産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会
第4回 審査基準専門委員会ワーキンググループ
議事要旨
1. 日時・場所
日時:平成27年3月27日(金曜日) 15時00分から16時25分
場所:特許庁庁舎16階 特別会議室
2. 出席者
田中座長、青木委員、淺見委員、伊藤委員、鈴木委員、濱田委員、二瀬委員、八島委員
3. 議題
記載要件の審査基準について
4. 議事内容
事務局から、資料1に基づき、審議事項の説明を行い、議論がなされ、事務局案のとおり審査基準の改訂を行うことが了承された。主な論点は、次のとおり。
サポート要件の基本的な考え方の見直しの必要性について
- サポート要件違反と判断される類型や、「請求項に係る発明が、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるか否かを調べることによって行う」という考え方は、変更せず維持すること。
- 審査官によるサポート要件の運用がより適切となるように、発明の課題を限定的にとらえるべきでないことや、課題と無関係にサポート要件違反を通知すべきでないことについて、参考になる事例あるいは裁判例を審査ハンドブック(仮称)に掲載すること。
サポート要件や実施可能要件の拒絶理由通知のあり方について
- サポート要件違反の拒絶理由通知について、理由を具体的に説明せず、「出願時の技術常識に照らしても、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化することができない」とだけ記載したり、単に「当該技術分野において予測困難である」という一般的な理由のみを根拠として、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化することができない旨記載したりすることは、出願人が有効な反論を行ったり拒絶理由通知を回避するための補正の方向を理解したりすることが困難になる場合があるため、適切でない旨を審査基準に記載すること。
- 実施可能要件違反の拒絶理由通知について、理由を具体的に説明せず、「出願時の技術常識を考慮しても、発明の詳細な説明は、当業者が請求項に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない」とだけ記載したり、単に「当該技術分野において予測困難である」という一般的な理由のみを根拠として、発明の詳細な説明は、当業者が請求項に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない旨記載したりすることは、出願人が有効な反論を行ったり拒絶理由を回避するための補正の方向を理解したりすることが困難になる場合があるため、適切でない旨を審査基準に記載すること。
実施可能要件違反とサポート要件違反を併せて通知することについて
- 実施可能要件の規定とサポート要件の規定は、その内容及び趣旨が異なるものであるから、実施可能要件に違反したからといって必ずしもサポート要件に違反するものではなく、またサポート要件に違反したからといって必ずしも実施可能要件に違反するものではない点に留意すべき旨を審査基準に記載すること。
- 裁判例集において、実施可能要件違反であってもサポート要件違反にならない例や、サポート要件違反であっても実施可能要件違反にならない例を掲載すること。
実験成績証明書の参酌のあり方について
- 審査基準第Ⅰ部第1章2.2.1.5 や3.2.4 に記載された、実験成績証明書の取扱いに関する基本的な考え方については、変更せず維持すること。
- 審査基準第Ⅶ部第3章において、「なお、薬理試験結果を後で提出しても、拒絶理由は解消しない」との記載を削除し、医薬発明であっても、実験成績証明書の取扱いは、審査基準第Ⅰ部第1章2.2.1.5 や3.2.4 に記載された取扱いと異なるものではないことを明らかにすること。
- 医薬発明においても、出願後に提出された実験成績証明書(薬理試験結果)によって拒絶理由が解消する場合があることが分かるように、事例を追加すること。
範囲を曖昧にしうる表現がある場合の基本的な考え方について(「約」などの表現)
- 審査基準第Ⅰ部第1章2.2.2.3の類型(5)の判断指針として、範囲を曖昧にしうる表現があるからといって、発明の範囲が直ちに不明確であると判断するのではなく、明細書や図面の記載、さらには出願時の技術常識も考慮してその表現を含む発明特定事項の範囲が理解できるかどうかを検討する旨を審査基準に記載すること。
- 「約」、「およそ」、「略」、「実質的に」、「本質的に」等、範囲を曖昧にしうる表現であって、良く使われているものについては、類型(5)に該当することを明らかにすること。
- 範囲を曖昧にしうる表現が用いられていても、どのような場合に発明が明確であると判断されるのかが分かるように、事例集あるいは裁判例集において、具体例を示すこと。
[更新日 2015年3月30日]
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