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第2回新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググループ 議事録

  • 日時:平成20年9月29日(月曜日)14時00分~16時00分
  • 場所:特許庁特別会議室(特許庁庁舎16F北側)
  • 出席委員:土肥座長、青木委員、阿部委員、上野委員、江幡委員、琴寄委員、清水委員代理(篠崎氏)、鈴木委員、堤委員
    ※清水委員代理の篠崎氏の「崎」の文字は機種依存文字であるため、置換させて頂いております。
  • 議題:
    1. 開会
    2. 新しいタイプの商標の審査における商標の特定についての考え方の一例
    3. 新しいタイプの商標の審査における識別性及び類否判断の考え方の一例
    4. 今後のスケジュールについて
    5. 閉会

1.開会

土肥座長

時間に若干まだございますけれども、全員おそろいでございますので、皆さんの御同意が得られれば、ただいまから第2回の新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググループを開催したいと存じます。よろしゅうございますか。

 

〔「結構です」の声あり〕

土肥座長

はい。それでは、そのように少し早めではございますけれども、第2回のワーキンググループを開催したいと存じます。

 

前回は第1回ということで、新しいタイプの商標に関する現状と論点について御意見をちょうだいしたわけですけれども、本日は新しいタイプの商標に関する審査運用上の論点と考え方、この問題について具体的な検討を行いたいと存じます。

 

それでは、事務局から本日の委員の御出席等の状況と配付資料の確認をお願いいたします。

鎌田審議室長

本日は清水委員が御欠席されておりまして、代理として日本知的財産協会商標委員会委員長代理、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社プロセス&ナレッジマネジメント部知的財産部門主査、篠崎廣一様に御出席をいただいております。

 

次に、配付資料の確認をさせていただきます。

 

本日の配付資料はお手元の座席表、議事次第・配付資料一覧、委員名簿に加えまして、資料1「新しいタイプの商標の審査における商標の特定についての考え方の一例」、資料2「新しいタイプの商標の審査における識別性及び類否判断の考え方の一例」、資料3「今後のスケジュールについて」をお配りしております。

 

また参考資料といたしまして9点お配りしております。本日の議論に直接関係しますのは参考資料1~3となります。参考資料1ですが、「視認される態様の変化を含む商標の特定についての問題点」、参考資料2「商標が付される位置を構成要素とする商標の特定の問題点」、参考資料3「視認できない商標を視認できる形式(楽譜、言葉等)で書面に記載させることで商標を特定する例」、この3点でございます。この後ろに参考資料4としまして前回の議事録をお付けしております。また、参考資料5~9は前回にお配りした参考資料と同じものを配付させていただいております。

 

皆様のお手元の資料に不足等はございませんでしょうか。

 

それでは、また本日も前回同様、御発言をなさる際にはお手元のマイクのスイッチをお入れいただき、マイクを近づけて御発言 いただくようお願いいたします。

 

以上でございます。

土肥座長

ありがとうございました。

 

それでは、早速でございますが、議題に入らせていただきます。

2.新しいタイプの商標の審査における商標の特定についての考え方の一例

土肥座長

「新しいタイプの商標に関する審査・運用上の論点と考え方について」、事務局から説明をちょうだいしたいと存じます。

 

それでは、関根室長、お願いいたします。

関根商標制度企画室長

商標制度企画室の関根でございます。よろしくお願いいたします。

 

今日の論点でございます運用上の論点と考え方について御説明いたします。配付資料としましては資料1として商標の特定について、資料2におきましては商標の識別性及び類否判断の考え方の一例ということで、2分冊にさせていただいております。新しいタイプの商標についてはすでに諸外国では保護されているという状況下ではございます。新しいタイプでは、視認できる商標に加えて、視認できない商標も含まれています。外国ではすでに保護されているといっても、その出願状況とか登録の状況、判例等も含めてまだ少ないというような状況でございます。そういう中で、我が国の商標法においていかなるタイプを保護していくかということを検討するわけでございます。それで今回、事務局としまして、資料1と資料2という形で作成はしておりますけれども、まだ我々事務局としても確たるものを持って書いているというところではございません。委員の皆様の御意見等もこれから聞き加えて、それをもって考え方の方向性を示していきたいと思っております。ということで、今回は考え方の一例という形で提示させていただいております。

 

では、資料1に沿って御説明いたします。

 

資料1「新しいタイプの商標の審査における商標の特定についての考え方の一例」でございます。まず総論1.のところの「商標の明確な特定の重要性」というところでございます。

 

商標権というものは、自己の商標登録に基づいて、まず専用権があるとともに、他者に対して、指定商品とか指定役務またはこれに類似する商品・役務について、登録商標と同一または類似の商標の使用を排除することができるということに規定されております。また、商標権の侵害行為に対しては刑事罰が科せられることになります。そして、我が国においては、登録主義というものを採用しております。すなわち、特許庁において、その登録の可能性について審査を行い、その後、商標権の設定がなされるというような流れになっております。

 

そういう中で、商標の審査官も含め、第三者がその商標を見て、どのような構成、態様になっているのかということが明確かつ正確に理解されるということが重要なことと考えております。特に、新しいタイプの商標については、視認できないものも含むということであればなおさらです。さらにこの新しいタイプの商標にはこれまでにない動く商標とか音響商標のような経時的な変化するものも含まれているとすると、その商標の特定が個々人の主観的な考え方やこれまでの専門的な知識の有無とか、その登録商標に接する時期というようなものによってそれらの特定が異なるということは、適切な審査とか権利行使の障害になるものと考えております。また、公示という観点から見ても、第三者が特許庁に保存されている記録に容易にアクセスできるという環境がまず必要ではないかというふうに考えております。

 

2つ目としまして書面による記載ですが、現行の商標制度において保護される商標は「視認できる商標」ということで、願書に商標の構成を視認できる態様で記載されています。これについて、新しいタイプの商標ではどう考えるかということでございますが、もちろん、書面で特定ができるのであればこれを採用するということは言うまでもないことですけれども、技術的な観点でそれと同等な効果を有し、特定ができるものであればこれを排除する必要はないと考えられます。

 

また、3.ではパリ条約における優先権主張を伴う出願とか、マドリッド協定議定書における国際出願を考えて商標の特定方法を検討するということが望ましいと考えております。

 

2ページのところでございます。先ほども申したように、諸外国においては、新しいタイプの商標を保護していますが、さほど経験を有していないことから、今、WIPOにおけるSCTの場においては、この新しいタイプの商標の特定方法について、どのような表現方法がよいかということで、その保護しているという国々を中心として、議論がなされているところでございます。こうした議論もこれから我が国が新しいタイプの商標の保護を採用するということになれば、有効な情報であり、これからも引き続き情報を収集していく必要があると考えております。

 

4.といたしまして、これらの状況、背景を踏まえて、我々はどんな特定方法が適当かということで、基本的な考え方を4つほど示してございます。1つ目としましては、新しいタイプの商標に接する者がどのような商標なのかを明確かつ正確に理解できるものでなければならないということでございます。2つ目は、書面による記載で商標が特定されるものは、従来どおり書面へ記載による特定方法が適当だろうと思われます。一方で、それと同等に商標を記録し、提出し、保存し、公開する技術的に可能なものから商標が明確に特定されるということであれば、それらも特定方法に加えるべきだろうということでございます。3つ目といたしましては、そういう書面の記載による商標の特定とか電子媒体による商標の特定でも十分な特定ができないといわれる商標、これらについては適切な権利設定とか権利行使ができないだろうと考えられます。さらに加えて、マドリッド議定書上の運用とかSCTでの議論、これらを踏まえて検討していくべきということが基本的に必要だと考えております。

 

これらを踏まえて3ページ以降、各タイプについて考え方を示してございます。3ページ、「各論」の1.「視認できる商標」で、その中でも視認される態様の変化を含む商標、これは「動く商標」とか「ホログラム商標」がございます。これらについて書面による記載をどう考えるかというところが1)のところでございます。

 

諸外国における現状の特定方法、これについては書面による記載を行っているということでございます。一または複数の図面、または写真を記載して、必要に応じてその変化の仕方を記述による説明等で特定する方法を採用しているということでございます。

 

我々が、これをどのように考えるかというところでございます。特に、“動的”なものでは、複雑な経時的変化を構成要素とするものであればなおさら商標の構成態様を図面及び記述の説明をもって理解するというのは難しいのではないかと考えております。

 

ここで参考資料1を見ながら説明したいと思います。これは実際に外国で出された案件の事例でございます。上の例ですが複数の図面をもって説明するものでございます。この場合、6つの図面と動きの説明で商標を特定しようとしているものでございます。図面の動きがより複雑で、説明しなければならないものが多ければ多いほどこの動き方の説明の欄が大きく膨らんでいくということになると思います。

 

下の例は自動車のドアのあけ方でございます。これについては、4図で構成とその動き方の説明で商標を特定しようとしています。この上下2つの例の違いというものは、上のような例の場合は経時的変化をすることをいかに説明しなければいけないかということだと思います。下の自動車の例は、さほど経時的な変化を重要視されていないような動き方、簡単な動きとかというものであれば説明も少なくて済むというところではないかと考えております。

 

それでは、資料の方に戻らさせていただきます。

 

このように、商標の構成及び態様を複数の図面とその説明で商標を特定しようとすると、それらから商標が実際に視認される態様を各自が想像して把握することになるだろうと思われますが、その構成・態様が想像する中でも誰もが明確に把握することができるかどうかというところが問題だろうと考えております。

 

それで、2)のところで、書面に変わる別な表現方法、特定方法があるのかということでございます。「動く商標」について言えば、すでに現行の技術からすると動画を電子記録媒体に記録して、それを提出する、保存する、公開するというようなことが可能であるということで、これは明確に商標を特定できる方法の1つであろうと考えております。これであれば単純な変化をするものから、複雑に経時的な変化をするものまで、すべてを明確に把握することができる程に特定できると考えられます。

 

続いて、4ページの「ホログラム商標」についてでございます。ホログラム商標で現実に使用されるホログラムについては、その素材は様々なものがあるということで、一律に長期保存可能なものは、現在はないと思われます。そういう中で、ホログラムを映写した録画という形で提出するということも考えられます。しかしながら、ホログラムの実際の使用を考えると、そのホログラムの視認される態様というものは見る者がどの角度から見るかによって決定されるということですので、動画という形で表すと、そのホログラムの構成及び態様が、撮影者の視点で一定の速度で一定の方向から見たということとなり、十分な特定ができないのではないかと考えております。

 

また、3)の「国際的制度調和の観点」では、今、SCTの中で議論されている「動く商標」については先ほど言ったところと同様に、「動く商標」というものを特定できる方法の一つとして電子ファイルが収束可能な範囲として記載されております。一方、「ホログラム商標」についても収束可能な範囲というものが示されており、これについては、一または複数の図面に、必要に応じて、記述による説明で特定できるという形でまとめられております。

 

というような状況下で、「動く商標」、「ホログラム」をどういうふうに捉えるかというと、「動く商標」については、その構成に応じて、一または複数の図及びその記述による説明という方法と、電子媒体の動画そのものを提出するという方法があるのではないかと考えております。

 

そう考えると、5ページの頭のところでございますけれども、動く商標を電子媒体の動画により特定した場合は、マドリッド協定議定書の国際出願への対応ができないという問題が生じてきます。また「ホログラム商標」については、一または複数の図と、それの必要に応じて記述による説明という形で特定できると考えられますので、明確な特定ができないまでも、録画による提出も、記述による補足として適当ではないかと考えております。

 

続いて「位置商標」でございます。「位置商標」については、その構成で考えられるものは、「付すもの」と「付されるもの」とその位置との結合からなるということでございます。そこで位置商標がどのように特定されるか、外国における例を1つ挙げさせていただきます。実際に現物をそのものの写真として提出する方法以外に、位置商標の特定方法として、「付されるもの」の形状を破線を用いて「付すもの」は実線で記載するというようなやり方で位置の特定をする手法でございます。そして、それに加えて、必要に応じて記述により位置を説明するというようなやり方をしています。

 

しかしながら、我々は、この破線を用いた方法では、どこまでが専用権であることがわかるかというところに疑問を持っております。参考資料2をご覧いただければと思います。願書に記載された商標ということで、左上の図が提出されたとします。破線で立方体を示して、星が左肩の上の方にあります。これを見たときに、商標の同一というのをどういうふうに考えるかというと、図1のような形であれば同一性がきちっとわかるというところでございます。しかしながら、図2、図3、図4のように付されるものである立方体が横長に伸びたり、縦長に伸びたりした構成を考えた場合に、赤字で示したところが位置の特定ということにおいて不明確になるだろうという考え方でございます。このような赤い部分があるということは、商標の明確な特定ができないのではないかと考えております。

 

ということで資料の方に戻っていただき6ページのところでございます。2)のところで、この位置の特定というのを厳密に行うという考え方をとるのであれば、「付されるもの」の形状を特定する必要があるだろうと考えます。そしてその「付されるもの」の形状についても実線で記載する方法で位置の特定するといった考え方が必要ではないかと考えております。この点が少し諸外国の取り扱いと異なるというところでございます。

 

続いて色彩商標について説明させていただきます。単色と複数の色彩の組合せという形で、ここの特徴は輪郭のない色彩商標ということでございます。そもそもここの色彩のみの商標をどのように特定すべきなのか。形状とか輪郭が特定されていないということでございますので、色彩の商標を使用する者がどのような態様でも使用していいということになると、このような商標が登録されたとすれば、非常に強い権利になってしまうのではないかと考えております。また、特に単色については、人が見て認識可能な色彩に限定があるとする枯渇論があり、こういうものを考えていくと、このようなものを保護する考え方がいいのかどうかというような問題点があると思います。

 

色彩の特定については、単色であれ、色彩の組合せであれ、現行、色彩を有する商標を扱っておりますので、これと同じように願書に色そのものを記載する方法であれば特段問題なく特定ができるのではないか。ただし、メタリック系の色については、それを電子化したときに、色を再現することが困難というケースもありますので、こういうものについては説明を利用して特定する必要があると考えております。

 

色彩の組合せ方については、以上に加えて、水平に伸びるストライプとか、色彩の割合とかを特定させることによって、第三者から見てもどのような商標であるかが理解できるだろうと考えており、組み合わせ方の記述による特定が必要なのではないかと考えております。

 

続いて、トレードドレスでございます。トレードドレスはきちんとした定義がなく、通常言われているところは、商品のドレスアップをするものということで、ラベルの外観とか包装用紙の外観とかを意味するものです。しかし、アメリカにおいては、判例のたびにそのトレードドレスの保護範囲が広がっていくというような状況になっております。例えば、レストランの外観、ウェートレスのユニホームといった顧客に提供するイメージというところまで膨らんでいます。そのような抽象的なイメージは、どのような方法によっても商標の明確な特定ができないだろうと考えております。

 

続いて9ページの視認できない商標についてでございます。視認できないもの、ここで考えられるのは音響、におい、味、触覚というものが考えられます。これらについて諸外国の例で、現在どのように扱っているかというと、視認できる形式、例えば楽譜であったり、言葉であったり、これらを書面に記載させるということでございます。

 

これが参考資料3の方に簡単に紹介してございます。参考資料3で、音についてはこのように楽譜であらわしたり、ソノグラムであらわしたり、また音を言葉であらわしたりというような方法、においの商標においては、これを言葉で表現したり、ガスクロマトグラフによって記載したり、化学式で記述したりという方法、味とか触覚については、それらを言葉で表現するというような方法をとって商標を特定しているという事情がございます。

 

資料の方に戻っていただきまして、確かに諸外国では視認できない商標を書面という視認できる方法で特定していますが、視認できない商標を書面の記載により表現したものから当該商標がどのようなものであるかということを把握するには、想像するということが必要だということで、個々人の想像する商標の構成及び態様にぶれが生ずる恐れがあると考えております。したがって、書面による記載では明確な特定ができないだろうと考えているところでございます。

 

それで、具体的に書面による記載にかわるものとしては、2)の(i)の音響商標ですけれども、音響は、すでに電子記録媒体で記録することが可能だということを考えれば、これにより商標の構成及び態様が明確に特定できるだろうと考えております。他方、(ii)のにおい商標とか味商標とか、触覚商標については、現行の技術からしても、これらを記録したり、提出したり、保存したり、公開するということは技術的にも特定が困難だろうと考えております。

 

3)の国際的制度調和の観点について、SCTではにおいなどの商標については収束可能なところが見いだせなかったという結論になっております。

 

ということを考えると、最後の4)のところですけれども、「音響商標」については電子記録媒体での提出による特定を採用し、それ以外の「におい」とか「味」とか「触覚」の商標については、書面による特定もできずに、また電子媒体とか、現物の提出ということも難しいだろうということで、特定は不可能と考えております。

 

以上でございます。

土肥座長

どうもありがとうございました。

 

それでは、ただいまの説明を踏まえまして議論に入りたいと存じます。

 

どなたからでも結構でございますので、もし御質問等がございましたら御質問もお出しいただければ結構かと思いますし、御意見もお願いできればありがたいと、こう思っております。よろしくお願いいたします。どうぞ。

 

何が商標登録として出願されておるか、あるいは登録された後の商標に接するものが、登録されている商標の範囲はどういうものか、その特定はただいま御説明がありましたような形でして足りるかどうか、ここのところだろうと思います。もちろん、登録商標の範囲は願書の記載に基づいて決めるわけですけれども、そこはこういう新しいタイプのものについては変わってくる可能性は、それは当然あるわけでございます。

 

どうぞ、御質問でも結構でございますし、阿部委員、お願いいたします。

阿部委員

裁判所の阿部でございます。

 

位置商標について質問がございます。位置商標につきましては、商品等の形状を特定する必要があるのではないかという御説明でございましたけれども、その場合、保護範囲については、どのように考えられているのか、特定された商品等の形状の位置付けというのはどういうふうになるのでしょうか。同一形状か、それに近いものかはともかく、形状がある程度異なる場合にも保護される場合があるのか、それはどのような場合かというようなことについて若干わかりにくい部分がございまして、その点、もし御説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

関根商標制度企画室長

確かに御指摘のところが非常に難しいところだと思っております。専用権としては、その記載されている形状を超えることはないのではないかと考えております。ただ、破線で付されるものに権利がないと考えた場合には、ある程度、付されるものの形状のバリエーションが生まれ、それらのバリエーションも専用権に含まれるものとになるものと思われます。位置商標としてそのような範囲まで保護を求めるということであれば、そこのそのバリエーションのところまでどのよう形で踏み込むのか踏み込まないのかというところが一番大きな問題だと思います。ただ、今のところ、形状と位置を特定するという考え方であればその専用権の範囲はそこに限定されると言わざるを得ないと考えております。

土肥座長

阿部委員、よろしいですか、どうぞ。

阿部委員

要するにデッドコピーみたいなものしか保護されないのか、ある程度類似した形状まで保護されるのか、そのあたりを意識しておく必要があるのかなということで、今の段階で詰めた議論はできないかもしれませんけれども、その点、ちょっと疑問として提示させていただきました。

 

以上でございます。

土肥座長

ありがとうございます。

 

意匠権の場合と違いまして、商標の場合はいわゆる専用権の範囲とその禁止権のところが違ってまいりまして、商標権それ自体はもう専用権だけというふうになっておりますので、意匠権の場合はそれも入るところがあるわけですが、商標の場合はおっしゃるような問題が大きな重要な論点に今後なっていくのであろうというふうに思われます。

 

質問がもしほかにございましたら、青木委員、どうぞ。

青木委員

弁理士会の青木でございます。

 

やはり位置商標についてなのですけれども、通常諸外国では破線でやっているところを、日本では実線にして位置商標の登録をとった場合、全体を立体商標でとる場合と、その違いというのはどの辺に出てきますでしょうか。

土肥座長

立体商標として全体を取る場合と、今度新たに位置商標というものをもし入れるとした場合に違いがあるのかと。

青木委員

その破線を実線にした場合、違いは……。

土肥座長

もちろん今の話だと実線にということになっているわけですね。

青木委員

はい、実線にした場合にどういう違いがあるのか。

関根商標制度企画室長

実線にするということは、付されるものの形状を固定し、付すもの位置を特定するということだけですので、そこの中の模様、装飾等は限定されないと考えておりますので、そこが立体商標との違いと考えております。

土肥座長

よろしいですか。

青木委員

もう一点、仮に日本が付されるものを実線にする制度とした場合、諸外国はほとんど破線でやっていますので、波線で表現した位置商標が優先権主張で日本に入ってきたときには、実線に補正する必要がある。、それは要旨変更にならないということで認められるというようなお考えでございましょうか。

土肥座長

それはそういうことなのではないですか。

林商標審査基準室長

商標審査基準室長の林でございます。

 

今のお話というのは、実線で最初から出したときというのではなく、破線から実線に変えた場合という御質問でしょうか。

青木委員

そうです。

林商標審査基準室長

そうすると、多分、位置商標の出願というのが明らかであるということを前提とするならば、当然、そのような考え方もあるのだろうと思います。ただ、正直、そこまで細かいところを、現段階で、庁内で確定的な議論をしているかというと、まだそういう状況にはなっていません。考え方としては、確かにおっしゃるとおりのような考え方もあり得るのかもしれないなとは思います。

青木委員

ありがとうございます。

土肥座長

江幡委員、どうぞ。

江幡委員

2点ほどありまして、1点目は先ほどから議論になっている位置商標についてなのですが、位置商標と言った場合に、何を位置商標というのか、どのような商標であるかということがまだ必ずしも余り明確になってないように思います。位置商標とは言っても、必ずしも位置そのものに識別力があるというような話ではどうやらなさそうで、例えば、簡単で単純な図形、例えば二重線のようなマークが、あるメーカーの筆記具であれば必ず後ろのところについているとか、あるいはゴルフクラブのヘッドとシャフトの間のところに必ずついているとか、そういったいわば立体商標の一部であって図形である、いわば立体的な図形のようなものが、ある場所についているようなものを意図しているのではないかと考えます。すごく単純な図形のようなものであっても、使われることによって、それが出所を表示するものとして認識されるというようなものなのかなと、位置商標についてイメージしていたところがあります。そうなってくると、厳密にペンの長さがどのぐらいであって、端から5mmのところにマークがついているというようなことは、それほど位置商標において重要なところではないのではないかと思います。多少ペンの形が違ったり、ゴルフのヘッドの形が違えど、1つ1つ統一した商標として機能しているということがあり得るのではないかなというような気もしております。

 

そうすると、位置に対して過度に厳密になるがあまり、実線で全体の形状および位置商標を表示して、つまり全体が立体商標のようなもので、そのある一部分に図形がついているというような考え方をして、実線で表された部分、つまり少しでも全体の形状が違ったら商標は類似しないといいますか、その商標の権利範囲を超えるというような、そういう硬直的な考え方をとる必要もないのではないかというような感想を抱いております。

 

それからあともう一点が動きの商標の特定の方法なのですが、資料の5ページを拝見しますと、動きの商標については電子媒体による動画の方法と、複数の図面で特定するという2つの方法を選択できるようにすることが適当ではないかという記載があるのですが、それを誰の選択にするのかというところが問題だと思います。仮に出願人の選択に委ねたとして、それが特定方法として十分ではないような場合もあるのではないかと思います。

 

それから、動きの商標と言った場合に、二次元的な図面が動くいわゆる動画の商標の場合と立体商標の商品自体が動く動きという、少なくとも2つのパターンがあるのではないかというふうに思います。参考資料1の上のモンスターのアニメーションらしき事例に関しては、これはまさに二次元の図形が動く動画のようなケースと思われまして、こういうものはまさに動画で特定することが望ましいのではないかと思います。一方、その下の例というのは、これは車のドアの開き方でして、これは図形として出されているものなのか、それとも立体商標として出されているものなのかわかりませんけれども、仮に後者だとして、そういう物自体が動くケースでは動画に限らず図面で特定するということが許容されるというのはいいのではないかというふうに思いました。動きといった場合にも、幾つかの構成の種類があるというところを踏まえた特定方法を考えるべきではないかというふうに思いました。

 

以上、ちょっと長くなりましたが、コメントです。

土肥座長

ありがとうございました。

 

3つほどでしたか、御意見といいますか、御質問を絡めてお話があったと思いますけれども、位置商標に関しては識別力のお話だったのですけれども、恐らくこれはこの後に続いて出てくるところかなと思いますので、もし今、関根室長の方からお答えがあるのであればしていただきますけれども、後でまた一緒に議論させていただければと思います。

 

それから、動きの商標で選択というのは、これは出願人が選択するということでよろしいのですね。

関根商標制度企画室長

一応そう考えております。

土肥座長

はい。

 

それから、この動くものについては説明どおりということかと思いますので、関根室長、よろしゅうございましょうか。

関根商標制度企画室長

1点目のところ、位置商標で、バリエーションのない形でやるというやり方がいいのかどうか。先ほどのゴルフクラブの例は、ヘッドとシャフトの付け根のところの赤いリングを付したもののお話だと思いますけれども、ゴルフクラブの種類が違うぐらいなところはどうかというお話と理解しております。バリエーションの部分については、少なくとも禁止権の範囲にはなると思っております。具体的にバリエーションが禁止権の範囲に含まれると考えるかどうかというのは、位置商標の付すものの特徴と位置の特徴の度合いによってもまた異なってくるとも思います。しかしながら、クラブヘッドが違った場合のところまで専用権の範囲かどうかというところは、専用権にバリエーションがあるとすると、そのバリエーションに基づいて禁止権のバリエーションが発生することとなり、保護の範囲、すなわち商標の類似の範囲が分かりづらくなると考えております。したがって、基本的な考え方は付されるものの形状を固定し、付すものの位置を固定したところのみ専用権があるということが適当であると考えております。

土肥座長

よろしゅうございますか。

江幡委員

はい。

土肥座長

ほかにいかがでございますか。音についてはまだ出ていないのかなとも思いますが、青木委員、どうぞ。

青木委員

7ページの色彩のところについてお伺いしたいのですけれども、特定方法としては願書に色を付して、それから色彩の名称を記述するということでございますけれども、国際的に認識されている見本コードというのがヨーロッパでは明確な特定方法として義務的に使われております。グリーンといった場合、いろいろなグリーンがあるので、言葉だけでは色彩を特定し切れないのではないか。それから願書に付した色も、変色するし、スキャナで読み取ったときに色が変わってしまうというのがあります。特定方法として国際的に認識されている色見本コードによる特定方法についえはどういうふうにお考えになっているのかということをお聞きしたいと思います。

土肥座長

お願いします。

関根商標制度企画室長

外国の例ですと、色見本コードで商標を記載するというようなやり方もとられているということは承知しております。ただ、色のコードは3社、4社の民間の企業が提供するものでございますので、これを行政庁の方から色を特定する要件として色見本コードを記載すべきというやり方は適当でないと考えております。しかし、出願人側が記載してくる部分については受け入れる余地があるのかもしれないというところで、説明の記述の中に色見本コードの件は省略しております。

 

以上でございます。

青木委員

どうもありがとうございます。

土肥座長

ほかにいかがですか。

 

篠崎委員代理、お願いいたします。

清水委員代理(篠崎氏)

篠崎でございます。まず、冒頭御紹介いただきましたけれども、本日、清水の代理ということで参加の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 

私は知財協の商標委員会から参っております。先日もこのテーマにつきまして委員会内で議論したところでございます。これから申し上げることは特に御要望という形が強くなるのかもしれませんが、話させていただきたいと思います。

 

資料の1ページ目に、「出願審査から裁判所における権利行使のあらゆるステージにおいて商標が明確に特定されていることが必要である」という記載がございます。この点は、私どもも非常に重要であると考えております。権利になるまで、権利化の段階はもちろんでございますが、権利化後、実際に登録になりまして、使用されるところ、ユーザーの側から見ますと使用する段、この段においても一貫して明確にかつ正確に特定されているということが非常に重要になると考えております。

 

と申しますのも、よく言われることでございますが、今回、検討の対象になっております中で、特に色、色彩、また音のみ等、こういったものはすでに世の中にはたくさんございます。それらは日々利用者、ユーザー、消費者と言ってもよろしいのですが、そういった人たちはすでに商標としては意識しないで日常、接しております。また、通常、当たり前のように利用しております。例えば携帯電話のように、色がついている商品や、音が出る商品等は、たくさんございます。こういったものが商標の専門家であれば識別性の問題ですとか、権利範囲というのはある程度推測できるのかもしれませんけれども、一般消費者等、そういった人たちにも、特に色ですとか音ですとか、そういった見分けがつくということが求められるというふうに考えております。

 

そういう意味では、先ほどお話もありましたけれども、特に登録になった後の再現性の問題ですとか、色であればその色が変わって見えたり、音であれば違って聞こえたりですとか、そういうこともございますので、特に権利化後の特定性ということは非常に重要だと考えております。また、こういったものが新しく仮に制度として入りました場合には、それを十分に利用するということも考えなければいけないのですけれども、利用するという反面、またほかの人から独占権が発生した場合にはやはり権利行使を受けるということがどうしても気になるところでございます。広告宣伝を担当している部門の者とも話をしたのですけれども、例えば音などは今は特に意識をせずに、広告に使われることが多いかと思います。そういった音などを使用する場合に、今までは特に余り気にしないでプレスリリースをしていたようなものがチェックに非常に稼働がかかったり、そういったことでタイムリーな宣伝ができなくなるということにならないようなことを考えてほしいという要望もいただいております。

 

また、少し話が長くなりますがもう一点、従来、特に文字が顕著でございますが、そういったものと異なり、新しいタイプの商標というものはインターネットによる検索が難しいという特徴があると考えております。今、企業実務におきましては、実際に商標が使用されているか否かについて、ある程度インターネットで推測をつけるということが日常行われているかと思います。そういった意味で使用しているかどうかというときに、インターネットという非常に便利なツールが使いづらくなるのではないかということがございますので、繰り返しになりますが、特定性の重要性ということをくれぐれも御配慮いただきまして、御検討いただければと思います。

 

以上でございます。

土肥座長

どうもありがとうございました。

 

御指摘のところは重要な論点であるというふうに重々、委員会全体としても認識しておるところでございますけれども、要するに、色とか音とかがさまざまな形で活用されているということがございまして、そもそもそれが商標と関わって問題になるかというと、現行法の今の確立した解釈からすれば商標的使用がなされている、出所表示として色とか音が使われているということを需要者から見て認められる場合に商標とつながりが出てくるということになるのだろうと思うのです。したがって、これは特定という今、ステージでの議論がメインになっているわけですけれども、その先の話として、今おっしゃっていただいたところは忘れないように議論していきたいというふうに思っております。

 

これは新しいタイプということになっておりますので、おっしゃるように広告的な場面において非常に重要な形になっているのですが、商標的使用という場合に、広告的な使用の仕方をした場合、裁判所は今のところそれは商標的使用であるというふうに言っていませんので、現行のところでは多分大丈夫なのではないかなと思うのですけれども、何かございますか、今の段階で、よろしいですか。

土肥座長

ほかにいかがでございましょうか。

 

琴寄委員、お願いいたします。

琴寄委員

琴寄でございます。

 

今回の委員会との関係でポイントが少しずれているのかもしれないのですけれども、私ども企業としまして、動きのある画面デザインを保護したいという要望がございまして、一昨年、画面デザインの保護ということで意匠権の法改正がございましたけれども、動きそのものについては、最近の動きとしまして、一意匠一出願の原則等があって、そのものの保護というのは現行法では難しいのではないかという状況にあるということは理解しております。一方で、今回、動く商標ということの保護という観点から、例えば画面デザインといいますか、いわゆる動きのあるユーザーインターフェースを保護するツールとしまして、商品なり商標としてのユーザーインターフェースが特定されれば、今回の検討をしている動きの商標の範囲の中で保護され得るものなのかどうかというのが非常に興味のあるところでございます。そのあたりはいかがなものでしょうか。

土肥座長

琴寄さんがそういうふうに御発言なさる場合に、およそ何となくイメージとして特定の例が思い浮かぶのですけれども、一般的な話としてですね。今の御質問、画面デザインですけれども、インターフェースの部分。今、イメージとしてあるのは、例えば某社のああいう画面ですね。あれが出所表示として認められるようになるのかどうかと、そういうことだと思います。

関根商標制度企画室長

ちょっと御指摘の点で良くわからないところがありますが、動く商標は、社名のロゴが変わっていったりする部分が対象と考えております。御指摘の画面デザインというのはアイコンとか、そういうものが動くというお話になるのでしょうか。

琴寄委員

そうですね。イメージとして、例えばテレビなりDVDなりをつけまして、操作画面というのがあって、それをスクロールしていろいろな機能を選ぶというような画面があるのですけれども、そのユーザーインターフェース自身が特徴的な内容、全体が動きを含めて特徴的な内容になっている場合に、このユーザーインターフェースを見れば、例えばどこどこの会社のものだという出所が明確になるような、そういうような場合を想定しているのですけれども。

関根商標制度企画室長

そのようなものが、商標の使用かどうかというところに疑問があります。また、アイコンの動くところが意匠での保護の対象になるのかどうかという、そちらとの兼ね合いもあるのかなと思っております。

琴寄委員

意匠権では、今のところは一場面、場面という形では保護の対象になるという理解でいるのですけれども、スクロールしていく一連の動きというのが当然あるかと思うのですね。その動きも含めて保護対象になるのかどうかということなのですが。

関根商標制度企画室長

申しわけございません。そのようなものが動く商標の範疇に入るのかどうかということを含めて検討させていただきます。

琴寄委員

はい、お願いします。

土肥座長

ほかに、では、上野委員、どうぞ。

上野委員

立教大学の上野でございます。

 

本日の資料1は、特定性があるかないかということを新商標の登録可能性のメルクマールにしているということで、これは新商標を登録するということは、商標権という排他権を与えることであり、また刑事罰の対象にもなるという理由で、明確性、特定性が必要だと考えられているようでありまして、それは確かにそのとおりかも知れません。

 

ただ、この特定性というものが、厳密にいうと、商標権であるということの帰結なのか、登録型の知的財産権であることからくる要請なのか、あるいは無体物を対象とする知的財産権であるからこのように特定性が要請されるのか、といった点は、よくわからないところでございます。

 

そこでは、「特定性」の意味がやや多義的に用いられているようにも思えます。例えば、変化がないとか、主観によらず客観的にみて一定しているとか、第三者にアクセス可能なように開示できるとか、そういったことが「特定性」に関して述べられているようでありまして、その上で結論としては、明確に特定されるものは商標として登録でき、十分に明確な特定が期待できないものについて権利設定することは望ましくないと、このように整理されているわけであります。

 

そうすると、どこまで十分に明確な特定がなされていればよいのかというように、どこで線を引くかという問題になるのではないかと思います。このように特定性がどこまで必要かという問題になると、そもそもなぜ特定性が必要なのかというその趣旨に立ち返って考えらざるを得ないのではないかと思うわけであります。そうだといたしますと、先ほど申しましたように特定性の要請というものがどこから出てくるのかが問題になるように思われます。

 

そうしますと、先ほどからのお話はよくわかるわけでありますけれども、例えば、必ずしも客体が明確とはいえない著作物についても排他権や刑事罰が設けられていることからしますと、知的財産だからとか、排他権を与えるのだからとか、刑事罰もあるのだから、というだけでは新商標について特定性が要請されるという根拠を説明することはできないのではないかと思います。

 

このように特定性がなぜ、どこまで必要なのかがということについて、その根拠がより明確にされれば、今後の検討において、――例えば、最終的にホログラムはどこまでOKかといったような個別の問題の答えを出すに当たって参考になるのではないかというふうに感じた次第でございます。

 

以上です。

土肥座長

ありがとうございました。

 

ここで言う特定性というのは、25条の専用権の範囲として特定されるということだと思うのですね。つまり、37条の場合と25条の場合は刑事罰も倍違うところになりますので、25条の範囲に入るのか、37条の類似のところに落ちるのかというのは、考えていく前提としては非常に大事なのではないか、そういう意味で、特定性ということが商標に接するあらゆるものにとって明確にあっていなければいけないということなのだと思うのですけれども。

 

関根室長、何かございますか。

関根商標制度企画室長

今、土肥座長の方から御説明があったとおりと思っております。これに接する需要者を含めて、何が一体商標であるかということがきちんと容易にわかるということが重要であると考えております。そのところで、上野委員から御指摘のとおり、特定性の線引きというのは確かに難しいところがございます。特に、新商標は目に見えない商標というところも含めて対象とすることですので、そこら辺もこれから詰めていく必要があるというところだとは思っております。

土肥座長

ありがとうございました。

 

議題の1にいつまでもということはあるのですけれども、御意見をいただいて、ホログラムは余り議論いただいていないのですけれども、では、青木委員、どうぞ。

青木委員

ホログラムではなく、音についてですが、音の、9ページなのですけれども、電子媒体で特定するというのは、弁理士会としても現物を提出するのがわかりやすいということで第1回ワーキングで意見を申し上げたのですけれども、ただ音楽の場合は楽譜でも商標の要部はきっちり確定できますので、そういうようなものは楽譜で提出して、補助的に電子媒体も出すというような出願方法もぜひ考えていただきたいという意見でございます。

土肥座長

恐らくそれは、そういうことがいいかどうかというのはここで議論していただいた方が、青木委員にも大いにその点については御意見をいただいた方がいいところだと、恐らく思うのですけれども、楽譜の特定ということは、つまり選択をして楽譜か記録媒体か、どちらでもいいようにすると、そういうことですか。

青木委員

そうです。どちらをメインにするかということで、電子媒体をメインにした場合には、情報量が多く、権利の内容としてはかなり細かく特定していますので、多分3条の要件もクリアしやすい。ところが、楽譜の場合は音色とかそこはなかなか特定できていないので3条要件をクリアするのは若干バーが高くなるかなと。ただ、それは出願人の選択ということで、そういう幅を持たせた出願方法というのを考えていただきたいということでございます。

土肥座長

今の音のところは特定性の問題として非常に重要なところだと思うのですけれども、ほかの委員におかれましては何か御意見ございませんか。

 

江幡委員、どうぞ。

江幡委員

音の特定方法として、音楽の場合に楽譜を主たる特定方法とした場合に、特定方法と誰でも分かるということとの関係において、楽譜を見て、そこから音を把握するということは、必ずしも誰でも分かるということではないということも考慮する必要があるかなと思います。楽譜は審査の上でも把握する上でも有益だとは思いますので、参考資料というか、同時に出す資料として楽譜が提出されるということは望ましいとは思いますけれども、専用権という意味での権利範囲としては範囲が狭くなるかもしれませんが、基本的には音自体が提出される扱いの方が、誰でも分かる、明確であるという意味においてはすぐれているような気もいたします。

土肥座長

ありがとうございました。

 

よろしいですか。

 

ホログラムについて御意見ございませんか。このペーパーの中で特定性について書かれている点程度でもよろしいということですか。

 

特に御意見がなければ次に参りますけれども、今日でこのテーマが終わるわけでは決してなくて、今日のところを受けて事務局で整理してもらってまた議論いただくということがございますので、次の機会でも結構かと思いますし、また後半のところで関係があればお出しいただければと思います。

 

それでは、時間の関係もございますので、議題の後半の方に入らせていただきたいと存じます。

3.新しいタイプの商標の審査における識別性及び類否判断の考え方の一例

土肥座長

それでは、関根室長、第2の検討に移らせていただきたいと思いますので、説明をお願いいたします。

関根商標制度企画室長

それでは、資料2に基づいて御説明いたします。

 

資料2の方のテーマは「新しいタイプの商標の審査における識別性及び類否判断の考え方」についてでございます。総論のところで識別性と類否判断について2つ記載させていただいております。基本的な考え方でございますけれども、現行、伝統的商標といわれている文字とか図形とか、そういうところの商標の識別性の判断または類否の判断については、新しいタイプの商標についても、基本的な考え方としては同じでいいのではないかと考えております。これに加えて新しいタイプの商標については、それぞれの特性を考慮して、音響商標であれば聞こえ方、におい商標であればにおい方、動く商標とか音響商標であれば経時変化を、識別性の判断及び類否の判断に組み込んで考える必要があるといったところが基本的な考え方でございます。

 

総論の1.でございます。識別性についてですが、新しいタイプの商標であっても、一定の出所を認識させることができない商標は識別力がなく、また、識別力を有しないというようなケースであっても、使用した結果において識別力を有するということになったときには、商標法第3条第2項を適用して登録するというような考え方も伝統的商標と同様だというところでございます。また、商品の機能等を確保するのに不可欠な要素からなる新しいタイプの商標については、たとえ商標法第3条第2項の適用で登録できるというような状態であっても、登録できないとする不登録事由というようなものを設ける必要があるのではないかというところでございます。

 

2.の類否判断のところでございます。これもこれまでの伝統的商標の類否の判断、つまり二つの商標が同一または類似の商品・役務に使用された場合に、商品・役務の出所について誤認混同を生じるおそれがあるか否かによって類否判断というような考え方、それにはその外観、称呼、観念などによって取引に与える印象、記憶、連想などを総合して全体的に考察していくというような考え方、その商品・役務の取引の実情を明らかにし得る限り、需要者の通常有する注意力を基準として判断するというような考え方は、新しいタイプの類否判断にも変更する必要はないと考えております。さらに、離隔的観察、全体観察、要部観察といった手法も変更する必要はないと考えておりますが、要部の認定には、各タイプの商標の特性を反映させる必要があると考えております。

 

2ページ以降の各論について御説明いたします。動く商標、まずこれについては動くものとその動き方から構成されているものと考えられ、動く商標はもちろん見えるものですので、要部の特定は伝統的な商標である文字とか図形との判断に準じて判断していくという考え方でいいのではないかと思います。また、その動く商標の特性として、1つの商標出願の中に全く関連しないというような文字や図形が構成されるということも予想されます。それらをどういうふうに考えるのか、1つの商標と見るのかというところでございますけれども、出願人が1つの動く商標として出願しているということに鑑みれば、それは1つの商標として見ていいのではないかと思われます。

 

(2)は識別性のところでございます。動くものが独立して識別標識として機能する場合には、全体として識別性を有するものとして判断できるのではないかというところでございます。また、動く商標についてはその経時的な変化がありますので、こういうところからも識別性の判断を考える必要があるだろうと考えております。

 

今は(i)のところですけれども、(ii)のところでは、動くもの自体に識別力がないといった場合でも、その動き方に相当程度特殊性がある場合には、その商標全体が識別標識として機能するという考え方も取り入れてもよいのではないかと考えております。また、動き方というものに着目して、その動くものが動く際の軌跡から新たな識別性が浮かび上がってくるというような場合には、それらも考慮する必要があると考えます。また動き方の早さの違いによって全体的なイメージに大きく影響を及ぼすということも考えられますので、単純な動きであれば識別力がない場合でもその動きの緩急の変化によっては、識別力があるというような考え方もあるのではないかということでございます。

 

そして留意点として挙げておりますのは、現行商標の記載の仕方、これは8センチ×8センチに制限しているところでございます。動く商標は時間的に経時変化するということですので、その時間的な制限が必要ではないかと考えておりますので、これについても委員方々の御意見をお聞きしたいと思っております。

 

類否判断については、これも動くものに識別力があるといった場合には「外観」、「称呼」、「観念」といった基本的な判断要素で考えればいいのではないかと考えております。

 

続いて、ホログラム商標についてでございます。ホログラム商標は見る角度によって異なる文字とか図形が見えてくるというような特性があるというものでありますので、これらを要部認定をしたときには、これまでの伝統的な商標に準じて判断すればいいのではないかと考えております。また、ホログラムについても1商標1出願の問題が含んでいると考えております。異なる複数の図面が構成中にあるということであれば、それらをどう見るのかというところです。しかしながら、ホログラムの特徴が異なる複数の図面が見る角度により異なるというようなことを考えれば、これも1つの商標として見ることが適当ではないかと考えております。

 

それで、(2)の識別性のところでございます。構成要素に文字とか図形が認識される場合には、それについて伝統的商標と同様に識別力の判断をするというような考え方でございます。「特に」というところで1つ挙げておりますのは、1つの方向から見た場合のものに識別力がない場合であっても、それをグルッと角度を変えて見たとき、識別力が出てくるような場合には、全体として識別性があるものと判断していいのではないかと考えております。

 

類否判断についても同じように、視認される文字、図形、立体的形状から「外観」、「称呼」、「観念」の判断要素において判断すればいいのではないかと考えております。

 

続いて3.の色彩商標でございます。色彩商標については、そこは色そのものとその説明とか、組み合わせ方というような構成要素になっているということでございます。

 

基本的な考え方は5ページのところ、(2)の識別性でございます。色彩というのは商品の美観を高めたり、デザインとして一般的によく使用されるものというところもございますので、原則、識別力を有しないと考えるべきだと思います。ただし、色彩の組み合わせについては、その配色とか組み合わせ方に付加的な要素が加わっていることから、これらについては識別力があるという場合があってもよいのではないかと考えております。色彩商標は、原則、識別力がないというような考え方でありますけれども、使用された結果として識別力が出てくるというような場合には、登録するということも考えられます。また、そういう識別力を獲得したというような場合であっても、機能を確保するのに不可欠な色とか、公益的な色彩、こういうものには登録を認めないというような手当をする必要があるのではないかと考えております。

 

(3)の類否判断でございます。色彩商標とそれ以外の商標との類否というものが考えられます。しかしながら、色彩商標以外の商標中に、形式的に、物理的に、同一色があるといったことの理由のみで色彩商標と類似するという判断は必要ないと考えます。その色彩が色彩商標以外の商標に欠かすことができないぐらいに要部になっているものについてのみ類似性を判断するというような考え方でよいのではないかと考えます。

 

続いて、位置商標についてでございます。位置商標というものは「付すもの」と「付される」ものと、その「位置」というような構成要素になっているというところで、識別性についてですけれども、これも付すものに識別力がある場合には、そこから識別力の判断を行うことが必要だと思います。

 

それが6ページのところで書かれておりますが、(ii)のところで「付すもの」に識別性がないとした場合であっても、位置商標というのは同じ位置に同じ「付すもの」があるということで、それが繰り返し使用された結果、識別性を獲得したというときには、商標法第3条第2項の適用ということが考えられます。

 

類否判断については、「付すもの」について識別力があるものであれば、これを要部として外観・称呼・観念の判断をすべきだろうと考えております。また、「付すもの」に識別性がないものであれば、「付すもの」とその「位置」が有する特徴を捉えた類否判断がなされるべきと考えております。

 

トレードドレスについては、定義もないところで、何がそこに含まれているかというところですけれども、立体的形状であれば、すでに我が国も導入して保護している立体商標と同様に判断をすればいいのでございますが、トレードドレスの範疇には顧客に提供するイメージとか、レストランの外観のイメージとかといった極めて漠然とした抽象的な概念がそこに含まれていると考えられ、こういうものが含まれるとすると、この部分においては識別性や類否の判断は困難であると考えております。

 

続いて、7ページの音響商標でございます。音響商標の構成要素と言われているところは、1)として音楽が認識される音響、2)として言語が認識される音響、3)として自然音とか生活音等が認識される音響、これらなどから構成されていると考えております。

 

識別性のところでございます。音響商標は、主に広告に使用されるケースが多いと考えております。例えば、歌詞つきの音楽、音声など、言葉を伴う場合と言葉を伴わない場合が考えられますけれども、一般には言葉を伴う場合の方が識別は得やすいというふうに考えております。とは言っても、両者ともに識別性を有すると考えております。一方、商品そのものの音、例えば指定商品「ギター」に「ギターの音」とか、商品「ポップコーン」に「ポップコーンのはじける音」、これらは商品の特徴を単にあらわしているものであろうということで識別性がないもの、また音響でピアノではじいた単音とか長い時間の音響など、こういうものは商標全体としても識別力がないと考えております。

 

最後のところ、国歌や緊急用のサイレンなど、こういう公益的な音については登録は受けられないというようにすべきではないかというところでございます。

 

留意点として挙げているのは、動く商標と同様に、こういう経時的な変化を有する商標であれば、時間的な制限を検討する必要があるのではないかと考えております。

 

類否については、基本的に「音楽」の商標に関してはメロディとか音色等から構成されていると考えられますので、そのメロディを含めて、すべての音楽要素についての共通点を総合的に勘案するというのはもちろん類否判断の当然なことだと考えております。しかしながら、メロディが顕著に認識されるような音楽同士であれば、そのメロディをまず対比させて類否判断を行うということも1つの手法として考えられます。また、歌詞つきの音楽、音声のようなもの、すなわち、言語が認識される音響については、そこに識別力が認められる場合には、文字商標との類否を行うということが必要と考えております。

 

最後に、におい、味、触覚の商標の識別性と類否判断についてですけれども、これらについて、最初の特定のところでも述べさせて頂いたとおり、経時的変化と再現の困難性があるということで、現在の技術ではこれらについて特定は難しいと考えております。そして、それ自体の特定もできないということであれば、これらの識別性の判断とか類否判断も困難であると考えております。

 

以上でございます。

土肥座長

どうもありがとうございました。

 

それでは、また同様に、ただいまの説明を踏まえまして、議論に入りたいと存じます。

 

どなたからでも結構でございますから、御質問や御意見があればお出しいただければと存じます。

 

堤委員、どうぞ。

堤委員

堤でございます。

 

まず今回の新しいタイプの商標は、商標の広告的使用であっても商標の使用ということを認めるということを前提にして考えるということでよろしいのでしょうか。

関根商標制度企画室長

そうでございます。

土肥座長

多分、ここでの議論は新しいタイプになっていますので、商標としての使用という問題は、今後、産構審の商標小委の中で著名商標の議論とかいろいろ出ますね。そうすると、必ずそこが出てくると思うのですけれども、今現在は、出所の識別力といいますか、出所を識別する機能があるかないか、識別性というのはそこを前提に考えていけばよろしいということではないのですか。

関根商標制度企画室長

識別性について、まずそこを考えるということです。

土肥座長

そこを考えるわけですね。

関根商標制度企画室長

はい。

土肥座長

つまり、要は識別性、それから類似というのは、要するに要部認定が必要になってくるわけですね。その要部認定が必要になってくるということは、要部というのは識別性のある部分ですし、そして識別性のある要部において類似判断ができるかどうかという、そういう議論になってくるのだろうと思うのですね。そうすると、商標の経済的機能である非常に重要な広告的機能、これがこの段階ですぐにというわけではなくて、やはりここは出所表示機能というところをまず押さえておいて議論していただいた方が、このワーキンググループは適当だろうと思います。

堤委員

ということは、使用態様については余り考えずに、識別力が出るような使用であれば議論対象として考えていくということですか。

土肥座長

出所表示として使用されるという態様です。

堤委員

出所表示としての使用ですか。

土肥座長

はい。そういう議論で、将来的には広告的な機能というところが必ず問題になるとは思うのですけれども、今、この現段階では識別性というのは出所を示すという、その部分でお考えいただいた方がいいかなと思いますけれども。

堤委員

例えば、新しいタイプの商標の使用がそのまま商品自体に付されるような、あるいはサービス自体ならばまだ考えやすいのですけれども、例えば商品自体に付されるものには動く商標はない、色彩商標的でもない場合であっても、広告的使用によって動く商標が使用される商品というものもたくさんあると思います。一方、先ほどの車のドアが開閉するような動く商標のように商品自体が動く場合は商品自体の機能的なものであって商標として付されているものではありません。ですから、例えば、商品事態に動く機能が付されているが、広告的使用において動く商標が使用されるものについては、それが商標の使用との関係でどのように考えたらよいのか、まだ頭の中の整理がついていません。また、例えば色彩商標やにおい商標、あるいはホログラムといったものも、普通ならば識別力はないのですが、これが第3条2項的な使用によって識別力を獲得するものが出てくるというものもあり、だからこそ新しいタイプの商標も登録の必要性が出てくるのでしょう。その他、例えば動く商標であってもこれは商品自体にも動く機能があるものと、例えば広告的使用によって初めて出所表示機能を獲得するようなものもあるでしょうから、新しいタイプの商標について議論するにあたり、その辺が整理できていないような気がしておりまして、それを議論しようと思ってもなかなか私自身の頭の中が整理できないでいるのですけれども。

土肥座長

確かに、事務局から説明がございましたように、結局新しいタイプの商標の中で広告的に使用される場面が非常に多いわけですね。そういうような部分についても、つまり経時的要素の中でとらえていったときに、結局そこも商標なのかということになるわけですね。そこも商標なのか、つまり出所を表示する、そういう要部に認定できるのか、あるいはできないのか。どうも事務局の今の説明をずっと聞いておりまして、要部が複数ある場合があると考えるのか、1つしかないのか、ここは非常に重要なところだろうと思うのですけれどもね。だから、要するにディスクレーマーはないわけですから、出所を表示するようなものではない、広告的に使われているような部分はどうなるのだろうということだと思うのですけれども、非常に難しいのですが、関根室長、要するにこれは識別性の部分と類似の部分を見るということですから、当然そこは要部をまず見るということですね。

関根商標制度企画室長

そういうことでございます。

土肥座長

はい。要部というのは、こういう経時的な要素の場合、複数あり得る。

関根商標制度企画室長

あり得ると考えております。

土肥座長

識別性に乏しいような部分、これは従来の権利不要求などを置いておったときは、識別力がない部分については権利行使しませんよというふうな制度がありましたね。これは委員の方にお聞きした方がいいのかもしれませんけれども、今のような議論の中で権利不要求のようなことは一切出てきておりませんけれども、識別性がないような出所表示以外の部分についての広告的にあらわすような部分について、それは商標の要部として見ていくということはいかがですか、御意見を伺いたいと思いますけれども。

土肥座長

堤委員、お願いします。

堤委員

今のお話出てきましたディスクレーマーについてですが、今後、新しいタイプの商標の制度ができるにあたり、例えば動く商標にしても、数秒間という長い時間の中の一部分で商標が動きを持った態様で使用されると思うのですが、では、果たしてどこの部分が要部なのか、どの部分は付記的な使用なのかというのは出願人にとっても、あるいはそれを見る需要者にとっても、なかなか判断しづらいところだと思うのです。今後、ケース・バイ・ケースだとは思うのですが、例えば諸外国の例を見ましても、ディスクレーマー制度があるとその要部か又はそうでないかが非常にわかりやすくなると思います。私も外国にかなり商標を登録出願していますけれども、ディスクレーマー制度をもっている国の場合には、権利者側としても、それを見る第三者としても、この部分は要部かそうでないかが非常にわかりやすいと私は思っています。全面的に賛成とは申しませんがディスクレーマー制度はケースによるのだと思うのですけれども、あった方がよいと思っています。

土肥座長

出所を識別する部分、その部分が要部であって、それ以外の部分の出所識別するとは需要者が見ないような部分は、これは要部ではないので、そこは通常であれば権利行使をしないということになろうかと思うのですけれども、だけれども、登録されているのだからという理由で、そこを権利行使するということは当然考えられるわけですね。篠崎さんが先ほどから御心配になっているような混乱になる部分につながっていくのだろうと思うのですけれども、だから、需要者から見て商品の出所を識別するために使われているのだという部分以外の部分は、これは要部でないし、したがって、類否判断にも考慮されないのか、されるのかというのは恐らくすごく大事なところだと思うのですね、ここは。

 

どうぞ、江幡委員。

江幡委員

今の点に関してですが、例えば15秒間のCM1本が出願されて、最後に動きとともに社名がポンと出る、そういうわかりやすいケースを想定した場合に、おそらくその識別力、出所表示という意味では、最後にポンと出てくる社名の表示なのだろうと思います。従来からの要部の考え方は、全体の中でどこに要部があって、そこを比べてということで考えているのだと思いますけれども、全体を1つの商標として見た場合に全体として識別力を欠くというような扱いができるのであれば、そういう余りにも長すぎるといいますか、識別力のない部分も一体となって1つの動きの商標として出願されている場合は登録を受けられないというような扱いができるのではないかなと、ちょっと感覚的に思いました。

 

あと、出願する動きの商標が長ければ長いほど、逆に言えばその権利の範囲としては狭くなるということが一般論として言えるのではないかと思います。そうすると、出願人側のモチベーションとしては、一般的にはなるべく権利としては広く取りたいというところがあるのであれば、あえてそういった長い商標の出願をしようという動機付けは余りないのではないかなとも思いました。

土肥座長

ありがとうございます。

 

最初の冒頭でおっしゃったような時間的に流れていって、最後に社名が出る場合には、その社名の部分に要部を見るわけではなくて、全体観察で、全体を見ます。その場合、全体から見ると最後の社名というか、商品名が出るところの部分は全体から見ればごく一部であるとすると、全体として見た場合は、識別力はないと見るべきであると。

江幡委員

そうですね。そういうような考え方ができないかというふうに思います。

土肥座長

これは室長もお話になった部分ですよね。

関根商標制度企画室長

これは逆に……。

土肥座長

違うのですか。

関根商標制度企画室長

我々、一部に識別力がある場合は、全体として識別力があると見なければいけないのではないかというふうに考えております。

林商標審査基準室長

ちょっと補足させていただいてよろしいですか。

土肥座長

はい。

林商標審査基準室長

一部に識別力がある場合の取扱いですが、現在、平面の図形などですと、審査基準上、例えば、連続的な地模様とか、そういうものについては構成散漫で、いわゆる需要者の注意を引く部分がないということで、いわゆる3条1項6号に該当するものとして、識別力がないという審査をさせていただいています。ただし、そういう連続的な地模様があったとしても、その下に、どこかの会社のハウスマークであるとか、社名が一緒に入っているというようなケースですと、全体としては、まさしく社名とかハウスマークの部分に少なくとも需要者の注目が集まるということで、全体としては3条を適用するというのはなかなか難しいのではないかというのが一般的な審査になっています。

 

それを、例えば、動く商標などに置き換えたときにどうなるかを考えると、先ほどコマーシャルや何かで一番最後に例えば社名などが画面に表されてくるといったときに、少なくとも社名が出てきたときは、出所表示という意味では、非常に需要者からするとわかりやすい部分であり、まさしくそのコマーシャルでやっていた商品はあそこの会社が作っているとか、売っているというように認識されるとなると、長いから識別力がないというふうに言えるかというのは非常に難しいところだと考えています。そこで、このペーパーでは1ヵ所にそういうものがあると全体として識別力がないとまで言い切るのはなかなか難しいかもしれないという趣旨のペーパーになっています。ただ、おっしゃっていたように、例えば動く商標などの非常に長い商標が出てきてしまうのではないかというような話は実は庁内でも多少議論になっていまして、そういうことも含めて、例えば時間的制限が必要なのではないかとかいうのをあわせて問題提起として挙げさせていただいている状況にあります。

土肥座長

すみません。例えば音の場合は7ページの下から4行目などのところでは、一部に識別力を有する部分があったとしても、全体としては印象が残らないような場合は全体としては識別力はないというふうに、ここでは音の方は書いてあるわけですね、音の方は。だけれども……。

関根商標制度企画室長

ここは音も動きも同じような考え方をとらなければいけないだろうと思っております。印象が薄れてくるように場合があったとしたらというところがここで……。

土肥座長

印象が薄れる場合をいっているのですか。

関根商標制度企画室長

はい、薄れていってしまうと。余りにも長すぎると、1時間とか、これは極端な話でしょうけれども、そういうようなときに、前にあったものが印象が薄れてくるというようなもの、そういう構成であれば、そこは全体としては識別力がないものと考えなければいけないのかというふうに思っております。

土肥座長

どうぞ。

江幡委員

先ほどの動画のケースに戻るのですけれども、例えば親子のやりとりのような内容のCMの最後にポンとどこかの食品メーカーの社名が出るケース、それは果たして1商標なのか、すなわち1つの商標なのかという問題もまたあろうかと思います。特に、画面の場合は、ある同じ共通したコンセプトのもとに一連の、1つのまとまりを持っているということが前提になるのかなという気もしますので、それが全体として識別力がないというような整理になるのか、あるいは最後の「ポン」のところによって識別力はあるけれども、それは1つの商標ではないという整理になるのか、それはいろいろな考え方があって、適切にそういう商標を排除する方法というのもあるのではないかというふうに、ちょっと、また思いつきですが、思いました。

土肥座長

映画で、具体的な社名を出して恐縮なのですけれども、東映の場合などは海がこうありまして、岩があって、文字が出てくるわけですね、わずかの時間の中で。3秒とか4秒とかそれぐらいで。背景としては海と岩しかないのですけれども、この「東映」というのがポンと出てくると、これはやはり動的商標というふうに見られませんか。江幡委員の御意見はどういうふうになりますか。

江幡委員

その部分も含めて、後ろの背景である図と後から出てくる「東映」も含めて、その場合は1つまとまりを持った商標というふうに言えるのではないかと思いますが、全体がやはり1つの動きの商標である場合であっても、1つのまとまりを持っている必要はあるのではないか。長すぎる場合においてはその分、画面が変わるとか、出てくるそういう動くものが変わるとかということがあるでしょうから、そういう場合によっては2つ以上の動く商標といいますか、動くものというものが1つの出願の中に入っているということもあるのではないかというふうに思います。

土肥座長

はい。

 

ほかにいかがでございますか。鈴木委員、お願いします。

鈴木委員

今のお話でちょっと私、混乱したので事務局のお考えを聞きたいのですけれども、仮に、CMで同一の会社が複数の商品とかサービスについていろいろなバリエーションのCMを流しており、最後に同じようなパターンの社名とかをアピールするそういう動画が流れるといたします。その動画の部分だけを登録しようとするということはできるのですか、できないのですか。そういうこともできるけれども、CM全体もできるということでこの2ページの最後のところ、「全体として出所識別標識としての機能を否定することはできない」と、そういう趣旨でおっしゃっているのですか。

土肥座長

お願いします。

関根商標制度企画室長

我々審査する側で、どうしても出願人の作成意図というのは読めないわけで、それは審査側も第三者、需要者も同じと思いますが、出願人が本当に一番欲しいところだけ出願していただくのが一番わかりやすくて、我々も理解しやすいところです。しかしながら、動く商標で時間的な範囲内であれば自由に表現できるということを考えると、要部が複数あるというような構成のものも受け入れなければならないとは考えております。また、もう一つ我々のジレンマにあるのは、余り長いと要部が多く審査も大変だとかいうところもあるのですけれども、出願人側の出願しようという意図から考えると、1商標1出願で要部が1個でなければだめだというふうな縛りもかけるのはいかがなものかと考えております。本資料において相反するものを両方併記しているところがあることは、ご理解頂けますでしょうか。

土肥座長

よろしゅうございますか。

鈴木委員

はい。

土肥座長

動的商標というのはかなり難しいなというのがわかったのですけれども、しかしいろいろ今後、長さの問題とか、そういうことも含めてまた議論していく必要があるのだろうと思います。

 

他の商標についていかがでしょうか。識別性、類似の問題になるわけでございますけれども、江幡委員、どうぞ。

江幡委員

江幡です。

 

7ページのところに6.の音響商標の(2)のところで識別力がないパターンとして「ギター」に「ギターの音」という例が挙がっているのですが、これも音のメロディ次第で、あとは使用によっては当然ギターについてのギターの音色であっても、ある特徴的なメロディが使われているような場合は識別力を有する場合はあると思いますので、ある、特に楽器のように音を出すものの場合に、その音だからといって一般的に識別力がないとは言えないのではないかというふうに思います。

 

ひとまず以上です。

土肥座長

はい。今の点は何かほかの委員の方、かなり重要な話なのですけれども、御意見があれば、堤委員、お願いします。

堤委員

今、江幡委員がおっしゃったことは、それこそ第3条2項的な考え方で登録制を考えればよいかと思います。ギター商品であって、そこに使用される音は確かにギターの音なのだけれども、これは独特な音色で識別力があるということがきちんとわかり識別できるのであれば、当然商標登録の対象になるでしょうし、したがってそれについては余り深く考えなくてもいいのではないかなと、私は思うのですが。

土肥座長

大事なところなので、ひとつ慎重にお考えいただいたらいいと思うのです。

 

機能的商標といいましょうか、これは新しいタイプの商標の場合、非常に重要な問題になってくると思いますし、自由使用の問題、万人に開放されておかなければならない領域というのをきちっと考えておかなければならないというふうに思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 

ほかに、青木委員、お願いします。

青木委員

法律の枠組みの問題ですが、、文字商標ですと3条1項1号というのがあって、3条2項を立証しても絶対に登録できない。それから、立体商標ですと4条1項18号があって、3条2項を立証しても絶対に登録できないというように、絶対に登録できないという規定があります。この新商標について、独占適応性の観点からどういうふうに整理していくのかというのは非常に重要だと思います。5ページのところに色彩については、機能を確保するに不可欠な色彩は絶対に登録を認めないというのがあるのですけれども、ほかのところにはないので、絶対に登録すべきではない商標をどのような条文をつくって排除するのかというのは次回の問題だと思いますけれども、大変興味のあるところでございます。

土肥座長

そうですね。次回になろうかと思いますが、今の段階で室長、何かお話しいただけることがあればお願いします。

関根商標制度企画室長

新しいタイプの商標について機能を確保するに不可欠なケースを、タイプ別に想定ができるものとできないものとございまして、その部分は抜けております。事例については、さらに検討してみたいと考えております。

土肥座長

青木委員、次回のために、事務局の整理のために今の段階で色以外に何かそういう点がございましたらお出しいただければ幸いなのですけれども。

青木委員

ヨーロッパの立体商標の規定を見ると、絶対的に登録できないというものの中に、商品そのものの性質から生じる形状は登録できないという規定がありますが、これに類する規定をつくると、日本の商標法3条1項1号のような形で独占不適応な新商標を排除できるのではないかと思います。それから、アメリカは機能的なものは登録できないという非常に大きな枠組みの規定がありますので、このような規定があると機能的な新商標を排除できるのではないかと考えます。

土肥座長

ありがとうございました。

 

ほかにいかがでございましょうか、篠崎委員代理、お願いします。

清水委員代理(篠崎氏)

多分、これは前回の第1回の資料だったかと思いますが、新しいタイプの商標の検討に当たっての論点と考え方の例という横タイプの資料があったかと思います。そちらでも紹介されていましたけれども、色のみですとか、音のみですとか、香り、においですとか、そういったものは本来的に識別力がないのではないかという整理が、それがすべてではないかもしれませんが、なされていたかと思います。やはりこういった整理というのは非常に首肯できるところでございまして、こういったものについても通常の先願主義と同じ考え方というのはちょっと危険ではないかと考えております。といいますのも、こういうものはやはりブローカー対策ですとか、またお話も出ていましたけれども、公益性の面ですとか自由使用の面、そういったことを考えますと、使用実績というものが必須という考え方が1つできるかと思います。その場合に、どの程度かという程度が関係してくるかと思いますが、このあたりは委員会で議論した際に、やはり特に慎重に考えていただきたい。もう少し具体的に言いますと、やはり基準としては登録という意味では非常に高い基準を設けていただいた方がいいのだろうという声が非常に多ございました。そういう意味では、実際に使用しているものを保護するというような考え方に立ってもいいのではないかというような声が多く聞かれたところでございます。

 

あとこれは委員会内では議論はまだあまりされていませんし、意見が分かれている話でございますが、先ほどありました権利不要求といいますか、識別性の問題については、現行法の立体商標でも同じ話があります。例えば立体商標で識別性のある文字がついていると立体としては識別性がなくても登録になってしまう。そういう意味では、今回検討している新しいタイプの商標でも、やはり同じ状況にあると思います。その際に、やはり先ほどからも議論がございましたけれども、例えば著名なハウスマークなどがついていれば、やはりそこは現行法の考え方と全く切り離すというのは難しいのではないか、これは私見で思います。そういたしますと、やはり登録になるという方向になっていくのではないかと思います。そうしますと、それは色なり音なり動きなりホログラムなり、みんなそうですけれども、そういったものが識別性がなかったときに、文字なり、そういうハウスマークがついているから登録になるというのは、それは果たして本当に新しいタイプの商標なのだろうかというところが、非常に単純な故に悩ましいところでございます。かといってそういったときに、では動きですとかホログラム、識別性がない部分、それは権利を与えない、あるいは要求しないというふうに果たして割り切れるかといいますと、そこは現行法で権利不要求を廃止したというのはそれなりにやはり審査の負担ですとかそういった弊害もあったと思いますので、そういうところとの関係上、結論としてはまだ見えておりませんが、引き続き考えていきたいと思っているところでございます。

 

私からは以上でございます。

土肥座長

ありがとうございます。

 

時間的にもそんなにもう残っていないのですけれども、先ほど堤委員が企業の、商標から見ると、特許庁から見ると企業はお客様になるわけですけれども、ユーザーとして新しいタイプの商標について、先ほどもしかしたら御発言になりたかったのかなと思うのですが、御発言、ございますか、先ほどの話の続きとして。

堤委員

それはモーション(動く商標)についてのことですか。

土肥座長

いえ、モーションというよりも、恐らく実際に企業から新しいタイプの商標を使用する場合に、広告的機能あたりのことをおっしゃったと思うのですけれども。

堤委員

企業としての考えというよりも、私個人の考えとしましては、そういう新しいタイプの商標というものを使う場面というのは、やはり広告的使用としてのテレビやラジオ等のコマーシャルが一番多いのだろうと思います。このコマーシャルによって商品の信用を高め、著名性を高め、そして需要者の保護を図るというような考えで今の会社・企業というものはテレビやラジオコマーシャルなどを行っていると思うのです。ですから、新しいタイプの商標というのはそういうところまでを配慮した上での制度化だろうと思っています。先ほども申しましたように、例えばコマーシャルも商標の使用として識別力として十分価値があると思いますので、そこのところは認めていただきたい。あと権利不要求(ディスクレーマー)制度につきましても、例えばテレビコマーシャルというのは短いものでも15秒あります。その最後に当社の場合は、資料にもありましたけれども、「HISAMITSU」というロゴ商標を使用しております。私は、テレビコマーシャルの中でも最後の「HISAMITSU」が出るところは要部と思っていますし、途中に商品が出るところももちろん要部ですが、その他のところは要部とは思っていません。ですから、そのテレビコマーシャル全体を動く商標として登録するのはいいのですけれども、そのすべてが要部であるとは思っていません。したがって、一般需要者から見ればどこからどこまでが権利範囲かというところはわからないと思いますし、出願人としても、まさかそのコマーシャル全体をすべての権利というふうには求めているわけではないと思うのです。そういった意味でも、ディスクレーマー制度というものはそういった場合では非常に有効な制度であると思っております。

土肥座長

その要部と思っていない部分と同じようなものが他にあった場合には、久光としてはどうされるのですか。

堤委員

それは商標で保護されるものではなく、著作権で保護されるものではないかなと、私は思います。ただそれもケース・バイ・ケースでしょうし、一概には言えませんが。

土肥座長

ありがとうございました。

 

時間はあと5分ほどになっておりますけれども、何か御意見をいただけるようなことがあれば、鈴木委員、お願いします。

鈴木委員

鈴木です。

 

私は位置商標というのがよくわからなくて……。

土肥座長

位置というのは場所ですね。

鈴木委員

はい。それで、当然位置という概念が入るわけですけれども、大きさというのは一体どう関係してくるのだろうかというところがあると思うのです。それで、例えば先ほどの参考資料の2では、図1で、この御説明だと、この立方体が形状はこのままでどんどん大きくしても位置としては変わらないわけですね。相対的に星がすごく小さくなっても位置商標としては同一なのか、それとも位置に加えて大きさという概念も取り入れて、あるところまでは類似で、ある程度を超えれば非類似になるということなのかというあたりは、これは頭の整理なのでしょうけれども、必要なのだろうなという気がします。

土肥座長

相似の場合は類似ですか、同一ですか、相似の場合。

鈴木委員

この説明だと同一になるのではないでしょうか、ここに書かれている説明だと。

土肥座長

はい、そういうことだと思うのですけれども、それでいいかという趣旨でしょうか。

鈴木委員

それだと、逆にこの立方体をどんどん、どんどん小さくしていくというと、かなり受ける印象は変わってくると思うのですね、この立方体における星のマークから受ける。それが果たして位置商標として同一と言っていいのかというのが、ちょっと素朴な疑問があるのですけれども。

関根商標制度企画室長

その場合、立方体のケースで、立方体の形状が縮小していくといったときに、それと同じ比率で相似形的に付すものの星も小さくなっていくと考えれば、それは同一だと思いますけれども、形状だけが小さくなっていって星自体が同じ大きさを保っているということであれば、位置が変化するというふうに我々は見ているのですけれども、よろしいでしょうか。

鈴木委員

余り細かいところまで議論するつもりはありませんが、この資料の説明ですと、長さの比率が同じであるというので、このA、B、F、C、D、Eをそれぞれ2倍にしても同じではないかということを言いたかっただけなのですけれども。

森吉商標課長

補足説明させていただきます。これは先ほどから位置商標の場合、商標を特定するのに実線ではなくて破線を使ったらという御意見が、アメリカ等で採用されていることとの絡みで出ていますが、仮にこの立方体、これは破線で書いてあるのですけれども、この立方体が破線で書かれた場合、その破線で書かれた立方体がどこまで、どういう形のものまで同一と見て商標の特定というものを考えたらいいかという意味でこの図があります。破線で書かれた場合に同一と見るのは、実際の使用態様がこの右横の四角い立方体も全く同じ場合だけなのか、あるいは、横に長いとか、縦に長いというような場合に、これは位置が変わってしまうことになるのではないか、ということで、やはり破線といえども、その破線で表された部分をどのように理解するか、その破線が権利範囲にどこまで影響するのかということを明確にしなくてはいけないのではないかと考えております。権利範囲をわかりやすくするためには、破線ではなくて実線であらわして、立方体の形と星の位置をはっきり特定するのがいいのではないかというようなことで、この参考の資料2というものをつけさせていただいております。

 

繰り返しになりますけれども、相似形の場合はやはり同一と考えており、これは今の文字商標でも立体商標でも全く同じことが言えまして、例えば立体商標でも店頭に置く人形なのか、机の上にちょっと置く人形なのか、その辺は全く使用する側の使用の仕方によって大分違ってくるということになろうかと思います。

 

以上です。

土肥座長

ありがとうございました。

 

ちょうど時間が来ているのですけれども、何か最後にございますか。

 

では、お願いします。

阿部委員

裁判所の阿部でございます。

 

先ほどのコマーシャルを認めるべきかどうかという話で、要部の部分とそうではない部分が分かれるといった場合に、もちろんコマーシャルを作られた会社の方は権利行使の場面では要部で権利行使をし、要部ではないところでは権利行使はしないと、そういうお考えだろうというのはわかるのですが、裁判所の立場に立ちますと、紛争になるのはどういうケースかといいますと、むしろ要部ではなくて、広い権利を取っておいて、要部ではない部分で権利行使をしてくる、そういうケースが考えられまして、そういう危惧もありまして、そのあたりで特許庁のおっしゃるように、要部ではない部分も余り広く認めすぎますとむしろ萎縮効果を生む恐れもあるということで、そういう観点からの検討というのはどうしても必要になってくるのかなというふうに考えております。

 

以上でございます。

土肥座長

どうもありがとうございました。

 

ちょうど時間になりましたので、本日の第2回のワーキンググループの検討はこれで終わりたいと思っております。

 

今日ちょうだいしました御意見、御指摘につきましては事務局で再度整理をしていただいた上で、今後また取りまとめがあろうかと思いますけれども、その際に参考にしていただければと存じます。

4.今後のスケジュールについて

土肥座長

最後に今後のスケジュールについて、御説明をお願いできますか。

鎌田審議室長

今後のスケジュールについて御説明をさせていただきます。

 

資料3という1枚紙をお配りさせていただいております。本日は第2回目になりますが、次回の第3回目は10月29日水曜日、午前10時からの開催を予定しております。それ以降につきましては、委員の皆様の御予定を伺った上で御連絡させていただきます。

 

次回は法制上の論点と考え方について御議論いただくことを予定しております。その後、第4回目以降は論点を整理し、報告書の取りまとめに向けて御審議をいただく予定とさせていただいております。

 

以上でございます。

土肥座長

ありがとうございました。

 

それでは、以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会第2回新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググループを閉会させていただきます。

 

本日はありがとうございました。

5.閉会

[更新日 2008年10月28日]

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