第1回実用新案制度ワーキンググループについて
平成15年7月2日
特許庁
7月1日(火曜日)13時30分~15時30分に、産業構造審議会 知的財産政策部会 特許制度小委員会 第1回実用新案制度WG(座長:大渕 哲也 東京大学大学院法学政治学研究科教授)が開催された。
1.審議内容
(1)事務局による説明
配布資料に沿って、実用新案制度の現状と課題について事務局から説明した。
(2)自由討議
事務局による説明に続いて自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。
(現行制度について)
- 平成5年の法改正により無審査登録主義を導入した際は、権利濫用への危惧が大きく、それを防止するよう制度設計をしたが、実際には正当な権利行使にとっても足かせとなっているのではないか。
- 権利の存続期間が短いこと、実用新案技術評価書を得ても最終的には自己責任であること、保護範囲が狭いこと等、現行の実用新案制度はデメリットが多いので利用が少ないのではないか。
- 先端的な技術について的確な審査を経て権利が与えられる特許制度に一本化することが日本の産業構造の変化に合っており、知的財産立国にもふさわしい。実用新案制度はその歴史的使命を終えたのではないか。
- 水準の低い技術に権利付与することにより、水準の高い技術について得られた特許権の効果が制限されるといった影響があるのではないか。
- 訴訟提起件数が少ないのは、権利者が自己の権利の有効性につき不確実性が大きいことを自覚しているからではないか。
- 基本的技術を応用して生活に関連した製品をつくりだす川下産業を保護することも知的財産立国に向けて重要であり、そうした技術の保護に適した実用新案制度は存続させるべきではないか。
- 海外からの模倣品対策として、早期に権利登録が可能な実用新案制度は有効ではないか。
- 個人発明家や中小企業には、特許権の取得が困難な技術について、実用新案権を取得する要望が根強い。
- 意匠登録出願の件数と比較すると、実用新案登録出願の件数は必ずしも過度に少ないとは言えないのではないか。
(今後の検討について)
- 実用新案制度の利用度が日本よりも高い中国やドイツなど他国の制度とも比較をしつつ検討を進めるべきではないか。
- 潜在的な制度の利用者も視野に入れた上で現行制度の問題点を考えることが必要ではないか。
- 利用が限定的なのは、制度が使いにくいためなのか、制度自体の意義が認められていないためなのか、企業の規模や業態によってその理由は異なるのではないか。そうした点についても実態の調査をすべきではないか。
- ソフトウェアに関しては、表現については著作権で、アイデアについては特許権で保護されている。実用新案権で保護する必要性はないのではないか。
- 実用新案技術評価の精度を向上させるべきではないか。
- 進歩性の基準については、特許と実用新案で同じ水準にすべきではないか。
- 特許制度との調整や訂正等について詰めた議論を行っていく必要があるのではないか。
2.今後の審議スケジュール
第2回実用新案制度WGについては近く決定する。
[更新日 2003年7月4日]
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