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第8回意匠制度小委員会 議事要旨

12月5日(月曜日)14時00分~15時45分に、産業構造審議会 知的財産政策部会 第8回意匠制度小委員会(委員長:大渕哲也 東京大学法学部大学院法学政治学研究科教授)が開催された。

1.審議内容

事務局から資料1に沿って、権利侵害行為への「輸出」の追加、無審査登録制度の導入によるダブルトラック化について、関連意匠制度の見直し、秘密意匠制度の見直しについて及び意匠権の存続期間の延長に伴う登録料の見直しについて説明した後、それぞれ自由討議を行ったところ、委員からの意見は以下のとおり。

(1)権利侵害行為への「輸出」の追加

  • 輸出の解釈として、国外の者へ向けて譲渡等を行うという広義の輸出と、国内から国外へ貨物を搬出するという狭義の輸出があり、国外の者への譲渡を伴う行為として輸出を捉えた場合、今回の方向性は明確化することとなり、国外への搬出行為と捉えた場合は創設的なものとなると考えられるのではないか。
  • 属地主義との関係を考慮すると、損害賠償の対象としては、国外のマーケットにおける損害は含まず、あくまで国内のマーケットにおける損害が該当するのではないか。
  • 日本における譲渡等の一連の侵害行為の最終段階として輸出を規定する必要性があるとのことだが、同様な観点から通過を止めるという解釈が成り立ち得るのか。
  • 産業財産権法としては、陸揚げ説をとり、保税地域に入ったことでも輸入と解釈し得るのではないか。
  • 税関において差止める際にどのような手続となるかによって、実効性に大きな差異が生ずるのではないか。
  • 輸出や通過については、39条の損害額の推定規定は適用し得るのか。国境をまたがった譲渡に対しては、必ずしも適用できるとは限らないのではないか。

(2)無審査登録制度の導入によるダブルトラック化について

  • ダブルトラック化を見送るという案は結構だと思う。審査されることに意義があるのであって、無審査の権利では、意匠権それ自体の意味が希薄化するのではないか。早期権利化は、制度対応によらずとも他にいろいろ知恵を出すことでできるのではないか。
  • 権利の安定性を最重視しているため、今の方向性に賛成である。
  • 対応の方向に賛成である。官民合同ミッションによりアジア諸国に審査制度の導入を働きかけていることからも、我が国は審査を維持すべきではないか。無審査制度が受け入れられるには、ヨーロッパのように真似をすることが恥であるといったモラルが根付いている必要があり、我が国に導入するには時期尚早ではないか。
  • 無審査制度導入を見送る結論に異論はないが、将来の検討のためにも、メリットとデメリットを詳細に整理した上で結論を導くべきではないか。また、時期尚早である理由として挙げられているデータベースが未整備であることについては、特に、新規性の判断に重要となる、公報以外のデータ整備がなされていないことが大きな問題ではないか。

(3)関連意匠制度の見直し

  • 関連意匠制度における権利の拡張機能については、一定の範囲で関連意匠の登録を拡大する一方、権利の確認機能については、判定制度や意見照会を活用するという提案がされているが、それらの確認手段にどれだけ法的効力があるのか。巧妙に意匠を変化させた模倣品の場合など、すぐに差止めの判断がなされないこともあるため、真似されてはもう遅いと考えている。したがって、関連意匠の公示機能により第三者に対し牽制できることが重要ではないか。また、判定の結果類似しないと結論されたときに登録へ移行できるような機能も検討してもらいたい。
  • デザインのブランディング活動の保護が重要であるため、関連意匠が出願できる期間を経過した後には、意匠の類否の簡便な確認ができ、その結果が公示される制度を検討してもらいたい。
  • 本意匠が秘密意匠であった場合、商品がまだ公に出ていないのであれば、図面入りの公報が出るまで関連意匠の出願が認められても良いのではないか。
  • 本意匠の公報発行までの期間に関連意匠の追加出願ができることは、わかりやすい。一度に全てのバリエーションを出願できないときに後で見直しができるので良い制度だと思う。

(4)意匠権の存続期間の延長に伴う登録料の見直しについて

  • 市場に投じたデザインの中には、長く続くものやリバイバルされるものがあるため、意匠権の存続期間は20年にこだわる必要はなく、たとえ高い料金を支払っても長期間の保護を求める者に対してはその手段を設けるということに意義があるのではないか。
  • デザインは技術と違い、他人を真似なければならない必然性はないのであって、商標の更新制度のように、更に長期保護が可能となることが望ましい。その際の料金は安い方が良い。
  • ブランド化する意匠があるため、権利期間は長ければ長いほどよい。その際に多数の権利を保有する企業も出てくるため、料金は安い方が良い。
  • ブランドの観点から意匠の保護を考えるのであれば、技術とも標識とも異なる意匠特有の価値概念を確立した上で制度設計をする必要があるのではないか。だからといって徒に権利期間を延長すれば良いというものでもない。

2.今後の予定

次回、第9回小委員会を12月20日(火曜日)、第10回小委員会を来年1月30日(月曜日)に開催する予定。

[更新日 2005年12月12日]

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