第3回通常実施権等登録制度ワーキンググループ議事要旨
平成19年10月5日
特許庁
10月5日(金曜日)13時30分~16時00分に、産業構造審議会 知的財産政策部会 特許制度小委員会第3回通常実施権等登録制度ワーキンググループ(座長:竹田 稔 竹田綜合法律事務所弁護士・弁理士)が開催された。
1.審議内容
事務局から配布資料に沿って説明した後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下の通り。
(1)特許権に係るサブライセンスの保護の在り方について
- サブライセンシー毎に通常実施権の登録をするのではなく、ライセンシーに実施許諾権を授権する旨の特約のみ登録すればよいとすることはできないか。
- 「第三者のためにする契約」について、民法第537条にいう「給付を請求する権利」は、比較的広く解釈されており、通常実施権もこれに含まれると解することができる。
- 実務では、サブライセンスは、第三者のためにする契約というよりは、むしろ転貸借に近い概念と捉えられている。事務局案によると、サブライセンシーは、登録をすれば、通常実施権者として保護されるとされているが、実務では、ライセンシーとサブライセンシーは同格なものとは考えられていない。
- 知財法の通説を前提にすると、サブライセンスは特許権者からの授権に基づくものと第三者のためにする契約に基づくものという説明になる。前者については、現ライセンス契約が終了したら、サブライセンス契約も終了するという範囲での授権と考えることができる。
- ライセンサーとライセンシー間は賃貸借類似の関係にあり、サブライセンサー(ライセンシー)とサブライセンシーの関係は転貸借類似の関係にある。サブライセンシーの不作為請求権の相手は、ライセンサーであるという点で転貸借とは異なるが、サブライセンシーの地位は、ライセンサーとライセンシー間の契約関係に依拠しているという点で類似する。
(2)通常実施権に係る任意的登録記載事項について
- 独占的通常実施権に係る登録に第三者対抗力類似の法的効果を認めるとすると、通常実施権及び専用実施権とは異なる第三の種類の効果を創り出すことになる。これは登録の効果にとどまらない論点であり、事務局案のとおりこれを認めるのは難しい。
- サブライセンスに係る授権の登録の検討に当たっては、サブライセンシー保護の要請が強いことを考慮すべき。
(3)通常実施権の登録に係る申請方法の在り方について
- 登録義務者の承諾書を得れば単独申請ができるという現行制度と比べて、当該内容を証明する公正証書の作成・添付は、手間の点で大きく改善するとは言いきれない。ライセンシー保護の見地から、当事者間で特段の定めがないときは、登録権利者に登録協力義務を課してもよいのではないか。
- 公正証書では、登録の真正性は確保できるが、両者の登録申請意思までは確認できない。そこは、通常実施権について登録するかどうかの選択肢を設定者に認めるかどうかという問題であり、その点を明確にすべき。原因証書に代金支払いとの同時履行の特約がある場合について、条件成就の証明の方法等を検討する必要があるが、運用の問題であり、条件付きでない証書しか受け付けないこととすれば、問題ないだろう。
(4)特許を受ける権利の移転等に係る登録制度について
- 特許を受ける権利の移転の登録について、共同申請が前提と整理されているが、それによりユーザーの負荷が増えることにならないか。
- 特許を受ける権利に対する処分の制限と出願の分割との関係については、特許法の実体法上の問題として、分割の前後で特許を受ける権利の実質的な同一性が維持されるといえれば、分割前になされた差押え等の効力は分割後の権利にも及ぶと考えてよい。
(5)専用実施権登録制度の在り方について
専用実施権は、地上権と同様の物権的権利であることを前提として、破産法第53条の対象に含まれないものとして整理されている。したがって、停止条件付専用実施権についても同様に破産法第53条の対象にならないと解釈することもありうる。また、それを債権的な権利と捉えた場合には、破産法第56条の適用を受けるように規定を置く必要があるのではないか。
2.今後の審議スケジュール
第4回通常実施権等登録制WGは10月29日に開催予定。
[更新日 2007年10月26日]
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