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第2回新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググループ議事要旨

平成20年10月3日

経済産業省特許庁

9月29日(月曜日)午後、産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会第2回新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググループ(座長:土肥 一史 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)が開催された。

1.審議内容

事務局から配付資料に沿って説明した後、討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。

審査における商標の特定について

(1) 総論について

  • 本資料の中では、「特定」の語が多義的に使用されているように感じるが、商標の明確な特定の要請の主旨が分かり難い。十分な特定とはどの程度までか、どこで線を引くのかは難しいが、それを決めるのは、やはり商標の明確な特定の主旨ではないか。
  • 商標の明確な特定というのは、25条の専有権の範囲として特定されることではないか。
  • 商標が明確に特定されることは重要。しかし、一般のユーザーは色や音を日常的に使用しており、商標と認識していない。また、商標の権利化後が重要であり、商標権を利用するだけでなく権利行使されることもある。特に、音響商標については、広告で使用する際のチェックに時間や費用がかかる点、他人の使用をチェックするために役立つインターネット検索が難しいという点も問題である。

(2) 動く商標について

  • 動く商標において、電子媒体の特定と複数図面の特定を選択する場合、それは誰が選択するのか。
  • 動く商標には動画(二次元的なもの)と、立体が動く(例えば商品自体が動く)少なくとも2つのパターンがある。動く商標は電子ファイル、立体の動く商標は図面で特定するやり方も考えられるのではないか。

(3) 位置商標について

  • 位置商標について、付されるもの(商品)を特定するとした場合、その保護範囲をどのように考えるのか。付されるものを実線で表示する場合、立体商標との相違点は何か、あるいは諸外国では破線を用いていることを考えると、実線に補正することが要旨変更に該当するか等いかに考えるべきか。
  • 位置商標は、単純なものであっても、一定の位置に継続して使用されることによって識別力が出ることをイメージしており、付されるものの形状や位置を厳密に特定するような、硬直的な扱いにする必要は無いのではないか。

(4) 色彩商標について

色彩商標について、願書に色彩の態様を記載させると変色のおそれがあり、また、説明の記載ではいろいろな表現が考えられ、色彩の詳細な特定が困難であるところ、諸外国で使用されている、「色見本コード」についての使用を、どのように考えるか。

(5) 音響商標について

  • 音楽の商標については、電子媒体によらずとも、楽譜による特定方法もあるのではないか。出願人に選択の幅を持たせることも必要なのではないか。
  • 音楽の商標の主たる特定方法を楽譜にした場合、楽譜を見てそこから音を把握することが、誰でもできるわけではない。楽譜も審査参考資料としては有益だとは思う。誰にも明確に分かるという点においては、電子媒体が適当ではないか。

審査における識別性及び類否判断について

(1) 識別性について

  • 第1回のワーキンググループの資料と思うが、色のみ、音のみについては、本来的に識別力が無いという整理もあるのではないか。このようなタイプの商標については先願主義を形式的に適用するのは不適当であり、ブローカー対策、公益性、自由使用等を考慮して、使用実績を必須とすべきではないか。どの程度の使用が求められるかは、非常に高い基準が必要なのではないか。
  • 文字商標では3条1項1号(普通名称)、立体商標では4条1項18号のように3条2項(使用による識別性の獲得)を主張しても絶対登録できない商標の規定がある。また、欧州の例で見ると商品の性質から登録を認めない、米国では機能的なものは登録しないという規定がある。新しいタイプの商標では、この点についてどのように考えるのか。
  • 音響商標について、例えば商品「ギター」にギターの音の商標を考えると、その識別性はメロディー次第であり、使用の方法によって識別力を発揮するところはあり得るのではないか。楽器に対するその楽器の音の商標が、識別力が無いとするのは、早急すぎるのではないか。
  • 経時的要素を含む商標(動く商標、音響商標)について、要部認定できるのか、新商標の要部がどこなのか、出願人にも需要者にも分かりにくい。要部でないところを権利範囲から排除する仕組みとして、権利不要求制度があれば良いのではないか。
  • 例えば15秒間のCMの最後に動きと共に社名が出てくる場合、識別力は社名にあることが多いと思われるが、全体として一つの商標と見るならば、あまりに冗長で構成が散漫であるとして拒絶できないか。出願人としては、より広範な範囲を取得しようとすると思われる。
  • 画面上の動く商標の場合は共通のコンセプトの基に一連のまとまりをもっていることが前提と思うが、それが全体として識別力が無いと見るのか、識別力はあるが、それは一つの商標を構成しないと見るのか、いろいろな考え方があるのではないか。
  • 動く商標について、背景的画像も含めて一つのまとまりと見て商標といえるのではないか。長すぎる場合には、動くものが変わったり、動くものが多数あるなど、場合によっては一つの出願中に複数の要部が共存する場合があるのではないか。
  • CM全体を動く商標として登録を認める場合、要部で権利行使することが想定されるが、裁判(紛争)では、広い権利を取得しておいて、その要部でない部分での権利行使が問題となるケースが考えられる。要部でないところを多く含むもの及び記録時間が長いものについて権利を認めることに危惧がある。

(2) 類否判断について

位置商標の概念が分かりにくい。商品の大きさについて、どのように考えるか。相似形についてはどうか。付すものの大きさが同じで、付されるものの形状が変化(拡大、縮小)する場合、位置についてどのように考えるのか。

2.今後の審議スケジュール

第3回ワーキンググループを、10月29日午前中に開催する予定。来年1月頃の取りまとめに向けて月1回のペースで残り4回程度の開催を予定。

[更新日 2008年10月3日]

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