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大渕委員長 |
おはようございます。それでは定刻となりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第4回意匠制度小委員会を開催いたします。 |
花木審議室長 |
お手元の資料を確認させていただきたいと思います。 |
大渕委員長 |
それでは早速、議題に入らせていただきます。 |
花木審議室長 |
それでは、資料1に基づきまして御説明させていただきたいと思います。 |
大渕委員長 |
丁寧な説明をありがとうございました。 |
山本(為)委員 |
私は途中で退室させていただきますので、先に意見を申し上げたい部分がございます。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんでしょうか、この最初の部分、ないしは、個別というよりは全体についての御意見等でも結構でございます。 |
菅井委員 |
特に大きな観点というよりは、今審査のあり方の中での無審査という方向が一つ出ておりましたけれども、この新しい意匠制度の中で保護するものにグラフィックシンボルですとか、アイコンというのが出てきているわけですけれども、無審査と言うと、何かすべてに無審査みたいなイメージをすごく強く持つと。例えば今回この拡大の検討をしているこういったものというのは、非常に先行技術なりをサーチするのも非常に大変だと私は思いますし、また工業製品という観点からいたしますと、変えるのは非常に容易という観点もあるかと思います。 |
大渕委員長 |
どうぞ、勝尾委員。 |
勝尾委員 |
今の御意見と重なるんですけれども、物品性はないかもしれないんですが、やはりインターフェースの部分のデザインというのが今非常に重要になってきていますので、その部分のデザインの保護のより強化というものをできるような方向で検討していただきたいなと思います。 |
大渕委員長 |
山本委員、どうぞ。 |
山本(建)委員 |
今の意見と同じなんですけれども、実際にデザインのソフトウェアを開発している場面で言いますと、例えば携帯電話の中に入っているアイコンは、一般的に3000種類ぐらいの「アイコンをデザイン」を起こしていっているわけですね。それが今のところ全然保護されていないということもありまして、何件か何とかしてほしいという意見は近い知り合いから聞いたことがございまして、大変な労力がそこにかかっているということで、そこも模倣もすごくしやすいところなんですが、今のところデザイナーのモラルというんでしょうか、そこで模倣をせずにオリジナルのアイコンを随時、ほとんど毎年のように起こしていっているというところがあります。ですから、そこの保護のことはかなりデザイン界のニーズとしては高いものと思われます。 |
大渕委員長 |
光主委員、どうぞ。 |
光主委員 |
今アイコンの話が出ましたけど、産業界として、アイコンそのものを保護するということについてはいろいろ懸念事項がございまして、基本的には著作物性の問題も含めて、意匠法の独占権として付与していいものだろうかという議論はあります。したがって、アイコン等については物品の定義に該当しないため、アイコンの物品はプログラムという理屈になると、また産業界は大変大きな問題になると思います。そこはやはり保護すると言っても、どのような法律、意匠法なのかどうなのかということも含めて、現在はっきり言ってアイコン等を含めた創作されたデータベースであれば、ある程度の著作物として保護されているという現状もありますので、そういう意味ではどういう形態で保護していくか、もう少し議論していただければと思います。 |
大渕委員長 |
平野委員、どうぞ。 |
平野委員 |
今産業界とおっしゃいましたけれども、じゃあデザイン産業界とすると、まさにアイコンとかグラフィックシンボル、それとインターフェースの部分が製品として流通しているわけですね。それを取引していますので、あくまでもそこの部分で何かの一部というわけではなくて、我々はそれを製品として流通していますので、ちょっと誤解がないようにしていただきたいというふうに思います。 |
光主委員 |
失礼しました。JEITAは電機製品等のものを製造しているメーカーの立場から言わせていただくと、そういう意見があるということでございます。 |
平野委員 |
その辺はよくわかります。 |
大渕委員長 |
山本委員、どうぞ。 |
山本(建)委員 |
インターフェースの中のアイコンではないかと思いますけど、かなり近い例としてはピクトグラムというのがありまして、著作権で保護されているところもありますけれども、例えば一製品として公共で使われるサインやピクトグラムを看板のような形に製品化したとします。それが例えば防災のピクトグラムという、今京都大学等と一緒にたくさん開発されておりますけれども、それは全部オリジナルデザインで、もう数千のピクトグラムが今開発されていますけれども、それは個人の独占的な使用ということにしてしまうと公共性を持たなくなってしまうので、やはり共通のピクトグラができれば、世界的に使用されるべきだということから、もうネット上にすべて公開されておりまして、独占的な使用は、もうだれもできないような形にとっていっている。だから、公共的な使用というところで全部権利を発生させないという逆の側面も、このアイコンとかピクトグラムというのは持っているのではないかなと思います。 |
大渕委員長 |
平野委員、どうぞ。 |
平野委員 |
今の話は私大賛成で、例えばISOとかJISとか、いろんな産業界というのか、一部の産業界かもしれませんけど、共通でいろいろ持つというものがあってもいいんじゃないかなというのはあると思うんです。それが日本国内から国際的にやっていくのであれば、これはまさに日本発のスタンダードというのがまた外に出て行くのかもしれませんので、その辺はぜひ業界内で真剣に取り組んで、お互いに著作権なり意匠権に触れないものとして育っていくという新しい戦略的な話というのがあるというふうに私は思うので、そういう対応と、逆にオリジナリティーが強いものに対しては保護していくような、そういううまい方法があるのではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。 |
大渕委員長 |
今の点に関連してでも、あるいはその他の点でも結構ですが、いかがでしょうか。この1.の点に関しまして御意見、御質問等お願いいたします。 |
牧野委員 |
アイコン等の画面デザインの保護について、私は絶対に必要であると思っておりますが、これを意匠法で保護すべきかどうかという点で、まだ若干議論があるように思います。その関係で、平面的な形態でも不正競争防止法2条1項3号で保護ができるのではないかという意見があったと思いますけれども、現在行われている不競法の見直しの検討において、画面デザインを同法において保護する方向に動いているのかどうかということを教えていただきたいと思います。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
花木審議室長 |
不正競争防止法の改正案におきましては、今御指摘の2条1項3号についても若干改正するというふうに聞いておりますが、具体的な内容は、いわゆる他人の商品の形態を模倣した商品のこの模倣ということについて定義を設けるということで、同一または実質的同一を模倣というという、その定義規定を設けるのみというふうに聞いておりまして、具体的に今先生の御指摘のあったような、グラフィックデザインがこの中に含まれるかどうかについて、明らかにするような改正には必ずしもなっていないのかなというふうに思っております。 |
牧野委員 |
そうしますと、今回意匠法の改正を考えるに当たって、画面デザインの保護は、意匠法の枠内で考えていくべき課題であるという認識でおられると見てよろしいのでしょうか。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
花木審議室長 |
御指摘のとおりでございまして、第2回でも御議論いただいたときに、EUの意匠法におきましては、こうしたものが意匠法として保護されているというふうに思っておりまして、そういう観点からすると意匠法で保護するということも十分あり得るのではないか。ただ、いろいろな問題点があるというのは御指摘のとおりだと思いますので、具体的にどういう形が考えられるのかということについては、これからじっくり御議論いただく必要があるかと思いますが、方向性としては、そういうことで考えられないだろうかどうかということを提案させていただいているということでございます。 |
牧野委員 |
もう一点お聞きしたいと思います。画面デザインのような有体物でない製品について意匠法で保護するということになりますと、意匠の実施の規定に、電気通信回線を通じた提供という、特許法にも入りました実施概念を取り込む必要が出てくるのではないかと思いますが、そのあたりの検討もいずれされるというふうに考えてよろしいのでしょうか。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
花木審議室長 |
いろいろな論点が出てくるかと思いますが、まだ現在の段階で、どの範囲に影響が及ぶのかといったところまできっちりした議論は我々の中でもできておりませんので、その点も含めて全体像、具体案を今後また議論いただいて、そのときに関連して必要になる手当てについても御審議いただけたらと思っているところでございます。 |
牧野委員 |
ありがとうございました。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんでしょうか。水谷委員、どうぞ。 |
水谷委員 |
ただいまの議論に関連して申し上げます。現行の意匠法でも38条という間接侵害の規定がございますが、この38条の範囲で言うと、プログラム等の提供が意匠権との関係で間接侵害になることがあり得るということ、これがはっきり書かれております。今問題になっている画面デザインというのは、ウェブサイトから有料で購入するアイコンデザインとかアイコンデータ、こういうものを想定していると思うんです。ここで、そうではなくて、例えば携帯電話について、画面デザインを意匠登録することは現在でも可能だと思うんですけれども、そういう時に、携帯電話会社に対してアイコンデザインを、プログラムないしはデータとして提供する独立の事業者さんがいらっしゃるとすると、そういう方に対しては、38条の要件が満たされていれば、現行法でも意匠権侵害、これは直接侵害ではなくて間接侵害ということになるかと思いますが、権利行使が可能なわけですね。ですから、今なさっている議論というのは、無から有を生ずるという話よりは、むしろ階段の踊り場ぐらいまではもう制度ができている、2階まで上がっていくのかどうかというような、そういう議論なんだろうというふうに認識しておりますので、そこも十分考慮する必要があるのではないかというふうに考えます。 |
大渕委員長 |
茶園委員、どうぞ。 |
茶園委員 |
情報技術のデザイン創作が活発化していて、しかし現在それを明確に保護する法制度がないので、意匠法で保護する必要があるかどうかを検討するというのは理解できますが、注意すべきは保護される対象がどのようなものかです。例えばグラフィックシンボルとかアイコンというのは、一つの画面にあるものと思うのですが、そういうものであれば、単に一つの画面にあるそれを願書に添付してそれを保護対象にすることは、意匠の定義なりを変えれば、また実施概念をある程度手直しすれば可能ではないかと思うのですが、私の理解が間違っているのかもしれませんが、聞いたところでは、情報技術のデザインにおいてはむしろ移り変わりという、ある画面からある画面への遷移が非常に重視されて、そのような観点からデザインが創作されているようでして、そういう遷移のところを保護する必要があり、そこを保護してもらいたいというニーズがあるのであれば、意匠法で的確に対応できるのか、そもそもどのように保護対象を確定させるのか、確定させたとして、それをきちんと審査できるのか、という問題を考える必要があります。意匠法がこのようなデザインの保護になじまないということをいっているのではありませんで、そもそも保護される対象というのが、今までの物品デザインとはかなり異なる性格のもの、有体物ではないというのみならずそれ以外にも物品デザインとは違った性格があると思いますので、このような問題を含めて、意匠法で対応するのか、あるいは別のところでやるべきなのかということを検討していただきたいと思います。 |
大渕委員長 |
峯委員、どうぞ。 |
峯委員 |
今の茶園委員の話にもつながるかなと思うんですけれども、このグラフィックシンボル等々、これを保護するということは、まずそれは物品と全く関係ないという、すごく特殊なもののわけですよね。携帯電話でもいいし、コンピュータでもいいし、あるいはもしかしたら洗濯機であるとか冷蔵庫といったものでもいいかもしれない。それが使われる場所というのは幾らでも考えられる。とすると、このグラフィックシンボルを保護してくれというときには、携帯電話のグラフィックシンボルという特定の仕方にはならないと思うんです。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんでしょうか。 |
岡崎委員 |
無審査と事前審査のダブルトラックの案に出てきております。私ども無審査制度をどう考えるかということで知財協意匠委員会の中でも議論致しました。先ほど御説明もありましたように、無審査のメリットとしまして、早さ、安さがあることを御指摘されたと思います。その早さについてですが、世界の無審査国、例えば欧州でも、中国でも、無審査といえども6カ月ぐらい公報が出るまでにかかっています。日本の制度では、早期審査では3カ月を切る勢いになってきていますので、世界の水準から見れば、審査しても結構早いスピードで登録されているという状況だと思います。今後、特許庁さんの努力で、この3カ月がもっと早くなるというところも期待できるのではないかと思います。 |
大渕委員長 |
森山委員、どうぞ。 |
森山委員 |
今の御発言に関してなんですけれども、無審査制をどの範囲であれ、導入することと、今の制度の上での審査のスピードということが問題にされていますが、そのスピードの観点だけではないというのが今までの議論だったのではないかと思います。無審査に関しては。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんでしょうか。茶園委員、どうぞ。 |
茶園委員 |
私はもしこの無審査制度を導入するとしますと、それを実際にユーザー、産業界がどのように利用することになるかが明確に分からないのですけれども、このペーパーの問題の所在で書かれておる審査制度の下でのニーズというのは審査制度においては安心して意匠を使えるということで、それは、意匠権者が自己の意匠権を他人に対して行使するというよりも、登録を受けていれば意匠を使って安心で、他人の権利を侵害しないということでしょう。実は必ずしもそう言えないと思うのですけれども、それはともかく、審査されることによって安心感を得るというのが、審査制度の下でのニーズであろうと思います。 |
大渕委員長 |
平野委員、どうぞ。 |
平野委員 |
ちょっとお聞きしたいのは、今あるデザイン保護協会の意匠寄託制度みたいなものとの関係というのは、どういう感じで考えられているんでしょうか。その辺もうちょっと説明いただけたらなと。ある意味で中小企業デザイナーのというところで、本来デザイン保護協会の制度という何かつくったような気がしていたものですから、その辺をよろしくお願いします。 |
花木審議室長 |
意匠の寄託制度のような制度だと思うんですけれども、それとの整理をどうするかということについて、まだ我々の方で成案を持っているわけではありません。むしろこういういろんな要請がある中で、ダブルトラックというのも一つの選択肢ではないか。そういう意味では導入の要否も含めてということですので、必ずしもダブルトラックに限定した議論でもないんですが、ただ、いろんなニーズがあってそれに対して現在、意匠法が必ずしもこたえ切れていない面があるということは一つ事実だと思いますので、そうだとすると法制的に考えられる、より柔軟な仕組み、それは完全に並立させるのか、あるいは前段階で少しフワッとしたような登録にしておいて、それを一定のニーズがある場合はしっかりした権利に移行するとか、いろんなパターンが事実上は考えられると思いますので、その辺について大枠を議論していただいた上で、今先生御指摘のあった寄託制度とのすみ分けも含めて具体案を早急に提示させていただいて、それをもとに御議論いただきたいと思っております。 |
大渕委員長 |
峯委員、どうぞ。 |
峯委員 |
ここでダブルトラックというものが提言されていて、今茶園委員の方から、乗り換えということについての御発言がありましたけれども、例えばダブルトラックを採用して乗り換えを認めるというようになった場合、前のページの検討1.の話になるんですけれども、検討の留意点、3ページですか、そこで願書記載等々が複雑化、煩雑化しないように配慮する、あるいは審査が長期化することがないように配慮するということがありますけれども、この辺の配慮の仕方が幾らか変わってくる可能性もあるのではないかというように思いますので、ちょっと指摘させていただきます。 |
大渕委員長 |
ほかにございませんでしょうか。菅井委員、どうぞ。 |
菅井委員 |
先ほど無審査の話のときに、アイコンのようなものという言い方をして、基本的には先ほどJIPAさんの方からもありましたように、私どもの業界も当然これは権利の安定性が大前提でございまして、ただし、それは業界だけ、比較的広いとは思っておりますけれども、そういう業界だけのニーズでの安定性なのかなということで、例えて言うならばああいったものという言い方と、それから、結果的にこれを選択するのは出願人であるということですね。権利行使するのも出願人であるわけなので、何を選択するかというのは業界によって縛るわけに当然いかないわけですね。基本的には私どもの業界も、当然これは権利の安定性は大前提であるという観点でおります。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんでしょうか。森山委員、どうぞ。 |
森山委員 |
今の御発言に関連して少し申し上げたいと思います。今意匠制度を非常によく利用している業界の中で、今の審査制度、無審査と並列、あるいは無審査制度にしたいと強く要求している業界はどこかというお問いかけのように一面思うんですけれども、問題はそういう面だけではなくて、つまり、これだけデザインの開発数の多い日本において、意匠出願数が暫減傾向にあるというような中で、この制度を利用していない業界、あるいは利用しにくいデザイナー個人ですとか、そういうことも加味すべきであって、今参加しているところが、どこが強く無審査に、ダブルトラックにしろと言っているようには、必ずしもそういう議論ではなかろうというのが一つですね。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんでしょうか。 |
峯委員 |
1点確認というか質問なんですが、5ページの対応の方向性の(2)です。ここの中で、効力範囲を拡大する方法としてという一案が提示されておりますけれども、この中には、類似概念をやめるということも含めたものというふうに理解してよろしいでしょうか。 |
花木審議室長 |
ここで書かせていただいておりますのは、類似だけでなく、さらにということですので、類似に加えてということで書かせていただいております。 |
峯委員 |
要はここでは、効力を拡大する方策を検討しましょうという意味合いで理解してよろしいでしょうか。 |
花木審議室長 |
はい、そういう意味合いで書かせていただきました。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんか。勝尾委員、どうぞ。 |
勝尾委員 |
分類とか分野をまたいでというか、超えて全く違う分類、分野で似たような意匠が出てきたときに、というかほとんど模倣したような類似のものが出てきたときに、きっちりそれが保護されてはいないと思うんですけれども、そのあたりをどう考えていくか、あるいはきっちり保護すべきだと思うんですけれども、そういう方向性で議論をしていただければなと思うんですけれども。 |
大渕委員長 |
峯委員、どうぞ。 |
峯委員 |
6ページにあります留意点の(4)なんですけれども、ここで、権利が明確化されるとこういう弊害もあるのかなということが書かれていますが、これは権利明確化と権利、まあ第三者がどこまで自由に使えるか、これは裏腹の関係にあるわけですが、意匠に限ってこういう問題、検討の留意点を提言された理由はどこにおありなのかと思うんですけれども。 |
花木審議室長 |
これは論点の整理でございますので、意匠の定義、効力範囲については第3回の審議会で御議論いただいたので、その中でそういうような御懸念もあるという御指摘があったかと思いますので、書かせていただいているということです。 |
峯委員 |
わかりました。 |
大渕委員長 |
茶園委員、どうぞ。 |
茶園委員 |
これは第3回の委員会で議論されたときに、申し上げなかったことなのですけれども、例えば5ページの(2)で保護範囲を拡大するということが書かれています。効力範囲については、狭いという問題と不明確だという問題があり、これは狭いという問題に対応するという方向性を示すものと思います。また意匠が何を保護するかという問題に関わることなのですが、ここで示されているのは、恐らく創作という観点から、現行の登録要件を定めている3条を参考にして、効力範囲を通常知識を有する者が容易に創作できたという範囲まで拡大、追加するということだと思います。しかし、拡大する、明確性を伴いつつ拡大するというやり方は、恐らくこれに限られないと思います。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんか。菅井委員、どうぞ。 |
菅井委員 |
これも以前にもちょっとお話した、まあ簡単な話でございまして、実際に登録する際の物品の領域と、それから効力が及ぶときの物品の範囲、これをもう少し自由に――自由にというのを簡単に言いますと、車の場合は、おもちゃの車がいっぱい出ますと。それがライセンスを正当に受けているところとそうじゃないところみたいなところに、我々もじゃあおもちゃを全部出そうかというようなことが、実際には今出しているわけですけれども、そういったものがもう少し、例えば1件の中で物品を指定できるというスタイルにもう少しやりやすいようにしていただくといいかなと。ここは細かい話ですけれども、一度お話させていただいたので確認の意味で発言させていただきました。 |
大渕委員長 |
峯委員、どうぞ。 |
峯委員 |
今の菅井委員の話に関連するんですけれども、意匠の定義を検討されるということになっていますけれども、その中で、第1回で私発言させてもらいましたけれども、意匠は思想なんだというようなところ、それを明確化するかどうかというような検討事項、あるいは一意匠というのは何なんだというようなことの検討事項、そういったところも今後の検討にぜひテーマとして入れていただきたいというふうに思います。 |
大渕委員長 |
牧野委員、どうぞ。 |
牧野委員 |
特に新しい意見というわけではありませんが、今までに各委員がおっしゃった点を含めて、意匠の登録要件と効力範囲を明確化、かつ特に効力範囲の拡大という点について、御意見の報告書案のまとめ方は、全体としてこれでよいと思っております。ただ、それを具体化するのはなかなか御苦労なことであろうと思います。今後の御検討の進展を期待しております。 |
大渕委員長 |
ほかにございませんか。山本委員、どうぞ。 |
山本(建)委員 |
今回の論点の整理の内容とは少しずれる、意見ではございませんで、質問なんですけれども、よろしいでしょうか。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
山本(建)委員 |
先ほどライセンスという言葉が少し出てきていましたので、ちょっとかねてより気になったことを教えていただきたいと思うんですけれども、意匠登録をとったからといってその権利でビジネスを起こすと、その権利そのものでそれで製品化すればビジネスになるわけですけれども、要するにライセンスでデザインビジネスを行っていけるとか、特許で食べていっているような人ですけれども、そういうことが意匠法的には難しいということを聞いたことがありまして、制限されているのか、禁じられているのか、その辺をまず教えていただきたいんですが。意匠権のライセンシーなんでしょうか。 |
平野委員 |
今の話ですが、実際、我々意匠をとってロイヤリティーをもらっているケースがありますので、決して禁じられているとは思いません。禁じられているとすると、我々は違反をしているという感じになってしまいますので。 |
山本(建)委員 |
ある企業のデザイナーの方から聞いたんですけれども、他社が取られている小さな意匠登録が引っかかってデザインが壁にぶち当たる。我々は違うところに行きたいんだけれども、経営的にはその類似的なところの隘路の中にデザインを出して、突破しないと行けないという状況がある。そういうときにデザイン部からの意見としては、他社のその意匠登録を買ってしまえと、お金を払って使わせてもらえというようなことをやりたいんだけれども、意匠法ではどうもできないということを少しこの間ヒアリングで聞いたものですから。うそですか、それは。 |
平野委員 |
意匠法ではなくて、多分企業対企業の問題として、やらないんじゃないかなという気がするんです。本来だと、何かそういう使わない意匠をマーケット的に出してお互いに流通するというのも、意匠法がしっかりしたり権利がしっかりしていけば、できるものではないかというふうに私は思いますし、それがデザインの流通とか産業の活性につながるなら、どんどんやることだろうなというふうに思っているんです。 |
山本(建)委員 |
ありがとうございました。 |
平野委員 |
すみません、私が答えてよかったのか。 |
山本(建)委員 |
そんなお答えを聞きたかったものですから。ありがとうございます。 |
大渕委員長 |
菅井委員、どうぞ。 |
菅井委員 |
ちょっと誤解を招く発言だったかもしれませんが、基本的に車メーカーでいきますと、完成車の意匠はまずライセンスのやりとりはしないですね。先ほど申したのは物品が違う領域の話でございまして、ここは業が競合しないということで、商売のライバルにはならないところという前提でお話をさせていただいたつもりでおります。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんか。 |
岡崎委員 |
その他の項目で、検討項目として追加していただきたい事項が2点ございます。1点目は、秘密意匠制度でございます。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたかございませんか。 |
花木審議室長 |
本日御議論いただきました事項につきましては、追加的な論点も含め幾つかいただきました。定義のところについては、具体的にどのようなところまで拡大するのかとか、ほかの法律との関係等の御意見もあったかと思いますし、それから、特に審査制度の枠組みにつきましては、無審査と言ってもいろいろとイメージするものが多様でございますので、どのような無審査制度が考えられるのか、その具体論を出させていただく必要があると思っております。 |
大渕委員長 |
御質問等ございませんか。 |
大渕委員長 |
それでは、本日の前半部分というか、審議事項の第1の大きな柱についての御審議はとりあえず以上といたしまして、それでは本日の審議事項の第2の関係に移ってまいりたいと思います。 |
花木審議室長 |
資料2、3、4につきまして御紹介させていただきます。 |
大渕委員長 |
ありがとうございました。 |
菅井委員 |
一つだけ、税関における意匠権侵害の物品外しというところに、この冒頭のところに、「取り外すことにより通関する脱法行為」というふうな記載があるわけですけれども、これは脱法行為なのであろうかと。別に私が輸入業者でも当然ないわけですけれども、脱法行為であれば、外すことを認めてほしくないということですね。実際には、外さない状態では侵害品は形成していると。意匠ですから外観でわかるというような場合に、外せば問題がなくなるということ自体が、やはり我々税関で抑えていただきたい側として、そこでなぜとめられないのかというのが一番。これ実際に私どもの業界でもそれほど多くはないんですが、私どもの会社では実際に例があって、外して、その外したカバーだったんですけど、それを外せば確かに全体意匠からは変わってしまう。ただ、これは復帰は容易であろうというふうに我々は思うんですが、しかしながら、全体意匠からすれば意匠侵害を構成しなくなってしまう。それも事実である。それで通関されてしまった。 |
大渕委員長 |
ほかにどなたか。峯委員、どうぞ。 |
峯委員 |
菅井委員にちょっと教えていただきたいんですけれども、今事案があるよというお話なんですけれども、そういう事案というのは、いわゆる間接侵害の規定を適用しても対応できないような事案なんでしょうか。 |
菅井委員 |
バイクでございまして、バイクの場合は外板がプラスチックで大体できているので、プラスチックの外板を取り外すとドンガラになってしまうわけですね。そのドンガラを間接侵害で例えば、どういう状態になったかということがその当時はわからなかったというのも、我々権利者としては手の打ちようがなかったということもあるわけですけれども、その外した状態を判断するのは、もう税関の方しかわかってないわけですから、結果的には意見を言う場がなかった時期の話でございます。外したのを見て、いやこれも復帰可能であろうというような意見が言えるような状態ではないときに、税関の方が判断して通関させたということのようなので、その後がちょっと追いかけ切れなかった、そういう状態があったということです。 |
大渕委員長 |
平野委員、どうぞ。 |
平野委員 |
損害賠償制度の強化のところの話なんですが、我々の組合の中には、フリーランスのデザイナーとして意匠、デザインをして、それをメーカーに譲渡するということで対価を得ているということが一番多い流れですが、そのときにメーカーとの契約で、この委員会で話すことなのかどうかちょっとわからないんですが、メーカーの方から、何か知的財産権とか意匠権その他のすべての権利の中での紛争なり、あとは後で第三者との問題、損害賠償請求、その他の問題があったときは、製作者、要するにフリーランスデザナーが一切の責任を負うようにという契約を強いられるということが多いみたいですね。その辺というのはどういうふうに。強化していただくのはありがたいし、万が一違反したときに、大体そうなると、何件かあるんですが、フリーランスデザイナーはもちろんつぶれちゃうんですね。当然対価も払えない、係争するお金もないというような状況があるんですが、その辺というのは、制度ができればそれをどうやって運用するかになってしまうのかもしれませんが、その辺というのは何か話されていることはあるんでしょうか。製作者とそれを買ったメーカー、それとその後に起こった紛争ということになると思いますが。 |
花木審議室長 |
ここで書いていることは、侵害等が起きたときにその損害賠償の責任をどうとるかということですので、今おっしゃったような事例で、有利な立場から契約の内容で過度な押しつけ的な責任を負わせるというのは、むしろ独禁法とかそういった部分の問題に関係するかどうかというような議論なのではないかなと思います。ちょっと印象論になってしまうんですけれども。この意匠法の中で何か損害賠償に関して、現在では損害賠償が十分なされないことについて、法律上担保する必要があるかどうかということについてお聞きしたいということを考えているんですけれども。 |
平野委員 |
多分そうだろうと思っているんですが、そのときに現状の説明の中に、「意匠権者又は専用実施権者」というふうに書いてあるんですが、譲渡してしまいますので、すべて権利を譲渡するという契約に片やなっているわけですね。そして、そのときの意匠権者、専用実施権者というのは、譲渡された側ということで読んでよろしいんですか。 |
花木審議室長 |
意匠権は譲渡しているのであれば、譲渡された側が侵害されたときということになります。 |
平野委員 |
そうすると今の契約条項の中の話というのは、ちょっと矛盾があるというふうに理解してもいいんでしょうか。ここの論議じゃないかもしれませんね、それは。 |
花木審議室長 |
恐らく権利自体はもう移転しているわけですから、実際に侵害する方というのは、そちらの権利を持っている方であって、デザイナーの方は直接の関係はないと思うんです。ただし、その場合、さらに権利を持っている方がもともと権利をもらうときに、どういう条件で権利をもらうかというのは民法の契約上の問題なのではないか。その契約の条件が正当なのかどうかという、一般的にはしたがって契約の問題だというふうに思われますし、さらに契約の条件について、仮に一方に過度に有利な契約をその立場を押しつけて使ったかどうか、そういう問題ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 |
平野委員 |
ありがとうございました。 |
大渕委員長 |
ほかにございませんか。岡崎委員、どうぞ。 |
岡崎委員 |
損害賠償の論点の |
花木審議室長 |
これは法制的には恐らく日本法では非常に難しいのではないかと思っておりますし、その点について何か事情が変わったということもないと思うんですが、ニーズとしてそういうもののニーズがあるのかどうか、さらにそのニーズがあったとしても、じゃあそれが法制的にどうなのかというのは、また別の論点かなというふうに思っております。そういうことで書かせていただいているわけでございます。 |
岡崎委員 |
わかりました。 |
大渕委員長 |
ほかにございませんか。水谷委員、どうぞ。 |
水谷委員 |
ちょっと前後しますけど、先ほど菅井委員がおっしゃっていた税関での手続のことですけれども、先ほどのオートバイの例で、実際には外側の覆いの外装を外して、機械部分のドンガラだけで輸入してくると。当然その登録されている意匠は、それに外装をつけた、いわゆる完成品の状態で登録されていると思いますので、ドンガラだけで言えば、意匠権を侵害することはない。 |
花木審議室長 |
まさに水谷先生のおっしゃったことを念頭に置いているわけでございまして、ただ我々の方で、ちょっと今直ちにデータがないんですけれども、税関さんの方からもお話を聞いているんですが、まずこうした間接侵害というか、部分品取り外しについては、商標が件数的に多くて意匠については比較的少ないのではないかという点と、それから、実際に先ほど菅井委員がおっしゃったような部分品取り外しで通関を認める、いわゆる輸入者による自発的処理を認めて通関した事例というのが、全件数のうちの少なくとも件数ベースでは0.2%程度であって、残りの99.8%については何らかの形でとめていますというふうに聞いています。 |
大渕委員長 |
ほかにございませんか。森山委員、どうぞ。 |
森山委員 |
もし4の議論が終わられましたらば、すべての閉会の前にちょっと、2に戻って一言付け加えたいことがありますので。 |
大渕委員長 |
わかりました。 |
森山委員 |
ありがとうございます。6月までもはや会議はないということなので一言申し上げたいんですが、今申し上げるのが適切かどうか、今ごろと思われるかもしれませんが、意匠法という名称についてなんです。これは戦後大体50年ぐらいで、あらゆる企業及びデザイン系大学等でも、「意匠」という名前が恐らく絶滅したかのように私はちょっと認識しております。私個人は「意匠」という名前に非常に強い、その2文字については愛着があるんですけれども、ついに意匠法で言うところの意匠という意味が、この日本で定着しなかった。考えてみますと、「特許」という名称も実は非常に不思議な名称なのですが、つまり内容を言わずに特に許すと。しかしながら、特許法で言うところの「特許」という名前は、日本で同一のものとして認識され、定着されているんですが、意匠についてはちょっとそういう事情ではないような気がするんですね。ですから、もし何かそのおつもりがあれば、意匠法、21世紀は「意匠法」でよろしいのかどうかも御検討なされたらいかがかと。繰り返しますが、私は「意匠」という名前は好きなのでございますけれども、意匠法とは少し違うかもしれない。 |
大渕委員長 |
どうぞ。 |
花木審議室長 |
今回、意匠の対象定義のところも議論していただくということで、対象が広がった場合に、それが「意匠」という名前が適当かどうかということもあるかと思いますので、論点に加えさせていただければと思います。 |
大渕委員長 |
ほかにございますか。 |
花木審議室長 |
それでは、先ほども御説明させていただきましたとおり、この論点の中間整理については、本日もさまざまな追加的な論点をいただきましたので、そちらについて我々の方で付記させていただいた上で、各委員の御確認をいただいた上で一つの整理とさせていただきたいと思います。 |
大渕委員長 |
何か御質問等ございますか。 |
[更新日 2005年2月25日]
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