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第1回通常実施権等登録制度ワーキンググループ 議事要旨

平成19年7月31日
特許庁

7月26日(木曜日)午前、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会第1回通常実施権等登録制度ワーキンググループ(座長:竹田 稔 竹田綜合法律事務所弁護士・弁理士)が開催された。

1.審議内容

事務局から配布資料に沿って説明した後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下の通り。

総論

  • 近年、企業の合併・買収・事業譲渡等が増加しているため、通常実施権の登録制度の充実は重要な課題となっており、ライセンスの実務に対応した、使いやすい制度となることが望まれる。中小・ベンチャー企業にとって、特にニーズが強い。
  • ライセンシーの立場だけでなく、特許権を譲り受けようとする第三者の不利益につながらないよう配慮が必要。
  • 特許法上の通常実施権の問題とライセンス契約の契約法上の問題とが交錯しており、整理する必要がある。

登録事項の限定化・登録事項の一部非開示化について

  • 実務上、ライセンス契約は、出願中の権利が対象であったり、ノウハウの提供も含めたものがほとんどであり、対価を明確にするのは難しいのが現状。
  • 対価の定め方も含め、ライセンス契約の形態や特約が多様化・複雑化している中、それらを必要的登録記載事項にすると登録制度が使いにくくなってしまう。
  • 登録事項に効果を持たせず参考情報にとどめるという制度もありうる。ただし、不動産登記法では、登録事項とする以上は何らかの効果があるというのが原則とされている。
  • 対価の額が必要的登録記載事項の場合、対価の額が空欄であればその定めがないということになるが、それが任意的登録記載事項になると、定めがないのか定めはあるが登録していないのかが不明確になることにも留意すべき。
  • 各登録事項について、マル1登録しないと対抗できないもの、マル2登録しても対抗できないもの、マル3登録しなくても対抗できるものに分離して整理すべき。
  • 登録事項と開示事項を分けるという段階的な開示制度の導入に賛同する。

出願中の権利に係るライセンスの登録制度について

  • 特許を受ける権利は不安定な権利ではあるが、リスクを当事者が負担すればよい話であり、登録の対象とすることに問題はない。ただし、登録することで、特許庁が特許を受ける権利にお墨付きを与えてしまうような印象を持たせることになるかもしれない。
  • マル1出願中の発明に係る通常実施権の本登録とする考え方、マル2将来発生する通常実施権の予備登録とする考え方、マル3将来発生する権利について前倒しで本登録するものとする考え方があるが、実体法と登録手続法とを区別して検討する必要がある。
  • 出願中の権利の登録制度を設ける際に最も難しい論点は、補正によって権利の幅が変わりうる点であり、それを除けばあとは政策判断の問題。

通常実施権者からのサブライセンスの保護について

  • 大企業に対してライセンスを許諾する際に、子会社に対するサブライセンスにより許諾範囲が際限なく広がってしまうのではないかといったような面があるため、サブライセンスに関する規定があるとよいのではないか。
  • 通常実施権者からのサブライセンスには、マル1対象特許権について全面的にサブライセンス契約を結ぶことができるというものと、マル2本体のライセンス契約による通常実施権者の権限の範囲内でのみサブライセンス契約を結ぶことができるとするものの2種類があると考えられる。実務的には、後者を基本として考えるのが妥当。

登録方法について

商標権の移転の登録と同様、認証のある契約書があれば単独申請を認めるという方向性はありうる。ただし、それは通常実施権が本来的に第三者に対抗できるのかという問題。

2.今後の審議スケジュール

第2回通常実施権等登録制WGは9月上旬に開催予定。

[更新日 2007年8月1日]

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