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第13回意匠制度小委員会 議事要旨

平成23年3月

経済産業省

2月4日(金曜日)12時30分~14時00分に開催された、産業構造審議会 知的財産政策部会 第13回意匠制度小委員会(委員長:大渕 哲也 東京大学大学院 法学政治学研究科教授)について、概要は以下のとおり。

1.特許法改正検討項目の意匠法への波及等について

資料2「『特許法改正検討項目の意匠法への波及等について(案)』に寄せられた御意見の概要と御意見に対する考え方」に沿って事務局から説明を行った上で、資料1「特許法改正検討項目の意匠法への波及等について(案)」に示された方向性で了承された。

2.今後の意匠制度の見直しについて

資料3「今後の意匠制度の見直しについて」に沿って事務局から説明を行い、審査基準・運用の見直しについては、意匠制度小委員会の下部組織である意匠審査基準ワーキンググループにて検討を行うこと、及び意匠制度の見直しについては、本小委員会にて継続して議論を行うことが了承された。なお、事務局からの説明に対し、委員から出された意見の概要は、以下のとおり。

(1) 意匠制度について寄せられている意見について

<デジタル化社会の進展にともない開発が拡大・活発化している画面デザインの保護についての意見について>

  • 意匠は画像を物品と結びつけた形でしか保護できておらず、適切な保護が少し遅れている。
  • 「画面デザインのニーズに合った適切な保護」については、方向はよいが、モノを離れての保護ではなく、各分野に応じてモノの概念を広げるという方向で検討すべき。物品ごとに柔軟に制度を設計することも検討すべき。
  • 画面デザインについては、保護要件を明確にすることは必要であるし、検討のニーズはある。明確化にともなって権利範囲はどうなるのか、創作の自由度はどうなるのか、権利のクリアランスはどうなるのか、について関心がある。

<デザイン保護を望むユーザーが利用しやすい制度への意見について>

零細企業であるデザイン事務所としては、料金の引下げは大変ありがたいし、現行の意匠登録出願による権利化以外に何らかの保護を受けることができることを望む。

<多様化するデザイン保護ニーズに合致した制度への意見について>

  • 関連意匠の出願可能期間が製品の改良やマイナーチェンジのデザインを市場に投入する時期とあっていないため、十分な保護を受けることができず、関連意匠制度がうまく機能していない。市場での反応を確認する上でも関連意匠の出願可能期間について、少なくとも2~3年間はほしい。
  • 関連意匠制度において、関連意匠にのみ類似する意匠は関連意匠登録を受けることができないと規定されているところ、順次変更を加えながらブランド構築を図るという実情にそぐわない。関連意匠にのみ類似する意匠も登録を受けられるようにすべき。
  • 関連意匠の存続期間は本意匠の存続期間と終期を共にすることから、本意匠の設定登録から20年間で関連意匠の意匠権も消滅してしまう。ブランド構築という観点からも関連意匠は本意匠の存続期間に縛られない長期的な保護があってもよい。
  • 自社の登録意匠による拒絶は、ブランド化を阻んでいる。ブランド構築をしやすい制度について、検討をすべき。

<国際展開を支援できる制度への意見について>

  • どのように権利を利用してどのように勝つのか、国として戦略的に考える必要がある。
  • 日本だけ図面の提出要件が緩和されても、他国で必要であれば結局準備しなければならない。ぜひ、日本がリーダーシップを発揮して、各国にも働きかけ整合性を確保すべき。

(2) その他

  • 意匠制度は、一般の需要者の理解度が低いように思う。制度の活性化のために、啓蒙が必要。「権利をうまく使えばこんな風にうまく行く」という戦略的な制度利用のメリットをアピールすべきであるし、我が国の産業界についても、もう一度その点について見直しが必要。
  • 検討の課題について賛成する。基準や運用でできること、法改正が必要なこと、と分けてできるものからやっていく点についても賛成する。
  • 意匠法は特許法、商標法、著作権法、不競法と比べて法学者が研究の対象として敬遠しがちだったが、逆にいうと、可能性を秘めていて、ニーズも高い領域なのではないか。明るい未来に向けて意匠法の見直しを検討する雰囲気が醸成されたと感じている。

[更新日 2011年3月30日]