第6回紛争処理小委員会について
平成14年10月28日
経済産業省特許庁
10月25日(金曜日)10時~12時に産業構造審議会知的財産政策部会第6回紛争処理小委員会(委員長:大渕哲也 東京大学先端科学技術研究センター教授)が開催された。
1.審議内容
(1)事務局説明
配布資料に沿って、
紛争処理小委員会報告書案、
審決取消訴訟係属中における訂正審判の在り方、及び、
実用新案法、意匠法及び商標法における紛争処理制度の在り方、について事務局から説明した。
(2)自由討議
事務局説明に続いて自由討議を行ったところ、委員の主な意見は以下のとおり。
(審決取消訴訟係属中の訂正審判の在り方)
- 特に先端技術分野では、様々な情報が錯綜しており、特許性の有無の予測が難しいことから、無効審決後においても訂正の機会が保障される制度を要望する。
- 訂正の機会を与えるかどうかの一次的判断を、技術専門官庁である特許庁ではなく、裁判所が行うことに不安を感じる。また、これらの案では、裁判所がどのような措置をとるのか予測できず、対応負担の増加が懸念される。
- 訂正の機会を保証するためには、審決取消訴訟係属中に訂正の申立てがあった場合、全件特許庁に差し戻すとするC-1案の修正案を要望する。
- C-3案では、訂正審判の機会は保証されるので、先に無効審決が確定しない限り訂正機会はあるが、必ず訂正認容審決が無効審決の先になるとは限らない。したがって、訂正の機会を完全に保証すべきという点では、C-1案、C-2案だけでなくC-3案でも対応できていない。訂正機会を必ず保証するためには、無効審決後一定期間内に訂正するか、原審決について訴訟で争うか、あるいは諦めるかの三択の機会を設定する案が考えられる。
- 訂正の機会を保証する案として、無効審決前に無効理由通知等により訂正の機会を設けるか、あるいは、特許庁が審決の前に予備的審決を行い訂正の機会を与える一方、その後は訂正の機会を認めないとする案が考えられる。
- 審決取消訴訟提訴後の訂正審判請求は、無効審判の予備的審決後に訂正の機会を与えることと比較して、スクリーニング効果が期待される。
- 法学的な視点から考えると、差戻し判決というのは例外的に行われるべきものであり、訂正の申立てが行われた場合に全ての案件について差し戻しを行うことは適当ではない。
- 訂正後の権利について、裁判所で判断できるのものは特許庁に差し戻すことなく裁判所が自判する方が、迅速な解決に資する。
- 審決取消訴訟中において訂正の申立てが行われた場合、差戻しを行わないものは、現実には濫用的な訂正の申立てに限られてくるのではないか。
- C-3案では、最初に特許庁に対して訂正審判が請求されるので、裁判所では訂正審判の存否が不明で運用が困難ではないか。
(紛争処理小委員会報告書案について)
- 簡易な異議申立制度としての情報提供制度を是非前向きに検討して欲しい。
- 外国出願人の応答期間を見直す場合、実務上支障のないよう設定して欲しい。
- 審判の口頭審理における営業秘密等の非公開化については、より積極的な記載とするべき。
- 当事者対立構造を基本とする新無効審判においては、新たな理由・証拠の追加を認容できる規定を設けるべきではないか。
(実用新案法、意匠法及び商標法に関する紛争処理制度の在り方)
- 実用新案権、意匠権の有する対世的効力を考慮すると、特許権と同様に、これらの権利についても、無効審判の請求人適格は「何人も」可能とすることが適当ではないか。
- 意匠権は模倣されやすい権利である点、また、商標権は需要者保護の性質を有する権利である点で特許権・実用新案権とは権利の性質が異なる。ユーザーの要望がないのであれば、異議申立て制度や無効審判制度を改正する必要はないのではないか。
[更新日 2002年10月30日]
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