ホーム> 資料・統計> 審議会・研究会> 産業構造審議会> 産業構造審議会 知的財産分科会> 再生医療等製品の特許権の存続期間検討ワーキンググループ> 第4回特許権の存続期間の延長制度検討ワーキング・グループ議事録
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長岡座長 |
まだお見えでない方もいらっしゃいますか、定刻になりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会第4回特許権の存続期間の延長制度検討ワーキング・グループを開催させていただきます。
本日はお忙しい中お集まりいただき、まことにありがとうございます。 今回は、初めに「延長制度の対象分野の拡大について」、前回結論を出しておりませんでしたので、特に医療機器と遺伝子組換え生物につきまして、皆様方の御意見もいただきながら再度事務局でまとめましたので、その御議論をいただきたいと思います。その後、前回御説明のありました製薬協からの御提案を少し整理してまとめていただきましたので、高橋委員のほうから御説明をいただきたいと思います。そして最後に、医薬品分野の延長制度の論点整理に向けて、事務局から説明していただき、皆様に御議論いただきたいと思います。 では、最初に配付資料の確認をお願いします。 |
田村審査基準室長 |
まず、本日の委員の御出席状況でございますが、本日は前田委員が御欠席されています。また、政府側の出席者として厚生労働省医薬食品局審査管理課の猿田専門官と農林水産省農産安全管理課の諏訪部課長補佐にも御出席いただいております。 続きまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。本日の配付資料は、まず議事次第、そして委員名簿がございまして、資料1として「延長制度の対象分野の拡大について」というペーパーがございます。次に、資料2として、日本製薬工業協会知的財産委員会のほうでおつくりいただきました「存続期間延長制度改正案」がございます。そして、資料3として「医薬品分野の延長制度を検討するための論点整理にむけて」というペーパーがございまして、参考資料としてA3判の3段表とA4判の参考図面がございます。配付資料は以上でございますが、過不足等ございませんでしょうか。 それでは、本日も前回同様、発言の際にはお手元のマイクのスイッチを入れていただき、マイクを近づけて御発言いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 |
長岡座長 |
では、早速ですが、「延長制度の対象分野の拡大について」という議題に入らせていただきます。 前回、再生医療材料等のように長い臨床試験が必要と思われる一部の医療機器及び遺伝子組換え生物については、特許権の存続期間が侵食された実績の取り扱い等につきまして、対象分野の条件のより具体的な考え方を整理した後で判断することにいたしました。そこで、この点について議論をしていただきたいと思います。 初めに事務局より資料の御説明をお願いします。 |
田村審査基準室長 |
資料1をごらんいただけますでしょうか。資料1は「延長制度の対象分野の拡大について」ということで、まず1.に第1回ワーキング・グループで御了承いただきました「A.制度の趣旨を踏まえた前提条件」、そして「B.政策的な観点からの条件」が整理されてございます。そして、これに基づき対象分野の拡大について御議論いただくということでございまして、2.のほうに、特に「A-3.安全性等の審査に農薬や医薬品と同程度の期間がかかる」ということを考える上での論点を(1)と(2)で少し整理させていただきました。 まず1つ目の論点として、期間延長制度の対象を「なぜ個別事例ではなく特定の技術分野を対象とするのか。」という観点で整理させていただきました。こちらに書いてありますように、「特許権を延長する時には、処分と特許権の関係を整理して、延長されるべき特許権かどうかを判断して延長する等、各技術分野に応じた具体的運用が必要である。そして、延長制度は例外的な規定であるため、上記具体的運用は、他の技術分野も含めて制度ユーザーが納得できるバランスの良い運用である必要があり、その作成には具体的事例の検証や関連業界との調整等、時間と労力を要する。このため、技術分野に関係なく個別事例毎に延長することは実務上困難であり、技術分野毎に延長制度の対象とするのが妥当である。」という整理をさせていただきました。 次に、「(2)「平均的に相当の期間がかかり、特許された発明が実施できないため、他の技術分野よりも発明の保護が著しく欠けている。」とは、以下のように考えることとしてはどうか。」ということで、(イ)は「特定の技術分野において上記の如き具体的事例が十分に存在する場合には、当該具体的事例の平均が相当の期間かかり、特許された発明が実施できないため、他の技術分野よりも発明の保護が著しく欠けていること。」ということになろうかと思いますが、(ロ)は、前回の議論でもございましたが、「具体的事例が十分に存在しないような場合であっても、実際に具体的事例が存在し、個別事情(例えば試行錯誤の審査だった等)を多く含む事例を排除して検討した時に、科学的知見(例えば臨床試験には一定期間はかかる等)や規制法の審査手続き(例えば審査ガイドラインが作成されてすでに期間短縮が図られている等)等を勘案して、当該技術分野について、今後も常態的に相当の長期間がかかり、特許された発明が実施できないため、他の技術分野よりも発明の保護が著しく欠けていることが具体的に見通せること。」が条件になろうかと思われます。「なお、この場合、特定の技術分野について延長制度の具体的運用(例えば処分された「物」の定義等)が検討できるかどうかに留意すべきである。」と。こちらの「物」というところは前回からずっと議論になっておりますが、延長制度は「物」と「用途」の観点から延長の対象と効力を規定していますので、その「物」が例えば医薬品では有効成分なのか、有効成分以外の製剤成分も含むのかというところが非常に重要になってまいりますので、期間延長の制度を考える上では、「物」の定義が制度設計において重要であるというところを確認させていただいております。 次に3.ですが、具体的に検討させていただくものとして、まず医療機器についてです。こちらは薬事法に基づく規制があるということで、まず(1)で再生医療材料と人工心臓について検討させていただいております。この分野について再生医療材料の承認実績について調べさせていただきましたところ、自家培養表皮につきまして平成19年に1件ほど承認実績がございました。こちらは臨床試験期間を含めると承認まで約6年かかっています。しかしながら、このケースは極めて異例なものであったため承認までに時間を要したということが薬事法上の審査報告書にも記載されており、この具体的事例は個別事情を多く含むと認められます。したがって、常態的に相当の長期間がかかることを説明するためには、さらに他の具体的事例が必要であるというふうに結論づけてございます。 それから人工心臓の承認実績が2件ございまして、平成13年に1件、そして平成19年にはこの平成13年に承認された製品を一部変更したものの承認がございました。平成13年の承認では治験届け日から6年かかっています。そして平成19年の承認では、平成13年の医療機器に使っているバッテリーの型がちょっと変わったということで、そのバッテリーを組みかえるような承認で臨床試験は必要ではないことから、承認には6カ月しかかかっていない状況でございます。これらの処分は、輸入販売のためのものであり、処分を受けた者は当該人工心臓に係る特許権の専用実施権あるいは登録した通常実施権は有していなかったため、当該承認に基づいて延長できる特許権はなかったということでございます。したがって、特許された発明が実施できないため、他の技術分野よりも発明の保護が著しく欠けている技術分野なのかどうかというところは不明でございます。 次に、(2)延長制度の対象分野の条件を満たすかどうかの検討をやらせていただいておりまして、前回のワーキング・グループの資料1から変更された点について下線を引かせていただております。 まず条件A-1です。先ほど御説明させていただきました1ページのA-1、法規制による処分が業としての特許発明の実施を禁止しているかどうかという点ですが、3ページにございますように、医療機器については薬事法に基づく承認を受けなければその製造販売ができないということで、条件に適合となります。 次に、条件A-2は「当該規制対象分野全体として、かつ、不可避的な規制審査期間があり、しかも、当該期間の短縮にも、安全性の確保等の観点からおのずから限界がある」という観点でございますが、これについては、「再生医療材料、人工心臓、ステント、人工血管等の一部の分野においては、その承認申請には、臨床試験による実験データが求められるため、当該審査期間の短縮にも、安全性等の観点からおのずから限界があるものと、一部の分野においては認められる。」ということで、この観点については一部適合ということでございます。 そして条件A-3は安全性等の審査に農薬や医薬品と同程度の期間がかかるのかどうかという観点ですが、この観点といたしましては、「承認のために必要な期間については、上記一部の分野において、治験届け日から承認日までに2年以上の長期間がかかった具体的事例が数例示されたが、個別事情を多く含むものや、特許権取得後数カ月で承認を得たものが含まれていた。また、昨年12月に「医療機器の審査迅速化アクションプログラム」が取りまとめられて、医療機器の安全性の審査の申請から承認までの手続きにかかる期間の短縮が期待される。したがって、今後も常態的に医療機器の承認期間に2年以上の長期間がかかり、特許された発明が実施できないため、他の技術分野よりも発明の保護が著しく欠けているか否かは現時点では不明である。」ということで、この観点については条件を満たすか不明という結論にさせていただいております。 そして政策的な観点の条件Bですが、「上記一部の分野においては、将来的に延長制度の対象分野とする必要性があるとの指摘はあるものの、日本医療機器産業連合会におけるステント、人工血管等の臨床試験が必要な分野を含めた検討によれば、医療機器分野は一般的に製品のライフサイクルが短いこと等の指摘もあって、意見がまとまらなかったことから、特許権を延長させる政策的な必要性が不明である」ということで、こちらの政策的な観点は現在のところ不明とさせていただきました。 そして、全てをまとめた結論として、「したがって、医療機器については、今後、承認期間の実態が判明し、特許された発明が実施できないため、他の技術分野よりも発明の保護が著しく欠けていることが明確になり、かつ、延長の政策的な必要性が認められた段階で、再度検討することとする。また、医療機器全体でなくても、客観的に明確に区分される特定の分野において上記条件を満たせば、当該分野のみを対象とする可能性も検討する。」というふうに結論を出させていただいております。 次に、4.のカルタヘナ法に係る遺伝子組換え生物でございます。カルタヘナ法に基づく承認には第一種使用等と第二種使用等の2種類がありますが、第二種使用等のための承認は、研究開発段階と区別することができないことから――こちらは第1回ワーキング・グループで確認させていただいておりますので、今回は第一種使用等のための承認についてのみ検討をさせていただいております。 2004年2月に施行されたカルタヘナ法ですが、その施行後、商業栽培・輸入のための第一種使用等の承認実績がこちらに書かれていますが、植物についての承認実績は合計74件ございます。そして植物以外にはワクチンについての承認実績が2件ほどございました。ここで「内訳」と書いているのは植物の内訳でございます。植物の内訳は以下のとおりでございまして、従来から御説明させていただいております2段階の第一種使用の承認の両方を行った実績が8件です。この2段階というのは、下の脚注11を見ていただきたいのですが、遺伝子組換え植物の第一種使用のための手続きには、隔離ほ場試験のための承認と、隔離ほ場試験を実際にやって、その結果を受けた商業栽培・輸入のための承認という2段階を踏むというのが一番時間のかかる承認手続きとなっておりますが、その一番時間のかかる承認手続き、2段階の承認手続きを行ったものが8件ございます。そして、それ以外に商業栽培・輸入のための承認のみを行った実績は66件ございます。そして商業栽培・輸入のための承認のみを行った実績の内訳は、既に安全性が確認されている組換え遺伝子を複数組み合わせた植物の実績が25件、カルタヘナ法施行以前の「農林水産分野等における組換え体の利用のための指針」に基づいて隔離ほ場試験の承認を得ていた植物の実績が41件でございます。これらについて実際にどのぐらい承認に時間がかかったかというところを下のほうで解説させていただいております。 まず1)の2段階の第一種使用等の承認の両方を行った実績は8件ございまして、隔離ほ場栽培承認申請日から商業栽培・輸入承認日までの平均期間は約2年3カ月でございます。しかしながら、直近の処分実績は1年9カ月でございます。また、これらによって実施できなかった特許権は、ここで「構造遺伝子」と書いていますが、構造遺伝子と申しますのは遺伝子組換え植物の表現形質との対応が比較的明確な対応の遺伝子ということになろうかと思いますが、そういうものについては下の表にありますサントリーさんのブルージーンと日本モンサントさんの除草剤耐性の遺伝子にかかる特許権、この2件が実績8件に対応する特許権、侵食された特許権として確認されてございます。それ以外に構造遺伝子の発現を増強するイントロンについて、モンサントさんのほうから2件出されております。こちらはカルタヘナ法の処分からは対応関係が必ずしも明確でないような関連特許という位置づけのものになろうかと思われますが、そういう実績がございます。 6ページに移らせていただきまして、次に2)商業栽培・輸入のための承認のみを行った実績についてです。先ほど内訳が2つあると申しましたが、1つ目の観点として既に安全性が確認されている遺伝子を複数組み合わせた植物の実績についてでございます。既に安全性が確認されている組換え遺伝子を複数組み合わせた植物の承認申請には、隔離ほ場試験を実施する必要は基本的にございませんで、25件の実績については申請されてから承認までの平均所要期間は約9カ月ということになっています。 そして、先ほど申し上げた1989年の農林水産省の「指針」に基づいて隔離ほ場試験の承認を得ていた植物は実績として41件ほどございます。しかしながら、カルタヘナ法に基づく承認が、この「指針」に基づく承認よりも厳格化されたという状況を考慮いたしますと、今回のカルタヘナ法に基づく承認について検討するに当たっては、これらの実績は考慮しないのがよろしいのではないかと考えます。脚注の17にございますが、実際の所要期間は2年未満であるということでございます。 それでは、「(2)延長制度の対象分野の条件を満たすかどうかの検討」のところを御説明させていただきますが、同じように前回のワーキング・グループから変わったところに下線を引かせていただいております。 まずA-1の条件ですが、「遺伝子組換え生物については、カルタヘナ法に基づく承認を受けなければ第一種使用等(拡散防止措置を執らないで行う使用等)が禁じられるため、その製造販売ができない」ということで、A-1の条件に適合してございます。 次に、A-2の条件ですが、「その承認申請には、未だ安全性が確認されていない組換え遺伝子を植物に用いる場合には、隔離ほ場試験等における実験データが求められるため、当該審査期間の短縮にも、安全性等の観点からおのずから限界があるものと、一部の分野においては認められる。」ということで、一部適合ということになっています。 そして条件A-3ですが、「植物について、承認実績は74件あり、カルタヘナ法施行以前に隔離ほ場試験の許認可を得て試験をしていたものを除くと33件ある。その内、既に安全性が確認されている複数の遺伝子を組み合わせた植物の承認実績25件について、隔離ほ場試験は必要とされず、それらの所要期間は平均9月であった。したがって、既に安全性が確認されている複数の遺伝子を組み合わせた植物については、医薬品と農薬と同程度の相当の期間がかかるとは認められない。」ということでございます。 次に、2段階の第一種使用等の承認を行った実績8件についての検証ですが、そちらの平均期間は2年3月となっています。しかしながら、先ほど申し上げましたように直近の実績が2年未満である点を踏まえますと、審査手続きの効率化も図られているという状況がございます。そして、第一種使用等の承認両方を行った実績に関連して、特許権の存続期間が実際に侵食されたことが確認できた事例は、構造遺伝子について2件、構造遺伝子の発現を増強するイントロンについて2件ございました。うち1件はその分割ということになります。そういう意味では具体的な事例が十分に存在していないということになろうかと思いますので、先ほど御説明しました2.の(2)(ロ)の観点、具体的事例が十分に存在しない場合でもその辺の見通しがつくかどうかというところを検証させていただきたいと思っております。 「しかし」以下ですが、社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)において、延長制度の対象とした場合の業界への影響が計り知れないため慎重な検討が必要であるという御意見をいただいております。そういうところを考慮いたしますと、遺伝子組換え植物について、具体的運用(例えば「物」を構造遺伝子とするのか等)――先ほど御説明させていただきましたが、延長制度は「物」と「用途」ということで、「物」をどういう対象にするかというところが非常に重要になってくる制度でございますが、その辺の「物」を構造遺伝子とするのか、それ以外の「物」にもできるのかというような検討ができる状況には今のところはないのではないか。そのため、処分と特許権の関係を示す上記具体的事例のみでは、「平均的に相当の期間がかかり、特許された発明が実施できないため、他の技術分野よりも発明の保護が著しく欠けている」ことを見通すために十分とは認められない。したがって、隔離ほ場試験が必要な植物についても、今後も常態的に承認に長期間がかかり、特許された発明が実施できないため、他の技術分野よりも発明の保護が著しく欠けている技術分野であるかどうか現時点では不明である。 なお、植物以外にはワクチンの承認実績が2件ございますが、初めての審査であったこと等の特異な事情もあるものであるから、今後も常態的に承認期間に2年以上の長期間がかかるかどうかは現時点では不明であるということで、A-3の条件を満たすかどうかは不明というふうに整理させていただきました。 そして政策的な観点、条件Bについての検証ですが、財団法人バイオインダストリー協会における検討によれば、遺伝子組換え植物の第一種利用等に係る処分を延長制度の対象分野とすることは、食料、環境・エネルギー分野のイノベーションの進展に大きく寄与するとして、特許権者の特許権を延長させる政策的な必要性が主張されています。しかしながら、植物のバイオテクノロジーにより関連の深いSTAFFにおいては、同じく遺伝子組換え植物の第一種利用等に係る処分により、将来、特許権が侵食される可能性があるため、延長制度の対象分野とすべきであるというような意見が現実にある一方で、特許権の存続期間が侵食された具体的実績が少なく、延長制度の対象とした場合の業界への影響が計り知れないため、慎重な検討が必要であるという意見もございまして、STAFFとしての意見の一本化には至らなかったという状況にございます。 また政策的な観点として国際的な観点というものもございますが、海外調査の結果、国際的にも遺伝子組換え生物に関する規制は延長制度の対象にされていないということが出ております。したがって、政策的な必要性は不明であるということで、政策的な観点Bは不明というふうにさせていただきました。 それで最終的な結論ですが、したがって、第一種使用等のための承認において、植物以外の遺伝子組換え生物については、今後、承認期間の実態が判明し、特許された発明が実施できないため、他の技術分野よりも発明の保護が著しく欠けていることが明確になり、かつ、延長の必要性が認められた段階で、再度検討することとする。 また、遺伝子組換え植物については、隔離ほ場試験を要するものについて、具体的運用(例えば「物」を構造遺伝子とするのか等)について検討できることが示されること等により、平均的に相当の期間がかかり、特許された発明が実施できないため、他の技術分野よりも発明の保護が著しく欠けていることが明確になり、かつ、政策的な必要性が認められた段階で、再度検討することとするという結論を御提案させていただいております。 説明は以上でございます。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございました。 皆様方の意見交換も踏まえてこういうふうにまとめていただきましたけれども、議論をいただきたいと思います 2つありますので、医療機器の分野、遺伝子組換え生物について、別々に議論をしたいと思いますが、まず薬事法に基づく医療機器の処分について、いかがでしょうか。御意見ございますでしょうか。 相澤委員、お願いします。 |
相澤委員 |
延長制度の対象の拡大につきまして、前から基本的な考え方を申し上げております。考え方として、具体例の積み重ねが必要であるとすると、常に後追い的立法になります。特許制度は将来へ向かってのインセンティブを与えるもので、発明を行う時点において、将来の収益についての予測可能性を与えることよって、その機能が働くことになります。具体例の積み重ねを待ってということでは、将来に向かって、十分なインセンティブを与えることができるのか疑問に感じます。 国際的な調和ということで、外国で立法されたら立法するということでは、政策的に後追い的なものになるります。期間延長に関しては、国際的調和についての議論がなされているものでありませんから、それを気にする必要はないのではないかと思います。 さらに、医療機器については、現に幾つかの例があると同時に、現在は医療方法が特許とならないため、医療方法を含む医療機器についての特許出願も認められていると思います。医療の進歩のために必要な重要技術もここに含まれています。こういう技術を対象とする特許権の延長を図らないことが、医療の向上のために悪影響を与える虞がありますので、十分に配慮がなされるべきです。 遺伝子組換え生物につきまして、実例が少ないことがあるのかと思いますけれども、今後成長を予見される分野であります。立証ができていないということを言っていると、立証ができたときには既に後進国になっている虞もありますので、前向きの検討が必要ではないかと思います。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 ほかにいかがでしょうか。 立証というふうにおっしゃいましたが、見通しを具体的に検討できるだけのデータがあるかどうかということで、事務局案では2ページの(2)の(ロ)でそういう考え方を書いて整理しているところです。見通しとしての立証は必要だけれども、具体的にすごく時間がかかることを示すデータが過去存在することが必要だとは言っていないということは申し上げておきたいと思います。 私のほうからのコメントですが、今回加わったところで4ページの医療機器のほうですが、「意見がまとまらなかったことから、特許権を延長させる政策的な必要性が不明である」というのは、ちょっと誤解を招くといいますか、業界団体で意見をまとめてくればそれでいいというふうに読めないこともない。この表現はなくてもいいのではないかと思いました。 ほかにいかがでしょうか。 医療機器のところは、考え方として将来永久にやらないということではなくて、最後の結論のところに書いてありますように「医療機器全体でなくても、客観的に明確に区分される特定の分野において上記条件を満たせば、当該分野のみを対象とする可能性も検討する。」と、そういう対応でワーキング・グループの結論にするということでよろしいでしょうか。 辻村委員、お願いします。 |
辻村委員 |
一つ質問ですが、医療機器の事例として挙がっている中で6年かかっているとのことですが、これは非常に異例なケースといいますか、個別事情が多くあって非常に時間がかかっているので、サンプルとしては適切ではないという表現ですね。私も内容がよくわかっていないのですが、そうであれば、現行の医薬品・農薬等の存続期間の延長のところで、例えば個別事情があって、それによって時間がかかりましたというときには、その個別事情によってかかった期間は延長期間の対象から外すとか、そういうことはあるんでしょうか。まことに素人で申しわけないんですが、質問でございます。 |
田村審査基準室長 |
まず1点目ですが、こちらは自家培養表皮といいますか、皮膚シートの案件でございまして、初めて再生医療材料についての薬事法上の承認を受けるものでございましたので、申請者のほうも実際にどういう手続きをやっていくかというところが不慣れだったところがございます。そして申請を受け付けたときも、データが足らないところは今後すぐに補充していきますという条件つきで厚生労働省さんも受け付けたらしいですが、実際は申請者が厚生労働省さんの御指導のもとにデータをちゃんと出すことができなかった。そういう特殊なケースであるようでございまして、審議会のほうでもこの辺の事情を説明した書類がつくられているところでございます。そういうことで申請者がちゃんとしなかった点もございますが、1件目で、ガイドライン等をあらかじめ用意しておくこともできなかったということで、非常にイレギュラーなケースではないかと考えました。 それから、医薬品については、農薬も含めてですが、20年前に期間延長制度をつくった際には、業界のほうから10年間の実績を全て調べ上げた状態で、こんなに特許権が侵食されたケースがございますというところをまとめて提出していただきました。確かにその中にイレギュラーなケースも多少は含まれていたのかもしれませんが、全体として見れば、だれが見ても揺るぎのないような侵食された期間が認定できるという状態で制度化されたという経緯がございましたので、その辺を御報告させていただきたいと思います。 |
長岡座長 |
ほかにいかがでしょうか。 |
中冨委員 |
今の承認までの期間というのは、最初の再生医療材料のほうは治験届けから6年ということですか。6年というのはどこからなんですか。 |
長岡座長 |
どこからどこまでかということですね。 |
田村審査基準室長 |
基本的には治験届けからということでよろしいかと思います。 |
中冨委員 |
先ほども話がありましたけれども、行政的になるといつも後追い的な話があって、最初の1~2例はすごくイノベーティブな仕事をやっているにも係わらず、その人たちが審査上の問題でいつも期間延長しなければいけないという状況に追い込まれるわけですが、その人たちに対して政策的に補助する意味でも、特許回復と直接関係することではないこともありますが、常に新しいことが継続されるわけですから、1~2例だからということで部分的な解釈はしないようにしたほうがいいと思います。結局、申請者側の問題ではなく、行政側の問題もかなり影響していて、新しいガイドラインをつくることにかなりの時間がかかってしまったというケースもありますので。今お聞きしますと、これは申請者側にかなり問題があったようですけれども、その当時はこの再生医療材料についてはだれも評価していなかったといいますか、評価される行政側もそういう立場にあったという話を私は実際に聞いたことがありますので、その点を加えさせていただきたいと思います。 |
長岡座長 |
それはおっしゃるとおりで、非常に新しい分野で、規制が必要な分野ですと、行政側も準備ができていないので、結果的にすごく時間がかかってしまうということはある。ただ、今の特許の延長制度がそれにうまく適合する形の制度設計になっていないところもありますので、その問題は、もし対処するとすれば、最初のほうで議論しましたようなパイオニア発明をいかに保護するかというところの議論になるのかもしれません。 そうすると、遺伝子組換え生物のカルタヘナ法については、ほぼ同じような状況という考え方で、今回は対象にはしないで、今後、政策的な必要性がもう少しはっきり認められた段階で再度検討するということになっておりますけれども、いかがでしょうか。 |
相澤委員 |
業界団体の意見の一致を見ると政策的な必要性があるというのは、判断手法として、おかしいのではないかと思います。新しい技術の開発をしているところもあれば、乗りおくれたところもでてくるでしょう。乗りおくれたところが消極的になることも想定されます。政策的な意見の一致がないということでは、我が国にイノベーションはなくなってしまうので、適切な議論ではないと思います。どうしたら全体としてもっとイノベーティブな世界になるかということが特許制度を考えるために必要です。先ほど、長岡座長から御指摘がありましたように、あたかも業界団体の意見の一致が政策の前提だというふうに受け取られるような表現は差し控えていただいたほうがいいと思います。 |
長岡座長 |
ほかにいかがでしょうか。 辻村委員、お願いします。 |
辻村委員 |
今回の結論に対して反対する気はないのですが、事例が少ないことと、どういう制度設計にするのかというところで、かなり課題が多いですね。カルタヘナに関しても結論に異論はございませんが、相澤先生からもお話があったように、存続期間の延長だけがイノベーションの進展に寄与するとは思いませんが、こういう先進的な技術は萌芽の段階から何らかの保護をやるべきであって、事例をたくさん集めてからというのでは遅いといいますか、少し乗りおくれるなということは否めない事実であろうと思います。 一番最初にも申し上げましたが、実際、植物の力というものは無限に近いものがございまして、欧米諸国、特にアメリカ等では非常な勢いで遺伝子組換え食品を開発している。これは何も食料だけではなくて、環境に対する浄化の問題やバイオマス・エネルギーの問題等でやっている。そういう中、日本国がこういう技術的なイノベーションをもっともっとやっていかなければいかんというのが、この議題が出てきた内閣府の知的財産による競争力強化専門調査会の意見であったと思います。そういうことを考えた場合には、事例がたくさん集まらないとだめだということはわかりますけれども、ある程度のところで踏み切っていくというやり方も大事ではないかと思います。 平均的な期間が2年云々ということもあるのですけれども、実際にカルタヘナ法で使用や実施が制限されることは事実でありますし、「ある一定期間以上の場合」という形での制限を設けることも導入当初の一つの手段であるのではないかということも考えられると思います。その辺のことも少し考慮していただければありがたいと思います。 それから、いろいろ意見がありましたけれども、業界団体ということで今回はSTAFFさんの意見が結構出てきていますけれども、コンセンサスをとるといいますか、全員一致はほとんど不可能に近いのが実情でございます。いろいろな業種・業界の方が入っていらっしゃるわけで、遺伝子組換えに関しては全く興味がございませんというところも非常に多いわけですので、そこでのコンセンサスが政策的な一つの必要な要件というふうに決めつけられては、少し課題があると思います。 それから、7ページで「審査手続きの効率化が図られている」と。1年9カ月というのはカーネーションの例でございますけれども、実際問題、確かに審査の効率化は進んでいると思いますが、植物の場合、植物の個体によって違うところが当然あるわけでございまして、一概にこれからどんどん効率化を図って短くなっていくというふうに言い切ることはできないのではないかと思っています。 以上、一言述べさせていただきました。 |
長岡座長 |
ありがとうございます。 ほかにいかがでしょうか。 そうしますと、業界団体の意見の収集の仕方といいますか、政策決定について意見のまとまりを条件とするように読めるようなところは直させていただきまして、また、先端的なところは時間がかかるということについて、この制度で対応することは難しい面もあるわけですけれども、その辺についても今後取り組むべく課題にするような形で少し修文をさせていただくということで、基本的には事務局提案にある方向でお認めいただきたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。 〔「はい」の声あり〕 |
長岡座長 |
ありがとうございます。 対象分野の拡大につきましては、こういうことでまとめさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 |
長岡座長 |
次に、医薬品の延長制度でございます。医薬品という比較的わかりやすい分野でも、対象を拡大しようとすれば制度設計がかなり大変だということがわかってきたわけですけれども、これについて議論をさせていただきたいと思います。 前回はDDS製剤を例にして議論いただきましたが、製薬協案も必ずしもよくわからなかったところがありますので、今回はもう少し具体化をしてまとめていただきました。そういうことで、最初に高橋委員から御説明をいただいて皆様からいろいろ御意見をいただきまして、その後、今後の医薬品分野の延長制度の論点整理に向けて、事務局から説明していただき、御議論いただきたいと思います。 それでは、高橋委員、よろしくお願いいたします。 |
高橋委員 |
それでは御説明させていただきますが、今回も前回と同様に、武田薬品で訴訟をやっておりまして、その代理人でもあります。ですから、これから御紹介する内容は、製薬協知的財産委員会の考え方を示すものであるということをお断りしておきます。 前回は時間がなかったこともありまして、製薬協案としての3つの案を並列に、漠然と御紹介するにとどまりました。今回は一つの案に絞って深掘りしております。その結果、結構難しいものだなということが実感としてわかってきております。それはこの後の資料3でも皆さんの御意見を伺いたいと思います。 2枚目ですが、これは前回御紹介したものに出典を加えております。もう一度確認しておきたいのですが、新規有効成分医薬品の成功確率が非常に下がってきております。これは我々企業の力が落ちているというわけではなくて、我々はアンメットニーズと呼んでいます。研究開発型企業は治療満足度の低い分野の医薬品に挑戦しなければいけませんが、その挑戦の難易度が非常に上がっていること、それから医薬品に対する信頼性の要求レベルが上がっていること等が理由として挙げられます。そのため、研究開発費も、ここでは500億円と書いていますが、現実にはもっと高いものもあります。1件で成功した事例で500億円と言っていまして、失敗といいますか、ここに至るまでに失った資金を考え合わせますと、少し古い資料ですが、例えばアメリカでは1件の成功した医薬品で850億円以上回収しないと次の研究投資に回せないという試算も出ているぐらいです。 ここでは、日本市場は新規有効成分を開発した企業がそのコストを回収するまでに、長期間を要する構造になっているということを御紹介しました。そういうことで、我々研究開発型企業にとっては、新規有効成分が十分に保護される制度がなければ、研究開発に挑戦する事業計画が立てられないということを、御理解いただければありがたいと思います。 3ページは今回新しく追加したものですが、この会合でテーマになっているDDS製剤などの改良製剤開発の関係で、物質特許というものがどれだけ重要なものかを御理解いただくために紹介したいと思います。 改良製剤、特にDDS製剤は、市場で従来製剤と共存はせず、むしろ従来製剤を駆逐するという性格を持っています。第三者の改良製剤は、出願から20年目以降の投下資本回収の機会を先発型企業から奪い、深刻な打撃を与える。自ら開発できればいいのですが、第三者が開発してくると、その有効成分のオリジネーターである先発型企業の製剤すら駆逐してしまうという性格があります。 本来、物質特許の排他的効力は、あらゆる効能・効果や製剤に及ぶものと考えられています。しかし、出願から20年後に与えられる延長特許の効力が第三者の改良製剤の出現を抑止できないのでは、物質特許の十分な期間回復にはならないと考えます。 先発企業が改良製剤で第三者に対抗するには、さらなる資本投下が必要となります。人員の配置、研究所の構成、そういったさまざまな投資が別途必要になります。このように、新規有効成分の開発投資に専念すべきときに、第三者の製剤開発への防衛に追われるような状況を招く制度は、医薬品開発のイノベーションを逆に阻害するのではないか。研究開発型企業の立場としては、このように申し上げたいと思います。 これは前回、前々回と事務局から提案していただいた案に対する反対意見の根拠として御紹介したものですけれども、事務局の案では、医薬品開発のイノベーションに最優先すべき物質特許の十分な回復がされず、逆に研究開発型企業の体力を奪って新規有効成分の開発が滞り、結果として、我が国医薬品産業の国際競争力の低下を招くことが心配されます。そういった理由から、物質特許の侵食された期間の十分な回復、これを製薬協は強く望みます。 4ページです。こちらは前回の資料にも入っていたものですが、若干修正しております。(1)では今申し上げたようなことが細かく書いてありますが、ここで特に申し上げたいことは、延長特許の効力を定めた68条の2の規定の「処分の対象となった物」を「有効成分」と読みかえることで、延長された物質特許の排他的効力をこれまで広く認めてきたというふうに説明されています。この効力の解釈に司法判断が下っていないので異論があるということは前に申し上げましたが、多くの製薬企業はその解釈を信じて事業計画を立ててきています。その範囲が制度改正で狭まるのでは大変困るのだということを前のスライドで説明しましたが、新しい制度では、この効力範囲の解釈が、条文の読みかえということではなくて、より明確に保証されるような制度設計になってほしいと考えています。(1)で追加して申し上げたいことはそういうことです。 (2)では、薬事用語を用いると安定した制度にならないということを述べています。前々回は「臨床試験」、前回は「新医薬品」という用語が、事務局案として提案されました。これを効力範囲に使われるのはとんでもないと今でも考えていますが、登録要件に使われる分には、前回御指摘があったように、薬事と密接に関係する制度ですので、やむを得ないこともあるだろう、容認したらという製薬協の一部意見もあります。考えてみますと、「新医薬品」は、薬事法第14条の4に一応の定義規定がありますので、定義規定のない「臨床試験」をさらに細分してどこまでと線を引くよりは明確かなと思われます。ただ、よく存じていないのですが、私の知る限り、その「新医薬品」の区分も常時見直されているという事実があるようです。この辺は、もし可能でしたら厚生労働省の猿田専門官からご紹介していただくことを希望するところですが、これは薬事行政の立場から常に見直されているので、文言としては明確ですが、果たしてそれか現実にどのような基準として使われるかということについては、現時点でも製薬協は疑問を持っています。 次のページは新しく追加したものです。この後で、具体的な製薬協案を事例も交えて紹介しますが、その製薬協案に至る制度設計の考え方を示しています。冒頭に書いてあるのは、前回御紹介しました南技監あてに製薬協知財委員会が提出した意見書の中で述べた方向、我が国の制度の優れた特徴を維持しつつ、さらなる改善を求めたいという方向を示しています。 この方向から、箱でくくりました3つの具体的な方向性が出てきます。1)新規有効成分の開発、追加効能の取得に強いインセンティブを与える現在の制度を維持したい。2)製剤特許発明に係る医薬品の承認にのみ新たな延長の機会を与えることによって、製剤技術の発明へのインセンティブを強化するということを方向として考えたいと思います。ここで一つ事務局案に対して意見を言っていますが、製剤特許がない場合でも、関連する特許全て(例えば物質特許、用途特許等)に延長の機会を与えるような特許庁案とは、この点で製薬協案は異なっています。製剤をカバーする別の特許がなければ延長しないということで、その点で異なっています。 なお、ここで確認しておきたいのは、「製剤特許」と言っていて、「DDS特許」とは言っていません。この後の資料3で御議論いただくところかもしれませんけれども、事務局案も製薬協案も、DDS製剤と通常製剤を線引きすることに成功していないと思っています。ですから、ここで「製剤特許」と言った場合にはDDS以外の製剤特許発明も入ってきます。ただし、製薬協案ではあくまでも、進歩性の基準をクリアした特許発明に係る製剤について延長の機会を与えます。ですから、極論すれば、製薬協案ではDDS製剤の承認でも、その製剤に特許がなければ延長の機会は認められません。この点はぜひ御記憶願いたいと思います。 3)延長の登録要件と、延長された特許権の排他的効力の範囲の解釈を明確にしたい。これは先ほど申し上げた「処分の対象となった物」についての解釈、ここを審査基準レベルではなく、条文あるいは政令、省令レベルでより明確にしていただきたいと考えております。 この1)2)3)に対応して具体的にどうするのかということを、矢印以下で述べています。1)から導かれることは、(1)現在の67条2項は改正不要。(2)「処分の対象となった物」と「用途」が効力範囲を限定する点は現行制度と同じ。(3)特許庁の現行運用どおり、「処分の対象となった物」は有効成分、「用途」は効能・効果としたい、このように考えます。 2)については、「(1)処分により実施できるようになった製剤発明を、処分に特徴的な構成要素で特定できるようにする。」と書いています。つまり、「処分に特徴的な構成要素」という言葉を新しくつくる。これまでは「処分の対象となった物」と「用途」の二つで区別してきましたけれども、さらに製剤の違いを把握するためにもう一つ、「処分に特徴的な構成要素」というものをつけ加えます。これが製薬協案の一つの特徴です。第3の要素を入れました。しかし、この結果、二次元の世界が三次元になったような形で、整理が非常に難しくなっている部分があることは認めざるを得ないと思います。それから、先ほども言いましたが、(3)には、新医薬品の処分である等の要件が登録要件として入ってもいいと思いますが、本当に効果のある要件なのか、事務局から分析結果を示していただきたかったのですが、今回はそれがないようですので残念です。製薬協では、「新医薬品」という登録要件を加えることによる効果は、延長を認める機会を別途特許発明がある場合とすること以上に効果があるとは考えておりません。ですから、積極的に「新医薬品」という要件を入れる案にはなっていないということです。 3)は、先ほど来申し上げているとおり、登録要件と効力範囲の規定を明確化する改正を行ってほしいということを言っています。 いよいよ製薬協案の考え方ですけれども、次のページにまいります。 登録要件については、(1)「処分の対象となった物」と「用途」のいずれかが「最初の処分」の場合には、現行の運用と同じとしています。 次に、(2)ですが、この2つ目が「先の処分と同一の場合」と言って場合分けしているように見えます。しかし、製薬協案は場合分けをしていません。ただ、理解を深めていただくために、ここに現行の運用と同じ部分があることを御紹介しています。問題の「処分の対象となった物」と「用途」が先の処分と同一の場合、どうするのかということですが、ここで「処分に特徴的な構成要素」という考え方を持ち出してきます。この「処分に特徴的な構成要素」は(1)の場合も同じようにあります。ですから、出願する場合の願書の記載は、項目として「処分の対象となった物」、「処分に特徴的な構成要素」、「用途」、この3項目をもって処分を特定することになります。ただし、(1)の場合には、「処分に特徴的な構成要素」に、例えばですが、「特に制限なし」と書くことになります。これによって物質特許を最初の承認で延長する場合に、製剤、ここで言えば「処分に特徴的な構成要素」で限定されないような延長効力が得られるような登録を得たいと考えています。 それから、(2)の1)ですが、延長を求める特許発明が、先の処分で実施できるようになっていないこと。これは当然の話だと思います。 3)は「「処分の内容」が、当該特許発明において最初の処分であること」と書いております。「処分の内容」というのは、その下に書いてありますように、「処分の対象となった物」と「処分に特徴的な構成要素」の組み合わせで定まるものとします。この処分の内容同士の比較において「最初の処分であること」という要件を設けますが、結局これは、3)に矢印で書いてありますように、「延長を求める特許発明が、先の処分で延長された特許発明の範囲に含まれていないこと」を担保することになります。この事例は、後ほど仮想事例の中で御紹介したいと思っています。 登録要件の「処分の対象となった物」、「用途」、「処分に特徴的な構成要素」、これらはいずれも願書に記載する事項として掲げるという趣旨です。そのように願書に明記され、出願人が記載する項目、これらによって効力範囲が定まるというのが製薬協案の効力範囲の考え方です。ここに「延長された特許権の排他的効力の範囲は、登録された「処分の内容」と特許発明との重複範囲である」と書きました。「重複範囲」というのは正確ではなくて、「処分の内容」で定められた事項で限定されるという意味です。先ほど言いましたように、「処分に特徴的な構成要素」が有効成分と効能・効果について最初の処分であれば、特に制限なしと書くことも可能ということになります。いずれにしろ、効力範囲は、願書に記載され登録されたものとして公報に公示された内容、それでもって定まるというふうにしたいと考えています。 3番目のその他ですが、1点目として、登録出願は登録特許権ごとに行いますが、登録要件は請求項に記載される特許発明ごとに審査されることを望みます。どういうことかと言いますと、後ほど事務局からも紹介されると思いますが、製剤の特許発明には、その製剤成分について択一的に記載された構成要件、発明特定事項が多く含まれます。本来ならばそういったものをばらばらに別の請求項に展開することが可能なのですが、それを一つの請求項に書くことができるようになっているのが現在の制度です。それらはあたかも特許発明の束と考えることができます。製薬協としては、延長登録要件の審査は、この束をほぐして特許発明ごとに見てもらいたいというのが、その他の1点目で書いてある趣旨です。仮に請求項ごと、あるいは特許権ごととすれば、分割出願して登録を多数求めるような実務になろうかと思います。そういったことを避け、結果として延長登録出願の多発を防ぐためにも、特許発明の束はそれぞれ個々の特許発明ごとにほぐして見ていただきたいということを書いています。 「仮想事例1」ですが、この事例は技術的には全く意味がないもので、例えばとしてごらんいただきたいと思います。 既存の医薬品(錠剤)で、有効成分a1、効能・効果は鎮痛剤で、製剤成分としてトウモロコシデンプンを使っていると仮定します。今回承認された医薬品は経口DDS製剤で、有効成分、効能・効果は同じ、製剤成分としてトウモロコシデンプンを含有するポリマーXを使っている。そして延長登録出願しようとする製剤特許のクレームはこの3つあります。 そして、願書で特定される「処分に特徴的な構成要素」、これを製薬協案では出願人が任意に決めることができるように考えています。例えば(1)水溶性賦形剤を含有するポリマーX、これが処分されたと出願人が考え、延長を求めようとすれば、そのように書く。あるいは(2)トウモロコシデンプンを含有するポリマーXで処分を受けたと考えれば、そのように書くということです。 その結果として、審査は、(1)の場合、請求項1、請求項2、請求項3の全ての特許発明が延長される。もちろん有効成分a1についてですが、そのように考えます。(2)としたときは、具体的なトウモロコシデンプンという選択がなされています。そのため、請求項3で択一的に記載されているトウモロコシデンプンまたはバレイショデンプンのうちの、トウモロコシデンプンを含有するポリマーXが、上位概念の水溶性賦形剤の中から特に選択されて延長が求められたのだというふうに考えます。後日の改良型バレイショデンプンを用いる徐放製剤、経口DDS製剤が処分され延長される可能性を出願人が考えた場合には、出願人の意思でこのような選択も可能だという事例になっています。 そして、延長された特許権の効力は、当然のことながら、(1)では水溶性賦形剤という大きなくくりで、延長された特許発明の技術的範囲が限定されます。(2)の場合は、延長された特許発明の技術的範囲は、トウモロコシデンプンを含有するポリマーXという技術内容で限定されることになります。 仮想事例2」です。さらに続いて、新たにバレイショデンプンを含有する経口DDS製剤が承認されたとします。既存の医薬品はトウモロコシデンプンを含有するポリマーXです。つまり、事例1と事例2はつながっています。 今回の延長対象の製剤特許は、事例1と同じとしますが、請求項3ではコメデンプンがさらに追加されています。今回の場合、願書で特定される「処分に特徴的な構成要素」は、バレイショデンプンを含有するポリマーXと限定せざるを得ない状況になります。 なぜかと言いますと、請求項1及び2に記載される特許発明は、事例1で紹介した経口DDS製剤を技術的範囲に含んでいるため、登録要件(2)の1)によって拒絶されることになります。請求項3は、事例1で「処分に特徴的な構成要素」をトウモロコシデンプンを含有するポリマーXと特定した場合に限り、今回、請求項3で延長の機会が生まれます。先ほど事例1の中で赤字で書いていたところがそれに該当します。つまり、事例1でトウモロコシデンプンを含有するポリマーXに特定していた場合に限り今回の承認で延長できるという要件は、先ほど説明いたしました3)の登録要件で担保されていることになります。 したがって、今回その限定された条件下で延長される特許権の効力範囲には、当然のことながら、延長された特許発明の技術的範囲にバレイショデンプンを含有するポリマーXという限定が入ります。 これをさらに図面でイメージ化したものが9ページの図になります。ここでは処分1、処分2、処分3というケースをつくりました。ここであわせて指摘したいことを最初に言いますが、処分1は新有効成分含有医薬品「A」と考えます。この後、カプセル剤を錠剤に変えただけの処分2、剤型追加に係る医薬品「B」という事例を設定します。錠剤に変えただけの医薬品ですが、私の知る限りでは、承認取得時期によってはこれが「新医薬品」に該当する場合もあるのではないかという疑問があります。つまり、処分1に対して与えられた再審査期間の期間内で錠剤の申請をして承認を取得した場合、あわせて再審査期間が付与され、昨年のガイドラインの「新医薬品」の区分のところを見ますと、もしかすると「新医薬品」とされてしまうのではないかと考えます。ここは、後ほど猿田専門官にコメントをいただければありがたいと思っているところです。次に処分3、これは経口DDS製剤として新剤型医薬品「C」と呼ぶもので、これは「新医薬品」と考えられると思います。 前回も同じような表を出しまして、処分3に基づく延長で処分1や処分2に効力が及ぶ延長がされないかという御心配をいただきましたが、この図を見ていただくとおわかりのとおり、処分3で延長される特許権の効力は、処分1、処分2には及びません。それは断言できると思います 大分時間が超過しましたが、最後のページです。第三者から見た製薬協案の特徴を4点挙げておりますが、有効成分と効能・効果が同じ2回目以降の処分によって延長された物質特許の効力範囲が変動することはありません。次に、先に処分された医薬品をその技術的範囲に含む特許発明は既に実施が可能となっているため、有効成分と効能・効果が同じ後の処分で延長されることはない。2回目以降の処分で延長される範囲は、先に処分された医薬品を含まない「最初の処分」の範囲なので、後の処分で延長された特許権の排他的効力の範囲が先に処分された医薬品に及ぶことはない。そして、登録要件や効力の範囲を定める規定が明確になるということで、第三者に予期せぬ不利益を与えることはもちろんなく、現在よりも明確になる制度であるというふうに言えると思います。 資料2を使っての御紹介は以上のとおりです。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 では、今の御説明につきまして御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。 |
熊谷委員 |
私自身、少し体調等を壊していたこともあり、資料もあまり読み込んでいませんので、見当違いなことを申し上げるかもしれません。私の頭が悪いのだと思いますが、前回より理解がかなり困難になっているようなところもあると思いますので、幾つか質問させていただきます。 前回もお話ししたかと思いますが、資料の4ページで弊害があるということを抽象的におっしゃっているのですが、具体的にどのような弊害があるのか、いまひとつよくわかりません。 それから、今回の制度設計を拝見していますと、登録要件をどう考えるのか、延長対象をどのように考えるのかということと、延長された場合の効力をどのように考えるのかというのが何となく混同されているような気がします。私が理解できないだけなのかもしれませんが、現在の制度で考えていくと、物質特許の延長後の効力等について何らかの影響を考えていかないと、新たにDDS特許について延長対象とすることは難しいのではないかと思います。現行法においても、DDS特許は延長対象にはなっているかと思いますが、物質特許が延長された場合の効力との関係で延長が認められていないわけですから、何らかの影響が出てくるということが今回の案でどう整理されているのか、よくわかりませんでした。 それと少し気になったのは、仮想事例は技術的に見て意味がないとのことでしたが、やはり具体的に延長登録されるような事例で挙げないと意味がないのではないでしょうか。例えば仮想事例1でも、既に物質特許があって、延長がされている場合、9ページの事例がそれに近いのかもしれないのですが、あまり現実的ではない仮想事例で議論をしても、空振りになってしまったり、場合によっては一番の論点のところが十分に議論されないことになるのではないかと思います。 また、私が説明を十分に理解していないのだと思いますが、例えば9ページで処分3、(3)の製剤特許、これは「処分2および処分3のいずれでも延長されることはない」と書いてありますが、逆に(4)と(5)については延長されるということになるわけですが、その違いがこの仮想事例から十分に説明できているのかどうか、私の理解が足らない部分もあると思うのですが、後で個人的でも結構ですので、御説明いただければと思います。 以上です。 |
長岡座長 |
基本的な御質問をいただいたと思いますので、高橋委員、いかがでしょうか。 |
高橋委員 |
いっぱいいただいておりますので全部答えられるかどうかわかりませんが、まず仮想事例は技術的な意味がないと申し上げたのは、このように混ぜてもDDS製剤がつくれるわけではない、実際の技術を示したわけではないということを申し上げただけで、製剤特許の様子はあらわしているのではないかと思っています。 それから、4ページで物質特許の排他的効力の範囲が縮小すると困るという具体的な事態は、その前の3枚目でご紹介したとおり、これは一つの例ですが、改良製剤が出て、有効成分のオリジネーターである先発型企業の製品が市場から追い出されてしまうということ、それをもって具体的にお示ししたつもりです。もっと具体的にとおっしゃるのであれば、具体的な医薬品の名前とか、そういったことをお示ししたほうがよろしいのかどうか、それは御教示いただければと思います。 それから、物質特許の効力範囲が今と同じで製剤の延長が認められるような制度は難しいのではないかという熊谷先生の御指摘だったと思います。それは、中身がゼロというケースもありますけれども、「処分に特徴的な構成要素」といった考え方を取り入れ、3つの次元から処分を見るということで整理したと考えておりますが、それでは不十分とおっしゃるのであれば、その御意見をお聞きしたいと思います。 それから、9枚目のイメージ図で、(4)と(5)の経口DDS製剤の発明、これは処分3で初めて実施可能になっていますので延長されますが、(3)の製剤特許、これらは残念ながら登録になる前の処分1の段階でこの発明の実施が可能になっていますので、この特許が延長される機会は失われているというふうに考えております。ここの説明は省略しましたが、そういうことをお示ししたかった図であります。 以上でお答えになっていますでしょうか。 |
長岡座長 |
最初の3ページにつきましては、DDSの特許が新しく延長されるときに、物質特許が延長されないと利用関係にならないということですね。全くの第三者でも自由に物質が使えるようになる。そうしますと、最初に物質を開発した人がかなり大きな打撃を受けると、そういう意味ですね。 |
高橋委員 |
そうです。 |
長岡座長 |
それで、9ページの場合は、利用関係はないわけですね。9ページの場合はどういうことになるのでしょうか。 |
高橋委員 |
どれとどれの利用関係でしょうか。 |
長岡座長 |
延ばされる(4)と(5)ですが、これは物質特許は延ばされていないわけですね。私も十分に理解していないかもしれませんが、そういうことですね。 |
高橋委員 |
延びていません。 ただ、物質特許の効力は、物質aと鎮痛剤という用途でくくられた範囲で延長がありますので。 |
長岡座長 |
延長があるわけですね。 |
高橋委員 |
それは処分1に基づく延長です。 したがって、この効力で、その下の(3)(4)(5)、これが第三者であれば利用関係が出てくる、それは確かです。 |
長岡座長 |
そういうことですか。 いかがでしょうか。 |
猿田厚労省専門官 |
高橋委員から御質問のございました点、4ページの「新医薬品」についての定義ですが、薬事法第14条の4第1項第1号に規定がございます。その中で、「既に製造販売の承認を与えられている医薬品又は医療機器と、医薬品にあっては有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が、医療機器にあっては構造、使用方法、効能、効果、性能等が明らかに異なる医薬品又は医療機器として厚生労働大臣がその製造販売の承認の際指示したもの(以下医薬品にあっては「新医薬品」と、医療機器にあっては「新医療機器」という。)」としてございまして、申請者の考えと厚生労働大臣(行政側)の指示が明らかに異なる場合。先ほど委員がおっしゃったように申請時と国からの指示が違うという話がございましたが、今まで「新医薬品」として定められてきたものは、前例を鑑みて判断をしております。 9ページにまいりまして、先ほど高橋委員から処分1と処分2について、カプセル剤と錠剤で、再審査期間がついたものがあるというお話がございました。こちらの図では、カプセルと錠剤で似たようなところがございますが、実際の申請事例を確認しなければ詳細なことが申し上げられない場合がございます。ただ、用法・用量、効能・効果等は同じであっても、一カプセルあるいは一錠あたりの分量が違うなど、そういった場合に再審査期間付与される場合がございます。その点につきましては調査いたしたいと思います。 以上でございます。 |
長岡座長 |
御説明どうもありがとうございました。 |
高橋委員 |
再審査期間がついたかどうかということよりも、先に承認を受けた医薬品の再審査期間の残余期間に含まれる分類が最近作られているのではないか。したがって、それも「新医薬品」のグループに入る場合が出てくるのではないかと理解しているのですが。 |
猿田厚労省専門官 |
新医薬品等の審議の際に、例えばカプセル剤が先に承認され、次に錠剤の製剤が申請された場合に、どれほどの期間の再審査期間を付与するかといった判断の際、場合によりますが、仮にカプセル剤の承認から錠剤承認に至るまでの期間が1年しかたっていないのであれば、錠剤の再審査期間については、カプセル剤の再審査期間の残余期間とするという判断もございますし、カプセル剤の承認から4年とか5年経っていた場合に、錠剤としての安全性を一定期間確認する必要があるという判断に至った場合には、残余期間とせず、期間を定める場合もございますので、事案に応じて判断をしているところでございます。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 登録要件にできるかどうかということと効力の範囲を決めるということと両方あったと思うのですけれども、もともと「新医薬品」の考え方が出てきたのは、新医薬品の場合は効果がかなりあるだろうということのほかに臨床試験等でかなり時間がかかるのではないかということもあったと思うのですが、そのあたりのデータは厚生労働省のほうであるのでしょうか。 |
猿田厚労省専門官 |
はい。 |
長岡座長 |
それはまた次回にでも御報告させていただくことができるのではないかと思います。 時間も押してきましたので、特許庁のほうでまとめていただきました「論点整理にむけて」を説明させていただきまして、それをベースに、必要でしたら、また質問等を高橋委員のほうにさせていただきたいと思います。 それでは、事務局のほうからよろしくお願いいたします。 |
田村審査基準室長 |
お手元の資料3「医薬品分野の延長制度を検討するための論点整理にむけて」というペーパーでございます。 第3回ワーキング・グループの資料6において、現行制度は、特許権者と第三者の利益の調和を配慮した制度と言えること、また、その現行制度の基本的な考え方を踏襲している第3回ワーキング・グループで事務局が提出させていただきました資料2の案も上記調和を配慮した制度と言えることを御説明させていただきました。そして、上記案の問題点として、本日も製薬協さんのほうから御説明いただきましたが、効力規定が不安定であること、また物質特許の延長された効力の及ぶ範囲が現行制度よりも制限されることは新有効成分を開発するイノベーションを阻害する可能性があること等の問題点が指摘されたという状況にございます。 一方、第3回ワーキング・グループにおいて、上記案のほかに、DDS等の製剤技術にのみ特徴のある処分を延長制度の対象とするための案として製薬協案が御紹介されまして、この製薬協案が前回の議論を踏まえて明確化され、本日御提示いただいた次第でございます そこで初めに第3回ワーキング・グループにおける議論を整理した後、この製薬協案を検討するとともに、製剤技術にのみ特徴のある処分を延長制度の対象とする場合の検討課題、こちらは製薬協案のみならず製剤技術を期間延長の対象にする際の留意点のようなところを少し整理させていただいております。 まず1.は前回の議論の整理でございまして、こちらは前回の議事要旨から抜粋させていただいております。順次読ませていただきます。 延長制度は、他の法規制と密接に関連するので、当該他の法規制の考え方を、登録要件に持ち込む必要はあるものの、効力規定には持ち込まないほうがよいのではないかという御意見がございました。 それから、延長制度の登録要件として、薬事法上の「新医薬品」のように、効果が大きくかつ長い臨床試験を要するものに限定する必要があるのではないかという御意見。 また、過去の処分で特許発明の実施が可能となっている場合には、後続の処分によって延長されるべきではない。 また、DDS製剤に関する特許権を延長できるようにする場合には、当該DDS製剤以外には延長された特許権の効力は及ばないようにすべきである。 それから、延長制度の対象となる処分及び当該処分に関連のある特許権について議論するときには一般的な条件を明確にして、他の業界、技術分野とのバランスも考慮し医薬品分野のみに適用できる特殊な制度とならないようにすべきではないかという御意見。 最後に、現行制度の枠組みを大きく変えて、延長される特許権の数が大幅に増加される場合には、延長される特許権の数や回数、あるいは処分と関連する特許権の特定の仕方について議論する必要があるのではないかというような議論がございました。 2ページにまいります。こちらの整理がこれで正しいかどうかわかりませんが、2.では製薬協案と現行制度の比較という形で1)から4)まで整理させていただきました。1)として、実質的に(a)有効成分と効能・効果のいずれかが「最初の処分」の場合と(b)そうでない場合に分けた制度案となっているという点がございます。また2)として、「最初の処分」として、有効成分、効能に加えて「処分に特徴的な構成要素」という考え方が追加されている点。そして3)として、延長登録要件に、特許権が「先の処分(過去の処分)で既に実施できるようになっていないこと」が追加されている点。そして4)として、薬事法上の「新医薬品」にも該当しない、制度導入時には対象とされていなかった、相当の期間のかからない処分まで含む、全ての医薬品の処分を対象としている点で相違するということでございます。そして、2)の「処分に特徴的な構成要素」は、出願人が任意に選択できるとされているということでございます。 製薬協案と現行制度が相違する1)~3)の点は、前回ワーキング・グループの議論も踏まえて、製剤技術を延長制度の対象とするためにいろいろ工夫が必要な点というところでございまして、まず製剤技術が有効成分と効能・効果とは異なる性質を有することによるものだというところを整理させていただいたのが3.でございます。 現行制度において「最初の処分」を特定する有効成分及び効能は、通常一つの発明からなるため、一つの医薬品を保護する物質特許あるいは用途特許は一つである。一方、製剤技術は、複数の発明の組み合わせであることが多いため、一つの医薬品を保護する製剤特許は複数存在するということでございます。 A4横の1枚紙で参考図面がございますので、こちらを見ていただきたいと思います。中心にある赤い楕円で囲まれた「有効成分A」、欧米ではここを中心に「最初の処分」を考えているわけですが、その場合、基本的に特許権は物質特許が一つあるという対応関係でよろしいかと思われます。そして、そこに20年前の現行制度を入れる際に、有効成分だけではなくて医薬用途も「最初の処分」としてみましょうということで、青い楕円のところに広げて現行制度をつくらせていただいたということですが、こちらも用途については基本的な対応関係は1対1対応というのが割とわかりやすい制度であった。ところが、今回、製剤技術を期間延長制度の対象にしますと、医薬品Xの構成成分としては、安定化剤B、ポリマーC、化合物D、さらにはこういう粒径等の構成要素も入ってまいりますので、製剤技術は、対応する特許権が特許権3)にございますように、「酸に不安定な有効成分A用の安定化剤B」という形で医薬品Xの構成要素を少しつまみ出したような形での特許権、さらには特許権4)にあるような化合物Dと有効成分AとポリマーCと粒径造粒品を組み合わせたような特許権がございます。また、特許権5)を見ていただきますと、「有効成分A、安定化剤Bを含む口腔内崩壊剤」というふうに、製剤特許の場合は化合物の組み合わせで明確に記載される場合もあれば、こちらのように医薬品Xの口腔内崩壊剤といった機能的な表現が入ってくるような特許クレームもあるということで、従来の有効成分、効能・効果に比べれば、取り扱いがバラエティに富んでくるところが留意点としてございます。 2ページに戻りますが、そういう製剤技術についての「最初の処分」の特徴と製薬協案の検討課題でございます。 (1)、これは現行制度になろうかと思いますが、有効成分あるいは効能についての「最初の処分」というものを考える場合、薬事法上の処分は医薬品そのものについての初めての製造・販売を承認するものであって、医薬品そのものについての「最初の処分」でございます。 次に、現行制度のように上記処分が有効成分あるいは効能についての「最初の処分」であるかどうかは、過去の処分と比較して確認する必要がございますが、有効成分と効能・効果については、1)にございますように、新有効成分医薬品あるいは新効能医薬品の医薬品の区分が薬事法の処分において明確であることと、過去の処分の有効成分と効能は現実に公開されていますので、そこを第三者が確認することはたやすい状況にございます。 そして(2)ですが、有効成分あるいは効能についての「最初の処分」を受けることが特許発明の実施に必要であった特許権を特定することも、割とたやすくできるという状況でございます。 (3)製剤技術についての「最初の処分」の特徴ですが、薬事法上の処分は、先ほども申し上げましたように、医薬品そのもの、すなわち有効成分以外に医薬品を構成するあらゆる成分を含めた形の医薬品そのものについて「最初の処分」であるものの、製剤技術について「最初の処分」であるかどうか、すなわち一部の構成要素が過去の処分と比較して最初であるかどうかを比較するというところは、2)に書かれていますが、下記5.に示すとおり公開されていない部分もあるため、確認することが非常に難しいという問題点がございます。 さらに(4)ですが、製剤技術についての「最初の処分」を受けることが特許発明の実施に必要であった特許権かどうかを判断する際には、上記3.のとおり、製剤技術は複数の発明の組み合わせであることが多く、特許クレームの表現方法がさまざまあることから、製剤技術の一部を特定した製剤特許などが複数存在します。その中で、「医薬品そのもの」を特定した特許権は、上記(3)のとおり初めて特許発明の実施ができるようになったというふうにたやすく確認できるわけですが、製剤技術の一部を特定した製剤特許については、上記処分によって初めて特許発明の実施ができるようになったかどうかを確認することは難しいということでございます。 そこで(5)製薬協案の検討課題でございます。繰り返しになりますが、製薬協さんの案は、「医薬品そのもの」を延長の対象にするのではありません。延長の対象を「医薬品そのもの」としない理由は効力として非常に狭い範囲になるという問題があるということです。2段落目以下に書いていますように、製剤技術の一部を「処分に特徴的な構成要素」として出願人が任意に選択できることとして、薬事法上の処分のうち、有効成分と上記「特徴的な構成要素」を「処分の内容」と定義して、製剤技術の一部を特定した特許権を延長するようにしているものと理解されます。 しかしながら、上記(4)のとおり、製剤技術の一部を特定した製剤特許については、上記処分によって初めて特許発明の実施ができるようになったかどうかという判断は非常に難しい。そのため、有効成分、効能及び「処分に特徴的な構成要素」の組み合わせについて「最初の処分」であるかどうかは、その製剤特許と過去の処分とを比較しなければいけないわけですが、過去の処分の製剤技術は、下記5.に示すとおり公開されていない部分もあるため、確認することができない可能性がございます。 過去の処分と比較することの問題点が書かれてございますが、薬事法上の処分のうち、添加物、顆粒等の粒径等は、企業秘密として開示されないことがあり、製剤技術について過去の処分と相違することを確認できない場合があるため、実際に過去の処分と比較することを制度化することは極めて困難ではないか。一方、特許権と過去の処分の比較をしないと、特許権を延長する機会が複数ある場合には、特許権者が任意の処分に基づいて延長出願することができるため、第三者にとって、参入時期が急遽延長されることによる不測の不利益が発生するおそれがあるのではないかということでございます。 6.でその他の製薬協案の検討課題を挙げさせていただいております。 まず(1)として、薬事法上の「新医薬品」にも該当しない、制度導入時には対象とされていなかった、相当の期間のかからない処分まで含む、全ての医薬品の処分を期間延長の対象としてよいのかどうかという点。 (2)として、製剤特許を全て延長できる制度案になっていますが、当初はDDS製剤の議論から始まっておりますので、製剤技術全般を期間延長の対象とするのか、あるいはDDS製剤技術のみなのかというところを少し御議論いただく必要があると思われます。 (3)として、ここは高橋委員のほうから、分けたつもりではなくて、わかりやすく御説明させていただいただけということではございましたが、見た目には、現行制度の(a)有効成分と効能・効果のいずれかが「最初の処分」である場合と(b)既に処分がおりていて、それ以外の部分の製剤技術に特徴があるような場合とで場合分けすることについて、どのように考えるべきか。 5ページに移りますが、さらに(4)、「処分に特徴的な構成要素」は、出願人が任意に選択できるとされているが、特許権の構成から上記構成要素を選択した場合に、薬事法上の承認との対比が困難な場合があるのではないか。それは、薬事法上の承認の前提となる製造承認申請書には、有効成分及び効能・効果については必ず記載しなければいけないわけですが、薬事法上の観点から重要でない製剤技術の場合は承認申請の中で特定されない場合がございます。しかしながら、特許制度的には重要なものもそこに含まれているということで、そういう製剤特許について、薬事法上の処分との対応関係を考えるというところは今後の課題になろうかと考えます。 以上5点を7.にまとめさせていただきましたので、繰り返しになりますが、読ませていただきます。 今後の検討課題といたしまして、過去の処分で既に実施できるようになっているかどうかを確認することが極めて困難であることについて、どのように考えるのか。これは第三者の不測の不利益というところが絡んでくるかと思われます。 それから、「新医薬品」の定義は変わっていますが、承認を受けるために臨床試験等が必要な、相当な期間のかかるようなもの以外の処分まで延長制度の対象にするのかどうか。 さらに、延長制度の対象に追加するのは、DDS製剤以外の製剤特許全般とするのがいいのかどうか。 そして、特許制度上、特許権の扱いを有効成分と効能・効果のいずれかが「最初の処分」の場合とそうでない場合に分けることが制度的にどうなのか。 そして、薬事法上の観点から重要でないものを本質的な部分とする製剤特許が存在し得るが、このような場合、製剤特許と薬事法上の処分の対応関係についてどのように考えていくのか。 以上のような点について、今後、論点整理をさせていただいたほうがよろしいのではないかというふうに事務局では認識させていただいております。以上でございます。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございました。 時間の制約もありますが、今の事務局の御説明に関連して、御質問あるいは御意見はございますでしょうか。 では、相澤委員、お願いします。 |
相澤委員 |
議論がそれてきたような気もしないわけではありません。DDS製剤その他のいわゆる製剤技術が治療に当たって非常に有益な効果を生むということで、これが医療の進歩につながるので、これをきちんと保護していく必要があるし、特許期間も延長する必要があるということが議論の始まりだったと思います。そうしますと、きょうの製薬協さんのペーパーでは、DDS製剤等の重要性という議論がやや欠けているのではないかという感じがします。基本技術も重要であるけれども、DDS製剤その他の技術が非常に重要であるから、厚生労働省では効能・効果があるかどうかについての試験も行われているし、期間の侵食も起きるのだから、その回復が必要ということなのではないかと思います。 有効成分である物質の開発者が、DDS製剤技術などの開発によって、効力がある程度制限を受けることになると困るという議論については、同調しかねます。なぜかと言うと、自分で技術開発をしたわけですから、DDS製剤技術などを開発していく場合も有利な立場に立っているはずです。仮に、他社によってDDS製剤技術が開発されるとしたら、さらなる開発を怠っていたか、パテント・ポリシーがよくないということではないかと思います。それを制度の問題にするのはいかがなものかと思います。DDS製剤等の技術の重要性という議論のはじめに戻って考える必要があるのではないかと思います。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 ほかにいかがでしょうか。中冨委員、お願いします。 |
中冨委員 |
私も非常に似た意見です。製薬協の御説明をいただいた中で、「最初の処分」なら延長可というのがひっかかってくるのは、先発メーカーに有利な発想であるなという思いが私はどうしてもぬぐえない。 それから、本来ならDDS製剤が違う物質で新たな物質だということで認識できれば簡単なことですけれども、そういうふうにいかないわけですね。ですから、先ほどポリマーとかデンプンがありましたけれども、簡単なる材料の大きな傘の特許があって、そういう大きなものの概念をとっていって、それをさらに延長できるというふうになると永遠に続く可能性がある。我々はどこで新しいDDSと言っているかと言うと、前からお話ししていますように、成分そのものが有効成分の薬物のシステムから放出が変わったり吸収が変わったりすることによって体に対する治療の効果が変わる。副作用低減も含めて、変わるわけです。そういう治療上の有益な基をもたらす技術なわけです。そこが新しい概念としてとらえられているわけで、そこを何かよい言葉でつなげればいいのではないかと思いますが、この議論をやっていくとどんどん深まっていって、いろいろなことをお話ししていかなければいけない。高橋委員そのものも皆さんに説明するのに、いろいろなことを提案されていいとは思うのですが、かなり難しくなってきたなという感じがぬぐえないですね。したがって、もう少しシンプルにできないかということを私も意見させていただきます。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 どうぞ。 |
中村委員 |
時間がないので短く申し上げたいと思いますが、本日結論を得るのは当然困難で、これから時間をかけて議論していかなければいけないと思います。これから議論する上で、お互いそれぞれの関係者がこれだけは守ろうという指針と言葉の明確化が必要ではないかと思っています。 最初の指針ということに関しましては、物質特許の排他的効力の範囲を「実質的に」拡大させないということを確認したほうがいいのではないかと思っています。現在、薬価制度改革も含め、安価で良質なジェネリック薬品の普及が議論になっています。さらに、先発品の薬価に関し、エグゼンプトということが議論されています。その中で、「実質的な」拡大をするということは避けなければならないことであると思っています。 それから、製薬協の案にある「薬事行政に左右されない『安定』な制度」という言葉の明確化が必要です。製薬協案にある「出願人が任意に特定した『処分に特徴的な構成要素』」という言葉があると、逆にかなり不安定になるのではと懸念しています。あるいは、日米欧の薬事行政が違うのでそもそも特許制度が違うという製薬協側の意見は、逆に言えば薬事行政が変わると特許制度も変わっていいのかという議論になりかねないと思います。どこまでなら薬事行政に左右されてもよいのか、どこまでならいけないのか、また安定という言葉の定義・意図はなにかを明確にしておかないと、いろいろ混乱が起きるのではないかと思います。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 それでは、高橋委員、お願いします。 |
高橋委員 |
まず相澤委員にポートフォリオが悪いと叱られました。確かに力不足のところはあると思いますが、全てに対して目を配ることはできないのが現実です。 そして今、中村委員が物質特許の権利を拡大してはならないとおっしゃいました。我々は拡大を望んでいるのではなくて、本来あった20年間、ここで他分野ともバランスがとれているはずです。それが存続期間の性質ですから。その20年間が侵食されているものを回復したいと言っているにすぎません。その回復は本来の物質特許の効力であるべきだと考えています。ですから、何か誤解されているのかなと思います。 それから、事務局から資料3が出まして、あたかも製薬協案について非常に問題が多いように示されていますけれども、製剤特許を延長する場合は、同様の問題が特許庁案にも出てくるということを確認させてください。決して製薬協案だから出てくる問題ではありません。それを申し上げたいと思います。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 ほかにいかがでしょうか。 佐藤委員、お願いします。 |
佐藤委員 |
いろいろな問題があると思うのですけれども、基準さえきっちりしておれば問題はなくなります。前から申し上げておりますけれども、例えば当局の要請とかで追加された効能により、延長されたものが、果たして延長制度の中でイノベーションと言えるかどうかなんです。そういうものを製薬協さんのほうも案として幾らか取り入れてくだされば、もっとすっきりしたものになるかもわかりません。我々の業界としては、基準をわかりやすくして頂きたい。臨床試験といいますか、処分の対象とされる内容、延長の対象となる期間、そういうものを例えば2年以上にするとか、質の高い臨床試験を伴った効能追加とか、そういうふうにしていただければ少しはわかりやすい。製剤特許でも当然でございますが、そういうものが伴いさえすれば意外とすっきりするのではないかと考えます。以上です。 |
長岡座長 |
ありがとうございます。 田中委員、お願いします。 |
田中委員 |
簡潔に感想を申し上げます。 従前から行われている有効成分と効能・効果という切り口に加えまして、製剤あるいは剤型という切り口をもって特許権存続期間の延長制度を見直そうというアプローチをする以上、その2つの切り口は次元の異なる切り口でございますので、これを組み合わせて議論すると、今までの整理とは変わってくるわけで、すっきりと整合しないのはむしろ当然であろうという感想を持っております。結局は、制度全体のバランスをどのようにとるかが重要でして、例えば、2つの切り口による延長を単純に重畳的に適用しますと、従前の制度下で延長されていた部分の一部が、更に二度三度と延長されることになるのではないかというような疑問があると同時に、その懸念を避けようとすると、物質特許の延長に関する保護が従前よりも薄くなってしまうというように一部が逆方向に振れてしまうという問題が生じるのであろうと思います したがって、いろいろな案を検討するにしても、ここで原点に立ち返って、今回は何をねらって法改正をしようとしているのか、ターゲットを明確にして、そのためにはどうするのが一番いい案になるのかを考える必要があろうと思います。先ほど述べましたように切り口の次元が異なることも考えると、完璧な案を見いだすことは、恐らく無理だと思いますので、どのように改正するのが今後に深刻な問題を残すことなく、かつ、当面の必要性をクリアする案になるのかといったところを探るほかないのではないかと思っております。これまでいろいろな案が出ていますけれども、製薬の専門家でない者にとっては極めてわかりにくい部分を含む議論状況になっております。この案によって改正するとこういう結果になるのだというところを、できるだけ具体的にわかるように示していただくと有り難いと思います。議論の対象としている案によれば、将来に残される問題も少なく、容認し得る案であるということで納得がいけば、その案に賛同できるのだろうと思いますが、そのあたりがまだ明確でなく、その案で果たしていいのかという漠然とした心配がございますので、今直ちに結論が出せない状況にあるというのが感想でございます。 以上でございます。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございました。 わかりにくい案というのは何か問題がある場合が非常に多いわけでして、そういう意味でも基本に戻って、目指すべきことを考える。そして将来的な課題としてはほかの分野に適用していくということも考えておりますので、全体として簡明で、しかもフレキシビリティに富むようなものになるようにという観点で、本日いただきました論点も含める形で次回までにもう少しきちんと整理して議論させていただきたいと思います。 そういうことで次回引き続き議論をさせていただくことにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。 |
中冨委員 |
どういうビジョン、スケジュールなのか。このまま続けていても、どこまで行くのか、わからない気がします。ですから、どのぐらいでゴールを考えておられるのか、そこら辺を決めていただかないと……。これでだめになってしまうと、我々は何のためにディスカッションしたのか、わからないことになりますので、そこら辺をお聞きしたいし、もし今でなければ次回のときに決めていただきたいと思ったんですが。 |
長岡座長 |
いつまでにできるということは難しいかもしれませんが、少なくとも今後のスケジュールについて事務局から説明させていただきます。 |
田村審査基準室長 |
次回の日程はまだ立っておりませんが、6月上旬をめどに委員の皆様の御予定を伺って、後日、事務局より具体的日程を御連絡させていただきたいと思います。6月上旬まで大分期間がございますし、ワーキング・グループの場で議論してもなかなか詰まってこない、さらには専門的なところはなかなかわかりづらいところですので、事務レベルでいろいろ詰めさせていただきたいと思います。そして、事前レクという形だけではなく、ある程度論点整理をしたところで委員の皆様方には事務局のほうから個別に御意見を伺いに行かせてもらったりして、できるだけ論点が整理できた時点で次回をやりたい。そういう意味で、次回には先のめどが御報告できるような形での招集させていただく方向で一生懸命やらせていただきたいと考えていますが、それでよろしいでしょうか。 〔「はい」の声あり〕 |
長岡座長 |
では、そういうことで事務局のほうも頑張るということでございますので、よろしくお願いいたします。 それでは以上をもちまして第4回特許権の存続期間の延長制度検討ワーキング・グループを終わりたいと思います。 本日は大変ありがとうございました。 |
[更新日 2009年4月24日]
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特許庁調整課審査基準室 電話:03-3581-1101 内線3112 |