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産業構造審議会 知的財産政策部会 第2回意匠制度小委員会 議事録
大渕委員長 |
それでは、まだお見えでない方もおられますが、定刻となりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第2回意匠制度小委員会を開催いたします。 |
花木審議室長 |
それでは、配付資料の確認をさせていただきます。 |
大渕委員長 |
資料の方はよろしいでしょうか。 |
大渕委員長 |
それでは、早速、議題に入らせていただきます。 |
花木審議室長 |
それでは、資料1でございます「意匠制度の枠組みの在り方について」ということでございますが、最初にローマ数字のⅠ.として、前回の議論のまとめと今回の検討事項ということで書かせていただいております。 |
大渕委員長 |
それでは、今事務局の方から御説明いただいたとおり、まず(株)タカラの方から御説明いただくことにいたします。お忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございます。 |
吉田氏 |
座ったままで失礼いたします。 |
大渕委員長 |
御説明ありがとうございました。 |
勝尾委員 |
日経デザインの下川です。 |
吉田氏 |
ダッコちゃんを復刻した段階では、裏づけされている権利は何もありませんでした。ですから意匠権も既に当然のことながら切れていますし、唯一商標権のみが残っていたという状況です。あれは当初のデザインを復刻したかったんですが、人種差別の問題等もいろいろあるものですから、時代のずれという中で、新しいデザインを新たに起こしたという状況です。 |
勝尾委員 |
それはもう出願されているんですか。 |
吉田氏 |
もちろんそれは出願させていただきました。だから、権利としては意匠権と著作権の両方を私どもは主張させていただいております。 |
勝尾委員 |
実際に類似品、模倣品というのは出たんですか。 |
吉田氏 |
出ませんでした。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
山本(為)委員 |
どうも遅参しまして、私、山本光学の山本でございます。 |
吉田氏 |
主なマーケットですから、15カ国ぐらいでしょうか。それとノックオフ対策用としての、やはり中国、台湾、韓国にも出していますから。 |
山本(為)委員 |
イメージから言ったら、15カ国しかないのかと思うんですけど。 |
吉田氏 |
なかなかでも、おもちゃの場合は圧倒的にアメリカの市場が大きいので、あとはヨーロッパ、東南アジアが少しという程度ですかね。 |
山本(為)委員 |
世界のTAKARAブランドでも15カ国程度ということですかね。そうすると、それ以外の国はカバーしていないということですね。 |
吉田氏 |
なかなかマーケットとして成立しないものですから。 |
山本(為)委員 |
わかりました。ありがとうございました。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
森山委員 |
御発言の中に、米国の場合には、玩具著作権で保護されるというふうにおっしゃっていましたが、あらゆる玩具はその対象になっているんでしょうか。 |
吉田氏 |
なっています。 |
森山委員 |
そうすると権利期間が非常に長いということですか。 |
吉田氏 |
そうですね。 |
森山委員 |
ありがとうございました。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
平野委員 |
カタログの中で最後の方で、プラスマイナスゼロとか、ハイブリット自転車をつくられているという話なんですが、このとき、ハイブリットの方はヤマハさんとやられていて、プラスマイナスゼロの場合は深澤さんというデザイナーですね。そのときの著作権のとり方とか、特許のとり方というのはどういうふうにされていますか。例えば共同でやっているのかとか。 |
吉田氏 |
基本的には、すべての知的財産権はタカラの方に譲渡されるという契約で進んでいます。 |
平野委員 |
なるほど。ヤマハさんともですか。 |
吉田氏 |
イコールですね。 |
平野委員 |
イコール。全部、タカラさんがお持ちになる。 |
吉田氏 |
はい。 |
平野委員 |
ちなみに著作権その他の、意匠権もそうなんでしょうけど、そういう登録出願の費用、大体年間の予算をお持ちだということなんですが、差し支えなければ、幾らぐらい御社の場合はお持ちになるんですか。 |
吉田氏 |
大ざっぱに言いまして、約3億でしょうか。 |
平野委員 |
3億で、海外のものも含めて。 |
吉田氏 |
年間3億ですね。 |
平野委員 |
ありがとうございました。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
岡崎委員 |
日本知的財産協会の岡崎と申します。どうもありがとうございました。 |
吉田氏 |
やはりプロダクトの製品ですので、私どもの玩具に著作権がどの程度波及するかということについては、これは我田引水でいろいろ主張しているに過ぎないので、これはもし本当に法的レベルでの争いになったときは、非常に大変かなと考えています。 |
岡崎委員 |
ありがとうございます。 |
大渕委員長 |
茶園委員どうぞ。 |
茶園委員 |
今岡崎委員が御質問されました保護期間と無審査制度に関して、2点質問したいのですが、まず、保護期間を一定の期間に限るということは、その後は誰もが自由に使えるようにするという趣旨なのですが、おもちゃ業界は特殊なのかもしれませんが、例えば他の会社が意匠権を取得したデザインを、自分たちも使いたいという、そういう要求や必要というものがないのか。あるとすると、保護期間を長くすればするほど使えなくなる期間が長くなりますから、この要求や必要が満たされにくくなるという問題が生じます。 |
吉田氏 |
わかりました。最初の点をもう一度後で確認させていただきたいんですが、後の点から申しますと、やはりベストは、短期間にお墨付きをいただくのが理想です。ただ、どうしても物理的に困難だろうという認識を持っているものですから、消極的な意味での無審査ということですね。リードタイムが欲しい、短縮させたいために、無審査ということを要望しているということです。基本的にはお墨付はいただきたいなと思います。もしこれが中国という対象がなくなったときはどうかというのであれば、これは別に3カ月である必要はないので、私は現行の6カ月、7カ月でも十分だという認識は持っています。 |
茶園委員 |
保護期間を限定するというのは、その期間を経過すればあとは皆が自由に使えるという、公衆に開放するということですね。ですから、保護期間を長くすればするほど、公衆に開放される時点が遅くなってしまう。保護期間を延長すべきだとおっしゃっていましたが、延長すると別のおもちゃ会社が創作したデザインが使えなくなる期間が長くなってしまうということになるのですが、そういうデメリットは、タカラさんのところでは特に感じられないということですか。 |
吉田氏 |
それぞれ、すみ分けていると言ってはおかしいんですが、ほぼ類似したものはそんなにお互いつくっていない。国内の場合は。例えばファッションドールということになると、多分タカラ今のところ1社に近いんじゃないでしょうか。あとはアメリカのマテル社のバービー人形に代表される程度というぐあいに、それぞれが。バッティングしているとすれば、変形合体玩具のB社さんと私どもとか、その程度です。そんなにはバッティングしてない、重複関係にはなってないかなと思います。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
峯委員 |
峯でございます。1点お伺いしたいところは、今ずっとおもちゃ、玩具というところでタカラさんは意匠戦略を立ててこられました。このカタログを拝見しますと、最後のところに、プラスマイナスゼロという家電が乗っています。玩具についての意匠を考える場合と家電についての意匠を考える場合、出願戦略において何か違うところがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。 |
吉田氏 |
基本的には変わらないですね。と申しますのは、デザイン戦略の基本コンセプトは、私どもの場合は「遊び心」が基本コンセプトになっています。ですから、これは家電であろうが、おもちゃであろうが、「遊び心」には変わらない。ただ、それをお使いになるユーザーが子供たちである場合、子供でも男の子、女の子、それと家電のような、実際これは大人対象ですから、大人を対象としたような場合の嗜好の違いというのがございますので、「遊び心」の表現は違ってくると思います。ただ、ベースにあるのは「遊び心」のコンセプトでくくっていますので、基本的にはそんなに変わらないと認識しています。 |
峯委員 |
申しわけありません、デザイン戦略というよりも意匠の出願戦略。 |
吉田氏 |
出願戦略、ごめんなさい。家電の場合、現行私どもも全く家電と自転車の場合は新規参入なものですから、中国の脅威というのが今のところそんなにさらされていません。ですから、おもちゃほどの意匠戦略が必要だというぐあいには現状はそんなには認識してません。逼迫していないものですから。玩具のノックオフに対する意匠出願上の戦略の行使の仕方と家電や自転車とは、明らかに現状は違っています。違っているというのは、大ざっぱにやっていると、乱暴な言い方をするとそうなります。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
平野委員 |
似たような話になるかもしれませんが、家電の場合はそうですねというのはわかりました。最近の玩具はIT関係、ある意味でCRTだとか、画面だとか、そういうのがありますよね。そういうものに対する意匠権というのはないわけですが、それは何か今手だてを打たれていますか。 |
吉田氏 |
著作権オンリーで。現行の制度では非常に難しいのかなと認識しています。 |
平野委員 |
その辺はどういうふうにお考えですか。 |
吉田氏 |
できれば、保護対象に入れていただきたいと思います。 |
平野委員 |
ありがとうございました。 |
大渕委員長 |
それでは、時間も押してまいりましたので、これぐらいにしたいと思います。 |
大渕委員長 |
それでは、次の議題に入らせていただきますが、事務局の方から、「意匠制度の枠組みの在り方について」という資料について御説明をお願いいたします。 |
花木審議室長 |
それでは、説明をさせていただきたいと思います。 |
山本(為)委員 |
山本でございます。 |
花木審議室長 |
それでは、資料1の方で、時間の関係もございますのでごく簡単に御説明させていただきまして、後で質疑の中でもし補足があれば御指摘いただいて、追加でということでやらせていただきたいと思います。 |
大渕委員長 |
丁寧な御説明をありがとうございました。 |
平野委員 |
参考資料の4なんですが、1ページ目のロカルノ分類別各国登録というのは、何年度のあれでしょうか。ここら辺、去年あたりEUの中では随分変わったですよね。 |
花木審議室長 |
2003年だということです。 |
平野委員 |
ありがとうございます。 |
大渕委員長 |
御質問でも御意見でも、お願いいたします。どうぞ。 |
勝尾委員 |
前回出ていなかったものでちょっと教えていただきたいんですが、論点の対象とすべき意匠の範囲というのがあるんですが、これは具体的にどういうことを指していますか。 |
花木審議室長 |
今申し上げたとおりでございまして、12ページに書いてあるかと思いますが、前回はデザイン政策全体について御議論いただきましたので、そういう中でデザインの保護が必要だとしても、意匠法で保護する分野とそうでない分野というのがあるのではないか。その際、御議論の中で出た例、あるいは今までのヒアリング等で出た例として、12ページの上に書いてあるような、比較的抽象度の高い分野にデザイン活動が及んでいる。そういうものについても何らかの保護が必要ではないかという議論があるのかどうか。 |
大渕委員長 |
いかがでしょうか。意匠法が保護すべきデザインということで、一番具体的には最後に御説明がありましたとおり、現行法では、13ページにあるようなものとなっているわけですが、これを広げた方がいいのではないか、あるいは狭めた方がいいのではないかというふうに考えていただくと一番イメージがつかみやすいかと思われます。皆様のいろいろな観点、ニーズ等からして、こういうものは入れた方がいいのではないか等という観点から御意見をいただければと思います。 |
山本(為)委員 |
私、前回出ておりませんので恐縮なんですが、これは各国がみんなデザイン制度、意匠制度が違うということで、その違うということは是としていろいろ今後運営していくのか、それともそれをISOのように一つのテーマにして各業界が今いろいろやっているのと同じようにこういうものも話し合うべきテーブルがあるのかどうか、ちょっと私は知識がないので教えていただきたいのですが。 |
花木審議室長 |
今、EUの中では統一に向けた動きがあると聞いておりますが、直ちに日本の法律について、ほかの国と意匠の対象を統一するという議論が今されているというふうには聞いておりませんので、日本法としてどういうものが適切なのかという御議論をしていただければと思っております。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
峯委員 |
12ページに意匠制度の目的ということが掲げられておりますけれども、このような考え方によるのであればという条件つきの書き方になっています。この意匠制度の目的、産業の発達というのが最終的な目的になっているわけですが、昔の議論の中では、生活文化の向上というようなものも、たしか意匠法の目的の中に入れようという動きがあったというふうに記憶しております。今回、もし生活文化の向上というようなものを法目的に加えるのであれば、この対象その他考え方は若干の違いが出てくるのかなというふうに思うんですが、その辺のところは運営側として何か御意見、お考えがおありでしょうか。 |
花木審議室長 |
我々として特に具体的にどうこうという意見というよりは、むしろ意匠制度はどうあるべきかという御意見を賜りたい。ただ、現在は御承知のように産業財産権法、知的財産権法の一環として特許権等と並んでやっておるわけでございますので、そういう考え方からすると、現行の制度としては、まさにここに書いてあるように産業の発達というのが一番素直なのかなと。意匠が生活文化の向上に資するということ、目的として制度設計をすべきだということであれば、産業財産法というのとはちょっとまた毛色の違う法律ということになるのではないかと思いますが、何らかの予断を持って議論しているわけではありませんので、幅広く御意見をいただければと思っているところです。 |
峯委員 |
今生活文化の向上という話を申し上げましたのは、デザインというものは何なのかということを考えた場合に、当然そのデザイン、さっきのタカラさんの話ではありませんけれども、デザインされたものを使って気持ちよく生活するというところに行き着く場合が多々あるだろう。そういうところを見ていくのか見ていかないのかというようなことにつながろうかなと思います。 |
花木審議室長 |
目的というよりは、そういう御意見はもちろんあるかと思うんですけれども、生活文化の向上ということを大きく振りかぶったときに、生活文化の向上にやや遠いような意匠はこの意匠権で保護しなくていいかどうかとか、そういった議論もあるかと思いますので、したがって何をこの意匠の対象にするのかということを御議論いただきたいという趣旨で申し上げている次第です。 |
大渕委員長 |
茶園委員どうぞ。 |
茶園委員 |
御説明いただいた12ページと13ページに書いてあることについてですが、12ページでデザインの概念が拡大しているという例で挙げられていることと、13ページで具体的にどう考えるべきかという現行法の定義を分解されたものが、それぞれの意味は理解できるのですが、両者を合わせるとちょっとうまくかみ合ってないのではないかと思います。といいますのは、この例に挙げられているものの多く、最後の模様や色彩等の特徴はよく分からないので置いておくとして、それ以外のものは、現行の意匠法では保護対象は、特定の形態と捉えていると思うのですけれども、ここで挙げられている例では、それよりも抽象度を高めたものが考えられているのではないか。それも保護対象にすべきだという考え方も当然成り立ち得るのですが、例えばその場合には、抽象度を高めたいわばアイデアの方に近づけたものを保護対象にするのと、現在のような特定の形態を保護対象にしつつ、保護範囲を拡大するという方向で保護を図っていくのとの2種類のやり方があると思います。 |
大渕委員長 |
これは事務局の方で御用意されたペーパーですが、多分趣旨としては、自由に御議論を行っていただくためにいろいろなことを書かれているのであって、今言われたような抽象度を高める方向に持っていくのか、そうでないのかという点、あるいは現行の枠組の中でどうするのかという点について、余り最初から方向性につき決め打ちのようにせずに、前広に幅広く御議論いただくという趣旨でこのようなペーパーになっているのではないかと思います。そこで、抽象度を高めるかどうか、あるいは現行の枠組の中でどうするかといった点の双方につきまして、御意見をいただければと思っております。 |
牧野委員 |
そういうことで議論の切り口はいろいろあろうかと思いますけれども、ここで13ページの「具体的には、下記の点について」と書かれているところだけについて私の考えを申しますと、物品性の問題は、現行のような物品との強い結びつきというのをなお維持することは妥当ではなく、克服されるべきものだというふうに既に皆さん認識されているのではないかと思います。画面デザインの保護は、「知的財産推進計画」においても、「2003年度中に結論を得る」とありましたけれども、画面デザインを意匠法上保護しようとすれば、どうしても物品性の拘束を弱めないとうまく保護の枠組みができないということになります。今ここでは、物品性の拘束を弱めることを前提に、それではどの程度の範囲で保護するのかという具体的な方向を皆さんで議論していただくことが必要と思います。そうするとおのずからどの程度抽象化したものまでが意匠法で保護できるのかという議論ができるのではなかろうかというふうに私は思います。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんでしょうか。 |
山本(為)委員 |
先ほどターゲットは国内の問題でありますというお話でございましたが、我々物づくりをしておりまして、海外への販売とか、また海外からの流入ということが、交流という部分で地球が非常に小さくなってきて、情報化が進んでおりますので、できることならそういうふうな海外との整合性ということをぜひ日本から取り上げてやれたらと私は思っていまして、先ほどのロカルノ分類別のような資料はいい資料だなと思っています。できればこういうふうに業界ではっきりと、必要なところですからたくさん意匠を出しているわけですし、そういうところを中心にして分科会とか委員会をつくってもらって、それでそれぞれターゲットによって期間とかターゲットが違うとすれば、それはそれぞれで議論させたらきっとまとまると思うんです。その辺を逆に日本がイニシアチブをとってやれば、欧米に対してもこういう面のレベルが上がっていくんじゃないかと思います。 |
花木審議室長 |
今回の議論の対象について、特に現行の意匠制度の対象としている物品性ということで余り問題がないということであれば、特にこれ以上議論していただくこともないと思うんですが、我々としては前回の委員の御議論の中で、例えば意匠法というのは、物だけ保護するのか、もっとコンセプト的なところまでカバーするのか、あるいは技術的な経営体についてはどう考えるのかといった、そういう枠組みについてからまず議論することが必要ではないかという御議論があったというふうに承知しております。したがって、その枠組みでどこまでカバーするのかというところがはっきりしないと、なかなか制度論に入れないかなということで提起させていただいたという趣旨でございますので、特にそこが問題ないということであれば、具体的に現状を基礎にしながら、若干類似の範囲ですとか、あるいはタイプフェイスとか多少にじみ出すような形の議論は、これから細かい議論に入っていく中でしていただくこともあるかと思います。今もしあればおっしゃっていただいても構わないんですが、大きな部分についてということでございます。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
平野委員 |
今のお話で、じゃあ整合性をとるというのは、アメリカの意匠に関する考え方が国際的に進んでいるのかどうかという話ですよね。合わせるがゆえに、古い考え方にずっと合わせていますというのは、私は違うのではないか。ある意味で国益なり、日本の産業界の利益が上がるような国際競争の中で、どういうふうに考えるかというのをそろそろ日本も論じ合うべきではないかと思いますので、ただ協調するというのは、私は違うのではないか。 |
大渕委員長 |
森山委員どうぞ。 |
森山委員 |
保護すべきデザインの定義ということで、この12ページに書かれているものが、そのままいいという意味で発言しなかったわけではないんです。私が感じている問題は、参考資料の4で配付されました世界主要国の意匠登録割合及びその分野を見てみますと、日本のデザイン力、登録数、そして分野というものが明らかに一致していないということ。日本の高いデザイン力は、この意匠登録制度に実は余り反映していないのではないかという問題意識を持っているんです。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんでしょうか。どうぞ、平野委員。 |
平野委員 |
先ほど牧野委員の方からおっしゃっていた、例の13ページの具体的には、下記の点でという話で私の方も意見を言わせていただきたいんですが、①に関しては、物品性というだけでは、日本の中のデザインもかなり物品のみということではなく、ある意味で考え方とか、先ほどから出ている画面との協調性とか、そういうのも出てきているというのが、実際我々デザインをやっていて、デザイン料という形でもらうものもどんどん変わっているというのが現状ですので、ただ形と色の、しかもそれが形のあるものに対してということではなくなっているということだと思います。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
峯委員 |
今の平野委員のお話で、審査を図面だけでなくて言葉による補充ということ、前回私が発言させていただきました。それとの関連なんですけれども、現行意匠法においては、定義の中に思想という言葉、文字はないんです。特許の方では技術的思想の創作だということで、「思想」ということがはっきり書いてある。ところが意匠の方は、「思想」ということもないし、「創作」だということも余りはっきり書かれていない。 |
大渕委員長 |
それでは、時間も押してまいりましたので、次の論点に移りたいと思います。先ほどの資料で言いますと14ページ以下、特に15ページ以下の意匠制度の類型ということで、非登録型から始まって、いろいろな海外の制度なども参考にしつつ、様々なバリエーションがあり得るわけであります。この点について、御質問、御意見をお願いいたします。 |
岡崎委員 |
14ページの大きな課題として、審査制度か無審査かという論点があろうと思います。先ほどタカラさんからもありましたように、無審査の一番いいところというのは、早く登録できるというところだと思います。ただ、現行の審査におきましては、FA期間を7.7カ月から6カ月に短縮しようとしています。それから、早期審査でしたらもう4カ月を切っています。それから、模倣が起こったらさらに早い期間で審査がなされると、そういうような現状になってきていると思います。さらに特許庁さんの方で努力されて、その期間をさらに短縮していこうと聞いております。こうなりましたら、先ほどの無審査は早く登録できるというメリットは、現行制度での審査制度でも、どんどん達成できていっているのではないかと思います。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんでしょうか。どうぞ。 |
山本(建)委員 |
今の御意見と若干逆の意見になるかもしれませんが、私は無審査登録制度について、まじめに検討すべきではないかというふうに考えております。その一つの理由としては、少し抽象的な言い方で恐縮ですが、今回のこの議論そのものが、日本のデザインをブランド確立のためにひとつ有効な手段であるということを認めて、それを産業界の貢献につなげようということで、「ブランド」という言葉も先回の議論から出てきたように思います。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
勝尾委員 |
非常に単純化した話をすれば、私はダブルトラックを真剣に検討すべきなんじゃないかと思います。現状の排他的独占権を与える意匠制度というのは、非常に多くの企業がメリットを感じていて、活用しているわけですね。ただ、一部の産業において使いにくい面があると。そういった産業に対して、例えば季節性の強いものであるとか、流行性の強いものであるとかに関しては、無審査登録型とかそういったものを新たに用意してあげる。そういうダブルトラックを真剣に検討するべきなんじゃないかと思います。 |
大渕委員長 |
どうぞ、峯委員。 |
峯委員 |
ダブルトラックが出ましたので、個人的意見ですが私もダブルトラック派としまして一言申し上げます。先ほど森山委員の方から、非常に使いにくいんだという話がありましたし、タカラの方からも、すべて出したいので、もっとたくさん出したいんだけれども、予算の関係で出せないという話もありました。ということは今の意匠制度というのが、かなり人によってはオーバースペックなのかもしれないし、あまり身近に使いやすいという形にはなっていない、これは間違いないことだろうと思います。これは弁理士として日常仕事をしていても、しばしば生じていることでもございます。 |
大渕委員長 |
森山委員どうぞ。 |
森山委員 |
無審査の御意見とダブルトラックの意見が出ましたが、いずれにしても無審査という制度が、その制度全体であれ、部分であって選択可能であれ、必要ではないかという意見というのはデザイン界に強いというふうに私も認識しております。 |
大渕委員長 |
平野委員どうぞ。 |
平野委員 |
非登録型なのか登録型、そして審査登録型なのかという、いろいろな論議があると思うんですが、現行法の中でもちろん、時間とお金というのが多分一番問題になっているんだなというのは、我々デザイナーとして全部デザインしたものを出すわけにはいかないぐらいに高い、それと時間がかかっているというのがあるわけです。 |
大渕委員長 |
どうぞ、菅井委員。 |
菅井委員 |
私は自動車工業会の代表として発言させて頂きます。先ほどの物品性のお話については全く異論がなかったので発言しませんでした、意匠制度自体に対して、先ほど意見もあったように権利の安定性については、工業製品の中でも非常にお高いものを結構長くつくり続けているという観点からすれば、安定性のある権利というのは非常に大事であると考えています。 |
大渕委員長 |
光主委員どうぞ。 |
光主委員 |
電子情報産業協会代表としての意見としましては、実体審査を入れた現在型の審査登録型を希望するというのは業界の意見でございます。この理由は、どういう立場で見るかによるんですが、やはり権利の安定性というのが今も出ましたが、もう一つは無審査にするといろんな人がメーカー等に権利行使してくるという懸念があります。要するに権利者の立場、事業を行なう立場によって考え方が全部違うと思います。この様な理由から実体審査の方が良いという理由の一つであります。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんか。水谷委員どうぞ。 |
水谷委員 |
今、無審査による登録という点が何人かの方から出ておりましたが、無審査の場合、登録までの期間が短いとか、あるいはコストが非常に安価で済むというメリットがありますが、権利行使の段階をどう処理していくのかという別の問題があると思うんです。まだ、そこまでの細かい話までしない方がいいんじゃないかと思っていたのですが、何かそういう雰囲気になってきたので少し申し上げたいと思いますが、この場合に、無審査ですから、本来の登録要件というか、登録に足る価値があるかどうかわからない状態で登録されている。登録の権利を得た方は、当然お墨付きを得たということで権利行使をしてくる。ところが権利行使を受ける側からすると、本来の審査を受けた権利なら、もちろん無効審判という方法はあるけれど、とりあえず有効な権利だろうな、というふうに受けとめられるだろう。しかし無審査登録だと、これは少し品のない言い方をすれば、海のものとも山のものとも知れないというような側面があることも否定できない。そういう権利の行使を受けた相手方は、どう対応するのかという問題が、仮に無審査型を考える場合の各論としてあるんだろうと思います。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
山本(建)委員 |
小さな質問でもよろしいでしょうか。前回のこの会で、係争になるのが年間約20件というふうにお聞きしました。係争ではなくて権力行使の件数、係争以外に…… |
花木審議室長 |
裁判事例ですか。 |
山本(建)委員 |
裁判事例ですね、になる前に権力行使の何らかのトラブルみたいなものというのは、係争以外にもあるんでしょうか。権力行使の数は、件数で言えば20件というふうに考えてよろしいんでしょうか。 |
花木審議室長 |
我々事務局としては、ちょっとそこはよくは……。 |
水谷委員 |
私は実務家ですけれど、20件裁判所で意匠関連の事件があるとすれば、少なく見積もってもその100倍、あるいはそれ以上あると考えていただいた方がいいと思います。控え目でも100倍ですね。特に意匠法の場合、いろんな方からおっしゃっておられるように、侵害であるのかないのかという予測性がはっきり言って余り高くないんですね。だから、裁判所まで持って行って、いざ黒白つけるかというところになると、攻める方も、守る方も結構ためらうんです。それは、例えば特許権行使をする場合に比べても、よりためらうんですね。そういうことがありますので、潜在的な部分というのは、特許係争の訴訟にならない潜在的部分がどのくらいあるかというのと比べても、意匠の潜在的部分の方が、別に統計があるわけではないんですが、実務家の感覚としては、ずっと倍数が多いというのが正直なところですね。 |
山本(建)委員 |
ありがとうございました。よくわかりました。 |
大渕委員長 |
茶園委員どうぞ。 |
茶園委員 |
ダブルトラックにするといったお話があったと思いますが、日本では既に不正競争防止法2条1項3号によって、非登録型は持っていると言えると思うのです。ですから、さらに意匠法自体をダブルトラックにしたら、結局トリプルトラックということにならざるを得ないと思うのです。そうであれば、例えば無審査登録制度を導入するとしますと、それは2条1項3号に比較して具体的にどういう違いえお持たせるのか、逆に言うと違わないものでは新たに設ける意味がないと思いますので、それをどうするのかと考えますと、保護期間を変えるということになるのか。そうなると制度全体として極めて複雑になってくるのではないかと思いますし、そもそも2条1項3号があるという状況で、審査登録制度を持ちつつ無審査登録制度をさらに追加するというのは、具体的にどういうメリットがあるのかという点が疑問です。ただ、先ほどタカラさんがおっしゃったように、例えば対中国関係とか模倣品対策ということで登録という事実が極めて重要であるということが実際にあるのだとしますと、そこには大きなメリットが認められるでしょうから、そういう場合にはかなり重複的なものになるのだけれども、無審査登録制度を新設するということに意味があるかなというように思います。 |
花木審議室長 |
茶園先生のおっしゃったとおり、20ページのところで、ダブルトラック型の意匠制度についてということで、資料の中で不正競争防止法との関係ということで、留意が必要ということであるかと思いますが、現状では今おっしゃったような内容と、あと水際の税関の差し止め効果があるかないかというところが不正競争防止法と意匠制度の大きな違いとして、実務上もかなり使われているということでございます。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんか。 |
花木審議室長 |
次回でございますが、既に御案内させていただいているかと思いますが、11月17日の10時半から、またその後年内でございますが、12月17日の10時半から予定しております。具体的な内容は、本日の御議論も踏まえまして、制度の大枠の議論をもう少し深掘りできるものがあるのかどうか、検討して御相談させていただきたいと思っております。 |
大渕委員長 |
それでは、以上をもちまして産業構造審議会知的財産政策部会第2回意匠制度小委員会を閉会させていただきます。本日も熱心な御議論をいただき、ありがとうございました。 |
[更新日 2004年11月29日]
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