ホーム> 資料・統計> 審議会・研究会> 産業構造審議会> 産業構造審議会 知的財産分科会> 特許戦略計画関連問題ワーキンググループ> 第10回特許戦略計画関連問題ワーキンググループ 議事録
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(本記事作成:特許庁総務部総務課制度改正審議室)
長岡座長 |
まだ1人来ていらっしゃらない方がいますけれども、時間になりましたので始めたいと思います。 |
新井技術調査課長 |
それでは、事務局から資料の確認をさせていただきます。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございました。 |
長岡座長 |
二つございまして、一つは「補正制度及び分割出願制度の見直しの方向について」の報告書の案があります。もう一つは「特許発明の円滑な使用に関する諸問題について」で、こちらも案になっておりますが、最初の方は今までかなり議論してきておりまして、可能でしたら本日取りまとめの方向でまとめることができたらと思っております。2番目の方は新しく御提案もいただいておりまして、事務局のレポートもまだ完璧なものになっておりませんで、今回実質的な議論を尽くした上で、できれば次回、案という形で最終的に出させていただけたらと思っております。 |
南調整課長 |
それでは、補正制度と分割制度の見直しについて、資料3報告書案に基づいて御説明させていただきます。これまで何度か御審議をいただきまして、その御意見を踏まえて今回報告書案の形で取りまとめさせていただきました。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 |
秋元委員 |
13ページ、15ページにあります「CIP制度の導入」、等、これは「早急に結論を出すことなく引き続き慎重に検討を行うべきである」と記載されていますが、検討を行っていただくのはいいんですが、どこで検討を行うかということがわからないんです。また、「早急に結論を出すことなく」というところなんですが、産業界としては、私どもの場合にはこれはむしろ「早急に」と入れてもらいたい。 |
南調整課長 |
まず、1点目のどこで検討していくのかということでございますけれども、当然ながら随時特許庁の中でも検討いたしますが、これらの見直し事項につきましては、我々もさらに詳細な勉強もしていかないといけないだろうということで、今年度、これからですけれども、知的財産研究所で、これらの事項をより深掘りするような検討を継続して行っていくつもりでございます。 |
長岡座長 |
丸島委員どうぞ。 |
丸島委員 |
私も今のCIP制度の導入ということについてはぜひお願いしたいという立場でございます。前回からも申し上げておりますけれども、今までの特許法改正。最近のですね。審査を促進するとか、処理を早くするとかいう視点での改正が非常に多かったと思うんですが、推進計画に入っております、いわゆるフロントランナーを保護するという視点での特許法改正は今回が実質的な改正だろうと私は理解しているんです。そういう意味で、フロントランナーを救済するといいますか、要するに基本発明をいい特許として取るという仕組みの一番のもとはCIP制度の導入だと私は思っております。そういう意味で、ぜひ前向きな検討をお願いしたいという気持ちでございます。 |
南調整課長 |
改正のタイミングですけれども、まさに今、制度調和の議論とか、色々議論されておりまして、これも完全には無視できないと考えております。ただし、だからといって、その議論が延々と続くようであれば、我々もどこかで見切って、「見直しの方向」でまとめた点につきましては早急に改正の検討を行う、改正に踏み切るということは十分にあり得ると思っております。 |
長岡座長 |
菊池委員お願いします。 |
菊池委員 |
分割の話ですが、まとめの部分では「一定期間」。章中では一定期間の「短い期間」。さらに、その前段では、「多様性」という点を強調なさっている。一定期間の設定を行う際に、分野ごとに差異を作るという意味なのか、あるいは、極めて瞬時ということなのでしょうか。 |
南調整課長 |
「短い」というところについては特に他意はございません。 |
菊池委員 |
失礼いたしました。 |
長岡座長 |
大西委員お願いします。 |
大西委員 |
前回も、お願いといいますか、話をしたんですけれど、シフト補正のタイプ2の方なんですけれど、37条違反が入って発明A、Bがクレームになった場合に、37条違反で「Aについて審査」と書かれているんです。現行もそうなんですけれど、単一性を満たさない複数の発明が明細書に書いてある。その場合に審査官が往々にして最初のクレーム-クレーム群と言った方がいいんですか-を審査して、単一性要件違反プラス例えば29条違反という形で出されるんですけれど、出願人としては実はAでなくてBの方にウエートを置きたかったんだとか、そういうケースもあると思うんです。USなんかはリストリクションがかかりますし、一度どちらかを選択するということを行った後で実体的な29条とか新規性、進歩性の判断になると思うんです。その辺を若干考慮していただきたいと思っています。 |
南調整課長 |
今の御指摘の3点でございますけれども、今回このような方向性は出させていただきますけれども、具体的な制度設計をこれから検討していくことになるかと思いますので、その検討の過程で、御指摘の3点についても検討対象としてこれから勉強していきたいと思います。 |
長岡座長 |
他にいかがでしょうか。 |
相澤委員 |
「まとめ」の25ページの見直し時期についての読み方ですが、シフト補正の制限もそれ以外の補正、分割についてもまとめて行うというふうに読んでよろしいのでしょうか。確認ですが。 |
南調整課長 |
基本的には、あまり小出しの改正はよくないと思っておりますので、まとめて行うということで結構でございます。 |
長岡座長 |
江崎委員どうぞ。 |
江崎委員 |
私は個別の制度の問題はここで十分指摘されているとおりだと思います。もう少し大きな視点で言うと、全体の制度として見たときに、三極の制度の調和を早くやることが我々にとって非常に大きなメリットがあると思っております。 |
長岡座長 |
丸島委員どうぞ。 |
丸島委員 |
今の御意見は大義名分的には非常に通りやすいと思うんです。ただ、現実には、今、時事刻々競争状態を行っているわけですよ。それで産業競争力を高めようとして各国が政策的な制度を運用している中で、統一を理念として、そればっかりに頼って国内法を改正しないというのは、私はやっぱり間違いだと思うんですね。もちろん将来的にそういう方向に向かうというのは私も賛成ですけれども、いつそれが実態的に統一されるかわからない状態において、それまですべてやらないでおこうというのはどうかなと思います。 |
南調整課長 |
今の御両名の御指摘につきましては、まさに今、日米欧三極で審査結果、サーチ結果の相互利用というのを推進してきて、かなり実務的にも詳細な検討の段階に入っている状況でございます。したがいまして、今後それぞれの三極の審査結果の相互利用の観点で、今回の例えば制度改正等がそれに支障があるのかないのか。そういった観点も制度改正を行うか行わないかの峻別の視点として検討していきたいとは思っております。 |
長岡座長 |
他に御質問とかいかがでしょうか。 |
南調整課長 |
まさに委員長のおっしゃるとおりでございます。したがって、その点にかかわる問題についてはかなり慎重な検討が必要ということで結論をまとめさせていただいております。 |
長岡座長 |
他にコメントとか御質問はいかがでしょうか。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございます。 |
長岡座長 |
では、次のトピック、特許発明の円滑な使用に係る諸問題に移りたいと思います。 |
新井技術調査課長 |
それでは、事務局から簡単に御紹介させてもらいます。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございました。 |
相澤委員 |
外国を紹介いただいてあれなんですけれども、これは多分特許の制限の問題になるので条約上の問題があるんですが、この点について言及がなされていないのは何か理由があるのでしょうか。 |
新井技術調査課長 |
条約上のところまで踏み込まなくても、欧米あるいはアジアのところを調査すれば、それで事足りるのではないかということで、ここではあえて言及はしてございません。 |
相澤委員 |
補足いいですか。 |
長岡座長 |
どうぞ。 |
相澤委員 |
といいますのは、現行規定をもし修正するとすれば当然条約上の問題を検討しなければなりません。現状のままでいいという趣旨のまとめなので、検討する必要は無いということも言えますが、修正した方がいいという意見がないわけではないので、それ修正には、条約上の制限があるということを明確にしておいた方がいいのではないかと思います。 |
新井技術調査課長 |
わかりました。御指摘の点、検討させていただきます。 |
長岡座長 |
秋元委員お願いします。 |
秋元委員 |
知的財産推進計画の中では、こういう創造分野で大学等の知的財産の使用を円滑化すると記載されています。最後のところは「円滑化するための措置を講ずる」という文章にたしかなっているかと思います。それで担当省庁は総合科学技術会議、文科省、経産省というか特許庁ということになっております。最後のまとめのところで、調査研究、検討はいいんですが、「措置を講ずる」ところはこの委員会でなくて別のところでやるのかどうかという問題が……。要するに、どういう措置を講ずるかというのはどこでやるのかというのが不明です。これはこのワーキンググループではないということなのか私にはよくわからないのですが。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 |
新井技術調査課長 |
措置につきましては色々なやり方はあろうかと思います。この審議会でもたしか御紹介があったかと思うのですが、ここでの試験・研究の例外に関する報告書を取りまとめて、関係する省庁、具体的には文部科学省ですが、そういうところを通じてこの考え方を周知徹底するというのが措置の一つとして考えられるかと思います。 |
秋元委員 |
文科省等に措置を講じてもらいたいということがあるのですが、ここに「大学等」と書いてあるのは、「等」の中に、企業の上流というか、基礎的な研究も含まれているというところで「等」が入っているんですが、文科省だけでやるとなかなか難しいだろうと思います。もう一つ、こういう調査研究というか報告書を出されて、現実には69条の試験・研究の解釈については3月3日に結論が出ておりますが、それ以降文科省が動いていないというふうに聞いております。そうしますと、これを出したままで動かないということになると、片手落ちというか、もともとの推進計画に沿っていかないと思いますので、この辺についてはぜひ、どういう形で措置を講ずる方に持っていくかということを考えていただきたいと思います。 |
新井技術調査課長 |
御指摘の「大学等」に含まれるところとしましては、産総研等の色々な公的研究機関等がございます。そういうところに対してもこの考え方を周知徹底していく必要があるのではないかと考えております。 |
長岡座長 |
では、時間も余りありませんので、試験・研究の例外を含めて全体の報告書は次回議論できると思いますので、次の裁定実施権の方に移りたいと思います。 |
新井技術調査課長 |
それでは、引き続きまして、同じ資料でございますが、37ページ目でございます。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 |
秋元委員 |
前回のときにポンチ絵で1枚物で出しておりますけれども、それで御理解いただいているかと思いますが、今回それを文章にしたのが資料5でございます。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございました。 |
新井技術調査課長 |
関係団体から幾つか御意見あるいはコメント等いただいておりますので、事務局から御紹介させていただくところでございます。五つの団体から御意見をいただいております。 |
長岡座長 |
どうもありがとうございました。 |
菊池委員 |
裁定実施権に関しては、運用面での具体的なスキーム等を今後検討していくという文面をぜひ入れていただきたいと思っております。特に知財に関するADR等(利害関係者の仲裁・調停等を含む裁判外の調整方式)のスキームをもっと積極的にお使いになるような何か新しい仕組みを考えられてはいかがでしょうか。色々な団体の利害関係があるという点を含め、単なる独占禁止法的な議論を超えて、仲裁・調停スキームを考えられてはいかがかと思います。 |
長岡座長 |
渡部委員お願いします。 |
渡部委員 |
裁定実施の要領の話ですけれど、海外から慎重にという意見が出るのは当然として、国内でも割れているということを見ますとなかなか難しいのかなという結論も予想されるわけです。そうしますと、もともとこの議論の発端となっている大学等の学術研究の円滑な実施の問題、あるいは標準技術の問題等について、文科省とかいうような話もあるかもしれませんが、なかなか有効な手がないということになってしまうかもしれない。引き続き問題が存在するということがどう扱われるかということが1点と、もう一つ、大学関係、学術研究に関しては、問題の深刻さの程度の見積もりがまだついていない段階にあるのではないか。そこの認識について配慮をしておかないといけないのではないかということです。 |
長岡座長 |
ありがとうございました。 |
竹田委員 |
アメリカの製薬業界からえらいきつい反対意見が出てきたみたいですけれど、この背景を理解する必要があるのではないか。というのは、リサーチツール特許はアメリカでは、私は正確な統計は知りませんけれど、半分ぐらいは大学とアメリカ政府が所有しています。特にDNA関係では。御承知のようにハーバード大学のマウス特許が問題になりましたけれど、あれはハーバード大学がデュポンにだけライセンスしてエクスクルーシブだったものですから、色々なところから問題になって、NIH、米国立衛生研究所があっせんに乗り出して、他の会社にも使わせろということで解決しているわけですね。 |
長岡座長 |
丸島委員お願いします。 |
丸島委員 |
リサーチツールはコメントを差し控えさせていただきますけれど、標準の方についての裁定について、これは御理解いただきたいと思うのですが、この場で技術標準に関する特許について裁定を適用するかどうかという議論をすると、どうしても標準化団体の立場で困ることを救済するという視点だけなんですね。 |
新井技術調査課長 |
竹田委員、丸島委員の御指摘のところはよく理解しているつもりです。この問題に関して、裁定という切り口からだけではなくて、色々な問題点が絡んでいるので、もうちょっと上位に立った視点から検討する必要があるのではないかという御指摘かと思います。 |
長岡座長 |
相澤委員お願いします。 |
相澤委員 |
裁定の要領というのは、あくまでも現行法の枠内の運用の問題であります。法律の枠を越えたことを裁定要領でやるということになると違法になるので、要領で何とかしようというときには一つの問題になります。 |
長岡座長 |
いかがでしょうか。 |
竹田委員 |
そうじゃないかと思うんですけれどね。 |
長岡座長 |
それで高いと。 |
竹田委員 |
違いますか。 |
長岡座長 |
いや、むしろ私がお聞きしている立場なんですけれども。つまり、日本の医薬企業がライセンスを受ける場合と米国企業がライセンスを受ける場合、NIHファンドによる特許が日本特許と米国特許で、差別的な待遇があるということが前提になっているお話かなと思ったので、それを確認させていただいたんです。 |
竹田委員 |
私も正確に知りませんけれど、NIHは権利者に対し米国国内のNIHのファンドを受領している研究者に対して無償使用を認めよとは言うけれど、海外までは言わないんじゃないでしょうかね。そういうふうに思っていたんですけれど。 |
秋元委員 |
二つあると思います、今のお話の中で。バイドールからいった場合、国内の産業には出せということは言いますけれども、海外については特に何も言いません。ただ、国内に出せば海外に出してもいいということは可能です。 |
長岡座長 |
他にいかがでしょうか。御意見とか、御質問でも結構ですけれども。 |
丸島委員 |
先ほど申し上げた技術の標準化に関する件ですが、この報告書で、もし全体のことを触れないで裁定の点からだけ結論づけられるとすごく誤解されると思いますので、報告書を書かれるときは、ぜひ前に述べた三者の関連性を含めた検討の必要性をうたっていただきたいと思います。決して業界は割れておりませんので、念のため申し上げます。 |
長岡座長 |
秋元委員どうぞ。 |
秋元委員 |
もう一つこの議論のところに書いていただきたいのは、裁定なり運用ということを考えたときに、先ほど丸島委員も言われましたけれど、使う方もそれ相当の痛みを払うというか、リーズナブルなロイヤルティーは払うという前提の話だというふうに御理解ください。 |
長岡座長 |
江崎委員どうぞ。 |
江崎委員 |
秋元委員に質問ですが、よくわからないのは、今回欧米の製薬業界からこういう反論が来た中で、実際に困っていないということを言っておられますよね。先ほどの御回答の中で、NIHのようなところの特許について、リサーチツールについては特別にハンディーがあるわけではないという理由がよくわからないのですが。 |
秋元委員 |
PhRMAやEFPIAからの意見について、確かに団体としてその様な意見が出ていることは確かですが、欧米の製薬企業でも個々の会社の見解は必ずしも今回出されたような意見で一致しているわけではないと思います。 |
長岡座長 |
他にいかがでしょうか。 |
新井技術調査課長 |
今後のスケジュールでございますが、最初の補正制度及び分割出願制度の見直しの方向性につきましては、若干の意見、座長預かりということになっておりますので、これは次回御審議は不要かと思っています。 |
長岡座長 |
では、以上をもちまして第10回のワーキンググループを閉会させていただきます。 |
[更新日 2004年10月25日]
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