第1回特許権の存続期間の延長制度検討ワーキング・グループ議事要旨
平成20年11月7日
調整課審査基準室
10月30日(木曜日)午後、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会第1回特許権の存続期間の延長制度検討ワーキング・グループ(座長:長岡 貞男 一橋大学イノベーション研究センター教授)が開催された。
事務局から配布資料に沿って、ワーキング・グループの設置について、及び、延長制度の見直しの論点について説明した後、以下の審議を行った。
1.審議内容
(1)延長制度の対象分野となる条件について
事務局からの配付資料に沿った説明の後、討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。
- 特許権の存続期間が満了する間際になって延長を認めるとすれば、第三者の予測可能性を害するおそれがある。
- 特許権の存続期間の侵食が予測されるとすれば、その時点で延長制度の対象分野としなければ、特許権による期待収益が減少するおそれがあり、特許制度によるインセンティブを減じることとなる。
- 基礎研究のイノベーションを発揮するかどうかの議論は、どの程度事例があるか等の客観的なデータに基づいて、特許の存続期間の延長に焦点を絞るのか、または別な方法で解決策がないのか議論すべきである。
- 20年間の存続期間を前提として、例外として存続期間の延長を認める要件は、制度を導入した昭和62年当時の趣旨から変わっていない。
- 延長制度の対象分野を考える上で、実態として農薬・医薬品と同じような状況が生じていることが実証されるのかどうかが重要である。
- 延長制度は例外的規定であるから、十分な事例、実証データに基づき、第三者の意見も考慮して、厳しい条件とする必要がある。
- 現行制度の枠の範囲内において、対象分野の認定が客観的に認識できるような要件も重視した上で、広い視野から慎重に検討すべきである。
- 特許権の残存期間(法規制の許認可を得てからの特許の存続期間)も考慮すべきである。
- 延長制度は、対象となる法規制に対応した制度であり、必ずしも国際的な調和が優先されるべき問題ではない。
(2)カルタヘナ法に基づく審査について
事務局からの配付資料に沿った説明の後、辻村委員による「遺伝子改変による植物育種」についてプレゼンテーション及び質疑応答を行った。その後討議を行ったところ、委員からの意見等の概要は以下のとおり。
- カルタヘナ法に基づく審査の対象となる植物に対応する特許権の残存期間は個別案件に応じて異なる。
- 特許権の残存期間(法規制の許認可を得てからの特許の存続期間)の短いものは延長制度の対象とすべきではないか。
- 植物は、花をつけないと遺伝子組換え技術の効果を確認することができないので、時間がかかる。
- 大正10年法には、重要な発明について存続期間を延長する制度があったが、後に一定の判断のもとに廃止されたことを考慮すると、イノベーションの議論と延長制度の対象分野とするか否かの議論は分けて考えるべきである。
- イノベーション以外にも、第三者とのバランスや、行政処分が安定的に出来ているのかどうかについて検討すべきである。
- 医薬品や農薬と同じように常に特許権の存続期間が侵食されることが実証される必要がある。
(3)延長制度の対象分野の拡大に関するアンケートの実施について
事務局からの配付資料に沿った説明の後、討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。
アンケート送付先として、バイオベンチャーを含む日本バイオインダストリー協会を追加した方が良い。
2.今後の審議スケジュール
第2回ワーキング・グループを12月24日に開催する予定。
[更新日 2008年11月11日]