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第9回特許戦略計画関連問題ワーキンググループについて

(本記事作成:特許庁総務部総務課制度改正審議室)

平成16年7月21日
特許庁

7月21日(水曜日)10時00分~12時00分に、産業構造審議会 知的財産政策部会 特許制度小委員会 第9回特許戦略計画関連問題ワーキンググループ(座長:長岡 貞男 一橋大学イノベーション研究センター教授)が開催された。
第9回特許戦略計画関連問題ワーキンググループでは、特許発明の円滑な使用に係る諸問題(その4)並びに補正制度及び分割出願制度の見直しの方向性(その2)について検討を行った。

1.審議内容

(1)事務局等による説明

委員より、「学術・研究活動/国際標準に障害となる特許発明の活用方法」について説明が行われた後、事務局より、配付資料に沿って、欧州司法裁判所(ECJ)における強制実施権に関する事例及びアジア諸国における強制実施権制度の概要の紹介並びにこれまでの議論で出された主な意見を整理した「裁定実施権についての論点整理」について説明を行った。さらに、事務局より補正制度及び分割出願制度の見直しの方向性について説明を行った。

(2)自由討議等

事務局等による説明に続いて自由討議を行ったところ、委員からの意見の概要は以下のとおり。

(裁定実施権制度について)

  • INTERPATの中では、リサーチツールについては、フェアな条件で、非排他的かつ非差別的にライセンスすべきという意見が多い。
  • 産業及び学問の発展の観点から障害となるような特許については、公共の利益という観点から、裁定により強制的に実施権を付与する制度(裁定実施権制度)による対応可能性を考えるべき。
  • 国際的に強制実施権でリサーチツールや標準化の問題を解決しようという合意が得られていない段階で、日本だけが制度改正や運用変更をするのは問題ではないか。
  • 炭疽菌やエイズの話は国家非常事態の問題であり、標準化やリサーチツールと同列に議論することはできないのではないか。
  • 一般論としては、「裁定実施権についての論点整理」の内容はそのとおりだと思うが、パテントプールは通常より低い実施料率を設定していることなど個々の事情も考慮すべき。
  • 権利者の不当な権利行使ではあるが独禁法の規制がかからないような狭間におかれた事例について裁定が必要ではないか。
  • 裁定実施権制度の運用の変更又は制度改正については、条約適合性の観点からもっと検討すべきではないか。
  • 標準化について、特許庁が合理的な実施料率を明確にすることは難しいと思うが、標準化団体で決定することはできないのか。
  • 合理的な実施料率は、本来は標準化団体で決定すべきだが、現在の標準化団体では決定しようという動きはない。
  • 最近では標準化団体がパテントポリーシーをきちんと議論するようになってきているので、実質的にはそちらで解決できるのではないか。
  • 新しい裁定実施権制度を作るのではなく、現在ある裁定実施権制度の運用要領の中で取り上げてもらうことはできないか。

(補正・分割出願制度の見直しについて)

  • シフト補正については、現状では数も少ないので、制限しなくてもよいのではないか。
  • 同一発明について分割を認めると、制度が悪用される点については、別途手立てを講じれば済むのではないか。
  • 同一発明について分割を認めると、国際標準のパテント・プール等において、権利の水増しによる弊害が生じることが懸念される。
  • 現行の出願公開制度の下でのCIP制度の導入は、手続きが煩雑になる割に日本の出願人のメリットは大きくないのではないか。
  • CIP制度の導入に関して、化学、バイオ等の分野ではニーズが大きいが、その場合でも、グレースピリオドの延長とセットでないとメリットはないのではないか。
  • 分割出願に原出願の拒絶理由通知の効力を及ぼす点について、効力の内容を明確化すべき。
  • 手続的な規定は、頻繁に見直しがあってはならない。日米欧三極の今後の制度調和の動向をも踏まえて検討していくべき。

2.今後の審議スケジュール

第10回特許戦略計画関連問題ワーキンググループは、9月に開催予定。次回は「特許発明の円滑な使用に係る諸問題」と「補正制度及び分割出願制度の見直しの方向性」について、今回の検討結果を踏まえた報告書(案)の審議を行う予定。

[更新日 2004年7月22日]

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