• 用語解説

ここから本文です。

第2回通常実施権等登録制度ワーキンググループ議事要旨

平成19年9月6日
特許庁

9月6日(木曜日)10時00分~12時30分、産業構造審議会 知的財産政策部会 特許制度小委員会 第2回通常実施権等登録制度ワーキンググループ(座長:竹田 稔 竹田綜合法律事務所弁護士・弁理士)が開催された。

1.審議内容

事務局から配布資料に沿って説明した後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。

(1)通常実施権に係る登録記載事項の在り方について

  • 任意的登録記載事項が対抗力を有するという仕組みもあり得る。任意的登録記載事項の登録による効力を明確にしないとかえって混乱が生ずるのではないか。
  • 登録する者は、効力を発生してほしいから登録するもの。対価を任意的記載事項として、登録の効果は参考情報にとどめるとした場合、登録する意味が全くないのではないか。
  • 任意的登録記載事項の効果としては、中途半端に効力を認めるのではなく、参考情報に徹して考えた方が混乱が少ないのではないか。
  • 対価の登録を参考情報と整理したとしても、効力が全くないとは言えない。登録をすることにより、一般法的な責任が生じると考えるべきである。
  • 対価の額を必要的登録記載事項から外すというのがポイントであって、参考情報としての効果しかない任意的登録事項を設けるか否かはニーズ次第。
  • ライセンス料には様々な特約が含まれるため、特許使用の対価を特定できないケースが多い。その意味で、対価は本質的に参考資料としての記載にしかならない。

(2)通常実施権に係る登録記載事項の開示の在り方について

  • ライセンス契約は、営業上の戦略に関わるので、段階的開示制度の導入に賛成。
  • 段階的開示制度の導入により、登録が増えることで、事前に収集できる取引の情報が増えることになることから、知財の流通業者にとってもプラスになる。
  • 利害関係人に仮差押債権者が含まれるというのは定義として広いのではないか。
  • 任意的登録記載事項は、必要な場合には特許権者が証明書により取引相手に開示すればよいのであって、一般には非開示とすることも検討すべきである。

(3)出願段階におけるライセンスの保護の在り方について

  • 通常実施権の法的性質が特許権の権利行使に対する不作為請求権であるという通説的見解にとらわれる必要はなく、特許を受ける権利の通常実施権というものもあり得るのではないか。
  • 特許を受ける権利に対する質権設定についての考え方も見据えながら検討することが必要。
  • 補償金請求を行使されないことについては、将来発生する通常実施権の事前登録という説明では、先使用権者や職務発明の場合の使用者等といった始めから発明を実施する地位がある者とは異なってくるのではないか。
  • 分割によって事前登録を備えた出願の内容が大きく変わってしまうこともあり得るのではないか。
  • 実務では、特許出願について分割が行われることを想定して、分割された場合は分割出願もライセンスの対象に含む旨について契約で定めていることが多い。
  • 特許権に係る通常実施権が破産法第56条でいう使用収益権であるとの解釈は確立している。出願段階のライセンスを停止条件付通常実施権と考えて登録した場合、停止条件付であっても使用及び収益を目的とした権利であることに変わりがないと言えるのであれば、破産法のみなし規定を特段設けなくても、破産法第56条の適用を受けることはあり得る。
  • 出願段階のライセンスについて特許を受ける権利の通常実施権と考える場合は、権利性が稀薄な印象があり、破産法における使用収益権にあたるか否かについて改めて検討が必要。
  • 破産法第56条は、実体法上保護されている既得権利を破産手続上も保護しようという趣旨であり、法文上の構成にかかわらず、出願段階のライセンスの登録がその趣旨にかなっていることは間違いない。
  • 出願段階のライセンスの登録は、特許を受ける権利が移転した場合に対抗力を備えることも重要な効果であり、その意味で、特許を受ける権利の譲渡について登録制度を設けることも検討すべきである。
  • 特許を受ける権利の保護については、社会的事実として非常に重要なテーマである。確かに特許を受ける権利は排他的独占性を有しないと言われているが、職務発明の対価請求訴訟においては、出願公開後には特許を受ける権利は独占的利益の対象であるとの判示もされている。

2.今後の審議スケジュール

第3回通常実施権等登録制WGは10月5日に開催予定。

[更新日 2007年9月27日]

お問い合わせ

特許庁総務部総務課制度改正審議室

電話:03-3581-1101 内線2118

FAX:03-3501-0624

E-mail:PA0A00@jpo.go.jp