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第4回通常実施権等登録制度ワーキンググループ 議事録

  1. 日時:平成19年10月29日(月曜日)13時30分~15時30分
  2. 場所:特許庁 特別会議室
  3. 出席委員:竹田座長、浅井委員、梅原委員、大渕委員、鎌田委員、島並委員、中田委員、長濱委員、中山委員、前田委員、松田委員、守屋委員、山本委員
  4. 議題:通常実施権等登録制度ワーキンググループ報告書案について

開会

竹田座長

それでは、定刻になりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会の第4回通常実施権等登録制度ワーキンググループを開催いたします。
本日は、これまでの議論を踏まえまして、事務局にて作成しました報告書案につきまして御審議いただきたいと思います。
それでは、まず事務局より配布資料の確認をお願いいたします。

間庭審議室長

それでは、配布資料を確認させていただきます。
資料2、検討スケジュールについて。
資料3、前回の議事録でございます。
参考資料1として「通常実施権等に係る登録制度の見直しについて」というタイトルの資料でございますが、これは先週の24日に産業構造審議会の知的財産政策部会が開催され、そのときに当ワーキンググループの検討状況ということで、この資料で御紹介させていただいたものでございます。
参考資料2として参照条文。
以上5点でございます。不足等ございませんでしょうか。
議事録については、既に委員の皆様方に御確認いただいたセット版を配布しております。以上でございます。

竹田座長

ありがとうございました。

通常実施権等登録制度ワーキンググループ報告書案について
(1)第1章及び第2章について

竹田座長

それでは、早速議事に入らせていただきますが、この報告書案は全体で第1章から第4章までありますけれども、議論の都合上、前半と後半に分けて説明をしていただいた上で御議論いただきたいと思います。
まず前半部分として第1章、知的財産の活用とその保護の重要性の高まり、第2章、出願段階における登録制度の創設について、事務局より説明を行っていただきます。よろしくお願いいたします。

間庭審議室長

御説明いたします。1枚めくっていただきまして目次でございますが、今、座長から御紹介がございましたように、4章の構成としております。
第1章が知的財産の活用とその保護の重要性の高まり。
本検討の背景について記述してございます。
第2章以降が具体的な対応のところになりまして、第2章が出願段階における登録制度の創設。
第3章が通常実施権等登録制度の活用に向けた見直し。
第4章がその他となってございます。
前半で第1章と第2章について、私の方から御説明させていただきたいと思います。
まず第1章でございます。2ページ目でございますが、検討の背景につきましてこの場でかいつまんでおさらいということになりますが御説明申し上げます。
まず知的財産の活用の重要性ということで、知的創造サイクル、これは知的財産の創造・保護・活用の循環でございますけれども、これの加速化の上で、単に知財を権利化して保護を図るのみならず、現在あるいは今後とも企業経営において、知財の有効な活用、これが重要となっているというところでございます。
次に産業財産権の流動性の高まりでございますが、今まで未利用特許が非常に多かったところで、特許庁におきましても、特許流通アドバイザーの派遣等、流通促進事業というものをこれまでやってきております。そういったことも相まって、現在、産業財産権の売買譲渡額ですとか、知財の取引業者さんの増加など流通市場というものが拡大が進んでいる。
図1-1でございますが、これは売買譲渡額についての推計値ではありますけれども、例えば2004年、特許権が12億円であったところが、2005年、25億円超という数字もございます。
3ページ目でございますが、また最近の動きとして、信託業法の改正ですとか信託法の改正により知財信託ビジネスの拡大という動きもございます。
さらに知財に対する質権の設定・移転ですとか、あるいは知財を担保にした融資等、資金調達手段としての知財の重要性も高まっているところでございます。
4ページ目でございますが、それに加えて昨今の企業のM&Aの動き、そういった企業組織再編のケースがふえている。図1-4は、この折れ線の方のグラフがM&Aの件数のグラフですけれども、1996年に1,000件弱だったものが、2006年には3,700件以上というようにM&Aも増えているところでございます。
このような環境の中で産業財産権の流動性というものが一層高まっておりまして、特許権の移転が増加しております。図1-5でございますが、96年に特許権の移転2,400件程度であったものが、2006年には1万1,000件を超えるような状況となってございます。
5ページ目でございますが、そういった知財の流動性とともに、ライセンスの拡大と保護の重要性の高まりということでございますが、近年、自社が得意とする分野に集中的に経営資源を集中し、その他の分野については第三者からライセンスを受けるというような、企業における選択と集中の動き、あるいは戦略的にライセンスというものを活用していこうというような動き、そういった動きが企業の中に見られます。
また、パテントプールといったようなライセンスビジネスの多様化も見られる。さらに大学におきましても、TLO等によりまして、出願段階における発明も含めてライセンスの活発な活用というものが行われているところでございます。
図1-6は、産業財産権に係るライセンスの支出額を棒グラフにしたものでございますが、2003年に160億だったものが、特許権でございますけれども、2005年は211億程度というように増えてございます。また、大学における実施料収入というものも着実に、このグラフのとおり金額ベースで増えてございます。
6ページ目でございますけれども、そういった産業財産権の流動性が増しているという中で、権利者が破産した場合、あるいは権利を譲渡した場合に、ライセンスが解除されるといった事業継続リスクが潜在的に増大していると考えられるところでございまして、そのライセンシーの保護の必要性が高まっている。
現行の特許法では通常実施権の登録制度がございまして、第三者対抗力を具備することとしておりまして、そういった登録をすれば、通常実施権者は、特許権が移転しても事業の継続は可能ということでございます。
ライセンシー保護の必要性が高まっている状況において、このような登録制度の果たす役割というのは今後、ますます重要となっているところでございます。
なお、産活法の改正によって、包括ライセンスについて新しい登録制度も作られたところでございます。
今後の展望といたしまして、このようにますます知財の流動化ですとかライセンスの拡大が進む中で、政策当局としても、知財をめぐる環境変化に応じまして、企業等の主体が事業活動を円滑に行い得るような制度整備に取り組んでいくことが必要であるというところでございます。
次に現行制度の主な課題でございますけれども、まず出願段階の特許発明に係る権利の保護ということで、企業経営におきまして、権利化後の特許権のみならず、出願段階の発明の活用も重要となっているところでございます。
7ページ目でございますけれども、とりわけ大学のTLOですとか、ベンチャー企業におきまして、特許を受ける権利が貴重な財産権として活用されている。しかしながら、そういった特許を受ける権利について、その移転ですとか、あるいは権利者が破産した場合におけるライセンシーの法的な保護についての制度的担保というものは現状ないということでございます。
また特許を受ける権利の移転について、その件数というものも増加している一方で、現在、届出が効力発生要件になっていたわけですけれども、必ずしも届出でよろしいのか、真正性の確保が課題ではないかと考えられるところでございます。
図1-9は、下の破線が特許権の移転の件数、先ほどの2006年に1万1,000件のグラフでございますが、上の実線が特許を受ける権利の移転の件数でございまして、特許権の移転に比して非常に多いわけでございます。
8ページ目でございますけれども、登録制度の活用ということで、これは従前からの繰り返しになりますが、登録制度というものは現状、活用されていない。図1-10にございますように、例えば特許の登録率を試算、推計したところ1.3%程度、その主な理由というのが図1-11にございますように、現在、登録した内容がすべて一般開示されるわけですけれども、企業の経営戦略ですとか、営業秘密に関わるライセンス契約の内容を秘密にしておきたいという企業のニーズに、これは必ずしも即していないという制度になってございます。
9ページ目でございますが、そういった中で、我々としては出願段階における権利変動の安定性の確保と現行登録制度の利便性の向上を図る。そのことによりまして、さらなる特許権の活用、あるいはライセンスの拡大、そういったものを図っていく必要があるだろうというところでございます。
次に第2章でございますが、出願段階における登録制度の創設についてでございます。
1として出願段階におけるライセンスに係る登録制度についてでございます。
時間の都合上、現行制度の概要と、問題の所在については説明を割愛したいと思いまして、11ページ(3)対応の方向でございます。
出願段階におけるライセンスの実態やその保護ニーズを踏まえれば、特許を受ける権利が譲渡された場合及び特許を受ける権利を有する者が破産した場合において、実体法上ライセンスが適切に保護されるよう、登録制度の枠組みを活用した保護を図るべきである。
グラフは飛ばしまして、登録制度の具体的な在り方については、以下の考え方を踏まえて制度設計をする必要があるということで、まず①出願段階におけるライセンスの法的性質でございますけれども、通常実施権と専用実施権について別々に書いてございます。
通常実施権につきましては、これは中身ですけれども、対象特許権の設定を停止条件とする特許権者等に対する不作為請求権を中核とするものでございまして、また、特許権成立前に出願に係る発明を実施できるという点を踏まえれば、停止条件付き通常実施権という性格に加えまして、不正競争防止法上の差止請求権等、これは出願公開前でございますけれども、ないし特許法65条1項に規定する補償金請求権の行使、これは出願公開後でございますが、これらを受けない不作為請求権が含まれている。そういったものとして権利構成できるものと考えられるところでございます。
専用実施権につきましても同様でございまして、対象特許権の設定登録を停止条件とする専用実施権を中核としながら、不正競争防止法上の差止請求権、ないし特許法上の補償金請求権の行使を受けないという不作為請求権が含まれているものと考えられるところでございます。
それでは登録の効果についてでございますけれども、まず通常実施権につきましては、効果として、出願段階におけるライセンスに係る登録を備えた者は、特許を受ける権利の譲受人等の第三者に対して、特許権成立前であっても登録した内容を対抗できることとすることが必要である。
また、特許を受ける権利を有する者が破産した場合に、ライセンシーがライセンス契約に基づき、事業の準備や実施を継続するためには、特許権成立前であっても、破産管財人によりライセンス契約を解除されないという効果を得ることが必要である。そのような効果を得るためには、出願段階のライセンスに係る登録がなされた場合には、破産法56条1項の適用を受けることとすることが必要であるというところでございます。
また、専用実施権の方でございますけれども、特許を受ける権利が移転した場合において、専用実施権の事前登録を備えた者がライセンス契約に基づき事業の準備や実施を継続するためには、通常実施権の事前登録と同様に、第三者対抗力を登録の効果として認めることが必要である。なお、特許権成立前における停止条件付きの専用実施権を中核とする権利は、専用実施権とは異なり、独占排他性は有していないことから、その性質は債権的な権利にとどまるものと考えられる。したがって、専用実施権については、登録が効力発生要件ではあるが、出願段階における登録の効果については、第三者対抗力の具備にとどめることが適当である。
また、専用実施権は物権的な権利であり、破産法53条の対象には含まれないと解されるが、停止条件付き専用実施権を中核とする権利は、債権的な権利であって同条の対象に含まれると考えると、これを設定するライセンス契約を保護するためには、破産法56条1項を適用させることが必要であるということでございます。
この効果の、特に破産法との関係につきましては、現在、法務省とも協議を開始しているところでございまして、我々としては破産法の適用を受ける方向で法務省と今、協議をしているところであることを付言申し上げます。
次に特許出願の補正・分割等についてでございます。
特許を出願された後、補正ですとか分割ですとか行われるわけでございますが、これについては14ページの上から2行目からでございますが、補正については、出願の具体的な内容が変容するという側面を有するものの、補正により新規事項を追加することは禁止されており、補正の前後において特許を受ける権利として実質的な同一性は保持されていると考えられることから、補正後についても引き続き登録の効力が及ぶものとすることが適当である。
また、特許出願の分割についても、原出願の一部について行うものであり、分割の前後で特許を受ける権利として実質的な同一性は保持されていると考えられることから、分割後の新たな特許出願に対しても登録の効果が及ぶものとすべきであり、出願の分割がなされた際、特許庁は分割後の新たな出願に対しても通常実施権の事前登録について記録を行うこととすることが適当である。
これらの場合、ライセンシーは、補正・分割後の出願の内容とライセンス契約上の権利が合致する範囲においてのみ登録の効果を主張し得ることとなるものと考えられるというところでございます。
次、マル4ですけれども、特許出願の取下げについてでございます。
この点について、登録がなされた出願について取下げをする場合は、登録制度の適切な利用を確保するため、登録されたライセンシーの承諾を要件とするとの考え方もございます。しかしながら、その場合でも、出願人がその後、適切な手続を行わなければ、結局は拒絶査定となり、特許の成立に至らないこととなります。また、そもそも出願の内容は補正等に変容していくものであり、特許登録に至らないものも多く存在するという不安定な性質を含むものであって、それらを前提としてライセンスの対象とされているという実態がございます。これらを踏まえれば、出願の取下げについてライセンシーの承諾を要件とすることは、ライセンシーの保護につながるものではなく、むしろ出願人の自由な行為を大きく制限するものであり、適当ではないのではないかという考えでございます。
次に制度の具体的検討ということで、結論として、出願段階におけるライセンスについて、出願番号により対象を特定した登録制度を創設することが適当である。当該登録がなされている出願について特許権が成立した場合には、当該特許権に係る原簿において、特許庁が通常実施権又は専用実施権の登録を行うものとする。
登録記載事項については、特許権に係る実施権の登録の場合と同様に考え、対象となる出願番号、ライセンシーの住所(居所)及び氏名又は名称等、ライセンスの範囲を登録記載事項とすることが考えられるということでございます。
なお書きのところは停止条件付き専用実施権を中核とする権利についてでございますけれども、これは一度その登録を出した後は、さらに通常実施権ですとか専用実施権の事前登録が申請された場合は、登録は受け付けないということでございます。
マル6でございますが、これは出願段階の実用新案権に係る通常実施権及び専用実施権の登録制度というものの必要性でございますが、これは設ける必要はないであろうということでございます。
次に特許を受ける権利の移転等に係る登録制度についてというところでございます。
これにつきましても現行制度の概要と問題の所在は割愛させていただきまして、17ページ目に対応の方向がございますので、そこをかいつまんで御説明させていただきます。
マル1特許を受ける権利の移転についてでございますけれども、特許を受ける権利の移転の件数は、先ほども御覧いただきましたように、増加しているわけでございます。そういった意味で、財産権としての特許を受ける権利の意義というものは大きくなっているというところでございます。
特許権のみならず、出願段階における特許を受ける権利の活用や流通が重要となってきておるわけでございまして、その法的保護ニーズも高まっているであろう。
現行、先ほど申し上げましたとおり、単独による特許庁長官への届出が効力発生要件となっているわけでございますが、2パラ目の最後でございますが、財産権としての重要性が高まっているということにかんがみれば、特許権と同様に登録制度によって保護すべきであると考えられる。
ではなぜ従前は届出制だったかというのが3パラ目でございますけれども、これは特許権の設定登録時から登録原簿というものを設けるという考え方が基本であって、特許権の発生前というものは原簿というものを設ける必要性が乏しかったためであろう。ただ、現在、その必要性が生じている以上、登録制度の導入を妨げる理由というものはない。
また、4パラ目でございますけれども、出願段階におけるライセンスについても今回、登録制度を導入する方向でございまして、それとの一貫性を確保する観点からも、特許出願後における特許を受ける権利の特定承継について、効力発生要件としての登録制度を導入することが適当であるということでございます。
ただ、なおのところに書いてございますように、今まで単独でなし得たものが、これからは登録の共同申請になる。また、登録になりますと、今までは届出は手数料でございましたが、登録免許税になる。その金額というものもどうなるのかわからないというふうな手続的あるいは金銭的な負担が増える面もあるわけでございますけれども、安定的な権利関係を確保するために、必要最小限となるような制度設計にすべきであると考えてございます。
マル2特許を受ける権利に対する処分の制限について。
申し上げていますとおり、特許を受ける権利の財産的価値が高まっている中で、権利の移転の登録制度の導入と合わせて、特許を受ける権利に対する処分の制限についても登録制度を設けることが適当であるということでございます。
制度設計に当たっての留意点として(a)、(b)、(c)ございまして、(a)については特許を受ける権利と特許権の関係でございます。
これについては、特許を受ける権利と特許権とは別個の権利ではあるが、前者が後者に変化するものであり、連続性があることを踏まえれば、前者を目的とする処分の制限の効力は、後者に及ぶものと解することができる。
そういうわけで、2パラ目でございますけれども、処分の制限が登録されている特許を受ける権利について、特許権の設定登録に至った場合には、当該特許権に対しても、処分の制限の効力が及ぶものとし、特許庁は、当該特許権について処分の制限の登録を行うこととすることが適当であるということでございます。
次に、19ページ目でございますが、特許出願の補正・分割等についてでございます。
これは先ほども申し上げましたが、1パラ目の4行目でございますが、補正や分割の前後で特許を受ける権利の実質的な同一性は保持されていると考えられることから、補正後についても引き続き処分の制限の効力は及ぶものとし、また、分割後の新たな特許出願に対しても処分の制限の効力が及ぶものとして、その記録を行うこととすることが適当であると考えられます。
(c)として特許出願の取下げについてでございますが、これも先ほど申し上げましたとおり、差押債権者の承諾を取下げの要件とすることは、差押債権者の保護に必ずしもつながらない。むしろ出願人の自由な行為を大きく制限するものであり、適当ではないのではないかと考えられるところでございます。
最後に、マル3実用新案登録を受ける権利について、これを登録制度とするかどうかですけれども、これについては登録制度を導入する必要はないと考えられるところでございます。
なお、注書きにございますように、特許を受ける権利の移転ないし処分の制限の登録の制度改正に対応するためには、特許庁の基本的な業務処理システムの大幅な改造が必要となる。現在、特許庁では「業務・システム最適化計画」ということで、ユーザーの利便性向上ですとか、当方の審査の効率化、迅速化のための新しいシステムを構築しているところでございまして、これが平成23年1月から稼働予定である。この制度改正を行う場合でも、システム面での対応というのは、この計画に盛り込んだ格好でシステム構築を行うことになり得ますので、この制度改正については、やる場合でも少し先の話、23年1月からの施行というような格好になるであろうということで注書きで付言させていただきました。
私から以上でございます。

竹田座長

ありがとうございました。
それでは、以上の説明を踏まえまして議論に移りたいと思います。各委員、御自由に御発言ください。どうぞ。

中山委員

14ページの特許出願の取下げのところなのですけれども、これはライセンシーの承諾がなくしても取下げることができるというのが原案なわけです。仮にライセンシーの同意が必要であるとした場合、どういう弊害が生ずるのでしょうか。取下げをするのはいろんな事情があると思います。出願している出願の価値がもうなくなったという場合だったら、多分ライセンシーが同意するでしょうし、逆に出願関係の金がもうない、だから取り下げるという場合であれば、場合によってはライセンシーが、自分が金を出するから継続してくれということもあり得るわけですね。
そういう道を閉ざしてしまっていいのか。どっちみち出願人が意欲を失えば、手続を多分続けないから登録までゆかないでしょうそれはそれでもって終わりで結構で、ライセンシーが続けてほしい、お金も出すといっている場合にもだめだという根拠はどこにあるのでしょうか。

竹田座長

今の点について、ほかに関連して御意見がありますか、特にありませんか。では事務局の方から。

亀山審議班長

おっしゃったように、結局承諾を必要としても、出願人が適正に手続を行わなければ、結局取下げたいと思ったら、結局拒絶なりでそれが出来てしまうということ、そういう意味では実効性がないのではないかというのが1つ。
もう1つは、やはり出願人が取り下げるにあたって、登録したライセンシーの承諾を必要とするというのは、出願人の自由な手続という意味では、やはり非常に負担になるのではないか。手続として重くなってしまう。そこで結局そういったことを懸念して、この登録制度自体、使われなくなってしまうのを我々は懸念しておりまして、そこはもう少し実態の感覚からどうかという意見も伺った方がいいとは思いますけれども、我々の考えとしては、そこの手続として重くなってしまうのではないかというところをやや重視してこのような提案にさせていただいているということでございます。
もう1つあるのは、結局実態として承諾が必要ないとしても、結局先ほどおっしゃったように、交渉の中で続けたいというのであれば、そういった働きかけをするでしょうし、そこは実態として本当に問題があるのかないのかというところだと思いますので、そのあたりは是非他の御意見があれば伺いたいと思っております。

竹田座長

いかがでしょうか、今の点。
産業界の委員の方で、何か今の点について御意見ございませんですか。浅井委員、梅原委員、いかがですか。

浅井委員

登録の問題と契約上の義務の履行の問題はちょっと違うのだと思いますが、実際問題として、取下げようとするときには、こういうライセンシーの方に、今、お話がありましたように、存続を希望するかどうか多分確かめてやっていくというのが実態だろうと思います。
だからといって、それを法的な義務のところまで昇華してしまうのがいいのかどうかは別問題のような気がします。

竹田座長

実務上では、契約内容にもよるかもしれませんけれども、確かめることまではやるだろう。しかし、それで話がまとまらなかったときに、この原案でいけば、出願人はみずから取り下げていいことになるわけですが、それはそれでよろしいのではないかという意見ですか。

浅井委員

はい、そうです。

竹田座長

ほかにいかがでしょうか。

中山委員

実務において、まともな企業同士の場合は多分ほとんど問題はないだろう、条文上、同意を必要とするとかいても、書かなくても、どっちにころんでも問題ないだろうと思っているのです。しかしながら、中小企業とか、あるいは個人とか、いろんな場合がございまして、先ほど言いましたように、中には金がないためにやめちゃうという場合にライセンシーを保護しなくていいのか。18ページの処分の制限のところも同じように書いてあるわけですけれども、こちらの方は、ライセンシーではなくの差押えした人ですけれども、こういう人の権利というのは本当に無視していいのかという問題です。
今度全体のトーンが、ライセンシー保護というトーンになっているので、ぎりぎりの場合、ライセンスを、出願人の自由を妨げるからといって、本当に切り捨てていいのかという、そこのところが気になったものですから。

竹田座長

ただ、もしこの案をとらないとすると、出願人の同意、承諾がなければ取下げられないという案になりますね。その中間的なものというのはちょっと考えられないですね。

中山委員

ライセンシーの同意です。

竹田座長

ライセンシーの方の。

中山委員

私は実務をやってないので、本当にどういう実効性があるかというのは、これは実務の方に聞きたいのですけれども、理屈としてはそういうことも考えられます。こういう話です。

竹田座長

では今の点は、今の意見を伺って、事務局としても検討してみるということでよろしゅうございますか。

間庭審議室長

実務の方々の意見も拝聴しながら、この点について検討したいと思います。

竹田座長

それでは、ほかに何かございませんでしょうか。

中山委員

もう1点、要望なのですけれども、特許を受ける権利の方については、移転の問題と処分の制限、それから、担保権、この3つが重要であると考えておりまして、今回は処分の制限までやるということなのですけれども、担保権も重要ですので、この次の通常国会には多分難しいと思いますけれども、ぜひこれは早急に手を挙げてほしいと思います。

竹田座長

ほかにはどうでしょうか

松田委員

二点質問いたします。今、特許を受ける権利の移転についてのお話があったかと思うのですが、特許を受ける権利についてのライセンスについて、特許権として成立する前にも、停止条件付き通常実施権として登録できることになると理解しておりますが、その特許登録前の段階のライセンシーの権利について譲渡があった場合に、その移転の登録はできるように制度整備がなされるのでしょうか。
次に、戻りますが、前々回の産業構造審議会のワーキンググループの話の中で、幾つかこの特許を受ける権利段階での通常実施権的なものの登録制度について、その法的な整理として、予備登録の制度なのか、登録後の通常実施権について前倒しで登録の申請をできるようにするのか、停止条件付の通常実施権として承認しながら、特許登録前でも、そのような通常実施権の登録を申請できるようにするのかというお話があったかと思います。今回、そのあたりの議論が報告書に細かく書いてはございませんが、このような特許登録前のライセンシーの権利の法的性質について「停止条件付き通常実施権を中核とする権利」と整理してお書きになっていると思います。そして本登録以前のライセンシーの権利について、法的効果として補償金請求権を受けない不作為請求権だというふうにいう御整理は書いてあるかと思うのですけれども、ここで記載していることは、ライセンス契約上、補償金請求権の行使をしないという約束をしているということを超えて、法的効果として補償金請求権を受けたときには、特許権の本登録前にライセンシーとして登録をしていたということをが、当該訴訟の中で抗弁になって、補償金請求権の権利行使が妨げられるという、そういう特許法上の法的効果まで認めるという御整理になっているのかという、ちょっとそこのところだけ確認させていただきたいと思いました。

竹田座長

幾つか問題点があったと思うのですが、特許を受ける権利についての通常実施権の設定登録後、当該通常実施権の移転登録ができるかという点が第1点ですね。その点はいかがですか。

亀山審議班長

そこは当然今の現行制度と並びでできるということで制度設計をしようとは思っております。

竹田座長

2番目は、特許を受ける権利の登録制度の性質について、前に停止条件付きなどか幾つかの案が出ていましたが、それとの関連と思いますが、いかがですか。

亀山審議班長

それは松田委員がおっしゃったとおりで、停止条件付きの通常実施権というのはあるのですが、それに加えて補償金請求を受けずに発明を実施できるですとか、不正競争防止法上の請求を受けずに実施できるというところまで効果としては持たせる。したがって、特許権が成立している前であっても、それは第三者対抗力というものを備えなければいけないのではないかという、そういうものを概念としては考えておりますので、そこで今、申し上げた効果が今の特許法との関係でどこまで法律に書かなければいけないかというのはこれから詰めていきたいとは思っております。

竹田座長

よろしいでしょうか。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、一応第1章、第2章の検討を終えまして、また、3章、4章が終わりました後、必要があれば最初の方にも戻りたいと思います。

(2)第3章及び第4章について

竹田座長

それでは、第3章及び第4章につきまして、第3章は、通常実施権等の設定登録制度の活用に向けた見直し、第4章はその他になっています。
では事務局から御説明をお願いします。

間庭審議室長

では第3章の通常実施権等登録制度の活用に向けた見直し、現行の登録制度の見直しの部分でございます。
まず1.として登録記載事項についてでございます。現行制度の概要と問題の所在については説明を割愛させていただきまして、21ページの対応の方向でございます。
これは登録事項をどうするかという問題でございますが、まずマル1特許権に係る通常実施権について。
その登録事項をどうするのかというところでございますが、文章を読まさせていただきますと、登録記載事項のうち、通常実施権者の住所(居所)及び氏名又は名称(以下氏名等という)については、通常実施権の効力が帰属する主体を示す事項である。また、通常実施権の範囲というのは期間、地域、内容でございますけれども、これについては、その範囲において対抗力が生ずるものと解されていることから、これらは登録対象である通常実施権の中核を構成する事項であり、必要的登録記載事項とすることが必要である。他方で、通常実施権を設定するライセンス契約には様々な要素や特約が含まれるものであり、通常実施権の中核を構成する事項に加えて何を登録事項とするかは立法政策の問題と考えられる。そのような前提の下、企業におけるライセンスの実態を踏まえれば、現行制度における通常実施権に係る登録記載事項について、以下のように考えることが適当であるというところで、(a)として対価に関すること、(b)として独占性の合意、(c)としてサブライセンスの授権の問題、これについて記載してございます。まず対価については通常実施権の法的性質は特許権者等に対する不作為請求権を中核とするものであり、有償・無償で権利の性質に差異はないと解されていることを踏まえると、通常実施権の対価に関する事項は、ライセンス契約の重要な要素ではあっても、通常実施権の中核を構成する事項ではないと考えられるところでございます。
また、これも従前からの繰り返しになりますが、近年のライセンス契約は様々な特約と一体となって定められていることが通常であるため、個々の通常実施権の対価を特定することが困難な場合が多い。さらに、対価については、経済状況などに応じて見直され、変動することが多いという実態があるため、登録した対価については、適正に登録の更新を行わない限り、契約実態と乖離してしまう可能性が高い。
以上を踏まえれば、通常実施権の対価に関する事項について、必要的登録記載事項から除外することが適当であるということでございます。
次のパラグラフは、では任意的登録事項とするかどうかでございますが、これは前回、申し上げましたとおり、そのようなニーズが限定的であり、なおかつ先ほど申し上げましたような、対価が変動し得るという性質、契約実態と対価とが乖離してしまうという可能性が高い性質を踏まえ、参考情報としても、正確な情報提供機能を果たすことは難しく、制度利用者の無用な混乱を招くおそれがあり適当ではないというところでございます。
次に独占性の合意でございますが、これも前回、御説明申し上げたとおりでございまして、通常実施権の独占性、当該通常実施権者のほかには実施権を設定しない旨の合意でございますが、ここについても任意的な記載事項とするとの考え方、これはあり得ます。
23ページ目でございますけれども、しかしながら、独占的通常実施権者は、専用実施権者とは異なり、特許法上、特許発明を実施する権利を「専有」するものではございません。このため、通常実施権の登録において独占性の合意が既に登録されていたとしても、当該登録に別の通常実施権の登録をするということは、制度上はどうしても可能であるということになりまして、そのような制度は利用者の混乱を招くことにならないかとの懸念がございます。
また、独占的な通常実施権と専用実施権との最大の違いとして、差止請求権の有無があると考えられるわけでございます。この点についても、独占的通常実施権者は債権者代位による差止請求権を有するとの説がございます。このように、独占的通常実施権と専用実施権の実質的な違いが明確でない中で、前者は登録が第三者対抗要件、後者は登録が効力発生要件ということは、やや制度のバランスを失する可能性がございます。また、独占的通常実施権を制度として認めることによって、現在の専用実施権制度が形骸化するおそれがあるとの指摘もございます。
ただ、専用実施権制度もそんなに利用されているのかというと、そうでもないような事実もあるわけでございますが、そういったことを踏まえて、独占的通常実施権の法的性質が不明確な中で、独占性の合意について登録制度の中に位置づけることは難しい面がございまして、また、本来的には専用実施権をどうしていくのか、専用実施権制度の在り方と併せて考えるべきものである。したがって、今後、独占的通常実施権や専用実施権者の実態を十分踏まえた上で再度検討していくことが必要と考えられるところでございます。
次にサブライセンスに係る特許権者の授権というものについて、前回、いろいろと御意見をいただいた上で、この部分に書いてございますが、サブライセンスに係る特許権者からの授権の特約については、特許権者によって内容が変動することは考えにくく、一定の定型性が認められることから、これを任意的登録記載事項の対象に含めることはあり得ます。この場合、当該登録に第三者対抗力を持たせることができれば、その授権に基づくサブライセンスも実質的に保護されることになることから、具体的なニーズも存在してございます。
しかしながら、特許法第99条1項で登録した場合に「その効力を生ずる」と規定しているのは「通常実施権」であって、ライセンス契約における特約を登録記載事項としたときに第三者対抗力を具備するかについては議論のあるところでございます。特に、サブライセンスに係る特許権者の授権の特約については、それ自体は通常実施権の設定とは直接関係ないもの、通常実施権の存在を前提としないものであることから、それを登録記載事項としたときに対抗力を備えるかどうかについては必ずしも明確ではない。
我々も前回の御意見を踏まえて、事務局としても検討したのですが、なかなか今の99条1項の通常実施権の第三者対抗力のところを改正するのかしないのか、法文上、どう書くのか、そういった面でも非常に難しいところでございます。したがいまして、これを任意的登録記載事項とすることについては、今後、サブライセンスの特約の実態把握や法制的な議論を深めながら引き続き検討を行っていくこととするということで、今しばらくお時間をちょうだいしたいというのが事務局の率直な感想でございます。
なお、授権された通常実施権許諾の対象(サブライセンシー)について、個別に特定せずに、一定の範囲(例えば「ライセンシーの子会社」など)としか特定していない特約についても登録して対抗できるようにしたいとのニーズがございます。
これはやや筋論で恐縮ではあるのですが、しかし、不特定多数のものをサブライセンシーとしている場合などに、特許権を譲り受けようとする者等が、デューデリジェンスによって実際のサブライセンシーや将来サブライセンシーとなり得るものについて全て特定することは困難であり、特許権の取引の安全を害するのではないかと考えられます。このため、仮に今後、サブライセンスに係る授権の特約の登録が認められるようなことになる場合でありましても、許諾対象をやはり個別に特定した場合にのみ登録が認められることとすることが適当ではないかと考えておりますため、その旨なお書きさせていただいたところでございます。
次に特許権に係る専用実施権についての登録事項でございますが、これは必要的記載事項については、通常実施権と同様、それ以外に、では対価についてどうするかは25ページ目になるわけでございますが、ここについても通常実施権と同様に、これは登録記載事項からは除外する。
あと独占性の合意は、これは検討の必要はない。
次にサブライセンスの授権という概念は存在しないのですが、専用実施権者が通常実施権を許諾するためには、特許権者の承諾が要件となっているわけでございまして、この特許権者の承諾というものが任意的登録事項となり得るのか得ないのかという論点があるわけでございますが、これについては、通常実施権のサブライセンスと同様に取り扱う。したがいまして、まずは通常実施権のサブライセンスの特約について今後、実態把握、法制的な議論のお時間をちょうだいいたしまして、その結論、仮にそういった授権について登録が認められるような場合には、専用実施権における通常実施権の設定についての特許権者の承諾についても登録が認められるであろうと考えてございます。
次に、実用新案権の実施権についての登録記載事項についてがマル3でございますが、これは特許権の実施権の登録記載事項と同様の見直しを行うべきであるということでございます。
次にそういった登録記載事項の開示の問題でございます。
これにつきましても、現行制度の概要と問題の所在は割愛させていただきまして、27ページ目の対応の方向でございます。
この点については、要は開示事項、開示するのかしないのかというところでございますが、読み上げさせていただきますが、本来、権利の登記・登録によって第三者対抗力を備える制度においては、取引の安全の観点から、対抗力を備える権利についてできるだけ多くの情報が公示されることが望ましい。しかしながら、事業戦略や営業秘密といった情報管理が重要な現代の経済社会において、秘密保持条項が設けられていることの多いライセンス契約の実務を踏まえれば、登録事項を全て一般に開示するという旧来の考え方を見直すことは、時代の要請である。むしろ、近年の産業活動におけるライセンスの拡大やその保護の重要性の高まりや特許権の移転の増加を背景として、通常実施権者が対抗力を備えていないために新権利者から権利行使を受け、事業活動を停止せざるを得なくなる潜在的リスクが高まっていること。また、その場合に通常実施権者が受ける不利益の大きさを考えれば、登録された情報の一部については一般には非開示とする開示方法を導入することにより、登録を備えやすくすることの意義が大きい。
また、通常実施権者の氏名等や通常実施権の範囲に関する情報を一般に非開示にすることにより、登録制度が利用されやすくなり、これまで登録されなかった通常実施権が登録されるようになれば、特許を譲り受けようとする者にとっては、取引しようとする特許権について、通常実施権の「有無」については公示を通じて得られる情報量が増えることになる。
ただ、他方で、対抗力を具備した通常実施権者の氏名等や対抗を受ける通常実施権の範囲に関する情報は、登録簿上は不明確となる。しかしながら、実務においては、これは専門家同士の取引であり、なおかつ譲り受けようとする者は、事前にデューデリジェンスを通じて取引に入る場合が多い。また、譲渡契約においても、表明保証条項や解除条項を設けることが通常でありますので、譲り受けた後に不測の損害を被った場合は、事後的には金銭で補われる。したがって、登録記載事項の一般への非開示化により、取引の安全性が損なわれるケースは限定的と考えられる。
同様な2段階ないし3段階開示の法律というのも、現に動産・債権譲渡特例法ないし改正産活法等ございます。
以上を踏まえれば、通常実施権者の保護強化を図る見地から、登録記載事項のうち秘匿ニーズの強い「通常実施権者の氏名等」及び「通常実施権の範囲」については、一般には非開示とし、一定の利害関係人にのみ開示することが適当である。利害関係人の範囲については、先ほど申し上げましたような2法の例を参考にすれば、通常実施権許諾者、通常実施権者、対象特許権等の取得者、質権者、差押債権者、仮差押債権者、管理処分権者とすることが考えられます。ここは重要ですけれども、ただし、登録原簿は特許権毎の編成となっている。通常実施権者については、当該者の有する通常実施権に関係する部分のみ開示を受けられるようにすることが必要でございまして、そのような開示の実務を組みたいと考えてございます。
なお、利害関係人の範囲のところで、これは小さい字で恐縮ですが、脚注の43にございますように、仮差押債権者を含めるか否かにつきましては、現時点では結論が出ているわけではございませんで、実態も踏まえて引き続き検討をしたいと考えてございます。
次、29ページ目でございます。
特許権に係る専用実施権の登録制度について、それの登録事項の開示、非開示についてですが、専用実施権の設定には、特許権の移転に準ずる準物権的な効果があり、登録は効力発生要件とされているという点で通常実施権と大きく異なる。また、専用実施権が設定された範囲においては専用実施権者以外の者、これは特許権者も含むわけでございますが、そういった者が実施できなくなるという点で、第三者にとっても影響が大きいものでございまして、特許権者の承諾があれば通常実施権の設定も可能であることも踏まえれば、その内容について公示の必要性は極めて高い。
専用実施権の登録事項については、このような公示の必要性を重視し、通常実施権の登録のように段階的開示制度を採用することは適当ではなく、むしろ特許権の移転等の登録と同様に、登録事項は全て開示するという現行制度を維持すべきであるということでございます。
マル3として出願段階のライセンスに係る登録制度についてでございます。
今回、先ほど申し上げた出願段階におけるライセンスに係る登録制度の登録記載事項の開示につきましては、これについても通常実施権と同様の秘匿ニーズが存在することを考えますと、特許を受ける権利、デューデリジェンスは特許権の場合と大きな差異がないということなどから、特許権に係る実施権登録制度の開示方法と合わせて出願段階のものは出願段階のライセンスの登録制度の開示についての制度を組むことが適当であるということでございます。
また、実用新案権に係る実施権登録制度の登録記載事項の開示についても、これは特許権に係る実施権の登録制度の開示方法と合わせることが適当であるというのがマル4番目でございます。
次に3でございまして、登録の申請方法の在り方についてでございます。
今、原則が登録義務者、登録権利者の共同申請であるところで、単独申請を導入するか否かの論点でございます。
これについても31ページ目の対応の方向から入りたいと思いますが、現行制度においては、登録内容の真実性を確保するために共同申請手続を法定しているが、その方法は共同申請に限られるものではない。具体的には、申請の原因を証するものとして、通常実施権設定を証明する書類であって、公証人による認証のあるものを添付させることにより、単独申請であっても、その真実性の確保が可能である。
他方で、このような単独申請の手法を認めた場合、通常実施権の第三者対抗力の具備についての選択権を通常実施権許諾者に認めないことになるが、当事者間における特約がない限り通常実施権許諾者に登録義務はないとする判例との関係が問題となってくるわけでございます。しかしながら、当該判例が出された48年当時と現在ではライセンスビジネスを取り巻く状況というものは大きく異なっており、近年の通常実施権者の保護の要請の高まりを踏まえれば、政策的判断として、一定の場合には、通常実施権者許諾者の第三者対抗力の具備についての選択権を認めずに通常実施権者だけで通常実施権の登録を備えることができるという道を開くことは十分あり得るものである。
また、これは前回でもちょっと御説明しましたが、各国の異なる国内出願手続の統一化及び簡素化により、出願人の負担を軽減することを目的とした特許法条約(Patent Law Treaty)でございますが、その中では、権利の移転、実施権又は担保権の設定等について単独申請による登録が認められてございます。知財制度の国際的調和を目指すといった流れの中で、今後、我が国としてこの条約を批准することも想定しますと、一定の場合に単独申請による登録を認める制度を構築することが必要と考えられるわけでございます。
以上のことから、まず大原則として現在の共同申請の仕組みは維持しつつも、通常実施権の設定を証明する書類であって、公証人等による認証のあるものの提出があった場合には、当事者一方の登録申請があれば、他方の登録申請の意思に関わらず登録を認めるという単独申請という手法を導入することが考えられる。このように、通常実施権の登録申請方法の選択肢をふやすことで、登録制度の利便性向上が図られるものと考えられる。
33ページ目でございますが、以上、通常実施権の設定についてでございますが、特許法においては通常実施権の設定の他にも、効力発生要件として、専用実施権の設定等、ないし特許権の移転及び質権の設定に係る登録制度というものが存在します。これらについては、登録が効力発生要件であるため、これらの権利変動に係る合意をした場合には、登録義務者(特許権者)には当然に登録に協力する義務が生じており、登録の拒否権はないものと考えられます。したがいまして、これらについては、債権的な権利として解されている通常実施権よりもむしろ単独申請に馴染みやすい側面を有しておりますので、これらにつきましても、公証制度を利用した単独申請の選択肢を認めていくことが適当であろうと考えられるわけでございます。
次、34ページ目、その他でございます。
その他としてまず1つ目としてサブライセンス保護の在り方についてでございます。
実務上、サブライセンスというものが非常に広く行われているところで、その保護についていかにすべきかというところでございます。
34ページ下の(3)の対応の方向から説明させていただきますが、前回のワーキングでも御説明させていただきましたとおり、35ページ下以下の(参考1)サブライセンスの主な類型で、前回出したものを載せてございますけれども、34ページの下の文章に戻っていただきますが、実務において行われているサブライセンスの主な形態としては、大きく分けてマル1として特許権者等からのサブライセンスの授権に基づくもの、この類型の1、2、3までがそうでございます。
それとマル2として第三者のためにする契約に基づくもの、類型の4でございます。
大きく分けて2つに分かれるのではないか。そこのところで現在の登録実務、我が方の登録実務では、原因書面としてライセンサーがサブライセンシーに対して通常実施権を許諾した旨の契約書又は許諾証書を求めているわけですけれども、そんなものは存在しないわけでございます。今回、サブライセンスの実態を踏まえ、現行の運用を改善するということで、どのように改善するのかが2パラ目でございますけれども、特許権者等からのサブライセンスの授権に基づく場合は、ライセンシーにサブライセンスに関する授権がなされていることを証する書面と、当該ライセンシーからサブライセンシーに対する許諾証書、この2つがあれば登録を認める。
2番目として第三者のためにする契約によるライセンスの場合は、第三者のためにする契約書と、第三者であるライセンシーが許諾対象に該当することを証明する書類、例えば「契約当事者の子会社」に該当する旨の証明書のようなものでございます。これらを添付すれば、契約の直接当事者ではない第三者であるライセンシーが通常実施権の登録を備えることができることとするということでございます。
なお、第三者のためにする契約に基づくライセンスにおいては、第三者であるライセンシーを具体的に特定しない場合も考えられるわけでございます。さっきの子会社ですとか。しかしながら、これは通常実施権の氏名等というものは、第三者対抗力具備という法的効果との関係では、通常実施権の帰属先を明確にすることが不可欠であるほか、特許無効審判の請求の通知等の手続的効果との関係においても、通常実施権者が具体的に特定されていることが必要であることから、第三者であるライセンシーの氏名等を特定せずに登録することは認められないであろうということでございます。
注で書いておりますのは、先ほど説明いたしましたサブライセンスの授権を任意的登録事項とするか否かにつきまして、先ほども申し上げましたとおり、その実態把握ですとか法制的な議論を深めながら引き続き検討を行っていくということを、このサブライセンスの保護のところでももう一度注書きさせていただいてございます。
また、(参考1)については説明を割愛させていただきまして、38ページ目に参考の2がございます。
これは前回の意見も踏まえて法律上の構成をどうするのかということを参考として書かせていただきましたが、読み上げますと、以上の検討は、通常実施権の法的性質の中核は特許権者等の有する差止請求権及び損害賠償請求権に対する不作為請求権であるという特許法上の通説的な考え方を前提としたものである。すなわち、ライセンサーはライセンシーに発明を実施させる積極的な義務を必ずしも負うものではない、むしろライセンシーに対して権利行使をしないという消極的な義務を負うことが本質であるので、行使する権利を有しないライセンシーというものは、サブライセンシーに対して消極的な義務を負う立場にはない。
しかしながら、ライセンサーはライセンシーに発明を実施させる積極的な義務を負うものであり、ライセンシーも独自の権利としてさらにサブライセンスを許諾、再実施許諾になるわけですけれども、そういったものをすることができるというような説明をする余地もあるというか、そういった説明もできるのではないかという意見がございます。実務の感覚においても、ライセンサーとライセンシーの間にライセンス契約が終了すればサブライセンス契約も終了するという関係があること、サブライセンスの対価はライセンサーではなくライセンシーに支払われるのが通常であることなどから、サブライセンシーの実施権は、あくまで特許権者等ではなくライセンシーに対するものとの考え方が根強い。
この点を整理するには、現在のライセンス契約・サブライセンス契約の実態を踏まえた上で、通常実施権の法的性質を改めて整理することが必要となってくる話で、これは非常に難しい話でございまして、今後の学説や判例の蓄積が待たれるということを念のため申し上げさせていただきました。
最後に登録の効力発生日についてでございます。
これは登録の際に、登録の申請受付日と登録日が乖離するということに伴って、その間にほかの人に二重譲渡されたりした場合の法律関係がおかしくなるという話を防ぐためにいかにすべきか。
対応の方向、39ページ目の(3)でございますけれども、そこに上から4行目、登録申請受付から実際の登録日までに相当の期間を要すると、その間に他の権利関係との先後が逆転してしまうおそれがあり、登録申請者の立場からすると適当ではない。現在、特許庁において登録申請を受け付けてから実際に登録がなされるまでに10日以上の期間を要するものであることから、申請による登録がなされた場合に、申請を受け付けた日を登録された日とみなし、その日から登録の効力を発生させることが適当である。
他方で、申請受付日を登録の日とした場合には、登録に係る情報が一般に開示される前に登録の効果が発生してしまうことにもなってしまうわけで、登録による効力発生日から特許原簿記録による公示の日までの間に、登録簿上の情報を信じて取引を行った者に不利益が生じる可能性も否定できない。
したがって、そのような事態を避けるために、例えば登録申請の受付時に「申請があった旨」を先行して原簿に記載するとか、あるいは登録申請の受付から登録までの事務処理期間中は当該登録に係る特許原簿の閲覧を禁止するというような措置を講ずることが必要と考えられるということでございます。
また、実用新案に係る権利の登録についても同じ問題が存在しまして、これも今、申し上げたような同様の措置をとるということが必要でございます。
以上でございます。

竹田座長

ありがとうございました。
以上の説明を踏まえまして議論に移りたいと思います。
各自、御自由に御発言ください。

鎌田委員

ええ、なお書きの趣旨、それと35ページの本文に書いてあることとの関係なのですけれども。
何が理解できないのかが理解できてないかもしれないのですが、ここに書いてあるのはサブライセンスができるという特約を登録することを仮に認めたとしても、その場合のサブライセンシー名が特定してなければその特約は登録させてやらないという趣旨ですか。

竹田座長

この前の企業側の委員の説明によると2種類あります。今、おっしゃったような、サブライセンシーの名前が特定されている契約と、一定の範囲、例えば資本金が50%以上の子会社についてはサブライセンスを与えるものがある。そのうちの前者については、サブライセンスの登録を検討する余地があるけれども、後者については、サブライセンシーが実際上、契約上も先ほど言ったようなことだけでは特定が不十分であって、取引の安全上もさらに配慮すべきことがあるから、後者は今の段階では対象外である。そこで、前者については検討する必要があるというのがこの意味だろうと、私はそう理解して読んでいるのですけれども、事務局の方で、それでよろしければ、違っていたら説明してください。

亀山審議班長

まさにおっしゃったとおりでございます。

鎌田委員

実務界がそれでいいとおっしゃるなら全然問題ないのですけれども、私が非常に不思議に思うのは、A特許権者がBライセンシーにライセンスをするときに、Cにサブライセンスしてもいいよと言った。例えばこれはCにサブライセンスしてもいいという特約を登録しなくても、Cの通常実施権の登録をするか、それがまだ未発生だったら仮登録すればすむだけの話で、私は、このサブライセンスできる権限の特約をわざわざ登記するというのは、例えば将来、子会社を設立して、そこでこの特許を実施するというふうにライセンシーが考えているときに、子会社にライセンスする権限というのをとりあえずCに与えておく。いずれCは子会社を幾つも設立するだろうけど、そのうちのどれがサブライセンシーになるかはまだわからない。この段階で登録するのがこの特約の登録。実際にサブライセンスして、それがC社だと特定したときに登録するのが35ページに書いてあるサブライセンシーの通常実施権の登録で、こちらの方では、契約上は第三者は単に子会社と書いてあっていい、だけど権利者を単に子会社としか書いていない登録は許さない。だから、それがC社と特定されたのちに、C社のための通常実施権が成立しましたという通常実施権の登録をしなさい。こっちは特定しなければいけないというのはよくわかるのですけれども、将来、ライセンスをしてもいいという権限が、サブライセンシーがだれさんにと決まってないと登録できないというのは、それは実務界のニーズなのですか。それさえ登録できれば、別に子会社その他にライセンスすることのできる抽象的な権限なんていう登録は不要だ、そういう趣旨なのですか。それが実務界ニーズで、それ以上のものは要らないというのだったら別にいいのですけれども、なにかそれだと特約の意味がない。賃貸借でいえば、譲渡、転貸自由の特約の登記というのは、第三者を特定しない段階で登記できるから意味があるのです。

竹田座長

企業界のニーズはどういうことなのか。

浅井委員

企業側から見ますと、前回も申し上げましたとおり、この制度自身というのは多分非常に使いにくかろうという感じがしないでもなくて、本質的には、前も申し上げましたような、契約の締結自身が対抗要件であるべきであるというところが出発点なんですね。
したがって、今回の議論とちょっと対象が違いますけれども、そういう観点からしたときに、あんまり細かないろいろな制約要件はない状態にして、また、新しい挑戦をした方がいいのではなかろうかな、こんなふうに思います。

竹田座長

そうしておる趣旨は、サブライセンス付きですよということが元のライセンサーとライセンシーの契約の条項に含まれていれば、それを必要的登録事項としてサブライセンシーに契約が認められた範囲で登録が対抗力が及ぶようにしたいというのが企業のニーズである。そういう趣旨ですか。

浅井委員

はい。

竹田座長

そういう趣旨だとすると、鎌田委員の懸念されている意味では、これだけでは極めて不十分だということにはなると思いますね。

鎌田委員

そそこまで限定されると、それは通常実施権の登録で特約の登録は許さないというに等しい感じがしてしまうので、その辺が非常に疑問だったということです。

間庭審議室長

事務局として申し上げますが、これは特約の登録そのもののも極めて法制的にチャレンジングな話でございまして、これも必ずしもすぐさまこういう制度が本当にできるのかというところがあるわけでございます。この部分についてはサブライセンスの特約の登録そのものについても議論しなければならないところで、その範囲の部分については、おそらく実務的なニーズとしては、いちいち特定しない方がいいのではないかとは思っているのですけれども、いかんせん、特約の登録そのものについての法制的な部分の検討の方に手間取っておりますので、このなお書きについては必ずしもまだ詰めきれていないところでございます。
さはさりながら、今回の報告書について、これはきょうの御議論を受けて事務局としてもパブコメに出さなければいけないところで、ここの書きぶりの問題として、要はどうするかといった問題があるというような書きぶりに、今の案では特定した場合のみ登録が適当であると書いているのですが、もう少し我々も考える必要がございますので、ここまで言いきるのはやめるような書きぶりにした方がよろしいかなと思います。

竹田座長

座長から余り意見を言わない方がいいのかもしれませんけれども、産業界のニーズからいえば、それはサブライセンス付きということであれば、通常実施権の登録ができればサブライセンスに全部対抗力が及ぶということは、大変結構ですねということなのかもしれませんけれども、果たして通常実施権の登録でサブライセンシーを極めて不特定なまま全部について対抗力が及ぶことが法律制度として本当に可能なのかどうかということと、可能としても、それが取引の安全その他の面からして、それがふさわしい制度なのかどうかということは極めて私は問題があると思うのです。
ですから、その点については、今、事務局が申し上げておりますように、もう少し法制的な面も含めて検討をしたいということですので、その方向で検討してもらうというところで今の段階は御了解いただければと思うのですが、いかがなものでしょうか。

鎌田委員

わかりました。
検討はするけれども、検討した結果、やっても意味がないものしかつくりませんと読めてしまったのですが、そこが断定的でなくて、そういうことも考えられるのではないかとか、そういう点の検討が必要だとかいうぐらいに、もし緩めることが可能であれば、そうしていただいた方がいいと思います。

竹田座長

よくわかりました。
ほかにございませんでしょうか。

守屋委員

先ほど浅井さんがおっしゃったように、契約をもって対抗するというのが我々は一番いいわけです。今回、対抗の部分があるので、この24ページのところですけれども、サブライセンスする権利については、特記事項としても、まだ引き続き御検討いただけるということで、その部分は大変感謝しております。単独申請のところで、これはAとBの間のサブライセンスの授権に関する契約の証書をもって、これでこの契約書を見せればサブライセンスの登録を認めるケースがあるというところまで踏み込むのであれば、ひょっとしてサブライセンスのできる権利というのも登録していただくということができるのではないかなと思います。
産業界でどれぐらいニーズがあるかということになりますと、例えば地デジのパテントプールですと、大体200件の特許が対象になっています。MPEG2のビデオのパテントプールですと、トータルで二百数十件ぐらいが対象になっています。これから次世代のブルーレイのパテントプールなんかになりますと、さらに400件近くの特許が関係してくるようなパテントプールというのができて、エージェントがこれらの特許のライセンスの権限を持つということをその都度確認する必要が出てきます。これをその都度確認していると大変煩瑣な手続になりますので、もし手続としてできるのであれば、不特定多数のライセンスというのが非常に不明確で安定性を欠くという部分の御指摘は当然かもしれませんけれども、実務上は大変使いやすい制度になるのではないかなと考えております。

守屋委員

はい。

竹田座長

ほかにございませんでしょうか。

前田委員

かなり前のところに戻ってもよろしいですか。
ちょっと混乱させるような発言をして大変申しわけないのですが、14ページのさっき中山委員がおっしゃった特許出願の取下げについてです。
普通、出願人というものが特許の費用を持っていてすべてやるものなのですが、大学の場合、ライセンスする側に費用も全部持ってもらうという場合があります。そのかわりライセンスするということになります。
ところが使ってもらう企業がベンチャーで、お金がなくなったので、もう特許出願費用は出しませんということがあります。そうしたときに、使わせてもらうという権利は残るけれど、お金は払ってくれない。でも取下げができないということにならないかなという心配をしました。取り下げるときにライセンシーの同意が必要ということになってくると、同意がないと取下げられないということが生じてくるのかなと。現に最近、ベンチャー企業にお金がないので、もう特許費用は出したくないです。特許出願しないとベンチャーはつぶれるのですというふうに言われて、そんなことを言われても大学は困るのだけれどという状況がありました。中山委員がおっしゃるように、ライセンシーを保護するための法律改正なので、私も気持ち的には同意がないと取下げられない方がいいとは思いながらも、今みたいなケースがあるということも御参考のためお話しさせていただきました。

竹田座長

ありがとうございました。

中山委員

そのような場合は、特許出願人が、もうこれから手続を事実上放棄してしまえば金もかからないし、手間もかからなくて、特許も取れないというだけであり、問題はないでしょう。契約の金を払わなければ債務不履行ですから、幾らでも処置の方法はあるので、金を払わないけれども契約は続行したい、そして特許の出願も、金も出してほしい、それはちょっと難しいのではないかという気がします。

前田委員

ということは、これは同意を得なければいけないという文言になっても、取下げができなくならないというふうな判断でよろしいでしょうか。ありがとうございました。

松田委員

私の質問は違う論点に戻ってしまいまして、サブライセンスの保護の関係なのですけれども、35ページで、サブライセンスの実体に鑑みて、登録の原因書面としては、今後、運用を変えて、サブライセンスの契約書と子会社等に該当することを証明する書面で良いとなっていると思います。しかしこれは、登録の申請自体は原則どおりだとおもいますので、共同申請で出さなければならない。したがって、サブライセンスについても、登録義務者であるライセンサーと登録権利者であるサブライセンシー、すなわち、直接契約関係がないライセンサーとサブライセンシーとで共同申請をやらなければいけないということになる、そういう理解でよろしいでしょうか。

亀山審議班長

そこは登録義務者は特許権者であり、登録権利者は通常実施権を登録する者という意味では、このA、B、Cでいえば、特許権者のAとサブライセンシーのCが共同申請をするということで考えております。

松田委員

そういう前提ですと、きょうも他の委員の方々から、既に御指摘があったとおりだと思いますが、やはり実務的にはサブライセンスの保護のためにはなかなか使おうとしたときに、ハードルが高過ぎる部分が相当に残る制度であると思います。今後、引き続き検討いただくということで、先ほど竹田座長の方からまとめていただきましたけれども、ぜひともサブライセンスの保護について、引き続き前向きに御検討いただきたいと思っております。

竹田座長

ほかにもありましたらどうぞ。最初の第1章、第2章も含めていただいて結構です。

島並委員

前半で1点、後半で1点、教えていただきたいのですが、前半部分で、特許を受ける権利の「移転」については、登録が譲渡人と譲受人の共同申請であるということですけれども、特許を受ける権利の「ライセンス」は、ライセンサーとライセンシーの共同申請なのか単独申請なのかという点をお伺いできればと思います。
それから、後半で、この書類の21ページに、通常実施権の範囲については、必要的登録事項とするということでありますけれども、ライセンス契約において通常実施権の範囲に限定がなされて、しかし、登録をしなかった場合の効果、サンクションはどうなるのか、を教えていただければと思います。
以上です。

亀山審議班長

そこは同じということです。

島並委員

どちらも原則は共同申請だけれども、公正証書を使えば単独でもよい、と。

亀山審議班長

はい。
2点目は、これは既に、現行制度の問題だと思いますけれども、通常実施権の範囲を登録しなかった場合の効果ということですか。

島並委員

はい。登録が必要的であるというルールは、維持するということなのですが、そのことの法的な意味ですけれども。

亀山審議班長

そこは余り固まった説は多分ないのではないかというのが正直なところなんですが。

島並委員

これは事務局の方には既にお伝えをしていることですが、私は通常実施権の「範囲」(特許法78条2項)、つまり実施期間等の制限は、任意的登録事項でいいのではないかという気がしております。つまり登録をしなくても特に制裁はない、その意味で登録は任意的だけれども、もしライセンシーも了解して登録をした場合には、新ライセンサー(特許権者)の側が、自己に有利な実施権制限条項を引き続きライセンシーに対して主張できる、という制度にするのが望ましいのではないかと思います。つまりライセンシーの側が自己に有利なことを新ライセンサーに対して主張する、という形での「対抗力」の具備という建て付けは、そもそも実施権の「範囲」については適当ではないと考えます。しかし、この点は現行法と変わらないということですので、引き続き御検討いただければと思います。

竹田座長

よろしいですか。
ほかに。

山本委員

2点コメントです。
第1点は、28ページの注の43で、先ほど御説明があったと思いますが、仮差押債権者の登録事項証明書の請求権の問題ですけれども、これは実態を踏まえて検討されるということで、それは結構だと思うのですけれども、ただ、これは仮差押えの効力という理論的な問題も含んだ問題だろうというふうに思っておりまして、既にここに参考として掲げられているような制度においては、仮差押債権者が登記・登録事項証明書を請求できるということになっているわけですので、もしここでこの制度だけそれを変えるのだとすれば、何ゆえに仮差押債権者のできることが違ってくるのかということが理論的に十分説明できるものでなければならないだろうというふうに思っておりますので、そこはぜひよろしくお願いしたいということです。
それから、もう1点は、サブライセンスの38ページの参考2というあたりに書かれている、これは理論的な整理の問題ということになるのかもしれませんけれども、その整理の際に1点頭に置いていただきたいということですけれども、この参考1の類型の1とかでサブライセンス契約というものが、サブライセンサーとサブライセンシーの間に観念できるような類型の場合においては、サブライセンサーが破産した場合に、破産管財人がサブライセンス契約を解除するかどうかという問題が発生してくるのではないかと思います。
私はよく実務的なことはわかりませんが、もし実務的にサブライセンサーというのが破産、倒産することがあり得て、その破産管財人とかがサブライセンス契約を解除するということを防止する必要があるということであるとすれば、このサブライセンス契約の位置づけとしては、破産法56条が定めるところの使用収益を目的とする権利を設定する契約であるというふうにいえなければ解除権を制約できないわけです。
したがって、もしそういうニーズがあるとすれば、このサブライセンス契約の法的整理の際に、それが何らかの形で使用及び収益を目的とする権利を設定する契約であるという説明ができるような整理をする必要があるのだろうというふうに思います。
以上です。

竹田座長

ありがとうございました。
今の点に特にありませんか。

間庭審議室長

おっしゃるとおりです。

中田委員

ただいまの参考2というところでございます。
私はおくれてまいりましたので、既に議論が出ていたら失礼いたします。
ここで提起されている問題は、ライセンス契約の法的性質をさらに考えてみようということだと思います。その結果、ひょっとしたらライセンス契約と通常実施権との間の性質のずれというものが出てくるかもしれない、それをどう取り扱うかというのがここで提起されている問題かと思います。
それから、もう1つ、ライセンス契約と通常実施権との関係を考える際には、両者のいわば包摂関係も問題になるのかなと思います。ライセンス契約には様々な特約があって、そのうちの重要であるけれども、一部として通常実施権がある。そうすると全体と部分という関係になる。
また、1個のライセンス契約で多数の通常実施権が対象となっているという場合もやはり包摂関係がある。そうすると、その際に、一部に過ぎない、あるいは多数の中の1つに過ぎない通常実施権の登録をすることによってライセンス契約を第三者に対抗できるのか、あるいは解除を免れるのかという問題がある。そこの関係がはっきりしないというのがいろんなことの根底にあるのかなというふうに思っております。
参考2のような文章をパブコメで書くのが通常かどうかというのは私はよく知りませんけれども、書くか書かないは別にして、理論的な問題としては、ライセンス契約と通常実施権との間の性質の問題と、包摂関係の問題と2種類あるだろうと思います。
以上です。

竹田座長

中田委員に、今の御意見の趣旨について御質問したいのですけれども、包括的ライセンス契約ないしクロスライセンス契約の場合のサブライセンスがついているという場合には、特許の対象は多数あるわけですね、包括ライセンスだと。それについて1つ1つの通常実施権を設定するというのは、もうこの特許法で対応できる範囲をいわば超えているので、いわゆる産活法等での保護にやっているわけですね。
産活法の保護でそういう特許を受ける権利やサブライセンス契約の方までは、鎌田委員にお聞きした方がいいのではないかと思いますけれども、それはいってないのですね。そこのところは、この特許法の単独、1個1個の通常実施権の設定の場合にどう対応できるかというのは、なにか非常に難しい問題かなというふうに思ったのですけれども、その辺のことを御疑問になさっているわけでしょうか。

中田委員

包括クロスライセンスというのはまた別の問題があるかと思いますけれども、私が先ほど全体と部分と申し上げたのは、これは1個のライセンス契約で1個の通常実施権があるという場合の問題です。1個のライセンス契約でも様々な特約がついているはずで、それと通常実施権との関係がどうだろうか。これが全体と部分。
それから、1個のライセンス契約で多数の通常実施権が対象となっているというのは、先ほど地デジの例をあげられましたけれども、そういった場合に一体どうなっているのだろうかということに関心がございます。そのときに、例えば200件の特許があって、そのうちの1件について通常実施権の登録をすれば、それを含むところの200件を対象とする1個のライセンス契約全体について効力が及ぶのかどうかというところなんです。

竹田座長

特許が、1個の特許についてのサブライセンスについて、登録による対抗力が認められることになった場合に、残りの199件のサブライセンスにも及ぶかということですか。

中田委員

2つありまして、全体として1つのライセンス契約がある。そのライセンス契約の対抗力の問題と、それから、それに含まれる残りの199個の各通常実施権の問題と2種類あるのだろうと思います。
ところが今までのところは、通常実施権の登録をすれば、ライセンス契約の対抗力が発生するというように進んでいるものですから、そこの整理をもう少しする必要があるかなと思った次第です。

竹田座長

そこのところはどうお考えですか。

間庭審議室長

まず最初の問題ですけれども、この通常実施権制度というのは、やはりライセンス契約の中の通常実施権というものに対抗力を与えているという意味では、やはりライセンス契約というのがあって、その中に通常実施権が含まれるというようなものだと私どもは理解しております。
2番目については、これは制度の組み方としてずっとそうなっているのですが、特許権の通常実施権というのは、特許権ごとに管理しているわけでございまして、そういった意味では、1件の特許について1つないし複数の通常実施権がくっつく。それで今のライセンス契約で200個ぐらい、これは特許番号が特定されているような格好で通常実施権が設定されるのであれば、これは個別に登録をしていただくということになります。

竹田座長

ほかに何かございますか。

前田委員

この制度を改革して、たくさんの方に登録していただけるようになるのは良いことですが、それでは解除の仕方はどこに述べられているのかと疑問になりました。共同申請でないと解除できないのかとか、どういう形で解除していったらいいかというのがちょっと私はわからなかったものですから。たくさん登録されるようになっていくと、解除の仕方というのも議論した方が良いと思いました。

竹田座長

ライセンス契約の解除ですか。

前田委員

解除されたときの登録の抹消の仕方ということです。

竹田座長

抹消の仕方ですか。それはどういうことですか。

亀山審議班長

現行は抹消は共同でやるということになっていると思いますけれども、今回、確かに登録を単独でできるようにするということは、もちろん公正証書を前提としていますけれども、そこは解除も同じような考え方でやらなければいけないのではないか。
ただ特許法条約でも、そこは解除についても同じような単独の道を設けなければいけないということになっていると思いますので、そこは確かに検討しなければいけない。
ただ、そのときに原因証書が何かとかというのは、ちょっと解除の場合は非常に難しくて、そこはもう少し制度を実際に具体的に検討するときに、実際に解除の原因とかというのはどういうものがあってというのは細かく考えていかなければいけないのではないかなと思っております。ちょっとそこは確かに御指摘のとおり、我々の中でも検討がまだ十分でないところがありますので、ちょっとまた御相談させていただきながらということで考えております。

前田委員

件数がどんどんふえていくと、そちらの側も可能性が出てくると思いますので、よろしくお願いします。

竹田座長

ほかにございますか。

松田委員

今のご指摘と、もしかしたら関係するのかもしれないのですけれども、32ページで、昭和48年の最高裁の判例との関係について述べていらっしゃいます。そして、今回、単独申請に道を開くということで、48年判例と整合しない部分については、ライセンスビジネスを取り巻く状況が異なっている点ですとか、ライセンシー保護の要請が高まっているという点をあげていらっしゃいます。これは単独申請を導入するという限りにおいては、48年判例の射程が及ばないという狭い範囲で整理していらっしゃるのか。それとも、今読み上げた2点の状況の変化やニーズという観点からすると、単独申請を行う場面にかかわらず、広く、通常実施権を設定したのであれば、ライセンサーは、むしろ登録に協力する義務があると考える方が現在のニーズに合致しているという考え方を採用して今回、法改正に踏み込むということなのでしょうか。最終的には、昭和48年の最高裁判例が今回の改正後のライセンス実務に対しても及ぶかどうかは裁判所が決めることなのかもしれないのですけれども、今回、単独申請の導入に踏み切るということで、今申し上げた点について、事務局の整理としてどういうお考えだったのかという点だけ、もし何か検討しているようであれば教えていただけますでしょうか。

竹田座長

今の点どうぞ。

亀山審議班長

確かに登録協力義務というのは、単独申請とは離れて共同申請の場合の多分話だと思いますので、今回は原因の真正性を共同申請というところではなくて、公正証書というところで確認するという、そこをイコールに出すということですので、全体としても全く登録協力義務が発生するとかいうところまで踏み込んでいるつもりはあまりないのですが、ただ、確かにそこは判例なり、学説なりでどう整理されるかということだと思います。

松田委員

前田委員からご指摘があった解除の際の登録抹消の場面等も含めて、どうも共同申請が原則であることから使い勝手が悪いという部分が未だ多いのかなと思ったものですから、そのあたりも含めて、登録協力義務に関する最高裁判例についても、御検討の余地があればと思って申し上げた次第です。

竹田座長

私はこの報告書を読んでいる限りでは、最高裁判決を全面変更するのでなくて、公正証書によって双方当事者が通常実施権の設定登録をするという合意をしていることが明らかに証明できる場合には、その限度で協力義務が出てくるので、別に協力を得なくても登録が認められる。そういうことなのかなとは思っているのですけれども、それ以上に踏み込んであの判決全体の趣旨を変えるとなると、これはかなり大事かと思いますけれども。

中山委員

今の座長のお話との関係ですけれども、これは公正証書にする内容は、両当事者が登録をするということがわかる公正証書なのか、それとも通常実施権の契約がわかればいいのでしょうか、座長のお立場は前者ですか。

竹田座長

私は前者の趣旨に理解していたのですが、違いますでしょうか、その点は。

亀山審議班長

なるべく契約自体を確かに公正証書にするというのは、お金もコストもかかりますので、できればおっしゃったような趣旨で制度をつくっていきたいと思っています。ただ、そのときに許諾が確認できれば、それでいいという。

竹田座長

だからライセンス契約1本で、その1本のライセンス契約の中に設定登録をしますという条項が必要だ。それが公正証書になっている。

中山委員

それでいくと、48年判決よりも厳しくなりますね。48年判決は、契約があればいいわけですね。契約が公正証書にならなければいけないということになると、48年判決よりもっと厳しくなる。

竹田座長

そうですか。そういう契約をしてない限りは、共同申請ならばいつでもそれはできるわけですね。だけども、契約証書にこれは設定登録しますと書いてあれば、それだけで相手が履行しないでいる場合には、共同申請をするための手続が必要で、任意にいかなければ、裁判所に設定登録手続をせよという訴訟を起こして、判決をもらうわけですね。しかし、今度の改正でいけば、公正証書に設定登録をするということが書いてあれば、ライセンシーが単独でできるのだから、それはその方がかなり簡便だというふうに私は理解していたのですけれども。

中山委員

私の理解したのは、最高裁判決よりも、もっと登録義務を認めるような方向ではないか。つまり通常実施権の契約をしたということが公正証書て証明されればいいというふうに、そういうふうに聞いておりましたが、それは間違いでしょうか。

大渕委員

前回、そこは必ずしもはっきりしなかった面もあったかと思いますが、その意味では、今はっきりしはじめているのは大変よろしいことかと思います。たしか前回は引換給付のことがかなり気にされて、引換給付の機会を失うことになるのはおかしいのでないかということもいわれましたが、ある意味では同床異夢みたいことでもあったかもしれないので、そこはむしろしかるべき機会に明確化しておくことが重要ではないかと思います。あいまいなまま進んでしまうと大変なことになりかねませんので。

竹田座長

その点は明確でなかったこともわかりましたので、その点についても事務局に詰めていただくということにいたします。ありがとうございました。

鎌田委員

前回の議論、あるいはここに書いてあることは、座長の整理と違うのではないかという……。

亀山審議班長

我々の意識としては、登録する申請意思が公正証書になっていなくても、その原因というか、通常実施権でいえば、設定という事実が公正証書でわかれば、それで登録を単独で認めようという整理で議論をさせていただいているつもりでございます。

竹田座長

それでは私の理解が違っているということですね、今のお話ですと。

鎌田委員

ここの32ページの文章の中で一番気になっているのが下から4行目の末尾の「他方の登録申請意思に関わらず」、これはかなりはっきりいっているわけですね。だから極端に言えば、登録しませんという公正証書だって登録を認めてやるみたいな話になっちゃう。そういうことで前回、対価の引換給付の事例を出したので、対価の引換給付のこと自体を問題にしているわけではなくて、登録の対象となるべき権利変動があっても、当事者が登録をしたくないという意思を持っているときに、それでもなお登録をしていいときとそうでないときがあるのではないかということを問題にすべきだという趣旨です。この国際条約の読み方も2とおりあって、申請の方式として公正証書があるときは単独申請という申請の方式を認めるべきだということだけをいっているのだとすると、その場合には各国法の実体規定には手をつけないという趣旨だと理解できる。こういう前提でいくと座長のようなお考えになって、48年判決を前提にする限りは、48年判決は、設定者が登録してやろうというふうに思ってない限りは通常実施権の登録はできないのだというのですから、公正証書によって共同申請を単独申請に振り替えることができるとしたって、その公正証書の中に、登録をしてやろうという意思が表示されていないと登録をしてやらないというのが48年判決と整合的ですから、48年判決を維持するのだったら、ここは「他方の登録申請意思に関わらず」ではなくて、「公正証書が作成されているときには、登録申請意思があるものと推定して」とか、もっと極端にいえば、無理やり「登録申請意思があるものとみなして」というふうにしないと、48年判決の考え方と整合性がとれないではないですかということを申し上げたいのです。それに対して、どんなときでも公正証書を出しさえすれば、ともかく登録しなければいけないというのがこの条約の趣旨だというふうに考えているときには、各国法、内国法で通常実施権の設定登録について設定者の意思なんか問題にしちゃいけないという、それが条約の内容ということになりますから、それに従うためには48年の判例の原則は否定しなければいけないということになります。
この説明の全体のトーンは、どっちを向いているのかがはっきりしていないので、それをはっきりさせておかないといろんな問題で混乱するのではないということが、前回申し上げた点です。

竹田座長

その点で、おっしゃることは、確かにかなり大きなそこが問題になりますね。

大渕委員

今、鎌田委員が言われたところについては、私もそれに近い理解をしていました。たしか前回は、真実性及び真意性ということで登録の意思というのも担保しなければならないという趣旨ともなっていたのですが、今回は真実性ということで、むしろ中身自体の真実性が公正証書により担保されていればよいということが前面に出ているかと思いますので、むしろこの方向で、前回もおおむねそういう感じでしたし、今回もそういう形でまとめておられるのかなと思っております。真実性の担保が問題であって真意性というのは特に問題にしていないということであって、だから、要するに、引換給付を受ける機会を実際上失わせるといったことは避けるという点が図れれば、別に登録意思がはっきりと公正証書に出ているという必要性はないということで、今回、それに沿って事務局が紙をまとめられたのかなというふうに読んでいたのですが。

竹田座長

最後に確認しておきたいのですけれども、今の議論からすれば、結局公正証書に、通常実施権の設定登録をするという公正証書が存在すれば、単独申請を認めてよいという考えが大方の考えだ。その意味で最高裁判決は完全に変更される。それがこの委員会の大方の議論だというふうにまとめてよろしいのですか。

大渕委員

最高裁判決の事案は、別に、公正証書等を前提にしてないわけですから、その意味では、局面を異にしているのではないかと思いますが。

中山委員

形式には座長がおっしゃるとおりだと思うのですけれども、実質的には公正証書をつくらなければ単独登録できないわけですから、特許権者が公正証書をつくらないといえば、それは従来と同じように登録できない。そこで事実上はかなり特許権者の方の意思が担保されるということだろうと思うのです。
そうしませんと、例えば通常実施権というのはいろいろありまして、普通の契約によって成立する場合もあれば、黙示の許諾によって成立する場合もあれば、48年判決のように、たしかあれは特許の効力を争って、和解して、通常実施権を許諾して、そして登録するかどうかの条項がなかったというケースで、単独で登録させてくれという事件だったように思いますが、とにかく通常実施権には色々なタイプのものがあるわけですね。
だから公正証書であるという事実上の担保を置くことによって、形の上では48年判決を否定しているように見えるかもしれないけれども、実質はあまり変わらないという、そういう制度と私は理解をしていたわけですけれども。

竹田座長

わかりました。
あとはその点を事務局に詰めていただくことにして、時間を若干超過してしまいましたので、本日の議論はこの辺で終わりたいと思います。
本報告書案につきましては、本日の議論を踏まえて事務局で修正の上でパブリックコメントの手続を開始したいということになります。
必要な修正につきましては、いちいち皆さんにお諮りする時間もございませんし、恐縮ではございますけれども、座長である私の方に御一任いただければと思いますが、御異議ございませんでしょうか。


〔「異議なし」の声あり〕

竹田座長

ありがとうございました。
それでは、そのように手続を進めさせていただきます。
最後に、今後のスケジュールについて事務局から説明をお願いいたします。

間庭審議室長

次回の日程につきましては、既に御連絡させていただいてございますが、12月13日の木曜日の10時からということを予定してございます。2時間の予定でございます。
座長と相談させていただきましてパブリックコメントをかけたいと思いますけれども、パブリックコメントにおいて寄せられました御意見も参考にして、再度御審議いただきまして、本報告書案を最終的なこのワーキングの報告書としてとりまとめたいと考えております。
以上でございます。

竹田座長

それでは、時間となりましたので、以上をもちまして産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会の第4回通常実施権等登録制度ワーキンググループを閉会させていただきます。
本日はどうもありがとうございました。

閉会

竹田座長

それでは、以上をもちまして産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会の第4回通常実施権等登録制度ワーキンググループを閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

[更新日 2007年12月6日]

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