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土肥委員長 |
それでは、たった今3時になりました。定刻になりましたので、産業構造審議会知的財産政策部会第3回商標制度小委員会を開催いたします。 |
土肥委員長 |
それでは、早速ですけれども議題に入らせていただきます。 |
木村審議室長 |
それでは、まず配付資料の確認をさせていただきたいと思います。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
土肥委員長 |
それでは、時間的にはまだ80分程度は残ってございますので、十分議論はできるかと思います。早速議論に移りたいと思いますけれども、先ほどの説明の中でございました点について、まず御質問、この点ございますようでしたら、その方から先にお出しいただければというふうに思いますが、質問の点で何かございますでしょうか。内容的には非常に思い切った重要な商標制度設計のあり方のようなところ、商標制度を支えるコストなり分配に関する非常に基本的なところにかかわる問題でもございますので、ぜひ大いに議論をしていただきたいと思いますけれども、質問の点はないですね。 |
大泉委員 |
結論というか御提案のところで、異議待ち公告制度の検討の御提案というのがありましたけれども、これをもし導入されたときには、出願人の方で第三者の商標の監視(ウオッチング)というのが非常に重要になってくると思うんですね。その場合は、商標制度のユーザーが自分の費用と責任でウオッチングをすることになると思います。結局今よりも負担が増大するというのは間違いないと思うんです。その点については、この御提案をされるときに検討されているでしょうか。出願人の負担増はやむを得ない――やむを得ないというか、それもあり得るという前提での御提案なんでしょうか。お願いします。 |
土肥委員長 |
今の点、いかがですか。 |
木村審議室長 |
一番最後のところに、12ページの |
土肥委員長 |
今の御質問に関して、数値的な分析なんかはありますか。 |
木村審議室長 |
それは今はないです。 |
土肥委員長 |
ほかにいかがでございましょうか。 |
古関委員 |
2点あります。 |
木村審議室長 |
まず、前者のことなんですけれども、「類似」と「混同」の関係については、まさにこれは第2パートといいますか、ここで書いていて、それから一番最後の留意点のところ、(3)のところで「併せて考慮すべき論点」ということで書いていると。現在の法律の体系は、「類似」と「混同」というのは、実質的にはある意味では似て非なるといいますか、そういうものとして理解をされているんだと思うんですけれども、実質的な「混同のおそれ」というものを軸にして「同一」とか「類似」というものの把握をするということは可能かどうかという提案を12ページの(3)のところではしているということなんです。 |
髙部委員 |
今の「類似」と「混同」の関係ですけれども、ちょっと補足をしたいのですが、現行の少なくとも4条1項の条文の書き方というのは、15号で「混同を生ずるおそれがある商標」と書いていて、「10号から前号までに掲げるものを除く。」と規定されております。つまり、商標かもしくは指定商品の方ですけれども、いずれかが「同一」または「類似」のものに関しては10号から14号に書いてあって、15号では、それを除いて混同を生ずるおそれがある商標という規定の仕方をしていますので、少なくとも4条1項の書き方は、「混同を生ずるおそれ」の方が若干広くて、「同一」、「類似」の方がもう少し狭い概念として規定されているのではないかと感じます。 |
土肥委員長 |
ありがとうございます。 |
三宅委員 |
異議待ち審査制度と現行の権利付与後異議制度の関連で、ちょっとデータとして欲しいんですが、全出願件数のうち、4条1項11号あるいは10号、15号、中心になるのは11号だと思いますが、これにより最終的に拒絶査定が確定している割合ですね、もし今おわかりになっているようでしたら教えていただきたいんですが。 |
小川商標制度企画室長 |
今は手持ちがないんですが、後日出すことは可能だと思います。 |
土肥委員長 |
確かに今の御指摘のところは、制度設計との関係で非常に重要かと思いますので。 |
三宅委員 |
まず、「類似」と「混同」の概念のところの整理なんですけれども、類似概念につきましては、私は登録主義をとる以上、必要な概念じゃないかなと思っております。と申しますのは、出願商標というのは当然使用を伴ってないケースが多いんですが、同時に我が国の場合は、登録商標でも実際に使用しているのはせいぜい2割か3割だろうと言われています。そういう事情もありますので、そうした中で審査するとすれば、ある程度一般化・抽象化した基準としての類似概念は要るんじゃないかなと思うわけです。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
古関委員 |
今、「類似」と「混同」のお話でしたので、そこに続けて意見を述べさせていただきたいと思うんですけれども、先ほど髙部委員から御指摘いただいたように、11号と15号の関係からしますと、当然規定ぶりからすれば、15号の概念の中に11号があって、その部分が削り取られたという見方をするのが一番妥当な考え方じゃないかと思います。つまり、類似であることは混同するおそれがあることが前提だと。これは法律でそういう規定になっているはずだと思います。それにもかかわらずここの9ページに、「実際には混同が生じてないような出願商標についても登録が拒絶されるおそれがあるのではないか」というのは、これは運用が悪いのであって、制度が悪いのじゃないと私は思います。 |
土肥委員長 |
何とその後に継いでいいのか、よくわからないのですけれども(笑声)。 |
髙部委員 |
審査の場面と裁判所での、侵害ではなくて審決取消訴訟での判断が異なっている場合があるという御指摘なんですよね。4ページに昭和36年と43年の最高裁判例が2つ挙げられているんですけれども、この2つとも査定系の判決です。そうすると、査定系の判例でこういったことを判断の事情にすべきだということを言われている以上は、審査・審判の場面でもそうすべきだということにつながっていると思います。そういう意味では中には間違えたものもあるかもしれませんけれども、最終的には、拒絶査定に対しては不服の審判、審決取消訴訟という不服申立て手段が用意されているわけですから、そういう意味では余りおかしくはないのではないかと思います。 |
土肥委員長 |
運用の話ですが、一言ございますでしょうか。 |
森吉商標審査基準室長 |
10号、11号と15号の基本的な関係を言いますと、商品と役務がありますが商品と省略させていただきます、商標と商品がいずれも同一または類似のものが、10号または11号、それ以外のものが15号としています。基本的には、商品が非類似のものについて15号を適用するというような運用で行っております。 |
小川商標制度企画室長 |
基本的に11号や10号でいけるものについては15号をかけないというのが基本です。 |
髙部委員 |
そうすると、例えばその次に注6で挙がっているレールデュタンなんかは、15号でいってますよね。 |
小川商標制度企画室長 |
これは商品が非類似です。 |
髙部委員 |
商品はそうですけど、商標は同一と言っていいほどのものだったわけですけれども。 |
小川商標制度企画室長 |
称呼が同一だということと、かつ登録商標が著名だったということです。 |
髙部委員 |
そうですね。 |
小川商標制度企画室長 |
商品が非類似であっても、商標が著名だから…… |
髙部委員 |
非類似というか、非常に関連性が強い商品ではありましたけれども、指定商品の枠としては非類似と言えば非類似といえるでしょうか。 |
小川商標制度企画室長 |
ですから、11号ではなくて15号という形になっているんだと思います。 |
土肥委員長 |
よろしゅうございますでしょうか。 |
木村審議室長 |
先ほどの古関委員の御指摘で、確かに10号、11号と15号の関係というものを素直に読むと、15号というのはバスケットクローズ的に書いてあると。したがって、10号から前号までに掲げるものは除かれているので、15号というのは10、11というものを包含するように読めるんですけれども、ただ「類似」という言葉と「混同」という言葉に微妙な差があって、出所の混同というのはおよそ引き起こさないけれども類似である、というようなものがあれば、それは15号だけではひっかけられない。要するに10号、11号で初めてひっかけられるということになるのかもしれない。ただ、それは極めてレアなケースで、ほとんど想定しにくいのかもしれないんですけれども、概念的にはそういうこともあり得るのではないかなというふうには思ったんですけれども。 |
古関委員 |
私も実はこの議論は、きのう弁理士会の商標委員会もあったものですから、そこで議論をさせていただいたんですけれども、混同が生じているから類似しているんじゃないの。逆の形でも同じなんですけれども、本来そういうふうな解釈というか、そうあるべきなんじゃないんでしょうか。確かに今おっしゃられたように、混同が生じないような類似というのは、本来の類似ということなんでしょうか。そこがちょっとわからないんだろうと思うんですね。 |
土肥委員長 |
そこがここで議論することを求められている点だろうと思うんですけれども、これは委員の方々、いかがでございましょうか。 |
髙部委員 |
ポリューションの場面では、混同は生じないけれども類似だという場面はありますよね。不正競争防止法2条1項1号の規定ぶりというのは、類似の商品等表示を使用して他人の商品と混同を生じさせる行為とされています。だから、類似のものを使用したことによって混同が生じた場合に、2条1項1号の不正競争行為が成立するのです。それとパラレルに考えると、類似という場面と混同という場面が、類似のものを使用した結果、混同を生じさせる場合と考えられます。それに対して不正競争防止法2条1項2号では著名な場合ですので、著名な場合には「同一」、「類似」のものを使用したことだけで「混同」は要らないとしていて、そこでポリューションの場面を救うという規定の仕方になっています。それが商標の場合にもかなり参考になると思います。 |
土肥委員長 |
古関委員の場合は不競法と商標法の相対性のような理解になるんだろうと思うんですけれども、不競法の場合だったら、確かにそういうふうに別の概念として書いてあるわけですよね。この点はいかがですか。 |
古関委員 |
やはり同じようなレベルの話になるとすると、具体的な取引状況といいますか、使用状況というのが前提になるとするならば、そこは同じような規定ぶりにならざるを得ないと思うんですけれども、現行の商標法で言えば基本は27条なわけですから、願書に記載された商標見本に基づいて決定しなければならないということは、確かに保護されるべき対象は使用された結果ではありますけれども、登録の場面で見た場合には、そこまでは見る必要がない。逆に言えば、裁判所で具体的な取引実情でこういうラベルとこれとを比較して、審決取り消し訴訟の場合に比較して見る、実際の使用態様を比較して見るということまですること自体は、ちょっと逆に言えばやり過ぎなのではないかと思います。 |
土肥委員長 |
髙部委員、何かありますか。 |
髙部委員 |
ちょっとよく趣旨がわからなかったので、もう一度言っていただけます? |
古関委員 |
はい。これはど忘れしてしまったんですけれども、いわゆる登録要件上の4条1項11号でも構わないんですけれども、ここの判断を裁判所でする際に、ここでもありましたけれども、実際の判決文を読むと、実際に使用された態様同士を登録商標についても出願された商標についても比較して、それが混同するかどうかということで判断をされている場合というのは結構あるんじゃないかと思うんです。ただ、もとは27条の規定があるわけですから、そこに基づいて判断すべきではないのかなという感じは、実は私は持っているんですけれども。審決訴訟についてはですよ、侵害訴訟は別ですけれども。 |
髙部委員 |
27条に基づいて判断すべきだと思いますけれども、その際に36年とか43年の判決で「取引の実情」ということが言われているので、その「取引の実情」の一資料として、現実に使われているものも判断の一つの事情にしたというぐらいじゃないんでしょうか。具体的にそれだけでやった例がありますか。問題の判決を指摘して下さい |
古関委員 |
あったと思うんですけれども。後で思い出したら言いますけど。 |
土肥委員長 |
そういう意味ですか、今のしょうざん・氷山はそういう理解になりますか。そこで言う「取引の実情」というのは、硝子繊維であるということが問題? |
古関委員 |
はい。 |
松尾委員 |
私も当然そうだと思っていました。氷山・は硝子繊維であると。それから橘正宗の焼酎と日本酒ですね、それは両方ともお酒の店で売られるという、そういう一般的なことを言っているにすぎないんだと思うんですね。だから、そういうのはこの判決を特別引用しなくてもある意味では当然で、運用の仕方の問題であると思います。 |
土肥委員長 |
そういうことがありますでしょう、つまり先ほどの報告にありました弁論主義、職権探知、そういう問題はここには絡みませんでしょうか。 |
松尾委員 |
絡みます。私は、さっき古関委員がやり過ぎだと言われたんですけれども、そのときに判断する資料が何かという問題にはなりますよね。なりますけれども、どれがやり過ぎかというのは別として、資料が出て、それで混同するという、だから4条のどれをとらえるかも問題ですけれども、例えば15号ですね。混同するっていうのが資料が出たときに、その資料を無視して混同しないなんて言う必要はないんです。商標は使われていくものですから、当然その資料を考慮していいんじゃないかと思います。 |
土肥委員長 |
お話を伺っていると、特許庁の運用としてもそういうことではないのかなと思うんですけれども…… |
松尾委員 |
思いますね。相当の資料を、文献なんかも相当出していらっしゃることがありますね。現実に使われている雑誌の記事とかそういうものも出しておられます。 |
土肥委員長 |
古関委員のおっしゃった、御指摘のあった運用の問題というのは、少しまだ私も見えてないところがあるんですけれども…… |
古関委員 |
要はいろいろな問題があるんだろうと思うんですけれども、今の商標制度というんでしょうか、本来的なフレームワークというんでしょうか、それはいい制度なんじゃないかという認識は持てないのかなというところが一つあるんですけれども(笑声)。実際にユーザー、企業が商標を採択する上で、今実際に安心して使えるために多分登録制度というのはあるんだろうと思うんですけれども、そういう意味からすると、今の情報が公開されて事前に調査をかけられる、さらにそれで予測をして、どういう審査結果が出るか予測される、その上で最後は設定登録をして商標登録が得られるというこの流れというのが、どこがいけないんだろうというのが基本的なスタンスです。 |
土肥委員長 |
多分今の御指摘を聞いて、特許庁の中にも相当喜んでおいでになる方が多いんではないかと思うんですけれども(笑声)、しかし、それもいいんだけれども、今から議論いただくところの、そういう制度を改めた場合についてもなおいいと、両方いいという前提だと思います。 |
大泉委員 |
不都合は、聞けばメリット、デメリットというのは出てくると思うんですけれども、そちらの話をしていくと、異議待ち制度のお話にどんどんなっていくと思うんですけれども、私は古関委員がおっしゃったとおり、今の制度で基本的には悪くないと思っているんですね。登録主義で、そして実体審査主義で、そういうもとで権利を付与されて、それで商標が安心して使えるということで、それをうまく運用していけば特に何も問題――何もというわけじゃないんですけど、大きな問題はないと思います。 |
土肥委員長 |
わかりました。 |
大泉委員 |
コンセント制度については、導入していただくと楽だという意見はあります。それは登録後に譲渡をしたり一部譲渡するのはなかなか手間なので、コンセントの方がやり方の一つとして楽そうだということで、コンセント制度の導入に賛成だという意見があります。 |
土肥委員長 |
三宅委員、お願いいたします。 |
三宅委員 |
私は知財協の代表なんですけれども、私どもの委員会の意見としても、結局コンセント制度というのはどこに関与すべきかという話になりまして、それは結局先ほど申し上げましたように、一般化・抽象化した形で定規を設けて審査がされるとすれば、そこには、審査基準にはその他取引の事情等も考慮するようにとは書いてありますけれども、やはりどうしても不十分な面は出てくると思うんですね。特に商標と商標の間もそうなんですけれども、それ以上に商品と商品、あるいは役務と役務の間の類似関係、これはやはり企業等のユーザー等が一番わかっているはずですから、そういう意味で、そのあたりの差を補う役割としてコンセント制度というのはあるんじゃないかということです。 |
土肥委員長 |
ありがとうございました。 |
古関委員 |
コンセント制度自体は当然審査主義が前提だろうと思いますから、コンセント制度は導入すべきだという意見では、これは弁理士会としても統一した見解であると思います。じゃ、どういうコンセントがいいかと、この辺までも議論は進んでいまして、これは完全型がいいだろうというところまでいっています。実際にコンセント制度が利用される場面というのは、現行の運用上で言えば、同一の類似群に入った場合だけだろうと思うんですね。先行する商標と出願商標が同一の類似群でバッティングをした場合、ここですみ分けができるかできないかというのが、今の制度との関係で見ると、そのパターンでしかない。例えばコンピューターというところが挙がった場合に、その用途が違った場合、今一つの案件になっていますけれども、そこを分けて、これはこの用途に使うんだからいいよという、そこでコンセントを出す出さないという形になってくるんだろうと思うんです。そういった場合に、そうすると、次にじゃコンセントが出た部分によって、現行の類似群という考え方が変わるのか変わらないのかと、ここも一つ、これもシミュレーションだろうとは思うんですけれども、それも特許庁にお伺いしたい点ではあります。 |
土肥委員長 |
見直しかどうかは、もちろんそういう議論はまだ当然されてないはずでしょうから、コンセントを入れるかどうかの議論をまず先にすべきですよね(笑声)。 |
髙部委員 |
今お話を伺っていると、コンセント制度に対しては積極的な御意見が多いようなんですけれども、同意が得られれば同じ商品の類の中で別々の人に権利が与えられるということになるわけですよね、同意が得られれば。その場合の需要者の利益というのは、どういう形で保護をされるのか。それこそ出所に対する混同というのが生じるのではないかと思うんですけれども、そのあたりの担保というのは何かあるんでしょうか。 |
土肥委員長 |
これはどちらに伺えばよろしいんですかね。そういうことを考えて重大と考えるのであれば、それは古関さんいかがですか。 |
古関委員 |
今でも登録後の分離移転というのは認められているわけですし、そこには当然手当てがされているわけですよね。 |
土肥委員長 |
それ、手当てをしてますね。 |
古関委員 |
してますよね。ですから、それと同じような、登録前も同じようなシステムにするというだけの話だろうと、僕はそういうふうに理解しているんですけれども。だから、要は使用した段階の問題であるわけですから、そこの問題として見た場合には、今の登録後の分離移転に対する手当てで足りるか足りないかという問題で済むのではないでしょうか。 |
土肥委員長 |
ペーパーでは、そういう具体的な「混同のおそれ」というのは、当事者が判断をするというペーパーのトーンではないかと思うんですけれども、さらに公益を考慮して、今、権利移転のところにある事前、事後的なああいう混同防止の手当てをすることが必要であるというのが御意見ということになりますか。 |
古関委員 |
はい。 |
土肥委員長 |
もちろん。 |
木村審議室長 |
基本的に「混同のおそれ」とか何とかというのは、コンセントは完全型であるべきだという御主張だとしますと、それは事業者間で、基本的にはこれは「混同のおそれ」はないんだという判断のもとに当然移転をされる、あるいは合意をされるということなので、それによって最終需要家が混同するということは事実上生じないだろうというふうに割り切る制度設計ということを念頭に置かれているのかなということですね。 |
髙部委員 |
完全型とか不完全型ってどういう意味ですか。 |
木村審議室長 |
ちょっと言い方が悪いのかもしれませんけれども、基本的に合意さえあれば必ず認めると。 |
髙部委員 |
必ず認めて、それは今でも15号なんかは私益的保護規定だというふうに言われていますけれども、でもほかの人だって、何人も異議の申立てはできるはずですし、もちろん利害関係があれば無効審判もできますよね。そうすると、コンセントがあれば必ず登録をして、ほかの人は異議申し立てや無効審判は起こせないと、こういうことでしょうか。 |
木村審議室長 |
それはまた別の問題だと思います。 |
小川商標制度企画室長 |
あくまで両当事者間のみの関係ということだと思います。 |
木村審議室長 |
6ページに書いてあるのは、いわゆる完全コンセント型とこれを呼べるかどうかはわかりませんけれども、「類似するような先行登録商標がある場合、その先行登録商標の権利者が後から出願された商標の商標登録に合意しているときは、たとえ職権探知により集めた情報に基づき審査官が類似であると判断しても登録を認める」、これは完全型ということですね。これはある意味で一つの割り切りになっている。それでいいじゃないかという考え方をとるのか、あるいは、それではまずいということなのかというのが判断の分かれ目ということだとは思います。 |
土肥委員長 |
では、古関委員。 |
古関委員 |
今のコンセントに絡んで。情報をお持ちだと思うんですけれども、台湾の商標法が改正になりましたですよね。これは11月28日施行になるんだろうと思うんですけれども、23条の13号でコンセントに関する規定があります。ここについては商標と商品、役務がともに同一である場合は認めないという、そこの例外規定にはありますけれども、それ以外は、いわゆるコンセントがある場合と認めるというような規定ぶりに改正されたようです。そういう考え方もあるかなと。 |
土肥委員長 |
大泉委員、何かあったんじゃないでしょうか。 |
大泉委員 |
先ほどの当事者同士が合意していても、もし特許庁が公益的理由等によって拒絶するような制度はどうかというお話だったと思うんですね。それで、ちょっとある企業の意見として上がっていたものがあるんですが、結局拒絶されれば、従来の方法のように、権利者と交渉して使用許諾を受けるなり譲渡を受けるなりということで対応できるわけで、そういう制度ならそういう制度でもユーザーとしては対応すると思います。 |
松尾委員 |
最後の点、何ですって。何をしない、どこまで見ない? |
大泉委員 |
相対的理由を見ない、要するに当事者がいいというのであればいいと。そうすると、特許庁では何のために相対的理由を見るのかと、見直してもいいんじゃないかと。そういうところまで踏み込んで判断して、コンセント制度は導入すべき、すべきじゃないと言っているわけではないということでございます。 |
土肥委員長 |
だから、全体的な制度的にどうあるかという問題が一つあるんだけれども、それとは別に、コンセントの制度があるとユーザーとしては助かるという、そのことですよね。 |
大泉委員 |
はい。 |
土肥委員長 |
松尾委員。 |
松尾委員 |
前にコンセント制度を導入するかどうかというのを改正で問題として議論したときに、結局入れないことに結論的になったわけです。そのときにはやはり審査との関係で、今のような商品が同一、商標が同一というときにも、特許庁はそれを認めなくちゃいけないのかと、それはぐあい悪いんじゃないかというようなことで、どこの範囲でコンセントを認めようかと、そこが議論になって、結論が出ないためにコンセント制度を入れられなかったと思うんです。 |
土肥委員長 |
相対的登録事由を見ないとすると、サーチが必要になってくる。そうすると、そのコストがかかる。それはユーザーとしては困るというような議論があるわけですけれども…… |
松尾委員 |
済みません、サーチしなくて済むんだから、特許庁が出願審査料を安くすればいいだけじゃないですか。 |
木村審議室長 |
どこかでコストはかかっているわけですね。それは、そういう意味では社会的なコストはどこかで負担はしているわけです。 |
土肥委員長 |
ただ、ヨーロッパの場合にそういう制度が既にあるんだけれども、そういう場合、すぐにそういう市場に参入する企業が出てきて、割合低いコストでもってそういうサーチをやるというのが当然ありますよね。そういうのが既に実際にあるということは一つの参考になると思うし、商標の場合少し心配なのは、反対の意味になるんですけれども、恐らく特許とちょっと違う点は、ユーザーというのが、その権利を積極的に使おうというふうに考える企業が商標の場合さらに少ないんではないか。つまり、使えさえすればいいということで、言葉は悪いけれども、ソニーとか資生堂ではないような小さな店とか、サービスマークというようなものを登録してて、とにかく使えればいいと。プロパティーライトとして余り強い権利でなくたって、とにかく自分が登録しているんだから使えればいいし、将来何が出てこようと余りサーチまでコストをかけなくてもとにかくいいというような、そういうユーザーなんかもかなり多いんじゃないかなと想像するんですけど、それは違いますか、そういう想像は。 |
古関委員 |
違うと思います(笑声)。 |
松尾委員 |
それは違います。 |
土肥委員長 |
そうですか。どうも失礼しました。 |
古関委員 |
1つサーチということでお話しさせていただくと、今までも十分サーチはしていますし、これから多分サーチはするんです。サーチというのは、似ている先行商標があるかないかという基本サーチは、異議待ち審査になってもやると思うんですよ。ここは変わらないと思うんです。私が申し上げたのは、実際の使用状況に関する調査が必要になってくるという、ここなんですね。ここは多分新しい枠、負担だろうと思うんです。それと、多分情報は入っておられると思いますけれども、現行の他国での異議待ち審査の状況を見ると、約20%ぐらい、10何%でしょうかに減ったかもしれませんが、そのぐらいの比率らしいんです。そうすると、まさに今出願をして登録に至るまでが80%を超えるような現状であるのが、今度は逆に異議がかかるかどうかわからない状態、それとなく不安を持っているという、こういう権利の不安定さというのは否めない事実なんじゃないかなと思うんですが、それはいかがでしょうか。 |
土肥委員長 |
だから、先ほどの報告にもありましたけれども、その場合、異議をかけてくることができるのは使用がないといけないということですよね。だから、使用しているかどうかわからないものから急に打ってこられるということはないわけでしょう。 |
古関委員 |
ですから、異議がかかるかかからないか、似たような商標がある、そのときに、じゃその相手方が使っているかどうかというところまで新たな出願には調査をしなければならないわけですよね。そこまで見ないと、異議がかかるかどうかわからないわけですから。 |
土肥委員長 |
そうですよね。それはそうだと思います。 |
三宅委員 |
ドイツみたいに異議待ち審査制度にする、なおかつ付与後異議制度は維持する、さらに異議を申し立てるときには、使用を前提とする。私は、そこまでいくと実質的に登録主義の放棄になるのではないかと思います。我々ユーザーは、やはり登録主義のもと、登録されれば一応安定的な権利が与えられるという、そこに非常に大きなメリットを見出しておりますので、そういう実質的な登録主義の放棄みたいなことはちょっと賛成しかねます。 |
土肥委員長 |
特許庁も、恐らく登録されて使用されてない商標が山ほどあるということもあるんだろうと思うんですけれどもね。つまり、登録主義だとどうして不使用商標の滞貨は当然出るわけで、その辺のバランスというのは難しいことなのかもしれませんが。 |
小塚委員 |
今の御発言、ちょっと私理解できなかったのですが、登録主義というのは、要するに登録をする段階では登録する人が使用していなくてもよいということが登録主義の基本だと思いましたので、異議待ち審査であるかどうかということで登録主義の放棄になるというところは、ちょっと私はよくわからなかったのですが。 |
三宅委員 |
さっき申し上げたのは、3点セットでいく場合ということです。 |
小塚委員 |
3点セットとおっしゃいますと?済みません、私が聞き逃していたかもしれません。 |
三宅委員 |
異議待ち審査制度と付与後異議制度、さらに異議申し立てには使用が必要だという、この3点セットでいった場合にということです。 |
小塚委員 |
しかし、要するに使用の実績がないと登録ができないという制度ではないわけですよね、それは。 |
三宅委員 |
はい。ただ、使用実績がないと異議申し立てができないということは、類似の商標がどんどん併存登録されてしまうわけですよね。これは阻止できないわけです。 |
土肥委員長 |
使用してなければですね。 |
三宅委員 |
はい。ということは、パッケージデザイン等もじっくり考えて、1年半後ぐらいから使おうと思っていた、あるいは計画が進行していたというような商標を登録商標として持っていても、その時点で使っていなければ、今申し上げましたようにどんどん類似の商標が登録されていくわけなんですね。 |
土肥委員長 |
されますよね。それはされます。 |
木村審議室長 |
11ページから12ページにまたがって書いているのは、まさにその論点だと思うんですけれども、多分異議申し立ての要件として、使用というものを課す制度というのをパッケージで導入しなければ、確かにおっしゃったようにどんどん登録がやみくもにふえていくということになるだろうと。ただ、異議を申し立てるために実際に使用しているということが要件になっていれば、基本的にそういう登録をすること自身に実益がないということになります。人の商標を除去できないわけですから、そういうものについてあえて登録するというインセンティブが減じて、不使用商標が減少する可能性があるんじゃないかということだと思うんですね。 |
土肥委員長 |
ほかにいかがでございましょうか。 |
松尾委員 |
3点セットは、異議に使用が必要であるというのと、付与後異議と、もう1つ何でしたっけ。 |
三宅委員 |
異議待ち審査ですね。 |
松尾委員 |
同じことですよね、付与後異議と。 |
木村審議室長 |
相対的不登録事由を見ないということと、異議待ち審査と異議の使用要件ですね。 |
三宅委員 |
異議待ち審査でも、付与前異議と付与後異議があります。 |
松尾委員 |
それは考えてないんですか。ここには書いてないけど、異議待ち審査だけれども付与後異議ではなくて、それを見て付与する、登録の。 |
木村審議室長 |
EC型ですとそうです。ドイツ型ですと付与後異議。 |
松尾委員 |
そう。そういう考え方はあり得るわけですよね。 |
木村審議室長 |
それはどちらもあり得る。 |
松尾委員 |
そしたら権利は早く与えられる。 |
木村審議室長 |
そうです。 |
土肥委員長 |
少し話は戻るのかもしれませんけれども、やはり商標制度をここまで大変な議論をするわけですから、利用者の方のニーズとしては従来の方が、現在の方が好ましいと皆さんはお考えということなんでしょうか。まだ、これ全体をあらわしているとはちょっと難しいのかもしれませんけれども、少なくともここにおいでになる方々は、トーンとしては現在の商標制度をどうも前提としてお考えだと思うんですけれども、より踏み込むべきだということは、松尾先生ちょっとおっしゃいましたよね、先ほど。違いましたっけ。 |
松尾委員 |
私は、踏み込んで、困るところをどういうふうにしたらよくなるかということを考えて、やはり国際的調和を見た方がいいというのが私の意見ですけど、それは個人の意見ですから。 |
土肥委員長 |
もちろん個人の意見で結構でございますので。 |
萬歳委員代理(白石) |
企業側といたしましては、コンセント制度というものがあった方がいいというふうに考えております。これは現実にそういう要求があったり、または要求したりという場面があるものですから。あるものですからというのは、毎日あるのかと、そういうものではございませんけれども、そういう局面が過去ございましたものですから、やはり制度としていかがなりやというふうに思っています。 |
土肥委員長 |
今おっしゃったようなお話からすると、余りなくてもいいような話のように伺かったのですけれども、でもあった方がということですか。 |
琴寄委員 |
今までの皆様の議論、各委員の議論を聞いていまして、基本的には企業側としては、ユーザー側としては大泉委員、三宅委員の御意見に大筋では賛同できると思います。基本的にコンセント制度、これは異議待ち審査という形はさて置きということなんですけれども、考えますと、私ども実務上、平成8年の改正で権利の分離分割移転が可能になったということなんですけれども、実はさらに踏み込んで、その中で多少支障が起きている面がございまして、いわゆる権利のけり合いという実態が実務側では非常に問題になっていまして、ある企業に分割移転してほしいということをお願いしましたら、彼らは基本的に彼らの商標、類似のものを含めて今後権利化する可能性が残っていますと、よってもって分割移転というのは勘弁してほしいというような事例とか、たくさんあるような事例ではないですけれどもあります。このような事例に関しては、私どもビジネス上いろいろな形で第三者の方にライセンスを行うというような業務をやっておりまして、そこに支障が起きるという実情もありまして、そういう意味でコンセント制度が導入されれば、そこは私どもの権利としてそういう対外的なライセンスに関しても支障がなくなるのではないかという意味で、導入にはある意味で前向きに考えたいと。 |
土肥委員長 |
ライセンスはノーと言っても、コンセントではオーケーということがあり得るんですか。今のお話だと、けり合いが起きて、そこの部分の権利を欲しいというふうにおっしゃったところ、将来的にその商標を使用する予定があるので、権利を移転することもできないしライセンスも与えられないというような回答があったときに、コンセントというものができたときに、そこのところがクリアできるということになるんですか。 |
琴寄委員 |
ライセンスはノーとは言ってないんです。 |
土肥委員長 |
ライセンスはオーケーなんですか。 |
琴寄委員 |
ええ。ただ、私ども自身がライセンスを行う以上は、私どもの権利として確保したいと。 |
土肥委員長 |
欲しいと、そういう場合ですね。わかりました。 |
三宅委員 |
質問があるんですが、今皆さん議論していただいているコンセント制度というのは、4条1項11号、これに10号も15号も一緒に含めておっしゃっているのか、それとも4条1項11号だけにスポットを当てておっしゃっているのか。 |
土肥委員長 |
これも伺ってみたいと思うんですけれども、私も4条1項11号の話だと思っていたんですが、いかがですか。 |
古関委員 |
ここは15号も含めるべきだというふうな理解です。基本的には全部入るんでしょうが、多分今回の法改正の見直しで13号はなくなるだろうと私は信じているので、12号も防護標章の問題ですから、ここもとりあえずは今回のコンセントの問題では入ってこない。そうすると、10号だけコンセントがあるのかどうかわかりませんが、あり得るとすれば10号、15号も当然同じようにあるべきだろうという理解です。 |
土肥委員長 |
そういうのも相対的ということになるんですかね。それも相対的な問題?今、三宅委員の御質問のあったところですね、もちろん、もっとも大もとの制度がどうあるかというところが、まだ皆さんどうも前のままでいいというふうなことをかなり言われておりますので、もとのところがまだもう一つはっきりしないものですから、そういうことですが、論理的につながるのかなというところもあるんですよね。今のままでなおかつ、つまり完全に審査をして、その上でコンセントも入れて15号も入れるというようなことで、理屈の上でそれが通るのかなというところはあるんですけど、それは通るんですかね。 |
古関委員 |
もともとコンセントというのは、出所の混同を生じないから出すという理解で出すわけですよね。そうすると、類似する、類似しないという判断で出すわけじゃないわけですから、そういう論理的なつながりからすれば、当然15号の関連はあるんだろうという見方をしたんですけれども。 |
松尾委員 |
でも、それは古関さんおかしいんじゃないですか。「混同を生じるおそれ」って、その「混同」はやっぱり公衆も入らないといけないんですよね。11号だったらいいけれども。 |
古関委員 |
15号はそういう規定ですか。 |
松尾委員 |
「他人の業務に係る」か、そうか、15号はいいんですか。 |
髙部委員 |
でも、需要者から見て「混同を生ずる」というのは15号に入りますよ。 |
古関委員 |
それはみずからの首を絞めることになるわけですよね。 |
髙部委員 |
事業者が、先行のものを持っているがそれでいいと言っても、最終の需要者は混同するかもしれないんですよね。ですから、さっき異議とか無効審判はどうなるんですかって聞いたんですけれども、客観的に後で例えば裁判所なりで判断されて、これはやっぱり混同を生ずるんだと言われたら、初めのコンセントを与えたときの判断が間違っていたということになりますよね。そういう場合に無効にされちゃうのか、無効審判もすべて封じちゃうのか、そこのところをどういうふうにお考えなのか。 |
古関委員 |
私の考えは、それは全部封じちゃう考えです。 |
髙部委員 |
そうすると、ある人がオーケー、先行のものを持っている人がオーケーと言えば、もう需要者の保護というのは図らなくてもいいと。混同防止措置さえやればいいという、こういうことですか。 |
古関委員 |
それ以外にも取り消し審判制度はあるわけですね。実際にはあるわけですから、そこで対応できるんじゃないですか。不正使用に基づく取り消し審判制度もありますよね。 |
髙部委員 |
それだったら無効も立つでしょう。なぜ取消だけができて…… |
山中委員 |
今、髙部委員もいろいろ御心配されているようで、理屈の上ではごもっともだと思うんですが、実際の事業者の立場からいくと、需要者の混同を来すようなコンセントを出すということは、まさにみずからの首を絞めるような行為であって、私ども現実にコンセント制度はないですけれども、実際に権利取得を譲渡というような制度が今現在認められておりますけれども、そういったものを実際に出すときには非常に慎重に対処していますから、そもそも商標権というのは排他的独占権という非常に強い権利ですから、これを、まして人にある部分使ってもいいという了解を出すわけですから、各企業さん、恐らく企業としてみずから持っている権利を他人に使わせるということについては非常に神経に配っておられますので、コンセント制度ができても、むやみやたらに氾濫するということは、原則として、私は実際の運用上の立場にいる人間からしてちょっと考えられないので、理屈の上でそういう心配が出てくるのはよくわかるんですが、実際の運用上は、まずそういう心配はないんじゃないかというふうに考えています。 |
土肥委員長 |
前半の方では、特許庁の審査の運用と山中委員がおっしゃった当事者から見た場合の判断が食い違うと。つまり、出願される側からすれば、これは類似はしないというふうにお出しになるけれども、実際にはそうならないというようなところの部分と、一番後の方でおっしゃった官に対する信頼の部分と、ちょっと難しいのかなと思うんだけれども、しかし庁は…… |
山中委員 |
私が申し上げたのは100%ではないんですが(笑声)…… |
土肥委員長 |
やっぱり公益的なところも判断をなさっておいでになると思いますので、当事者としての御判断で、やはりそこは場合によっては違ってくる局面もあろうかと思うんですけれども、何かほかの方であればぜひあれなんですが、司会としてはいつも不手際ばかりやるんですが、「併せて考慮すべき論点について」というのもあるんですね、12ページのところに。これ、もともとのペーパーでは少し違う形でペーパーが作成されていたと思うんですけど、変わりましたよね。これは議論の必要性としては、やはり要るんでしょう。つまり、「混同」という概念でもって「同一」、「類似」、それから「混同」、さらにもう1つ、「同一」、「類似」ではないけれども「混同が生ずる領域」、そういうものを想定することができるかどうかということ。 |
木村審議室長 |
相互関係を整理するのかという意味です。 |
土肥委員長 |
再整理と。ここのところなんですけれども、12ページの「併せて考慮すべき論点」のところはどういう趣旨かと言いますと、古関委員あたりからは怒られるのかもしれませんけれども、「同一」の場合も「混同」の類型であると。「類似」のところも「混同」の類型である。「同一」、「類似」ではないけれども「混同が生じるおそれ」がある類型があって、それをすべて包括するものとして、広いという意味ではなくて高いというか、いわゆる別の「混同」という領域がある。その「混同」でもって商標法を規定し直すという可能性、そういうことはできるのかどうか、整理することができるのかどうか、こういうことなんですが。 |
松尾委員 |
いや、それだけなくて、 |
土肥委員長 |
ええ、 |
松尾委員 |
済みません、私はやはり |
土肥委員長 |
わかりました。先ほど髙部委員も、審判とかそういうこととの関係はどうなるのかという御指摘もございましたので、今現在「類似」だけ、「混同」あるいは「混同のおそれ」、両方、そういう規定ぶりになっているところもございます。これはまた別の機会ということでよろしいですかね。 |
山中委員 |
別の機会で結構なんですが、そのときまでに考える根拠としてヒントをいただきたいんですが、事務局としては、「類似とは言えないものの、具体的な使用状況、取引状況に照らして混同を生じているもの」云々と書いてありますね、これ、具体的にはどんな事例を想定すればよろしいんですか。私なんかはどう見ても、類似するから混同するというふうにとらえてしまうんですが、全くの非類似のもので混同を来すということになると、そもそも商標そのものが一体何だという話に、商標の類否の判断自体が一体何だという話になってきちゃうと思うんですが、事務局でこの原稿を起こしていただくときに前提とされたケースは…… |
土肥委員長 |
例えば15号あたりの場合だと、「同一」、「類似」という言葉は使ってないけれども、「混同」ということが使われてますよね。だから、そういう理解ではだめですかね。 |
山中委員 |
ただ、具体的なイメージとしてどういうケースを想定すればいいのかがちょっと思い浮かばないので。 |
土肥委員長 |
具体的なケースとしてですか。ありますか、これ。 |
小川商標制度企画室長 |
まさに商標が著名な場合、例えば、資生堂さんであれば、化粧品について「資生堂」は有名ですよね。その「資生堂」というマークを化粧品と全く別のもの、自動車とか自転車とかそのようなものに使うときでも、それは「混同」を生じますよね。商品は化粧品とは非類似の自動車ですが…… |
土肥委員長 |
商標それ自体として「同一」でも「類似」でもないという場合…… |
小川商標制度企画室長 |
商標の話ですか、それは。 |
山中委員 |
じゃないんですか、ここは。 |
土肥委員長 |
僕もそういうふうに思ったんですけれども…… |
山中委員 |
役務・商品のことなんですか。ここに「外観、称呼等において類似であるために」という前段からつながっているのを見ると、外観、称呼が類似じゃないのに混同を起こすケースというふうに、文章上からは読めたんですがね。もちろん、今小川室長の…… |
小川商標制度企画室長 |
ちょっと適当な例かどうかわからないんですが、実は「LANCEL」という著名商標の前後に「I」というスペルをつけて「ILANCELI」という商標が出てきたケースがありました。これは結果的には15号で登録を受けることができないとされたんですけれども、これがこういうケースに当たるのか、あるいはそういう場合もやっぱり類似じゃないかという考え方があるかもしれませんが、そのような例がありました。11号では無理かもしれないというので15号でやったケースです。 |
土肥委員長 |
そういう場合にということですかね。 |
木村審議室長 |
きょういただいた論点で、相対的な登録事由のところの審査のあり方については、かなりの御異論も含めて御指摘があったので、それについてまた改めて整理をするということと、それから、やはりコンセントについては、にもかからわずこれについてはやはりやるべきだという、これも強い御指摘があったということで、具体的な中身なり制度設計等についても改めて御議論をする機会をいただければありがたいなというふうに思いました。 |
土肥委員長 |
それと、先ほど三宅委員だったと思うんですけれども、データを…… |
木村審議室長 |
できるものは…… |
小川商標制度企画室長 |
済みません、実は後ろからメモが入ってきて、審査の段階で11号の割合がどのぐらいあるのかというのは、ちょっと難しいかもしれないと。現在、審査期間との関係があるものですから、拒絶理由が複数あれば一遍に全部かけることとなっています。したがって、11号のみを取り出せというと難しいかもしれません。ちなみに、今手持ちで、拒絶査定不服の審判における2002年の処理件数があるんですが、その処理件数を相対的理由と絶対的理由という分け方をした数字も出ています。その相対的理由にはもちろん11号が入っているというか、もしかしたらメインは11号なのかもしれませんが、相対的理由が1,364件、絶対的理由が1,018件。割合でいくと相対的理由が55.4%、絶対的理由が41.3%という数字が出ています。ちょっと審査の段階での11号単独の数字は出ないかもしれません。 |
土肥委員長 |
もうちょっとまた勉強していただいて、出し方といいますか、何かありましたらぜひ次にお願いしたいと思います。 |
土肥委員長 |
それでは、次回以降の小委員会について事務局から何かございますか。 |
木村審議室長 |
既に御案内申し上げていると思いますけれども、次回第4回の小委員会は、10月20日月曜日の午後3時。第5回、次々回になりますけれども、12月1日の月曜日の午後3時ということでお願いを申し上げたいと思います。場所は、ここではなくて、前回と同じ16階の特別会議室になります。また議題等につきましては、きょうの議論を整理いたしまして改めて御連絡させていただきます。 |
土肥委員長 |
それでは、以上をもちまして産業構造審議会知的財産政策部会第3回商標制度小委員会を閉会させていただきます。本日は、どうもありがとうございました。 |
-了-
[更新日 2003年10月9日]
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