産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会
第5回 審査基準専門委員会ワーキンググループ
議事要旨
1. 日時・場所
日時:平成27年6月5日(金曜日) 15時00分から16時30分
場所:特許庁庁舎9階 庁議室
2. 出席者
田中座長、青木委員、淺見委員、伊藤委員、鈴木委員、濱田委員、二瀬委員、本田委員、八島委員
3. 議題
審査の進め方の審査基準について
4. 議事内容
事務局から、資料1に基づき、審議事項の説明を行い、議論がなされ、事務局案のとおり審査基準の改訂を行うことが了承された。主な論点は、次のとおり。
審査の基本姿勢について
- 現行審査基準の「審査の進め方」の「第1節 概論 1.審査の基本方針」に掲げられている方針は維持しつつ、これに加えて、特許権取得のための所定の手続を自ら遂行していく責任は出願人にあることを前提としつつ、審査官は、質の高い特許権の設定という視点も持って審査をするという点を、審査基準に記載すること。
先行技術調査の除外対象について
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現行審査基準に記載されている調査対象から除外できる発明の類型は、維持することとしつつ、審査官は、できる限り調査の除外対象となる発明が少なくなるように留意することを記載すること。
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調査の除外対象とできるかどうかに関して、以下の点を記載すること。
(i) 請求項の記載に誤記や軽微な不備等がある結果、調査の除外対象に該当する場合であって、発明の詳細な説明を参酌すれば、調査の除外対象に該当しない発明が把握できる場合は、当該把握した発明に基づいて調査を行うこと。
(ii) 調査の除外対象に該当する発明であるが、発明のカテゴリーを変更する補正や、表現上の軽微な補正により、除外対象に該当しなくなることが合理的に予測できる場合には、調査を行うこと。
(iii) 特に、第36条第6項第2号の類型である「④発明の詳細な説明及び図面を参酌しても発明を把握することができない程度に請求項の記載が明確でない発明」という類型については、当該類型に該当するため調査対象から除外できる場合や、当該類型に該当せず調査対象から除外すべきでない場合の例。
(iv) 第36条第4項第1号及び第36条第6項第1号の類型について、調査対象から除外を行うのは、それぞれ「請求項に係る発明について、発明の詳細な説明が当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないことが明らかな場合」及び「請求項に係る発明が、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できる程度に記載された範囲を超えていることが明らかな場合」に限ること。
先行技術調査の対象について
- 現行審査基準の「審査の進め方」の「迅速・的確な審査に資する場合には、補正により繰り入れられる蓋然性が高いと判断される事項を、過度に負担を増大させない限り調査対象とできる。」という記載を「査定に至るまでの審査の効率性を踏まえて、補正により請求項に繰り入れられることが合理的に予測できる事項を考慮しながら調査を行う」とすること。
先行技術調査の範囲となる文献について
- 先行技術調査の範囲となる文献は、国内外の特許文献(国際公開を含む。)や、国内外の非特許文献であることを審査基準において明記すること。
先行技術調査の終了条件について
- 補正により請求項に繰り入れられることが合理的に予測される事項も考慮しながら先行技術調査を行うことを審査基準の「調査の終了」の項で示した上で、関連性の高い先行技術文献が十分に得られたとき、又は、調査範囲において、より有意義な関連先行技術文献等を発見する可能性が非常に小さくなった場合に調査を終了できるという考え方を基本的な考え方として示すこと。
- その上で、調査の過程において、請求項に係る発明及び発明の詳細な説明に記載された当該発明の実施例について、単独で新規性・進歩性を否定し得る文献を発見した場合は、その請求項については、上記の「関連性の高い先行技術文献が十分に得られたとき、又は、調査範囲において、より有意義な関連先行技術文献等を発見する可能性が非常に小さくなった場合」でなくとも調査を終了することができること、ただし、過度の負担なく他の実施例についても調査を行うことができる場合は、更に調査を続行することが望ましいということを示すこと。
2回目以降の審査における追加的な先行技術調査について
- 拒絶理由通知に対する応答として明細書、特許請求の範囲若しくは図面が補正され、又は意見書等が提出された結果、それまでに行った先行技術調査において調査した範囲では調査が十分ではなくなったと判断した場合には、新たに先行技術調査を行う必要があることを審査基準に明記すること。
外国特許庁の調査結果・審査結果の参照について
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「審査の進め方」の別添「外国特許庁の先行技術調査・審査結果の利用ガイドライン」は廃止し、当該ガイドラインに記載されている内容については、以下のとおりとすること。
(i) 登録調査機関の調査結果及び外国特許庁の調査結果・審査結果のいずれも確認できる場合には、いずれの結果についても内容を検討し、有効活用を図ることを審査基準において示す。
(ii) 外国関連出願に特有の留意事項は、審査基準において示す。
わかりやすい進歩性の拒絶理由通知について
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進歩性の拒絶理由を通知する際には、本願発明と引用発明との相違点を明確にした上で、本願発明の進歩性が否定される論理づけを記載することを審査基準に明記すること。
意見書・補正書が提出された場合や、拒絶査定を検討する場合の留意事項について
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(通知した拒絶理由が適切であったかどうかの確認について)現行審査基準の「先に示した拒絶理由が解消されたかどうかを判断する」という記載は維持しつつ、これに加えて、意見書の内容を参酌して、先の拒絶理由通知において示した拒絶理由が適切であったかどうかを確認することも審査基準に明記すること。
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(拒絶査定するのではなく、改めて拒絶理由を通知する必要がある場合の例の充実について)2回目以降の審査において、拒絶査定をするのではなく、改めて拒絶理由を通知する必要がある場合があるので、それを審査基準、審査ハンドブック、又は裁判例集において示すこと。
拒絶理由は解消されていないが、拒絶理由を解消できるような出願人の対応を審査官が示せる場合の審査について
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通知した拒絶理由が解消していない場合には拒絶査定を行うという原則は維持しつつ、拒絶理由を解消するために出願人が取り得る対応を審査官が示せる場合であって、当該対応を取ることについて出願人との合意が形成される見込みがあると判断される場合には、出願人と補正の方向について意思疎通を図り、合意が形成されれば、最後の拒絶理由を通知できることを審査基準に記載すること。
補正・分割等の示唆について
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現行審査基準の「審査の進め方」の「第2節 各論 4.4 出願人との意思疎通の確保」の「補正・分割等の示唆は、迅速・的確な審査に寄与する場合に行う」という記載について、「拒絶理由を解消するために、出願人が取り得る対応を審査官が示せる場合には、積極的に補正・分割等の示唆を行う」とすること。
選択肢で表現された発明特定事項を含む請求項に係る発明の審査について
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選択肢発明のうち、「発明の単一性の要件」の審査基準に基づいて審査対象とする範囲の選択肢発明について、調査・審査対象とすることを記載すること。
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1回目の拒絶理由通知において、審査対象とした一部の選択肢発明について拒絶理由を通知しなかった場合であって、2回目以降の拒絶理由通知で、当該選択肢発明について拒絶理由を通知する場合には、「最初の拒絶理由通知」とすることを審査基準に記載すること。
[更新日 2015年6月8日]
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電話:03-3581-1101 内線3112

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