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第5回通常実施権等登録制度ワーキンググループ 議事録

  1. 日時:平成19年12月13日(木曜日) 10時00分~12時00分
  2. 場所:特許庁 特別会議室
  3. 出席委員:竹田座長、浅井委員、梅原委員、大渕委員、鎌田委員、中田委員、長濱委員、前田委員、松田委員、守屋委員
  4. 議題:通常実施権等登録制度ワーキンググループ報告書案について

開会

竹田座長

それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会の第5回通常実施権等登録制度ワーキンググループを開催いたします。
これまで全4回にわたり御審議をいただき、皆様から御意見を頂戴いたしました。本日は、これまでの議論を踏まえて作成されました報告書案について、パブリックコメントにおいて提出されました意見等についての考え方を整理いたしますとともに、本ワーキンググループとして取りまとめる報告書案について御審議いただきたいと思います。
それでは、まず事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

間庭審議室長

配布資料の確認をさせていただきます。
資料1として「通常実施権等登録制度ワーキンググループ報告書(案)」に対する意見募集の結果について。資料2-1として「特許権等の活用を促進するための通常実施権等の登録制度の見直しについて」(案)。資料2-2として同(案)の概要でございます。資料3として前回の議事録でございます。参考資料として参照条文を添付させていただいております。
以上5点でございます。よろしゅうございますでしょうか。不足等ありましたらおっしゃっていただければと思います。
議事録につきましては、既に皆様の御確認をちょうだいしているものを配布させていただいております。
以上でございます。

報告書案に対する意見募集の結果について

竹田座長

それでは、早速議題に入らせていただきます。
本日は、まず前半では報告書案についてパブリックコメントで提出された主な御意見の紹介とその考え方について、後半では前回の委員からの御意見やパブリックコメントも参考にして修正された報告書案について、それぞれ御審議いただきたいと思います。
初めに、パブリックコメントの結果について事務局より説明をお願いいたします。

亀山審議班長

それでは、お手元資料1、報告書案に対する意見募集の結果に沿ってパブリックコメントについて提出されました主な御意見とその考え方について御説明させていただきます。
まず、パブリックコメントは、11月1日から11月30日までの1カ月間で行いました。15の団体等から御意見を頂戴しております。
資料1ページ目でございますが、全体についてというところです。
項番1、寄せられた意見の概要でございます。通常実施権等登録制度についての見直しにより、登録制度の利用の拡大につながると考えられるという意見がございました。
また、項番3でございます。通常実施権を登録しないことにより、実際にどのような問題が生じているかという御意見もございました。
これに対する考え方でございますが、国境を越えたM&Aの活発化等によって、特許権等の移転が増加してきており、ライセンシーが従来のライセンス契約に基づいて事業を継続できなくなるというリスクが高まっているのが現状であると認識しております。
次に、第2章、1.出願段階におけるライセンスに係る登録制度についてというところでございます。
1にございますように、制度の創設への賛成意見がございました。
1枚おめくりいただきまして項番の4でございます。出願公開前の特許出願の存否及び内容は秘密事項であり、権利の公示という制度と相容れないと考えられるという御意見もございました。
これについては、今般検討しております登録制度では、発明の名称、内容は登録事項とはしないということで考えておりますので、特段問題はないのではないかと考えております。むしろ出願公開の前後を問わずライセンス許諾の実態があり、その保護ニーズが強いことを踏まえ、出願後であれば、出願公開前であってもその登録を認める方向で検討しております。
続きまして項番6のところですが、出願段階におけるライセンスの法的性質として、不正競争防止法の差止請求権は、特許権のそれと異なる要件の充足により発生するものである。したがって、誤解を招くことは避けるべきという御意見がございました。
ここにつきましては、御指摘も踏まえ、ややその記述に不正確な部分もございましたので、報告書案を修正させていただきました。
8番及び次のページの9番のところでございますが、補正、分割があった場合でも出願の内容とライセンス契約上の権利が合致する範囲で登録の効果を主張できるとする案については、賛否両論ございます。
これについては、報告書案にございますとおり、分割出願の前後で特許を受ける権利の実質的な同一性が保たれていると考えられますので、ライセンシー保護の観点から、補正、分割後の出願にも効力を適用させることが必要というふうに考えております。
1枚おめくりいただきまして項番10のところでございます。通常実施権及び専用実施権の事前登録された特許出願の取下げ、放棄については、実施権者の承諾を必要とするべきであるという意見が多数ございました。
これらの意見も踏まえて、出願の取下げ、放棄を行う際には、ライセンシーの承諾を要件とする方向で検討したいと考えております。
1枚おめくりいただきまして4ページでございます。下のところで、2.特許を受ける権利の移転等に係る登録制度について。
まず項番の1と2のところですが、出願後の特許を受ける権利の特定承継について、登録制度を導入することに賛成するという御意見がある一方で、制度利用者の負担が過度にならないような制度設計を希望するという御意見もいただきました。
この御指摘も踏まえて、今後、具体的な制度設計について、利用者の負担が過度とならないように十分留意しながら検討したいと考えております
1枚おめくりいただきまして、5ページ目の一番下の項番の9でございますが、処分の制限の登録がされている特許を受ける権利について、特許権の設定登録に至った場合は、当該特許権に対しても処分の制限の効力が及ぶものとするという考え方に賛成するという御意見がございました。
この点は、前回のワーキングの後、我々も関係省庁や法律専門家の方々とも議論させていただきましたが、特許権は独占排他的な権利である一方で、特許を受ける権利は特許権の付与を国家に請求し得るという性質のものですので、権利の性質が異なることから、処分の制限がされている特許を受ける権利が特許権の設定登録に至った場合に、その効力が当然に及ぶものとすることは難しいとの考え方に変更させていただいております。
6ページ目でございます。まず10番のところですが、処分の制限が登録された特許出願の補正、分割等の主張について、差押債権者等の同意を要することとしてはどうかという御意見がございました。
これは、補正・分割は審査官の拒絶査定を回避する方法として使われることもございますので、その差押債権者等の承諾を要することは、出願人にとって過度に重い制度になるおそれがあると考えております。
次の11番目のところですが、分割出願については新たな出願であって、原出願に対する処分の制限が自動的に及ぶものではないという御意見もございました。
これは先ほどのライセンスの場合と同様に考えまして、分割前後で特許を受ける権利の実質的同一性が保たれていると考えられますので、差押債権者等の保護の観点から、登録の効力を適用させることが必要と考えております。
その下でございます。12番、13番目のところですが、処分の制限が登録された特許出願の取下げ、放棄についてでございます。これは差押債権者の承諾を要件とすることについて、これも賛否両論ございます。
これもライセンスの場合と同様に、差押債権者等保護の観点から、処分の制限が登録された出願の取下げ、放棄は、差押債権者等の承諾を要件とする方向で検討しております。
1枚めくっていただきまして、第3章、1.登録記載事項についてというところでございます。
まず項番1でございますが、対価を登録事項から除外するということへの賛成意見がございます。
他方で、2番目のところでございますが、対価に関する事項については任意的登録事項とし、登録した場合には第三者対抗力を具備するとの制度を存続することも検討するべきであるという意見がございました。
これに対する考え方ですが、対価については、現行制度でも、登録した場合の効果については明確でないこと。また、対価は、経済状況に応じて変動することも多い。そういう実態を踏まえて、任意の登録記載事項としてもこれはなじまないのではないかというふうに考えております。
1枚おめくりいただきまして、2.登録記載事項の開示についてというところでございます。
1番目で、通常実施権の登録記載事項について、一般的には非開示として一定の利害関係人のみ開示するとしたのは、実務のニーズに合致しているという御意見をいただいております。
他方、3番目のところでございます。特許権を譲り受けようとする者が、その特許権に付随する登録した実施者の内容等を確認することができない状況は、中小企業等にとって取引の安全を害するのではないかという御意見もございました。
この点は、中小企業、法人同士で取引を行う場合でも、特許流通アドバイザーやいわゆる専門流通業者を活用することで、デューデリジェンスを行うことも期待できますが、このような御指摘も踏まえて、今般の段階的な開示制度については、利用者が適切に活用できるよう、今後十分な周知活動を行ってまいりたいと考えております。
9ページ目でございます。下の方に8、9、10とございますが、このあたりで、登録情報の開示を受けることのできる利害関係人の範囲について御意見がございました。
この利害関係人の範囲については、ほかの法令における例もございますので、そういったものを参考にしながら、実効性のある制度を構築できるよう今後検討してまいりたいと考えております。
10ページ目でございます。3.登録の申請方法の在り方についてというところでございます。
まず項番の1と2のところでございますが、「ライセンサーの登録申請意思に関わらず登録を認める」ということになれば、一方当事者が秘密保持の観点で登録申請を避けたい場合には、かえって混乱が生じることになるという御意見がございます。
また、特約がない場合は、ライセンサーからライセンシーに対する登録請求権を認めていないという最高裁判例にも反するといった反対意見も出ております。
他方で、3にあるように、単独申請の導入についての賛成意見も出ております。
これにつきましては、後ほど報告書案の中で詳しい説明があると思いますが、単独申請導入の必要性、妥当性については、産業界への影響、またその特許法条約との関係、その状況を踏まえて、引き続き検討していくこととしております。
1枚おめくりいただきまして、第4章、1.サブライセンスの保護のあり方についてでございます。
1番目で、一定の場合には、サブライセンシーが通常実施権の登録を備えることができるとする報告書案に賛成するという御意見がございました。
もう1枚おめくりいただきまして、12ページ目の上の項番の4のところですが、サブライセンスに係る授権の特約に関する登録のみによってサブライセンシーについて特定せずに、サブライセンスが保護される制度の導入が積極的に検討されるべきという意見も多数ございました。
この点については、報告書にもございますとおり、サブライセンシーを特定する必要性も含めて、その実態把握、法制的な議論を深めながら今後検討してまいりたいと考えております。
その下、2.の登録の効力発生日についてでございますが、まず1番目、登録の効力発生日を登録申請受付日とすることに、賛成するという御意見を複数いただいております。
あと一番下のところ、最後に、今回の登録制度の見直しの議論の対象ではございませんが、御意見をいただいておりますのは、将来的には、ライセンスの存在を立証すれば、登録なしにライセンスの保護を可能とする、いわゆる当然保護制度の導入を希望するという御意見がございました。
これについては、我が国の特許権等の流通やライセンスの状況、今回見直しを行う制度の運用状況を勘案して、引き続き検討が必要な課題というふうに考えております。
私の方からは以上でございます。

竹田座長

ありがとうございました。
では、以上の説明を踏まえまして、御質問や御意見がありましたら御自由にお願いいたします。いかがでしょうか。
特にございませんですか。

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通常実施権等登録制度ワーキンググループ報告書案について

竹田座長

特に御質問等ございませんようですので、後でこれは本日の次第である報告書案の御審議に関連することですので、そこでまとめて御意見を出していただいて結構だと思いますので、次に、本ワーキンググループ報告書案について事務局から御説明をお願いしたいと思います。

間庭審議室長

御説明いたします。お手元の資料2-1でございます。前回の第4回目の素案を修正しまして、その後パブリックコメントにかけさせていただいて、ただいま御紹介したような意見をちょうだいしまして、なおかつ委員の皆様方の意見も拝聴した上で、今回取りまとめさせていただきました。本日これについて御審議いただきたいと思っております。変更点を中心に御説明させていただきます。
まず表紙で、タイトルをつけさせていただきました。「特許権等の活用を促進するための通常実施権等の登録制度の見直しについて」というタイトルでございます。
1枚めくっていただきまして、開催経緯を書いてございます。
次にまた1枚めくっていただきまして、目次がございまして、1ページ目、第1章でございますが、第1章は背景で、ここについては若干の字句の修正のみでございます。説明については省略させていただきます。
第2章が9ページ目になります。ここから中身でございますが、第2章は出願段階における登録制度の創設ということで、1.として出願段階におけるライセンスに係る登録制度について、これを創設しようというものでございます。
おさらいも兼ねますけれども、10ページ目の、対応の方向の1)のライセンスの法的性質でございますが、通常実施権の事前登録の場合、停止条件付きの通常実施権というものを中核とし、11ページ目に続きますけれども、そういう性質に加えて、特許法65条1項に規定する補償金の請求を受けないで発明を実施できるという性質が含まれている。
ここで、第4回目の資料では、出願公開前について、不正競争防止法上の差止請求権という性質というのも書いていたところでございますが、パブコメの意見にもございましたとおり、不競法の差止請求権というのは、特許法のそれとは要件が異なる点もございますので、これは不正確だということで記載は落としてございます。
あとここで、通常実施権が債権的な権利であるとされていることから、停止条件付きの通常実施権を中核とする権利についても債権的な権利と解することが適当である。ここの部分は変わっておりません。
次に専用実施権の事前登録の場合でございます。これは停止条件付きの専用実施権に加えて、特許法上の補償金の請求を受けないで発明を実施できるという性質が含まれている。不競法の記載は落としました。
前回と変わった点でございますが、その下、2段目になるわけですが、停止条件付きの専用実施権を中核とする権利は、特許権が存在していないため未だ独占排他性を有するものではないが、専用実施権が物権的な権利とされている以上、特許権が設定登録されれば専用実施権となるべき権利についても物権的な性質を有するものと解することが適当である。
パブコメ案では、債権的効力というふうにしておりましたが、この点は後の破産法との関係で、効果の点で破産法との関係で違ってくるわけなのですが、その考え方を変更して、条件が成就すれば専用実施権となる権利も物権的な性質を有する強い権利であるというふうに、これを位置づけることといたしております。
次に、2)の制度の基本的な考え方。この部分はおさらいになるのですが、簡単に読み上げますと、以上のような出願段階におけるライセンスの性質を踏まえ、特許権の設定登録を停止条件とする通常実施権又は専用実施権を中核とする権利を創設し、出願番号により対象を特定した当該権利について登録制度を新たに導入することが適当である。当該登録がなされている出願について特許権が成立した場合には、当該特許権に係る原簿において、特許庁が通常実施権又は専用実施権の登録を行うものとするということでございます。
次の2段目で、停止条件付き通常実施権又は専用実施権を中核とする権利は、移転可能な財産権として位置付け、また、ここはちょっと書き加えたのですけれども、特許を受ける権利が共有に係るときは、他の共有者の同意を得なければ許諾できないこととする。これは特許権の場合と同様でございます。
出願番号を基礎とする登録原簿の作成は、行政効率等の観点から、出願がなされたときではなく、登録の申請があった場合に行うことが適当である。登録記載事項については、特許の場合と同様とするということでございます。
出願公開前に登録簿を作成する場合も想定し、発明の名称や内容については登録記載事項としない。
次の段落はパブコメにもありましたけれども、これは自己責任によって利用し得る制度である。特許出願というものは、特許査定に至らないものも多く、不安定な性質を含むというものでございますので、自己責任により利用し得る制度であることを十分に周知徹底することが必要である。
制度を創設された暁には、特許庁としましても、そういった周知は徹底させていただきたいと考えております。
次は登録の効果でございますが、この点は前回以降、法務省とも調整を進めてございます。まず通常実施権の事前登録の場合については、前回とラインは変わっておりません。1段目の最後の方に書いてございますが、出願段階におけるライセンスに係る登録を備えた者は、特許を受ける権利の譲受人等の第三者に対して、特許権成立前であっても登録した内容を対抗できることとすることが適当である。
また、特許を受ける権利を有する者が破産した場合に、これは特許権成立前であっても、破産管財人によりライセンス契約を解除されないという効果を得ることが必要でございまして、出願段階のライセンスに係る登録がなされた場合には、破産法56条1項の適用を受けることとすることが適当である。
この方向で制度を組みたいと考えております。
次に13ページ目ですが、専用実施権の事前登録の場合でございます。ここについては破産法との関係もあり法務省とも調整してございまして、先ほどのように停止条件付きの専用実施権が物権的な性質を有する強い権利であるということとなりましたので、ここについては前回と内容が変わっております。
読み上げさせていただきますと、上述のとおり、停止条件付き専用実施権を中核とする権利は物権的な性質を有する権利と解されることから、専用実施権など特許法上の他の物権的な権利と同様に、その登録を効力発生要件とすることが適当である。
これは前回は、第三者対抗要件にとどめるというふうにしていたところでございますが、今回は、効力発生要件としたいと考えております。
引き続いて読み上げますと、この場合、特許を受ける権利が移転しても、専用実施権の事前登録を備えた者がライセンス契約に基づき事業の準備や実施を継続することが可能となる。なお、特許庁の登録実務としても、停止条件付き専用実施権を中核とする権利の存在を把握した上で特許権の成立と同時に専用実施権の登録を行わなければならないことから、停止条件付き専用実施権を中核とする権利を設定した場合は、効力発生要件として必ず登録を行わせる必要がある。
次に破産法上の効果でございますが、また、停止条件付き専用実施権を中核とする権利は物権的な性質を有するものであるが、物権的権利はこれを設定してしまえばそれ以上履行すべき債務が残らない。したがって、当該権利を設定する契約は破産法53条に規定する「双方未履行の双務契約」には含まれず、破産管財人から契約を解除されることはないものと解される、ということで制度を組みたいと考えております。
下の方にそれを簡単にまとめた表のようなものがございますが、通常実施権、あるいは停止条件付き通常実施権を中核とする権利、これらについては権利の性質は債権的な権利であり、登録の効果、これは第三者対抗でございまして、破産法53条ないし56条の適用については、これはあるということでございます。
他方、専用実施権、あるいは停止条件付き専用実施権を中核とする権利、これらについては物権的な権利であり、登録が効力発生要件であり、破産法53条、56条の適用はないというふうに、ある意味すっきりとした整理を今回することとした次第でございます。
次でございます。14ページ目の4)で特許出願の補正及び分割についてでございます。この部分については、内容は前回と変わらず、ライセンスの事前登録の効果が補正された場合とか分割後の出願にも、これは及ぶという結論自体は変わっておりません。
その理由について記述を膨らませました。何で及ぶのかという理由でございまして、ここにございますように、補正については、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲が縮減することや、新たな特許請求の範囲が追加されることがあり、出願の具体的な内容が変容するという側面を有する。しかし、補正をするときは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてすることが必要であり、新規事項を追加することは禁止されている。
すなわち、新たな特許請求の範囲が追加される場合であっても、それは、既に明細書又は図面の記載に含まれていた内容のものに限られる。また、特許権成立後は、独占排他権の範囲は、特許請求の範囲に限られるが、特許権成立までの出願段階における特許を受ける権利の範囲は、一時点の特許請求の範囲に限定されるものではなく、最終的に特許権が成立する可能性のある当初の明細書及び図面に記載した事項まで含めた範囲によって画されるものと解される。
したがって、補正により新たな特許請求の範囲が追加された場合も含め、補正がなされた場合は、その前後において特許を受ける権利として実質的な同一性は保持されていると考えられることから、その効力が及ぶということでございます。
分割についても、原出願の一部について行うものであり、具体的には、原出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてすることが必要である。したがって、補正の場合と同様、実質的な同一性は保持されていると考えられるところでございますので、効力は及ぶというふうに理由の部分を膨らませたところでございます。
14ページ目の下に、特許出願の放棄・取下げ等について。この部分は先ほどのパブコメにもございました。前回の委員の意見にもございましたし、また、パブコメの方でも産業界を中心にそういった意見もございましたので、この部分については前回、放棄・取下げについて、ライセンシーの承諾は必要ないとしていたところでございますが、今回新たに、やはりこれは必要とすべきではないかという記載になっております。
通常実施権等の事前登録がなされた出願について出願人が自由に放棄又は取下げができることとなると、登録を備えたライセンシーの利益を害するものと考えられることから、特許権の放棄に倣って――現在、特許権の放棄についても、通常実施権者の承諾を要しているところでございますが、特許権の放棄の例に倣って、出願の放棄又は取下げについては登録されたライセンシーの承諾を要件とすることが適当である。
また、優先権主張を伴う出願とか、あるいは特許出願を実用新案の出願、あるいは意匠の出願へ変更する場合、こういった場合、もとの出願はみなし取下げとなりますことから、これらについても同様にライセンシーの承諾を要件とすることが適当であるというふうにしてございます。
6)の出願段階における実用新案権のライセンスの登録制度は設けないという結論で、前回と中身も変わっておりません。
次は、特許を受ける権利の移転等の登録制度でございます。これについては、対応の方向、17ページ目でございます。まず特許を受ける権利の移転について、これについては内容の変更はございません。現行の届出制を新たに登録制にするということでございまして、おさらいにはなりますが、17ページ目の一番下、以上を踏まえればのところでございますけれども、特許出願後における特許を受ける権利の特定承継について、効力発生要件としての登録制を導入することが適当である。登録対象となる出願番号について、出願段階におけるライセンスに係る登録がなされている場合には、同一の登録原簿に登録することとする。
18ページ目の上の3行でございますが、パブコメにもございましたように、私どもとして制度利用者の負担について、必要最小限となるような制度設計をしていきたいと考えております。
次に、18ページ目の2)の特許を受ける権利の処分の制限について。これについて今回登録制度を創設する。その結論自体に変更はございませんが、制度設計に当たっての考え方に今回一部変更がございます。
まず、特許を受ける権利と特許権の関係でございます。ここは前回の案ですと、特許を受ける権利に処分の制限の登録をしたら、その特許を受ける権利が特許権になった場合、当然それにも処分の制限の効力が及ぶとしていたわけでございますが、これについて本当にそうなのかという疑問もございまして、この部分については記載ぶりを変えてございます。
特許を受ける権利と特許権とは、前者が後者に変化するものであることから、一定の連続性があるものの、前者は特許権の付与を国家に請求し得るという性質の権利である一方で、後者は国家から付与された独占排他的な権利であり、権利の性質が異なる。このため、処分の制限の登録がされている特許を受ける権利について、特許権の設定登録に至った場合に、当該特許権に対しても処分の制限の効力が当然に及ぶとすることは難しいと考えられる。他方で、差押債権者保護の観点から、特許を受ける権利に対する処分の制限の効力はその後設定登録により発生した特許権にも及ぶこととすべきとの意見もあり、またこの点は、特許を受ける権利に対する担保権の設定の問題とあわせて議論すべき論点でもあることから、今後、知的財産に対する民事執行や金融の実務も十分踏まえながら検討していくことが適当であるというふうに、大変申しわけございませんが、これは今後の課題として積み残しているところでございます。
次に19ページ目、特許出願の補正及び分割について。出願が補正された場合、あるいは分割後の出願にも処分の制限の効力が及ぶという結論、そのこと自体には変わりませんが、これも先ほどと同じように、何で補正後のもの、分割後のものにまで及ぶのかの理由を補強させていただいております。中身は先ほど読み上げたものと変わりませんので省略させていただきますが、同じように理由づけをしっかり書いているところでございます。
次は、特許出願の放棄・取下げ等について。これについても、前回の案と異なりまして、放棄・取下げについて、これは差押債権者の承諾を必要とすることにしてございます。理由は先ほどのとおりなのですけれども、出願人が自由に放棄、取下げできることとなると、差押債権者等の利害を害するものと考えられることから、出願の放棄又は取下げについてこれらの者の承諾を要件とするなど、差押債権者等の保護を図るための措置を講ずることが適当である。また、優先権主張とか、特許出願を実用新案や意匠の出願に変更する場合にも、同様に差押債権者の承諾を要件とするなどの措置を講ずることが適当であるということでございます。
次に、実用新案登録を受ける権利についてです。移転の場合の登録制度、あるいは処分の制限の登録制度は導入しないという中身は前回と変わっておりません。
21ページ目、第3章、通常実施権等登録制度の活用に向けた見直しということで、まず登録記載事項をどうするのか。この点についても内容に変更はございません。
22ページ目の対応の方向で、特許権に係る通常実施権についてというところで、通常実施権者の氏名等及び通常実施権の範囲を必要的登録事項とするということでございます。
23ページ目以下でございますが、通常実施権の対価に関する事項の扱いをどうするのか。この点については、パブコメで任意的記載事項にすべきではないかという意見もいくつかございましたが、この対価については必要的記載事項から除外することが適当であると。対価の変動する性質、あるいは通常実施権1件当たりの対価がなかなか算定できないのではないか。任意的登録事項とした場合でも、その登録の効果が第三者対抗力を有するのか否か判然としないということもございまして、これについては任意的記載事項ともしないで、登録事項そのものから外すということでございます。この点については、改正産活法でも対価は記載事項とはそもそもされていないということもございます。
次に、通常実施権の独占性の合意ですけれども、結論として、24ページ目でございますが、ここも変わっておりません。24ページ目の一番最後の行ですけれども、今後、独占的通常実施権や専用実施権の実態を十分踏まえた上で検討していくことが必要であるということで、今後の検討課題とさせていただきたいと考えてございます。
次は、25ページ目のサブライセンスに係る特特許権者の授権について。これは前回ここに書いていたのですけれども、後ろの方のサブライセンスの保護のあり方の部分で書かせていただくというふうに場所を変えてございます。
次に、2)、3)で特許権に係る専用実施権、実用新案権に係る通常実施権・専用実施権、これらについても対価を登録事項から除外するということで考えてございます。
25ページ目の2.の登録記載事項の開示についてでございますが、これについても内容に変更はございません。
対応の方向は、27ページから28ページ目にかけて書いてございますけれども、28ページ目の最後の段落にございますように、通常実施権者の保護強化を図る見地から、登録記載事項のうち秘匿ニーズの強い「通常実施権者の氏名等」及び「通常実施権の範囲」については、一般には非開示とし、一定の利害関係人にのみ開示することが適当である。利害関係人の範囲については、動産・債権譲渡特例法や改正産活法の例を参考にすれば、通常実施権許諾者、通常実施権者、対象特許権等の取得者、質権者、差押債権者、仮差押債権者、管理処分権者とすることが考えられる。ただし、登録原簿は特許権ごとの編成になっていることから、通常実施権者については、当該者の有する通常実施権に関する部分のみ開示が受けられることとすることが適当であるということでございます。
30ページ目の2)特許権に係る専用実施権の登録制度。ここについても前回と中身は変わっておりません。通常実施権と違って専用実施権というのは、第三者にとって影響が大きいことを考えれば、通常実施権の場合と異なりまして、公示の必要性は高いということで、登録記載事項はすべて開示するという現行制度を維持すべきであるということでございます。
3)が出願段階のライセンスに係る登録制度についてでございますが、ここも結論は変わっておりませんが、最初の1段目だけだとわかりにくいという指摘もございましたので、2段目にかみ砕いて書かせていただいております。通常実施権の事前登録の登録記載事項は、通常実施権そのものの登録記載事項と合わせてライセンシー名やライセンスの範囲は一般には非開示とする。専用実施権の事前登録の場合は、専用実施権そのものの登録記載事項に合わせてすべて開示するというふうにしたいと考えております。今回、停止条件付きの専用実施権を中核とする権利を物権的な性質を有するというふうに考え方を変えたことからも、出願段階のものでも全部開示するというのがむしろ整合的だというふうに考えてございます。
実用新案の実施権の登録制度は、これは特許権と合わせるというふうに考えております。
次に、30ページ目は登録申請方法の在り方についてでございます。これは単独申請の適否について御議論いただいたわけでございます。前回の案について申し上げますと、単独申請を導入すべきだという話でございます。これについてはパブリックコメントでは賛成の意見もございましたし、反対の意見もございました。
ここについては、私ども誠に申し訳ないのは、公証制度のところの理解が前回の時点で不十分な部分がございまして、結論として公証人の認証のある謄本とか抄本というものは、ライセンサーとライセンシーの契約当事者2人が公証役場に行って取る必要はなくて、ライセンシーが単独で公証役場に行って、契約書とそのコピーを持って行って認証してくださいと言うと、公証人が認証してくれる。要するにライセンシーの単独行為で公正証書というものが取られるということ、ここにライセンサーの登録意思は介在しないということでございました。
こういったところで私ども改めて先月いろいろな業界団体の方からも意見を聞いたわけでございますが、結論としては、今回は単独申請そのものの導入は見送った方がよろしいのではないかと考えております。
この報告書の中身について読み上げさせていただきますと、1段目は変わっていないので省略しますが、2段目、この場合、通常実施権許諾者の意思にかかわらず登録が可能という点においては、単独申請の導入と通常実施権許諾者に登録申請義務を課すことは同じであることから、「当事者間における特約がない限り通常実施権許諾者に登録申請義務はない」という前述の判例の考え方を変更することになる。すなわち、通常実施権は債権的な権利であり、その具体的な内容は当事者間の契約により設定されることから、特約がない限り、通常実施権は許諾者の意思にかかわらず第三者対抗力を備えられる権利ではないという、従来の通常実施権の考え方を変更するものである。この点については、この判例が出された当時と現在ではライセンスビジネスを取り巻く状況は大きく異なっており、近年の通常実施権者の保護の要請の高まりを踏まえ、政策的必要性が認められる場合には、通常実施権は当事者間の合意にかかわらず第三者対抗力が認められるものと権利の考え方を変更し、通常実施権者のみにより通常実施権の登録を備えることができるという道を開くことは可能と考えられる。
しかしながら、このような単独申請の手法を認めた場合、通常実施権の第三者対抗力の具備についての選択権を通常実施権許諾者には認めないこととなるため、一部には通常実施権許諾者の立場として懸念を示す見方もあり、現時点で産業界や法律家等のコンセンサスが十分に得られている状況とは言い難い。
また、こちらももっと詰めなければいけないところなのですが、そのコンセンサスを形成する前提として、「申請の原因を証するものとして認証のあるもの」の具体的な範囲、あるいは原因書面に通常実施権の設定条件(例えば「対価の支払いと引き替えに設定する」など)や単独申請を禁ずる旨の定めがある場合の扱い、単独申請による登録抹消についての具体的手続、登録抹消についても単独申請ができるようにしなければいけないのではないか、そのとき原因書面とは何なのか、という話もございます。そういった論点についても、なお議論を尽くすことが必要である。
次の段落は、例の特許法条約では単独申請が認められている。行く行く条約に加入するとしたら、我が国も国内法上、単独申請を手当てしなければいけないということでございます。
そういった事情を加味いたしまして、公証制度を活用した単独申請の導入については、今後、我が国の特許法条約への加入について議論する中で、改めて検討することが適当と考えられるということで、特許法条約のスケジューリングはまだ定まっておりませんが、国際調和という意味では重要な条約だと特許庁も考えておりますので、その加入の可否について今後検討していく中で、単独申請という論点についても関係者の皆さんに御議論いただいて、特許法条約の国内法の手当てのほかの項目と合わせて議論していきたいということでございます。
次は、34ページ目のその他でございますが、サブライセンスの保護の在り方についてでございます。
34ページ目の下に対応の方向がございます。まず、登録申請における運用の見直しについて。ライセンサーがいて、ライセンシーがいて、サブライセンシーがいて、ここの部分は運用でライセンサーとライセンシーの原因書面を求めていたものを、サブライセンスの場合はライセンサーとライセンシーのサブライセンスの授権を証する書面と、ライセンシーとサブライセンシー間のサブライセンス契約を持ってきたら、運用で登録を認めることとする。その内容は変わってございません。
次に、2)のサブライセンスに係る授権の特約の登録について。この部分については、先ほどのパブコメでもございましたように、産業界や実務家のニーズが非常に大きいところでございました。この部分についてはいつも苦しい答弁になってしまうわけでございますが、結論においては、法制的に通常実施権制度を今とっているわけなのですけれども、これはある意味、契約の対抗制度、通常実施権の範囲をやや超えた感のある、契約の対抗制度に一歩踏み出すようなものでありまして、法制的な議論が非常に必要となってくるものでございまして、この部分について今すぐやりますよということはなかなか難しい状況でございます。
ぜひ御理解いただきたく、この部分についておさらいになりますが、読み上げさせていただきますと、1段目は、具体的なニーズが存在するということでございます。しかしながら、99条1項で登録した場合に「その効力を生ずる」と規定しているのは「通常実施権」であり、ライセンス契約における特約を登録記載事項としたときに第三者対抗力を具備するかについては議論のあるところである。特に、サブライセンスに係る特許権者の授権の特約については、必ずしも通常実施権の設定とは直接関係がない(通常実施権の存在を前提としない)ことから、それを登録記載事項としたときに第三者対抗力を備えるかどうかについては必ずしも明確ではない。
また、特約の登録によって具体的に特定されていないサブライセンシーまで保護するとした場合、特許権を譲り受けるとする者等が、法的監査(デューデリジェンス)によって実際のサブライセンシーや将来のサブライセンシーとなり得る者についてすべて特定することは困難と考えられ、特許権の取引の安全を害するのではないかとの指摘もある。
したがって、サブライセンスに係る授権の特約を任意的登録記載事項とすることについては、サブライセンシーを特定する必要性の有無も含め、今後、このような特約の実態や特許権の取引への影響等を勘案しつつ、法制的な議論をさらに深めながら、引き続き検討を行っていくことが適当である。
若干表現ぶりは変わっておりますが、結論としては、引き続き検討ということでございます。
次に、この類型の表とかこの辺は変わっておりませんで、最後、39ページの登録の効力の発生日についてでございます。この点については、登録申請受付日を登録日とみなすという制度改正――制度改正になるのか運用改正になるのかまだ判然としていないところですけれども、これについては変更ございません。
記載ぶりとして、40ページ目の一番最後に、なおということで、これらの措置と併せて、登録実務の効率化を図るなど、登録申請を受け付けてから実際に登録がされるまでの期間の短縮化に努めることが必要であるということで、この部分については我々特許庁の方の話でありますけれども、我々としても短縮化に努力したいと考えてございます。
以上、報告書を変更点を中心に説明させていただきました。ありがとうございました。

竹田座長

どうもありがとうございました。
それでは、以上の説明を踏まえて議論に移りたいと思います。御自由に御意見をお願いいたします。
どうぞ、梅原委員。

梅原委員

章順ではなくて場所はどこでもよろしいのでしょうか。

竹田座長

はい。

梅原委員

14ページの出願権の5)のところです。放棄、取下げについて、今回、差押権者とライセンシーの同意を必要とするように改められたわけですけれども、これについて、特に差し押さえの場合については理解できなくはないなと思うのですけれども、ライセンス、利用関係においては、特許権にあわせてと書いてあるのですけれども、特許権と出願権についてはここに記載されておりますように性格が異なっているものですので、特にライセンサー、ライセンシーの関係において、ライセンサー側の方が公開前のものについて取下げて出願の内容を変更する、それから、ノウハウとして確保したいと思うような知財戦略そのものにかかわる場合についてまでライセンシーの同意がないといけないということになりますと、ライセンスしたくないということで制度に逆行するのではないかという懸念がございまして、少なくとも特段の事由がない限りとか、特段の定めがない限りというようなことで、契約においてある程度のケアができるような余地を残していただきたいと思っております。
以上です。

竹田座長

今の点について何か委員の方から御意見ありますか。
それでは、事務局の方からお答えいただけますか。

間庭審議室長

今回、承諾を要件とした方がいいのではないかという意見が強かったので、このように修正したわけですけど、ほかの委員の方々から反対意見がなければ、事務局としては委員の意見を尊重する立場でございます。ただ、我々は最後は法律の条文にしなければいけない立場ですので、特約がない限りといった書き方が可能なのかどうなのか考えなければなりませんが。

亀山審議班長

法制的な議論は進めながら考えていかなければいけない部分がありますけれども、特許権と特許を受ける権利は確かに性質が違うところはありますけれども、通常実施権と事前の停止条件付きの通常実施権というところで、財産権的な側面も変わらずあると思っております。だから、これはライセンサーの立場を重視するか、ライセンシーの立場を重視するかというバランスの問題だと思います。前回これは別の、中山先生だったと思いますけど、そのライセンシーが全く承諾というか、交渉する機会もなく取下げられてしまうのは、それは制度として不完全ではないかという御意見もございましたので、したがって、こういう案にさせていただいていると。パブコメでも、数の問題ではないですけれども、ここは承諾を入れた方がいいという意見も結構複数出ておりましたので、そういうことを考えれば今の我々の案の方がいいのかなと思ってはいるのですが、そこはぜひ御議論いただきたいところでございます。

竹田座長

今回の通常実施権の設定登録制度の改正の一つの大きな点は、特許を受ける権利についてのライセンス契約を保護するために、特許を受ける権利についての段階での設定登録を認めようということにあるのだと思います。まさにバランスの問題を考えなければならないと思いますが、その段階でのライセンス契約を保護するということになれば、取下げ、放棄等によって対象たる権利が消滅してしまうことについて、やはりライセンシー保護の立場から、ライセンシーの同意を必要とするという意見がパブコメの結果を見てもかなり多いということは言えると思います。この点は前回と報告書案が変わったところでもありますので、委員の方々からの意見を。
松田委員どうぞ。

松田委員

今、本件は「バランス」の問題という御指摘があったと思いますので、これに関連して2点ほど確認させていただきたいと思います。1つは、承諾を得ることが必要なライセンシーの範囲ですけれども、報告書案15ページの記載を見ますと、「登録されたライセンシー」と書いてございますので、これは登録されていないライセンシーについての承諾は要求しない一方、登録されたライセンシーが存在する場合だけ承諾が必要という整理を行っているのでしょうか。そうだとすると、そのような区分けをした理由についてお聞かせいただければと思います。
もう1つは、「承諾」の意義ですけれども、取下げ、放棄の時点で、ライセンシーから承諾を新たに得ることが必要なのでしょう。かそれとも、取下げ、放棄を行う際に、添付書類として承諾を証する書面を要求されるのだと思いますが、ライセンス契約(設定時点で締結する契約書)の中で、ライセンサーは、自由に放棄、取下げができ、ライセンシーはこれを事前に承諾すると、そういう条項があったとした場合に、事前の承諾であっても、これは、ここでいう「承諾」があったとみなされて、ライセンサーの方で、新たに、承諾を証する書面を取り直さなくとも、契約当時の当該条項の写し等を提出すれば、放棄、取下げができるという、そのような理解でいいのでしょうか。後者でよければ、実務的には対応できる余地が広がると思いますが、以上の2点、制度としての「バランス」の問題なのだとは思うのですが、お考えをお聞かせいただければと思います。

竹田座長

どうぞ。

亀山審議班長

まず1点目ですけれども、ここに書いてありますとおり、今の我々の案では、登録されたライセンシーのみの承諾ということで考えております。ここもちょっと悩んでいる部分ではあるんですけれども、特許権の放棄については条文上、97条だと思いますが、登録されていない通常実施権者も含めてこれは同意が必要とされていて、そことの並びをどう考えるかということだと思います。ただ、我々の今の理解では、放棄についてはあくまで当事者間の問題でありますけれども、出願の取下げなりというものは、対特許庁との関係も出てきます。対特許庁は、登録されていないような通常実施権者まで把握することは難しい。特許権の放棄の場合も、結局登録令で、登録の抹消の申請の場合には、登録された利害関係を有する第三者の承諾が必要です。実際に特許庁との関係では、登録された者の承諾ということにされていますので、そういった意味では、ここの部分については登録されたライセンシーに限るということで今は考えています。ここもただ、法制的な議論を今後していく中で検討していきたいということで考えております。
2番目のお話は、確かに余り明確に議論はしてきていないんですけれども、その契約の時点で承諾があれば、それを原因書面として認めるということでよろしいのではないかと考えております。

竹田座長

よろしいですか。
鎌田委員どうぞ。

鎌田委員

今のことに関連するのですが、バランスの議論で問題を決めるというと、そのバランスは状況、状況によってどっちを保護するかはさまざまであるわけで、余り決め手にならないんだろうと思います。けれども、法の一般原則として、自分である権利を設定しておいて、そのもとになるものを一方的に消滅させるのは基本的に許されないという原則があると思うんです。特許法の97条はそれを宣言していると思います。そちらの方を原則にした上で、しかし個別の事情はいろいろあるわけですから、それは特約あるいは事後的な承諾で対処していくということで良い。今の御議論にありましたように承諾は別に事後的にやる必要はなくて、あらかじめ、どういうときには取下げ、放棄ができるということを定めておきさえすれば良いわけです。
あと事後処理の問題に関して言えば、特許庁としては、登録手続の中でしか処理できないし、登録手続をどういう原則に基づいてやればいいかが決まっていればいいわけですから、そのときに登録されていないライセンシーを探し出して、承諾を得ているかどうかという審査は一切できない。ですから、登録されたものだけ審査すればいい。そういう意味では、特許法97条は実体規定的になっているので、そういうものをここで設ける必要があるかどうかは、私はなくたって一般原則で処理できると思っているのですけれども、そういう実体的な原則を前提にして、特許登録令の中では、どういう手続を踏まなければいけないかは明確に定めておかなければいけない。そういうことで、登録されたライセンシーの同意、承諾がない限りは抹消できないと、そういうふうな手続にせざるを得ないんだろうと考えます。

竹田座長

ありがとうございます。
前田委員何かございますか。よろしいですか。
今、鎌田委員から、一般原則から言ってもそうだという。
大渕委員どうぞ。

大渕委員

特許処分という行政処分によって特許権となる前の段階の特許を受ける権利というものは、普通の私権と比べると非常に手続性の強いものであり、その意味で非常に手続的にペンディングな性格が強いものなので、法の一般原則というものはいわば何にでもかかってくるのではありますが、それだけで済む問題といいきれるかについては慎重な検討が必要かと思われます。そして、そのような意味では、最後はバランス的なものが入らざるを得ないのではないかという気がします。ここでは、特許を受ける権利ということであり、特許権という私権になる前の非常にペンディングな状態が問題となっております。先ほどの法の一般原則を言っても、補正により元々の権利を勝手に縮小してもいいのかという後に出てくる問題にもかかってくる点でもあります。このような状況についても、法の一般原則はもちろんかかってくると思いますが、これだけで済ませられる問題かという疑問が残ります。やはりこのような手続的に非常にペンディングな状況における当事者間の利益の調整については、バランス的なところを考えざるを得ないように思われます。

竹田座長

今の大渕委員の御意見によれば、そのバランス的なものを考えた場合に、ライセンシーの承諾を要するとして、かつ特約等によるそれと異なる合意等を認めていくことで解決することでよろしいのではないかという趣旨で理解してよろしいですか。

大渕委員

そういうことも解決策の一つとはなり得る余地があろうかと思います。結局はどうバランスを図っていくかということになります。このようなバランスを考えるに当たっては、当事者の実際のニーズというものが重要なファクターとなってくるものと思っています。

竹田座長

ありがとうございました。
前田委員どうぞ。

前田委員

実際に大学における場合、非常にアーリーフェーズのうちに出願しますので、放棄や取り下げることがあります。そうしたときに、この登録制度は、そもそもライセンシーの保護のために使いやすくしようというものだと思うのですけれども、余りにもライセンシーの保護を強くすると今度はライセンサーの人が、じゃあ登録自体したくないというふうになってしまうのではないかという心配はあります。できれば、ライセンサーの人に頻度高くあるような場合には、契約で逃れられることができるようになっていた方が良いと思いますし、いないと、登録したくなくなってしまわないようにしないといけないかなと思いました。

竹田座長

あと産業界の方でほかに御意見ある方いらっしゃいませんか。
守屋委員どうぞ。

守屋委員

登録の対象とするような権利というのは、重要な権利としてライセンスを受けるケースが多いのだろうと思います。ライセンシーの立場になると、お金を払った権利について当然権利化されて、排他的なほかのライセンスを受けていない人と比べると、排他的に権利を使えるというメリットも受けられることがあるわけなので、それを権利者が勝手に放棄して、保護するということは当然考えられないことだし、やはり前提とされている議論のところが少しおかしいのかなという気がします。これはパブリックコメントの方でも出しましたけれども、あるレベルでライセンシーを保護するところが必要ではないかと考えております。

竹田座長

梅原委員どうぞ。

梅原委員

前提について話がありましたけれども、その場合は基本的には登録するのが前提になっているものですので、契約を結ぶわけですね。契約の段階で取り下げ等について事前に同意してもらうということができなければ、やはりライセンスしないという余地がないとならないと思います。大企業もライセンシーという立場しかないわけではないので、ライセンサーになる場合もあるわけです。そういった場合を考えますと、もともとの権利が、これは18ページにもありますように、特許権の付与を国家に要求する性質の権利というふうに位置付けられておりますので、今後登録を前提にライセンスする場合これが著しく制約を受けることは避けるべきではないかと思います。

竹田座長

今梅原委員のおっしゃったことからすれば、ライセンシーにとっても、先ほどの意見にも出ておりましたように、ライセンス契約において契約書で取下げや放棄については承諾を要しないというような特約条項を入れるかどうかということがライセンス契約の締結に際して議論されれば、ライセンシーとしてはそれでもライセンスを受けるか、ライセンサーとしてはそうしない限りはライセンスしたくないことになるのか、その辺は契約自由の原則の範囲内で処理できることだから、原則的にこの報告書案のように承諾を要するとして、そういう特約あるいは承諾書の提出ということで、そこは十分補えるのではないかと思いますが、いかがですか、その辺でまとめることはできませんか。

梅原委員

それはぜひそうしていただきたいと思うのですが、19ページの方の差し押さえについても、出願段階のライセンスに係る登録と同様にと書いてある点が引っかかりまして。こちらの場合は契約でどう書いてあろうが、差し押さえした後、勝手に放棄されたりすると困るというのは、それはそうだと思うんです。ですから、そういう意味でライセンス段階、利用関係のところと差し押さえている状況はシチュエーションが違いますので、ライセンス段階では契約で十分カバーできるということが読み取れれば結構だと思います。

竹田座長

今の点につきましては、最終的な案について、ここでの議論も踏まえて座長に御一任いただけませんでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、ほかの議論に入りたいと思いますが、座長の方から1点、皆さんの意見を伺っておきたいことがありまして、それは特許出願後における特許を受ける権利の範囲、具体的には今のところでも出ましたけれども、19ページの(b)のところで、特許を受ける権利に対する処分の制限の登録がなされた後に、出願人が補正又は分割を行った場合。これについて、この事務局案では、分割による新たな出願についても処分の制限の効力は及ぶとなっておりまして、これは第3回のワーキンググループ以降、このような表現になっております。
前に私一度、この補正、分割についての御意見はいかがですかと伺ったことがあるんですけど、そのときには議論がなされないままに済んでしまいましたので。この考え方は、ライセンス契約のところの14ページにも出てくるように、つまり分割の前後で特許を受ける権利としての同一性は保持されている。具体的には、クレームによって特許権の範囲が確定しているものとは異なって、特許を受ける権利の範囲というのはまだ確定していないで、その時々のクレームの範囲に限定されるものではない。つまり当初の明細書及び図面に記載した範囲によって画されるという理解に基本的に立っていると思うんですが、この点の考え方について、こういう考え方でよろしいのかどうかについて少し委員の方の御意見を聞きたいと思います。
指名して恐縮ですけど、知財法の専門家の立場から、大渕委員にその点について御意見がありましたら。

大渕委員

かなり前の回でも申し上げましたが、特許を受ける権利というものの法的性格については、よく掘り下げて考えると非常に難しい問題であります。何となく特許を受ける権利というと、特許権と似たようなものとして受け取っておられる方も多いかと思いますが、さきほども事務局から御説明があったとおり、やはり法的趣旨を考えていくと、行政処分が終わった後で特許権という私権になっているものと、その前の段階の、国家に対して特許権付与を請求するというような権利というのは手続法的にも大きく性格を異にしております。今のお尋ねは、要するに特許を受ける権利の範囲というのはクレームの範囲に画されるのかというお尋ねではないかと思いますが、基本的には、特許権になれば排他性があって、これに基づく差止・損害賠償請求権の範囲を画するためにクレーム制度というのがあって、そクレームの範囲を基本として権利範囲が確定されることになりますが、付与前はどうかと言われると、基本的には付与前はむしろ、これも前の事務局の御説明にもあったとおり、排他性がないと一般に解されています。付与後は排他性があってその範囲を画するのものとしてクレーム制度があるのですが、付与前は、その時点としてはそもそも排他性自体がないわけですから、そういう意味で特許を受ける権利の範囲がクレームの範囲で画されるということは考えにくいと思います。

竹田座長

その点を前提に考えると、この19ページで言っている、特許を受ける権利に対する処分の制限の登録があった後に、分割された。その分割後の新たな特許出願についても、処分の制限の効力は及ぶという考え方でいいということになりますか。

大渕委員

さきほど申し上げたように、特許を受ける権利の範囲がクレームの範囲で画されるないしは分断されるということは考えにくいいうことになると、特許を受ける権利の範囲がクレームの範囲で画されるということを前提とする議論は難しいということになると思います。この問題を考えるにあたっても、以前申し上げたとおり、最後は当事者の実際上のニーズもよく聞いてみなければならないと思いますが、特許を受ける権利の範囲がクレームの範囲で画されるということを前提とする考え方は、やはりしっくりこないのではないかと思います。

竹田座長

ほかの委員の方で今の点について何か御意見ございませんか。
クレームで特許を受ける権利の範囲が画されないということになるとすると、事務局案のように考えていってもいいのかなと思うんですが、その点はよろしゅうございましょうか。
それでは、その点の議論はその程度にして、さらにまだ時間がございますので、ほかの論点について何か御意見がありましたらどうぞ。
ございませんでしょうか。
ほかに意見がないということであれば、大体意見が出尽くしたと思いますので、さらに最後に何か、この点について発言したいということがございましたらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
鎌田委員どうぞ。

鎌田委員

36ページのサブライセンスの話なんですけれども、引き続き検討を行うということ、それはそれで結構だと思うんですが、それはどれぐらい長いスパンで引き続き検討を行うつもりなのかをお聞きしたいです。

間庭審議室長

これについては先ほど申し上げましたとおり、通常実施権の対抗制度を踏み出して契約の対抗制度に近づいていく。あとパブコメでもございましたように、当然対抗をどうするのかというような議論もございます。これについては、去年もそういう議論があったのですけれども、まずどういうフォーメーションで議論するのか。我々としては今回の登録制度の改正をぜひ次の国会にかけようかと思っているんですが、それが終わって、役人的に言えば、この施行状況を見ながらということになると、これは時間がかかり過ぎると怒られると思いますので、勉強は内々に開始しながら、あとはどういう場で検討するのか。最終的には登録制度の改正の施行状況を見なければいけないと思いますので、そう近々に検討が開始することになるとは考えられませんけれども、これについてはきちんと課題として検討したいと思っておりますので、どうかその際にはまたよろしくお願いいたします。

鎌田委員

一言だけ。今通常実施権の権利の対抗か契約の対抗かということが問題になると説明されましたが、そういうことだと、非常に大きく考え方を変えなければいけないだろうと思います。しかし、契約の対抗というのは1つのアプローチの方法であって、そこを根本的に変えない限りこういうものはできないかというと、必ずしもそれはそうでないだろうと思いますので、柔軟にぜひ考えていただければと思います。

間庭審議室長

おっしゃるとおりでございまして、今の通常実施権の中で読み込んでしまうようなやり方もなきにしもあらずですので、今の鎌田委員の御意見もしっかり拝聴いたしまして、柔軟に考えてまいりたいと思っております。

竹田座長

松田委員どうぞ。

松田委員

今の点に関連して私も一言申し上げます。今回、長い間懸案となっていたライセンシーの保護の問題について、踏み込んだ内容の特許法改正案をご検討いただいて実務的には非常にありがたいことだと深く感謝しております。ただ、他方で、今、鎌田委員から御指摘いただいたサブライセンシー保護のように積み残しになっている問題がございます。そして、専用実施権について、今回の改正がなされれば、登録後の開示の関係などで、今まで以上に使い勝手の観点から、専用実施権、通常実施権との間で差が広がると思いますので、このあたりの見直しの問題が重要になるであろうですとか、逆に、今後の課題がいろいろと見えてきた部分もあると思います。ライセンス取引の法律関係については、ライセンス契約という契約法の側面の問題と、特許法が規定する通常実施権及び専用実施権並びにその対抗問題という知的財産法上の制度の問題と、法律関係が二重になっている部分もあって、短期間では問題解決がなかなか難しいところだと思います。しかしながら、ライセンス関係の法律問題については、実務的にいろいろ苦労しているところでありますので、問題解決に向けて、ぜひ今後とも検討を続けていただければと思います。
また、パブコメに関連して頂いた資料の13ページの一番最後を拝見しますと、将来的には登録制度の充実にとどまらず、アメリカやドイツの法制を踏まえて、当然保護制度の導入を希望するという意見が多数出ているようです。実際、産業界における、このあたりの要望は非常に強いものがあると思います。権利の対抗という根本的な問題に関わる事項ですので、なかなか法体系の問題からすると難しいところではあると思いますけれども、民法の分野でも、債権法の改正の議論などが今後あると聞いておりますので、契約の内容の第三者への対抗といった問題等、そのあたりの議論ともあわせて、総合的に、引き続きご検討いただければと思っております。
どうもありがとうございました。

竹田座長

それでは、本報告書案については、本ワーキンググループの報告書にすることについて御異議ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。

 

〔「異議なし」の声あり〕

竹田座長

それでは、御異議なしということで、本報告書案をワーキンググループの報告書とさせていただきます。ただ、先ほどの梅原委員から主として御指摘になった点を踏まえて、必要な修文をどの程度する必要があるかについては座長である私に御一任ということにしていただきたいんですが、よろしゅうございますか。
それでは、その点については必要な範囲での修文を検討したいと思います。
今後のスケジュールについて事務局から御説明をいただきたいと思います。

間庭審議室長

必要な修文をした上で、これについてワーキングの報告書といたしまして、今月の19日に開催予定の特許制度小委員会で御報告させていただきまして、その審議をしていただいた上で、これについて1月下旬に開催予定の産業構造審議会知的財産政策部会の方にも御報告させていただきたいと思っております。

竹田座長

それでは、どうもありがとうございました。

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あいさつ

竹田座長

では、最後に長尾総務部長から一言ごあいさつをいただきたいと思います。

長尾総務部長

それでは、最後に皆様方に御礼を申し上げたいと思います。
非常に難しい、かつ非常に他分野の関係等も出てくるこのテーマにつきまして、短期間の間に非常に精力的に委員の方々には御審議、御検討を賜りまして、大変厚く御礼申し上げたいと思います。それから、竹田座長におかれましては、お取りまとめの御労苦をこれまでしていただきまして大変ありがとうございます。
先ほど事務局から申し上げましたように、これから報告書のまとめ、それからほかの小委員会、あるいは部会への報告・審議等残っておりますけれども、このテーマについては、おおむねこのワーキンググループでここまで御審議いただいておりますので、この方向に沿ってまとめてまいりたいと思います。その後、何とか法案の形にいたしまして、しっかり制度設計の作業に速やかに移っていきたいと思います。
懸案事項はまだまだあるようでございますので、引き続きまた委員の方々には御指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。これまでの本当に御労苦に大変厚く御礼を申し上げたいと思います。特許庁を代表して御礼申し上げます。ありがとうございました。

竹田座長

それでは、閉会に当たりまして一言ごあいさつさせていただきます。
委員各位には、5回にわたりまして、当ワーキンググループにおいて終始熱心な意見交換をしていただきまことにありがとうございました。今回のワーキンググループの目的は、第1回の冒頭に申し上げましたように、利用者のニーズにこたえて実効性のあるものにしていくために、どのような法改正が必要かという点について検討していただくことにあったわけですが、その目的は、今回御承認いただいた報告書によりほぼ達成できたものと思います。もとより、最後に委員の方々から出ましたサブライセンスの問題、さらには根本的に言えば、我が国のこれは司法制度の法体系そのものにかかわるような問題でありますけれども、登録制度の充実からさらにライセンスの保護を進めることができるのかどうかの議論など、今後の課題として残されたものについては、機会を見てぜひとも特許庁にも御検討していただけたらと思っております。
それでは、以上をもちまして産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会の第5回の通常実施権等登録制度ワーキンググループを閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

閉会

[更新日 2008年1月15日]

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