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第3回実用新案制度ワーキンググループについて

平成15年10月15日
特許庁

10月14日(火曜日)14時00分~16時00分に、産業構造審議会 知的財産政策部会 特許制度小委員会 第3回実用新案制度ワーキンググループ(座長:大渕 哲也 東京大学大学院法学政治学研究科教授)が開催された。

1.審議内容

事務局から配布資料に沿って説明した後、自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。

(1)実用新案登録に基づく特許出願について

  • 評価書は権利行使に使われる書類としての役割を担うものであるから、評価請求をしたということは、特許権でなく実用新案権を選択したと考えてよいのではないか。
  • 評価請求が増えた場合は、特許審査迅速化効果が望めなくなるのではないか。
  • 実用新案登録後に特許出願へ移行したいというニーズが本当にあるのか。
  • 商品がどのようにヒットするかについては、初めから予測できるものではない。後から長ライフサイクルであることがわかった場合に、特許出願へ移行できることが望ましい。
  • 実用新案技術評価書(以下「評価書」という。)を先行技術調査として用いた後に、特許出願へ移行することを防止するのであれば、実用新案技術評価請求(以下「評価請求」という。)の手数料を値上げすればいいのではないか。
  • 評価書を見た後に実用新案登録に基づく特許出願をできるようにすべき。評価書は権利行使に用いるためのものであって、評価請求後に特許出願へ移行できるかどうかとは別に考えるべきではないか。
  • 登録後の特許出願への移行の制度の導入と、存続期間の延長とは、どちらかが採用されれば足りるのではないか。
  • 実用新案登録に基づく特許出願をした後も、実用新案権が存続することは、評価請求ができない状態になるとしても、ダブルパテント禁止の基本原則に反し、混乱するおそれがあるのではないか。
  • 実用新案登録に基づく特許出願をしたときに実用新案権を放棄したものとみなしてもいいのではないか。

(2)訂正について

  • 無審査主義の下で自己責任を負う制度は、日本社会に未だ馴染んでいるとはいえず、審査主義に戻すことが望ましい。しかし、評価書に審査官の論理が記載され、さらに、評価書を見た上で請求の範囲を減縮訂正し、その後に再度評価請求ができる制度であれば、審査主義が一定程度採り入れられているものと考えられ、制度の利便性からすれば一歩進んだと評価できる。
  • 訂正を認める範囲には、いくつかの段階があるが、請求の範囲の減縮まで認める必要性はあるのか。
  • 訂正の時期や回数を制限することで、第三者とのバランスを図ることができるのではないか。
  • 訂正後に単一性の有無を判断する場合は、違反した場合に採りうる措置についても検討が必要ではないか。
  • 無効審判が請求された後も防御手段としての訂正を認めるべき。他人からの評価請求に対しても訂正ができるようにすべき。
  • 無効審判請求や他人による評価請求で訂正ができなくなる制度は、自ら早期に評価請求をするように促す制度であるとも考えられるため、評価請求後に実用新案登録に基づく特許出願ができなくなるのは、酷ではないか。
  • 実用新案制度は早期保護を目的としているのであるから、出願から3年程度までであれば、他人による評価請求に対しても訂正ができるようにする一方で、出願から3年程度を経過した後は、評価請求の有無に関わらず一切訂正ができなくなるようにすべきではないか。

(3)その他

実用新案法第29条の3については、権利濫用防止の観点から改正は難しいだろうが、解釈をより明確にし、正当な権利行使に対する萎縮効果をなくすようにしてはどうか。

2.今後の審議スケジュール

第4回実用新案制度ワーキンググループは、11月13日(木曜日)に開催する予定。

[更新日 2003年10月16日]

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