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第5回通常実施権等登録制度ワーキンググループ

平成19年12月13日
特許庁

12月13日(木曜日)10時00分~11時30分に、産業構造審議会 知的財産政策部会 特許制度小委員会 第5回通常実施権等登録制度ワーキンググループ(座長:竹田 稔 竹田綜合法律事務所弁護士・弁理士)が開催された。

1.審議内容

事務局から配布資料に沿って説明した後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下の通り。

(1)ワーキンググループ報告書案について

  • 出願段階におけるライセンスの登録制度について、報告書案では出願の放棄又は取下げには、登録されたライセンシーの承諾を必要とすることとなっているが、特許権とは性質が異なる出願段階における発明について、そのような整理が適切か。
  • 特許出願の放棄・取下げについて、登録されたライセンシーの承諾を必要とすることによって、ライセンサー側が登録しようとしないインセンティブに繋がる可能性がある。
  • 出願の取下げ等のライセンシーの承諾については、ライセンサーとライセンシーのバランスの問題であり、ライセンシー保護の観点から、承諾を必要とすると考えるのが妥当である。
  • 民法の原則からは、権利を設定しておきながら、設定した者が一方的にそれを消滅させることは許されない。なお、特許庁としては、登録制度の範囲内でしか把握できないため、登録されたライセンシーのみの承諾を要件とすることは合理的である。また、この承諾は、当初のライセンス契約においてなされていればよい。
  • ライセンシーの立場としては、対価を支払ってライセンスを受けているにもかかわらず、ライセンサーが一方的に出願を取り下げるなどということは考えられない。
  • 報告書案の中で(19頁)、処分の制限の登録がなされた出願についても、出願段階のライセンスの登録がなされた場合と同様に、出願の放棄又は取下げについて差押債権者等の承諾を要件とすることが適当であるとされているが、処分の制限の場合は、ライセンスの場合とは異なり、契約で予め承諾を得ておくことができないので、「同様」とはいえないのではないか。
  • 特許権がクレームによって権利の範囲が限定されるのに対し、特許を受ける権利は排他性のない権利であることから、権利の範囲はクレームには限られず、当初の明細書及び図面で記載される範囲によって画されるものである。このような考え方を踏まえれば、分割前の原出願についてなされた処分の制限の効力は、分割後の新たな出願にも及ぶという整理でよいのではないか。
  • 今回のワーキンググループでの意義のある検討が行われたが、サブライセンスの保護や、今回の改正により通常実施権について一部非開示制度が導入されることで専用実施権と通常実施権の違いがさらに大きくなることを受けた専用実施権制度の見直し、ライセンス契約と通常実施権の乖離といった残された課題がある。また、「当然保護制度」に対するニーズがあるため、法体系との関係、特に民法における債権法の検討動向等を踏まえ、今後も検討を継続してほしい。

2. 今後の予定

報告書案については、本日の意見を踏まえ必要な修正を行い、本ワーキンググループの報告書とする。また、同報告書を12月19日(水曜日)開催予定の産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会に報告する予定。

[更新日 2007年12月25日]

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