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第1回商標制度小委員会 議事要旨

平成15年6月26日
特許庁

本日午前10時00分~12時00分に、産業構造審議会知的財産政策部会第1回商標制度小委員会(委員長:土肥一史 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)が開催された。

1.委員会の趣旨

ブランド戦略の観点を踏まえつつ、商標制度の在り方につき検討する。

2.審議内容

(1)ブランド戦略から見た商標制度の検討

ブランド戦略から見た商標制度の検討について事務局から説明。

(2)自由討議

本委員会における検討課題につき、自由に討議した。委員からの意見の概要は以下のとおり。

(一般的な議論の対象について)

  • 現行商標法の目的規定には「ブランドイメージの伝達」、「コミュニケーションの道具」といった機能は明記されていない。商標法の機能を決めてから、具体的な検討に進むべきではないか。
  • 一般に使用される「ブランド」の意味は広すぎて不明確。商標法で保護するのは、出所識別機能を有する狭義の「ブランド」である。商標法で保護するべき対象は何であるのかを明確にし、共通認識を持った上で議論をすべきではないか。
  • ブランド価値に着目することにより、その財産的価値の保護を商標法で担保することに注目しすぎると、並行輸入に関する考え方などについて従来と異なる方向性に導く影響が懸念される。商標の出所識別機能を柱に議論をすべきではないか。
  • 登録後、著名になった商標にどのような保護を及ぼすべきかを中心に議論すべきではないか。

(個別の制度・措置について)

  • 商標の使用の定義については、現行の規定は一応整理され、書き分けられているのではないか。包括的な規定にして侵害行為の認定が却って困難になることを避けるべきではないか。
  • 現行の商標の使用の定義には解釈が困難な規定がある。例えば「標章を付する」の「付する」にはどのような行為まで含まれるのか不明確。判例においても積み重ねが少ない点であり、より明確な規定とならないか検討をすべきではないか。
  • 商標の使用の規定は、サービスマークの導入の際に改正してわかりにくくなった。諸外国の規定を参考にしつつ、包括的かつわかりやすい規定に改めるべきはないか。
  • 商標審査の基準となる第3条及び第4条について概念整理するとともに、わかりやすい構成に条文を整理すべきではないか。
  • 登録主義の下では、使用されて著名になる以前の過渡期の商標についてどの程度の禁止権が与えられるのか不明確。これがより明確となるような措置がないか検討してほしい。
  • 不使用商標が多いという我が国において顕著な状況を解消するための検討をしてほしい。その際、登録主義と使用主義の関係についても議論をすべきではないか。
  • 第32条(先使用)の規定における周知性の判断が判例では緩やかに行われているように感じる。より明確な運用が行われるような措置を検討してほしい。
  • 防護標章制度は、一度登録されれば権利が一定期間確保できるため、権利者として安心できる。制度を廃止すると、個別の行為にその都度対応する必要が生じる。そのバランスを踏まえて防護標章制度の在り方を検討すべきではないか。
  • 防護標章制度は水際措置の必要性の観点から、仮に廃止する場合は何かの代替措置が必要ではないか。
  • 小売をサービスマークとして商標登録できるようにしてほしい。ただし、具体的な導入のための措置について商品商標との関係なども含め議論をすべきではないか。
  • コンセント制度を導入する場合、必要性に見合った保護を行うべき。商標は使用により識別性の程度が変わるものであり、そうした性質を踏まえた審査の在り方を検討すべきではないか。
  • 特許法等から条文を準用するのを少なくして読みやすい条文にすべきではないか。
  • 著名商標が商号として権利者と別の者により登録された場合の救済措置の在り方についても検討してほしい。

3.今後のスケジュール

第2回商標制度小委員会については近く決定する。

以上

[更新日 2003年6月30日]

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