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第3回意匠制度小委員会 議事要旨

11月17日(水曜日)10時30分~12時30分に、産業構造審議会 知的財産政策部会 第3回意匠制度小委員会(委員長:大渕哲也 東京大学法学部大学院法学政治学研究科教授)が開催された。

1. 審議内容

光主委員から資料2(意匠の類似範囲に関する事例紹介)、経済産業省経済産業政策局知的財産政策室から資料3(不正競争防止法等の改正について)、引き続き、事務局から資料1(意匠の登録要件と効力範囲の在り方について)に沿って説明した後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。

  • 物品の分野によって状況は異なり、一概に類似範囲が広い・狭いとはいえないのではないか。
  • 効力範囲の拡大よりも、類否判断の明確化が重要ではないか。そのために、審査資料の公開や、審査の判断根拠の明確化が必要ではないか。
  • 意匠制度は創作を保護する制度と捉え、請求の範囲を記載することとすれば、創作の同一性で判断すればよく、類似の概念は不要となるのではないか。
  • 権利拡大・明確化の議論の前提として、意匠法は何を保護するかをまず議論して明確にすべきではないか。創作の保護、ブランド価値の保護、模倣に対する保護のいずれであるのか。
  • 意匠の類否の判断主体やその手続の在り方も重要な論点ではないか。審査官が全ての出願を事前に審査することが望ましいのか、当事者間の攻防によって決する方法が良いのか、行政コストの配分にも考慮しながら検討すべきではないか。
  • 審査の段階で意匠の登録要件を適正に判断するためには、意匠の特徴点を明らかにして、出願人と審査官との認識を共有化することが必要ではないか。他方、権利者の視点からは、権利の明確化により第三者の回避が容易になるため、権利範囲を出願時に明確に記載することには消極的である。
  • 意匠権による保護の意義は、クリエイティブなものを作った者が保護されて、まねができなくなるということであるが、現行では少し変えれば別の意匠権となり模倣する者に対抗できていない。
  • 日本のデザイナーの資質を向上させ、すぐれたデザインの創造を促すためには、狭い意匠権の隙間を狙ってデザインするよりも、広い意匠権を前提にデザインできるような制度を構築すべきではないか。
  • 効力範囲に登録意匠から当業者が容易に創作できた範囲を含めることは、創作保護の観点からは、本来あるべき姿ではないか。同一又は類似物品に限られた効力範囲についても妥当なものか検討が必要。
  • 創作容易の範囲は、創作者が創作しなかった範囲であり、保護することは不適当ではないか。
  • 現実の創作者が事前に認知していたか否かに関わらず、その分野の常識に照らせば当然思いつく範囲を、創作容易の範囲として保護しても良いのではないか。
  • 創作容易と判断される標準的な手法のデータベースを整備すれば、新たに効力範囲に追加しても明確化できるのではないか。
  • 当業者から見た創作容易の判断を審査官が行うのは難しいのではないか。
  • 権利効力に創作容易の範囲を含める場合においても、類似の概念も長年運用してきており、なじみのある概念であるので、併存させるべきではないか。
  • 意匠出願をした後に、デザインの変更が行われることが多いが、最終製品デザイン、OEM展開したデザイン、マイナーチェンジしたデザインなどの実施デザインを後日に関連意匠として登録することができないことが問題ではないか。
  • 特許の場合、新規性・進歩性がない後日出願は同一人・他人の区別なく拒絶される。同一人による類似する後日出願の登録を意匠制度のみに認めるためには、制度趣旨において特許制度とは違うものであるという理由付けが必要ではないか。
  • 意匠権の効力範囲が拡大されれば、関連意匠の後日出願の登録を認める必要性はなくなるのではないか。
  • 完成製品にまつわる部品の意匠については、完成品に劣らない規模のビジネスに発展しており、模倣の被害も深刻であるため、部品の意匠については、権利が狭くてもすべて登録できるようにしてほしい。

2. 今後の審議スケジュール

第4回意匠制度小委員会は、12月17日(金曜日)に開催する予定。

[更新日 2004年11月29日]

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