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第1回商標制度小委員会 議事録

  1. 日時:平成15年6月26日(木曜日)10時00分~12時00分
  2. 場所:特許庁 特別会議室
  3. 出席委員:土肥小委員長、大泉委員代理足立、古関委員、小塚委員、琴寄委員、髙部委員、竹田委員、田村委員、萬歳委員代理白石、松尾委員、三宅委員、山中委員
  4. 議題:ブランド戦略から見た商標制度の検討課題について
議事録

木村審議室長

お1人まだおそろいでない委員の方もいらっしゃいますけれども、定刻でございますので、ただいまから産業構造審議会知的財産政策部会第1回商標制度小委員会を開催させていただきたいと思います。
私は、事務局を務めております、特許庁制度改正審議室の木村でございます。
本小委員会につきましては、本年6月に産業構造審議会知的財産政策部会委員各位に、当小委員会の設置について書面にてご審議をいただき、設置が既に決定をされております。
委員長につきましては、産業構造審議会運営規程によりまして、部会長が指名する者とされておりまして、本小委員会につきましては、中山部会長から一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授でいらっしゃいます土肥一史委員をご推薦いただいておりまして、土肥委員ご本人にもご内諾をいただいておりますので、土肥委員にお願いをいたしたいと存じます。
では、土肥委員長、一言ごあいさつをお願いいたします。

土肥委員長

おはようございます。土肥でございます。先ほどご紹介ございましたように、部会長のご指名ということでございますので、私、到底そのような任にたえ得る資質を持ち合わせておりませんけれども、よい勉強の機会でもございますので、お引き受けをするということにした次第でございます。ひとつよろしくお願いをいたします。
商標法の改正というのは、従来、商標条約とかマドプロ、そういった条約対応の型のものと、前年行われましたような、ああいうどちらかといえば特実に引っ張られたような改正があろうかと思いますけれども、今回は、かなり独自に商標法を見直すというようなことがあるやに聞いております。ユーザーにとって、利用者にとって優しい商標制度というものを皆さんでひとつ考えていただいて、活発な議論を期待しておるところでございますので、ひとつ皆様のご協力をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

木村審議室長

ありがとうございました。では、以降の議事の進行につきましては土肥委員長にお願いをいたしたいと思います。

土肥委員長

承知いたしました。それでは、本日は第1回目の委員会でございますので、事務局から委員の皆様のご紹介をお願いしたいと存じます。

木村審議室長

それでは、ご紹介申し上げます。
まず、社団法人日本食品特許センター商標委員長、大泉直人委員でございますが、本日、所用のためご欠席でございまして、同副委員長、足立 勝代理がお越しです。
続きまして、日本弁理士会商標委員会委員長、古関宏委員。
続きまして、上智大学法学部助教授、小塚壮一郎委員。
ソニー株式会社知的財産部パテントマネジャー、琴寄俊委員。
東京地方裁判所判事、髙部眞規子委員。
竹田稔法律特許事務所弁護士・弁理士、竹田稔委員。
北海道大学法学部教授、田村善之委員。
株式会社セブン-イレブン・ジャパン専務取締役、萬歳教公委員でございますが、本日はご欠席のため、同社の文書法務部総括マネージャーでいらっしゃいます、白石陽一代理。
中村合同特許法律事務所弁護士・弁理士、松尾和子委員。
日本知的財産協会商標委員会委員長、三宅雄二委員。
株式会社資生堂法務部課長、山中真理委員。
以上でございます。

土肥委員長

ありがとうございます。それでは、皆様、ひとつよろしくお願いをいたします。
これから議事に入るわけでございますけれども、小野特許技監から一言ご挨拶を頂戴するということになっております。どうぞよろしくお願いいたします。

小野特許技監

特許技監の小野でございます。太田長官がちょっと所用でおくれてまいりますので、私がご挨拶を申し上げさせていただきます。
委員の皆様方におかれましては、ご多用中のところ、商標制度小委員会にご参加をいただき、まことにありがとうございます。一言、ご挨拶を申し上げます。
我が国の知的財産戦略は、昨年7月の知的財産戦略大綱を契機に、具体的な検討とその成果の実施の段階に入っております。既に特許庁では、昨年の産業構造審議会知的財産政策部会における検討を踏まえ、特許審査の迅速かつ的確な実施や、特許権にかかわる紛争処理の合理的解決などを図るため、特許法等の改正法案を提案し、先月、国会での成立をみたところであります。
一方、知的財産は、発明・特許に限られません。技術が成熟化し、技術開発競争のみでは世界市場において十分な競争力を発揮することが困難な中、魅力的なブランドイメージを構築できるかがますます重要となっています。
ブランド戦略の促進のためには、ブランドを雄弁に語る商標が十分に保護される制度的環境が不可欠です。知的財産戦略大綱においても、魅力あるブランドを活用して、価値の高い製品、サービスを提供する環境を整備するため、商標制度のあり方を検討することが求められています。こうした状況を踏まえ、今年度、商標制度の見直しの検討をお願いすることといたしました。
現在の商標法は、昭和34年に公布され、累次の改正を施してまいりましたが、部分的な改正では対応が困難な課題も指摘されているようです。この小委員会においては、そのような課題も含め、枠にとらわれることなく、活発にご議論をいただきたいと思っております。21世紀にふさわしい商標制度がつくられるよう、お力添えをお願い申し上げます。
以上、簡単でございますが、私のあいさつとさせていただきます。

土肥委員長

ありがとうございました。
さて、具体的な審議に先立ちまして、本委員会の公開について、皆様のご同意をいただきたいと思っておることがございます。
産業構造審議会は、その運営規程によりまして、部会や小委員会を含め、原則公開となっております。本委員会におきましては、会議後に、配付資料、議事要旨、さらには議事録を発言者を記載して特許庁ホームページに掲載したいと考えております。また、委員各位の率直かつ自由な意見交換を確保いたしますために、会議自体の傍聴は受け入れないということとさせていただきたいと存じます。皆様、いかがでございましょうか。

(「異議なしの声あり」)

では、そのようにさせていただきます。
それでは、早速でございますが、議題に入らせていただきます。資料を事務局で用意しておりますので、説明をお願いいたします。

木村審議室長

まず、配付資料の確認をさせていただければと思います。クリップどめの資料を外していただきますと、まず、一番上に議事次第、それに続きまして、先生方の名簿でございます。資料1がございまして、資料は1つだけでございますので、2はございません。その後ろに、参考資料が1,2,3ということで3点ございますが、過不足などございませんでしょうか。
それでは、資料1に基づきまして、簡単に、今回の委員会で検討いたします趣旨、背景等につきましてご説明を申し上げたいと思います。
まず、よくブランドという言葉が使われるわけでございます。ブランド、ブランド戦略、ブランド価値といった用語が出てまいるわけでございますけれども、一体このブランドというのは何であり、かつ、それが政策的にどのような位置づけをもっているのか。さらに、ブランドと商標はどのような関係にあるのかということを踏まえておく必要があるのではないかと考えております。
商標は、当然、ブランド戦略の一端を担い得るものであろう。そうだとすれば、それはどのような関係にあるのか。商標法そのもののあり方につきまして、固有の検討課題というのはかなり多いわけでございますけれども、その検討に当たりましては、ブランド政策ないしはブランド戦略といったものをしっかりと踏まえておく必要があるのではないかという問題意識でございます。
1.で、「経済活動におけるブランドの位置づけの変化」ということでまとめておりますが、これは、ブランドそのものについての理解、ないしはそれに対する記述ということでまとめております。
ブランドは、商標自体をあらわす用語として登場したわけでございますけれども、それが今は企業そのもののイメージの総体であるということで、変質を遂げてきておる。それから、ブランドは、従来、消費者の認知によって形成されてきたわけでございますけれども、それを超えまして、供給する側から積極的に構築すべきものであるという、一種の戦略の対象になるような、経営活動の中核に位置づけられるようなものになってきているのではないかというのが簡単な総括でございます。
若干敷衍をいたしますと、まず、従来のブランドの意味ということで、(1)のところでございますが、ブランドというのは、古くはマーク自体を意味するというものであったわけでございますが、それの機能といたしまして、にせものを市場から排除するために品質保証が目的で使われる。そのように用いられて、消費者から認知をされ、それに対して特定のイメージが形成されてくるということになりますと、マーク自体が価値をもつに至るわけでございます。
他方、こういう価値そのものというのは、消費者が認知するという、いわば受動的な価値として形成をされてきたということでございまして、供給する個別の商品あるいはサービスの品質向上に努めるということが事業者にとっても第一義であり、その結果自然についてくるものだというのが古来の受けとめ方ではなかったかということでございます。
他方、マーク自体に一定の価値が付着をしてくるということになりますと、それ自体が取引の対象となるようになる。典型的には、ある製造部門自体を買収するとともに、そのブランド、マークそのものを取得して、それで売るというような形をとるということが起こってくるわけでございます。
例えば、2ページでございますが、80年代以降になりますと、欧米を中心に、マークとしてのブランド自体の獲得を目的としたM&Aが行われる。ネスレでございますとか、ルイ・ヴィトンでございますとか、そういう例があるといわれておりまして、「高級ブランド」といった言葉で想起されるようなファッション、食品といった企業活動が活発化してきたということでございます。そういう中で、ブランドのもちます価値、そういうものを評価していく必要があるのではないかということで、その手法の開発なども進んできたということがいえると思います。
こういうブランドそのもの、マークそのものの経済的価値というものに着目されるという中で、ブランドそのものというのは、企業の経営活動全体を意味するイメージであるということで、それに対するマークというのは、そのイメージの一種のシンボルといいますか、そういうものであるという受けとめ方が自然になってくるということだろうと思います。
供給する側が形成するものとしてのブランドというところでございますけれども、そういうことで、イメージの総体がブランドであるということになりますと、マークがそれを代表するわけでございますので、マークの価値そのものについても積極的に高めていこう、そういう努力が行われるようになるわけでございます。そういうマークに対する関心というのは、識別性を発揮する、これは古典的な、商標の最も基本的な機能であるわけでございますけれども、それだけにとどまらずに、マークに込められている価値全体を代表するというようなことになるわけでございます。「ブランディング」「ブランド戦略」といった言葉がそれに対応して登場してくるということだろうと思います。
「ブランド管理」というようなこともよくいわれておるわけでございますけれども、これはもともとはマーク自体をどのように権利を保全していくか、そういう活動を意味することが多かったと思いますが、近年では、経営活動の中核を占めるそういう活動を意味するようになってきたということでございます。
したがいまして、従来受動的に形成をされてきたブランドないしはマーク、そういうもののイメージというものをより積極的に形成していく、戦略的に形成していくというようなことが行われるようになってきた。むしろそれが企業活動の非常に重要な部分をなすようになってきたということがいえると思います。
市場における情報交換に加え、企業内の情報交換にも用いられるということで書いてございますが、ブランドというのが一たん定着をし始めるということになりますと、サービスあるいは技術開発、デザイン、すべての分野に対しまして一種のブランドイメージに沿った活動というのが展開されるようになる。自律的にそれが発展、あるいは機能していくということになるわけでございます。
次のページに図がございますけれども、ブランドというのは、企業活動において、個々の活動、技術、デザイン、コンテンツ、経営といったさまざまなところに指示を出して、かつ、それらの個々の活動に支えられて構築されるイメージの総体である、そういうとらえ方をしておりまして、そのブランドというものを通じて顧客の信用、あるいは指向といったものが吸収をされ、かつ、顧客に対してブランドイメージというのが伝えられるということになるのではないかという理解をしております。
こういうブランド戦略が企業活動において中核的な役割を果たすということになりますと、産業競争力との関係、そういうものも焦点に置いた分析というのが必要になってくるのかなということでございまして、ブランドを構築するということになりますと、他にはない優位性をもつようなメッセージとして、そもそも何を発信したいのか、そういうことを確立していく必要がありますし、それに沿った創造活動をしていくということになるわけでございまして、先ほどもご説明いたしましたけれども、今日、個別の技術開発、デザイン開発、経営企画、そういうことをすべて統合いたしまして、いかに魅力的なブランドイメージを構築できるかということが非常に重要になってきているということがいえると思います。
他方、一たん統合的なブランドイメージというのが確立してしまいますと、それにはリスクもあるわけでして、某食品会社にみられるような、ああいう事態によって企業の存続そのものに影響するほどの大きな問題になり得るわけでございまして、その威力は非常に大きいということはいえると思います。
また、昨今、国際化が進む中で、好むと好まざるとにかかわらず、ブランド戦略は国際的競争の中でとらえられていくべきものであろうということもございまして、21世紀において産業競争力の1つの鍵を握るのがこういうブランドという概念なり戦略であるということはいえるのではないかと思います。
最後に、応用範囲の広がりということで(7)でまとめておりますけれども、企業の事業活動の1つの戦略としてのブランドというもののみならず、より広い範囲での応用というのもあるわけでございまして、例えば、メイド・イン・ジャパンというブランド、これはそれぞれの事業活動の1つの総体といいますか、それの成果としてあらわれてくるわけでございますけれども、若干歴史的に振り返ってみると、それ全体がメイド・イン・ジャパンというブランドを構築する活動というようにとらえることも可能であろうと思いますし、昨今、「観光立国」などということもいわれておりますけれども、外国からの旅行者をふやすための活動、これは日本各地のブランドを高めていこうという活動であろう。それから、アニメーションなどについても、世界において、「日本のアニメ」というブランドを確立しつつあるということもいえるわけでございますし、地域のブランドというようなものもとらえることができるかもしれないということで、こういうさまざまなブランドという切り口で競争力というものを考えていこうというのが今のはやりといいますか、そういうものになっているということがいえると思います。
では、そういうブランドというものと商標というのはどういう結びつきがあるのかということを、簡単に2.でまとめております。
商標は、ブランド――イメージの総体と申し上げましたけれども、それを事業者と消費者の間、ないしは事業者の内部のやりとりの中でイメージとして効果的に伝達する情報交換の道具であるということで機能的にとらえてみたわけでございます。
「ブランドと商標の関係」ということで(2)にまとめておりますが、ブランドは事業活動が有するイメージの総体であるということだといたしますと、構築されたブランドイメージというのを事業者から消費者に伝達していく、あるいは事業者内部で構築すべきブランドイメージというものを担当者間で情報交換するという、企業活動の中、外、双方で道具が必要になるわけでございます。これは、単に企業が自分の会社はこういうことをやっているんだということを言葉で説明するだけではなかなか相手方に伝わらないという場合に、シンボルを使うということが非常に効果的なわけでございます。それが媒介される道具としてマークというのがあるという理解でございます。こういうマークというのは、いうまでもなく商標法で制度として保護されているという理解をしてはどうかということでございます。
他方、ブランドのとらえ方は、これはある意味では生き物でございまして、流動していくわけでございますけれども、その中で、戦略的にブランドというものを構築し、駆使していかなければならない、そういう時代にあって、そのイメージというものを伝えていく道具であるマーク、商標というものも、ある意味では単純明快さというようなものが求められるようになってきていると思いますし、それから、商標が担う情報交換がより速く、広い範囲で行われるということも必要になってくる。それから、一国内にとどまらずに海外に対しても発信をされていくということになるわけでございますので、そういう国境を越えたブランドイメージの発信というものに対しても効果的な基盤を提供するものでなければならないだろうと考えておるわけでございます。
6ページに先ほどの絵に似た絵があるのですけれども、ここでは、商標というのはブランドと個々の技術でございますとかデザイン、コンテンツ、経営、そういうものの間を仲介するコミュニケーションの道具、コミュニケーションの機能をもつものだということで、機能的に理解をすることができるのではないかと考えておりまして、ブランドから発明、営業秘密、そういう技術全体に対して何らかの指示がある。それは、商標を通じた一種のシンボル操作といいますか、そういうものによることがあるわけでございまして、そこで行われる技術開発が結果としてまたそのブランド価値の中に集積をされていく。そのブランドが顧客に対して伝えられる場合も、信用あるいは顧客の指向といったものをブランドに対して求める上で、そのマーク、商標というのが手がかりになるわけでございますし、ブランドから顧客に対してイメージを伝えていく上でも、マークというのがコミュニケーションの道具としての役割を果たすということになると思います。
こういう最も基盤的な役割を果たすコミュニケーションの道具であるということになりますと、当然、商標の――これは古典的にいわれてきている機能でございますけれども、対象の間に混乱が生じる、生じないということを原点に立ち返って振り返って、これがきちんと制度的基盤を提供できるようなものになっているのかどうかということを再検証してみる必要があるのではないかと考えておるわけでございます。
続きまして、7ページ以降に、現在、私どもがまとめました限りでございますけれども、商標法の検討項目として幾つか挙げさせていただいております。今ご説明申し上げたような期待された役割を十分発揮できるような環境というのが、現在の商標ないし商標法というものに整っているのかどうかということを再確認してみてはどうかということでございます。
さきの絵からもおわかりになられますように、商標がブランドイメージの情報交換を担うという役目を十分にかつ適切に発揮するというためには、まず、商標の識別性というものがきちんと担保されているということが必要であろうと考えております。これは、今後ますます権利意識が高まるということが予想されるわけでございますので、この辺の整理を改めてしてみる必要があるのではないかと考えております。
まず、丸1で、識別性の有無そのものについて、それに関連して商標の定義というところにメスを入れてはどうかと考えておりまして、ブランドの視点からいたしますと、コミュニケーションの道具である以上、商標というのは識別性が何よりの生命であるということはいうまでもないわけでございます。TRIPS協定におきましても、そもそも商標の定義といたしまして、「ある事業に係る商品もしくはサービスを他の事業に係る商品もしくはサービスから識別することができる標章またはその組み合わせ」というように定義をされているということでございます。
商標制度において保護すべき商標というのは識別性を有するものであるということは、各国の商標法においても明示をされておりまして、後ろに参考資料1という横長の1枚紙がございますが、これをごらんいただきますと、一番上に、非常に簡単なまとめでございますけれども、商標の定義をまとめております。識別という言葉が使われていない国というのは日本だけでございまして、限られた国の対比ではございますけれども、米国、英国、ドイツ、フランス、それからOHIMで、それぞれ使われている言葉は、すべて、識別することができる、識別するのに役立つということが入っているわけでございます。これはある意味では商標の定義の上での常識ではないかと思っております。
他方、日本においてはどのように定義されているかということでございますけれども、もとの資料に戻っていただきまして、1ページめくっていただきますと、具体的な条文を引用しておりますが、商標法第2条第1項というところで、ある意味では非常に抽象的といいますか、静的、スタティックな定義になっているということもかもしれません。「この法律で『商標』とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらの色彩との結合(以下『標章』という。)であって、次に掲げるものをいう」ということで、業として使用するものということがその要件としていわれているということでございまして、商標の基礎であるところの自他の識別機能というのはこの中にはないわけでございます。
では現実にこれで困るのかというような問題は確かにあるのかもしれません。7ページに戻りまして、資料の真中以降に「しかしながら」という段落がございますけれども、平成8年の改正法を検討した作業におきましても、必ずしも絶対に改正しなければいけないというところの話ではない。むしろ現行規定のままでもいいのではないかというような議論があったということで承知をしておりますけれども、他方、識別性が商標法において守るべき要素として明確に位置づけられていないということによりまして、商標登録されているマークがその目的に添った識別性を発揮していないような場面においても、商標権侵害と訴えられる懸念がある。
例えば、純粋なデザインとして用いられるような場合も商標権侵害に問われかねない。ポパイ事件とか、著名なケースもございますけれども、そういうもの。あるいは、個別の訴訟において侵害行為の認定が困難ではないかということで、商標の37条で、侵害の認定をする際に、「商標的使用」というような言葉が判例実務においてはよく使われているということでございます。定義ないしは使用の定義が2条3項にございますが、それにどのように該当しているのかということが必ずしも明確になされないままに「商標的使用」という概念を使いまして整理をしているという実務がございます。
それは、ある意味では識別性というのを明確化することによって、そうした法文上ない無理な整理をしなくてもよくなるというようなことはあると思いますし、それから、社会通念上、商標というのは識別性というのが一番基礎にあるということなので、それと乖離した定義が置かれていること自体、今後の商標のもつ戦略的な意味等々を考えると、その任に耐え得ないのではないか、そういう指摘もあろうかと思っておりまして、今後、商標に対する権利意識というようなものがますます高まってくることが予想される中で、ここで原点に立ち返って商標の定義ないしは使用の定義も含めて見直してみるということが必要なのではないかということを考えております。
8ページの丸2でございますが、識別性の基準である類似・混同の範囲ということで整理をしておりますけれども、識別性の具体的な中身というのは、類似とか混同、そういった基準でございます。それが具体的にどのように定義され、かつ運用されているのかということが非常に重要になるということでございます。
現行の商標法では、対象とする商品が似ている場合、類似の場合で、マーク自体のデザインも似ているという場合に、商標が類似しているということで、こういう商標が重複して登録されることがないようにしております。4条1項11号という条文がございますけれども、そこで、そういうものにつきましては拒絶をするということになります。類似した商標が使用されるということになりますと、それは侵害ということで、差し止めないしは損害賠償の対象になるということになります。商標は完全に同一の商品、役務、かつ同一の商標だけではなくて、類似というところまで効力の範囲、禁止権の範囲が広がっているということでございます。
さらに、商標法では、非常に強いメッセージ性、著名という言葉でいいかえてもいいのかもしれませんけれども、そういう商標につきましては、その商標が全く別の商品やサービスに使われている場合であっても、消費者が何らかの誤認混同をするということがあり得る場合は、類似の範囲を超えて新規の商標登録というのは制限をしているということがございまして、これは法律で、4条1項15号という条文がそれに該当すると思います。
他方、著名な登録商標につきましては、防護標章として登録することも可能でございまして、防護標章登録をすれば、10年間、自分が商標を使用している以外の商品やサービスにおいても同一の商標が用いられるということを禁止できるわけでございます。
他方、こういう類似ですとか著名といった概念、その判断につきましては、必ずしも安定をしていないのではないかというご批判があるわけでございまして、実際には十分識別されているというように観念できるにもかかわらず類似していると認められるとか、あるいはさほど著名ではない商標が防護標章として登録されているといった実態があるのではないかという指摘がございまして、そもそも類似とは何か、著名とは何か。また、著名といいますと、周知というようなこととの限界が必ずしもはっきりしないとか、実務上の運用が難しい面もございますので、その辺の整理が必要なのではないかということがいわれております。
平成8年の検討におきましても、類似と混同という言葉がどう違うのか。特に判例等におきましては、類似という言葉を、「出所混同を生じるほど相紛らわしいことをいう」というようなことで定義されたりもしておりまして、類似と混同というのはどう違うのかわからない。そういう言葉の問題。これもある意味ではやや観念論的な問題かもしれませんけれども、そういうことが過去いわれてきておりますし、かつ、こういうブランドイメージというようなものからとらえてまいりますと、商標の著名性、あるいは類似といった効力の範囲というのも、変化をすることもあろうということでございます。ブランド価値の変化が商標の類似あるいは混同、著名といったことに反映をしてくるのではないか。そういう動態的変化に制度がどこまで対応する必要があるのかというのはかなり重要な課題なのではないかと思っております。
例えば、発明に対して特許を付与するというような場合は、基本的に、いったん与えられました特許権は20年の存続期間があるわけでございますけれども、その間に当該技術が陳腐になったかどうかというのは権利の消長とは関係がないわけでございます。他方、商標の場合は、必ずしもそういう固定的な基準による判断というのは適当ではないのかなということでございます。
これに関連いたしまして、ここでテーマを2つ挙げておりまして、1つは、コンセント制度というものを取り上げて分析してみてはどうかと考えております。8ページの終わりから9ページにかけて書いてございますが、現在、コンセント制度は日本においては認められていないわけでございますが、形式的には、既存の登録商標の類似範囲に当たるということで、拒絶の対象となるような場合。しかし、実際は当該事業者、商標権をもつ事業者にとっては非常に周辺で重要でない事業であるのに、他人が使おうとすると、類似であるということが理由で拒絶をされるということになり得るわけでございます。
こうした場合、現在コンセント制度がございませんが、他方、商標は自由譲渡ということが認められております関係上、現行でも、同一人が類似商標を登録して、それを移転するというような便法を使えば同じような効果が得られる。その結果生じるかもしれない誤認混同といったものは事後的に取り消し審判で争えばいいじゃないか、そういう考え方が今はベースになっていると思いますけれども、それであれば、基本的には既存の登録商標の権利者が、実際に混同は生じないだろうという判断のもとに、それを分離移転することを認めるのであれば、事前にコンセント、同意があれば、出願された商標の登録をそのまま認めようじゃないか、そういう制度が考えられていいのではないかということでございます。混同するようなコンセントというのは普通はあり得ないだろうということでございます。
これにつきましても、平成8年に検討された経緯がございますけれども、状況も相当変化をしておるところでございますし、また改めてこれについてもご議論をいただければいいのではないかと考えております。
商標法65条以下に防護標章制度というのがございます。これは、先ほど申し上げたように、同一の、ないしは類似の商品にかかわらず、すべての分野について著名な商標というものを保護する、そのための制度でございますけれども、存続期間は10年ということで、審査を受けて登録をするということになるわけでございます。著名性の判断を10年間固定するという制度であるために、それ自身、制度のあり方として非常に硬直的なのではないかというような批判もあると思います。それから、防護標章制度は使い勝手が必ずしもよくないというご批判もあります。効力の範囲というのは同一のものにしか及ばない。類似のものについては及ばないというような限界も指摘をされておりますし、さらには、登録をせずにも個別事例に応じて商品等表示の保護を争うことができる、不正競争防止法の規定もございます。営業上の利益を不正競争によって侵害されれば、差し止め、損害賠償といった保護が与えられるわけでございますので、それにゆだねてもいいのではないかというような議論もあろうかと思います。これにつきましても議論をできればいいのではないかと考えております。
それから、(2)に「ブランド戦略の拡大に柔軟に対応した商標の保護」というのがございます。ブランド戦略は非常に多様に展開をしておるわけでございますけれども、特に丸1のところでまとめておりますが、商品・サービスの多様化が非常に進んでいるということで、これは、申すまでもなく、ニース協定に従って、各国がこれに準拠した形で、整合性のとれた形での運用というのがなされているわけでございますけれども、必ずしもこういう分類に掲載されない商品、あるいはサービスといったものが新たに登場するということは少なくないわけでございまして、そういう場合に、それをどのように機動的に、柔軟に商標制度を用いて保護することができるかというのが問題意識でございます。
典型的には、小売業などについていわれております。小売は、基本的には独立してその権利は与えられておりませんで、商品との結びつきにおいて権利が付与されるという形になっておるわけでございます。小売業の商標と商品商標を区別することは困難ではないかということで、従来そういう整理をしてきたわけですが、米国は当然でございますけれども、OHIMあるいは英国、そういう国におきまして、小売というものを1つの独立したサービスとして認知をしているということで、そういう国際的な傾向も先取りをして、小売業の商標というものをマークとして登録することが必要ではないかということでございます。
他方、小売業と一口に申しましても、さまざまな業態があるわけでございます。かつ、どういうところに小売というものの付加価値を認めて、あるいは既存の登録との調整ですとか、そういうものも、サービスマークを導入いたしました平成3年改正のときなども参考にしながら、制度のあり方、仮にやるといたしましたら、そういう制度の設計についても検討していく必要があるのではないかと考えております。
10ページでございますけれども、丸2でございますが、地域のブランドというものも1つの切り口ではないかと考えております。現在、地域の地名の一般名詞、いわゆる地理的名称一般は原則保護対象となっていないということで、商標法の3条1項3号によりまして拒絶をするということになるわけでございます。他方、団体商標制度というのがございます。これは、通常、自分が使うのではなくて構成員に共通に使用させるための商標ということでございますけれども、実際は、審査においては通常の商標の審査と同じでございまして、地理的名称自体は、特に団体商標だからそこの要件を緩和して認めようじゃないかというようなことには現在なっていないということでございます。もっとも、3条2項という条文がございまして、一定の場合には認められる余地もあるわけでございますけれども、団体商標と一般的に申しましても、複数の団体がある場合もございますし、あるいは構成員でない方がそのまま使用することになったときにそれが侵害になるのかというような問題もございまして、現在、殆ど認められておらず、ある意味では団体商標そのものが魅力のない制度になってしまっているということでございます。
他方、諸外国をみますと、アメリカなどもそうでございますけれども、産地表示のようなものも保護可能である、そういう制度もあるわけでございます。さらには、例えばウールマークのようなものでございますけれども、証明標章という制度が認められている国もあるわけでございまして、そういう諸外国の制度も参考にしながら、団体商標制度の改善、ないしは証明標章制度の導入といったものも検討していってはどうかというのが次の論点でございます。
10ページの下、丸3でございますが、商標使用のあり方ということで、これは、過去の経緯で、サービスマークを認めてまいりましたし、ソフトウエアについてもそのまま認めてきたという歴史的な経緯があるわけでございます。
他方、11ページに飛びまして、商標法の基本構造そのものというのは当時から変化をしていないということでございます。
真ん中のところに、商標法第2条第3項の「使用」の定義というのを書いてございます。先ほど、識別性のところでも申し上げたわけでございますが、使用の定義ぶりが、非常に細分化して規定をされている。新しい使用態様が登場するということになりますと、それを適切に保護する柔軟性に欠けてくるのではないかというような議論がなされております。商品として、例えば、今後、電気といったものが商品としてとらえられるというような余地も国際的にはあるようでございますけれども、電気そのものに商標をつけるということはあり得ないと思いますが、工場につけるのか、設備につけるのか、わかりませんけれども、そのようなことが仮に行われると、またこれに1つ号を追加するのかどうかというようなことになりますと、これはやはりもう少し包括的に規定ぶりを改めてもいいのではないかというような議論もあるわけでございます。
他方、現行規制は、商標を視認する、目でみることによって識別することを前提にしておりますので、そこを音声で伝える、そういう行為につきましては「使用」ということで認めていないわけでございまして、当然、侵害にもならないわけですけれども、そういうものについてきちんと規定をするということも必要なのではないかということでございます。
丸4でございますが、「多様な利用者が使いやすい制度への要請」ということで、これは、年間、商標の出願が12万件程度あるわけでございますけれども、登録件数では174万件ということで、特許よりも件数的には多いわけでございます。それは、一部の企業に偏っているということも必ずしもございませんで、中小、個人といった方も使われているということでございます。それに対しまして、現行の商標法の規定ぶりというのは非常に複雑で、読みにくいというような批判がなされている中で、それをより理解されやすいものに改めていくということもまじめな意味で重要なことなのではないかとも思っているわけでございます。
12ページでございますが、「国際的なブランド戦略の展開を促進する制度的調和」というようなことで、国際化との対応関係につきまして論じております。12ページの真ん中以降に、現行の商標法は、TLT条約、商標法条約、ないしはマドリッド協定議定書に加盟するための制度改正ということで、国際的な整合性を図ってまいったわけでございますけれども、現在も手続の簡素化等につきまして作業が進んでいるということも聞いておりまして、それに伴ってさらに制度的な調和を進めていく必要があるのではないかということでございます。
丸1でございますが、速やかな権利付与ということで、これは商標法の制度そのものの問題とは必ずしもいえないのかもしれませんけれども、商品、サービスは多様なものがございますが、そうはいっても、やはり出願から登録までの期間というのは短いことにこしたことはないだろうということで指摘を受けておりまして、98年に17ヵ月かかっていたファーストアクション期間が大幅に短縮されておりまして、2002年には8.8ヵ月ということになっております。諸外国と比較をしておりますけれども、米国では4.3ヵ月、韓国では12.2ヵ月といった数字が出ておりまして、特に突出して我が国のFA期間が長いということはないだろうと思っております。他方、不断の努力によりましてこれをさらに短縮していく余地というのはあるのではないかということで、そういう審査期間の短縮につきまして検討をする必要はあるのではないかということでございます。
14ページでございますけれども、同じく紛争処理の迅速化でございます。侵害の事案につきましては、裁判所の審理は大きく迅速化が図られているというように承知をしておりますし、特許庁の中で行います商標権の有効性の争いにつきましても、平成10年に当事者系の審判につきましては15ヵ月かかっていたわけでございますけれども、これが平成14年には11ヵ月に短縮されるということで、鋭意努力をしてきているわけでございますが、今後とも審判の質の維持・向上を考慮しながら、さらなる処理期間の短縮を図っていくということが必要なのではないかと考えております。
15ページ、最後でございますけれども、「他の知的財産法との関係」ということでございます。従来、冒頭土肥先生のごあいさつにもございましたように、特許法の改正に合わせて改正するというようなことが多かったわけでございまして、必ずしもそういう場合だけではなくて、商標法独自の視点から検討を進めるということが必要ではないかと考えておりますし、商標法は準用などが多いわけですけれども、その辺が商標法全体の読みにくさ、ないしは使い勝手の悪さというものにつながってきているという面もあろうかと思いますので、その辺につきましてもご議論をいただければ幸いだと考えております。
今ご紹介申し上げた論点にとどまりませず、幅広くご検討のテーマについてもご指摘をいただければありがたいと思っております。
以上でございます。

土肥委員長

ありがとうございました。ただいまの説明に関するご意見、ご質問、ございましたらお願いをいたしたいと存じますけれども、先ほどの説明にもございましたように、きょうは第1回目でもございますので、今の説明にとどまらず、幅広く、ご意見、あるいはお尋ねをお出しいただきたいと思っております。いかがでございましょうか。
内容的には非常に盛りだくさんになっておりまして、商標の概念、使用の概念、その機能論、コミュニケーション機能というような新しい考え方が出ておりますし、あるいは類似と混同の関係。あるいは、平成8年で積み残しになっておりましたコンセント、最近問題になっておりますけれども、デパートとかそういったところを中心にした小売の問題、あるいは団体商標制度の見直し、そういったことも含めた証明商標とか地域ブランドに関する商標の問題、非常に広い内容になっております。いかがでございましょうか。

髙部委員

非常に基本的なことになってしまうのですけれども、現在の商標法の目的規定には、商標法が何を保護すべきなのかということについては、商標を保護することによって商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする、というように書かれているわけであります。したがいまして、今ご紹介のあったような、ブランドイメージですとか、コミュニケーション機能ですとか、そういったことは現行法の目的規定からは読み込めないように思います。
これからの商標制度を考えていく上で、商標を有することによって何を保護していくのか、商標の機能をどこに求めるのかということを柱として決めておかなければ、後の方の個別の問題になかなかいけないのではないかと思います。それが商標の定義規定ですとか、使用の規定のところに直結していくのではないかと感じております。

土肥委員長

先ほどの説明では、ブランド戦略、ブランド価値、そういった文脈の中で出てきた話ではないかと思うのですけれども、いかがでございましょう、企業の委員の方におかれましては、ブランド価値、ブランド戦略というのは最近つとに指摘されておるところでございますけれども、そのあたりから、少しご意見などをちょうだいできればと思うのですが。――特に企業の方にはこだわりませんけれども。

松尾委員

私は、髙部委員のご発言に全面的に賛成したいと思います。ここに検討項目に挙がっているものは、平成8年といわず、私なども何回かどこかで主張したような気がしまして、改正が望まれるところは、私はこれ以外にもありますけれども、ほとんど入っております。
このように特許庁が、前は全く何とかしようと思ってくださらなかったものを、ブランドということの考え方を変えたことによって、結果的に今回のような見解をとられるのであれば、それは結構だと思います。しかし、基本的にいいまして、ブランドって何だろうかと。きょうの「日経」にも、読んでいますと5~6回「ブランド」という言葉が出てきました。そのときに使われているブランド、ブランド戦略というのは、個別のブランド、したがいまして、今までの商標をブランドという言葉にしているだけでした。従来から、商標法の関係者は商標といいますけれども、世の中では一般にブランドという言葉がたくさん使われておりました。今、内閣の戦略会議の案が出ていますけれども、あの中の「日本というブランド」というのは、私はちょっと首をかしげて、そこまで使わなくてもいいんじゃないかと思ったんですけれども、非常に広いです。かつてイメージ論というのがはやりました。商標について、例えば、著名商標の保護、ダイリューションとか、フリーライドとか、そういうのが出てくるときに、しきりに商標のイメージ論、営業活動のイメージというのが出てきました。今そういうのが全部ブランドに変わっているような気がいたしますが、非常に広くとらえられていて、企業活動のイメージに至っています。コミュニケーション伝達、それも確かにそうなんですけれども、商標法で保護するのは、広くいわれているブランドそのものではない。そういう意味では、商標法の対象は狭義のブランドだと思います。
ところが、6ページの表をみますと、ブランド、商標、それから技術、デザイン、コンテンツ、経営、下に商標、顧客とありますけれども、商標法の1条の目的規定にあるように、グループ内でイメージのコミュニケーションのためのものに関し、あるいは会社の組織内で伝達するとかというものに関しては、商標法が入っていけるはずがないと考えます。それは個人的に、グループ内でどうぞお決めくださいといっていいと思うんです。商標、ブランドに権利を与えたり、権利の付与を拒否したりするのは、それが顧客、ここでいう需要者の利益を保護すること、それに関係するからこそ商標法が入っていけるのだと思うんです。
そうしますと、コミュニケーションの道具としての商標――コミュニケーションというのは、その言葉自体は、今までと言葉が違っていてもいいと思うんですけれども、情報交換の道具だということになりますと、その情報の交換というのはだれとだれの交換かなと。これが企業内での交換も含めてとらえようというのであるならば、商標法自体が全部変わらないと、こういうものまでどうしようかということはできないですし、しかも、そういう必要性もないし、またそういうことはしてはならないことだろうと思います。
そういうわけで、私も、ここで保護しようとするものは何なのかということをまずきちんととらえていく必要があるのではないかと思います。
国際的にも、今までと商標のとらえ方――今までよりも直裁的にとらえているのだろうと思いますけれども、例えば、コミュニケーション伝達という、そのコミュニケーションというのは何だろうかと。基本にあるのは、出所の表示であり、自他の識別、アイデンティファイと識別ですね。その次に、よくいわれる品質保証、その品質保証という機能が今なくなっているんじゃないかとよくいわれますけれども、それは品質ということよりも、そこで商品やサービスに盛られている質、品質がいいとか悪いとかということではなくて、その内容だと思うんです。コミュニケーションというのは、そういうことも含めてあるのではないかと思いますけれども、そういう意味でも、ここでいう保護すべきものは何かという認識をきちんと皆で共通にしていかないといけないのだろうと思います。
保護すべき対象が明確でないと、商標登録の要件の3条、4条、特に4条の整理ができないと思います。商標法を利用しやすいようにということで、先ほど準用の問題を挙げられましたけれども、私は3条と4条の関係の整理、4条の中の整理というものも必要であって、ぜひやっていただきたいと思っております。
そのほかは、個別問題につきましては、ここに書いてあるのは大変結構なので、ぜひこういう方向で進めていただきたいと思います。

土肥委員長

先ほど髙部委員からご指摘ありましたところ、つまり、商標法の状態がそういうことであるとして、一方、企業の方がお考えになっているブランドの使用の仕方というのは、商標法が規定しているところよりも1つ超えているところにあるのではないかという説明だったと思うんです。
つまり、コミュニケーション機能というのも、考えてみますと、出所とか、品質とか、広告宣伝等の情報を含みかつそれを超えたところにある、そういう商標の使用者と末端の消費者の間で、流通業者を超えて直接コミュニケーションを行っている。例えば、ベネトンという会社がありますけれども、あそこなんかの広告というのは、一般に、出所でもない、品質保証でもない、広告宣伝もなくて、エイズで亡くなっていきそうな患者を出して「ベネトン」とやったり、あるいは油にまみれた水鳥を置いて「ベネトン」とやったり、あれは企業のイメージを直接消費者に、ベネトンという商標を通じてコミュニケーションを行っているというような説明もあろうかと思うのです。
ですから、現在の商標法の形で、それでいいのだというのももちろんありましょうし、あるいは、企業の実態がもうそれを超えたところにあるとすれば、そういうことも含めて今日の議論としては出していただければと思っておるところでございます。
竹田委員、何かございますでしょうか。

竹田委員

商標法におけるブランドをどのようにとらえるかということの問題を考えると、商標の登録要件としてどういう商標の登録を認めるかということの問題と、もう1つ、登録された商標には不使用のものもたくさんあるわけで、その登録された商標を長年使用することによって蓄積されてきた信用とかブランドイメージというものをどのようにして保護していくかの問題があると思うんです。
例えば、6ページの図に、「自社の商品・サービスに競合ブランドにない優れた長期的イメージの構築」とありますけれども、全体的にここで考えられていることは、商標登録されて、それがブランドとして使用されることによって、そこに多年にわたり実際に流通する経済取引の場における商品としての識別性と信用との蓄積された、そういうブランドをどのようにして強く保護していくかという視点からできているのではないかと思うのですが、そうではないんですか。
そういう視点でブランドということを使っているのであれば、そういう視点を中心にして、現行の商標法がそれに適合しているような規定になっているかどうか。そのようにしてブランド価値が極めて高められた商標が著名標章として存在する場合に、後続の商標について3条とか4条の要件を考える場合に、それをどのようにして保護するのか。それは現行法の類似とか混同という概念でいいのか。現実には、15号があって、それにさらに19号がつけ加えられたけれども、さらに著名標章の保護としてはそれだけで十分でないために、7号の公序良俗まで使われる。ところが、それが本来、公序良俗のこの規定の趣旨に合うものかどうかというのは非常に問題なわけで、そういうところでいえば、松尾委員がいわれたような3条、4条の見直しということも必要になると思います。
私がこれを読んでのとらえ方は、単に登録要件をどうするかということの問題でなしに、ここでブランドの保護といっているのは、それが長年使用されたことによって蓄積してきた識別力や信用を保護しよう、そういう視点で商標法を見直そうと考えているのではないかと思っているんですが、違っているのでしょうか、どうでしょう。

木村審議室長

まず、ここでブランドについてコミュニケーション機能とかいろいろと分析をしておりますけれども、私どもとしては、ブランドというのが、ある意味では動的なイメージといいますか、そういうものとしてとらえられるものであって、それに対応して制度的基盤たる商標法がその基盤たり得ているのかということを論じるために、このような分析をあえてしてみたということがあるのかなと思っています。
要は、蓄積された著名商標をどのように保護するのかということもあるのですけれども、もちろんそれだけではなくて、これはまさに企業の方たちにお聞きしたいところではあるんですけれども、戦略的にブランドというものを構築していく場合に、市場で取引の結果与えられる信用といいますか、そういうブランド価値を、ある意味では事後的に――事後的というのもちょっと変かもしれませんけれども、保護するということだけで、発想としてとどまっていていいのかどうかということはご議論いただければいいのかなと思います。
ただ、だからといって、すべてそれを法的な世界――市場における機能とか、そういうことが現実にはそうなっているから、それをすべて法律で受けとめなければならないのだというところまで私どもとして直ちに考えているわけではなくて、何から何まですべて商標法で担保しなければならないということまで――もちろんそういうことが必要な場合もあるでしょうけれども、すべてそうあるべきだと申し上げているわけではなくて、まさに松尾先生が先ほどおっしゃいましたように、企業の中で情報交換をする、そのための道具にわざわざ商標法における権利というようなものを付与する必要があるのかというような議論があるとは思うのです。その辺のところも、まさに使用実態ですとか、市場における扱われ方、あるいはそういうものの一般消費者などの受けとめ方、そういうものも含めて、3条、4条を見直すということであれば、相互の関係のようなものも、実際の使われ方、ないしは戦略的な使い方といったものを土台に考えていくということがいいのかなということなんです。

土肥委員長

今、説明ございましたけれども、私、防護標章あたりの説明をするときには、大抵、資生堂の花椿を出したりするわけですけれども、あれを全類におとりになっているということで、それを出して説明したりするんです。恐縮ですけれども、山中委員、企業の観点から、そういうブランド、花椿のような、資生堂のようなブランドをどのように育成というのか、使用なさっておられるのか、そういうところと現行の商標法の適合性、そういうところで何かご見識ございましたら、いただけますでしょうか。

山中委員

今、委員長の方からご指摘いただきましたように、私ども、花椿のマーク、それとロゴの資生堂、および社名である漢字で表記した資生堂、この3つに対して、現在全類に防護の登録をさせていただいております。
基本的なブランドの考え方の根底にあるのは、長年にわたって培ってきた、私どもは直接消費者に財を提供する企業でございますので、お客様は商標法という法に基づいてそういったマークを直接的に認識されているわけではございませんで、むしろ企業の側から、こういったものは我々独特の権利であって、他社が使うことによって消費者に迷惑がかかるということが1つのベースにございますし、もちろん、企業活動の結果、消費者の中に広く浸透した1つの企業イメージ、そのものを第三者に何らかの形で侵害されるのを防ぐという考え方があるんですけれども、幸いにして、今申し上げました3つの防護標章に関しましては、現在までのところ、実際の侵害ということは全く発生しておりません。
ただ、私どもが通常ブランドイメージというように考えておりますのは、今申し上げた企業名並びにハウスマークに類したものと、もう一段下がったところで、化粧品個々がもつシリーズ名といいますか、1つのグループの名前としてのブランドというものを企業内でとらえているんですが、これは防護標章に登録した場合に、同一でしか保護されない。ところが、非常に創造性の高い商標でございますと、一部を変えることによって、イメージを残して、なおかつ非常に原形に近いものが登録される可能性がございますね。そういったものについては防護では守り切れないということで、現実には私ども、化粧品を中心に企業活動をさせていただいているわけですけれども、化粧品で、ある程度実績を積んでくる、消費者の中にも浸透してくるということになりますと、どこまでをそれぞれの類で類似を守るかということになりますと、複数の類で商標の権利を確保していかなければいけない。なおかつ、類似の範囲というのが非常に微妙でございまして、こういったものを現在企業内で継続的にウオッチングをして、私どもの方で類似、その結果消費者の方からみた場合に誤認混同が生じるというような主張をするケースは多々あるわけでございますけれども、こういったところで、もともとスタートした商品群、これの属する類から派生して、広いところに類似の商標、もしくは財の提供を第三者がしてきた場合に、どこまでこれを守っていくかというのが、ブランドの価値を高めていくために非常に頭の痛い問題でございます。
継続的にウオッチングをするというのも、労力も費用もかかりますし、こういったものがどの程度まで守られていくものなのかというところが、1つの指標というものができると、ある意味では企業サイドとしては管理が非常にやりやすいというような点がございますので、企業サイドからみた場合に、著名になったものについてはかなり世間的に認識が高まってくるわけでございますけれども、過渡的な部分においてどこまで禁止権を拡大していけるかというようなところは、私どもにとっても非常に迷うところでございますので、そういったところの判断基準というものがある程度出てくれば、非常にありがたいなと考えております。

土肥委員長

その判断基準の問題もさることながらですけれども、先ほど審議室の方からの説明の中にあった防護標章ですが、説明の中では、なくすというようなフレーズも入っておったかと思いますけれども、今現在、企業の実態としては、防護標章というものはなくなっても構わないというような認識でしょうか。それとも、また別のご認識でしょうか。

山中委員

先ほど申し上げましたように、私ども、現在、防護で広く押さえているところについては、過去においても侵害の事例というのはございません。ただし、防護標章制度がなくなりますと、出てきたものに対して個々の企業が都度対応していかなければいけない。一方で、標章そのものをメンテナンスするという作業は必ず起こってまいりますし、率直に申し上げて、10年たちますと、いろんな意味で分類が変わったりとかそういうことで、再度の出願あるいは更新、そういったものが手間としては非常に煩わしい部分があるのですが、ただし、一度登録が認められますと、その権利が確保されるということは、私どもにとっては非常に安心できる部分ではございますので、これは今現在利用している側の意見でございますので、立場が変わればもちろんご意見も変わるかと思いますけれども、私どもとしてはこの制度そのものは継続していただけるとありがたいなと判断しております。

田村委員

先ほど、髙部先生、土肥先生のご指摘なさった点ですが、ブランドということを強調しますと、いろんなところに派生していくことがあるということを申し上げたいと思うんです。ただ、今回のブランドを強調した総論と、具体的な各論の方では、ブランドを打ち出したところをそのまま全部の改正につなげていないという室長のお話でしたし、個々の改正点は9割以上賛成しておりますが、最初の趣旨の方がひとり歩きすると、こういうことも起こるんじゃないかということです。
それは、ブランドの保護というものを、出所識別機能という商標の基本的な機能から離れて、ブランドの財産的価値の保護というのを強調し過ぎますと、現在、裁判所では、最高裁の判例でも許容されている真正商品の並行輸入のような問題に対して、別の国でやや安く売ったものが流れてくると、日本の高級なブランドイメージが傷つくという形で、むしろ権利主張させる方向につながったりですとか、あるいは、既にほぼ通説だと思いますが、いったん手放した商品については商標の出所識別機能を害さないということで、真正商品が国内で流通する限りは、再度――ちょっと議論があると思いますけれども――それについて広告しようが、どのように売ろうが、商標の条文上はともかく、侵害にならないというのが多分多数説だと思いますが、そういう点に関しましても、廉売店で売られたときには、ブランドイメージを傷つけるからという形で権利行使していいのではないかという形で、従来の解釈と違った方向に用いられる危険性がありますし、また、現に、少なくとも真正商品の並行輸入に関しては、諸外国ではそのような権利行使を認める方向で、ブランドの財産的価値とか商標の財産権的機能ということが強調されることがあるやに聞いております。
それは将来的な検討課題かもしれませんが、そこまでお考えになって、何か断定的なお考えをもって提示なさっているはずではないと思うんです。ただ、出所識別機能というのを完全に切り離しますと、そのように読まれる可能性が、将来的に何かの手がかりになる可能性があるということだけ申し上げておこうと思います。

土肥委員長

恐らく、コミュニケーション機能という場合も、出所識別、品質保証、広告機能、そういうものを含んでいるのだろうと思うのです。そこを含んだ上で、それを全部取り去ってもまだ残るという考え方が一般的なのではないかなと思います。シュライナー(Schreiner)はそのようにいっているやに聞いておりますし、クワ(Kur)、ボーデヴィッヒ(Bodewig)の本にも大体そのように出ておりますので、全く別のものであるという認識ではないということでございます。基本的な観点を決めるということも、改正でございますから、もちろん大事なことなのですが、広く問題点、あるいは日常的にお考えのところを出していただくということもありがたいことだと思っておりますので、ぜひ遠慮なくお願いいたします。

大泉委員代理(足立)

今回、出席させていただくに当たって、食品特許センターの方で商標委員会というものがございまして、そこでメンバーにアンケートみたいなものをとって、その上で来ておるんですけれども、アンケートそのものは十分集まっているわけではないんですが、先ほど防護商標の話が出ましたので、若干その話をと思いまして。
当センターの企業の中では意見そのものは必ずしも一本化していなくて、存続してほしいという意見もありますし、使ってないし、余り意味はないから、意味ないんじゃないのという意見も正直なところありまして、半々ぐらいなのかなという部分はあります。私自身の所属している会社では、たしか使ってないかなという感じはありますね。
あと、先ほどのブランドの話をちょっとしますと、先程松尾先生もおっしゃったように、企業の中で商標というものをベースにしてコミュニケーションをすることというのは基本的にはなくて、その商品のコンセプトなりポジショニングなりをベースにして話をしていって、その結果つくり上げたものがブランドになっていって、結果としてそれが消費者とのコミュニケーションの中では商標というものが体現してコミュニケーションがなされるというのが私の理解しているイメージなんです。
そうすると、ブランドというものが商標と本当にぴたっとくっついているかというと、必ずしもそうはなっていないような印象を、企業の中で働いている中でもっています。その中で、その商標というものが体現するブランドを有名にしていくという活動そのものは、企業が広告活動なり営業活動を通じて著名にしていって、ブランド価値というものを高めていくということは企業がするのだろうと思うんですけれども、それが著名になったときに守ってもらえる、その制度というものが欲しいなと。
現在も存在しているのは間違いなくあるのですけれども、そこのところの強化というところが、ブランド価値を守るですとか、ブランド経営とか、そういったことにつながる。そこのところで商標法というのが活躍してほしいなというのが、非常に概括的な話なんですけれども、あるんですね。
もう1つは、必ずしも商標の範囲には入っていませんけれども、ドメインネームですとか、そういったものも以前は、商標の侵害でもないですけれども、ダイリューションにつながるから、そういうものは勝手にとられたりするのは困るという話をずっとしてきていて、それが不正競争防止法などに取り込まれた経緯がありまして、その辺は我々としても非常に喜んでいる部分です。
それに対して、これは私の知る限りなんですが、会社名、商号に著名商標が使われてしまうというケース、それを防止する方法というものが今果たしてきちんとあるのかなというのがありまして、会社創立の場合は公証人がチェックをすることで、事実上とまっているのかもしれないんですけれども、万が一そういうものが登記されてしまったりすると、それを取り消す作業というのは結構大変になってしまう。事実上使われてしまっているものを不正競争防止法等で取り消しにいくのはやむを得ないにしても、会社登記というある程度公的な形で登録されてしまい得るのではないか。そういったことも防止できることについて、この場がふさわしい舞台ではないのかもしれないですけれども、ブランド価値を守る、商標価値を守るという意味でいくと、声を上げておきたいなというところが1つございます。

土肥委員長

差止請求の対応として登録の抹消ということが不正競争防止法あたりでいわれておりますね。商標法の議論としては、今のお話はちょっと守備範囲から出るんですけれども、著名商標の保護、そういったご意見をいただきました。ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。

萬歳委員代理(白石)

コンビニエンスストアのフランチャイズビジネスということで運営をしております。ブランド戦略ということにつきましては、先ほど資生堂の山中様の方からお話がございました。全く考え方は同一であります。コンビニエンスストアというのは扱い品目が大変に大きい。多品種少量ということもありまして、食品・雑貨小売という範疇に入ります。
近年、商品という財から、料金の収納でありますとか、サービス業務というのが極めてボリュームが大きくなっております。所属しております業界団体でフランチャイズチェーン協会というのがありますが、その中のコンビニエンスストア部門、小売サービス部門というのがあります。扱い高でサービスがということもございまして、きょうの10ページにお書きいただいております、サービスマークの登場によりまして、小売サービスということについてのものを何とか取り上げたらどうだ、検討したらどうだということが書かれております。全くの同感でございます。
しかしながら、そうはいっても、ナショナルブランドをただ並べてコンビニエンスストアで売ってるだけなんでしょうと。だから、識別といいますか、そこら辺で既に登録をしているんだから、そこら辺の調整をどうするんですかという問題がある。しかしながら、そこのお店に行って、良質のサービスを受けられるという、まさしく識別と出所、それから品質の保証であります、そこのところはある程度従来の商標法上の考えからもたえ得る部分があるのだろうと。既存のものとの調整をどう図っていくのがよろしいのか。例えば、小売サービスという1つのものができ上がったとして、限定的な、これとこれだったらいいけれども、これはだめだとか、登録したからそれで全部オーケーだというようにはならないという、何らかの調整が図られればいいなということがございまして、一言申し上げたいと思います。

土肥委員長

小売の問題、かなり積極的な説明でございましたので、場合によっては、仮に入った場合に及ぼす影響みたいなものも議論があろうかと思いますが、確かにおっしゃるように、小売業のサービス、学生がいっておりましたけれども、セブン-イレブンのおにぎりは何とかとか、そういうことをいっておりまして、どこそこで提供されるものはほかよりもいいという質を担保なさっておられるのだろうと思いますけれども、そういう議論もございましょう。これは具体的な各論のところでいろいろ議論していただくといたしましょう。
ほかにございますでしょうか。

三宅委員

さっきのブランドと商標制度をどう考えていくかという話なんですけれども、一般的には少し違う意味で言われているかもしれないんですが、企業では「Branding」という活動を最近特に力を入れてやっております。これは、単にお客様にブランドに対する満足度を与える、あるいは信頼を得るということではなく、それ以上のもの、つまりブランドを通してお客様にメッセージを伝えることにより、顧客にそのブランドを通して一体感をもってもらうとか、共感を覚えてもらうとか、期待をもってもらうとか、その辺りのことをいっている例が多いんですね。もしそうであるとすれば、その辺はまさに高部判事や松尾先生がおっしゃるように、それは企業が独自にやるべきことであって、商標法がそこまで踏み込む話ではないと思います。
ただし、そうは言っても、「ブランド構築」という言葉からも分かるように、いきなり出てくるものではなくて、まず商標登録をするところから始まり、つまり単に登録する段階、次に使用を開始する段階へと進みます。この時点ではまだ単に識別機能しか発揮しませんけれども、それを一定期間使用を継続し、その間の企業努力が積み重なると信用・信頼を得るところまでいく。そして、さらには市場で競争優位性を獲得するところまでいく。つまり商標には、単なる登録商標から、識別機能を発揮するトレードマークに、そして競争優位性をを取得したブランドに至り、さらにはさっき言いましたような、その上をいくところまでという一連の流れがあると思うんです。
そのように考えますと、この商標制度というのは、そういうものが生まれてくる、まさに基盤であろうと思うんです。ですから、今回は、そういう意味において商標法の改正の必要があるのかないのかというのを考えていただきたいと思います。
あとは、使い始めた後の部分、特にいわゆるブランドとして構築されたものとか、冒頭で言いましたようなスーパーブランドみたいなもの、そういったものを、ほかの法律に頼るのではなく、商標法の中でいかに保護するかということも考えていただければと思います。

松尾委員

私のいいたいところのかなりを三宅委員がいってくださいましたが、私が、初めに申し上げたのは、商標法は基本的にこのままでいいといっているのではなくて、先ほど委員長のいわれたベネトンの例で、今までの商標、これはコミュニケーションとしか書いていないけれども、それが前提だと。それのほかに残るものがあるのではないかといわれましたけれども、その残るものというのは、今三宅委員がいわれていた、登録があって、使用があって、その使用の結果出てくるもの、そういうものだろうと思うんです。そういうものにつきましては、今までの商標法というのは、とにかく登録のところが非常にたくさん抱えていて、その後のことが非常に少ない。それが今の改正の問題点として、混同と類似とか、そういうところ、それから防護標章のところなどが出てきているんだろうと思います。
これは個別的に議論すべきことであろうかと思いますが、ここに、防護標章との関係で不正競争防止法というのが出ていますね。著名商標や周知商標の保護、これと商標法の混同・誤認をどう考えるか、こういう問題になってくると思いますが、これにつけ加えていただきたいのは、先ほど出た商号の問題ですね。あれを消そうとすると、大変なんですよ。使用してないものでも、税金を納めていないという書類を出すとか、相手方に通知される時間とか、なかなか時間がかかるんです。不正競争防止法で訴訟を起こせば判決をもらえますけれども、それで抹消になりますが、これは私の学生のころですから、随分前からなんですが、商法の中の商号の規定と、不正競争防止法との関連、これが統一されてないということがずっといわれていました。
それから、私は、サービスマークの登録のときにも、サービスマークと商号の関係をどうすべきなのかということを考えて、何かに書いたと思いますけれども、これはいまだに残っている問題なんです。今のような商標を勝手にとられたときも、これが、わざわざ訴訟を起こさなくても何とかできないものかとか、いろんな問題があります。それから、防護標章についても、もちろん不正競争防止法だけでいけますが、困るのは、よく皆さんがおっしゃる、税関でとめてもらわないという、問題ですが、何か方策があるはずなんですね。そういうところも、商標法の改正の枠を出るかもしれませんけれども、関連している問題なので、少なくとも、関係する役所に掛け合うとか、何かそういうことを考えていただきたいと思います。

土肥委員長

ありがとうございました。そういうことですので、後で勉強させていただいて(笑声)……。

古関委員

各論の方は私も大賛成で、ぜひ進めていただきたいと思うんですけれども、特に、直接は書いてございませんが、特許法の準用をなくすということは進めていただきたいと思っています。
総論の部分なんですが、ブランドということで、実際に使用されている商標が中心の総論となっていますけれども、日本の商標制度の抱えているもう1つの問題点というのは、不使用商標が多数あるというところも1つの問題点ではなかろうかと思っています。その辺のところからすると、商標制度の基本としての登録主義と使用主義との関係、ここのところをどういうとり方をしていくのかというところをまず前提として置いた上で各論に入っていただければなという感じはしております。

土肥委員長

使用主義と登録主義の関係ですね。非常に大変な問題になるわけですけれども。今回につきましては、基本的に承るというところでございますので、そういう大問題も含めて……。

竹田委員

この問題を議論するための前提となれば、商標法1条から使用主義、登録主義まで含めてどうあるべきまでさかのぼりますが、この審議会がどれだけ続くかわかりませんけれども、ここでやれるような仕事でないことはどなたでもおわかりだと思います。それよりは、焦点を絞って、先ほど私がいったような、商標が単に登録されているだけでなくて、現実にブランドとして使用され、識別力を高め、信用も蓄積しているような商標の保護が現行法で足りているのか、足りないのか。その点に視点を合わせて、それを中心に、この審議会で議論するという方向にしないと、本当に散漫な議論となり、各論併記で、格別成果がないということになってしまうと思います。私が先ほど聞いたのも、そこを中心にやるのかということを念を押したかったわけで、その点をしっかり決めてやらないと、余り漠然としたことで、あれこれ基本的なあり方まで考えていたらば、必要な改正はできないと思います。

土肥委員長

もちろんそういうことでございまして、私も、ユーザーフレンドリーというか、利用者にとって優しい商標制度というのは、まさに今、竹田委員がおっしゃったようなことを念頭に置いて申し上げておるつもりでございます。ただ、古関委員のおっしゃるように、不使用商標の整理というものも、本当に商標を使用するという観点からいえば重要な問題でございますので、きょうの第1回目の議論としてはむろん貴重なご意見としてちょうだいをしたいと思っておるところでございます。

田村委員

各論にかかわるような具体的な話で総論にかかわるところでということですが、8ページなどに書いてあることなんですけれども、みますと、ブランドというものに着目なさっていますので、ブランドにいろいろと信用が蓄積されている、その蓄積されていくところでの動態的な保護というものが全体的に強調されていると思います。それ自体は間違いないと思うんですが、もう一方で、1つは、先ほどもちょっと出ましたけれども、そもそも商標は登録主義をとっているので、不使用商標は確かにいけないことですが、もう1つ、将来すぐ使うかもしれないけれども、まだ不使用、あるいは使用しているけれども、まだそんなに有名じゃないといったものについても一定の保護範囲を与えるという意味では、抽象的な保護範囲をそもそも予定しているんだろうということがあるかと思います。それについて、これだけ読んでいると、不正競争防止法的な、個々の時点でかなり動く保護範囲がよいというようなイメージなんですが、広がる方はそうなんですけれども、やや問題があるところじゃないかなと。
特に、商標は生き物であるということが強調されていますが、逆に私からみますと、商標は生き物であるからこそ、しかも特許などと違いまして、何年でも何十年でも更新できるわけですから、4条1項11号のところで、現時点ではそんなに混同がないからということでぽんぽん商標をたくさん認めますと、10年、20年たったときに、需要者の方で混同が起きるのが並び立つというようなこともございますし、その意味で、9ページのコンセントのところですけれども、大体いいと思うんですが、どうも混同が生じないものとして権利者が同意した範囲であればそれで許すような書きぶり――これは各論的な議論だと思うんですが、建前として、商標は積極的利用権みたいなのがあると思うんですが、いったん登録された商標はなるべく同一の範囲で使っていただいて、そのかわり、個々の商標を4条1項11号で離しておくという制度になっていますので、コンセントを入れるにしても、本人の主観だけではなくて、同じグループ企業内であるからとか、そういう必要性があって、需要者に混同が生じないものに限るとか、そういった形で、ある一定時点の信用蓄積に着目なさっているんですが、信用蓄積というのはもっと長いスパンで考えなければいけない。登録というのは不正競争防止法と違って長い間影響を与えるものだ、そういう形でいろいろなことを考えなければいけないのかなと思った次第でございます。

土肥委員長

ありがとうございました。コンセント制度についても非常に貴重なご意見かと思います。
あと、今までのご意見で出ておりませんところは、概念規定の整理も相当説明があったのではないかと思います。ここのところについて、何かご意見ございますでしょうか。

髙部委員

私は侵害訴訟を担当する立場でございますので、商標権侵害とは何なのかという場面で常に頭を悩ますことになるわけですけれども、現行法でいきますと、商標権者が商標を使用する権利を専有するという形になっておりまして、その使用という概念が商標法の2条3項で列挙されている。そういう仕組みになっておりますから、被告の行っている行為がこの使用という行為に当たるのかどうかということを常に考えなければいけないわけです。これが8号までありまして、役務の関係で多少読みにくくはなっておりますが、一応正確に書き分けて、現段階で侵害行為となるべき使用行為としては整理されているのかなと思います。
細分化し過ぎていて、新しい事態が生じたときに対応し切れないのではないかということなんですけれども、それは多分、特許法なども同じで、実施概念をきちんと定義していて、その実施概念に当てはまらなくなってきたものが出てきたときに追加をしているように見受けられます。著作権ですと、支分権というものをそれぞれ設けて、その行為に当たるかどうかという形で判断をするわけで、著作権法などは少し違うとらえ方をしております。そうすると、商標法は工業所有権法の中の1つということで、特許法と同じような形で、一応、行為としては個々に並べて書いてあるというように理解をしています。ですから、余り包括的になりますと、どこからが侵害行為で、どこまでが許されるのかということがはっきりしなくなってしまうという問題があると思います。
それから、現行法では、明文に規定がないけれども、商標権侵害に当たらないという場合が幾つかあって、先ほどお話に出ておりましたような、商標的使用には当たらないというような形で整理をして、結局、形式的にみると使用概念に当たるかもしれないけれども、商標的使用でないとして、非侵害にするようなケースがかなり見受けられます。
並行輸入に関しましても、最高裁で、ことし2月に判断基準が出ているわけですけれども、この並行輸入をどこからどこまで許すのか、どういう範囲で許していくのか、これは1つの政策判断だろうと思います。ヨーロッパは最近相当厳しくなっていて、域内消尽という形をとっているようですし、アメリカも実質差異の理論という形である程度絞っております。その中で、日本は、ここ30年くらいは、パーカー判決と、その後にできた大蔵省の通達によって一応の基準ができてきていたわけです。そのような状況でいろいろな応用問題が出てきて、その応用問題を考えていくときに、より広く並行輸入を認めていくべきなのか、あるいは、それは一定の場合にはやはり侵害というべきなのかそういった判断を迫られる場面もございます。
商標権の侵害に当たるかどうかという判断が、当事者にとっても予測可能性のある、裁判所にとっても明確な判断ができるような法制度にしていただくとありがたいと思います。

小塚委員

今の髙部さんのお話で思い出したのですけれども、使用の定義という規定なのですが、私も確かに、明確に、何が侵害かわかるということは重要な点であろうと思います。
そのことで申しますと、実はこの規定を以前に読んでいて、意外に解釈が難しいと思ったことがあったのです。それはどういうことかといいますと、商品またはその包装に標章を付するとありますが、「付する」とはどういうことか。そのものにマークがついていればいいわけですけれども、実際の商品そのものについていなくても、例えば、そばに何か札が立っているとか、商品を置いてある棚にマークがついているとか、そういうことがいろいろあるときに、どこまでがこの規定に当たるのだろうということを考えますと、なかなか解釈も難しいし、また、議論もそれほど蓄積されていないのではないか、そういう印象をもったことを思い出したわけでございます。そういう意味では、より明確にするという観点からの改正というのは検討の余地があるのではないかと思いました。
ついでに、機会をいただいたので、総論の方も一言だけ申し上げたいのですけれども、コミュニケーション機能という言葉を私もボーデビッヒ、クーアの著作に触れましたときに、非常に印象的でしたのは、従来いわれてきた、出所の表示とか、品質の表示とか、宣伝広告という、その役割について書いているというよりも、それらの機能が果たされる仕組みというものを考えていこうと。そこでもっと需要者、とりわけ最終消費者の心理に訴えかける。そういう働きかけ方をみていこうという発想だと私は理解しまして、その点は大変新鮮に感じたわけでございます。
そのことを我が国の商標法の問題に引き戻して考えたときに、2つ重要な点があると思っておりまして、1つは、第3の機能である宣伝広告機能というもの。これはどうも従来は法律的には余り重視すべきではないといわれていたのではないかと思いますが、そのあたり、もうちょっと再考してみる必要があるのではないかということを考えております。
他方で、典型的にこの場でこれから進めていこうとしている制度論については、既に先生方おっしゃっていることですが、いわば入り口と出口といいますか、制度のつくり方と、それがもつ効果の両面をパッケージにして考えていく、そういうことの必要性というのを我々に思い出させてくれる。そういう理論ではないかと感じたことがありますので、そのことも申し添えたいと思います。

土肥委員長

貴重なご意見、ありがとうございました。

松尾委員

今の使用の定義ですけれども、現在の2条3項というのは、役務のサービスマークが入ったときに3号以下の細かい規定が入りまして、そこが非常にわかりにくいんですね。どの例が何号かというのはしょっちゅう迷わなくてはいけないので、それで、私は、これは参考資料2にあるような、外国の規定なども参考にして、少しわかりやすく、今のは細かくなり過ぎているので、もうちょっと包括的にした方がいいんじゃないかと思います。
ついでですが、2条の3項の7号の電磁的方法というのが入ったのが平成14年の改正です。このときに、総括的にとらえようというのと、商品とサービスだけを分けようとか、いろいろな議論が出ました。そのときに、結局、追加するので終わったのは、先ほどの竹田委員のご発言なんですけれども、そのときの産構審の知的財産政策部会で、商標については抜本的改正が必要だということで、とりあえずこの7号を入れるだけにしておこうということになったわけです。そういうわけで、商標法については、抜本的改正というのは何度も議論されていると思います。
今回、それを全部、やることを主張するわけではありませんけれども、少なくとも、議論した項目だけでも残しておいて、平成15年のときにはこういう議論が出たということを後に伝えられるようにしていただきたいと思います。

土肥委員長

ありがとうございました。あと、商標概念のところで、識別のためにとか、そういうことも説明にあったと思いますけれども、ここは何かご意見ございますでしょうか。29部だったと思いますけれども、「オールウェイズ」など、あれは恐らく商標ではないという形での切り方だったと思います。あの事案の場合に、もし商標の概念規定の中に識別のためにというのがあれば、スローガンのような形で「トゥジュール」とか「オールウェイズ」とか、そういう言葉がある場合に、争いはなかったのかどうか。その辺は定かではないのですけれども、コカ・コーラのケースでは、あれは商標ではないという切り方だったと認識しているのですけれども。

大泉委員代理(足立)

たしか、判決はそういう形になっていたかと思います。私自身が、直接担当したわけではないので、必ずしも詳しくはないのですが、そのときは、パッケージに「Always Coca-Cola」というキャンペーンをやっておりまして、「Always」に類した言葉を各国の言葉でパッケージに表記しました。一応の商標調査はやったとは思うんですけれども、その上でそのまますすめていって、結果としてああいう形にはなったんですが。あれは、もちろん判決なのでそのとおりなんですけれども、裁判の中の過程が――こんな話をしていいのかどうかわからないですけれども、原告の方がかなり変わった方で、そのこともあり、裁判所の方もかなり我々の方を理解してくれたというか、心証がよくなったといった部分もあったように聞いております。
ですから、商標ではないという切り方についていろんな形で勉強会などで取り上げていただくんですけれども、本当にそうかなと、私自身は思っているところはあるんです。(笑声)。

土肥委員長

大体、各委員の方に意見をちょうだいいたしまして、非常に根本的なところから各論的なところまでいろいろ出していただいたところがございます。基本的には、これを一度事務方で預からせていただきまして、もう一度各委員にお示しをする。そして、竹田委員おっしゃったように、余り散漫にならないように重点項目等を置きまして、その点については今日ご意見いただいたところをできるだけ生かしたいと思いますけれども、とにかく懇談会で終わらないような形でやらせていただきたいと思っております。
最後に、言い忘れたけれどもこの際ということがありましたら、お願いいたします。

大泉委員代理(足立)

項目だけをとりあえずお伝えするということであれば、先ほどちょっと申し上げたアンケートの中で、各社から伝えられている部分がありますので、その部分だけお伝えしたいと思います。
実務の中で、商標の申請をする際に、著名な会社名といわゆる一般名称みたいなものをセットにして申請をしているケースというのは結構あるようなんです。そうすると、それが間違いなく登録はされるわけですね。著名な商標がセットになっているものですから。そうすると、後で商標調査なりをしたときに、その一般名称を使おうと思っているんだけれども、たまたまセットの中に登録がされてしまっているので、果たして使っていいものかどうか迷うというケースがあるようなんです。そうしたときに、その部分については権利はないんだというような権利不要求というんですか、そういった制度をもう一度考えていただくことは可能かどうかという議論が1つありました。
もう1つは、商標法の32条、先使用権の規定の中で、周知性といった要件があると思うんですけれども、それは判例等でいくと比較的緩やかに判断がされているような印象がある。そうすると、そこのところが、条文そのものの解釈ではあるんですけれども、もう少し明確になればありがたいといったご意見もありました。

土肥委員長

ほかの委員の方で、最後に、ございませんか。

古関委員

私は日本弁理士会の商標委員会から派遣されているんですけれども、当委員会でもこの法改正については議論しておりまして、できれば、今後のタイムスケジュールがどういう形で行われるのかがわかれば、お教えいただければありがたいと思っています。

木村審議室長

全体のスケジュールでございますけれども、先ほど土肥委員長からもございましたが、今日出てまいりました項目も含めまして、どのような形で取り扱うのか、それを我々事務局で再度整理をさせていただいて、次回の委員会で、今後の取り進め方、それから主要な検討課題につきましてお示しをできればと思っております。
タイムスケジュールでございますけれども、大体年度内を想定しておりまして、商標法の改正を次期通常国会にということでございますと、もうそれは10月とか11月とかに結論というような話になるわけなんですけれども、多分そういう話ではなかろうと。したがって、仮に改正が必要だということになりますと、次々期通常国会で、定義とかそういうところも含めて見直すということになりますと、かなり抜本的な改正になる可能性もございますので、そういうことも一応視野には入れまして、やや長めにということでもないんですけれども、年度内を目途に審議をしていただければありがたいなと思っております。大体1ヵ月に1回、多くて2回というペースで行いたいと思っております。

土肥委員長

よろしゅうございますでしょうか。
そうすると、次回以降の予定につきましても今説明がございましたので、そのような形で進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、時間もまいりましたので、以上をもちまして、産業構造審議会知的財産政策部会第1回商標制度小委員会を閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

-了-

[更新日 2003年8月7日]

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