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第3回審査基準専門委員会議事録

  1. 日時 平成21年6月30日(火曜日)13時30分~15時30分
  2. 場所 特許庁 特別会議室
  3. 出席委員 中山座長、片山委員、榊委員、竹中委員、筒井委員代理(江藤氏)、永井委員、野間口委員、萩原委員
  4. 議題
    1. 進歩性の審査基準について
    2. 先端医療分野の審査基準の改定について

開会

中山座長

定刻でございますので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会の審査基準専門委員会の第3回会合を開催いたします。

本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

前回は進歩性をテーマに竹中委員、日本弁理士会、日本知的財産協会にプレゼンテーションをちょうだいいたしまして、その後、議論をちょうだいいたしました。今回は、その議論の続きということになるわけでございます。今回も、活発な御議論をお願いいたします。

委員・参考人紹介

中山座長

議論に入ります前に、今回から新たにご参加いただきました委員の御紹介を事務局からお願いいたします。

田村審査基準室長

それでは、今回からご参加いただく委員お二人を御紹介させていただきます。

まず、日本知的財産協会理事長をお務めで、凸版印刷株式会社法務本部長でいらっしゃいます萩原恒昭委員でございます。

萩原委員

日本知的財産協会の理事長をさせていただいております凸版の萩原でございます。ユーザーの立場で参加させていただいたということでございます。よろしくお願いします。

田村審査基準室長

続きまして、日本弁理士会会長をお務めで、筒井国際特許事務所弁理士でいらっしゃいます筒井大和委員でございますが、本日は残念ながら、御都合により欠席されておりますので、筒井委員の代理として日本弁理士会執行理事をお務めで、田代・江藤特許事務所弁理士でいらっしゃいます江藤聡明様に御出席いただいております。

江藤氏

本日は日本弁理士会会長の代理で出席させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

田村審査基準室長

以上でございます。

中山座長

ありがとうございました。

配付資料の確認

中山座長

それでは、引き続きまして、資料を事務局で用意しておりますので、確認をお願いいたします。

田村審査基準室長

お手元の資料を確認させていただきたいと思います。
資料1といたしまして議事次第・配布資料一覧がございます。
次に資料2といたしまして委員名簿がございます。

資料3といたしまして、こちらは野間口委員のほうからご提出いただきました「審査基準専門委員会の点検ポイント」というペーパーがございます。

資料4といたしまして、こちらは日本弁理士会のほうから提出いただきました「審査基準(進歩性)に関する追加論点」というものがございます。

資料5といたしまして「進歩性に関する『特許・実用新案審査基準』の点検におけるポイント」というのがございます。こちらは前回の資料9をリバイスしたものでございます。

資料6といたしまして、「知的財産戦略本部 先端医療特許検討委員会の提言をふまえた改訂審査基準の作成について」というペーパーがございます。

あと、参考資料といたしまして、参考資料1として新規性・進歩性の審査基準、そして参考資料2といたしまして「拒絶理由における説明責任について」というペーパー、そして参考資料3といたしまして、「進歩性のケーススタディー(イメージ案)」というのがございます。

そして、参考資料4、こちらは前回、日本弁理士会のほうからいただきました御意見でございまして、前回の参考資料2と同じものでございます。

あと参考資料5といたしまして、こちらは日本知的財産協会から、前回いただきました意見でございまして、こちらは前回の資料7と同じものでございます。

最後に参考資料6といたしまして、「先端医療分野における特許保護の在り方について」というペーパーがございますが、こちらは6月24日に知的財産戦略本部の会合で報告されたものでございます。

委員の皆さんのほうには、これと同じものでございますが、推進事務局のほうの御厚意によりましてカラー刷りの冊子もございますので、適宜、こちらのほうも御参照いただければと思います。

過不足等ございましたら、お申しつけいただきたいと思います。

また、前回もお願いさせていただきましたが、議事録作成の都合上、御発言の際には、お手元のマイクの緑色のスイッチをお入れいただき、マイクを近づけて御発言いただきますように、どうぞよろしくお願いいたします。

中山座長

ありがとうございました。

進歩性の審査基準について
(事務局資料説明)

中山座長

それでは、議論に入りたいと思います。まずは事務局から資料の説明をお願いいたします。

田村審査基準室長

それでは、お手元の資料3をごらんいただけますでしょうか。こちらは、野間口委員のほうから提出いただきました「点検ポイント」ということでございまして、こちらは弁理士会、知的財産協会の双方から提出いただいております周知技術について、点検のポイントとして取り上げていただきたいという御趣旨のペーパーでございます。これにつきましては、資料5の今回の点検ポイントとして取り上げさせていただいております。

次に、資料4を出していただけますでしょうか。資料4は、日本弁理士会のほうから、追加論点として提出していただいたものでございます。2点ほどございまして、1点目は、「立証責任が審査官にあることの明確化と拒絶理由における説明責任」というところ、そして、2点目といたしまして、3ページになりますが、「いわゆる後知恵防止規定について」という2点について追加論点として御提出いただいております。

まず、立証責任についてでございますが、こちら、1ページの中ほど、2段落目あたりを見ていただきますと、御意見といたしましては、進歩性の判断について立証責任が審査官にあること、及び拒絶理由通知における審査官が最低限何を説明すべきかについて、より明確かつ充実された記載が必要であるものと考える、というような御指摘でございます。

これについて、事務局のほうで検討させていただきましたところ、確かに知財高裁で審決取消訴訟が審理されるときに、被告である審判官が進歩性の判断について立証責任を負うということは、民事訴訟法上、考えられるかと思いますが、通常、審査官が行う査定というものは、むしろ民事訴訟法というよりは行政手続法によると考えられます。

それで、行政手続法の中では、そういう不利益処分を行うときにはちゃんと理由を付すようにというようなところが確認されておりますし、さらに特許法の50条の中でも、拒絶査定をする際にはちゃんと理由を示して出願人に反論する機会を与えるようにというところの規定がございます。そして、審査基準の中では、ちょっと下のほうになりますが、参考資料2というのがございまして、お手元のほう、ございますでしょうか。

参考資料2の、枠囲いしてある部分でございますが、こちらは「進歩性」ではございませんで、「審査の進め方」という審査基準の記載でございます。この中に、「拒絶理由通知には、拒絶の理由を出願人がその趣旨を明確に理解できるように具体的に指摘しなければならない」というような記載がございまして、具体的には(1)として、出願人が理解しやすいように、できるだけ簡潔かつ平明な文章で、要点をわかりやすく記載することであるとか、(2)といたしましては、新規性・進歩性等の拒絶理由は請求項ごとに示すというようなところ。そして、飛びまして、(6)のところには、先行技術文献等の引用に際しては、引用文献等を特定するとともに、対比・判断をするのに必要な引用箇所がわかるように記載することであるとか、引用文献等の記載から認定される技術的内容を明確に示すというようなところがるる説明されているという状況でして、丁寧な起案をするようにというところは基準の中に明示されているということでございます。

あと、裏のほうにまいりまして、こちらが進歩性のほうの審査基準でございますが、この枠囲いをされております下から3行目でございますが、拒絶理由を差し上げまして、出願人側から反論があったときに「審査官の心証を真偽不明になる程度まで否定できた場合には、拒絶理由は解消する」というようなところが書かれているというところでございますので、この辺の記載でちゃんと行政処分における拒絶理由を出願人のほうに提示するというところが果たせないかどうかというところが、一つ検討のポイントになろうかと思われます。

資料4に戻らせていただきまして、資料4の2ページ目にそういうふうにするべきだという具体的な理由が書かれてございまして、1点目は10行目あたりに書かれてございますが、AIPPI Japanの進歩性に関する調査報告書が引用されてございます。こちらのほうで「引用されております具体的文献が挙げられていない」、「いかなる点が周知慣用技術あるいは設計事項であるのか判然とせず、具体的反論を困難にしている」というようなところが指摘されているというふうに指摘されておりますが、実際にこの報告書の中でアンケートをされておりまして、別の部分では「審査基準自体に特に問題がない」というような回答があって、それとは別途具体的な案件について、そういう問題点も見つかったというようなところが記載されてございます。個々の案件というところについて、全くこういう問題がないとは言えないのですが、ここで指摘されたのは「審査基準が不備である」というようなアンケート結果ではなかったのかなというふうに感じている次第でございます。

あと、2ページの下の方では、下から大体7行目あたりから、「例えば」ということで、MPEPには、事細かなこういう判断の手法が書かれているというところで、その辺も参考にしたほうがいいのではないかという御指摘をいただいておりますが、こちらに書かれています例えばまる1、「先行技術を変更する、または組み合わせることについて、示唆または動機づけが引用例の中に記載されている」というようなところが書かれてございますが、こちらにつきましてはどちらかと申し上げますと、アメリカのKSR最高裁判決の中で硬直的であるというふうに指摘されたTSMテストのようなケースの事例であるのかなと思っておりまして、それ以外に、この最高裁判決以後、MPEPは書き直されておりまして、この判断手法だけではなくて、さらに6つの判断手法が追加されているというところであろうかと思われます。

以上、御指摘いただいた根拠のところについても少しわかりにくいところもございますので、こういう「精神規定」というよりは、むしろ審査官によりわかりやすい「判断手法」という観点で今回取り上げさせていただいた論理づけのところで、御議論いただいたほうがより効果的ではないかというふうに、事務局のほうでは考えさせていただいている次第でございます。

次に、3ページのほうにまいらせていただきまして2.のところでは、後知恵防止規定について書かれてございまして、前回ある程度結論は出ていたわけでございますが、今年になって3件ほどこの辺を明示したような知財高裁の判決が出ているというところをお示しいただきました。こちらについても、後で御説明をさせていただきますが、具体的な「判断手法」のところで御検討いただくほうがより効率的ではないかというふうに考えてございますので、御再考いただければというふうに考えてございます。

次に、資料5の説明をさせていただきたいと思います。資料5については、前回の資料9と基本的に変わっておりませんで、5ページ目以降に変わったところについては枠囲いをさせていただいております。

ざっと前回も説明をさせていただきましたが、つくりを説明させていただきますと、1.のところで「審査基準の点検における基本的な考え方」というところがございまして、これは第1回の委員会で委員の皆さんからいただいた意見をまとめさせていただいております。

2.のほうで、「ユーザーの具体的な要望等」という項目でございますが、こちらのほうは、日本知的財産協会、日本弁理士会のほうからいただいた要望を論点ごとに整理をして、こちらに掲載させていただいているという次第でございます。

あと、3ページのほうにまいらせていただきまして、3.特許庁が現在行っている取り組みということで、「三極の審査実務調和」をやらせていただいているというようなところ、さらには(2)で「産業界の参画による納得感のある審査基準の改定」というのは、この委員会でやらせていただいています。

(3)といたしまして、品質管理の充実、これは2007年の4月に新設された品質監理室を中心に、個々の審査官が審査基準に齟齬することなく、適切な審査を行っているかどうかというところをチェックさせていただいているというところを前回御報告させていただいたところでございます。

次に、4ページのほうにまいらせていただきまして、「4.ユーザーの要望に基づいて特許庁が改善策を検討すべき事項」というところでございます。

(1)といたしまして、「裁判例の充実」という項目がございます。

この中で裁判例のアップデート、さらには特許性を肯定する裁判例をさらに充実させていただきたいというような要望がユーザーのほうからございましたので、この辺を特許庁のほうでやらせていただきたいという御報告をさせていただいたかと思います。

(2)といたしまして、「審査基準及びその関連情報へのアクセス性の向上」というところでございまして、審査基準をハイパーテキスト化いたしまして、そこに関連する情報をリンクづけをしてユーザーのほうがアクセスしやすいように、特にこういう判決も従来なかなか手に入らなかったわけでございますが、その辺もハイパーテキスト化して手に入りやすいような状況をつくっていきたいというふうに考えてございます。

今回、この辺のイメージを提示させていただき、その方向性を御確認いただくということで、一案をつくらせていただいております。お手元の参考資料3のほうを、ちょっと見ていただけますでしょうか。

参考資料3といたしまして、「『進歩性』のケーススタディー(イメージ案)」というのがございます。

表紙に書かれてございますように、先ほどご説明しました「裁判例の充実」さらには「審査基準及びその関連情報へのアクセス性の向上」という項目において、裁判例を審査基準の参考資料として特許庁ホームページにて公開すること及び出願人や経験の少ない審査官に対して審査基準の明確化のための新たな関連情報を提供することとされた、そういう資料の一つのイメージでございます。

裏のほうにまいらせていただきまして、「はじめに」というところにこの資料の位置づけを書かせていただいておりまして、上2段落のほうは、これまで御議論いただいた審査基準の位置づけがまとめられてございます。

それで、3段落目から審査基準専門委員会に触れておりまして、こちらでは審査基準の点検においては、必要に応じて迅速に審査基準を見直すというところが求められているとともに、安定した権利付与、権利付与された特許の安定性の観点から、必要以上に改訂すべきではないというようなコンセンサスもあったというところを書かせていただいております。

そして、審査基準の理解を助けるための資料というのも別途つくるほうがよいのではないかというところも書かせていただきまして、この資料はそういう資料でございます。

そして、下の段落にありますように、「審査基準が正しく適用された個別の事例、誤って適用された個別の事例として裁判例を取り上げ、審査基準を具体的事例に当てはめるにあたっての留意点をまとめ、審査基準のよりよい理解を助けるための参考資料として、審査官(補)や制度ユーザーに提供するものである」と。

「ただし、各裁判例における判示内容・摘記内容はそのまま一般化できるものではない」ということで、あくまでも個別・具体的な事例という位置づけで裁判例のほうを整理させていただいているということでございます。

提供の方法といたしましては、先ほど御説明しましたように、ハイパーテキスト化された審査基準にリンクするような形での提供を考えてございます。

2ページ目のほうにまいりまして、例えばということで、今回の検討のポイントに応じて、裁判例をこんなふうなイメージで整理させていただいてはどうかというご提案でございます。いわゆる「設計的事項」については、それに対応する審査基準の2.5の(1)まる1のところに、「最適材料の選択・設計変更など」という項目がございますので、XML化された審査基準においてアイコンのようなものがあって、そこをクリックいたしますと、下にある説明とか参考裁判例が出てくるというようなイメージをもっていただければと思います。

【説明】を読ませていただきますと、設計事項については本願発明と引用発明との間の相違点が最適材料の選択・設計変更など、これを設計的事項というふうに特許庁や裁判所では呼ばせていただいていますが、であるか否かを論点とした裁判例を以下に示す。相違点に格別の技術的意義がない場合には、その相違点に格別の技術的意義がないことを示すことで設計的事項であるから当業者が容易に想到し得たといえるということで、具体的な裁判例を入れる。

しかしながら、相違点に係る技術的意義が明細書に記載されている場合には、「単なる設計的事項」と指摘するだけでは足りないという裁判例もあると。そのような場合、公知の選択肢から特定のもの、最適材料や最適化された数値範囲などを選ぶ契機となったものを示すべきであるということで、そういうことを判示した裁判例を掲載させていただいて、例えば相違点が引用発明の目的から採用可能な選択肢の一つであることとして進歩性を否定している、そういう裁判例を挙げるというところを書かせていただきました。

なお、審査基準では「一定の課題を解決するために」と、その契機の例を記載しているということで、技術的意義があるのにそういう一定の課題というところに触れないで、拒絶査定をするというようなことは望ましくないというところを確認させていただいております。

それで、具体的な参考裁判例としては、こちらに書いてございますように、「相違点が数値範囲であり、その数値範囲の作用効果(技術的意義)が生ずる前提となる条件(放出される光の波長)は、明細書の記載上何ら特定されていないから、その数値範囲に格別の技術的意義はない」と。

「したがって、単なる設計的事項以上のものということはできない」というふうにした事例であるとか、さらには3ページのほうにまいりまして、第1引用例に記載の連結部に第2引用例に記載の技術を適用するにあたり、挿入可能な下方からすることは当業者が適宜採用可能な選択肢であるとした場合、連結部を連結するときに上から連結するのか、下から連結するのかしかなく、そういう場合に、上からうまく連結できないような場合には下から連結するというところは、適宜採用可能な選択肢であるということで、「設計的事項」というのを是認したような裁判例です。一方、特許庁の判断が否定されたような事例もたくさん載せさせていただく予定です。

その1つとしては、こちらにございますように、単なる設計変更と認定したが、その差には機能・作用・その他具体的技術において少なからぬ差違があり、単なる設計変更では足りないとされたような事例、さらには材料を周知技術へ変更を行ったに過ぎないとした審決に対し、格別の問題点が指摘されてない材料から、欠点が知られていた材料への変更に、阻害要因を認めた事例、さらには相違点である数値範囲は適宜、定める値に過ぎないと被告が主張したが、この数値限定が技術的意義を有するものであり、かつ当該課題が新規なものであるから、その数値範囲は適宜定め得るということはできないというふうにされた事例というようなものを掲載させていただいています。

あと、2.のほうで、具体的な動機づけについても整理をさせていただきたいと考えておりまして、こちらについては【説明】といたしましては、審査基準の2.4の「進歩性判断の基本的な考え方」には、以下のように記載されているというところで、「出願時」というところを十分考えてやっていただかないといけないということを、もう一度確認させていただいて、この動機づけのパーツ、パーツがひとり歩きしないようにというところを書かせていただいて、その後に、「すなわち、本願発明の技術分野、引用発明との相違点、当該技術分野の技術水準等いろいろな要素を総合的に勘案し、適切な動機づけを選択すべきであり、拒絶理由通知を行う際にはそれぞれの動機づけについて適切な理由を記載する」と。

「以下に参考となる裁判例を示す」というところでございまして、こちら、一つの例として入れさせていただいておりますのは、その機能、作用、その他具体的技術において少なからず差違があるから、引用発明と周知技術との技術分野の関連性のみでは動機づけが不十分であるとされた事例が書かれてございます。

これ以外にも、審査基準には、むしろこの逆で「技術分野の関連性」の観点で動機づけを認めたような裁判例も幾つか掲載されているというところでございますので、その辺と一緒に読みますと、是認される場合と、是認されない場合というのが見てとれるかと思われます。

5ページのほうは、「周知技術・慣用技術について」というところでございまして、【説明】といたしましては、「審査基準・・・には『拒絶査定においては、周知技術又は慣用技術を除き、新たな先行技術文献を引用してはならない』とあるとおり、その技術分野において一般的に知られ、当業者であれば当然に知っているべき技術である周知技術について、その周知技術の根拠を示すために先行技術文献を新たに引用して拒絶査定することができる」ということでございまして、これに対応するのが、下に参考裁判例として書かれてございます。

一方、「参考裁判例XXXXのように、周知性のない技術について、新たに先行技術文献を引用すると、既に通知した拒絶理由通知において、通知した拒絶理由については異なった理由となるから、新たな拒絶理由通知を発し、出願人に意見を述べる機会をあたえるべきである」としたような事例、これは出願人にとって不意打ちになるような、そういう拒絶理由を周知技術と称して打ってはいけないというような裁判例、こちらには参考裁判例としては掲載されてございませんが、そういうものもこちらで引用させていただきたいというふうに考えてございます。

最後に4.で「意見書等で主張された効果の参酌について」というところでございますが、こちらは出願当初の明細書に記載のない、そこから推論することもできないような効果を意見書等で主張されて、それを認めて進歩性ありというふうにすることができるかどうかというところでございますが、そちらの【説明】のところでは、「以下に、出願人が主張した効果が、明細書に記載されていなかったことを論点とした裁判例を示す」ということで、「明細書に明記されていないが、明細書又は図面の記載から推論できる本願発明の有利な効果は、その本願発明の構成等が引用発明及び周知技術によって論理づけられた場合には、その引用発明及び周知技術から予測できる効果と同一であり、結果として本願発明の作用効果は当業者が容易に予測し得るものであると判示されている」ということです。

一例でございますが、明確化の観点といたしまして、こういうふうなものをつくらせていただいてはどうかという御提案でございます。

資料5の本文のほうに戻らせていただきまして、ここからが御検討いただくポイントになるかと思いますが、4ページの下のほうに枠囲いさせていただいておりますが、前回の資料から追加させていただきました部分は、枠囲いをさせていただいております。

まず、1点目でございますが、進歩性のレベルについてというところでございますが、こちらは前回いただいた意見をざっとこちらに掲載させていただいておりまして、下のほうに前回の結論という項目がございます。

こちらは本日御審議いただくところでございますが、事務局といたしましては、この辺の意見を踏まえてまとめるとすれば以下のとおり、「法的安定性の観点から、現時点で審査基準の改訂によって進歩性のレベルを変更すべきではない」と。ところが「現行の審査基準を適切に運用することを目的とするのであれば、審査基準の関連資料を作成し、ハイパーテキスト化することなどでも対応可能である」というような前回の結論ではなかったかなというふうに考えてございます。

次に、「後知恵防止について」でございます。こちらについては、審査基準の中に、出願時の技術常識とか出願時の技術水準ということで、「出願時」というところが何度も基準の中で確認されているというところではございますが、こちらの6ページの枠囲いのところに整理させていただいておりますように、後知恵防止という精神規定を基準に入れたほうがよいという御意見もございました。ただ一方ではむしろ規定を入れることによって、進歩性のレベルに何がしかの影響が出るということであれば慎重であるべきだと。

むしろ実務家の皆さんからは、こういう精神規定よりは、実際の判断基準について御議論いただくほうがより効果的ではないかというような御意見もいただいておりまして、それらをまとめましてこちらに書いてございますが、「後知恵防止の規定を入れるべき、当該規定を入れることは慎重にすべきという両意見がありまとまらなかったので、今回は当該記載の追加は見送ることとする」と。

「しかしながら、『後知恵』であるとされないようにするための具体的な判断基準について検討すべきであるという意見が多かった」と。「そこで、具体的に点検ポイントしてあげられている下記(3)から(6)等の観点で判断基準を明確化することが考えられる」という結論を御審議いただければと思っております。

7ページ目以降は、前回にも御説明させていただいたところでございますが、簡単におさらいをさせていただきますと、(3)の「最適材料の選択・設計変更等について」というところでございますが、こちらについては今回も参考資料1として、新規性・進歩性の審査基準を添付させていただいておりますが、そちらの14ページの2.5というところに「論理づけの具体例」というのがございまして、これは進歩性なしというふうに論理づけできるかどうかの具体例でございます。

(1)として、「最適材料の選択・設計変更、単なる寄せ集め」というところがございまして、その下にまる1として、「最適材料の選択・設計変更等」というところがございます。

それで、下のほうには「動機づけとなり得るもの」というので、(2)がございますが、(1)については、引例として引かれたものと本願発明との相違点が非常に些細なものであって、そこをこういう最適材料の選択とか設計変更というふうに片づけることができるというようなケースでございます。基準には「一定の課題を解決するために」というような条件が入ってございますが、この辺の規定をより具体的に記載する必要がないのかどうかというようなご提案を弁理士会さんのほうからいただいてございます。

しかしながら、これについては、先ほども申し上げましたが、アメリカではKSRの最高裁判決の中でTSMテスト、どちらかといいますと下にある「動機づけ」に相当するようなところでございますが、それだけでは硬直的な判断になるということで、MPEPの中でさらに6つほど、進歩性なしと言えるような場合が追記されてございます。

それで、その6つというのは、基本的にはこの辺に該当するようなものがつけ加わって、その適用条件が事細かにMPEPに記載されているということでございます。ところが審査官のほうはMPEPに記載されたところをパターンマッチングして、むしろ本来拒絶すべきでないようなものを拒絶しているというような状況があって、産業界とか、法曹界のほうからいろいろ批判があるというような状況もございます。より細かなマニュアル化というところが本当に必要であるのかどうかというところをアメリカのそういう例も参酌しつつ、さらには一つの解決法としては先ほど参考資料3で御説明させていただきましたが、裁判例で具体的な適用の誤ったケースとか、そういうものを提示しつつこの辺の適用を考えていくというやり方も一つあろうかと思いますので、そういうのも検討の視野に入れていただいて御議論いただければというふうに考えてございます。

あと、(4)でございますが、「動機づけの関係について」というところで、こちらは参考資料1の14ページの下から始まりますが、「動機づけ」にはこちらにございますように、まる1として「技術分野の関連性」というような切り口からやっていくというのと、15ページにございますが「課題の共通性」、これは15ページの中ほどのまる2というところ、そしてさらには16ページの下のほうに「作用・機能の共通性」、そしてまる4として「引用発明の内容中の示唆」というようなところがございまして、これらのどれか一つに該当すれば「動機づけ」ができたというふうにしていいのかどうか。

実際には、この審査基準の中では15ページの上半分にございます3つの判決の中では、「技術分野の関連性」というところで「動機づけ」ができたというふうに判示されたようなものが掲載されてございます。

しかしながら、先ほどの参考資料3にございましたように、「技術分野の関連性」だけでは足らず、「課題とか作用の共通性」というところも考えていかないといけないというような特許庁の判断を否定するような判決もあるというところでございます。基準の書き方といたしましては、14ページの下から3行目にございますように、「関連する技術分野の技術手段の適用を試みることは」というところでは「技術手段の適用を試みる」というような表現を使わせていただきまして、前回の会合では、携帯電話を例に挙げて御説明させていただいておりますが、携帯電話にも音声を信号化するような手段もあれば、信号化したものを送受信するような手段もあるということで、「技術手段」として、それぞれ独立したものを組み合わせたり、それを適用したりしていくというようなものは、「技術分野の関連性」でやれますということです。後にあります3つの裁判例はそういうケースであろうかと思われます。

しかしながら、そういうのではなくて、この「課題の共通性」とか「作用の共通性」というところは、「引用発明を適用したり結びつけて」というような文言を使って、「技術手段」というようなところは出てまいりませんで、むしろ技術手段の中の個々のパーツを組み合わせたり、入れかえていったりというようなケースになろうかと思いますので、一応書き分けてはありますが、その辺の適用の仕方をどのようにしていくのかというところでございます。

ここについても、アメリカのようなマニュアル化をしていくのがいいのか、それとも基本に立ち戻ってちゃんと当業者が容易に発明できたのかどうかというところを「総合的に」判断していくという今のやり方がいいのかという点検ポイントです。

それに関連して、参考資料3のような、審査基準の適用において特許庁の判断が間違っていると言われたようなケースをはっきり示していくというようなところがいいのかというところも御議論いただければというふうに考えてございます。

8ページのほうにあと2点残っておりまして、(5)のほうは、野間口委員からご提案いただいた「周知技術の取扱」でございます。

下の点検ポイントの1.のほうが弁理士会からの御要望でございまして、2.のほうが知財協のほうからの御要望でございます。

こちらに書いてございますが、弁理士会のほうの御要望といたしましては、上にあります下線を引いたところでございますが、周知技術については、現在、「例示するまでもないときを除いて可能な限り文献を示す」というような記載ぶりになってございますが、そこの「例示するまでもないときを除いて」というところを削除していただいて、基本的には周知技術であっても可能な限り文献を示すというふうにしていただけないか、というようなご提案かと思います。

知財協さんのほうからは、むしろ周知技術というのが進歩性の基準の中で何カ所か出てまいりますので、その辺の関係を少し御議論いただくということもよろしいのではないか、というご提案でございます。ア.イ.ウ.エ.と4カ所審査基準の中で出てまいりまして、ア.というのは、引用発明の認定の基礎として用いる。すなわち技術常識の一部として、周知技術を引用するようなケース、イ.も当業者のレベルの判断でございまして、同じようなケースでございまして、技術常識の一部としてこの周知技術を取り上げるケース、ウ.はちょっとア.イ.とは違いまして、他の引用発明として用いるようなケース、この場合はどちらかというと主引例と副引例を組み合わせて進歩性なしとする場合の副引例としてたまたま周知技術というのを使ったようなケースかと思われます。あとエ.のほうはア.イ.に近いような話でございますが、設計的事項と認定する場合のバックグラウンドとして、技術常識を参酌しますが、そのときの一部としての周知技術というところで、ア.イ.エ.というのは、どちらかというと、バックグラウンドとして使うようなケース、ただウ.のほうは本当の証拠として使うようなケースということで、裁判例を見ておりますと、ア.イ.エ.のケースについては、実際に文献名を示すことまでは求められていないというような状況でございますが、ウ.のような「他の引用発明として用いる」というケースについては、そこが認められないで手続違背というふうに判断された裁判例もあるというところかと思われます。

あと(6)の「意見書等で主張された効果の参酌」でございますが、こちらについては、どちらかというと裁判例を探しますと、先願主義の我が国においてはなかなか当初明細書に明示的に記載されてなくて、そこから推論できないような効果を参酌して進歩性を認めるというところは裁判例が見つからなかったというような状況でございます。確かに我が国とは違った制度をとっておりますアメリカでは、認められているというようなところを聞く場合があるんですが、これを裁判所の判断と乖離してまで入れるべきかどうかというところが御議論のポイントになろうかと思われます。

私のほうからは以上でございます。

中山座長

詳細な説明をありがとうございました。

自由討論

中山座長

資料3の野間口委員から提出されました追加的論点に関しましては、資料5に挙がっております。

それから、資料4でちょうだいいたしました日本弁理士会の2つの追加的論点でございますけれども、事務局の説明では、それぞれ進歩性の具体的な判断手法の点検ポイントとして検討すると、こういう提案なんでございますけれども、それでよろしゅうございましょうか。

江藤さん。

江藤氏

幾つかご指摘いただいた点で、確かにやや適切でない表現もあったかもしれませんけれども、ここで追加しました2つの論点の1つ目は、まず立証責任の点ですが、これは民事訴訟法における立証責任があるということを主張したかったわけではなくて、拒絶理由を出す段階で審査官がクリアにその拒絶理由を提示する、そういう提示責任はあるということが言いたかっただけですので、立証責任という用語にはこだわっておりません。

最初に非自明性の規定ですが、現在では103条(a)項に規定がございます。田村室長から御紹介がありましたように、この規定が現在の日本の特許法のモデルになったものでありまして、1952年の法改正によって導入されました。

それで、この挙げた2点は、それぞれが特許法の29条2項に規定されております事項で、審査基準でその内容を変更できるものではない事項を重要なポイントとして挙げたというのがここの趣旨でございます。

次のページにある中で、特に審査の質をアップする面からも、出願人にとってわかりやすいより具体的な拒絶理由の提示というものを更に進めた審査基準にしてほしいという要望なんですけれども、その中で例えば下の中段のほうにもありますけれども、設計変更などについては、実際拒絶理由を受けたときに設計変更と単に言われている場合も、事実上無くはないんですよね。

ただ、その場合でも、その拒絶理由を見たときに、確かに引用例と本願発明を比較して、審査官のご指摘の通りだなと納得できることももちろん多々有るんですけれども、中にはシンプルに設計変更であると言われても、ちょっとした構成の違いではあるけれども、長年の苦労の成果として生まれてきた非常にいい効果があるものだと思っているときは、設計変更であるとの指摘だけではその反論がし難いというところがあると思います。改めて今設計変更についての審査基準の記載を見ても、必ずしも具体的にわかりやすく書いてあるかというと、そうでもないような気もしますので、今後この点について、さらに出願人側の対応がしやすいような具体的な定義とか説明が加わるとありがたいと思っているところです。

それから、下のほうで確かにMPEPを例示したところで、prima facie obviousnessを構築するため3つの要件が要るという表現にした辺りは確かに今のMPEPはもうKSRの後に変わっています。現在ここのprima facie obviousnessに続く部分というのは例示として7つの要件が挙がっている記載になっておりますので、この辺は必要があれば修正をしてもいいかと思っております。ただここでも申し上げたかったのは、TSMテストの位置づけです。KSR判決でもTSMテストを否定しているわけではないということは、皆さんご承知だと思いますし、むしろobviousnessを評価するに当たって、良い評価手法なんだけれども、余りにも硬直化した適用はしてはいけませんよということで、6つ挙げて、7番目にTSMテストも挙げていると。

ただ、その6つも全部見てみると、KSR判決で新たに構築された理論ではなくて、アメリカの訴訟とか審判の歴史で長く言われ続けてきていることを改めて挙げて、その中の一つにTSMテストも例示されたものです。また、この7つはあくまで例示と明示されていますし、これら以外でも、自明の判断をして良いわけです。自明性を肯定するための1つの手法としてTSMテストも挙げられているんですが、この2143のprima facie obviousnessの次の2143の01あたりからは、TSMテストの具体例が今でもちゃんと説明してありますので、今でもその重要性は余り変わってないと思っております。そして、それはこの後にお話しします後知恵をいかに防止するかということを考えるときに重要となるわけです。例えば、2つの文献があったときに、それを結びつけることは可能である、しかし、進歩性の判断は、可能かどうかの判断ではなくて、可能であることを前提に容易かどうかを判断しなきゃいけない。しかもその判断を後知恵を防止しつつどうやってやるんだと言う状況の長い歴史の中でこのTSMテストというのがアメリカの裁判、判例で構築されて来たわけですので、これが余りこれから軽く考えて良いということではないという思いからここにまた挙げさせていただいたものです。

それから、データ的なことで申し上げれば、そのKSR判決の後に、アメリカの特許率がどうなっているかということがありまして、最近よく使われているグラフを見ると、ものすごく下がっていて40パーセント台に落ちていると。70パーセントから40パーセント台に落ちているというとびっくりするんですけれども、落ち始めたのが2000年なんですよね。KSR判決は2007年ですので、その数年前から落ち始めていて、同じ勾配でずっと落ちてきていて、2006年までのグラフしか見ていないんですけれども、2006年ではもう既に50パーセントちょっとのところまで落ちているんですよね。

ここ一、二年でまたさらに落ちているんでしょうけれども、果たしてそれがKSR判決及びその後のMPEPの改訂の影響なのかということは、今後ちゃんと精査しなければ言えないことだと思います。つまり、今のこの急激な落ちが自明性の判断の変化によるものなのか、ほかの要因によるものなのか、2000年から落ち始めていること、また、日本とは異なる継続出願等の制度がありまして、その件数も増えているという状況も踏まえてもう少し精査をしないと、アメリカの状況が非自明性の判断が厳しくなって、急激にどんどん落ちているのかどうかというのはまだ公的には言えないことではないかと思っております。

それから、ちょっと重複しますが、2つ目の後知恵防止については、これも特許法の29条2項に明言されていること、すなわち、出願時という言葉で明言されていることですので、この後知恵注意の文言が平成12年の審査基準の改訂のときに削られた意味は、後知恵防止はそれほど重視しなくて良くなったという意味でないことは当然です。そして基準の具体的内容の方で明確にして行けば良いということであったということはもちろんだと思います。しかし、アメリカでも審査基準に明示されていることですし、EPCの基準にもあることですので、これからも十分に重視していかなければいけない、法律で規定された一つの判断基準だということを確認しておきたいと思った次第です。

ただ先ほども御説明がありましたけれども、今の時点で、その後知恵注意の文言を復活させるべきかどうかについては、また別の問題が有ると思いますので、現時点では、基準の具体的な内容で後知恵防止の基準を盛り込んで行くことが大事なのだと思います。したがって、見直しとしては、例えば、論理づけのところに、以前は「出願前に」という言葉があったんですね。「出願前に当業者が論理づけができること」というふうな記載があったんですが、そこも消されておりまして、現行の審査基準では後知恵をにおわせるものというのは、最初のほうの出願時という言葉が唯一あるだけで、理念的なところを削った割には内容に盛り込まれてもいない、むしろ後知恵注意を強く感じさせていた、「出願前に」という言葉もなくなっているというのが実情かと思います。その辺についてはまた現行の2.4の(1)辺りで入れることはそれほど影響がなさそうなので、考えても辺りのではないかと思いました。

それから、後ろに挙げた3つの判決例は最近の特に或るお一人の方のご担当の判決なのかもしれませんけれども、後知恵という言葉も使われていますし、示唆が必要だと言うような表現もございまして、それで、今年になってからの判決のデータの資料がまだ公的なものは見てないんですが、ある弁理士が個人的に集めた情報によりますと、かなり大幅に変わっておりまして、例えば拒絶査定不服審決が覆った比率が4割を超えているようなデータも出ているんですね。

これは一件、一件しっかり見てみないと、まだ、こういう場で本当は言ってはいけないんでしょうが、かなり戻ってきているというか、厳しかった状況から見ると、2008年、それから今年になって、徐々に上がってきて、ことしはまだ分母が少ないとはいえ先程申し上げたような高い比率が見えてきているんですよね。

だから、日本の知財高裁における傾向の変化というものがこれら3つの判決だけではなくて、起きているのではないかなと言うことも、今後検討して審査基準に盛り込む事項の検討や配慮はして行かなければないのではなかろうかということでございます。

中山座長

これから議論するいろいろ細かい点についても、説明をちょうだいいたしましたけれども、とりあえずはただいま私が申し上げました点と審査官が進歩性を否定する拒絶理由を通知する際に具体的な動機づけごとに最低限記載しなければならない要件を定めて審査基準に記載すべしという御意見、これはありますけれども、今回は事務局が挙げてくれましたような具体的論点において、一緒に議論をするという、その方向はよろしいでしょうか。

江藤氏

はい、そうです。

中山座長

そういうことでございましたら、資料5に従って議論を進めてまいりたいと思います。

まずは、事務局が前回の討論をまとめておりますので、それぞれを確認しておきたいと思います。

1つ目は進歩性のレベルについてでございますけれども、これは資料5の5ページの囲みのところに、下のほうに「前回の結論」というのがございますけれども、これは前回議論した結果、こういうことになったわけでございますけれども、これについてはよろしゅうございましょうか。こういうことで、議論を進めてよろしいですね。

それでは、この点はこういたしまして、次にただいま議論がございました後知恵防止でございますけれども、前回は事後的に分析をすると事業者が容易に想到できるようにみえるということを注意喚起するというような記載、すなわち後知恵防止の記載を審査基準に追加すべきか否かという点につきまして、追加すべきであるという意見と慎重にすべきであるという意見の双方があってまとまらなかったわけです。

むしろ慎重にすべきという意見のほうが多かったように思いますので、今回は当該記載の追加は見送りといたしまして、かわりにこれから検討いたしますような具体的な判断について後知恵防止を考慮しつつ検討していきたいと思っておりますけれども、その点もよろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

中山座長

ありがとうございます。

それでは、次に最適材料の選択・設計変更についてでございますけれども、これについて意見をちょうだいしたいと思います。事務局が作成してくださいました資料3を参考にしながら検討をしていきたいと思います。参考資料3でございます。

この点について、御意見がございますでしょうか。

どうぞ、野間口委員。

野間口委員

参考資料3は、後知恵防止だけでなく全体にかかわることになりますね。後知恵自体私は、何らかの形で防止したほうがいいのではないかと思うのですが、それに伴う色々な問題も出てくるというのもわかる気がします。参考資料3で、項目(3)から(6)までについて、きっちりと納得性の高い説明ができればいいと思うのですが、実際実務者が集まっております知財協などに、よく意見を聞いていただいて、よい事例を知らしめるように整理していただきたいと思います。

以上です。

中山座長

ほかに何かございましたら。

どうぞ、萩原委員

萩原委員

この問題は恐らく後の5番、「周知技術の取扱」のところにも絡んでくるんだろうと思うんですけれども、私どもで整理させていただいたように周知技術の適用というところで4パターンあって、そのうちのウ.、この資料5でいきますと8ページでありますけれども、他の引用発明として用いるのかというようなところにかかってくるときには、やはり慎重に扱っていただきたいなということであります。

その際に、先ほどご提示いただいたケーススタディーですね。こういうところと絡めて裁判例ではどうなっているのかというところも含めて検討していくことによって、いい方向が出てくるんじゃないかなと、こんなふうに思っていまして、なかなかこの審査基準の文章だけで選択・設計変更等について割り切っていくというのは難しいんだろうなと思っていまして、ですからこのケーススタディーのあたりでどういうふうにまとめていくのかというところに期待したいと思います。

中山座長

どうぞ、竹中委員。

竹中委員

アメリカから来た者としては、設計変更という言葉は、ほかの最適材料の選択ですとか、数値範囲の最適化・好適化というものと比べて、非常に広い表現のように感じられまして、アメリカの判例の103条が導入される前に使われていた全部を含めた発明性がないものとして使われていた言葉のように感じられます。本来であれば動機づけ等が必要なものも、もしかしてこの設計変更に含まれているのではないのだろうかというような感じがありまして、ここに資料の現在の審査基準にあります論理づけの具体例の中に書かれているように、具体的に設計変更の内容が書いてあれば、こういう場合に限られるのだなと、よくわかるのですが。この設計変更に、何が該当するかということについて、はっきりと、私はもう実務から離れて時間がたっているのですけれども、その弁理士なり、特許権者側の認識と、特許庁の認識がきちんと一致しているのかなという点に疑問に思います。この概念の適用の中で後知恵が入ってしまう可能性があるんじゃないかなというふうに感じました。

田村審査基準室長

「設計変更」というふうに簡単に申し上げましたが、審査基準の中では、参考資料1の14ページの2.5の(1)まる1のところに書いてございまして、そこでは「技術の具体的適用に伴う」設計変更というような、一応修飾語はついておりまして、「技術の具体的適用に伴う」というところでどれぐらい狭まってくるのかというところになろうかと思います。

あと、「一定の課題を解決するために」というところも入ってございますので、参考資料3のところで御説明させていただきましたが、相違点について、単に設計変更というふうにやるのではなくて、技術的意義があるようなケースについては、そこについて論理づけをしっかりやらないといけないというようなところは、裁判例の中で判示されておりますので、その辺をもう少し明確化していきたいなというふうに考えてございます。

ただし、アメリカのほうではMPEPでこれに近いようなことがTSMテストに追加するような形で入っているかと思われますので、そこについて、そういうパターンをいろいろ入れるだけでこちらが望んでいるような審査ができるようになるのかどうか、というところも御検討いただければなと思ってございます。

中山座長

ほかに何か御意見ございましたら。

どうぞ、片山委員。

片山委員

確かに、単なる設計変更という言葉自体はそういう容易推考のものをいうという、同じことを言葉で表しただけだというような面があろうかと思うんですけれども、参考資料の3の判例の中に、「単なる設計変更と認定したが、その差には機能、作用、その他具体的技術において少なからぬ差違があり、単なる設計変更では足りないと判示された例」というようなものがあります、こういうふうな違いがあった場合には、差違を見るものとして、それに着目しなさいということを示すために、こういうアプローチでいいのかなという感じはします。単なる設計変更というだけでは、やはり足らないんだろうなという気がするんですけれども、具体的にこういうところまで追っていけるというところであればいいのではないかと思います。

中山座長

ほかに何かありませんでしょうか。

どうぞ、永井委員。

永井委員

片山委員の意見とほぼ同じです。そもそもこの進歩性の判断は総合的な判断を必要とするので、審査基準にも「論理づけの具体例」として挙げておりますように、いろいろな要素が考慮されるわけですね。各要素の強弱、関係等の問題がありますが、特に一つの要素だけをもって決定づけられるものではないと思います。

単なる設計変更といえば、総合的判断としても、まさに証拠を挙げるまでもなく、技術者として当然そうだというような場合もあるのでしょうけれども、知財高裁が出した判決のようなケースですと、本件発明と引用例との構成上の差違があるから、設計変更という問題が出ているわけで、構成上の差違があって、機能作用においても差違があるのか、かつ技術分野や課題においても本当に関連性や共通性があるのかという、通常の容易推考の判断のときの定番的なマニュアル的な説明をきちっとすべきだったという事案でなかったのかなという印象を持っております。

単なる、設計変更という表現が、確かに容易推考だという結論をのべているにすぎないことになっているわけですけれども、もう少し丁寧な説明を本来すべきであったと思います。

それから、拒絶を受けた場合に、単なる設計変更だと言われたら、何をもって反論するんだろうか。反論の仕方としては、オーソドックスに、構成や機能の一部が違う、審査基準にもあるように、技術分野が同じであっても、課題がこういう点で違うとか、作用効果において、あるいはこういう点に違いがあるじゃないかということを反論する以外ないのかなという気がしております。そういう意味では、審査基準そのものの問題ではなく、説明責任というか、やはりきちんと納得できる説明をするかどうかの問題ではないかなと思っております。

中山座長

ありがとうございました。

いずれにいたしましても、審査基準という条文的なものですべて割り切ることができないので、この事務局の話にもございましたとおり、いろいろなケースがありますので、ハイパーリンクでいくなり何なりでそれをうまく書き分けて、よりわかりやすくしたらどうかというのが今までの大半の御意見ではないかと思うのですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

はい、ありがとうございます。

それでは、次の「具体的な動機づけ間の関係」という問題につきまして意見をちょうだいしたいと思います。これは資料5の7ページの(4)でございます。これは参考資料3の4ページにも関係をしてまいります。

どうぞ、萩原委員。

萩原委員

この問題は4つの考えるべきポイントがあるんですね。私どもは、前回のこの会議で御意見を申し上げたとおり、この4つがどういう位置づけになっているのかというのが非常に難しいと、わかりにくいということであります。

今の審査基準ですと、この(2)の動機づけとなり得るものという表題の後に、何の説明もなくそれぞれの個々のポイントが書かれてきているということで、例えば先ほど御説明いただいた、参考資料3の4ページにあります、田村室長から御説明いただいたこの4つのポイントをどういうふうに考えていくんだというような前置きの文章をこのハイパーテキストのほうじゃなくて、この審査基準の本文のほうに入れていただくというのも一つの手かなというふうに考えています。

あわせて、裁判例を見てみますと、この4つのポイントを一つだけ取り上げてみたり、組み合わせてみたり、いろいろのようでありますので、そこを一概にこうですと切り分けるのが非常に難しいということで、そこはまたこのハイパーテキストのほうのケーススタディーでいろいろ検討していくのかなというふうに考えざるを得ないんじゃないかというふうに思っています。

以上です。

中山座長

それは、ケーススタディーのほうで、総論といいますか、前文を書くということなのか、それとも。

萩原委員

ケーススタディーのほうに今案として書いていただいているんですけれども、そうではなくて審査基準のほうに入れていただいてもいいような文章じゃないかなというふうに思うんですけれども。

中山座長

その点、室長、いかがですか。

田村審査基準室長

そこはちょっと御議論いただいて。

中山座長

そうですか。

ただいまの萩原委員の意見について、ほかにも御意見をちょうだいしたいと思いますけれども、こういうことを基準本体に入れたほうがいいのかどうかということについて御意見がございましたらお願いいたします。

どうぞ、永井委員。

永井委員

このまる1技術分野の関連性、あるいはまる2課題の共通性、まる3作用、機能の共通性、まる4引用発明の内容中の示唆という、この4つの関係というのは確かにわかりにくいですね。ある意味では重なり合っている部分があると同時に、別の観点からそれぞれ意味を持っているということができます。

もっともまる4の「引用発明の内容中の示唆」は、まる1まる2まる3を全部まとめると、こういう言い方になってしまうともいえる場合があるんですね。

実際に審判や裁判の場面では、当事者の主張との関係で、どこを強調して言ってきたかという点で、いろいろな言い方があるわけです。このまる1まる2まる3まる4を適宜幾つか組み合わせてみたりするほか、当事者の一番強調しているところ、問題としているところに焦点を絞ってやっていますから、1つに限っている場合、あるいは2つ3つと重なっている場合があります。

これを抽象的に審査基準の中に表現するとするならば、総合的に判断しようというしかなくなってくるので、他に何かうまい表現方法が工夫できるのであればいいのですが、結局、こういった各要素をそれぞれ勘案して総合的に判断するという表現しかないのかなというような感じを持っております。

もっともまる4の「引用発明の内容中の示唆」はまる1まる2まる3を全部まとめると、こういう言い方になってしまうともいえる場合があるんですね。

中山座長

ほかに。

どうぞ、竹中委員。

竹中委員

アメリカのほうでも似たような要素を動機づけに使っているわけですけれども、アメリカの場合は2段階になっていまして、最初のまる1まる2、技術分野の関連性、または課題の共通性がなければ、まず最初に引用例として引くことができませんで、その後で今度論理づけのときに、また再評価をしているんですが、先ほど永井委員がおっしゃったように、総体的な判断になると思うんですけど、技術分野や課題が非常に似通っているような場合は、それだけでただ単に引用として引くことができるだけではなくて、組み合わせの論理づけ、または変更の論理づけまでいくことができるのですけれども、技術分野また課題が比較的離れているような場合は、他の動機づけが必要になるということで、ケース・バイ・ケースなのかなというふうに、永井先生の意見に同意するわけです。

中山座長

ということは総論的な記載はなかなか難しいという、こういう御趣旨ですか。そこまでは……。

竹中委員

総論的に、そうかもしれないですし、少なくとも技術分野や課題の共通性が全くないようなものについては、まず引用として引けないんじゃないかというようなことは言えるかもしれないと。

中山座長

萩原委員。

萩原委員

今、竹中先生のお話を聞いておりまして、やはりここは4つのポイントがあるんですけども、それぞれの位置づけというものを明確にしたほうがいいんじゃないかという、そういうようなお話のように私は受けとめました。

ですから、総合的に書くというようなことでもなくても、この4つのポイントを、例えば1個でも当たっていれば、その拒絶理由として引いていけるんだとか、そういうふうな位置づけを最初に置くという意味では、竹中先生も同意見なのではないかなというふうには感じましたですけども。

中山座長

どうぞ。

竹中委員

はい、そのとおりだと思います。萩原委員がおっしゃったように、一つは必要、または少なくとも技術分野、または課題の共通性が必要であることを総論的に明記し、その後で実際の論理づけについては、総体的なことになるかとは思いますけれども。

中山座長

ほかにご意見ございましたら。

どうぞ、江藤さん。

江藤氏

現行ではなくて、一つ前の審査基準では大きい論理づけという項目の次にその判断手法みたいなところの文章が入っていまして、何を主要観点としてと判断するというような記載の流れもあるんですけれども、それをむしろ余り硬直化し過ぎていたということで、2000年の変化があったと思います。けれども、その中でも今までのご意見にもありましたように、この動機づけとなり得るものの中の4つのポイントの軽重づけとか、あと組み合わせの可能性とか、そういうことはやってみることは不可能ではないと思いますので、ここに一つ前段の文章を入れることはチャレンジしてほしいなとは思います。

田村審査基準室長

現行のこちらの審査基準、例えばこの参考資料1の15ページの上半分については、「技術分野の関連性」という観点で「動機づけ」ができたというような裁判例でございますので、個別具体的な判断において例えば「課題の共通性」が必ず必要であるかどうかとか言えないかなと思われます。

確かに、「総合的に」判断しないといけないというような言い方は一般論としては言えるかもしれませんが、それを入れて、どれほど本当に意味があるのかというところが一つ考えないといけないかと思われます。

一方で、むしろ裁判所との判断の乖離ということは防がないといけないということですので、そう考えたときに、我々からすれば、それほど大した意味はないというつもりで文言を加えたとしても、それは審査基準の改訂ということで、非常にプレイアップした形でアナウンスが審査官にされますので、そうするとそれは何がしかのメッセージがあるんだというふうに考えたときに、今の審査では厳しいから、少し変えないといけないというメッセージも一方では発してしまう場合もあるというところを考えますと、メリットとデメリットを比較考慮したときに、そういうリスクを冒すだけの価値のある本文の改訂なのかどうかというところを御判断いただかないといけないのかなと思います。

いずれにいたしましても、ケーススタディーにおいて、裁判所との乖離というのが一番の問題かと思いますので、そこは今後どんどん事例を集めさせていただいて、今、萩原委員がおっしゃっていた「総合的に」判断しないといけないというところは、むしろ個別具体的な事例において、そこは「総合的に」判断しないといけないというところは理解してもらう、という方向では今後やっていきたいです。裁判所の判決もどんどん積み上げていきたいというふうに考えておりますので、あとは審査官がこの本文をいじったときにどういうメッセージとしてとらえるかというところの法的安定性の観点で、進歩性のレベルを変えるべきではないという御議論から、もう一回検討いただければというふうに考えてございます。

中山座長

確かに、法律の改正も同じですが、うっかりいじくると想像してなかった効果が出るということもあり得ないわけではないわけで、もしハイパーリンクその他で可能ならばと思うんですけれども、いかがでしょうか、それでよろしいでしょうか。なるべくそういう今、萩原委員のおっしゃった趣旨はもちろん貫徹するということで。

萩原委員

誤解があるような方向に行くというおそれがあるのだったら、それは避けないといけないでしょうから、その辺はよく検討いただければというふうに思います。

中山座長

どうぞ、永井委員。

永井委員

技術分野の関連性、あるいは課題の共通性ということを一種の第1要件的といいますか、前提要件とするという考え方もあるのでしょうが、実務をやっていますと、この技術分野の関連性というのも結構難しいんですね。

中山座長

形式的に分類的に言うと技術分野が違うんだけれども、例えば制御方法とか測定方法では共通しているというようないろいろな観点があるものですから、この技術分野の関連性と課題の共通性というのが実は認定上難しい場合が現実にあるように思われるものですから、これをいわば前提要件とするというのはなかなか難しいのではないか。

幅広な意味での関連性と共通性ということで、何か理屈つけばいいということだったらいいのですが、そこがまた一つの大きな争点になるのではないかという心配なところがありますので、結果的には室長のおっしゃるような考え方でいいのではないかと思っております。

おっしゃるとおりで教科書的な事例で、ロケットとフライパンなんていう例がありますけれども、確かに高温で溶けにくい金属というのをつくれば、だれでもフライパンと思いつくかもしれないし、場合によっては思いつかないかもしれないし、難しい判断ですね。結局総合的な判断がされるのではないかと思いますので、今、室長がおっしゃったような方向で、なるべくそれを明確にするということでよろしいでしょうか。

ありがとうございます。

それでは、その次の問題は、周知技術でございます。これは資料5の一番最後の8ページのところに記載してございますけれども、前回、野間口委員からご提案になったところでございますけれども、この点について何かご意見がございましたら。

野間口委員、どうぞ。

野間口委員

検討ポイントとして追加してほしいということで、取り上げていただいていますが、今の動機づけの議論と同じ趣旨で、結局審査の納得性といいますか、ユーザーである出願人と審査官のやりとりの納得性というのは、非常に重要だと思うのです。その意味で、この枠囲いの中の1.については、「例示するまでもないときを除いて」というのを削除していただく方向で良いのではと思います。出願人にもいろいろなレベルがありますから、審査官から見てこのぐらいは理解して当然だという人と、そうでもない人もいるでしょうし、これだけのことをやっていただいてもそんなに負荷にもならないわけで、審査の過程で必ず頭の中で考えられることなので、これを見える形に示していただくという意味ではぜひお願いしたいものです。

2.については、先ほど萩原委員からも御指摘がありましたけれども、これについて特にウ.の項目で、審査官にきちっと説明の責任を果たしてもらうことが必要かと思います。それはケーススタディーのところで示していただくような事例をきちっとやると、そういうことでカバーできると思いますので、ぜひここも取り上げていただく必要があると思います。

それから、こういうことをやったとしても基準の安定性といいますか、ちょっと時代が進むだけでまたどうなるかという不安が生じるということがありますから、本体は頻繁に変えなくても、ハイパーテキスト的な工夫でどんどん時代の進化に対応できる形でこの基準を構築する方がむしろ合理的と思います。イノベーションのスピードが上がっている時代ですので、ぜひそういう形でこの周知技術のところも取り上げていただきたいと思います。

中山座長

ほかに御意見がございましたら。

「可能な限り文献を示す」となると、これはかなりの特許庁の負担になることもあり得ると思います。可能な限りというのは、できることはすべてという意味ですから、例えばこれは特許と関係ないのですが、大学の授業で最初に習うんですけど、今の総理大臣はだれかということが問題になったときに、裁判所にとて顕著な事実であると書けば済むところを、内閣まで照会して公文書でもって麻生太郎という証明をもらってこなければいけなくなる可能性があります。証明をとることは可能だからやらなければならないとなると、それは大変なので、「可能な限り」と書いちゃうと、そこまでやらなきゃいけないという趣旨になってしまいます。野間口委員のご主旨も、そこまでやると言う意味では無いだろうと思います。

野間口委員

国語は余り強くないものですから、ベストエフォートという意味で使ったのであります。

中山座長

ほかに何か御意見がございましたら。

どうぞ。

榊委員

私は、この分野では門外漢であり、主として学術的論文の世界にいるものですから、時々皆さんのお話になっておられる日本語が少しわかりにくいと感ずることがあります。竹中先生に、英語に翻訳したときにどんな表現になるのか教えていただきたいのですが、まず、論理づけの具体例の1番である最適材料の選択、設計変更、寄せ集めという言葉は、わかりやすいんですが、次に記された「動機づけ」となり得るものになると、何の話をしておられるのかが、辛うじてわかった程度です。発明のきっかけになるヒントの有無の意味合いで、捉えてよいのでしょうか。

それで、竹中先生、英語の世界では、これをどう表現されているのか、教えていただけますでしょうか。

竹中委員

恐らくこの特許庁の審査基準は、アメリカの判例の言葉をそのまま使っているみたいです。先ほどから出てきているKSRという判決の中でも問題となりましたTSMテストというのがteaching suggestion motivation Testテストといいまして。そのうちのmotivationというのを日本の特許庁の方はもしかして動機づけというふうに使われているのじゃないかと思います。

だから、これら三つの概念は、みんな似ているような言葉でありまして、先生がおっしゃったように、ヒントという意味ではsuggestionでもmotivationでもteachingでもいいんですけど、余りその違いは無いように私は感じています。判例等も特に区別しているわけではないんですが。

榊委員

なるほど、よく分かりました。門外漢なものですから、大体の言葉はわかるんですが、動機づけという言葉だけが一般用語とは違った意味合や広い意味で使われていたものですから、理解に時間を要したということが正直なところです。この文書は、専門家がお読みになるのですから、表現の修正は必要はないと思いますが、異分野の人間には、理解に時間を要したということを申し上げたいと思います。

ついでに、幾分は感想的なことを述べさせて下さい。先ほど技術分野の相互関連性について説明がありましたが、ノーベル賞をもらわれた南部先生の業績の一つは、超伝導分野のある理論の中に、素粒子の根本的な問題を解くヒントがあることを見抜きこれを用いて新たな理論を作られた研究であるそうです。超伝導の理論を作った研究者自身も気がついてない関連性までを見抜く点は、極めて創造的なものと言えます。その関連性が、どこまで自明なものであるかは、判断が難しいわけです。飛躍の大きさがキーポイントになるとのお考えに同意するところでございます。以上でコメントを終わります。

中山座長

確かにおっしゃるとおりで、法律全体そうですけれども、もともと輸入したものですから、翻訳語としてわかりにくい言葉がいっぱいありまして、したがって裁判員制度で困っているわけですけれども、特許も大企業の法務、あるいは知財部だけで扱うならよのですけれども、中小企業あるいは個人の発明家も関係してきますので、本来でしたら注をつけるとか何とかで、もうちょっとわかりやすくしたほうがいいのかもしれません。その辺は検討課題とさせていただければと思います。

ほかに何かございましたら。

どうぞ、片山委員。

片山委員

この点検ポイントの1と2との関係で、「例示するまでもないときを除いて」が、例えば2のウ.の場合には、これは文献を示すべき、間違いなくそうだろうと思うんです。

他方、例えば引用発明の認定の基礎として用いていると、この引用発明はこういうふうな技術をあらわしていますねという、当然の前提としての技術常識があって、そういうところまで全部示せということになると、中山先生がおっしゃるとおり、なかなかそれは大変であろうなという感じがしますので、あるいはこのア.イ.ウ.エ.の場合によって違ってくるんじゃないかという印象を持ちました。

以上です。

中山座長

その点に関しまして、何かほかに御意見がございましたら。確かに知財協のこの分類は非常に有効な分類でないかと思うんですけれども。

野間口委員、どうぞ。

萩原委員

当協会の専門委員会の皆さんが一生懸命、審査基準を読み込んでくれて、拾い上げてくれたんですけれども、分類するとこうなるというようなことが読み取れるということでありまして、したがってそういうふうな使われ方をしている中で、どう取り扱っていくのかということなんだろうと思われます。

したがって、こういう分類をするとすれば、ウ.の場合を除いてそういう意味では「例示するまでもないときを除いて」というような言葉は残っていても、知財協の今の立場としては、構わないかなというところではありますね。

中山座長

そうすると、この言葉が残っていても、この説明のハイパーテキストのほうでいろいろ細かく説明してあれば大丈夫だと。

萩原委員

そういうふうに説明していただければありがたいなと思います。

中山座長

ほかに何か御意見がございましたら。

これは今までのいろいろな議論とは別に、特許庁がどのくらい親切に書いてくれるかという問題もあるとおもいます。特許庁としては恐らく全体の処理との関係もまたあるでしょうし、いろいろ難しい点もあると思うんですけれども、できるだけ親切に書くということが大切ですね。たしか親切運動って昔数年前にありましたよね。あのとおりやってもらえればいいと思うのですけれども。それとは別にまた理論的にどうしたらいいかというのが問題になると思いますので、何か意見ございましたら。

どうぞ、永井委員。

永井委員

今までの各委員のご意見と特に変わるところはありませんが、実務をやっていて、なるほどこのア.イ.ウ.エ.というのがほとんどかなという印象を持っております。

ウ.の「他の引用例として用いる」という場合、これを例示しなかったことによって取り消されたケースは私も現に経験しておりますが、これは本来文献を示さなければいけないものですね。ただ、エ.の問題がちょっと微妙なときがありますね。ア.イ.は例示するまでもないんですが、エ.については、文献の例示が欲しい、親切運動なのか品質監理運動なのかはともかくとして、エ.のときは文献の例示があってもよい場合があるのではないかと思っております。

そういう意味では、ウ.はむしろ必須でしょうし、エ.は若干微妙なところもあるなというのが実感として持っております。

中山座長

テキストをつくるときには、その点も留意してお願いいたします。

ほかに何か御意見がございましたら。

よろしいでしょうか。

それでは、時間もありますので、次の問題に移りたいと思います。

次は、6番目で意見書等で主張された効果の参酌についてお諮りをしたいと思いますけれども、これも資料5の8ページの下半分でございますけれども、これについて何か御意見がございましたらお願いいたします。

どうぞ、竹中委員、どうぞ。

竹中委員

この効果の主張なんですけれども、先ほど田村室長からも御指摘がありましたように、先発明主義ということもありまして、米国は違う制度をとっているわけですから違っていてもしかたありませんが、私は特許法の授業をドイツの弁理士とも一緒にやっているんですが、ドイツ人の弁理士がEPOの実務と比べても効果を主張できる場合が限られているというような指摘がありまして、EPOの制度とは先願主義で共通しているということもありますし、どうして違っているのかなと思ったわけです。アメリカのほうも今回KSRの判決によってprima facie obviousnessは立証がしやすくなったんですけれども、化学の分野では顕著な効果、予測不可能な効果を主張することによって、進歩性を立証することができるものが多いこともありまして、これからアメリカでもこれがすごく注目されるとは思われます。これについては田村室長や星野補佐ともEメールではちょっとご連絡させていただいたんですけれども、裁判のほうで厳しい判断になっているということなのですが、具体的にはどういう場合に許されるのだろうかということをちょっと教えて頂ければなと思います。

田村審査基準室長

基本的には、日本の裁判例で推論できる場合というのは非常に限られています。出願人の方が争われて、当初何も書いてないんだけれども認められた例というのが見つかっていないというのが現状でございまして、これからもう少し調べて本当にそういうケースがあるのかどうかというところは検証させていただきたいとは考えております。

あとヨーロッパのほうでございますが、確かにそういう御意見も、代理人をされている方々からは聞くのですが、実際、審査基準に相当するガイドラインを読ませていただきますと、やはり出願当初の明細書から推論できるようなものというような、出願当初に依拠するような文言がございます。そして、それに対応する審決がございますが、その審決のほうでも「deduced」という言葉を使って書かれているようなものがございまして、それがEPOの審判部の出している審決集「Case Law」の中に書かれているというところでございます。

それで、実際に3極で比較したときには、その辺の違いが余り明確にはなってないというところでございまして、もう少しもっと下のレベルの審査官協議等で本当に違いがあるかどうかというところは検証していかないといけないかと思いますが、審査基準のレベルではっきりそこの違いがあるというところは認識されていません。

個別案件のレベルで、もし違いがあるとすれば、化学の分野です。この効果というのは非常に用途発明との裏腹になってまいりますので、ヨーロッパでは基本的には医薬の分野にしか、物のカテゴリーとしての用途発明がないというところが一つと、今回この後にも御説明させていただきますが、医薬の用途発明に関しても、ヨーロッパと比べれば日本のほうがより先に進んでいるような形でございます。そうすると用途発明として別途発明が成立するような部分について、先願主義のもと、余り当初明細書に記載のない効果を広く解釈していくというところは、実務上もなかなか受け入れがたいというところも一つあろうかと思いますので、そこはヨーロッパが個別の事例において許している、許してないというという点も、もう少し全体的なバランスとかを見ながら議論をさせていただかないといけない部分もあろうかと思います。結局答えになってないかもしれませんが、実務レベルで本当にそれだけの違いがあるのかどうかというところも、はっきりしてないというのがお答えになろうかと思います。

中山座長

よろしいですか。

どうぞ。

竹中委員

今、EPOの審査基準と、あと判例の話が出てきておりましたけれども、確かに言葉だけを比べますと推論できるかということと、あともう一つ重要なポイントとして、当業者が技術課題をどういうふうに認識するかということだと思うんですね。そこを当業者の先ほどから出てくる周知技術ですとか、技術水準とかを考慮して、例えば薬品の薬効の中に副作用等を含めて、黙示的に解釈するかどうかというところがあるかと思うんですね。今後、具体例を比較しながら、日本、特にヨーロッパが近い制度ということで、特許庁のほうでこれから研究していただければと思います。

中山座長

ほかには。

どうぞ。

江藤氏

私個人的には化学の担当はしてないんですけれども、現場の担当者にちょっと聞いてみたところ、実際実験証明書の提出というのは、比較的よく行われていて、明細書の開示要件違反への対応としてではなくて、進歩性の判断のときには割と受け入れられている印象があります。恐らくそれはここに書いてある推論できる範囲だから受け入れてもらっているとは思うんですが、推論できるかどうかもまた微妙な、常に明らかではないので、比較的私の印象は実験証明書を提出すると割と通っていくという印象が有ります。

それで、むしろ企業によって実験をするというのが非常に大変なことらしくて、それができるかできないかによって特許率の差になって、少し出ているかなとも感じています。その辺はもちろん推論できるから受け入れていただいているんでしょうけれども、実際には実験証明書というのは珍しいことではなくて、よく受け取って頂いていることはあると思います。

それは恐らく最後のほうに書いてありますけど、それで発明が完成するという考えではなくて、既に発明の構成としては明確に出ているので、完成はしていると、それで裏づけ的に出させていただいているということだと思います。

中山座長

ほかに、御意見。

この問題は、それでは先ほど皆様方がおっしゃいましたとおり、もう少し特許庁のほうで調査をしていただくということでよろしいでしょうか。

活発な議論をどうもありがとうございました。

今回の議論を次回までに事務局に、進歩性の審査基準に対する提言をまとめてもらいたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

先端医療分野の審査基準の改訂について
(事務局資料説明)

中山座長

では、続きまして先端医療分野の審査基準改訂について、事務局から説明をお願いします。

田村審査基準室長

資料6のほうを見ていただけますでしょうか。こちらは参考資料6として挙がっておりますが、6月24日に麻生総理列席のもとに開催されました知的財産戦略本部のほうの会合に報告されたものでございます。こちらの報告書に記載されました審査基準に関連する提言部分をサマライズさせていただいたものが2ページ、3ページのところになります。

まず、2ページのほうを見ていただけますでしょうか。

こちらには審査基準における特許対象の明確化という項目がございます。それと、あと3ページのほうには特許対象の見直しというところがございます。先端医療の委員会におきまして、議論が始まったきっかけというのが京都大学の山中教授のiPS細胞の発明です。そういう発明を十分に知財、特に特許で保護していくというところが第一命題でございまして、従来の審査基準の中でそういう関連の発明が十分に保護できるようになっているのかどうかという検証から始まりました。

その中で今の基準でも十分に保護できているにもかかわらず、その基準のつくられた当時にはそういう技術がなかったということで、その辺が明確でないようなケースについて、出願人の皆さんが特許出願をしやすいようにしてほしいというようなお話になりまして、この5つの観点について事例を追加させていただくというような提言になってございます。

あと3ページのほうでございますが、こちらのほうはむしろ従来は特許の対象になり得なかったような発明を今後は特許の対象としていくというのが2項目ございます。

1点目といたしましては、これは医薬品の用途発明の関係でございまして、細胞とか化学物質、薬剤について、医薬用途発明が認められるケースというのは、効能効果が相違しているケースでございまして、効能効果は同じで、その医薬品の使い方である用法用量に相違があっても、従来は別の発明というふうには認識されていなかったというような状況でございます。しかしながら医薬品においては、効果効能だけではなくて、用法用量も非常に重要なファクターです。

例えば、具体的な事例、新聞報道にも載っておりますが、骨粗しょう症の薬がございまして、毎日骨粗しょう症の薬を飲んでおりますと、ご老人の方が服用に際して薬を戻されるというような副作用がございました。

そういうケースに、お医者さんですと、2日に一度の服用に変えるぐらいの処方変更はやるのですが、それを1週間に一度というような製剤の変更を行ったら、その副作用が顕著に改善されて、なおかつ骨粗しょう症の薬としてもちゃんと効能があったという思いがけないようなものがありまして、なおかつ患者さん側からすれば生活の質、クオリティー・オブ・ライフが非常に向上したというようなケースがございまして、そういうイノベーションというものも製薬業界においては非常に重要であって、なおかつ患者さんのほうからもそういうものが望まれているというところで、そういう分野についても十分な特許保護をするべしということで、基準のほうの見直しをすることになりました。

ただ、先ほど申し上げましたように、お医者さんの簡単な処方変更の範囲はむしろ進歩性なしということで、進歩性の判断、今回の議論とも関連いたしますが、厳格にやってほしいというところも追って書きがされているというところでございますので、進歩性についても厳格にやるというところをむしろ基準の中でしっかり確認をさせていただきたいというふうに考えています。

あと、先ほどの竹中委員のほうからのお話でございますが、ヨーロッパにおいては、用法用量の変更を医薬用途として認めていくかどうかというところについては、拡大審判廷でまだ結論が出ておりませんで、日本のほうが一歩先に進めているということです。ヨーロッパの場合は医薬品だけにこういう物のカテゴリーの用途発明がございますが、それ以外のところについては、用途発明がないという意味では、用途発明、効果に対応するような用途ということだと思いますが、発明の成立性という点では、非常に日本のほうがきめ細かな発明の成立というのを認めているというところも、もしかしたら進歩性の判断において効果を認めるかどうか、後づけの効果を認めるかどうかというのに多少影響があるのかもしれません。

2点目でございますが、こちらは従来医療行為ということで、手術ですとか治療、そして診断という方法の発明は産業上利用できない発明ということで、29条柱書き違反ということになってございますが、その中で診断方法については、実際に人体からのデータ収集という工程はお医者さんが直接やるようなものではなくて、むしろお医者さんがかかわるところは、そういうデータからどういう疾病なのかというのを判断する工程だというところです。こちらはむしろEPOの拡大審判廷のほうで統一した見解が出たというところでして、そちらの判断に日本も合わせていくというような方向でハーモをさせていただくという項目でございます。

これらの項目を審査基準のほうに反映させますと、1ページのようになりまして、2つの審査基準がございます。

それで、(1)のほうが「産業上利用することができる発明」という項目でございまして、これは29条柱書きの規定でございまして、まる1の部分が先ほど申し上げました診断方法に関連するところについて審査のやり方を変える、運用を変えるということで基準の本文を改訂させていただくところでございます。

まる2まる3まる4のほうは、明確化ということで事例を追加させていただく予定でございます。

(2)のほうは「医薬発明」、医薬用途発明のほうの基準でございまして、こちらについてはまる1について用法用量に特徴のあるような発明について、医薬用途発明として新規性を認めていくというような審査基準の本文のほうの改訂をやらせていただきたいと考えておりまして、まる2まる3のところは事例追加というところで明確化をさせていただく項目になります。

今後の予定といたしましては、参考資料6に書かれたような内容を満たす審査基準の改訂をやらせていただいて、その案をパブコメに付したいというふうに考えてございますので、こちらの方向性について、当委員会のほうでご了承をいただければというふうに考えてございます。

以上でございます。

自由討論

中山座長

ありがとうございました。

この先端医療分野は長年の懸案だったわけですけれども、IPSが出てきて以来、このままでは日本は負けてしまうという、そういう思いもありまして、やっとここまで戦略本部のほうで来たわけでございます。この点について、何かご意見ご質問がございましたら。

どうぞ、野間口委員。

野間口委員

6月24日でしたが、麻生総理の戦略本部会合で最終的に決定しまして、早速こういう形で審査基準の改訂に動いていただいて、迅速な対応をありがたいと思います。

中山先生がおっしゃったように、知財戦略本部の第1期のときから、この医療分野の知財問題というのは、かかわっている方々が大学の先生が多いということもあり、知財に関する余り知識が少ないということもあったと思いますけれども、日本の知財制度に対する不信感みたいなものがありました。今回こういう審査基準の改訂を迅速にやっていただくのは大変いいことだと思いますので、よろしくお願いします。

私が今おります産総研でも、この分野は結構特許が出ていまして、ぜひいい審査基準を示していただきたいと思うのですが、一つだけ、運用開始予定と書いてありますが、いつごろになるのでしょうか。

田村審査基準室長

速やかに改訂案をつくらせていただいて、パブコメ期間がどうしても1カ月は最低とらないといけません。それを整理していきますと、新聞報道では年内というふうに書かれてございますが、それよりはもう少し早く秋にも案をとらせていただく方向で、全力でやらせていただきたいというふうに考えてございます。

野間口委員

日本で先端医療分野の特許が取れるようになることは大変いいことです。特許庁さん全体として国際的なハーモナイゼーションについて、いろいろ検討いただいている中で、この分野、特にアメリカ、ヨーロッパの動きをしっかり見て、これは産業界や学会側も医療、介護を含めての責任だと思うのですが、余り日本がお人好しにならないような決め方をしなければならないと思います。そういう意味でパブコメでもいろいろ意見を吸い上げてもらって、いいほうに持っていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

田村審査基準室長

ありがとうございます。

中山座長

ほかに御意見がございましたら。

よろしいでしょうか。

それでは、この方向で基準改訂を進めていきたいということでございますので、よろしくお願いいたします。

その他

中山座長

最後に、今後のスケジュール等につきまして事務局からお願いいたします。

田村審査基準室長

本日はどうもありがとうございました。

本日いただきました御意見を踏まえて、進歩性の判断に関して整理をさせていただきたいと思います。

次回の審査基準専門委員会は、その進捗状況に応じて開催案内をさせていただきますので、よろしく御参加のほうをお願いいたします。

以上でございます。

中山座長

本日はどうもありがとうございました。

本日いただきました御意見を踏まえて、進歩性の判断に関して整理をさせていただきたいと思います。

次回の審査基準専門委員会は、その進捗状況に応じて開催案内をさせていただきますので、よろしく御参加のほうをお願いいたします。

以上でございます。

中山座長

ありがとうございました。

それでは、以上をもちまして第3回審査基準専門委員会を閉会いたします。

本日はありがとうございました。

閉会

[更新日 2009年7月31日]

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