかと思うのですがご説明させていただきますと、現行の無効理由はかなり広範に無効理由を見ているわけですけれども、実際には、そこで争いが起きる冒認あるいは共同出願の規定違反というのはごくごくわずかでございます。1%以下と考えていいかと思います。ほとんどは新規性とか進歩性の欠如のような、いわゆる公益的理由でございます。 |
松尾委員 |
裁判所で明らかな無効事由があるというのは、かなりの場合、新規性がないということにつながるのではなかろうかなと思います。また、警告状を送ってみたら「いや、無効事由があります」といわれ、何でこんなのが審判段階に出なかったのだろうというようなのが出されたりしますので、経験上、私はそう思ったのです。 |
大渕小委員長 |
今までも各論がかなり出ておりましたけれども、時間の関係もございますので、以下、各論を中心としてご審議いただければと思います。 |
佐藤委員 |
私も基本的に1本化するということについて賛成でございます。ただ、そうなった場合に、今まで異議が4,000件のニーズがあったということを踏まえると、そこでは「何人も」ができるという制度であったがゆえに利用されてきた面が非常に大きいというように理解しております。 |
伊藤委員 |
1人だけ素人なものですから初歩的なことを伺って申しわけないのですが、制度の趣旨としては先ほど中山さんがおっしゃられたようなことだと思いますが、現実に異議申立人に実質的な意味での利害関係がない、まさに純然たる第三者であるというような事案というのはあるものなのでしょうか。 |
小林審判企画室長 |
実態からご説明いたしますと、11ページの(注1)と(注2)、それからその上の(iV)「業界慣行としての第三者申立て」というところあたりに書いてあるのですが、現在の異議申し立てでは、制度上何人も申し立てできるとしている関係上、利害関係についてこちらが職権調査をしたわけではないので、現実に第三者が利害関係をもっているかどうかというのはわからないわけでございますけれども、利害関係を問われる無効審判の方では個人名の申し立ては非常に少ない。 |
中山部会長 |
実数としてどのくらいあるかわかりませんけれども、業として実施をしていない業界団体が請求するということはあり得ます。あるいは消費者団体が、日本の場合、現在、特許にどのくらい興味もつ程度に成熟しているかどうかわかりませんけれども可能性はあるということです。 |
伊藤委員 |
なぜ、そういうことを伺ったかと申しますと、査定系である異議申し立ての手続の中で申立人の手続的な地位を強化して何らの主張・立証ができるような機会を与えるというのが、1つのアイデアとして掲げられているようなのですが、もし、お話のように、取引上どうも具合が悪いから第三者の名前で異議申し立てをするということがかなりあるとすると、せっかくそういう手続を設けてもそれが十分には機能しないのではないかと思ったものですから、質問をさせていただいたわけです。 |
中西委員 |
1本化ということについては我々の立場からしても賛成なのですが、ここに全然出てないのが、その時に発生するその費用も非常に重要な問題になるのです。現行のままいきますと、大分差が出るという予測ができる。素直に計算するとその差が5万近くなりますと中小企業また零細というのはなかなか大変だなと思います。なぜなら、新事業を創造するには特許出願を1事業あたり3~5件出願し、その費用はかなりなものになる。その上での上乗せ金となるので、とその辺の配慮・考慮というのはやはり必要ではないかなと思います。 |
佐藤委員 |
今、費用の問題が出たのですが、審判になると確かに費用的には多分、今の異議よりは高くなってくるので、我々の弁理士の議論の中では、もっと簡易な形のものとして付与後の情報提供制度みたいなものをつくったらどうかということが提案されています。これは1本化しても審判の方に負担がかかるわけではなくて、ファイルの中に第三者が情報提供をしておいて、それを審判の時に活用するなり、また権利者が権利行使をする際に自分のファイルを見て、そういう問題がないかどうかをチェックさせる。また、第三者からすれば非常に簡易な手続で自分の言いたいことをある程度言えるというようなものもあってもいいのではないか、という案が出ているのですが、そのようなご検討はいかがでしょうか。 |
広実審議室長 |
その点については、先程、時間の関係で省略したのですが、19ページの7.は、主に利害関係を要求した場合を念頭に置いて考えた制度なのですが、公益的な特許処分の瑕疵の理由がある場合で、利害関係人が何も言ってこない場合、しかし、間違いというのは明らかにわかる、こういった場合に備えて特許庁みずからの特許の見直し制度ということも検討に値するのではないかという点を書いています。そういう制度の中で情報を提供したいという人のニーズを汲み取れるということは考え得ると思います。 |
竹田委員 |
請求人適格の問題と、今、佐藤委員がおっしゃったこととは、審理構造と結びついていることだと思うのです。それが最初の出発点の、一体この制度というのを特許庁の見直しの方にウエートを置くのか、それとも紛争のいわば予防的な意味も含めて当事者が積極的にその手続に関与して無効の権利の有効性を争うのか、というところにまで関係してくるわけで、何人も請求できますよと。そのかわり、そういう情報提供などもみんなができて、その中で特許庁が職権主義を使ってどんどん審理をして、権利の有効性が問題であればそこで無効理由通知なり取消理由通知なりをして、公益的な立場から特許の有効性について考えていこう、ということを問うのであれば、今おっしゃったことはすごく整合性があって説明できると思うのですが、一方で「何人も」というのを取りながら当事者主義的構造を持ち込んで、その当事者の主張と、職権主義との関連をどうするかという問題。 |
秋元委員 |
今、竹田先生が言われたのはまさにそのとおりなので、それは分けて考えなければいけない問題ではないかと。 |
大渕小委員長 |
審理構造の点につきまして、先ほど関連しているというお話が出ておりましたので、そちらに移ってまいりたいと思います。ご質問、ご意見等ございませんか。 |
松尾委員 |
私が先ほど、この事務局案にのっとって議論したら、と申し上げましたのは、例えば竹田案ですと、管轄の問題も関係してきます。そうすると、今、抱えている管轄では弁護士会はこぞって反対するだろうとか、いろいろな問題が出てきますので、こういう構造まで考えるとするとなかなかおさまらないだろうというように思ったわけです。この段階では問題が大き過ぎると思いますので、そのことだけをお話ししておきたいと思います。 |
広実審議室長 |
補足したいという点がありますが、先ほど竹田先生が言われたように、「何人も」という請求人適格は査定系に親しみやすい。利害関係というのを緩やかにとるのは当事者主義的構造に親しみやすいというのは大変わかるのですが、そこが必ず演繹的に結論を出すべきか、ということなのです。 |
牧野委員 |
今おっしゃったような点からすると、付与後異議の場合に請求人の積極的関与の機会の要請と今おっしゃったような点からすると、付与後異議の場合に請求人の積極的関与の機会の要請というのがあるということからしても、当事者が自己の主張を十分にいえることを保証する必要性があり、また、紛争当事者間で特許の有効・無効が真剣に争われて主張・立証が十分になされた上での判断というのが的確な判断を導くものだろうと思いますので、審理構造としては当事者系の対立構造を基本にした方がいいだろうと思います。 |
佐藤委員 |
この新しく1本化した制度というのは、侵害訴訟まで行く前の事前予防的紛争解決の道だというように考えた場合、当然、当事者間においては侵害訴訟で争う前に有効・無効について議論を尽くしたいという要望というのは非常に強いというように思いますし、そうあるべきだと私も思っています。 |
竹田委員 |
今の点で質問があるのですが、その情報提供制度と新たにできる特許の有効性を争う制度との関連はどうなるんですか。 |
佐藤委員 |
基本的には、有効・無効についてきちんと議論をして明らかに結論を得たいという人は、当然、審判で争う。 |
竹田委員 |
情報提供すると、特許庁はどうするんですか。 |
佐藤委員 |
特許庁がそれを職権で取り上げて有効・無効にするかどうかというのはまた別問題であると考えます。少なくとも権利者にとっては、自分が権利行使をする場合に自分のファイルをもう1度見直して、自分のものに対して第三者から何らかの有効性に対する証拠が出てないかどうかということを知ることができるし、仮にそれが有効な証拠であれば、本人が侵害訴訟を起こすときに十分に検討してから侵害訴訟を起こすというような機能を期待できるのではないかというように思っております。 |
竹田委員 |
そうすると、1本化した特許の有効性を争う制度に関連して、その手続の中で第三者が情報提供できるということですか。 |
佐藤委員 |
私はこの付与後の情報提供制度と審判とは全く切り離したつもりで申し上げております。 |
大渕小委員長 |
事務局から追加説明がございます。 |
小林審判企画室長 |
現在の工業所有権法の中にも、実は付与後の情報提供制度というのが実用新案制度にございます。これは施行規則レベルで定めておりますので法律事項ではないのですけれども、施行規則でそういうものを定めております。 |
大渕小委員長 |
審理構造に入りましたのは、先ほどの請求人適格がもう終わったという趣旨では必ずしもなくて、両者が関連しているので先に進んで両方を関連させてご議論いただいた方がいいということでありますので、審理構造も踏まえた上で請求人適格につきまして何かご意見等ございましたら……。 |
松尾委員 |
私が一番初めに申し上げました、非常に限られた理由による異議の申し立てというのは、今おっしゃった付与後異議で達せられる、そういう趣旨のものを私は考えていましたので、そうだと思います。 |
作田委員 |
ユーザーの立場から一言お願いと質問をさせていただくのですけれども、まず、紛争の1回的解決というのはちょっと置いておきまして、現在の異議と無効審判を1つにしようと、ここまではいいのですが、そのときに、先ほど来、竹田先生ほか議論がありますように、裁判所等の役割においてこの新しい審判制度を審査の正当性の確保ということに重きを置くのか、無効審判の対立構造でのしっかりとした審理を行うのに重きを置くのかということになるわけです。 |
山下委員 |
今のご意見に絡むのですけれども、先ほど来伺っていますと1本化することに賛成だという意見が多かったのですけれども、賛成の方が、イメージとしてどういうことをもっておられるのかというのが私ちょっと疑問になったのです。 |
大渕小委員長 |
今ご質問もありましたので、ユーザーの方が中心になるかもしれませんが今の点についてご意見等ございましたら……。 |
佐藤委員 |
私は1本化に賛成ということを先ほど申し上げましたので、今のご質問についてお答えいたしたいと思います。 |
大渕小委員長 |
ほかの方で先ほどのご質問に……。 |
松尾委員 |
さっき、数字をちょっと忘れましたが、同一人が異議の申し立てと無効審判とを起こしているのは何十%とおっしゃいました? |
広実審議室長 |
4ページ目の一番上の数字で、同一権利に対して異議、無効が306件で、そのうち同一人が114件でございます。 |
松尾委員 |
私が1本化に賛成だと言いましたのは、異議申し立てに対しては当事者の相手方が意見を言えないということでどうしても不満が残るので、本当に重要にものについては、もし、異議で成立しなければもう1度無効審判を起こさざるを得ない。そういうむだなところを考えて両方と申し上げたのです。 |
広実審議室長 |
今おっしゃられた審決の信頼性の向上というのは、1ページ目の(3)にもありますように、今後の検討の中で議論していきたいと思います。 |
作田委員 |
過渡的という言葉はちょっと悪かったので、過渡的な法律をつくってくれというのではなくて、要するに、請求人適格であるとか期間であるとか審理構造であるとか、そういう個別の議論をするときに、今の状況ではこうだけれども、将来はこうあるべしというようなのが、特に審理期間の問題など個別には出てくるのではないでしょうか。 |
中西委員 |
ユーザーの現場という立場から今のお話に意見があるのです。この異議申し立てなどは我々からすると「ちょっと邪魔だな」という程度で「これは真剣に向かっていかなければいけない」という、質の問題が明らかにあるわけです。 |
伊藤委員 |
また素人臭いことを伺って恐縮ですけれども、査定系の方で考えるとか当事者系の方で考えるというのは、1本化するということが前提ですね? |
小林審判企画室長 |
審決取消訴訟のところだけに着目して申し上げます。もちろん、どの程度の件数かということにもよるかと思うのですが、特許庁の対応能力以前の問題として、異議申し立てのような査定系の構造をとって、しかも特許の取り消しをした場合も特許の維持をした場合もいずれの場合も、特許庁が被告になるのか、まず、そこをどう考えるのかだろうと思いますが、その場合に、今の異議申し立てのように特許を取り消したときにその特許権者が原告になって特許庁が被告になるというのは自然だと思うのです。 |
竹田委員 |
特許庁と裁判所側の委員としては山下委員だけですので、山下委員の個人的見解でもいいのですがぜひお聞きしたいのです。 |
小林審判企画室長 |
新しい制度の形が決まっていない以上、正確なその件数の見積もりというのはできないわけですが、実は暫定的なヒヤリングで、仮に「何人も」ということで請求の期限の制限がないという前提でどの程度の件数になるかについて、何社かの感触を伺ったところ、現在の異議申し立てと無効審判の件数の合計以上になる、と答えたところは、当然のことですが、無い。 |
秋元委員 |
今、請求時期の問題が出たのですが、さっき作田委員が言われたように、将来像というものでかなり動くことも確かです。それと同時に、2年とか何とかという議論は恐らく「資料7」の無効審判の特実のところが10ヵ月というところにピークがあって大体2年だろう、という話で来ているのかもしれないのですが、最大ピークより後ろの方はむしろ数が少ないですから全体として考えた場合それほど審理の負担にはならないだろうと。 |
大渕小委員長 |
そろそろ時間がまいりましたが、論点として残っているのは、請求理由と請求期間ですが、本日はここで閉会にしてこの論点を全部次回に回すか、本日、少しだけでもご感触なりとも伺って、本格的には次回にやるか、という2つの選択肢があるのですけれども、委員の方々のご予定は、あと若干ぐらいであれば延長できるのでしょうか、それとも、次の予定が入っているということなのでしょうか。もう少し続けてよろしいでしょうか。―― |
作田委員 |
時間で退席しなくてはいけないものですから、済みません。 |
大渕小委員長 |
請求理由につきまして何かございませんか。 |
牧野委員 |
請求時期は、先ほど申しましたような当事者対立構造をとるということを前提にすれば、私は請求時期の制限はない方がいいだろうと思っております。 |
大渕小委員長 |
今、請求時期のお話も出ていましたが、請求理由、請求時期、どちらでも結構ですので……。 |
松尾委員 |
共同出願とか冒認出願の件は全部整理できるかどうか私もまだ未検討ですが、移転請求権という形にして、地方裁判所の普通の事件として扱う方が適切だと思います。これはほとんど証拠で固まっていくような事実関係の問題ですから、その方がいいかと思います。 |
小林審判企画室長 |
具体的な事件は手元にないのですけれども、条約違反自体が、実は念のために置いてある規定で、ある種の空文ですので、後発的理由であれ何であれ、条約違反のものは恐らくないと思います。 |
中山部会長 |
今の松尾委員の冒認に関する発言の件ですけれども、普通裁判所で移転請求というのも可能ですけれども、場合によってはそれにプラスして、無効理由にして、かつ請求人適格を利害関係人に絞るという手もある。ですから、普通裁判所にもっていったからこっちはなくしていいということでは必ずしもなくて、両方あり得るということです。 |
松尾委員 |
そう思うのですけれども、この判断が特許庁でうまくできるかというと、私は非常に疑問に思っております。そういうところから、特許庁から外していただいた方がいいのではないかなと思いました。 |
中山部会長 |
私も基本的には昔からそう思っているのですけれども、ただ、移転は要らない、消しちゃえばいいのだという需要もあることはあると思うのです。その需要を全く無視していいかという話なのです。 |
山下委員 |
あえて異を唱えるようですけれども、冒認とか共同出願の場合、そう簡単に地裁でできるかという問題もあろうかと思うのです。というのは、これは職務発明などにも絡むのですけれども、一体だれを発明者に認定するかというのはそう簡単でない場合がかなりあり得るだろうと。事件によっては、はっきりわかっていて通常事件になじむ、文字どおり合意があったかどうかというだけなどというのもあるのですけれども、争い方によっては、普通の進歩性などの判断よりもっと難しいだれが発明者かという事件のときには、地裁にもっていくのはいいにしても、何か手当をしておかなければいけないのではないかという気はしますね。 |
松尾委員 |
それはそうだと思います。非常に難しいんです。どこまでできていれば発明があった、とか、着想がどこまでかとか、発明の完成とか、そのように難しいことですから、審判制度においても法律家を入れるとか、あるいは裁判所の方にもちゃんとした専門委員を審理に参加させるとか、いろいろなことをあわせてゆっくり考えていただきたいと思います。 |
大渕小委員長 |
ほかに何かございませんか。―― |
広実審議室長 |
きょうの論点は、全体の姿、トータルな姿という考え方の中でもう1回議論をしていかないといけない問題かと思っておりますので、本日いただいたご意見を踏まえまして、事務局でより深い議論ができるような案を用意したいと思います。 |
大渕小委員長 |
それでは、以上をもちまして第2回紛争処理小委員会を閉会させていただきます。 |
-了-
[更新日 2002年7月17日]
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特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室 |