ホーム> 資料・統計> 審議会・研究会> 産業構造審議会> 産業構造審議会 知的財産分科会> 特許戦略計画関連問題ワーキンググループ> 第1回特許戦略計画関連問題ワーキンググループ 議事録
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(本記事作成:特許庁総務部総務課制度改正審議室)
高倉調整課長 |
皆さん、おはようございます。まだ何人か遅れていらっしゃる方がいるかもしれませんが、定刻になりましたので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会の第1回特許戦略計画関連問題ワーキンググループを開催いたします。私は、事務局を務めさせていただきます調整課の高倉と申します。よろしくお願いいたします。 |
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〔「異議なし」の声あり〕 |
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高倉調整課長 |
ありがとうございます。 |
高倉調整課長 |
それでは、長岡先生、一言お願いいたします。 |
長岡座長 |
一橋大学イノベーション研究センターの長岡です。非常に重要なイシューで、こういうグループの座長ということで大変僭越に思っておりますけれども、御指名ですので引き受けさせていただきました。かなり短期間に非常に重要な事項、場合によってはかなり確実に、特許法の改正等につながる事項の審議をやる必要がありまして、皆様方の活発な御参加をいただいて効果的な議事ができるようにと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 |
高倉調整課長 |
ありがとうございました。 |
長岡座長 |
本日は第1回のワーキンググループですので、まず、事務局から委員の皆様の御紹介をお願いいたしました。 |
高倉調整課長 |
お手元に座席の配置表、メンバー表等ついていると思いますが、委員の先生方をあいうえお順に御紹介させていただきます。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございました。皆様よろしくお願いいたします。 |
長岡座長 |
議事に入る前に、小野特許技監から一言ごあいさつをお願いいたします。よろしくお願いします。 |
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小野特許技監 |
特許技監の小野でございます。 |
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長岡座長 |
どうもありがとうございました。 |
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〔「異議なし」の声あり〕 |
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長岡座長 |
ありがとうございました。 |
長岡座長 |
では、早速、議題に入りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 |
高倉調整課長 |
お手元に資料があると思います。まず資料の確認ですが、クリップをはずしていただきますと、資料1は本日の議事の次第、配付資料の一覧表でございます。それから資料2、先ほど御紹介させていただきましたが、このワーキンググループの名簿でございます。それから、資料3と4はこれから御説明いたします。資料3については、このワーキンググループの設置の経緯並びに今後の検討の課題、具体的な内容ということであります。資料4は、現在特許庁が進めております迅速かつ的確な審査のための具体的な措置、それから、特許戦略計画、知財推進計画等において今後さらに検討することが要請された事項についてまとめた資料であります。特に不足等はないと思いますが、もしありましたら事務局の方に御連絡、御指示してください。 |
原山総務課長 |
少しお時間をいただいて予算関連の説明を補足したいと思います。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございました。 |
安念委員 |
プリミティブなことを伺いますが、任期付審査官の給料も特許特会から出るんですか。 |
原山総務課長 |
さようでございます。 |
安念委員 |
それなら、文句を言われる筋合いはなさそうなものですね。早く審査を済ませて、特許査定するものは早く特許査定を出して、年金をがんがん稼ぎます、そこから出すんですから文句を言わないでください、と言えばよさそうなものじゃないかなと。素人の考えですけれども。 |
原山総務課長 |
ありがとうございます。全くそれに類似の、しかも1日増えても、また将来は減るわけですから、長期的に見れば問題は極めて小さいではないかということを私どもは主張してきているわけであります。それに対して、総定員法を守るという立場からは、一旦少しでも緩めると同じような手法で公務員がどんどん増えてしまうんじゃないか、任期付きなら、例えば今は治安の問題等ありますけれども、警官その他も含めて任期付きの警官でやったらいいじゃないか、それならば総定員法の外だということでできるのか、というところの議論がおそらく政府でもまだついていないと思うんです。 |
長岡座長 |
ほかにいかがでしょうか。 |
高倉調整課長 |
1ページの審査請求件数のグラフを見ますと、確かに座長御指摘のとおり、西暦2000年がピークで25万件、なぜここはこれだけ増えたのかというのが第1点の御質問というか御意見だったと思いますが、企業の方もいらっしゃるので企業の方の御意見も伺いたいんですが、我々の一つの見方としては、3年請求を導入することがこの当時決まりまして、もちろんこの段階では7年請求の時代なんですが、企業の方のお話によれば、3年請求の制度が始まれば、3年以内にそれなりの吟味をし、請求もしていかなければならない。したがって、7年請求のものについてもできれば、前倒しという表現はこの場合は適切でないのかもしれませんが、きちんと7年請求のものについて前倒しして、早い段階で吟味し、知財部においてもマンパワー、資金面で限りがあると思いますので、少し早目に請求しておこうかと。そして3年請求に立てば、もう少し1年当たりの請求件数が増えてくるという前提で、少し前倒しをしたというのが1つの理由ではないかというふうに、その当時企業の関係者から伺ったことがあります。そうでないという見方があれば、ぜひ委員の方から御指摘ください。 |
長岡座長 |
どうぞ。 |
江崎委員 |
企業の立場でちょっと質問なのですが、ページ数2の登録率、これは審査部段階なのか、審判も入れた値なのか、どちらですか。 |
高倉調整課長 |
審査部です。ちなみに計算としては、特許査定件数プラス拒絶査定件数を分母に置いて、分子に特許査定件数です。 |
江崎委員 |
わかりました。実際私どもの会社で申し上げますと、審判の比率が随分高くなってきておりまして、全体を見た登録率はそれほど変わってないんですが、その中で審査段階での拒絶査定の比率は極めて高くなり、登録率は落ちてきています。ただ、最終的に登録まで見ますと、余り変わっていない状況にございます。そういう意味では、審査部の方は的確な審査ということでかなり厳しくなってきていて、それから、審判の方は若干やさしいというところが少しあるのではないかと思います。全体の効率を考え、庁として審査・審判も含めてどうであるかということも考えなければいけないだろうと思っております。 |
長岡座長 |
秋元さん。 |
秋元委員 |
今の件ともう一つ別な質問がございますけれども、私どもの業界は非常に出願件数は少ないんですが、それでも出願件数の増加という意味で考えると、遺伝子関連の出願、あるいは遺伝子の構造が解析されてから、弊社の場合もほぼ出願件数は倍増しております。ただ、審査請求そのものについては、まだ審査請求するしない段階のものもありますけれども、とにかく出願することを一刻も早くしないといけない、それから、件数もふえていますから調査等もおろそかになりまして、とにかく出願はふえている。ただ、全体の数から比べて見れば微々たる問題かと思います。 |
長岡座長 |
浅見委員。 |
浅見委員 |
この中の資料、最初の御説明にもありましたが、特許制度小委員会で議論した話も大分たくさんあるかなと思っておりまして、質問ということだったんですけれども、私としては、このワーキンググループではどこから議論すればいいのかなと。つまり、さっきの図を拝見していても、もう1年前ぐらいから何回も見た図がたくさん出てきていて、要はここでは何を議論するのかという焦点がちょっとわかりにくくて、何か時計の針を戻されたという感じが強いんですけれども、どこから議論していけばよろしいんでしょうか。 |
長岡座長 |
では、お願いします。 |
高倉調整課長 |
幾つかコメントしたいんですが、1点、江崎委員の御発言の中に、審査・審判で基準が違うという話が多少あったんですが、その点については我々としても十分かみしめないといけないところがあります。ただ、1つ指摘しておきたかったのは、審判請求の際に、当然特許請求の範囲の補正等が行われておりますので、そのことが特許率を高めているという点も多分にあると思いますので、その点はひとつテイクノートを議事録の方でしていただきたいと思います。 |
江崎委員 |
発言の仕方が、説明が不十分でしたので、庁に対して誤解を与えるようなことがあってはいけません。追加させていただきます。おっしゃるとおりで、現実には補正をかけて、さらに減縮した形で審判に持って行っているということで、審査の機会を1回ふやしているというのが比較的高いということでもございます。 |
高倉調整課長 |
それから、秋元委員の御質問というか問題提起なんですが、出願人が事前に先行技術調査機関等を使って、あるいは自らやった場合も含めてかもしれませんが、その場合の減額措置についてこの委員会で議論する課題かどうかという点ですが、その点についてはむしろ各委員からの提案を待ちたいと思っておりまして、我々としては必要があればぜひ議論していきたいと思っております。ただ、それがすぐにできるかどうか、実行できるかどうかという点については、そういった調査を行う調査機関が世の中にどのくらいあるのかどうか。例えば出願が今40万件あり、請求が20数万件あるわけですが、仮に全部にそれを義務づけた場合に、それを受け入れる調査機関が我が国にあるのかどうか。ないとすれば、どのようにして育成していくかというアクションプランをつくり、実行していくことを並行してか、あるいは段階的に進めないといけないので、直ちにはなかなかできない問題と。ただ、その方向性としては、当然ここでも議論していただくことは可能だと思いますので、他の委員の意見も伺いたいと思っております。 |
浅見委員 |
ということは、例えば小委員会の方でも、アウトソーシング機関みたいなものの検討をしてはどうかみたいなアイデアも出たんですが、それを今回は、具体的にいろいろなものを形にしていくという一歩踏み込んだ議論をするということで、前の議論を戻すということでは決してないということですね。 |
高倉調整課長 |
ありません。 |
浅見委員 |
それを確認したかっただけなんです。 |
長岡座長 |
相澤委員、お願いします。 |
相澤委員 |
浅見委員の御質問と若干関連するんですが、昨年、迅速化に対して制度的に対応するということで、料金改定を行いました。そのときに、審査請求期間の実質的な延長のようなより効果のある対策を見送ったわけで、そのような対策はとらないという前提になるだろうと思います。そうすると迅速化の抜本的な対策としてとれるのは、審査官をふやして、アウトソーシングを増やすという審査能力の拡充と、実用新案制度の活用ということになると思います。実用新案法の改正については実用新案のWGでやるということで、検討に値する問題でここで扱えるのはどれだけあるのかという感じがします。 |
高倉調整課長 |
補正の制限、分割の緩和については、まだ十分な定量的な評価はやってないんですが、直観的には、補正の方は審査の効率に多少寄与するかもしれませんが、分割の方はどれだけ寄与するかというのか、たしかクエスチョンマークがつくと思います。ただ、いずれにしても分割の方は、スピードアップの問題よりは、出願人の戦略的な特許取得をサポートする。そのことによって戦略的な創造的な発明を促して競争力の強化につながるという視点で、分割については考えたいと思っております。 |
長岡座長 |
いかがでしょうか。 |
安念委員 |
調整課長が大分前に、何か刷り物をつくれという御注文をいただいたようなんですが、済みません、ちょっと外に行っておりまして、メールをきのうの夜遅くに拝見したものですから、こんなになってしまって。と言っても、時間かけてもこれ以上になりはしないんですが。私の考え方はものすごく単純なんですが、先ほどどなたかから御紹介があった、早ければいいのかいという御批判もあると思うんですが、早ければいいんだよというのが私の考えでございます。要するに、基本的には審査期間それ自体は単なるコストに過ぎない。それはだれにとってもそうです。出願人にとっても、ライバルにとっても、社会全体、つまり第3者にとっても、みんなそうだというだけのことでございます。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございました。 |
秋元委員 |
全然反対するものではなくて、むしろ原則的には賛成なんです。ただ、私がいつも言っているのは、早いという意味と的確という意味と両方ありまして、例えば医薬品業界の場合、よそは別としても例えば弊社の例を出しますと、グローバルに年間4,700億円売れているような製品に対しても、特許は10件ないんです。物質特件は1件です。そうすると、的確じゃないと、一たん権利が付与されてしまってそれが間違った形であったとしたら、ものすごい影響が出てくる。そういうことで早いことは非常にありがたいんですが、ぜひ的確に審査してほしい。これについて例えば審査官をふやすどうのこうのとは別にして、非常に専門性の高いところについては、何らかの方法で裁判と同じように的確な審査ができるような形を提言したいと思っております。 |
長岡座長 |
どうぞ。 |
菊池委員 |
二年前になるのですが、特許がどのように社会経済、とくに、マクロ的な国民経済に影響を及ぼすのか。GDPはどのように変化するのか。物価は、金融は、雇用は、さらに、輸出入、技術貿易はどうなるのか。特に、特許経済の中で、特許出願は増えるのか、保有件数は減るのか、未利用特許は、ライセンス契約はなどと色々な問題を分析するためのモデルを作ったのです(特技懇No.217に掲載済)。今回、事務局の方から、少し資料をということだったんですけれども時間がなくて、昨夜久しぶりに動かしてみて、3つの論点を見つけ出しました。安念先生と今秋元さんが言ったことに、ちょっと疑義を差しはさむ可能性もあります。 |
長岡座長 |
どうぞ、江崎委員。 |
江崎委員 |
安念先生のおっしゃった意見、全く同感でございます。そのとおりだと思います。ただし、菊池先生もちょっとおっしゃったんですけれども、国際産業力という視点でこの制度を見ていくべきではないかと思います。そういう意味では、これを上げるために、逆に言うと日本の中だけで特許が異常にふえると、日本をベースにしている企業にとっては、決して有利ばかりではないと思います。そういう意味では、海外を含めてどう考えるかということだと思います。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございます。 |
竹田委員 |
私は化学、医薬品業界に属しておるものですから、そちらの立場からお話させていただきたいと思うんですが、今大体審査請求して、特許になるのは平均30カ月ぐらいだと思います。そういうことで言うと化学品業界、医薬品業界が、審査を早くしてくれという意向はないと思うんです。今の審査の実情に大体満足しているということだと思います。 |
長岡座長 |
どうぞ。 |
牧野委員 |
私は訴訟に長く携わって、今も携わっておりますので、特許の審査の迅速性はもちろん必要であるし、それについては先ほど安念委員がおっしゃったとおりだと思います。ただ、訴訟の場から見ておりますと、的確な審査がなされて、だれからも問題が出ないような権利をつくっていただく。そうすると紛争も少なくなります。これはどうしてもつぶせない権利だと、こういう発明が権利になるのならこれは納得します、ということで訴訟になる前の事前の交渉等で紛争は片づく。 |
長岡座長 |
どうぞ。 |
秋元委員 |
今の御意見等に絡んで、先ほど私が言いましたのは、的確、他の条件が同じならという前提ですから、決して早期審査だけに賛成という意味ではないのと、もう一つは、的確な審査を特許庁さんの方にお願いしますけれども、最初の私の発言と絡みますが、企業の側として先行技術の調査をきちっとやっておれば、審査も十分それと連動してうまくいくと思うんです。先ほど言いましたように1品目で数千億円売れるというものについては、例えばそういう研究テーマをやるテーマ設定の段階、中間の段階、製品の直前の段階について、アウトソーシングの会社を使い、内部の調査グループを使い、膨大な調査、権利判断を実はやっているんです。そういうことであれば、そういう資料を踏まえて出願すれば的確な審査も十分やっていただけるのではないかと思いまして、出願人の側についても、それだけの先行技術調査にコストをかけてやっているところもあるし、そうではなくて出願だけしているところもあるので、この辺については、料金その他等も先ほど言いましたようにお考えいただきたいというのが私の意見でございます。 |
長岡座長 |
どうぞ、大西委員お願いします。 |
大西委員 |
先ほど牧野先生が言われた、こんなものが特許になるかという関連なんですけれども、私弁理士として仕事を受けるときに、確かにそういうのがあるんです。逆に言いますと、クライアント側から、こういうものが通っているからこれでも通るんじゃないかという相談を結構受けることがあります。そういう場合、自分の感じとしては、こんなものが通るわけがないと思うんですが、それが特許になっている。それに類したもの、類したものとは言わないんですけど、これが通るからこれは通らないんじゃないかという断言はできないわけなんです。これはちょっと難しいからという話はするんですけれども、それでもいいから出してくれと言われた場合、我々代理人としては出願せざるを得ないという状況もあります。だから、出願件数がふえる、審査請求件数がふえるという実情はあるかと思います。 |
長岡座長 |
どうぞ、相澤委員。 |
相澤委員 |
どうも今までの日本の制度の議論であると、正確さの議論はよくされるんだけれども、迅速化の重要性についての議論はあまりなされていない気がします。時間がかかっても正しければいいという議論が強い感じがします。時間がかかることもコストを生むということも着目する必要があるだろうと思います。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 |
安念委員 |
的確か時間かということなんですが、これも他の条件が同じであれば、多分トレードオフでしょうな。しかし考えてみると、一昔前は裁判も、牧野先生もいらっしゃるところで何だけれども、かかりましたよね。今1年でやっているが、昔は3年ぐらいかかっているのが普通だったと思うんです。じゃあ、3年間やっていると3倍精密にやっているかというとそうじゃなくて、みんなたくさん事件を抱えているから、結局、ああ、あしたこれの期日だったかとか言って、その記録を前の日に読むわけですわ。弁護士も裁判官も。つまり、3年だろうが1年だろうが1月だろうが、かけている時間そのものは、まあ半日なわけですよ。私は審査と裁判と同じだと申し上げる気はないけれども、人間のやることだからそんなに違わないんじゃないかという気がするわけです。つまり、かけている実時間は結局変わらないということだろうと思うんです。短くするということは、かけている時間は同じなら、おしりは切られた方がいいなという、それだけのことでございます。 |
長岡座長 |
それに先行技術調査をちゃんと出願人がするかどうか、これはトレードオフがなくて先行技術調査をちゃんとやれば、早く審査もできるし、的確な権利になるという、必ずしもトレードオフでない施策もあるのではないかと思います。 |
渡部委員 |
いろんな立場があって、私はもともと企業におりましたので、多くの皆さんが、早ければいいってもんじゃないという感覚はその当時はそのとおりだと思っていたわけですが、その後、ベンチャーとか、シコー技研さんというのはベンチャーのあれになるんでしょうか、きょうは欠席されているので、国際競争力とかいろんな観点に加えて、ベンチャーとか資本力、特に特許のマネジメント力が必ずしもないところと大企業との関係において、この迅速化がどういうふうに影響するかということが一つの大きな論点ではないかと思います。 |
長岡座長 |
江崎委員、お願いします。 |
江崎委員 |
今まで権利者の立場で御議論されている場合が多いわけですけれども、私どもの業界で言うと、特許と商品の形がそれほど直接的ではないといいますか、非常に多くの特許がかかわっている。それがすべてにわたって有利であるという状況では決してないわけです。全体で見て有利な場合であったとしても、何らかの特許の問題が出てくるということです。そういう意味では権利になるかならないか非常に不安定な状態で、長くそのままあるというのは、投資するかどうかという判断をするに当たっても大きなリスクを背負うことになります。そういう意味でこのリスクをどれだけ回避できるかという意味では、基本的には迅速である必要があるのではないかと思っております。 |
長岡座長 |
どうぞ、石田委員。 |
石田委員 |
皆さんも発言されていますので、私も。実はこういう会議に出るのは初めてで、余りよく勉強しておりません。私は30年間、特許明細書をつくって、特許にするまでの仕事を主として生業としておりまして、余りこういうことはいたしてないんですけれども、先ほどのお話で「迅速かつ的確」という表現がございまして、ここへお伺いするまでは、迅速が非常に大事なのかなというつもりで参りました。今聞きますと、的確がどうしても大事なんだよという御意見は当然のことでございますが、あるわけです。 |
長岡座長 |
どうぞ、浅見さん。 |
浅見委員 |
私は、先ほどから皆さん「的確な」という言葉を何回も使われるんですけれども、本当にその議論はどこまで突き詰めていいのかなというのは、昔も不適切な審査もあったでしょうし、今でもあるでしょうし、昔から適切に審査しようとしたでしょうし、今でもしようとしているんだと思うんです。多分それほど審査官のマインドとかスキルが急に変わることはないんじゃないかと個人的には思っています。というのは、早く審査しろということを言われて随分時間がたっているわけですが、最近の審査率を見ていれば、実際には拒絶されているものがたくさんふえているわけです。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございました。 |
大西委員 |
審査の質の問題なんですが、審査官の拒絶理由は、特許を否定するものがなければ特許するという形、拒絶する理由がなければ特許するというスタンスだと思うんですが、その場合に我々は先行技術調査をやるんですが、これに該当するものがないというのを探すのは非常に難しいんです。あるというものが当たれば、それであるということで簡単なんですけれども、そうすると調査する範囲、対象をどこまで広げるか、そこによって審査の迅速化、時間がどれだけかかるかというところが影響されると思います。 |
長岡座長 |
いかがでしょうか。まだ少し時間はありますけれども、特にこの時点で今まで言い残したこととか、あるいは今まで議論されてないことでこういう問題も今後議論すべきだとか、そういった点も含めて何か特段の御発言がありますでしょうか。 |
竹田委員 |
先行技術のことが問題になっていますが、我々企業が研究開発のテーマを選ぶときには、当然、先行技術、その分野にどんな特許が出ているかは、調べてから研究開発に入っていくというのが普通なわけです。したがって、審査の途中で拒絶理由に引かれるというのは大体わかっているか、あるいは全然わからないものに引かれたとしたら、調査が悪かったわけで、研究開発をやっている人のミスになるわけです。 |
竹田委員 |
当たり前のことをやってないから問題になっているんじゃないですか。 |
江崎委員 |
もちろん調査はやっております。これは前提として全件きちっと個別の案件もやっておりますし、それから、研究開発の中で本格的にやるかどうかという前提に立ったときに、他社とどういう状況にあるかということも特許的にも踏まえてちゃんと分析し、その上でやります。ただし、よそがやっているからやらないということではないものもございます。それは薬品と違いまして1対1の関係にあるわけではございませんので、ある部品に使うといったら、それはクロスライセンスもできれば、いろいろな状況があります。 |
竹田委員 |
特許にならなくてもいいとして、闇雲に研究開発するということではないのでしょう。 |
江崎委員 |
それは全然違います。したがって、我が社の場合はそれなりに利益を得ていると判断しております。 |
竹田委員 |
たくさん出願件数を出しているところが、一番合格率が悪いというのはおかしいと思うんです。 |
菊池委員 |
一つだけよろしいですか。この1月に700社ぐらいの回答を得られました、調査を実施しました。特許の使い方と研究開発費の関係を調べてみました。700社のデータを並べてみますと、意外と大きな1,000億円を超えるようなR&G規模を持っている企業は、多分先行調査もきちんとやって上手に使われている。しかし、全く何の道もなく使ってませんという特許が大体23%ぐらいある。むろん、企業戦略のリスク管理から見て、稼働率が100%ということはあり得ないんです。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 |
渡部委員 |
企業の方の話で言えば、この中に書いてあるんですが、戦略性を評価するための指標の公表、いろんな指標を公表するというのは、反対するとかしないとかではなくて、もう全部やったらいいんじゃないかと思うんです。現実にいろいろなケースがあって、それこそさっきの電機メーカーの中には、ノルマ制をしいていたために、先行技術調査や何かに対するコストを余りかけずに出願を多くやっていて、その結果として米国の特許登録率が落ちて、そういう指標を見ながら改善してきています。そういう意味では特許庁でお持ちのデータがあれば、全部出しちゃいけないということは多分ないと思うので、どんどん出していただければ皆さんのためにもなるんじゃないかと思います。 |
長岡座長 |
では、活発な御意見、どうもありがとうございました。本日、各委員からいただきました意見につきましては、事務局で整理し、次回以降の審議に反映していただきたいと思います。 |
長岡座長 |
最後になりましたが、今後の日程について事務局の方からお願いします。 |
高倉調整課長 |
御議論いただきまして、ありがとうございました。スケジュールの説明に入る前に今後のまとめの方向について一言コメントしておきますと、今日の議事録をもう一度振り返りながら皆さん方の御意見をまとめたいと思っておりますが、そのポイントとしては第1に、いろんな御意見はありましたけど、大多数の方は的確性第一に、それは審査は早い方がいいと。少なくとも待っている時間は短かければ短いほどいいという点の確認はなされたと思います。 |
長岡座長 |
それでは、次回はそういう日程で開催させていただくということで特に御異議ございませんでしょうか。 |
[更新日 2003年11月7日]
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