• 用語解説

ここから本文です。

第2回実用新案制度ワーキンググループについて

平成15年9月16日
特許庁

9月12日(金曜日)10時00分~12時00分に、産業構造審議会 知的財産政策部会 特許制度小委員会 第2回実用新案制度ワーキンググループ(座長:大渕 哲也 東京大学大学院法学政治学研究科教授)が開催された。

1.審議内容

事務局から配布資料に沿って説明した後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。

(1)権利付与対象について

  • 保護に値する技術については方法を含めた多面的な保護を認めるべきであり、対象を限定する必要はないのではないか。
  • 権利内容の判断の容易性は、物であるか方法であるかにより左右されるというよりは、対象となる技術によりケースバイケースで異なるのではないか。
  • 技術の進展により、方法を含めたソフトウェア技術と商品とは不可分の関係になった。方法等を除く案では、小発明の多くが保護されず不十分。考案全体まで拡大すべき。
  • 権利付与対象が拡大し、無審査で登録される実用新案権が増加すると、第三者にとっての監視負担が増加する。
  • 大企業としては、実用新案権者によるアイデアの売り込みへの対応の負担が大きい。ビジネス方法やソフトウェアの考案が、仮に登録された場合、その負担が増大する懸念がある。権利付与対象の拡大については慎重を期すべき。
  • アイデアの売り込みは実用新案制度があるから行われるわけではない。また、良い技術と巡り合えることもあり、企業にとってプラスの面もある。
  • 他者の権利について有効性を判断することは、特許制度下においても日常的に行っている。権利付与対象を拡大しても、第三者にとっての監視負担はさほど大きくないのではないか。
  • 特許審査迅速化の観点から、実用新案制度を活用せざるを得ないのが現実。そうであれば使い易い制度にすべき。権利付与対象を物全体に拡大するのでは中途半端であり、考案全体にまで拡大すべき。
  • ソフトウェア技術についても、短ライフサイクルのものが多く存在する。権利付与対象を拡大すべき。
  • 対象の拡大による第三者監視負担の増大については、登録後の情報提供制度等で対応できないか。

(2)存続期間について

  • 他国の制度と比較しても出願から10年が妥当。
  • 実用新案制度の利用低下の主たる原因は存続期間の短さにある。延長すべき。
  • 紛争解決までにかかる期間を考慮すれば、出願から10年程度の保護は必要。
  • 不安定な権利を長く存続させるべきではなく、現行の出願から6年でいいのではないか。それ以上の長期の権利維持が必要であれば、早期審査制度を利用して特許出願すべき。
  • 権利付与対象が拡大するなら、存続期間を延長すべき。

(3)特許制度と実用新案制度の併存について

  • 中小企業の活性化の観点から、小発明の早期保護の必要性は大きく、実用新案制度は存続させるべき。
  • 海外からの模倣品対策は重要であり、水際対策などで実用新案制度の役割は大きくなるのではないか。実用新案制度の改善を前提に議論すべき。
  • 大企業では、特許制度に一本化してもよいという意見が多い。他方で、存続を望む声があることも事実。存続はやむを得ないとしても、利便性とともに権利者以外の第三者への弊害も考慮して制度設計すべき。

(4)その他

  • 登録後の特許出願への変更や、評価書に対する意見陳述と訂正の機会等、実用新案制度全体の改正、及び、特許制度との関係を視野に入れつつ、権利付与対象と存続期間を論じるべき。
  • 次回のワーキンググループにおいて、アンケート全体の結果を示してほしい。その内容も踏まえた検討が必要。

2.今後の審議スケジュール

第3回実用新案制度ワーキンググループは、10月14日(火曜日)14時00分~16時00分に開催する予定。

[更新日 2003年9月16日]

お問い合わせ

特許庁総務部総務課制度改正審議室

電話: 03-3581-1101 内線2118

FAX: 03-3501-0624

お問い合わせフォーム