大渕座長
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定刻となりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会第5回実用新案制度WGを開催いたします。
本日は、お忙しいところを御参集いただきまして、どうもありがとうございます。
本日は、取りまとめといたしまして、実用新案制度の在り方について御審議いただければと考えております。
それでは、早速議事に入らせていただきますが、資料を事務局の方で用意されていますので、御説明をお願いいたします。
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木村審議室長
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まず、配付資料の確認をさせていただきます。
本日の配付資料、クリップを外していただきますと名簿がついておりまして、その後に資料1で「ワーキンググループ報告書(案)」、資料2で「各論点について」というペーパーがお手元に行っておりますでしょうか。
よろしければ、資料2を中心に、御説明をさせていただきたいと思います。
これまで過去4回、この会議を開催させていただきまして、特に前回、さらに幾つか御指摘を賜ったわけでございまして、その各論点につきまして再度事務局の方で頭の整理をしてみたということで、今回この資料2を用意させていただきました。
幾つか論点がございますけれども、まず第1には、実用新案技術評価請求の位置づけということで、これが一番大きな論点だと思います。要は、実用新案制度は評価請求を行わなければ権利行使ができないわけであって、事実上無審査主義とは言えないんじゃないかと。であるにもかかわらず、特許制度との違いというのをことさらに強調して、制度をあえて使いづらいものにしているのではないかという御批判。それから、一定期間、例えば3年以内に評価請求を行わないような権利については、権利を放棄させてもいいのじゃないかという御指摘もあったわけでございます。
それで、考え方を整理させていただいたわけですけれども、ここは非常に長々と書いてございますけれども、ポイントは、基本的に実用新案制度というのは、やはり無審査主義、あるいは権利行使は自己責任原則ということであろうということですけれども、ただ、無審査、自己責任が原則だといっても、そのために直ちに当事者をある意味で一種ジャングルの中に放置するような、そういうことではなくて、それは濫用の防止のために評価書という制度を導入して折り合いをつけたということになっておりますし、それがひいては実用新案制度全体の信頼性の向上にもつながるのじゃないかという、そういう考え方をとっているということでございます。その意味で言うと、評価という制度を介在させておりますので、ある意味では折衷的な性格を有しているということは言えるのかもしれないということだと思います。
ただ、だからといって、評価書を特許審査と同じように理解するといいますか、把握をすることはできないわけであって、むしろ評価書というのは鑑定的な性格のものであって、本来特許庁のみが常に作成主体であるべきものであるというふうに断定することもできないのではないかということでございます。
評価書を仮に、権利の変動といいますか、得喪に直結するような制度にする、例えば3年たって評価書が請求されていないものは、権利そのものを喪失させるというようなことにするとそうなるわけでございますけれども、そうなりますと、それでは特許審査との差というのは全くないということにもなりかねない。その特許審査は、今、審査待ち期間が約24カ月ということで、これ自体対策が急務になっているということですけれども、ある意味では出願人の方が皆一列に並んでお待ちになっているところで、評価書作成を優先するという理屈はどこにあるのかということになると思います。要は評価書というのは、実用新案としての権利を行使するために請求するというものであるので、だからこそ、それは早く処理をする、優先的に処理をするということが正当化されるのではないかということでありまして、他方で特許の審査そのものについては、その権利を直ちに行使するというところまで求めているわけでも何でもないわけでありまして、それとの対比においても評価書の性格というものを大きく変えるということは必ずしも好ましいことではないのではないかというのが、ここに書いてあることの趣旨でございます。
2で「権利付与対象の範囲の拡大」ということで、ソフトウェア技術について対象とし得るように、せめて物まで拡大するべきである、あるいは範囲が不分明ではないかというような御指摘がございました。
それで、それについての考え方でございますけれども、基本的にソフトウェア技術でありましても、それが物品として実用新案請求をされており、その物品が形状、構造を有するような場合、それは現行制度でも、当該ソフトウェア技術につきまして基礎的要件違反にはならないということでございます。原則、登録が許されるということになりますが、他方、やはり物品として実用新案請求されていない、あるいは物品として実用新案請求されているけれども、どうしても物品が形状、構造を有さないものであるソフトウェア技術につきましては、物品の形態的要件というのを満たしませんので、基本的要件違反にどうしてもなってしまうということでございます。
権利付与対象を物に拡大いたしますと、これらが新たな権利付与の対象になる。そこに一定のニーズがあるということは承知をしておりますけれども、他方、プログラム一般について、やはり実用新案制度の権利付与対象とすることに対する問題点の指摘が非常に多いということで、今回はプログラムのみにその特徴があるものも含むように拡大するということは、行わないということが妥当ではないかという結論で、ここではまとめさせていただいております。
なお、実用新案請求があって、それが形態的要件を満たすかどうか等の基礎的要件の判断につきましては審査官が行っておりまして、当然のことながら却下処分につきましては異議申し立てが可能であるということ。これは補足でございます。
3番目の論点で、「実用新案登録に基づく特許出願の要件について」ということでございます。実用新案登録を経由した特許出願というのがことさらに有利となることは妥当ではないだろうという御指摘がございまして、特にいったん実用新案権を取得したんだから、実用新案登録に基づく特許出願の特許請求の範囲に記載できる事項というのは、もととなった実用新案登録請求の範囲に限定すべきではないかという、そういう御指摘があったかと思います。
これにつきましては、まず、実用新案登録に基づく特許出願について、当初から登録出願として得た場合とできるだけ同等の取り扱いをすべきだということが第1点。また、特許出願について、もととなった実用新案登録における実用新案登録請求の範囲に限定をするということをしたとしても、非常に広い権利範囲をあらかじめ設定しておくことによりまして、実体的にはそのような制約はあまり意味がないといいますか、容易にそういった制限を回避されてしまうおそれがあるだろうということ。
それから、権利付与対象が制度間で異なる、すなわち物品にとどめるということになりますと、当初の明細書には、方法でありますとか物品の形態的要件を満たさないような発明についての記載があるような場合に、仮に特許に行こうとした場合に、それが特許請求できなくなってしまうということになりまして、必ずしも妥当ではないのではないかという考え方をしております。
したがいまして、実用新案登録に基づく特許出願の要件につきましては、明細書全体の記載の範囲に限定をするということが妥当ではないかというのが3番目でございます。
4点目でございますけれども、評価書を取得した後で、すなわちある意味では早期保護を実現した後で、実用新案登録に基づく特許出願が行えるようにすべきだという御指摘があるわけでございます。加えまして、先行技術調査の代用行為が問題なのであれば、実費を勘案して評価請求の手数料を改定、すなわち引き上げを図るべきだという御指摘もあったわけでございます。
まず、先行技術調査代用行為の防止につきましては、特許庁としてもこれは非常に重要な問題であるというふうに理解をしております。先ほど1のところで一部御説明をしたことの繰り返しになるんですけれども、評価書はあくまでも実用新案としての具体的な権利行使に用いていただくという趣旨で、特許申請よりも優先的に作成を行っているものでございます。
したがいまして、評価請求あるいは特許出願に何の制限も設けないということになりますと、評価書を特許審査の先行技術調査に代用する、すなわちその内容を踏まえて実用新案登録に基づく登録出願を行うかどうかを判断するということは起こり得るし、これは多分容易にそういうことになってしまうだろうというふうに考えております。これは実質上特許出願に対する事前評価制度のようなものを導入することに等しくなってしまうのではないか。仮にこういう行動が非常に拡大をするということになりますと、これはある意味では二重の審査をすることにほかならないので、それによって真に権利行使を必要とする方に対する評価書の作成が遅延することもありますし、全体の特許審査を含めた審査全体が遅延するということにはどうしても避けられないだろうということでございます。
それから、評価書はあくまでも実用新案権の行使に用いる書類であるので、基本的に評価請求をされたということは、その権利行使の意思があるということが通常であるということからすると、それは当事者の方の御選択によって、いいかえれば意思によって実用新案をお使いになられるということと考えることもできるということで、これらを考えあわせまして、基本的には、実用新案登録に基づく特許出願を評価請求の後に行い得ることとするのは御勘弁いただきたいということでございます。
それから、評価書作成手数料の問題でございますけれども、まず、評価書の作成手数料は実用新案法の54条第2項を見ますと、実費勘案ということは必ずしも規定をされておりませんで、したがいまして、政策的な料金設定が行われている面があるということだろうと思います。基本的に実用新案制度、そのユーザーはもちろん中小、個人だけではございませんけれども、多くの場合は中小企業、個人発明家に御利用いただくということも念頭に置いた料金設定となっているものと理解をしております。これを今回、引き上げの方向で改定するということになりますと、やはり本来の趣旨にのっとって、具体的な権利行使を念頭に実用新案を取得し、それを行使されようとする方に大きな負担を強いることになりかねないということで、やはり安価で簡便な保護を図るという利点をあえて減ずるような制度改正というのは、特に審査請求料の引き上げを行った直後にそれを行うということは妥当ではないだろうという判断をいたしております。
5ページの5でございますが、「実用新案登録に基づく特許出願とその基礎とされた実用新案権の関係」ということで、当然ダブルパテントは防止をしなければなりませんが、考え方として2つございまして、出願の段階でもととなった実用新案権を放棄していただくか、あるいは特許が登録になったときに、もととなった実用新案権を放棄していただくかという考え方、その二つがございます。前回、事務局では後者の方がよろしいのではないかということで、事務局として紙をつくらせていただいたわけでございます。
これにつきましてはたくさん御意見をいただきました。ここで、「考え方」のところでまとめてございますけれども、「しかしながら」というところでございますが、1つは、やはり第三者の監視負担を考えると、制度を極力簡単、シンプルなものにすべきだという御要請が強いだろうと。それから、具体的に特許出願を取り下げて再度実用に戻って評価請求を可能とするということに、ニーズといいますか、そうぜひすべきだという御要請がこの場では出なかったということ。3点目に、実用新案権を基礎とした特許出願に当たっては、3年間の考慮期間があって、当事者の意思で特許を選択したということであれば、実用新案の保護というのはもうあきらめるという、それは当事者の意思がそうなっているのではないかということもございましたし、それから、特許登録までの期間が長いということにつきましては、特許の早期審査制度もあるということを勘案いたしますと、今回基礎とした実用新案権を特許出願と同時に放棄するということを条件とするという方向で、考え方を改めさせていただいてはいかがかなというふうに考えております。
念のためでございますけれども、基礎となる権利が放棄されてしまいますと、原則、基礎となった実用新案権に復帰することはできないということでございます。
なお、評価書そのものは権利消滅後であっても作成は可能であるということにしておりますけれども、これにつきましては、これを引き続き容認をするということになりますと、放棄をして出願をしたけれども、結局もとの権利について消滅後であっても評価請求を行うということができてしまいます。それで、特許の審査請求をする前に、それを待っている期間内に評価請求をすることによって、事実上事前評価をすることと同じ効果が得られてしまうということでありまして、これについてはできないこととさせていただきたいということでございます。
6番目の論点が分割と変更でございます。(2)で「考え方」、6ページでございますが、ここでまとめさせていただいております。まず、分割につきましては、特にこれについては御異論があったわけでもございませんので、基本的には認めるべきと考えております。逆に、これを制限することの不利益というものも回避する必要があると考えております。
変更でございますけれども、これにつきましては、そもそも一たん取得した実用新案権を放棄してまで特許の保護を選択した以上、同一内容で再度実用新案権に戻ってくるといいますか、その取得を認める必要はないだろうというふうに通常考えられる。
それから、実用新案登録の出願の状態に戻れるということになりますので、補正とか分割、出願の状態ですと、これらが可能になるわけでございますが、実用新案登録をして、その後登録出願をして、さらに実用新案登録に戻るという、ある種の技巧を使うことによって、実用新案権をそのまま存続していた場合ときにはできない分割ですとか補正といったことがまたできるようになるというのは非常におかしなことでもありますので、基本的に実用新案登録に基づく登録出願がなされた以上、それを再度実用新案登録出願に変更するということは認めるべきではないのではないかと考えておるわけでございます。
それから、訂正の時期と回数につきましても御提案がございました。特に指摘がございましたのは、第三者による評価請求あるいは無効審判請求が行われた場合に、訂正を一切認めないというのは酷ではないかということ。それから、出願から3年あるいは6年という期間を区切って訂正というのを認めるべきだという御指摘があったわけでございます。
前者の方でございますけれども、我々の当初の考え方は、基本的に実用新案については、訂正というのは、請求項の削除は別といたしまして、積極的に認めるべきものでは本来ないだろうと。ただ、それには強いニーズがあるので、あくまでも限定的に認めていくということが妥当ではないかというふうに考えたわけでございます。
したがいまして、訂正が余り容認されるということになりますと、出願人の方、登録をされた方にとりましても、整備された権利範囲というものを当初から設定をしようとする意欲が失われるという、そういう弊害はどうしても出てくるだろうということで、全期間を通じて1回に制限をするということを我々考えておったわけでございます。
それとともに、特に第三者から評価請求あるいは無効審判請求があったような場合には、一切訂正を認めないということも考えておったわけでございまして、こうなりますと、権利範囲を整備しようというインセンティブを向上させることになるだろうということと、やはり第三者の請求行為に対してお答えをする、そういう請求意思に対して回答していく在り方として、それが最も迅速かつ効果的なことではないかというふうにも考えたわけでございます。
他方、やはり第三者からの請求であっても、評価書を取得した後、あるいは無効審判請求時に訂正をなされたいという御要望が強いということを配慮いたしまして、今回、第三者の制限という案をやめまして、訂正が可能な期間を、権利の登録の日が始期といたしまして、これから最初の評価請求に対する評価書の謄本の送達後一定期間経過後、あるいは最初の無効審判の請求書の副本の送達後一定期間経過後、これらが終期ということで、いずれかの早い方でございますけれども、それを範囲といたしまして、訂正を認める回数は、その期間すべてを通じて1回ということでいかがであろうかということにさせていただければと思っております。
なお、無効審判が出された場合に訂正を認めるということになりますと、これに対して、無効審判請求人には新たな無効理由とか証拠の追加を認める必要が出てくる。これは要旨変更になる場合は原則できないんですけれども、それを認めていくということが必要になります。ただ、さらにこの理由・証拠の追加に対しまして、新たな防御方法の提出としてさらなる訂正を行うということは、これは認めるべきではないと考えますので、訂正の機会はすべてを通じて1回ということにさせていただければと思っております。
それから2番目、「年限で区切った訂正時期の制限」ということでございますが、3年ないし6年に訂正期間を制限しようという案でございます。これは、できれば採用は見送らせていただきたいというふうに考えております。理由は3つまとめてございますけど、基本的には、やはり権利期間内は常に権利行使ができるような状態というのを保つべきだし、権利行使の必要性が顕在化していないにもかかわらずあえて訂正を行わせる必要もないだろうということが1点。
それから、特許制度においても権利範囲が確定しないという批判があるわけでございますけれども、例えば特許に照らして考えても、出願を長期に継続させることは、例えば分割を使うようなことによって可能でありまして、実際、分割の出願の件数、これらのすべてが単に長期に継続させるためにそれを分割されているというわけではないんでしょうけれども、年間これ自体1万件にも上っているわけで、それとの対比においてことさらに実用新案が不当である、不確定であるというようなことはないだろうという判断もあるわけでございます。
それから、ウ)でございますが、やはり期間が制限されますと、念のために訂正を行っておこうという行動はどうしても出てきてしまう。その場合、通常訂正に先立って評価書請求がなされるということになりますので、真に権利行使の必要があるわけでもないのに評価請求がなされ、かつ訂正がなされるということをどう評価するかという問題もございまして、年限を区切るというのは必ずしも妥当な解決策ではないのではないかというふうに考えたわけでございます。
それから、最後、8でございますが、訂正の適否の判断。これは、必ずしも難しいものではないのであれば、特許庁として訂正のとき、あるいは評価書の作成のときに判断するようにすべきではないかという御指摘だったのではないかと思います。そもそも評価書というのは、やはり当事者によるの御判断としては非常に過重であるもの、先行技術調査と専門性を必要とする新規性・進歩性についての判断を行っているものでございまして、他方で訂正の適否の判断というのは必ずしも当事者にとって常に難しいものだというわけではないだろうということ。特に範囲の減縮であるか否かという判断に専門性が必要というわけでもないだろうと。
他方、手数はどうしてもかかってしまうわけでありまして、特許庁が行うという場合は、正直申し上げて審査負担が増大してしまうことは避けられないので、この点については当事者間で行っていただければありがたいというふうに考えておるわけでございます。
以上が前回の論点につきまして、私どもとして頭の整理をさせていただいた紙でございます。
資料1に戻りまして、前回御説明申し上げたことの繰り返しはすべて省略をさせていただきまして、変更点だけ簡単に申し上げたいと思います。構成校正とか、あるいは文章表現で一部修正をしたようなところがございますけれども、大きなところでは、まず11ページでございますが、実用新案制度全体の存在意義につきまして述べた箇所で、11ページから12ページにかけて、一番下に「ワーキンググループにおける意見」というのがございます。ここに「無審査であることに伴う濫用に対する懸念」というのが累次述べられてきたということ。それから、やはり使いづらさ、特に評価書という形で、形を変えた審査というのがあるんだから、制限が過剰に過ぎるのではないかという御批判があったということをテイクノートさせていただきたいと思っております。
飛びまして18、19ページでございますが、これは対象範囲の拡大の部分でございますが、19ページの一番上のところに、ソフトウェア技術についても物品に化体した形での請求かあれば、物にまで拡大しなくても問題ないのではないかという御意見。それから、物質等の保護の拡大というのはやはり重大な影響があるという御懸念が示されたこと。
他方、物品であっても困難なもの、方法であっても容易なものがあるというようなこと。それから、やはりライフサイクルが短いので、それは広くやるべきだという御指摘があったというようなことについて加筆をさせていただいております。
それで、「権利付与対象の在り方」の6のところでございます。ここは前回、実需に根差した御意見がなかったというようなことを書いたんですけれども、その点については、ニーズはあるんだという御主張もございましたので削除をさせていただいて、表現も変えさせていただいております。
それから、またちょっと飛びまして25ページでございますが、これは実用新案登録後の登録出願のところを述べた箇所でございますが、下から4行目、「当初から特許出願した場合と比較して、実用新案制度を経由した場合の方が有利となるのは許容すべきでない」というような御意見。
それから26ページでございますけれども、ここは特許出願時点の放棄のメカニズムにするか、あるいは登録時の放棄にするかということで、前回は後者の道を選んでいたわけでございますけれども、そこの方針を変更するということを前提に、表現ぶりは変えさせていただいております。
それから、それに伴いまして7の在り方というところで、細かいところでございますけれども、まず(1)のところは、表現ぶりはすべて変更させていただきました。
それから27ページでございますけれども、評価請求の制限のところでコメントがあったところを加筆させていただきましたし、(4)の のところも、これは非常に簡単な書きぶりだったんですけれども、御指摘を踏まえまして、これは先ほど申し上げた論点の4に対応するところでございますけれども、説明を付加しております。
それから28ページでございますけれども、「実用新案登録に基づく特許出願の要件」ということで、これは先ほど申し上げた論点の3に対応する部分でございますが、これも加筆をしております。
それから、分割と変更について前回記載がございませんでしたので、これについても記載をしております。これが28ページから29ページでございます。
また飛びまして、32ページから33ページにかけてでございますけれども、訂正のところにつきましても考え方を変更して、特に第三者の請求があった場合、無効審判請求があったような場合にも一定期間内は認めるということにしておりますので、それに伴う改定をいたしました。
それから39ページでございますけれども、「評価請求の時期的制限」につきまして、論点1としてきょう御説明を申し上げた論点についてここで記述をさせていただいて、御議論をきちんとテイクノートをしたいというふうに考えております。
御説明は以上でございます。
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大渕座長
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論点が多岐に及んでおりますが、詳細で、かつわかりやすい説明をありがとうございました。
それでは、議論に移りたいと思います。
ただいま御説明がありましたところに関しまして、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。
どうぞ。
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熊谷委員
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九州大学の熊谷ですが、前回の議論を踏まえ、整理をして戴き、よりクリアになったのではないかと思います。私からは、つまらないことをひとつと、あといくつかの御質問というか、私の意見を述べさせて戴ければと思います。
ひとつは、本当に形式的なことですので、あまりこだわることないかと思いますが、報告書においては、「何々ではないか?」という投げかけの形で結ばれておりますが、最終的に報告書という形としては、「何々が適切であると考えられる」等の断定的な表現にする方が、WGでの議論の結論と申しますか、方向という形で明確になると思います。これは内容の問題ではございませんので、ある意味では趣味の問題かとも思いますが。
あと何点か整理して戴いたことについて、あくまで結論に反対というわけではございませんが、一応コメントという形で申し上げたいことがございます。
まず、19ページの権利付与対象のところですが、個人的には権利付与対象を拡大してもいいのではないかという意見を持っておりますが、結論において、今回のWGのコンセンサスとしては、現状維持ということでよろしいかと思います。しかし、ビジネスモデルにこだわるわけではありませんが、やはり特許による保護の限界というか、短ライフサイクルで早期実施されるビジネスモデルを特許で保護することについては、メリットだけではなく、適切な権利行使ができない可能性もあるというデメリットも特許制度のもとで存在することについても、今後御検討戴くことが必要ではないかと思います。
次に、37ページの損害賠償についても、結論としては、制度改正が不要であるであるということでよろしいかと思うんですが、ただ、報告書の表現ぶりがやや不正確かなとも思います。と申しますのは、「肯定的な評価を得ている場合には、原則として、無過失」という記載がなされておりますが、釈迦に説法かと思いますが、評価書の調査範囲から新たな文献が出てきた場合については原則無過失という解釈であり、評価書の調査の範囲外から新たな文献が見つかった場合については自己責任を有することになっているので、そのことをより正確に記載して戴いた方が宜しいかと思います。29条の3の趣旨をより徹底することは、私、大賛成でございますので、その点は宜しくお願いできればと思います。
さらに39ページの進歩性ですが、前回申し上げたとおりであり、長岡先生も同じ御意見を表明していただいたと思うんですが、これも単なる表現上の問題かと思いますが、ここだけ「更に慎重に」という、「慎重に」という言葉が出ていますが、多分、他の問題と同様に検討すればいいことであり、あまり定義の問題とリンクして考えなければいけないことはなく、定義の問題は定義の問題として、進歩性の問題は進歩性の問題としても検討できるのではないかとも思いますので、結論としては報告書のとおりでよろしいかと思いますが、そう慎重に検討する必要もないのかなと思います。
さらにまた、私の不勉強かとも思うんですが、「運用による対応」というところのほとんどの部分はよろしいかと思うんですが、2番目の「出願から登録までの期間の短縮」で、補正の期間を短縮するとされていますが、確かに法律には何カ月とは規定されておりませんが、政省令の改正が必要になることから、特許庁が運用で決められる問題ではないかと思います。
最後に、訂正の要件についてですが、資料1の33ページ、資料2の8ページになるかと思いますが、結論としては、報告書のとおりでよろしいかと思いますので、今後御検討いただければ幸いですが、基礎的要件の審査を訂正がなされた段階でする場合に、もし基礎的要件を満たさなかった場合にどのような処分をするのかということは明確ではありませんが、おそらく、特許法18条に規定されている却下の処分、すなわち、再度訂正の機会、または訂正の補正の機会を与えないで、意見を述べる機会だけ与えたうえで、却下の処分をするとことになるかと思いますが、それでよろしいかどうかの検討をして戴ければ幸いです。もし、訂正の補正の機会を与えると、訂正の機会は1度としておきながら、再度また訂正の機会を与えることにもなるかと思います。また、基礎的要件の判断については審査官が行っているとのことでしたが、実質的に審査官がやっているだけでございまして、要件に違反している場合には当然特許庁長官名による指令・却下処分が出され、それに対して不服がある場合には行政不服審査法で争うということになるかと思いますので、処分主体はあくまで特許庁長官であり、どのような理をするかということを今後御検討いただければと思います。
細かいことばかりで申しわけございませんが、全体的な方向性は、御説明いただいたとおりでよろしいかと思います。以上でございます。
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大渕座長
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ほかに、どなたかございませんか。
どうぞ。
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溝尾委員
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今、出願から登録までの期間の短縮ということで、全体的には短縮していって非常に努力されていて、従来5カ月から6カ月かかっていたものが平均で4カ月ぐらいになってきているんですけれども、余りこれが出願人の意向に無関係にどんどん短縮されていくと、全体的に言ったら短縮されていく方向は正しいと思っているんですけど、すべてのものが、あらゆる出願がものすごく早い時期に登録されて公開されるということになると、かえって使いづらくなってくる側面というのはあると思うのです。ある程度出願人の意向も配慮して、全部が全部例えば2カ月とか3カ月とかいうふうな形になると、その間で何か誤りがあったとか特許に出願したいとかいろんなことがあっても、一切の権利が奪われてしまうことになりますので、運用についてはある程度出願人の意向も受け入れつつ、すべての出願を一律に短期に登録して公開するという形の運用は、ある段階ではデメリットの方が多くなると思うんですね。例えば極端に言ったら、きょう出願したものがあす全部公開されるとなったら、その間、何もできないことになりますから、実用新案制度というのはものすごく使いづらいものになると思うんです。だから、あるところで臨界点というのはあって、短くなるとデメリットというのが出てくると思うので、これは別に法制度とは全然無関係にできる話なので、その辺はある程度出願人の意向を配慮しつつやっていただかないといけない側面があると思います。
それと、今回の法改正で基本的に付与対象を拡大しないということなんですけれども、物品の形状、構造と物との境界線というのが不明確だという部分について、やっぱりガードレールをきちっとしていただかないと難しい問題があると思います。具体的な例で申し上げますと、例えばインクジェットプリンターみたいな製品で言うと、例えばインクというのは物品の形状は要さないわけですね。インクジェットプリンターという製品は、インクの特性と構造とが密接に関係してくるので、例えばこういう特性のインチでこの形状の穴にした場合はどうだとかいうふうな権利といったような場合、インクの部分の権利は認められないのか。物品の形状、構造とインクの特性とが密接不可分にあるような場合、そういうのが認められないのかというあたりを、ある程度カードレールをきちっとしてもらわないと、やっぱり出願人の側としては、必要以上にある領域の出願は特許にしていかざるを得ないというふうな部分もあると思うんです。そこは一たん実用新案で保護されないというふうになったとき、法律的に拡大してほしいというふうには考えてないんですけど、プログラムとの関係を言うとややこしいので、プログラムでないもので言っても、商品の中に物品の形状、構造と、そういう形状を持たないものと混在して商品が形成されているものというのはあるので、その辺のところでガードレールをきちっとしていただきたい。これも別に法律の問題じゃなくて運用の問題で改善できると思うので、その辺の手当てもしていただきたいと思います。
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大渕座長
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ほかに、どなたかございませんか。
どうぞ、戸田委員。
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戸田委員
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日本知的財産協会の戸田です。今回、非常に短期間によくまとめていただいて、大変ありがとうございます。3点ほどコメントをさせていただきます。
今、御説明があったのですけれども、減縮訂正の場合の時期的制限、出願から3年とか6年ということを設けたらどうかということを私どもは主張してまいりました。この報告書にも書かれているのですが、無審査登録による第三者負担とのバランスをいかにとるかというところが大事だと思います。先ほど木村室長から基本的には余り減縮訂正というのは認めたくないのだという御発言があったと思いますが、それを時期で区切るのか回数で区切るのか、自己と他人とで区切っていくのかと、いろんな方法論があるかと思うのですね。私ども申し上げたかったのは、実用新案制度というのは早期保護では一定のニーズがあるんだということを一応理解して、そうであればなおさら、やっぱり時期で区切った方が法目的にかなうのではないかということです。
ですから、絶対、時期で制限しなければだめだということを言っているわけではなくて、第三者とのバランス、法目的から考えると時期の方がいいのではないかというのが私どもの意見です。それが、1番目のコメントです。
次に、実用新案登録に基づく特許出願、これは出願と同時に登録が放棄されるということで、こういう方向がいいのではないかと思うのですが、特許出願の要件に関して登録時の明細書、図面全体の記載範囲から可能であるという御提案だと思います。これは戦略ワーキングの議論なのかもしれませんけれども、特許法の改正として補正、分割制度をどうやって見直していくのかということが検討されているかと思いますが、そういった検討と、この実用新案登録に基づく特許出願のバランスといいますか整合性もぜひ御検討いただいた方がいいのではないかと思います。今回の報告書では特に必要ないと思いますし、来年以降になるかもしれませんが、過剰に実用新案登録に基づく特許出願の方が有利になるようなことが出てきてはおかしいだろうということです。それが2番目のコメントでございます。
3点目ですが、先ほど申し上げましたように、早期保護では一定のニーズがあるということで、実用新案制度は基本的には存続していくということなんですが、報告書の12ページのところに、数年後にきちんと見直しをするということをぜひ書いていただけないですかね。要は、我々、国際競争力のある制度をつくるということでは、もともと特許制度1本でいくべきではないかと主張してまいりました。それで、数年後、特許の審査が非常に迅速化されて、ある程度早期保護が図れるようになってきた場合には、全体としての、特実の制度設計はどうするのかというのはもう1度見直すべきではないのかと思います。それは、先ほど議論になっていました保護対象の問題ですとか、定義規定、進歩性をどうするのか、無審査登録を維持するのか、合わせましてもう1度数年後、利用実績も見て再点検すべきではないのかなと思います。
もう1点、これは非常に事務的なことなのですが、せっかくいいアンケートをやられたので、報告書にはぜひアンケートのすべての結果を添付して報告された方がいいと思います。
以上です。
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木村審議室長
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最後のアンケートの添付の点は、できればそうさせていただきたいと思います。
それから、熊谷委員、溝尾委員からも御指摘いただいた点については、我々でも検討して、要すれば報告書の修正のような形で対応させていただきたいというふうに思います。
それから、今、戸田委員から指摘がありました数年後の見直しの話なんですけれども、基本的に、制度というものはある意味では不断に見直しをしていくことが必要ですので、そういう意味であれば、もちろん見直しを随時行っていく、実態に即してよりよいものにしていくということは必要なことだというふうに思っております。ただ、例えば何年後に必ず見直すのか、ちょっとそこまでお約束するのは、できればそれは後世の方たちに委ねたいというふうには思います。
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大渕座長
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どうぞ。
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高倉調整課長
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戸田委員から御指摘のあった2つ目の点でありますが、特許における補正の制限、分割の緩和について、戦略ワーキンググループの方の議論との整合性にも配慮してくださいという点につきましては、補正の制限は、特許における実態審査において、最初の拒絶理由通知に対して発明の単一性を逸脱するような、サーチ範囲が著しく変わるような補正を制限しようということでありまして、実用新案と直ちに関係はしないんですが、ただ、実用新案登録に基づく特許出願等の取り扱いにおいては多少関係する可能性もあると思いますので、御指摘の点を含めて今後の戦略ワーキンググループにおいて検討を深めていきたいと思います。
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大渕座長
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どうぞ。
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吉田委員
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タカラの吉田です。
初めに、ユーザーとしての感想を少し述べさせていただきたいと思うんですが、現行制度のフレームの中でなされた改正案としては、数歩前進したのではないでしょうか。評価に値すると思われます。ただ惜しむらくは、論議を尽くす中でよいアイデアが数点出ていたように記憶しています。そういった点について少し積み残した感がなきにしもあらずということで、結果として数歩前進したんだけれども、本来実用新案に出願すべきものが特許出願に流れているものを実用新案に呼び戻すには、若干魅力が欠けたかなという感じがいたします。
先ほど戸田委員の方からも出ていますけれども、いずれにしても、基本コンセプトを変えないで今回修正したわけなんですけれども、やはりごく近い将来で、本件制度について根本的にどうすべきなのかという論議は避けられないのかなというぐあいに私も感じています。できれば報告書に見直しの時期というものを明記すべきではないでしょうか。
それから、これは確認事項なんですが、論点7に対応する報告書のページ32の5のところですね、「ワーキンググループにおける意見」という中の5行目から6、7と3行に書かれている部分で、これは再評価のところだと思うんですけれども、私、ちょっと読み外しているとまずいんですが、前回の会議で、訂正後、その訂正範囲について再度評価していただけるということがなされていたと思うんですが、報告書に該当するのはどこにそういう形で明記されているんでしょうか。これはちょっと確認です。
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木村審議室長
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基本的に、訂正の後再評価をすることは、それは差し支えありません。前回それは口頭でお答えしたとは思ったんですけれども、表現の中に入れた方がよければ、それは……。
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吉田委員
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やっぱりそこは、権利行使するときは評価書添付が前提になりますので、ここは明文化しておくべきではないかなと。
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木村審議室長
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評価請求について特に回数制限といいますか、そういうものは今もしておりませんし、それをするつもりはないということです。
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吉田委員
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わかりました。
それから、これは論議を尽くした形でここへすり合わされていますので、私は個人的な意見として最後に述べておきたいんですけれども、ページ33の6の(2)の「訂正の時期と回数」の中で、評価書請求後に権利行使を伴ったときに、第三者から提起された無効審判請求に対して、権利者側として対抗措置としての訂正機会が与えられていないという点については、やはり実態からどうしても外れるかなと。特許法とのバランスも特にここは著しく欠いているようにも見えます。今後の課題としてでも、ここの点については引き続きご留意いただきたいと思います。
以上です。
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大渕座長
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どうぞ。
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尾形委員
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JEITAの尾形ですけれども、JEITAの方でも、最終案のドラフトの段階ですけれども、特許委員会の中で検討させていただきました。結論から言いますと、権利者の利便性と第三者負担とのバランスがほどよくとれた合理的な案ではないかということで、JEITAとしてはこの案に賛成をすると。
2点ほどJEITAの案とは異なっているわけでございますけれども、1つは、実用新案登録から特許出願した後にさらに実用新案に変更するというのは禁止しますという、ここはちょっと利便性が欠けてはいるわけですけれども、容認し得るであろうと。
それから訂正の時期、先ほど戸田委員の方からありましたけれども、制限を設けるべきであろうということでございますけれども、JEITAの方は6年だったわけですけれども、これもやむを得ない、10年まで延ばしてもいいのかなということで、全体としては合理的な案であるというふうに考えております。
以上です。
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大渕座長
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どうぞ。
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石田委員
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弁理士会の石田です。
先ほどの訂正の機会のことについて、評価書と無効審判の請求とこれを一緒にして1回にしたということについての理由を教えていただきたい。回数にやっぱりこだわっているということなんでしょうか。
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大渕座長
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どうぞ。
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木村審議室長
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回数にこだわっているという点につきましては、基本的に自由な訂正というのは実用新案制度の特性を考えると、ある意味では権利の安定といいますか、権利範囲の確定といいますか、そういう観点から、本来余り柔軟にできることは望ましくないという考え方がまずあるだろうということで、ただ、それについてやはり訂正が全くできないというのもいかにも使いづらいという御指摘に配慮して、そのために期間を限定して、かつ1回ということにさせていただきたいということです。回数を重ねるということが可能になりますと、やっぱり当初から適切な権利範囲というものを記載するといいますか、そういうことのインセンティブというのは損なわれる可能性があると思います。もちろん、そこは確かに1回を2回にしたらどの程度損なわれるのかとかいうのは、定量的に実証することは不可能だと思いますけど、基本的にはやはり認められるべきものではない――というとちょっと言葉が強いんですけれども、一部に限って制限を緩和するということが、第三者との関係も考えるとやはり妥当なのではないかなというふうに思っていることです。
それで、やはり時期の制限を設けると、これは繰り返しになりますが、例えば3年しかできない、6年しかできないということになりますと、念のためというような行動も出てくるし、評価請求などにも共通するんですけれども、基本的には、やはり権利をお使いになるときに権利の行使のための手だてというのを整えていただくというのが実用新案制度のある意味で趣旨だとすれば、それに伴ってすぐには使いもしない評価請求がふえるというようなことになっても、それは余り意味のないことではないかというふうに考えているわけです。
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石田委員
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第三者による評価請求と第三者による無効審判の請求は若干意味合いが違うので、この点からそれぞれ1回というのが好ましいのではないかなと思うんですけれども、その辺を、今後の課題として、また検討事項としてお残しいただければというふうに思います。
それから、弁理士会といたしましては、全般的に使い勝手のいい実用新案制度に変更して変えて残すということについて、総括的には、対象物の拡大という点が考慮されなかったことについて若干の不満は残りますけれども、おおむねこの案でいいのかなというふうには思っております。ただ、今後の課題として、登録後の情報提供制度の導入ということについて、これは第1回のときに私が発言したかと思うんですけど、この点についても課題として、今後の検討事項としてお残しいただければというふうに思います。
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大渕座長
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坪田委員、どうぞ。
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坪田委員
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実務的なことは余り私自身明るくなくて、余り議論には参加できなかったんですけど、中小企業がこの制度を使っていること、まだ使いたいという希望があるということから言いますと、いい方向でまとめていただいたというふうに思っております。
いろいろ論点は分れる部分があるんでしょうけれども、使いやすさというか、あるいは行政の負担、そういうバランスの中で、どうしてもやっぱり制度上割り切らざるを得ない部分があるのは確かだと思います。それはやむを得ないことだというふうに私は思いますし、そういう中で、いい方向にまとまったのではないかと思っています。
先ほど、数年後に見直すべきじゃないかという御意見、お2人の間から出ておりましたけれども、先ほど室長が言われたように、当然これは不断に見直すべきことであって、何も何年後にという、それは、余り私は書く必要はないのではないか。当然社会の流れの中で変わるべきものは変わっていかなきゃいけないし、それは当然特許庁の方によくニーズとか利用状況を把握していただいて、やっぱり適切な見直しを適宜行っていただきたいというふうに思っております。
以上です。
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大渕座長
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臼井委員、どうぞ。
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臼井委員
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経団連の臼井です。
基本的には、本報告書でよろしいと思います。私どもの主張が大分取り入れられたというふうに思っております。現在のフレームを変えず自己責任の原則による実用新案制度としては、魅力ある制度の設計ができたのじゃないかというふうに思っております。まだまだ各委員のおっしゃるように完璧ではないということはあると思いますので、先ほど戸田委員もほかの委員もおっしゃっておりましたけど、これは時期が来た時点で見直しをすればいいんじゃないかというふうに思っております。
あと、前回も述べさせていただいたと思いますけど、この制度をユーザーの方にわかりやすくぜひ説明していただきたい。これがやっぱり一番の今回の審議会の最終結果だと思いますので、ぜひその辺をよろしくお願いしたいということです。
以上です。
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坪田委員
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それに関連しまして、PR。商工会議所は全国に572ありますので、今みたいなことでお手伝いしたいと思います。
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大渕座長
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志村委員、どうぞ。
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志村委員
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松下電器の志村でございます。
各社、この委員会でいろいろな事情というかお話をしていただいた中で、最終的に私も非常に、よりよい方向でうまくまとまったなという感じがいたしております。ただ、私も先ほど室長がおっしゃられたように、いろんな改正はされるという方向性はあると思うんですけれども、審査請求の審査の促進を図れた時点では、もう1度やっぱり見直していただきたいなという感じはしております。
それと、あとちょっと事務的なことですけど、資料2ですけれども、3ページ目の上から10行目、「プログラム一般を実用新案制度の権利付与対象とすることに対する弊害について強い懸念があることを考慮すると」という記載がありますけれども、資料2が単独で出ていくと、「弊害について強い懸念」というのが、前後で何も出てきてないので、何をおっしゃられているかさっぱりわからないということがあると思います。資料2が単独でどこか出されるのであれば、ちょっとその辺、報告書の方の内容をちょっとつけておいていただきたいなという感じがします。
あと、同じ資料2の4ページ目で、ここは(2)の のところで、多分もう1人の委員もおっしゃっていて、私もこの手数料の改定については言及させていただきたしか小委員会の方では述べたと思うんですけれども、監査法人さんが料金のいろいろな話についてされたというのがありまして、ここに書いてあるように、実用新案法54条というのも確かに理解できまして、特許法も195条がありますので。ただ、どうも私のイメージからすると、審査請求の方に関しては、結構監査法人さんの料金について意見が引っ張られたかなと感じもしています。ただ、最近の資料を見ましたら、出願人の審査請求に対する適正な行動を促するというようなことがあちこちで書かれていますので、それはそれでいいのかなと。
ちょっと意見というか感想として言わせていただきました。以上です。
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大渕座長
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ほかに、どなたかございませんか。
それでは、大体意見が出尽くしたと思います。何点か若干の修正を要する御意見もいただきましたが、審議自体は今回で終了し、この報告書の具体的な修文につきましては、座長であると私と事務局とで調整の上、各委員の皆様には個別に再確認依頼をさせていただいた後に、最終的にワーキンググループの案として確定したいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」の声あり〕
ありがとうございました。
次に、事務局の方から、今後の予定についての事務連絡をお願いいたします。
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木村審議室長
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どうもありがとうございました。
本日取りまとめていただきました報告書(案)につきましては、所要の修正を施しまして、皆様に至急御確認をいただいた上で、できるだけ早く特許庁のホームページでパブリックコメントにかける手はずにさせていただきたいと思います。期間は大体1カ月程度を考えております。それを踏まえまして、最終的な報告書という形で確定をさせていただければと考えております。
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大渕座長
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ありがとうございました。
それでは、最後に、小野特許技監からごあいさつをいただければと存じます。
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小野特許技監
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特許技監の小野でございます。本年7月のワーキンググループ設置以来、短期間にもかかわらず精力的に内容の濃い審議をいただきましたことに、厚く御礼申し上げます。
特許庁といたしましては、本日おまとめいただいた報告書(案)を踏まえ、制度改正の準備に入り、現在検討されている特許審査迅速化等を目的とした他の制度改正とともに、来年の通常国会に法案を提出することを予定しております。
実用新案制度を、報告書(案)のような第三者とのバランスを考慮しつつ利用者にとって魅力ある制度とすることができれば、模倣品対策を初めとした早期権利保護のニーズに十分こたえることができるとともに、特許庁の有する審査能力の有効活用を通じて、特許と実用新案の両者による適切な権利保護が実現できると考えています。特許庁としては、報告書(案)に指摘されておりますように、評価書の的確性及びわかりやすさの向上が何よりも重要と考えておりますので、そのように努めてまいります。
最後に、改めて精力的に御審議いただきましたことに対して心より感謝を申し上げて、私のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。
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大渕座長
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ありがとうございました。
それでは、次に、私の方からも一言だけごあいさつ申し上げます。
まず、委員の先生方には、御多忙の中、5回にわたる本ワーキンググループにおきまして精力的に御審議いただき、まことにありがとうございました。
本ワーキンググループでの審議の趣旨、目的やその重要性につきましては、今、小野特許技監の方から御説明があったとおりでありまして、特に私の方で申し上げることはございません。産業財産法体系の中で重要な役割を担うべき実用新案制度のいわば根幹にもかかわるようなさまざまな改正事項、具体的に申しますと、今回御議論いただいた存続期間の延長ですとか、実用新案登録に基づく特許出願制度の導入、あるいは訂正の許容範囲の拡大等でありますが、これらの論点につきましていろいろなバックグラウンドをお持ちの委員の先生方に熱心に御議論をいただき、おかげさまで本日、無事審議を終えることができました。
また、特許庁の方々には、本ワーキンググループの事務局として大変御活躍いただき、ありがとうございました。今後は、本ワーキンググループでの審議結果に基づいた法案化の作業の段階となります。限られた時間の中での大変な作業になるかと思いますが、我が国のよりよい実用新案制度のための法案化作業をよろしくお願いいたします。
それでは、簡単でございますが、以上をもちまして私のあいさつとさせていただきます。皆様の御協力、本当にありがとうございました。
以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会第5回実用新案制度WGを閉会させていただきます。長時間にわたり御審議いただき、まことにありがとうございました。
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